第25回 小豆島オリーブマラソン大会

〜 中山選手 奇跡の復活 〜
2002年5月26日(日)第25回小豆島オリーブマラソン全国大会がインド洋に浮かぶモルジブ島で開催されました。

(幹事長)「いつもいつもの事ながら、長らくご無沙汰でした」
(増田)「活動が乏しいクラブなんで仕方ないですよね」
(佐竹)「でも今回は、記事の掲載は早いですね!去年のオリーブマラソンの記事なんて、今だに未掲載だと言うのに」
(幹事長)「実はレースの4日後の木曜日が人間ドックやったんよ」
(F川)「幹事長、犬になったんですか!?」
(幹事長)「そら人間ドッグやがな。古いギャグ言うな。
     とにかく、1泊2日コースなんやけど、夜がヒマでヒマでたっぷり時間があったんよ」
(佐竹)「まさかパソコン持ち込んだんですか?」
(幹事長)「5年前に入った時にヒマを持てあまして死にそうになったから、今回はパソコンとCDプレーヤーを持ち込んで集中したぞ」
(増田)「そなな事しよって、人間ドックの結果はどうやったんですか?」
(幹事長)「それが、あんた、血糖値が高いとかコレステロールが高いとか、色々言われて落ち込んでしもた。
     そんなん言われるん初めて」
(宮武)「ゴルフやってマラソンやったら体調も悪くなりますよ。私の経験から言って」

本題に入る。
今年は、私は非常に疲れていた。
前々日は、徳島県にあるT湾(台湾じゃないよ)発電所へお客さん達をバスに乗せて見学に行った。実は、T湾発電所には増田選手が一昨年から赴任している上に、竹葉選手までもが今年から赴任している秘密基地だ。ぜひともペンギンズT湾支部を作ってもらいたいぞ。
しかし、竹葉選手や増田選手が日曜日のレースに備えて金曜日の夜には高松へ戻ってきていた一方、私は徳島に残り、土曜日はゴルフだったのだ。初めて行った高級ゴルフ場で、お付き合いゴルフとは言え、それはそれで楽しいゴルフだったのだが、なにせ雲一つ無い快晴で、顔も手も真っ赤になるくらい日焼けしてしまった。おまけに、近年、香川県内のゴルフ場は半ば強引にカートに乗せられて楽チンしているのだが、このゴルフ場はひたすら歩かされるため、足腰もかなり疲れてしまった。おまけに昼食時と終わってからと2回も、かなり激しく宴会モードになり、前夜からの宴会が果てしなく継続って感じで、体力的にかなり弱ってしまった。
て事で、正直に言えば、もし雨でも降ればサボろうと思っていた。て言うか、雨が降るのを願ってテルテル坊主を逆さ吊りにしたくらい。でも、こういう時に限って、雨どころか、連日の快晴で、休む言い訳が無い状態。

当日は、疲れ果てて朝起きるのが辛かったけど、まぶしい日差しに眠い目をこすりながら、なんとか起きる。体のあちこちが疲労している。目を覚ますために庭に出て伸びをしていて気が付いた。出張で留守の間に、連日の好天気で草花が枯れかかっている。がーん。これはまずい。って事で、準備も放ったらかし状態のまま、水やりを始める。そんな事をしてたら時間が無くなってしまい、慌てて出かける準備をしたのだけど、食事の時間も無くなってしまい、かろうじて小さなパンを2個ほおばるのがやっとだった。
そのままバタバタと出発。車で行くと、駐車場に困って時間を取られるので、バイクにまたがる。しばらく乗ってなかったから動くかどうか心配だったけど、バイクは順調に動き出す。制限時速ギリギリ50kmオーバーくらいで快調にバイクをぶっ飛ばして港へ着くと、かろうじて臨時船の出発時間に間に合う。なんか、毎年ギリギリやなあ。

