ラピスたちがミトを医者天幕に運び込んでいた頃、ラズリたちは隊商宿から少し離れた広場で練習していた…
「リズくんそこはもっと強く弾いてみて」
「えっと…こうですか?」
リズクは先ほども強くラバーブを弾いてみた。
「そうそう、そんな感じ。じゃあ、もう一回合わせてみよう」
そして再び練習を始めようとしているとそこに女の子がやってきた。
「ねえ、さっき聞こえてきた歌を歌っていたのはあなたたちかしら?」
「そうですけど…」
「聴いてくれてたの? ねえねえ、どうだった?」
「そうね、なかなかよかったと思うわ」
「そうでしょ! わたしたちの歌は最高でしょ!」
「そこまでは言っていないのだけど…」
ラズリは褒められて嬉しいのか調子に乗っていて都合の悪い事は聞こえていないようだ…
「わたしはラズリでこっちはリズクっていうんだけど、金組で大活躍する予定だから応援に来てね! …ところであんたの名前はなんていうの?」
「そう言えば名前も言ってなかったわね、わたしはヘリヤ・ジアーというの」
「じゃあ、ヘリヤって呼ぶね、よろしくねヘリヤ!」
「えっと、ぼくはヘリヤさんと…」
「好きな呼び方で構わないわよ。それよりさっきの歌をもっと聞きたいのだけど、歌ってくれないかしら」
「別にいいけど…わたしたちはこれでも一人前の詩人と楽士だからただってわけにはいかないよ」
ラズリはそう言って手を出した。
「お金をとるの? あいにく持ち合わせが無くて…手作りの焼き菓子ならあるのだけど…」
「それでいいよ」
「いいの? あなたたち一人前の詩人と楽士でしょう?」
「いいよ。ね、リズくん」
「はい、ぼくもお菓子で構いませんよ」
ラズリとリズクは呆気にとられているヘリヤをよそに歌い始めた。
数十分後、ラズリとリズクは疲れてへたり込んでいた…
「もう終わりかしら? もっと歌ってほしいのだけど」
「まだ足りないの? もう疲れたー」
ラズリが音をあげているとそこにある人物が駆け寄ってきた。
「あ、ヘリヤさんコんなところでなにやっテるんですか?」
「あら、あなたは…サウサンだったかしら、何か用?」
「これから皆デ荷物運びです。ヘリヤさんが来なイからマリーヘさん怒ってましたよ」
「そうなの?」
「わたしも行かなきゃいけないの?」
「いいから早くキてください!」
「分かったからちょっと待ってくれないかしら。ラズリさん用事ができたからもう行くけどまた歌を聴かせてね。それとこれは約束のお菓子よ」
ヘリヤはラズリにお菓子を渡した後、サウサンに急かされながら去って行った。
「ヘリヤってうちの隊商に入ってたんだ…」
「あの…ラズリさん大丈夫ですか?」
「うん、少し疲れたけど平気だよ。それより早速お菓子食べよう」
ラズリはリズクにお菓子を渡した。
「「いただきます」」
「…えっと、これは…」
「…味ないね」
期待を裏切られたラズリとリズクは肩を落として溜息をついた…
後書き
ヘリヤさんがかわいかったので早速お借りしてみました。
ヘリヤ・ジアーさん(戸成さん)、リズクさん(一磋さん)お借りしました。
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