走れメロス マラソン大会

〜 快晴の津軽を走る 〜



2009年6月21日(日)、青森県五所川原市で走れメロスマラソンなる大会が開催された。

(石材店)「また珍しい大会ですねえ」
(幹事長)「ピッグ増田に誘われてな」


今年から私は青森県内に異動になったのだが、同じ職場の
ピッグ増田選手がゴールデンウィーク明けに誘いに来たのだ。

(ピッグ)「ねえねえ幹事長、走れメロスマラソンっていう大会に出ませんか?」
(幹事長)「うわ、すごい名前の大会。どういう趣向のレースなん?」
(ピッグ)「太宰治の出身地で開催するんですよ。彼の作品から名前を取ったってわけですね」
(幹事長)「走れメロスっていうくらいだから、友人とペアで出て、一人がゴールで待ってるのか?
       ゴールしたら抱き合うのか?それで誘いに来たんか?気色悪いぞ。どうせなら女子とペアを組みたいぞ」
(ピッグ)「そこまで趣向を凝らせば面白いでしょうけど、そういう趣向はなくて、普通のマラソン大会みたいですね」

ピッグ増田は家族で引っ越してきているから、青森県内の色んなレースを開拓しているのだ。僕は週末はたいてい高松に帰省してるから、青森のレースはなかなか出られない。5月17日の菜の花マラソンもピッグに誘われたんだけど、高松に帰省するために出られなかった。

(幹事長)「たまたま、その日に限って帰省の予定が入ってないなあ。どうしようかなあ」
(ピッグ)「それは、もう、絶対に出ろ、というマラソンの神様のおぼし召しですね」
(幹事長)「ペアで出たら、何かええ事あるんか?」
(ピッグ)「それは無さそうですねえ」
(幹事長)「ま、ちょっと考えとくわ」
(ピッグ)「締め切りが今日なんですよ」
(幹事長)「なんじゃ、そりゃーっ!」


てことで、有無を言わさずに、その場でインターネットで申し込みをさせられた。

(幹事長)「それって地元では由緒ある大会なんかなあ?」
(ピッグ)「よく分かんないんですけど、太宰治生誕100年を記念して開催って書いてますね」
(幹事長)「じゃあ、今年だけ?」
(ピッグ)「去年もプレ大会ってことで開催されたようですねえ。今年で2回目かな。
      コースは去年と少し変わってるみたいですけど」


マイナーなレースみたいだけど、ペンギンズの公式レースの1つである5月末の小豆島オリーブマラソンが新型インフルエンザ狂走曲に巻き込まれて中止になってしまい、欲求不満が爆発していたので、結果的に、このレースに申し込んでおいて、ほんとに良かった。これがなけりゃ、秋までレースが無いところだった。

(石材店)「四国だと6月末ともなると暑くて走れませんけど、青森だと、結構、涼しいんじゃないですか?」
(幹事長)「それがな、涼しいってもんじゃなくて、寒いのよ」


青森県は広いので、地域によって気候もかなり異なるみたいだけど、
僕が住んでいる上北地方は、なかなか青空が見えないのだ。ゴールデンウィーク前は、まだ雪が降ったりして外を走れる環境ではなかった。5月後半になると天気も良くなって、ようやく外をランニングできるようになり、これで気持ちよく練習ができるな、なんて思っていたけど、6月に入ると再び気温が低下し、ほとんど毎日、濃霧と霧雨が続いている。この地方特有のやませという現象らしい。6月になってから一回も太陽を拝んでいない。会社も寮も、暖房なしでは凍えてしまい、外なんて寒くて走る気が起きない。寒いだけじゃなくて、濃霧で周りが見えにくいから、楽しくないし。

(石材店)「なんとなく日本海側の方が気候が厳しそうなイメージですけど?」
(幹事長)「そうやろ?冬の積雪量なんかは日本海側の方が多いんだけど、気温は太平洋側の方が寒いみたいなんよ。
       北海道でも札幌より太平洋に近い釧路の方が、はるかに気温が低いだろ」


そういう状況なので、
トレーニングは相変わらず寮のトレーニング室のランニングマシーンだ。以前も書いたけど、ランニングマシーンって、ほんっとにつまんない。退屈。運動としては、道路を走ってるのと同じ効果があるとは分かっているけど、同じ場所にとどまったままピョンコピョンコと走ったフリするだけなので、全くつまらないから、精神的に参ってしまう。同じ場所でひたすら走るなんてアホみたいで、イライラしてくる。精神衛生上悪い。もともと僕らは外を走るのが楽しいから走っているのであって、その延長線上でレースにも出ているのであって、あくまでも普段のランニングが楽しいから走っているのであって、レースに出るために、こんなつまんない練習をするなんて本末転倒で、ほんと、発狂しそうになる。