船に乗り込んで探すと、すぐにペンギンズの巣を探し当てる。ギュウギュウ詰めの狭い船内で、かろうじて床を2畳分ほど確保している。さすがはペンギン軍団。
メンバーは、T湾発電所から帰還している
増田選手、それからT湾発電所のすぐ近くのA南変換所に赴任しているタイガー杉原。それから石を刻んで300年の佐竹石材店。ふむ。軍団と言う割には僕を入れて4人か。ちょっと寂しいなあ。と思っていると、その向こうに後ろ姿を見せるのは、高知支部長やないの。
(幹事長)「おっ、支部長、元気っ!?」
(宮武)「へいっ。おかげさまで」
さらにその横でひたすら下を向いて微動だにしないのは、あれっ?その後ろ姿はF川とちゃうか?
(幹事長)「おい、あれF川か?」
(増田)「そうですよ」
(幹事長)「なんで向こう向いて固まってるんや?また二日酔い?」
(佐竹)「イメージトレーニング中と違いますか?」
(幹事長)「なんとか完走できるイメージ?」
最近、なにやらF川選手の挙動が不審やなあ。ペンギンズの看板アイドルっていう自覚が乏しいぞ。
(増田)「竹葉さんは下の甲板で寝っ転がってますよ」
(幹事長)「なんでまた、あの冷たくて堅い甲板に寝っ転がるんや?」
(増田)「この狭い所じゃ寝転がれないからでしょう」
(幹事長)「あいつはペンギンズ創生期オリジナルメンバーでありながら、何かにつけて我々との接触を避けているとしか思えんぞ」


まあ、しかし、主要メンバーは揃ったか。参加者はこんなもんかな、なんて話していると、誰やら見かけない人が話しかけてくる。
(誰や)「あのう、僕も久しぶりの参加ですけど」
(幹事長)「おや?これはこれは、一体どちら様だったでしょうかのう?」
(誰や)「何を言っとんですか。中山ですよ」
(幹事長)「ほほう?そのような名前の選手は、かつて在籍しておったが、確か1年半ほど前に亡くなったと聞いたがのう」
(中山)「どうせ僕は、ずうっとサボってましたよっ!」

ほんまに久しぶりの
中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)だった。
(幹事長)「ななな、なんと、本当に中山君じゃないかっ!?
     てっきり引退したものとばかり思っていたが、生きとったんかいな?」
(中山)「なんとか体調も戻りましたんで」
(幹事長)「体調がどうの、と言うレベルじゃなくて、サボりまくり状態からは脱した訳だな。雨が少し降ったからと言ってはサボり、
     船に乗り遅れたからと言ってはサボり、コーヒー飲み過ぎたと言ってはさぼり」
(中山)「コーヒーは本当に体に悪かったんですよ。コーヒーを止めてから体調も回復し、やっと全快したって状態です」

そうか、中山が復活したか。これで僕より遅い奴がまた一人増えたか。ふむふむ。ラッキー。
(幹事長)「前回のレースは確か一昨年の秋の塩江マラソンやから、実に1年半ぶりやなあ。
     今日は21世紀最初のレースになるわけやな。君に限って、まさか練習なんてしてないやろ?」
(中山)「いや、まあ4月頃から週末は7kmくらい走ってますけど」

むむむ。なんとトレーニングを積んでいるのか。しかし7kmはいかにも少ない。やはり敵ではないな。
ところで彼は変わった時計をしている。
(幹事長)「なんじゃ、その時計は?」
(中山)「以前は、健康保険組合の景品でもらったデジタルウォッチをマラソン用に使っていたんですが、
     電池が切れたんで、仕方なく高松競輪の記念品のアナログ時計を使ってるんです。
     ストップウォッチ機能が無いだけなら良いんですが、この時計は秒針が分かんないんですよ」

なるほど。自転車をこいでいるトラが秒針になっているので、いったいどこを指しているのか分からない。
(幹事長)「どうせ秒単位のレースをする訳でもないし、かまへん、かまへん」
まさか、この時計が後で命取りになろうとは、この時点では誰も予想しなかった。

そうこうしていると
福家先生が現れる。
(幹事長)「今日も、お父上と一緒ですか?」
(福家)「そうや。年寄りは早起きやから、朝っぱらから起こされて眠いわ」

相変わらず福家さんをリードするお父上はペンギンズ社外監査役であるのだが、今年はもう79歳だ。さすがにハーフマラソンは避けて5kmの部に出場されるのだが、それにしても信じられないぞ。しかし、参加者名簿を見ると、最高齢は90歳なんて人もいる!大丈夫かあ〜!そのまま死ぬなよ〜!

