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次第に成長して行く子鳩達、そして清治の小学校生活が始まっていた。小さな町の生徒数100人程の学校ではあったが、山郷で暮らしていた清治にとっては、周りの光景や、同級生全てが新鮮で、戸惑いもあった。
「せいちゃん」 一年生のクラスは、男子児童5名、女子児童3名の8名だった。清治は、近所に住む田中礼二と仲良く学校に通っていた。おとなしく口数も少ない清治だが、礼二とは打ち解けて仲良くしていた。 その礼二が、清治を誘った。学校の隣に、棹の森と言う神社に隣接する天然林があり、鬱蒼と茂るその森を探索しようと礼二が言い出したのだ。 「だって・・」 学校の先生からは、子供だけで、森に入ってはいけないと言われている。 「いいから、いいから」 少々活発で、好奇心旺盛な礼二にとっては、棹の森は格好の興味の対象。いつもの帰り道を外れて、2人はその森に入る事となった。 「すげ・・」 棹の森には、樹齢300年を越す樟の大木が生い茂り、それ故に棹の森と呼ばれるのだが、昼なお暗い森林だった。その先に若宮を祀ってある、三皇神社があってそこまで2人は向かっていた。 がさ・・その時、何か物音がした。2人が手を取って歩きながら、その物音の場所を見る。 「何・・?」 礼二が、その音がする先を見ると、それは白蛇だった。 「わあ・・白蛇だ・・」 慌てて2人は、神社の方に走った。 はあはあ・・息を弾ませて神社の境内に出た2人。 「びっくりしたなあ・・あんな白蛇見たの初めてだよ」 礼二が言った。 「触っちゃいけないんだよ、守り神だから」 清治が答える。 「う・・うん」 礼二はまだ、驚いたままで、互いに握り合った手に力が入ったままだ。 もうすぐ春の祭りが開かれる神社には、後から植えられた桜が満開で、年老いた神主さんが、その桜の下を掃いていた。神主さんが言う。 「もうすぐ祭り。楽しみだな、僕達」 「うん!」 2人が答える。 皺々の顔を更にくしゃくしゃにしながら、神主は、2人に飴を差し出した。 「あのね、白蛇さっき見たよ」 礼二が神主に言う。 「そうか、何年ぶりかのう。白蛇が出てくる年はきっと良い事がある。幸運じゃったな」 「うん」 2人は、神主に手を振りながら、神社を後にした。 その晩、清治が不思議な夢を見る。それは、本当に不思議な夢だった。 清治の夢・・・・・ 清治少年の所へ白馬がやって来た、その背に乗れと前足を屈めた。その白馬に乗ると、天空高く舞い上がり、燦然と輝く銀河の中心を駆け巡った。大小の星々は赤・黄・青色とりどりの流星の帯となって、その美しい様に清治は見とれた。やがて白馬はその中で、一際赤く輝く星へ向かった。白馬がその星の大地に舞い降りる。辺り一面は、真っ白な霧に包まれた世界。きょろきょろする清治の向こうから一条の光が差し込み、そして眼前には青い海が広がる。その先はどこまでも果てなく、砂浜もどこまでも続いていた。白馬は消え、寄せては、返し、寄せては返しの海が眼前にただあるのみ。清治はその場所に座った。そして何をする事も無く、ただ呆然と座っている。その光景は優しく、清治を包み込むような温かいものだった。その眼前の海が突如開かれ、清治を誘うように海が左右に割れ、道が出現する。その道を歩いて行く清治。海が消え、清治は今度は草原に立っていた。そこへ再び白馬が現れ、今度は白い雲の中を進んで行くと、眼前には棹の森。白馬は、その中の一本の木を示した。まるで、その木の根元を掘れ・・そう言う仕草だった。 そこで清治夢は終わった。 「清ちゃん、どうしたの?清ちゃん」 夢にうなされていたのか、清治が目を覚ますと、傍らに心配そうな弓子の顔があった。 |