(石材店)「要するにトレーニング不足の言い訳ですね」
(幹事長)「はい」


もちろん、トレーニング不足はいつものことだ。しかし、それでも、レースが近づいてきたらそれなりに走り込み、1回や2回は本番と同じ距離を練習で走ってみる。ところが今回は、そんな状況で、21kmどころか、最長でも5kmくらいしか走っていない。ちゅうことで、徳島マラソン以来、2ヶ月ぶりのレースだが、
トレーニング不足は危機的状況だ。

ま、しかし、練習不足ではあるが、新しい土地でのレースとあって、参加すること自体は楽しみだ。毎年出ているレースと違ってワクワク感がある。なので、タイムの事はあまり考えず、楽しく走ることを優先する。

それから、今回、楽しみが一つ増えた。レース開催地の金木町で朗読サークルやってる
太宰雀子さんって人が応援で声を掛けてくれるかもしれないのだ。

(ピッグ)「みんなの広場に書き込みしてくれてた人ですね。本名ですかね?」
(幹事長)「絶対ちがうやろ。太宰はともかく、雀子は」


この人は、マラソン関係者じゃなくて、太宰治で検索して、このホームページにたどり着いたそうなんだけど、よくもまあ、こなな太宰治と無関係なホームページが引っかかったなあ。どういう検索エンジンなんだろ。

(幹事長)「斜陽館前で応援するって書いてくれてるんだけど、斜陽館て、知ってる?」
(ピッグ)「太宰治の生家を記念館にしてるんですよ」
(幹事長)「詳しいな。太宰治のファンなの?」
(ピッグ)「実は、人間失格どころか、走れメロスさえ読んだことないですね」
(幹事長)「人間失格は、青春の必読書やろ?走れメロスに至っては、小学校の道徳で読んだぞ。
       それなのに斜陽館に行ったのか?」
(ピッグ)「こっちに勤務してる間に青森県内の観光地は全て制覇しようと思って」
(幹事長)「その前に走れメロスくらい読んどけ」
(ピッグ)「ところで、その太宰雀子さんて、女性ですか男性ですか?」
(幹事長)「名前からは分からん。太宰治は男だけど、ファンは女性が多いからなあ。女性だといいな」


予想外のところで人との繋がりが広がっていくのは、ほんと素晴らしいな。



せっかく楽しみにしていたレースだったけど、前夜から雨模様で、当日の朝も寮を出るときは、まだ雨が降っていた。雨のレースは、もちろん嫌だけど、土砂降りでない限りは参加せねばなるまい。ちょっと憂鬱な気分で寮を出る。
ピッグとは小川原湖の道の駅で待ち合わせだ。この
小川原湖というのが、湖畔が自然のままで、とてもきれい。別荘を構えたいような所だ。霧は立ち込めているが、雨もほとんど止みかけ、気温が低めなので、レースのコンディションとしては悪くない状態になってきた。

レースの受付は8時20分までなので、余裕をもって6時に出発する。ピッグの車に乗り込み、みちのく有料道路という道路を通って山を越えて青森市に出て、そこから青森自動車道を通り、最後は津軽自動車道を通って五所川原市に着く。ほとんど高速道路だったため、とても早く、1時間半もかからなかった。ちょっと早く着きすぎで、スタートの9時まで1時間半もある。入念にウォーミングアップとかすればいいのだろうけど、僕もピッグもそういう発想はないから時間を持て余してしまい、ブラブラほっつき歩く。

このレースは、ハーフマラソン、10km、5km、3kmの4種目ある。このうち10km、5km、3kmの3種目は、いずれもスタート地点とゴール地点が同じだが、
ハーフマラソンだけはスタート地点とゴール地点が別なのだ。徳島マラソンなんかもスタート地点は徳島中央公園、ゴール地点は陸上競技場と異なっているが、大きく見れば、行きは徳島市中心部から出て吉野川北岸を西に進み、帰りは橋を渡って吉野川南岸を東に進んで徳島市中心部に戻ってくるわけだから、ま、折り返しコースのようなものだ。しかし、走れメロスマラソンのハーフマラソンは、五所川原市の中心部からスタートし、ずっと北上して金木町(今は五所川原市と合併して五所川原市内になっている)でゴールする片道切符のコースなのだ。
なんでそういうコースになっているかと言えば、五所川原市としてはスタートは市の中心部にしたいし、一方、
太宰治が生まれたのは金木町で、金木町には太宰治記念館なんかもあるため、太宰治生誕100年を記念したレースとしては、ゴール地点を金木町にするのが必然だったのだろう。ただし、五所川原の中心部と金木町は遠いので、スタートとゴールが異なるのはハーフマラソンだけで、10km、5km、3kmの3種目は金木町の小学校でスタートし、ゴールする。