(福家先生(左)と初登場のお父上79歳)

(幹事長)「増田君は毎日トレーニングしとる?」
増田選手が赴任しているT湾発電所を金曜日に初めて訪問したのだが、思ったより広くて、走るには絶好のフィールドだった。
(増田)「ボチボチ走ってますよ。シャワーもあるし、その気になればトレーニングには良い環境ですね」
(タイガー)「でも、竹葉さんはスポーツジムで時々見かけますね」

タイガーもT湾発電所の近くに赴任しているのだが、さらに竹葉選手も今年からT湾発電所に赴任している。だからペンギンズ強力3人組が同じ場所に集まっているのだ。
(幹事長)「スポーツジムでどんなトレーニングしとん?」
(タイガー)「僕はルームランナーみたいなもんです。角度を付けて坂を上るようなランニングしてます」
(幹事長)「それって辛いだけで、全然面白くないんと違う?」
(タイガー)「でも、結構、効果的に鍛えられますよ」
(幹事長)「しかし、タイガーよ。お前のその肉体は、どう見てもマラソンランナーと言うよりボディービルダーやぞ。
     いったい何をしよんぞ?それに相変わらず髪の毛が金髪っぽいけど、そんなん現場では許されるん?」
(タイガー)「いや、これ、普通にちょっと染めただけなんですけど、プールの塩素で色が抜けて金髪っぽく見えるだけなんです」
(幹事長)「そうかぁ?その肉体にその髪の毛では、一見、かなり怖いお兄さんやなあ」

(佐竹)「ところでホームページに去年のオリーブマラソンの記事が未掲載ですよ」
(幹事長)「ぎくっ。時々、「見る事ができないけど、サーバーの調子がおかしいのですか?」なんて言ってくれる人がいますが、
     実は2001年のオリーブマラソンとタートルマラソンの記事はいまだに未掲載です。ごめんなさい」
(増田)「せっかく5年前からの全レースの記事を掲載しているのに、どうしたんですか?」
(幹事長)「いやあ、去年から慣れない職場で精神的に余裕が無くて、なかなか気分が出なくて。
     やっぱり、一気に勢いで書かんとなあ」


やっと島に着くと、今年も地元小学生の鼓笛隊が迎えてくれる。ご苦労様です。
受付を済ませ、例年通りテント村の片隅に陣取る。
(幹事長)「高知支部長は去年はサボったよなあ?」
(宮武)「出張でんがな。実は、こないだもアメリカに出張に行ってきましたよ」
(幹事長)「ななな、なんと。僕は2年で1回しか海外出張に行かなかったのに、1年で早くも3回目かっ!?」

ううむ。前任者が悪い事例を作りまくっていたからとは言え、こなな甘い汁を吸いまくっているのか。
ところで某知県政策総合研究所釈迦さん突撃隊長は任期が1年延長になって3年目に突入したとか。これ読んでくれてますかーっ?ご苦労様ですねーっ!それからナターシャさんは県庁の本庁の方に移ったとか。寂しいですねえ。
(幹事長)「まさかトレーニングはしとらんやろな?」
(宮武)「こないだ単身寮から五台山まで往復しましたよ」
(幹事長)「げげっ。そななハードなトレーニングを積んどんか?」
(宮武)「ほんの10km程度ですよ」

