ラズリがラピスに勝負を挑んだ数日経ってとうとう二組の詩人と楽士が鉢合わせた。

「やっと見つけたよ、今日こそ逃げないでちゃんと勝負を受けてもらうからね!」

「偶然会えなかっただけだと思うんだけど…」

ラズリはビシッと決めたつもりが簡単に流され少しひるんでしまった…

「…油断しない方がいいよ、だってわたしとリズくんは勝ち星三つもあげてるんだから」

「す、凄いね…」

「あら? 私たちはもっとあげてたような確かいつ…」

「ラナーシャさん!? 今そういう事は言わないでください」

「…か、勝ち星なんて関係ないよ、大切なのはわたしたちとお兄ちゃんたちのどっちが勝つかってことなんだから!」

「ラズリさん、落ち着いてください」

ラナーシャは本当に悪気がなかったのだが、ラズリにはそうは聞こえなかったようだ…

「いいからさっさと歌え!」

聴衆の中にいらついてきた者がいたらしく野次を飛ばしてきた。

ラズリたちが聴衆に目を向けると、その中に大きな旗を持っている三人組がいた…

その旗には『ラズリちゃん リズくん ラピスちゃん ラナ みんな頑張れ』と書かれていて、

その旗を持っていたのはラリマーとマルヤムとアイリーヤでまるで保護者の集まりのようだった…

「………歌うならお先にどうぞ」

「え、じゃあ遠慮なくいくよ。リズくん思いっきり行くよ!」

「は、はい!」

リズクが先に演奏を始め、それに合わせてラズリも歌い始めた。







ラズリたちの歌が終わると聴衆から拍手が響き渡った。

「このままじゃ駄目だ…ラナーシャさん、こうなったらあの曲で勝負しましょう!」

「でもあの曲はまだ…」

「あの歌に勝つにはあれしかありません」

「降参するなら今のうちだよー」

「降参なんてしないよ。ラナーシャさん歌いましょう!」

「はい、分かりましたー」







数分後、その場にいた者は皆眠りこんでしまっていた…

ラピスとラナーシャの言っていたあの曲とは二人とも得意としていた子守唄だった。

ラピスとラナーシャもお互いの歌で眠ってしまい起きている者はいなかった…

ただ一人を除いて。

「さすがラピスじゃのう、相変わらず目が覚める歌じゃのう」

ザビエラだけはなぜか盛り上がっていた…





数分後皆目が覚めたので、改めて勝敗を決めなければならないのだが、

ほぼ全員眠ってしまってラピスたちの歌をよく聴いていなかったので唯一聴いていたザビエラが決める事になった。

「ねえ、どっちの歌がよかった? わたしとリズくんの歌だよね!?」

「そうじゃのう、ラズリンたちの歌もよかったんじゃが…ラピスたちの歌の方が目が覚めるようでよかったと思う、じゃけえラピスたちの勝ちかのう」

「ちょっと待ってよ、お兄ちゃんたちは最後まで歌えてないよ!」

ザビエラの一言で勝敗が決まったと思ったがラズリが文句を言い始めた。

「ちゃんと最後まで歌っとったぞ、じゃがのぉ歌い終わってすぐに眠ってしまっとった」

「…こんなの納得できない! 次の勝負でわたしたちの方が勝ってみせるんだから!」

「あ、待ってください」

ラズリはそう言い残して飛んで行ってしまい、リズクも慌てて追いかけていった…

(次ってまだ続けるつもりなんだ…)

ラピスは頭を抱えて溜息をついた…



あとがき

一応兄妹対決はしましたがまだもう少し続きます。

リズクさんとマルヤムさん(一磋さん)、ラナーシャさんとアイリーヤさん(明梨さん)、ザビエラさん(藤乃蓮花さん)お借りしました。


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