メバル釣り
  

長い年月釣りをした。
その間、いろいろな釣りをした。
そんな中で一番長続きしているのがメバル釣りである。
小さくてもいい引きで、時合いになれば次々と数釣りが出来、食べておいしい、これがメバル釣りの魅力である。

釣り人は短気な人が多いと言われているが、私も短気である。

投げ釣りもしたことがあるが、投げ込んでじっと竿先を見て待っている事が耐えられない。


キス釣りは投げ込んで絶えず竿を動かし誘ってやらないと数釣りが出来ない。
時計の秒針が動く早さで竿先を動かし誘うと、次々と当りがあり、その内竿が重くなってくる。
こんな時は、7本針に5、6匹連になって食いついている。
食いが渋い時は置き竿で待つこともあるが、その前に広く探って、釣れるポイントを見つけるのが釣果につながる。
気短な私にとって、投げ釣りの中ではキス釣りが性に合う。
しかし、仕掛けを投げ込んでは巻き、餌をつけてまた投げ込む、この繰り返しは歳をとってくると結構ハードである。
そんな事から、投げ釣りは遠のいている。


チヌ釣りもずいぶん長い事やった。
波止釣りでは、チヌ釣りが一番のように言われている。
大きいサイズで強い引きが楽しめ、魚体がきれいで釣りの対象には確かに一番だと思う。
しかし、釣れればのことである。
昔は、チヌの魚影も濃いかったので、腕が悪い私でも何とか釣れていた。
しかし、釣り人が多くなってからは、ふかせ釣りやバクダン釣りなど、これまで以上の仕掛けや餌などを駆使しないと釣れない。
経費節減の釣りをモットーとしている私にとって、今や高嶺の釣りとなっている。

その点、メバル釣りは手軽で、そこそこ釣れるから一番好きな釣りである。

昔、そう、今から25年ぐらい前は大型メバルがたくさん釣れていた。
一番の思い出は、阿南市の那賀川尻での釣りである。
その波止は、ほんの5mぐらい岸から離れているため、ゴムボートで渡らなければならない。
川尻のため水深は浅い。
明るいうちから23cmを超えるメバルが次々と釣れた。
強い引きで道糸が水の抵抗を受け糸鳴りがし、切れないかドキドキする。
夜になるとさらに型がよくなる。
ここに遠征した時は、いつも大型のメバルやカサゴでクーラーが一杯になった。
場所が遠いのとゴムボートが破れたので、ここへの遠出はなくなったが、も一度行ってみたい場所である。

鳴門周辺にも毎週のごとく行っていた。
潮が川のように流れる北泊は、メバルの魚影が濃かった。
ここでは、時合いが来るとメバルが水面でぴちぴちと跳ねたことがあった。
こんな時は、浮き下を80cmぐらいに浅くすると入れ食いで釣れた。
しかし、こんな事はめったに無い。

岡山県や兵庫県の人が香川県まで釣りに来るように。
私らは、徳島県の阿南や小松島までよく釣りに行っていた。
遠くまで行くほど、大物や大漁になるという期待が大きかったからである。
確かに、ずっと昔は釣り荒れしてなく、行く度、クーラーが満タンになった。
しかしながら、魚が少なくなったのか、だんだんと釣れなくなり、足が遠のいた。

今は、車ですぐ行ける近場で釣りを楽しんでいるが、近場も昔はよくメバルが釣れた。
サイズは20cmぐらいのものであったが、いつも30〜40匹ぐらい釣れていた。
しかし、今頃はよく釣れてもせいぜい20匹ぐらいで、型も一回り小さくなった。
それでも、1匹も釣れないということが無く、それなりに釣れるところがメバル釣りのいいところである。


良型メバルを狙ったり、数釣りをしたいため、これまでに仕掛けなどをいろいろと試した。
鳴門では、仕掛けの一番先に自作の飛ばし浮きを着け、浮きと道糸の間の仕掛けが浅く水中にたるんだ釣り方で釣った。
竿先にガツンと当りが直接伝わるので、釣れれば気持ちがいい。

胴付き仕掛けに擬似餌のグラスミノーを付け釣った事もある。
擬似餌は生き餌と違い簡単にはずれないので、便利である。
しかし、その分、絶えず餌を動かし、誘ってやらないと釣れない。
夜釣りでこの方法で釣っていた時、当りがあるのだが食いつかない事があった。
グラスミノーを見ると半分ぐらいしか残っていない。
どうやら、ふぐがかじっていたようだ。
疑似餌は、何度でも使えるものなので、本当に憎ったらしい。

感度のいい自作浮きを作って、昼間に細い仕掛けで釣った事もあった。
モエビを撒いて食い気を誘って釣るのだが、これも経費がかかる。
費用対効果でこの釣り方もやめた。

このように、いろいろな釣り方をしたが、今は、一番自分に合った釣り方でやっている。
竿は、5.3mのメバル用延べ竿で、仕掛けは、胴付きと浮き釣りの2種類である。
延べ竿は、時合いになった時、手返しが早く、仕掛けが絡んだりしないのでベストである。
また、餌箱とクーラーを兼ねている
自作エビ箱を持っていくので、すこぶる手軽である。
浮き釣りか胴付き仕掛けかどちらにするかは、その時の天候等で判断している。
どちらかと言えば、胴付き仕掛けの探り釣りが好きなのだが、風があるとそうもいかない。

最近、老化による体力と気力の衰えが目立ってきだした。
しかし、メバル釣りだけは、これからも続けて行きたいと思っている。
誘いをかけると電気浮きがゆっくりと沈んでいくのや脈釣りの当りはメバルならではのものである。
この感触を再びと言う思いがそうさせているのだと思う。