しかし、山を登る10kmは、かなりのトレーニングだ。むむむ、今年の高知支部長は侮れないかも。例年と違って、今年は僕の方が前日ゴルフで疲れているし。今までかろうじて負けたことのない高知支部長だが、今年は危ないかも。
(幹事長)「ま、僕は今年はタイムなんてどうでもいいから完走さえできれば満足じゃ」
言い訳でもなんでもなく、ほんとに今年は完走できれば満足しなければならないくらい体調に不安があるぞ。

なんて話している間も、F川だけは少し離れて一人無言のまま。
(幹事長)「お前、どしたんや。ひたすらイメージトレーニングして。暗いぞ」
(タイガー)「何かしゃべったらホームページに掲載されるから恐れているんでしょ」
(幹事長)「でも、何か言っても言わなくても、どうせ書かれるんやから、気にすることないぞ」
(F川)「気にしますがな」


総合すると、
・今年の注目のライバルは1年半ぶりの中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)か。いくら前日ゴルフで体調不良とは言え、1年半ぶりの選手には負けんやろ。
・高知支部長はこのところ追い上げが著しく、今まではかろうじて逃げ切り続けているが、今回は強敵だろう。トレーニングも積んでいるようだし。
・さらに、無言が不気味なF川選手。彼の調子は、ちょっと読めない。真剣な顔つきからすると、もしかして気合い十分かも。
・それから、あわよくば丸亀マラソンの時のように増田選手にも勝ちたい気はあるけど、彼は不調の時は僕より遅いけど、調子が良ければ圧倒的に早い。今日の僕では勝ち目は無いか。
後の連中は、知らん。勝手に早く走ってちょ。

相変わらず竹葉選手が居ない。ウォーミングアップしてるのか。僕らはひたすら体力を消耗しないようにうずくまる。ウォーミングアップするような余分なエネルギーは無い。
それにしても、
僕たちって、わざわざ参加料4000円、船代2000円なんていう高い金を払って、嫌々走って、何を好きこのんで参加しているんやろう。参加すればまだ良い方で、みんな何か理由を見つけてはサボろうサボろうとしている。
(F川)「笹谷さんは、最初は忙しいだの体調が悪いだの、とスッキリしない言い訳をしてましたが、
    子供の運動会が同じ日にあると分かってから、嬉しそうに堂々と欠場しましたよ」

しかし、うまくサボれた笹谷選手と、まだアキレス腱が完治していない
隅田大先生以外は、主力選手はほぼ揃ったから、最近のレースにしては、なかなか出席率が高いと言える。
(宮武)「しかしフラメンコ明子と言い津田さんと言い、女性陣は1回走ったっきりですねえ」
(幹事長)「まさにペンギンズの弱点がそこに集約されているのだ」

気がつくと、中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)が居ない。
(増田)「開会式が始まったからオリーブの女王を見に行ったんですよ、きっと」
そうなのだ。こういう姿勢が女性陣から嫌われる理由なのだ。もっと部員の女性を大切にしなければ。
(幹事長)「よしっ!わしらも後に続けっ!」
会場に駆けつけると、いつもギリシャ風の白い衣装のオリーブの女王が、ランニング姿で壇上に立って聖火を点火しようとしていた。もしかして、今年はオリーブの女王も走るのかと思ったけど、開会式の後は、またいつもの白い衣装に戻っていたから、走る訳ではなかったようだ。
はっきり言うと、今年のオリーブの女王は、いまいちでしたねえ。

開会式の後は準備運動のエアロビだ。以前は、エネルギーの無駄な消費とばかり、徹底的に準備運動を怠っていた我々だが、去年、隅田大先生のような偉大なお方がアキレス腱を切ったりしたもんだから、準備運動には念を入れなければいけない、と反省し、参加することにしている。でも、やっぱり、疲れるなあ。いつも思うけど、マラソンの準備運動としては、若干ジャンルが違うような運動が入っているんですけど。

(準備運動に余念が無いF川(左)とピンクパンツが目立つ幹事長)

