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鋳造依頼品製作工程例

 今回は、ソフビの仏像キャラクターをキーホルダーにとの依頼です。

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 原型がソフトビニール製なので、ゴム型を取るのに苦戦。何とか考えてシリコン型を作成。
依頼品は阿修羅像で、手の本数が多いので、受注時にお断りしてパーツ毎に分けて鋳造する事にしました。又、そうすることで仕上げ時に研磨しやすいので、仕上げ加工がしやすいようにカット。型取りを行いました。

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 使用するインジェクションワックスは、流動性と堅さが手頃な物に変更し、細かいパーツでもワックスの流れが良く、しかもゴム型から取り出す際に、変形や傷が付かない物を使用。

 結局、4つのゴム型を作成。特に羽衣部分の型取りには、苦労し、ゴム型を破壊して取り出しました。ワックスの強度と、流動性は良かったので、原型通りにワックスパターンは作成できました。

 その後の鋳造は特に大きな問題はなく、唯一本体のワックススプール線をどこに付けるかで試行錯誤。重量が増せば、その分ごま巣やガス発生量の影響で、鋳造が失敗するので、念のためワックスパターンを2体作成し、鋳造に突入。

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 鋳造上がり画像が左です。各パーツとも何とかキレイに鋳造できました。

発注者のご依頼で、キーフォルダー及びストラップに仕上げて欲しいとのことだったので、強度を考え後からロウ付けするのではなく、頭部に丸カンをワックス原型から付け、同時鋳造しました。又、手や、羽衣の蝋付けが多数必要なため、極力蝋付け回数を減らす意味でも同時鋳造にし、腕と本体は1個の鋳造リングにセットし、羽衣部分はその形状のため、別鋳造リングにセット。計2回の鋳造作業を行いました。鋳造埋没材の石膏が固まるのに1時間放置。ワックス焼成に約2時間。合計5時間かけて鋳造終了。

 シルバー925地金は60グラム使用し、約1000度で溶解し、真空加圧鋳造。石膏型は最初は700度から650度に時間を見て下げていき、石膏型の亀裂を防止しつつ、完全焼成し、石膏型のワックスが焼け飛んだ部分がほんのりピンク色になったら鋳造機にセット。

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 鋳造が終わって1日おいて、次の行程へ。

 今度は各パーツの接合。溶解温度差の違う銀ロウを使い、一つずつロウ付けしていきます。ワックス原型、鋳造の次にストレスが溜まる作業。

 まずは衣単体を2部鑞で接合。そして3部鑞から、7部鑞、練り鑞と使い分けて、全てのパーツを接合。

 ここで緊急事態発生。先に腕を付けてしまったので、羽衣が首から前にはまらない。冷汗・・・。1度はずして鑞を付け直すかとも検討したが、2部鑞で接合しているので、蝋付けを取っていると原型自体の銀が溶ける危険が・・・。925は鋳造も蝋付けも非常に扱いにくい金属なのです。金も蝋付けは慎重さが必要。プラチナが一番安心して作業できます。金と925が、鋳造も、蝋付けも難しい。

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 取り敢えず、無理矢理は衣を曲げて(鋳造と蝋付けで焼きなましされているので)、首の後ろから前の腕を通し、所定の位置に最後の蝋付け。

 こうして原型と並べると、曲げて付けたことがよくわかります。(^^ゞ。デザイン的には動きが出たので、特に問題はないであろうと言うことで、仕上げへ。発注者からクレーム付いたら曲げればいいんだし。(^^ゞ。

 と言うわけで、研磨後、完成とし、発注者にこの画像を送って確認してもらって、OKが出たので最後の金具付け作業に。

 受注を受けてから約1ヶ月時間をもらい、何とか仕上がったのが、次の画像。

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 ほぼ原寸大です。仕上がり重量は約50グラム。

 携帯ストラップで使用したいとの強いご希望だったので、金具は強度のある大きめのフックを付け、キーホルダーとして使えるように元のご希望で、別に2重カンと長小豆(マリーナに近い)チェーンをカットしてミニの925製2重カン2個とセットにして納品いたしました。

 受注価格は15000円。地金、キーストラップ別で追加約3000円。合計2万円弱の特注オーダーメイドです。

 発送後、お客様の反応がどうか、気になっていたところ、先日「頼んで良かった。満足しています」とのお礼メールを戴きました。ほっと一安心。

 日頃、自身では作ろうと思わないものが依頼されてくると、ドキドキ不安と、「どうやって仕上げてやろうか」という変な根性が出てきます。これは、本当はあまり良いことではなく、凝ってしまうと仕上がりが原型と違ってしまうので、どこまで原型に忠実に、それで居て原型の欠陥を補うかのみを検討し、作業に入らなくては、つい入れ込んでしまって、納期が延びてしまうということになりかねません。

 今回は10月中には納品することを目標にしていたので、自制しつつ仕上げをしましたが、細工が細かく、ルーターが細かい部分に入らず、結局金属へらと、ウイノールと竹串で細部は仕上げました。歯ブラシにウイノールを付けて擦りまくりもしました。

 鋳造後、磁気バレル機で荒研磨をし、金属へらで下磨きをし、巣埋バーで原型自体にあったこうしたフィギュア独特の接合部のバリをつぶしておいたので、手触りは鏡面並み。但し、蝋付けと、その後の酸処理でどうしても白くなるので、一皮剥かないと銀色が出ません。かといってバフがけしすぎると、細かい部分の凹凸が潰れてしまうので、結局手作業で仕上げとなりました。

 最終的にはお客様の手元で、時間の経過と共に自然に変色し、シルバークリーニングクロスでお手入れしてもらうことを繰り返すことで、味が出てくる仕上げとしました。銀は使用者が最終仕上げをする(手入れ)事で、持ち味を生かしも、殺しもします。まずは発注者が満足してくださっただけで良かったです。

 こうした鋳造依頼で、又色々と勉強させていただけました。時間を頂けたお仕事は、非常にありがたいです。感謝。

2005年11月01日 更新


 当方でお買い求め頂いた商品は超音波洗浄、シルバークリーニングサービス(酸処理、再研磨(一部有料))・修理もさせて頂きます。お気軽にご利用下さい。
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