EPIC12F683(ワンチップマイコン)を使ったリモコン式調光器


●概要
 電球(蛍光灯は不可)などの明るさを調整できる調光器をリモコンで操作できるようにしたものです。リモコン部分は,独自のフォーマットを使っています。受信部でリモコン信号を解析するためにPICを使っているので,ついでに調光部分もPICに任せてしまいました。
 その肝心の電力制御部分は,今まで他に見たことが無い常識を破った(?)回路です。トライアックへのトリガ信号をコンデンサの微分回路で実現しています。ほんとに動くかどうか半信半疑だったのですが,試作したら難なくOKでした。このトリガ信号のタイミングを見計らっているのはPICです。このPICはリモコンの受信も兼用して働いています。
 また,回路の部品点数や体積を減らして(消費電力も極力少ないように)どうにかトランスレス回路にできました。コンパクトにしたかったのでこの方法を選びました。トランスレスなので,当然絶縁されていません。回路のどこを触っても感電します。テスト時には注意が必要です。
 送信受信ともにコンパクトに仕上げたかったため,8ピンの12F683を使いました。送信側は6個のボタンを,受信側(調光器本体)は2個のボタンを備えています。送信部は前に作成した5チャンネルリモコンを流用しようと思いましたが,どうしてもボタンが6個欲しかったので,プログラムを変更しマトリックス接続することにしました。
 リモコンを使って,明るさの調整と,明るさの記憶,ロウソクモードなどを制御できます。
 ろうそくモードとは,試作段階で不安定に点滅する電球を見て,これは使えると思い作成しました。一定の明るさではなく,明るさを意図的に揺らがすようにしたモードです。まるでろうそくの炎のよう(?)なのでその名をとりました。

●お送りする部品リスト
部品名 型式等 数量
送信部のPIC PIC12F683 1個
受信部(調光器本体)のPIC PIC12F683 1個
赤外線LED型式不明1個
受光モジュールPL-IRM0101-3※1個
タクトスイッチ形式不明、色不定8個
ツェナーダイオード6.8Vまたは同等品1個
トライアックM12JZ47※1個
トライアックゲート部のコンデンサ0.1uF前後1個
AC入力部のコンデンサ0.33uF 250V前後または同等品(スパークキラーを代用あり)1個
整流用ダイオード形式不明1個
動作確認用LED赤、緑など、不明2個
電源用コンデンサ100μF程度2個
赤外LEDドライブ用トランジスタIC=0.5〜1A程度1個
抵抗4.7, 10, 510, 1k, 10k, 200kΩ各1個
  ※平成18年11月4日出荷分から変更になりました。最大12A定格の物です。最大250W電球でテストを実施。(以前はTMG20C6で最大20A定格でした)
  ※平成20年6月23日から抵抗を変更しました。
  ※PL-IRM1261-C438または互換品の場合があります。