(幹事長)「それにしても、ペンギンズのメンバーは、最初は大半が30歳代だったのに、いまでは半分が40歳代になってしまったなあ。
     新しいメンバーが増えないのは寂しいけど、既存メンバーの脱落者が居ないのも不思議やなあ。
     みんな、練習はほとんど無しやし、レースだって何か理由を付けてはサボろうサボろうとしているし、
     レースに参加する時だって嫌々だし、一体何が嬉しくて参加しているんやろ」
(宮武)「ま、レジャーですな」

こなな辛いレジャーがあるかなあ。

ま、レジャーと割り切って、高知支部長と直前にオシッコして、2人で最後尾から出発する。早い人は前の方からスタートしようと場所取りにムキになるが、我々は無関係だ。前の方で何をアナウンスされているのか聞こえないまま、突然、ピストルが鳴ってスタート。僕らが走り始める頃には、先頭集団ははるかかなたに進んでいる。
「うわっ、もう先頭はあんな所まで行ってる」なんて悔しがる声が周囲から聞こえてくるが、関係あらへんがな。
最後尾から出発すると、ほとんど追い越されることはなく、もっぱら追い抜くばかりで気持ちは良い。しかし、その快感に調子に乗ってホイホイ追い抜いていくと、後でバテて後半はリタイヤの危機が出てくるのでセーブしないといけない。
(幹事長)「うちのメンバーで追い越す可能性があるとすれば、まず中山選手とF川選手やな」
(宮武)「あれっ?早くもF川選手の背中が見えますよ」

なんとかーっ!早い。早すぎる。もう少し持ちこたえて欲しかったが、F川選手の足取りが異様に重い。
(幹事長)「大丈夫かあ?」
(F川)「いかんですわ。先に行ってください」

それにしても、まだ3kmくらいしか走ってないぞ。大丈夫じゃないぞ。
5kmほど走ると1回目の折り返しがある。佐竹選手がものすごく早いペースで折り返してくる。どしたんやっ?ってくらい異常に早い。しかし、当面のライバルと睨んでいる中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)が見あたらない。前にも後ろにも居ない。おかしいなあ。

そうこうしていると、後ろから
カッパのお姉ちゃんが抜いていく。げげげっ。カッパと言えば、僕のトレードマークやないの。でも、僕らペンギンズの動物チームは冬季限定版で、こなな暑い時期には登場しない。このカッパは、僕のよりだいぶ薄手の軽くて涼しそうなものだけど、それでも絶対に暑いと思う。
(幹事長)「それ、暑いんちゃうん?」
(カッパ女)「直射日光が肌に当たらんから、かえって暑うないんよ」

嘘や!そんなはずはない!絶対に暑いはずや。他にも
トラ、ヒョウ、牛、ペンギン、おまけに何故か海賊までいる。みんなで姫路から来ているらしい。かなりの実力者集団か。4年前の春、明石海峡大橋の開通記念駅伝に僕らが動物チームで参加した時も、こいつらもライバルやったかも。
さらに、彼らとは別チームかもしれないけど、ストリートファイターの
春麗ちゃんも走っている。後ろ姿がたくましいから、もしかして男かも、って思ったけど、追い越すときに見たら、可愛いお姉ちゃんだった。さすがにこの衣装も暑いようで、前半で既にバテていた。

(春麗ちゃんとは、こういう衣装です)

それにしても暑い。暑すぎる。この時期に開催されるオリーブマラソンは雨の時は走りやすいけど、晴天の場合は非常に暑くなる。給水所は数多く設けられているが、こまめに必ず補給しなければならない。コップの水を飲むと同時に必ずスポンジも取って体中を冷やす。時々氷の配給もあるので、口にほおばって走る。
カッパ女とは、その後、抜きつ抜かれつの展開となる。暑いにもかかわらず実力者の彼女は結構早いのだが、給水所が来ると、かなりじっくり立ち止まって頭の皿に水を補給しまくるので、その間に抜き返すという展開だ。一般的に、動物さんに抜かれると非常に腹が立つ。て言うか、やる気をなくす。自分たちが動物の時に普通の人間を抜くと、がっくりきて歩き出す人もいるから、よく分かる。が、よくよく考えてみれば、動物になっている連中は自信と実力があるからこそ、そういう格好をしているのであって、抜かれてもがっかりする必要はない。それから、僕より背が30cmくらい低いおばあちゃんにスタスタ抜かれるのも脱力感が全身を覆い、以前は怒りすら感じていたが、彼女たちは年季が入っていて体力も経験も万全なので、考えてみれば、僕ら若輩者が抜かれても不思議はない。しかーし、どう見ても普段着のような格好でヘラヘラ走っているコギャル達に抜かれるのは許せない。断じて許せない。なのに、なんで、いっぱい抜かれちゃうんだろう?

