恋人よわれに帰れ 1 Baby come back to me
これは「貪欲なる友3」から続いている泥沼の後半です。
だんだんわけがわからなくなってきましたので、あらすじを書いておきますv
「約束の場所」へ、カイル(U主人公)に付き添ってきた坊っちゃんは、そこで会ったジョウイに一目ぼれしてしまいます。
さかりのついたケダモノ状態になった(ここはハッテンバかv)坊っちゃんとジョウイは、カイルもレックナートも軍師シュウも完全に無視して、刹那的、かつディープな二人の世界を繰り広げます。
しかしもと皇王ジョウイとて甘い男ではなく、あっというまに、いやがる坊っちゃんのバージンを奪ってしまいます。
一方グレミオは、本拠地で病を治し、そこでのん気にホウアン先生といちゃついたりしていたのですが、やっと役目を思い出し(怒)坊っちゃんを追ったのでした。
なお、坊っちゃん視点は◆◆、グレミオ視点は◆◆となっております(*^ ^*)
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リアムはまどろんでいた。
夢うつつで身じろぎすると、柔らかな、長い髪が手に触れた。
リアムはいつものようにそれを指に巻いて、口元にもっていった。
それから、となりで眠っている人の体温のほうへ慕い寄っていき、わきの下に頭を突っ込んだ。
いつもならばグレミオはそっと体をずらして、子供に添い寝する母親のように、リアムを抱きしめてくれる。 そしてリアムは安心して、また眠りに落ちる。
見た夢がつらいものであっても、忘れてしまえる。
しかし今日はそうではなかった。
「積極的だね、リアム。 朝から、かい?」
涼しい声が響いたと思うと、リアムの手首は強い力で掴まれ、両腕はそのまま十字に押し開かれていた。
まだうとうとしていたリアムの眠りはようやく覚めた。
しかし体はまだ眠ったままだ。
「眠っているあいだなんて、ユルくてつまらないからね。 やっと起きてくれたね、お寝坊さん……さあ、昨日の続きをしようよ」
目の前にほっそりした若者が体を起こしていた。
剥き出しの肩に、くせのない麦わら色の髪が乱れていた。 その首筋には、うすく唇のあとまで見える。
きれいな顔には見覚えがあるのに、名前が思い出せない。
記憶をたどり、ジョウイ、という名を思い出したときには、すでにジョウイはリアムを組み敷いて、慣らす手間もそこそこに、リアムの傷ついた体を再びこじ開けようとしていた。
高く持ち上げられた自分の脚の間に、ジョウイの白い顔が見える。
そうだった、あの崖の前でこいつにいいようにされて、それからキャロの街のこいつの家に連れてこられて、縛られて何回も犯られて。
もう思い出したくもないのに、ジョウイはまだ足りないという。
ふと弱気になったのが悪かったのだ。 ジョウイの目の中に、悲しそうな色が見えたから。 そしてイクときに、カイルの名前を呼んだりするから。
でももうたくさんだと、リアムは思った。
力いっぱい脚で締め上げたら、落とすことができるかもしれない。
リアムは試みた。 疲れきって弱い力しか出ない脚では、ただ絡み付くことしかできずジョウイを喜ばせただけだった。
「そんなに急かさないで、リアム……」
その声に続いて、ざらつく痛みがリアムを襲った。
「グレミオ」
もうだめかもしれない。
抗う力もなく身を任せ、リアムはただ心の中でつぶやいた。
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キャロの街は遠いが、テレポートだと一瞬で跳べる。
あわてて出てきたので、グレミオは足元を照らす灯りさえ持っていなかった。
夜半近くだが、まだ宿屋は開いていた。
「いらっしゃい」
よそ者に警戒するようすもない主人が迎えてくれる。
「ここから天山の峠まで歩きたいんですが、灯りをお貸し願えませんか? 戻ってきたときにかならずお返ししますから……」
主人はぎょっとした顔をした。
「これから、天山の峠まで? ルルノイエへ抜けるんですか? そりゃ、お勧めしませんね」
「遠いんですか?」
「距離は大したことないが危険です。 それから……ご存知かどうか。 何年か前、あの山の中で少年兵の一隊が全滅しまして、それ以来、夜は誰も近寄らないんです。 幽霊が出るとかでね」
「……ひとを探してるんです……」
「これから出られるんだったら、灯りはお貸しできませんよ。 なにかあったら夢見が悪い。 一晩泊まって、明日朝早く出られたらいかがですか……5時ごろには夜が明けますからね」
……そんなに危険なところへ坊っちゃんを行かせたのだ。
宿のベッドは清潔で、あたりは静かだったが、グレミオはほとんど眠れなかった。
夜明けとともに、グレミオは宿を出た。
教えられたように山道をたどり、やっと崖の手前までやってくると、そこにはもう誰もいなかった。
ルルノイエへ抜ける街道沿いから外れた、こんな絶壁には人影もない。