●仕様
 ・リモコンのボタン種類
   「ON/OFF」,「明るさアップ」,「明るさダウン」,「明るさ記憶」,「明るさ呼び出し」,「ろうそくモード/通常モード」 の合計6個
 ・本体のボタン種類
   「ON/OFF」,「ろうそくモード/通常モード」 の2個
 ・通電したときは,「最小出力」・「通常モード」となります(実質的なOFF状態)。スイッチにていったんOFFにしてからONにしたときは,「明るさは保持」・「モードは保持」となります。
 ・明るさのステップは,30程度です(50Hzなら35程度だと思います)。
 ・「明るさアップ」・「明るさダウン」ボタンを押し続けると,その操作量は加速されます。
 ・出力の電圧を測定したところ入力100Vのとき,60W電球を負荷としたところ,最小3V(OFF時は0V)〜最大100Vまで変化しました(アナログテスタ使用)。
 ・トライアックが安定して動くようにある程度余裕を持たすため,最大出力時において,出力波形はきれいな正弦波ではなくて,正弦波から少し欠けたものとなっています(と思います)。
 ・リモコンのアンサーのため本体にブザーを取り付けられる様にしていますが(おまけ程度とお考えください)、ブザーが無くても反応が分かるように、赤外線信号の受信時に瞬間的に電球がまばたきするようにしています。
 ・送信部は,一般のリモコン同様,赤外線は約38KHz(内蔵クロックを利用しているのでチップによりばらつきが有ります)で変調されています。
 ・送信距離は周囲の環境などによって大きく左右されます。実用には、距離を伸ばすためには、トランジスタなどでLEDのドライブ回路を構成する必要があると思われます。
 ・他のリモコン類と干渉することが有ります。通信中に他のリモコンが働かなかったり,他のリモコンを動作させると通信に失敗することが有ります。
 ・電源はひずみの少ない商用電源を想定しています。UPSなどの出力ではきちんと動作しないと思います。また,ひずみ(高調波,ノイズ)が多い場合や,発電機など電源周波数が変動する場合はきちんと動作しないと思います。
 ・世の中にあまり見たことの回路ですし,まだ,長期的に使っていませんので,安定的に何年ぐらい使えるかはよくわかりません。
 ・試作,実装のため使用したトライアックは4種類でしたが,それ以外のものでは,下記回路のそのままではきちんと動作しないかもしれません。定数などの見直しが必要になるかもしれません(下記の「トライアック試用結果」参照)。
(注意)テストを行った私の家は60Hzです。50Hz環境でうまく動くかどうかわかりません。基本的には動くと思っていますが,もしかしたら最大・最小の明るさの時に不安定になるかもしれません。

●応用例
 ・寝室の常夜灯に
 ・電球のON・OFFリモコンに(調光機能をぬきにしてON・OFFリモコンにも使えると思います)

★仕様変更対応の範囲
 仕様変更は不可能です。

●試作から実用(実装)へ
 試作段階でうまく動作したことから,いろいろな場面で使えるように実装しました。写真などは下記の通りです。
 受信部(調光器部分)は,ACアダプタを分解しケースを利用しました。フルカラーのコンセントを入れ込みましたが,想像以上に大きくて後悔しました。でもどうにかケース内に収まりほぼ希望どおりのものが完成しました。ただ,動作確認用ブザーは取付を断念しました。
 送信部は単4電池ケースに組み込みました。
 トライアックは40Aのものを使っていますが,放熱の都合(アルミ板4cm四方約2mm厚程度)上,数100W程度が上限だと思います(トライアック周りの配線も細い電線を使いましたので)。試験的に1000Wのドライヤー(約1分間)や,600Wの電気ストーブ(約5分間)を使ってみまたところうまく動作させることが出来ました。60Wの電球なら1晩連続で使用してみましたがOKでした。
 送信部はLEDドライブ用に2SD789を利用し,4.7Ωの抵抗を直列に入れました。約8m程度までは十分実用範囲内です(より広い職場に持っていって実験したところ,安定的では無いものの,19mまで動作しました。19mというのは事務所の見通しの最大長です。これ以上見通しのある広い部屋が近場に無いのでこれ以上の測定は無理です。)。

●トライアック試用結果
 トライアックの種類によっては最小出力付近で不安定になることがありました。これはたぶん、トライアックがトリガされる感度が異なるためと思います。ゲートの使用するコンデンサの容量を見直すことで修正できました。
 ゲート部に使用するコンデンサと使用するトライアックを組み合わせて安定に動くことを確認してからお送り致します。

★関連部品の追加お取り引き
 ココに一覧表があります。必要な部品がございましたらご連絡ください。



送信部(実装例,単4電池4本用の電池ケースを利用)

送信部(内部の様子)

受信部(実装例,ACアダプタを分解して利用)

受信部(内部の様子)



回路図
2SC4115も2SC1213もピン配列は同じです
※トライアック型式が異なりますが接続は同じです。
※ダイオード2種類の区別がつきにくいですが、回路図の通りパラに接続してください。

●オークション関係トップページへ(他にもいろいろと出品しています)
●PIC関連の出品物の入札を考えている方に(必ずお読み下さい)