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2003.12.31


「恵利ちゃん、あの子等と同級生やったん?」
理沙が聞く。恵利が答える。
「まあ、色々ありまして・・済みません、あんちゃん、ちょっと落とし前つけて来ますわ」
「・・おい・・おい・・」
工藤が言うと、
「落とし前・・って?」
理沙が聞く。
そう言う2人に背を向けて、すたすたと恵利は工場の中へ入って行った。
「ハロー!千崎、田村」
「お・・おう・・新田やないけ・・久しぶり・・」
千崎が答える。
「なあ、久しぶりに顔合わしたんやけど・・単刀直入に聞くで・・あんたら、うちの事好きか?」
「は・・・・はぁっ?」
千崎、田村が目を丸くした。
「うちはな、思てる人があんねやんか、せやから、はっきり言うとくで。今度うちを襲うたら、容赦せんぞ!こら!」
「う・うひゃあ・・」
千崎、田村が頭を押さえた。
「よっしゃ!2人とも目つむってそこに立ち!」
言われるままに、2人がそこに直立不動した。
バシン!バシン!2人に平手打ちが・・
「ひゃあ・・きっつい娘・・なあなあ、オーナー、何で恵利ちゃんが、千、亮をしばいてんの?」
「・・知らんがな・・」
工藤は、苦笑いしながら、両手を広げた。理沙も両手を広げる。
「あーーすっきりしたあ」
恵利が事務所に戻って来た。
「恵利ちゃん、うち気に要ったわ、あんた・・いつでもここ寄り」
理沙が言う。
「うちも、理沙姉さん、凄い好きになったわ。毎日寄るね、あ・・あんちゃん、修治君、ここ、時々来る?」
「おう!修治な・・凄い変わったで。今は夜間高校行ってるし、昼間は働いてるよって、なかなかやけど、もうじき冬休みになるよって、叉顔出す思うわ」
「うん!ほな、バイバイ!」
恵利が帰って行く。
「あははは。台風見たいな娘や。面白いなあ、あの娘」
理沙が笑う。工藤が苦笑いした。
「調子狂うねや・・ほんま、あの娘には」
理沙が、工場内に入って行く。
「千、亮!女の子口説く時は、上手にやらなあかんで。はは、えらい・・きつうしばかれたんやな、あんたら」
「笑い事ちゃいますよ、りーねー・・新田、えらい力ですねん」
「あははは」
理沙は冷たいおしぼりを2人に差し出した。
「ま、こっち(事務所)来て、茶でも飲み、一服しよ」
工藤ショップは、どんどん客が増えつつあった。女性客が増えたのも、理沙の加入が大きい。
「お疲れさまー」
帰ろうとする理沙を、工藤が呼び止めた。
「あ、理沙」
「・・はい」
「ちょう、時間くれへんかなあ・・用あるか?今日」
「いえ・・何もありません」
理沙がにこっと答えた。
「そか・・ほな、ちょう付き合うてくれや」
「はい♪」
理沙の声は少し弾んだ声だった。工藤は急いで着替えると、ガレージから、フェアレディ240ZGを出して来る」
「わあ!オーナーの愛車やわ・・嬉しい♪」
本当に嬉しそうな理沙の声だった。