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2004.1.2


理沙と恵利の会話
「そうか、修君のバイクに乗せて貰うの。よっしゃ、うちのライダースーツ貸したるから、おいで、こっち」
「うん、おおきに、理沙姉」
・・・・・・・・・・
「わあ!ぴったりやん。恵利」
「えへ・・」
理沙と恵利の体格は殆ど変わらなかった。
「恵利、このメットも被ってき」
「わお!ピンクのメット・・え・・?何?我夢総長・・って?わあ!理沙姉の?格好ええ、すごおい」
「へへへ・・照れるぜ、おい」
理沙が笑った。
「お・・」
ライダースーツで出て来た恵利を見て、工藤がにやりとした。
「おい!修治、ちょっとこっち来い」
「・・・?」
手招きする工藤の所へ行くと、真っ黒いヘルメットが手渡された。
「これ、被って行け」
「え・・何や・・うわ・・雷神初代総長のメットですやん。何で、こないな大事なもん」
「恵利が理沙のメット持ってるちゅう事は、まあ、今日のデートの専用通行手形見たいなもんや」
「あ・・先輩・・ひょっとして理沙さんと?」
「おろ・・勘のええ奴ちゃのう・・式は年明けてになるけどの」
「先輩、喜んで被らせて貰いますわ。おめでとう御座います」
「へへ・・照れるで、おい」
同じような台詞で、工藤も照れ笑いを浮かべた。2人のヘルメットを見て、マッハを取り囲んでいた数名の若者が退いた、
「え・・?雷神初代総長・・?うわ・・我夢総長やって・・・」
「どないなっとんねん、引退したん違うんかい」
「えらい若いで、2人共」
・・・・・・・・・・・
「はは、理沙、皆びっくりしよるで。まあ、これで、2人を邪魔する奴は居れへんやろ」
「今の2代目以下、もう雷神に逆らう者は、この関西には居てへん。伊藤は見事にし切ってるわ」
「橋も睨みを効かせとるさかいのう」
「石井はどうなったん?」
「ああ、あの後、兄貴に散々しばかれて、今は兄貴の運送会社手伝うとるらしいわ」
「大将!何やってますねん、りーねーも。お客さん、待ってはりますよ」
突然千崎に言われて、叉慌しく客の応対をする2人だった。
ちなみに、稲村は四国へ渡ったと言う事だ。
快調に走る、修治の後ろで、恵利はぎゅっとしがみついた。恵利の胸の脹らみを背中に感じて、修治は少しどきどきした。道行く殆どの改造バイクが、修治のマッハを避けて行く。
「あ・・あれ、何やねん。雷神初代総長と、我夢総長やんけ・・すげえ、取り合わせのデートやで」
「げえっ・・!」
周囲の視線を他所に、修治と恵利は南港へ来ていた。公園のベンチに座る2人。
「あー気持良かった」
自販機で買ったコーヒーを修治に差し出す、恵利。無言で、しばらくベンチに座る2人だった。
「修君・・って呼んでいい?」
「お・・おう」
突然の恵利の言葉に、戸惑いながらも答える修治。
「修君、夜間高校も冬休みあるんでしょ?」
「・・うん」
「休みになったら、叉どこか連れて行ってくれる?」
「・・・うーーーん、どうかなあ・・」
「駄目なん?」
少し泣きそうな目で、恵利が修治を覗き込む。
「あ・・あのな。実は、俺、競翔鳩ゆうの飼っててな、ほんでな、最近日曜日になったら、あんちゃんと一緒に、訓練ゆうて色んな場所へ放鳩しに行っとるねん。せやから、その時間がな」
「まあ、そうなん。ほんで、修君ってあんちゃん居たの?」
修治はこの一年の出来事を恵利に話した。恵利は納得して頷いた。
「よお、分かった。ほな、今から修君の家に連れてって」
「え・・?」
「お願い」
修治が初めて、女の子を連れて来たと言う事で、佐久間家は、大騒ぎ・・。