後半に入ると、早くも足に張りを感じる。やはり今日は足がつるかもしれない。大きな不安を胸に、なんとか走り続けると、2回目の折り返しで戻ってくる選手とすれ違い始める。相変わらず佐竹選手は早いが、竹葉選手も結構良いところで走っている。ま、この二人は放っておこうと思って、ちょっと油断していると、なんとタイガーも早々にすれ違うし、さらに増田選手ともすれ違う。僕とはものすごく差がある。話にならない。今年は増田選手には完敗だ。後は中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)の動向が気になるが、やはり見つけることができない。前にも後ろにもいない。まさか早々にリタイヤしたのか?
途中まで一緒に走っていた宮武選手は、折り返しでは少し後ろを走ってくる。丸亀マラソンでもたいてい似たような展開になり、いつもかろうじて逃げ切っているが、今回は足がつりそうなので、歩いたりしたら抜かれるかもしれない。ちょっとプレッシャーを感じる。
折り返してすれ違う選手をつぶさに探すのだが、F川選手の姿が見あたらない。あの様子ではかなり遅れているとは思うけど、それにしても見あたらない。もうすれ違う選手が居なくなったけど、結局、見あたらなかった。何年か前のレースのように、藪の中で用を足しているのかも。

さらに走り続けると、今度はお馴染みの
盲目のランナーと伴走者に追いつく。名前も素性も知らないのだけど、主なレースではいつも出会うので、顔見知りになってしまっているのだ。いつもなら最初は僕が先に走って、後半に叱られながら抜かれるというパターンなんだけど、今日は最後尾からスタートした僕の方が追いついた。今日は遅いなあ。どしたんやろ。
(幹事長)「暑いですねえ」
(伴走者)「もういかんわ。今、伴走を代わってもろたんや」

と言いながら、彼は歩き始める。盲目のランナーの方は、見慣れない人が伴走をしてスピードアップして行ってしまう。そうか。盲目のランナーが不調だったのではなく、この伴走者が暑さでバテたのか。
(伴走者)「屋島の周りは時々走ってる?」
(幹事長)「いやあ、さっぱりですわ」
(伴走者)「ちゃんと練習せんといかんやんか」

相変わらず叱られる一方だが、でも、今日は僕の方が勝ってるぞ。

と、その時、ばったり人の途絶えた反対方向から、かすかに姿が見えるのは、お馴染みのえんじ色のランパン姿のF川選手じゃあーりませんか。これはどうしたことか。僕より5km以上は遅れているぞ。どう考えても完走できるペースではない。て言うか、既に歩いている。
(幹事長)「おーい、大丈夫かあ?」
(F川)「もう救護車で帰りますから」

さすがに、居直った彼の表情はスッキリとサバサバしている。それにしても、どうしたのか。単なる不調というレベルではない。疲れがたまっていたのか。あまりにも練習不足だったのか。1年半ぶりの中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)は大丈夫かなあ。

