Only You 10   2002/3/17
 
 平良のは、すぐにでもゴムをつけられる状態だし、こういうことは早いほうがいい。
 免許証からゴムを取り出したとき、平良はショックを受けたような顔をした。
「まさか坂東さん」
 そううめいて、口をつむった。 またハッテンバに行ってるんですか、と喉モトまで出掛かってるようだったので、おれは叱りつけた。
「バカ。 変な想像するな、これは非常用」
「う…非常用で…こんなの持ち歩いてるんですか?」
「そう。 たしなみだろ?」

 おれは袋を破り、先を指でつまんで空気を追い出した。キホンに忠実なのがおれのいいところ、だ。
「つけてやろうか?」
「いえ、おれできます」

 じゃあ、とゴムを渡すと、平良は不器用にそれを被せようと苦心していたが、どうしてもできなくて、大きな体を丸めて困っている。
 見てみると、裏返しになっていて、おれは失笑をこらえ、平良からゴムを取り上げた。
「これくらい、やってやるよ…」

 そっと先のほうから毛を巻き込まないように注意しながら、デリケートなゴムを傷つけないように優しく下ろしていくと、その指が刺激となったか、また平良自身のが容積を増した。
 
 結局被せてみると、このゴムでは長さが足りず、とうてい根元まで包むことはできなかった。
 それはそれでいい…。 それに、これほどきつく締め上げているゴムが、外れるとも思えない。
 ゴムで覆われた表面はてらてらと光沢を放ち、実にそそる、いい眺めだった。 
 坊ちゃん坊ちゃんした顔をして、この下半身の猛々しい風情はどうだ。 おれは思わず武者震いした。

 薄い素材の下で、血管が浮いた姿をさらしている平良自身に、おれは思わず顔を寄せて、本能の呼ぶままに唇を付けた。
「……舐めてやろうか? 生じゃなくて残念だけど」
 平良はあわてて首を振り、急いでまたおれを押し倒してしまった。
 シーツを汚さないようにおれもゴムを着けようと思ってたのに、そのヒマもなかった。

 平良が愛撫を続けようとするのを押しとどめ、来いよ、と促した。 
「さあ、やろうぜ。」
 少し早かったが、平良はしたたか酔っている。 悪くすると途中でダウンするか、ダウンしなくても早くイキ過ぎて、ひどいショックを受けるかもしれないから…とにかくこういうことにかけては、平良は並みの男より、デリケートな感情を持っている。

 ところが、ゴムをつけさせて3分もやってたか、やってなかったぐらいで平良は音を上げた。

「お願い…坂東さん、動かないで。 できたら声も出さないで。 お願いです」
「そんな、無理だよ。 こんな、気持ちいいんだし」
「でも…動かれると、おれ、イっちゃいそうなんです。 イきたい。どうしよ?」
 平良は度を失い、泣きそうな声で訴えてくる。 そのあわてかたが愛しくて、おれは促した。
「イっていいよ」
「やだっ。だって坂東さんがよくなってないのにっ」

 声も出すな、腰も動かすなというのは、要するに完全にマグロになれということだ。
ずいぶん風変わりな頼みだが、平良の目が潤んで切実な訴え方をしているので許してしまう。

 おれも正直、まだ行ってほしくなかった。平良のはずいぶん育って、スラストする復路に、最高にいいポイントをヒットしていく…一撃目に感じた痛みはもうほとんど感じない。

 それにしてもまだ早すぎる、夜は長いんだしせっかくやるのなら、お互い心も体も満足するまで楽しまなければ、損というものだ。

「平良、大丈夫。 ちょっと休もう。 ゆっくり息して…あれ、どっかで犬が鳴いてるな。聞こえる?」
「うん、あれは毎晩うるさいんです。」
「ふうん…どんな犬か見たことある?」
「確か…秋田犬みたいなやつだった」

「……ほら、大丈夫。もうすこし、もつよ。」
暗示が効いたのか、行く寸前にまで膨らんだ平良のが、少しだけ落ち着いてきた。

「…坂東さんの中、とってもあったかいです…。」
 うれしそうに平良はささやき、いくらか余裕を取り戻して、少しずつ動き始めた。
 平良は無作為に動いてるだけで、おれのほうもただその動きにまかせ、力を抜いてされるようにしているだけだったが、それだけで体の中から幸せな感覚が湧き上がってくる。
 どうでもいい相手となら、こうはいかない。
 平良のほうは、なぜか辛そうに眉を寄せて、うつむき加減に固く目を閉じているので、おれはその片頬に触れた。
「平良…顔を見せてくれよ」
 平良は顔を上げておれを見たが、またすぐ恥らったように顔を伏せた。
「だめ…顔見るとおれ、イキそう…」

 顔は紅潮し、半開きの唇が膨らんでいて、見れば乳首まで立っている、どう見てもこれ以上は持ちそうにない。
 つらそうな顔を見ていると、愛しさがこみ上げてくる。

 おれは思い切り腰を持ち上げ、奥まで入れやすいようにしてやった。
 そして、もう平良にはかまわず自分で自分のものをつかみ、激しく扱いた。おれが先に行くまで、平良はがんばってしまうだろうから。
 ところが、そのときまでおれはまだまだだろうと思っていたが、体が異常に柔らかくなっていて、自分で慰み始めると、一気におれのほうも紙一重の状態に突入してしまった。
 平良がおれの中であばれ、懸命の勢いで突き動かしてくれる。おれの手は自分のものをいたぶり、おれの体の内部は奴を締め上げはじめる。
 平良のはまた限界まで膨張し、もう動けないほどなのに、それでも懸命に動こうとしていた。


 笑いたいような、泣きたいような、あの不思議な感覚がだんだん強くなって、平良の汗にぬれた腕をつかみ、ささやいた。
「平良…もう、いってくれ…おれも、イクから」
 平良はうなづいて、おれの足首をつかみ、激しく突き上げ始めた。視界が激しく上下して、髪を乱した平良の顔が二重三重にぶれて見える。
 酸素を求めて、汚水の中の魚のようにあえぎながら、気が触れそうになるような快感とともに、おれは達した。

 それもいつもより激しい達しかたをしてしまった。 制御はほとんど不可能だった。
 快楽と、何かの発作のような、恐ろしい収縮がおれを襲い、こうなると脚を閉じてのた打ち回った挙句、ネコのように丸くならねばいられない。平良を脚の間に包んでいるどころではなかった。 

 おれは鋭い悲鳴を上げ、平良の体から逃れようともがき、胸に手を突っ張り、放せ、と叫んだ。 平良を気遣う余裕などなかった。

 平良は、敏捷におれから体を離した。
 ありったけの精液が流れ出すのをそのままに、おれは丸くなって発作に耐え、まだ収縮する腹部をかばっていると、平良がそのままおれを抱きしめてきて、懸命に背中を撫でてくれた、そこまでは覚えている…。


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