で、ハーフマラソンの開会式は、五所川原の中心に近い
克雪ドームという施設で行われる。

(幹事長)「何なん?克雪ドームって?結構、でかいよ」
(ピッグ)「克雪っていうくらいだから、冬の雪よけなんでしょうねえ」
(幹事長)「体育館かなあ」

スタート会場の克雪ドーム前のピッグ(左)と私(右)


ところが、中に入ってびっくり。中は土なのだ。冬の間に野球をする施設らしい。客席はほとんど無いから、ドーム球場とまでは言えないけど、練習するには不自由はないだろう。

(ピッグ)「すごいですねえ。こんな所で野球がやれるんですねえ」
(幹事長)「どうりで最近、高校野球で東北勢が強いはずだ」


それにしても克雪だなんて、雪に対する苦しみが滲み出ている。四国なんかだと、滅多に雪なんて降らないから、雪が降ったら喜ぶけど、こっちはよっぽど雪に苦労しているのかなあ。

今日のレースには、ゲストに福士加代子が来ている。彼女は、この辺りの出身なのだ。そう言えば、何年か前の実業団女子駅伝で雪の岐阜を走ったとき、「こんな雪は青森の雪に比べたら何でもないっすよ」なんて言ってたなあ。根性あるんだろうなあ。

ブラブラしているうちに天気は薄曇りとなり、もう雨の心配は無さそうだ

(ピッグ)「寒くもないし暑くもないし、風も無いし、絶好のコンディションになりましたね」
(幹事長)「ちょっとまずいな」
(ピッグ)「何がまずいんですか」
(幹事長)「言い訳できんがな」


我々はタイムが悪かったとき、やれ暑かっただの、やれ風が強かっただの、色んな言い訳をする。でも、今日みたいに絶好のコンディションになってしまうと、もう言い訳は通用しない。練習不足が暴露されるだけだ。
ちょっと気合を入れるために、ほんの少しだけウォーミングアップで走る。200mくらい走ってやめる。

(ピッグ)「えらく短いですねえ」
(幹事長)「体がな、動かんのや」


体が妙に死んだように硬い。滑らかな走りができない。めっちゃ遅い。いくらなんでも、遅すぎる。

(ピッグ)「スタートして走りながらアップしたら、ええやないですか」
(幹事長)「そやな。目標はどうする?いくら練習不足とは言え、坂が無いフラットなコースだから、2時間は切らんと恥ずかしいわな」
(ピッグ)「こないだの菜の花マラソンも、ほとんど練習しないまま走った割には、最後まで快調に走れたから、
      今日も気楽に完走しましょう」


何の緊張感も無いまま、スタート時間が近づいてきたので、スタート地点に集まる。このレースの参加者は全種目合わせて1563人で、うちハーフマラソンの参加者は752人だ。これくらいだと、そんなに混雑はしない。スタートのピストルに合わせて動き始めるが、スタート地点を通過するまでのロスタイムは30秒くらいだ。
ピッグの言うとおり、最初は体を慣らし運転するために、かなりゆっくり目に走る。克雪ドームの隣接地には、巨大なショッピングセンターが広がっており、そこを抜けて旧市街地をくねくねと走る。

最初の1kmのタイムを見ると、想像以上に遅い。いくらなんでも、遅すぎる。最初からこの遅さでは、2時間さえ危うい。抑え気味とは言え、そんなに極端にゆっくり走っているつもりはないんだけど、極端に遅い。さすがに、ちょっと焦ってペースを上げる。なんとなく雲が薄くなって、涼しかったのが、むしろ少し暑くなり始める。

しばらく行くと、立ねぶたの館という建物がある。

(幹事長)「何あれ?」
(ピッグ)「五所川原の立ねぶた祭で使う巨大なねぶたを展示してるんですよ」
(幹事長)「ほんと、観光施設に詳しいな」


青森はねぶた祭が有名で、県内各地で繰り広げられるが、五所川原のねぶたは青森市のねぶたに比べて背が高く、大きいものだと高さ20mくらいあるらしい。それを展示している立ねぶたの館も、当然ながら、かなり大きい建物だ。