僕は、と言えば、足が引きつりそうになりながらも、でも意外にもっている。なんでやろ。後半の坂では、たいていは歩くのだけど、今年は坂があっても、まだまだ歩きたくはない。坂が急な塩江山岳マラソンの時なんて、最初の5km地点辺りでも、何のためらいもなく平気で歩くほど、歩くことの抵抗感が無い俺ですが、なぜか歩こうという気は起こらない。思ったより体調は悪くないのか。
あと2kmの地点に最後の坂がある。高知支部長はどんなに好調の時でも決して走らない坂だ。僕だって、調子が良いときでも歩くことが多い。だって、走っても歩いてもスピードはあまり変わらないんだもん。でも、今年は歩かなくても乗り切れる。おかしい。なんでやろ。もしかして前半をセーブしすぎたのか。確かにタイムは恐ろしく悪いけど。
この辺りになると、「触れ合い賞」を配ってくれる地元民が出没する。物欲しそうな目でさりげなく近寄っていくけど、今年は相手にしてくれない。やっぱり、もっと疲れ果てたポーズを取らなければいけないか。タイムは遅いし、疲れてはいるものの、今年は暑いもんだから、僕以上に疲れて遅いランナーがいっぱいいるからなあ。そう言えば今日は救急車が大活躍で、たぶん10人は救出されたと思う。倒れている人も目撃したし。
僕は完走だけが目標だったので、最後までスパートすることもなく淡々と走り続け、ゴールする。タイムはすごく悪い。でも、当初の目標の完走は達成できたので、なんとなく満足。

そのままタダのソーメンを食いまくる。今朝はあんまり食べなかったので、レースの途中からおなかが空いてたまらなかったのだ。冷たいソーメンがとってもうまい。過去の経験から言うと、ソーメンを美味しく食べられるっていうことは、余力を残しているって事だ。本当に体力を使い切った時は、ソーメンを食べる元気も無くなる。つまり、今年は用心しすぎてペースをセーブし過ぎたって事だ。思い起こせば、一昨年のレースも不完全燃焼で少し後悔したなあ。
ソーメンを食い散らかしてから、やっとメンバーの所へ戻る。早々に帰ってきた竹葉選手は既にビールを飲みまくっている。それから、姿が見えなくて心配していた中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)は、なんと意外にも好タイムで早々とゴールしていた。タイガーや増田選手と同じようなタイムで、僕より圧倒的に早かったらしい。げげっ。信じられない。1年半ぶりとは思えない。
(幹事長)「まさか、お前、途中で引き返したりせんかった?」
(中山)「途中の藪の中でオシッコして、そのまま逆方向に戻ってきました。って、嘘ですよ!」
(幹事長)「ここ数年、負けたことはなかったのに、そんなに早いなんておかしいなあ」
(中山)「僕は本来は早いんですよ。最近は体調が悪くて遅かったけど、実力はこんなもんですよ」

21世紀最初のレースを快調に飛ばして奇跡を復活を遂げた中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)であった。
(中山)「でも、実は、とっても悔しいんですよ。
     あと14秒で2時間を切っていたのに、タイムが良く分からず油断しちゃったんですよ」

なんと、彼は、高松競輪の安物の景品時計をしていたために秒単位のタイムが分からず、2時間を切っていると勘違いしてスパートを怠り、あと少しのところで2時間を切れなかったのだ。
(佐竹)「やっぱりストップウォッチ機能は必要ですねっ!」
って言いながら佐竹選手が自慢げに見せるデジタルウォッチは、たった千円の安物です。
(幹事長)「家を新築しようかという奴が、えらい安物してるなあ」
(佐竹)「そう言う幹事長の時計は高いんですか?」
(幹事長)「えっと、これは、その、昔、中国から来たお客さんに渡したお土産の残り物で・・・」

今なら、こなな安物のデジタルウォッチお土産に渡したら、さすがに中国人も怒るやろなあ。

かなり早かったタイガーと増田選手はかろうじて2時間を切るくらいのペースだったようだ。
(幹事長)「あれ?もっと早いと思ったけど、中山とあんまり変わらないなあ」
(増田)「途中、歩いたりしましたからね」
(幹事長)「それにしても僕のタイムは悪いなあ。2月の丸亀は結構良いタイムやったけど、このレースは暑いし坂があるし、
     自分では絶対に2時間は切れないと思うなあ。
     もっと坂がきつい秋のタートルマラソンは2時間切れるんやけど不思議やなあ」
(佐竹)「僕は1時間32分でした」
(幹事長)「平坦な丸亀とあんまり変わらないなあ」
(佐竹)「僕、坂は気になりませんから」

