PIC16F886(ワンチップマイコン)を使ったデジタル温度計(2センサー、H, Lのアラーム温度設定、不感帯幅設定、温度差測定機能付き)
●概要
デジタル温度計に、上限、下限のアラーム設定機能を付加した物です。
温度スイッチとして使用することができます。2つのセンサーを接続し、表示の切り替え、温度差の監視が可能です。
温度の監視や、設定温度になればファンが回るようにするとか、ヒータを入れるなどといった応用が可能だと思います。
部品点数も少なく非常に簡単に作成できます。
以前作成したPIC16F88を使用したものがありますが、これよりもいくつかの利点があります(下記に列挙)。
●お送りする部品リスト
部品名 | 型式等 | 数量 |
PIC | 16F886 | 1個 |
温度センサ | LM61※ | 2個 |
7セグメント3桁LED | C-533SR | 1個 |
5Vレギュレータ※ | 78L05(または代用品) | 1個 |
LED(符号表示用) | 不明(足がさびています) | 1個 |
タクトSW(色は不定) | - | 6個 |
抵抗 | 数kΩ×1本 | 一式 |
コンデンサ | 0.01uF(表記:103) | 2個 |
※PICをテスト回路に差し、テストした後に出荷致します。
※代用品の場合、ピンのレイアウトに注意してください。
※センサーは、LM61BIZ、LM61CIZの2種類のいずれかです。BIZは精度が高いですが計測範囲が狭いです。CIZの方は計測範囲は広いですが精度が低いです。ご指定がない場合は、無作為に選択させて頂きます。また、在庫の都合上、希望に添えない場合が有ります。
●仕様
・温度の測定範囲はセンサの使用範囲(LM61BIZ:-25〜+85℃、LM61CIZ:-30〜+100℃)によります。表示できるのは-99.9〜99.9の範囲です。
・温度計としてどの程度の精度があるかは調べておりません。精度の要求される用途には使わないでください。計測値は参考程度とお考えください。
・アラーム設定値は-99.0〜99.0の範囲内で設定することができます。
・表示は0.1℃単位ですが,精度上の分解能はおよそ0.5℃です。これは、サンプリング回数を増やして擬似的に0.1℃単位で表示しているからです。
・センサにばらつきがあることを考慮して、およそ±12℃程度、0.1℃単位での校正が可能です(オフセット補正)。
・不感帯幅の設定が0.1〜10.0℃の範囲で可能です。
・アラーム設定値、不感帯幅設定値及び温度校正値は内部EEPROMに保存するため、電源を切っても保持されます。
・テスト回路ではPICの出力から直接7セグメントLEDをダイナミックドライブしているため,表示がやや暗くなっています。必要に応じてドライブ回路を付加して下さい(室内での用途ならほとんどそのまま使用できると思います)。
・5Vの電源をA/Dコンバータのレファレンスとして使っておりますので,安定(温度的にも)した5Vの電源が必要です。
・電源電圧が変動すればスパンが変わってしまうことになります。私のテスト回路では汎用のレギュレータを使用していますが、どの程度正確な5Vであるかは測定出来ませんし保証も出来ません。また、電源電圧が温度特性を持つ場合も注意が必要です。
・7セグメントLED、PIC、SWなどの配線が楽になるように設計しています(写真参照)。
・種々の設定を行うため、タクトSWは6つ接続しますが、設定値を変更しないならそれらの実装はする必要がありません。例えば設定用にSW付きの基板を製作し、実装用にはコンパクトにするためSWを省略することも可能です。
・通常では、このような抵抗を省略したダイナミック点灯の回路構成では、表示数字が異なると明るさが違ってしまいますが、PICの強みを生かして、表示するセグメント数によってタイミングを変更することによって、表示数字の違いによる明るさの変化を低減しています。
・センサーは2個まで実装できますが、1個でよい場合は1個のみ接続すればよいです。
●不感帯幅とは
アラーム設定値付近で温度が上下した場合、その都度ON、OFFを繰り返さないようにヒステリシスを設けるためのものです。
例えば不感帯幅を3.0℃、アラーム設定Hを30.0℃、アラーム設定Lを10.0℃に設定した場合、
温度が上昇し、30.0℃に達すると、アラームHが出力されます。その後温度が下がり、27.0℃に達するまでアラームHは保持されます。
さらに温度が降下し、10.0℃に達するとアラームLが出力されます。温度が上昇し、13.0℃に達するまでアラームLは保持されます。
このセットでは、使用用途に応じてこの不感帯幅を変更することができます。
●PIC16F88を使用していたものとの比較
今回の改変に当たり、一番の目標とした点は、製作を容易くするため、立体配線を極力排除したレイアウトを可能とすることです。
その他にもいくつもの改善点があります。詳細は下記の一覧表のとおりです。
使用PIC | PIC16F886(新) | PIC16F88(旧) |
PICの大きさ | 28ピン | 18ピン |
温度センサーの数 | 2 | 1 |
温度差の監視 | 可能 | × |
温度表示範囲 | -99.9〜+99.9℃ | -9.9〜+99.9℃ |
不感帯幅 | 設定可能(0.1〜10.0℃) | プログラム固定 |
設定等のSWの数 | 6 | 4 |
●使用方法(各種設定方法)
・アラーム温度の設定は、「H設定」または「L設定」のスイッチを押しながら、+、−を押すことによって変化します。
・不感帯幅の設定は、「不感帯幅設定」のスイッチを押しながら、+、−を押すことによって変化します。
・センサーばらつきのための温度補正は、「H設定」と「L設定」の両方のスイッチを押しながら、+、−を押すことによって補正され、現在値が変化します(センサー1、センサー2を表示しているときのみ可能)。
・表示切替スイッチにて、センサー1,センサー2,温度差(センサー1 − センサー2),温度差(センサー2 − センサー1)の4種類の切替が可能です。
・表示切替にて表示されている温度に対してのみ、アラーム温度設定(H設定とL設定)が動作します。表示切替にて、それぞれ表示にあわせて、EEPROMに保存したH設定、L設定、不感帯設定を入れ替えます。
●応用例
・電気温水器の沸き上がり温度設定
・CPUの温度測定、警報出力
・換気ファンの制御
・凍結危険のアラーム
★仕様変更対応の範囲
・無し
★関連部品の追加お取り引き
ココに一覧表があります。必要な部品がございましたらご連絡ください。
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テスト回路(表面, 16.9℃を表示)
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テスト回路(裏面)この時点ではセンサーは1つのみ(赤、黒、橙の線)で、表示切り替えスイッチは接続されていません。
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テスト回路の回路図
★注意 PICの21番ピンに接続されているコンデンサの容量は0.01uF当たりが適しています。容量が大きすぎると温度変化に対する表示値が約0.5℃単位になってしまいます。逆に容量が小さすぎると数値がふらつきます。
★また、センサー部だけをケーブルで取り出す場合、特にノイズが多い環境は別として、PICとセンサの両側にコンデンサを取り付けることによって数m程度なら実用上問題なく利用できます。当方のテストでは、PIC側、センサ側共に0.01μF程度が良い様です。
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