「それもそうだ、こんなところにいつまでもいるはずがない」
行き違いになってしまった、ばかなことをしたものだ。 もうカイルの用事はすんだのに違いない、いまごろ坊っちゃんは本拠地に向かっているかもしれない。
そんなことを思いながら見まわすと、ふと、草の陰に緑色のものが落ちているのが目に入った。
近寄ってみると、それは見なれたもの……リアムのバンダナだった。
まだ露に濡れていた。 そしてそれには、うっすらと、血をぬぐったような汚れがついていた。
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カイルの家の前に立つと、聞き覚えのある元気な声が響いていた。
「もっと、詳しく話してよ、カイル」
「お姉ちゃんには言いたくないよ。 だって、お姉ちゃん……」
「なによ」
「ビッキーのあの変な本に書くかもしれないもん。 ジョウイとマクドールさんがあんなことに……」
思わずグレミオは飛び出していた。 死んだはずのナナミが生きているのも、不思議に思わないほど、もう坊っちゃんのことしか頭にない。
「ジョウイとマクドールさんが、どうしたんですか!!!」
「きゃあ!!」
「グ、グレミオさん。 いつ、ここへ」
「昨日の夜中着いたんです。 峠にもさっき行ってきました。 そしたら坊っちゃんのバンダナが落ちていて……坊っちゃんはどこなんです!!」
「………………」
グレミオの剣幕に、ナナミは怯えたようだ。
気まずそうに、カイルは黙っていた。
「私はカイル君と一緒だからと、安心して坊っちゃんを送り出したんです! それなのに」
グレミオはカイルの肩を掴んだ。
「坊っちゃんは、どこです? なにがあったんです」
顔をそむけるカイルに苛立ち、グレミオはその肩を揺さぶった。
「グレミオさん、マクドールさんはきっとジョウイといっしょよ」
カイルの姉が、なだめるように言った。
「カイル、変に隠さないほうがいいよ。 グレミオさん、あのね、びっくりしないでね……ジョウイとマクドールさんはね……」
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これも天罰かもしれない。
誓いを破って、リアム以外の男と寝た報いかもしれない。
リアムが突然なにかに憑かれたようにジョウイに迫ったこと。 そしてふたりとも周りの目をはばからず、抱き合っていたこと……。
カイルの話は、グレミオの心をずたずたに切り刻んだ。
「とにかく、ジョウイの家に行ってみたら? 今は誰も住んでないけど、もしかしたらジョウイ、そこにいるかもしれないじゃない?」
ナナミはそうアドバイスしてくれた。
尋ね当てたジョウイの家は、豪壮な屋敷だった。
門扉を開けて、いかめしいドアを叩くと、長身の若者が現れた。 細身のズボンをはいて、裸の上半身に白いタオルをかけただけの姿だった。
グレミオは、この美貌の若者がジョウイでないことを祈った。
「こちらはジョウイ・アトレイドさまのお住まいですね」
「アトレイドの屋敷ですが」
「ジョウイさんはご在宅ですか。 私はマクドール家の奉公人で、グレミオと申します。あるじを探しているのですが、ジョウイさんがご存知かと思いまして」
すると若者は、青い目をかすかに細めた。
値踏みするような目つきでもあった。
若者には妙に迫力があり、それに気おされて、グレミオの手のひらは冷たい汗に濡れてきた。
「あなたのこと知ってますよ、グレミオさん」
「あの」
「ジョウイはぼくです。 リアムもここにいます……」
「坊っちゃんは、坊っちゃんはご無事ですか」
「もちろん無事ですよ」
「会わせてください」
「やぼなひとですね、グレミオさん。 リアムは、ぼくに夢中なんですよ……」
「…………うそです」
「お引き取りください。 忙しいんです」
微笑みを浮かべたまま、ジョウイは静かにドアを閉めた。
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軽い足音にリアムは振り向いたが、薄い布で目隠しをされているため、はっきりとは見えない。
「誰か来てたのか」
「君のかわいいお尻美人が来てたよ。 服着てないほうがいいね、あの人。 でももうすこし若い方が、ぼくは好みだな。トウのたったオネエさんて、ちょっとね」
「……グレミオ!」
「帰ったよ、もう。……邪魔が入った……やりなおしだ」
リアムが持っていたグレミオの写真を、全部見られたらしい。
お守りとして戦場に持って行った写真だ。 恥ずかしいのをがまんしてグレミオが服を脱いで撮らせてくれた、大切なものだ。
しかしそれに憤る余裕は、今はない。
軽い振動がベッドのスプリングに伝わってくる。
ジョウイがベッドに入ってくる。
リアムは反射的に逃げようとして腕を引っ張られた。
手首も足首も、紐で縛られていて、引っ張ると痛いが、それを引きちぎって逃げるには、リアムは弱りすぎていた。
「ジョウイ、もう……おれを放してくれないか? もう充分だろう」