なんでなんかなあ。

(まあまあの結果を残した増田選手とブラック・タイガー)

と、ふと見ると、なんと、F川も既に帰還している。
(幹事長)「あれっ?どしたん?」
(F川)「予定通り車で帰ってきました」
(幹事長)「でもまだ制限時間は終わってないやろ?」
(F川)「うまいこと救護車がいたので乗せてもらいました」

そんな時、ようやく高知支部長が帰ってくる。2回目の折り返しの時に比べて、えらく遅れている。
(幹事長)「いつの間に、そんなに遅れたん?」
(宮武)「あの折り返しから後は歩きまくりでしたから」

そうだったのか。彼の足音がプレッシャーだったのだが、僕の思いこみだったのか。ま、しかし、彼の存在が無かったら、僕も歩いたかもしれない。
(幹事長)「僕はなんと、今日は全然歩かなかったぞ」
(宮武)「私は歩きまくりです」
(中山)「僕も歩きまくりましたよ」
(幹事長)「えっ?それやのに、その好タイム?」
(中山)「途中まで増田くんより早かったんですよ。その後、歩いて抜かれたけど」

なんと、中山選手(元ダイエー、現ジュビロ)はそんなにハイペースだったのか。
(F川)「僕も歩いたのは、たった1回だけですよ
(幹事長)「なんとかーっ!?ほんだら、中盤の5kmは、一度も走らずに延々と歩いたんかっ?」

あの長い距離を歩くのも、結構、辛いものがあるぞ。さすがはF川。

なんやかや言っても、やはり走り終わった後は満足感が溢れ、なんとなく楽しい。これがあるから、嫌々ながらも、みんな懲りずに参加するんやなあ。
でも、もう疲労の極致。
(増田)「明日は休暇を取りますから」
(竹葉)「えっ?そんな話は聞いてないぞ!」
(増田)「今、言いました」
増田選手は、上司の竹葉選手に一方的に休暇宣言をしたのだった。


          


佐竹選手 衝撃の新聞デビュー !!

レースの翌日、エース佐竹選手が、何気ないそぶりで私の席にやってきて、さり気なく四国新聞を机の上に投げ出した。
(佐竹)「いやあ、すんません。私だけ新聞に出ちゃいましたよ」
(幹事長)「な、なぬっ!?お前だけかっ!?」
(佐竹)「やっぱり絵になりますからね、ぼく。」
(幹事長)「単に、前の方からスタートしただけやんかあっ!」
てことで、このたび、めでたく佐竹選手も新聞デビューを飾りました。よかったね。

(ウォール・ストリート・ジャーナル紙に掲載された佐竹選手)

思い起こせば、我がペンギンズの新聞デビューの歴史は深く長い。
1997年のオリーブマラソンにおいて読売新聞香川版の白黒写真でアイドルF川がデビューしたのをかわぎりに、1999年のオリーブマラソンでは私と中山選手がスポーツ報知のカラー写真でなんと全国デビューしてしまった。同じ1999年の屋島一周マラソンでは四国新聞の白黒写真でF川、わたくし、中山に加え、増田選手、宮岡選手もデビューした
このように、全国デビューも含め華々しくマスコミ界を賑わせてきたペンギンズの歴史に、今回、新たな1ページが加わったのは喜ばしい限りじゃ。


                


さて、暑い季節になりましたので、次のペンギンズ公式レースは秋の塩江マラソンです。これを機会にペンギンズに参加したい人は、どんどん申し込んでね。あなたもヒーローになれるよ。
(増田)「それにしても、ほんとに活動が乏しいクラブですね」
(幹事長)「暑い時に走ると体に悪いしな。暑い時はビールに限るぞ」


〜おしまい〜




戦績のメニューへ