ラピスたちは隊商宿で打ち合わせを兼ねた練習をしていた。
「ラピス君の歌声は綺麗ですねー」
「ありがとうございます。でもこの歌はなかなか歌えません…」
「そうですねー、でももう少し頑張ればきっと歌えますよ」
「…そううまく行けばいいんですが」
「すごく熱心ですね」
「まだ妹に負けるわけにはいきませんから…」
「お兄ちゃんもたいへんですねー」
「うわ!? ちょっと、頭撫でないで下さい」
ラナーシャがラピスの頭を撫でながら励ましていると、誰かが独特のにおいを漂わせながらやってきた。
「邪魔するぞ」
「あ、ニウさんと…えーとあなたは…」
「わわわ私はウラフフです…」
ウラフフはニウの後ろに隠れながら挨拶をした。
「今日は銀組に参加している奴らに料理を配ってるんだが、お前らも銀組だろ?」
「えっとそれは…」
「そうですー」
「ラナーシャさん!?」
「そうか、じゃあこれ食って力つけな」
ニウは皿いっぱいに乗ったカバブを取りだした。
だがそのケバブは何故か赤みがかかっていた…
「えっと…今日は食欲が無くて…」
「男ならこれくらい食えるだろ?」
「あああの、無理強いは…」
「なんか言ったか?」
「いいいえ、ななにも…」
ウラフフはニウを止めようとしたが、ニウに軽く睨まれてすぐに引っ込んでしまった…
「私に食べさせてください!」
「ミトさん!」
ミトはラピスとニウの間に割って入った。
「そんなに言うなら…食ってもいいぞ」
「ありがとうございます」
ミトは一瞬振り向いてラピスにウインクした。
(ここは私に任せてください!)
(ミトさんありがとうございます…)
この時ラピスとミトは何故か心が通じ合っていた…
(どんなに辛くてもお肉料理…ラピス君の為にも食べ残すわけにはいきません!)
「気合入れていただきます!」
「気合って言っちゃってますよ!?」
ミトはケバブを手にとって食らいついたが…
「…〜〜〜!!」
あまりの辛さにミトは声にならない声でもだえ苦しみ出した。
「じゃあ、私もいただきますー」
「ラナーシャさん!? あれ見てよく手を伸ばせますね!?」
「…おい、どういう意味だ?」
「えっと…それは…」
ラピスがニウに迫られているとそこにまた別の人物がやってきた。
「あら、ラピス君」
「あ、マルヤムさん…」
「聞いたわよ、ラズリちゃんと勝負するんですって?」
「え、何で知ってるんですか?」
「ラズリちゃんから聞いたの。今頃リズくんと一緒に練習してると思うわよ」
「…やっぱり、ラズリはリズクと組みましたか…」
「おい、さっきからこっちを無視してんじゃ…」
「あら、あなたさっきから美味しそうな物を持っているわね。私も頂いていいかしら?」
「え? まあ、別に構わねえけど…」
ニウは毒気に当てられた様子で皿をマルヤムに差し出した。
「…美味しいわね、香辛料がよく効いているわ」
「へえ、姉さん味が分かってるな」
ニウはマルヤムに料理を褒められて嬉しそうだ。
「…今のうちにここを離れましょう」
「…? どうして?」
「いいから早く」
ラピスとラナーシャは二人でミトを抱えてそーっとその場を後にした。
後書き
かなり脇道にそれてしまいました、そしてミトさんごめんなさい。
ラナーシャさん(明梨さん)、ミトさん(ずらさん)、ニウさんとウラフフさん(□Kさん)、マルヤムさん(一磋さん)お借りしました。
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