この頃から、雲がどんどん無くなり、お日様が出てくる。さすがに、直射日光を浴びると暑い。

(ピッグ)「あっ、メロスがいますよ」

ピッグが指差す方を見ると、走れメロスの格好をしたランナーがいた。普通、仮装ランナーって、暑かったり走りにくかったりしてハンディがあるけど、走れメロスの格好って、白い布を体に巻き付けたような格好だから、今日みたいな暑い日は、むしろ涼しくていいかも。

しばらく行くと、市街地を抜けて田園地帯に入る。多少、ペースを上げたとは言え、1kmごとのタイムを確認すると決して早いわけではないんだけど、なんとなく無理をしている感じ。暑くなってきたこともあり、序盤から無理すると終盤でバテる。ピッグに「先に行っていいよ」と言おうとしたとき、ふと気が付くと、ピッグ増田のお株を奪うようなブタの衣装を来たランナーが目の前を走っている。これは暑そうだ。それから、頭だけ馬を被ったランナーが僕らを抜こうとする。いくらなんでも、こなな連中に負けるのは許されない。て事で、ちょっと無理してペースを上げる。すると、それまで一緒に走っていたピッグが着いてこない。ピッグもバテ気味だったのか。

多少、無理してペースを上げたけど、硬かった体もだんだんほぐれてきて、良い感じになってきた頃に、最初の給水所が見えてきた。嬉しいことに、紙コップじゃなくて、小さなペットボトルの給水だ。これだと水をこぼしたり、むせたりすることなく水が飲める。暑くなってきたこともあり、しばらくペットボトルを持ったまま走る。

最初は雨を心配していたのに、雲はすっかり無くなり、見事な快晴となる。いくら北国とはいえ、この時期の直射日光は日差しが強く、ジリジリと焼けていく感じ。そのうち後ろから救急車のサイレンが聞こえてきて、僕らを追い抜いていった。誰か倒れたのかなあ、なんて思いながらしばらく走ると、救急車を停めた横で救急隊員が倒れこんだランナーの心臓マッサージをしているのが見えた。さらにしばらく走ると、今度は大会関係者が道ばたに倒れこんだランナーを一生懸命に介抱しながら、救急車を呼んでいた。二人とも僕よりはだいぶ前を走っていたし、見るからにベテランっぽいランナーだったけど、それでも倒れたりするんだなあ。
確かに、ここまで暑くなると、倒れるランナーが出ても不思議はない。ただし、暑いとは言っても、四国のレースのようなアホみたいな暑さではない。四国だと、7月の四国カルストマラソンや汗見川マラソンは論外としても、5月のオリーブマラソンはもちろん、4月の徳島マラソンだって、天気が良ければもっと暑い。それに比べれば、今日の暑さは、そんなに大したことはない。こちとら寒さにゃ弱いが暑さにゃ強い四国のランナーだ。これくらいの暑さで参っていては面目が立たない。なーんて気合いを入れたせいか、1kmごとのタイムも意外にペースダウンしない。

コースは、田んぼの真ん中の立派な道を通る。こめ米ロードという名前らしい。四国と違って田んぼが広々としている。周りを見渡すと、岩木山なんかが見えるし、本当に気持ちの良い景色だ。暑さは厳しいけど、やっぱり晴れた方が気持ちが良い。
終盤、多少のアップダウンはあったけど、大した坂ではない。なんとかペースダウンすることもなく、あと3kmになったので、最後の余力を使い切るために、ペースを上げてスパートをかける。が、さすがに、そなな余力は残ってなかったらしく、すぐに元に戻す。それでもなんとかペースをキープできたので、終盤になって歩いたりガクンとペースダウンしたランナーを次々と追い抜いていくのが気持ち良い。

最後に金木町の中心街に入ったところで、津軽三味線の音が聞こえてきた。と思ったら、沿道から「幹事長〜っ!」って声がする。突然のことに、「えっ!?」っと思って振り返ると、例の太宰雀子さん(と思われる)が手を振って応援してくれている。うわお。僕も手を振り返したんだけど、心の準備ができてなかったので、冷静に考えることができず、そのままあたふたと走り去ってしまった。

(ピッグ)「心の準備って、最初から分かってたじゃないですか。斜陽館前で応援してくれてるって」
(幹事長)「その斜陽館がどこにあるのか知らなかったもので」
(ピッグ)「で、太宰雀子さんて、女性でしたか、それとも男性でした?」
(幹事長)「きれいなお姉さんでしたっ!」