「なにが充分?」
「もう気がすんだだろう?……たのむ、おれを……帰してくれ」
「だめだよ、リアム」
「……グレミオが待ってるんだ!」
「待ってくれる人があるというのはいいね、リアム」
そうささやいて、ジョウイはリアムの手をとり、自分の胸に押しつけた。
ゆっくりした心臓の動きだった。
ジョウイの声の色は悲しそうで、リアムはその手を振りほどけなかった。
固まってしまったリアムの耳元で、ジョウイがささやく。
「かわいそうに、君は一度もいってない」
「イキたくなんかない……」
「今度は絶対よくしてあげる……ちゃんと開拓してからお返しするよ……」
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どうやって宿に戻ったのかわからないが、グレミオは気がついたら、服を着たままで宿の清潔なベッドで寝ていた。
階下の厨房から、なにか煮炊きする匂いが立ち上ってくる。
空腹はおぼえないが、血糖値が下がっているらしくめまいがする。
グレミオはゆっくり起きあがって、食堂に下りていった。
壁の時計を見ると、正午を少し過ぎていた。
こんなふうに昼間から寝てしまうなんて、本当にめずらしいことだった。
おすすめ料理というのを注文したが、食べはじめても味などわからなかった。 やっと半分胃におさめると、グレミオは立ちあがった。
坊っちゃんが幸せならそれでいい、と一瞬思ったが、すぐにその考えは打ち消した。
リアムがいないと、自分はこんなにからっぽで、立ちあがる気力もなくなってしまう。リアムもそう感じていないはずがないのだ。
誰がなんと言おうと、自分ほどリアムのことを思っているものなどいない。
「私はリアムさまで、リアムさまは私なんだから……」
そのまま宿を出て、ジョウイの屋敷に向かった。
リアムに会うまで帰らないつもりで、深呼吸してドアを叩いたのだが、今度は誰も出てこなかった。
そのとき、ふと、トラン解放戦争に参加したときのことを思い出したのだった。
風来坊ビクトールに引きずられてグレミオがしたことといえば、火付け、泥棒……。 考えてみると、自分はもう怖いものなしの悪党ではないか。
坊っちゃんに会うためなら、何でもできるじゃないか。
グレミオは屋敷の回りを調べた。 一階に入れそうな場所はなかったが、見上げると二階のバルコニーの奥に、カーテンが風で動いているのが見えた。
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雨どいをよじ登って、忍びこんだ屋敷の廊下には人影もなかった。 人がいる気配はなく、豪華な花瓶に生けてある花も、からからに干からびていた。
リアムを探して廊下に並ぶドアを一つづつ開け、最後に二階の端のドアを開けた。
それは客用らしい豪華な部屋で、天蓋つきのベッドが置いてあって、誰か寝ているのが見えた。
もしかして、最悪の場所に来てしまったのかもしれない、とグレミオはぞっとした。
リアムとジョウイがここにいるのなら、そして最愛のリアムが、のこのことやってきた自分を一瞥して「出ていけ」と言い放ったら。
しかし、ベッドの中にいるのはリアム一人だった。
そして、その姿は無事とは言いがたかった。
そっと近寄ると、リアムは目隠しされた顔を振り、身じろぎした。 縛られた手首から薄く血が滲んでいる。
気配に怯えているらしい。
「もう……いやだ……ジョウイ」
「坊っちゃん……声を立てないで」
あわててグレミオは低い声で制したが、リアムには聞こえないらしい。
「おれ……死んじまうよ……許してくれよ……もう帰りたいよ」
「私です、坊っちゃん。 今、ほどきますからね」
「いやだ、もういやだ!!」
「グレミオです、リアムさま!」
暴れるのを抑えつけて目隠しをとると、やっとリアムはおとなしくなった。
じっとグレミオを見つめて、しわがれた声でつぶやいた。
「グ……レ……?」
よかった、正気だ。 涙が出そうになったが、今はそれどころではない。
「私です。 遅くなってすみません、坊っちゃん」
「グレミオ……おれは、お前に謝らないといけないことが……」
「いいえ、坊っちゃん。 坊っちゃんはなにも悪いことなんかないんです。 さあ、帰りましょう……」
リアムは本当になにも着ていなかった。
乱暴されたらしく、あちこちに小さなあざや歯型が残っている。 脚には少し血がこびりついていたが、しかし大きな怪我はない。
グレミオはリアムを連れて逃げることだけを考えていた。
ベッドのかたわらの椅子に、リアムの服がかけてあったのを手早く着せた。 そしてグレミオは、リアムを背負って立ちあがった。
まだ続いてます(殴)
ジョウイはこんなやつではありません(今更〜〜〜)
RPG恒例、お姫さま救出劇でした。
恋人よわれに帰れ、2へ続く
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