見ず知らずの僕を、長時間、待って応援してくれたのが、とっても嬉しい。て言うか、ほんと、恐縮ものです。ゼッケン番号くらいしか手がかりがないから、じっと目を凝らして探し続けていてくれたはず。よく見つけてくれたなあ、と感激しました。どうせ一刻を争うようなタイムじゃないんだから、立ち止まってきちんと挨拶すべきでした。

(ピッグ)「2時間も炎天下で待ってくれて、腕が真っ赤っかに日焼けしたって書いてるじゃないですか!
      もっと気合いを入れて早く走ってください!」」
(幹事長)「しかも、
一瞬しか顔を見れなかった。あーん、あーん」
(ピッグ)「もったいないというか、アホですね」


太宰雀子さん、ほんとにごめんなさい。

斜陽館を過ぎると、もうゴールの金木小学校はすぐだ。最後までペースが落ちなかった割には、最後までスパートすることもできなかった。なんとか最低ラインの2時間は切れたけど、平凡というか、坂の無いフラットなコースの割には遅かった。

(幹事長)「やっぱり練習不足は隠せないのう」
(石材店)「最近の、そのタイムの悪さは、単に練習不足というより、気合いの無さが原因でしょ」


ただし、最後までペースが落ちなかったのは自分でも評価できると思う。1kmごとのタイムを見ると、最初から最後まで、ほとんど差が無いのだ。これは、僕としてはすごい事だ。

(幹事長)「見事なペース配分じゃな」
(石材店)「要するに最初から遅かったってことじゃないですか!」
(幹事長)「はやる気持ちを抑えてスローペースでスタートするのは強い精神力が必要じゃからな」
(石材店)「そんな風に自分に言い訳してますが、単に最初から楽してるだけですね」


4月の徳島マラソンも、フルマラソンだったけど、最後まであんまりペースが落ちなかった。最近はスピードは多少落ちたが、ペース配分がうまくなったと言うことか。足も全然痛くならないし。

(石材店)「足が痛くないって事は、全然、頑張ってないってことですよ。ペースを抑えすぎですよ。
       もうちょっと向上心を持って頑張ってください!」


炎天下を走ってるときは暑かったけど、さすがは北国、木陰に入って休んでいると、とても涼しい。四国だと、暑い時はどこへ行っても暑いけど、青森は湿度が低くて、陰に入ると本当に爽やかで涼しい。

しばらくゴール付近を見ながらピッグの帰りを待つが、いつまで経っても姿が見えない。どしたんかなあ、なんて思って待っていると、ゴールして倒れ込んでしまったランナーがいる。もうピクリとも動かない。係員が大慌てで「会場に医師か看護師はいませんかあっ!」なんて場内放送している。もしかして、ピッグもどこかで倒れているかも。いや、灼熱の四国カルストマラソンを一緒に走った四国のランナーだから、それはないだろう。もしかして、逆に、どこかで抜き返されたのに気づかなかったのかもしれないと思い、預けていた荷物を受け取って携帯電話に掛けてみるが、出ない。しかし、それにしても遅い。遅すぎる。おかしいなあ、なんて思っていると、めっちゃ遅れてゴールしてきた

(幹事長)「どしたん。異常に遅いで」
(ピッグ)「暑くてバテバテですぅ」
(幹事長)「それにしても遅すぎやで。歩いた?」
(ピッグ)「いえ、歩きはしなかったですねえ」
(幹事長)「歩かないで、この遅さ?」
(ピッグ)「給水所なんかでは完全に止まってましたけどね」

なんと、一昨年の八戸うみねこマラソンより40分も遅い。ピッグは、調子が良いときは僕は絶対に勝てないんだけど、調子が悪いときは極端だ。

(幹事長)「もうちょっと頑張って欲しいよなあ」
(石材店)「その言葉は、あなたに返しましょう」

ゴールの後は、しじみ汁のサービスがある。暑い時に熱いしじみ汁って、どうかと思うかもしれないけど、木陰の涼しいところで頂くと、疲れた体に暖かい汁が美味しいのよ。
後から知った事だけど、気温は29℃もあったらしい。その割には、参加者1563人中、完走者が1527人とのことなので、落伍者は少なかったのね。倒れ込んでいる人は目立ったけど、逆に言えば、倒れない限り、リタイアはしないって事で、みなさん根性あるんだなあ。

せっかくなので、前を走りすぎただけの斜陽館に行ってみたかった。斜陽館って、名前からすると、落ちぶれた貧相な家を想像してたんだけど、どう見ても民家とは思えない立派な大邸宅だった。太宰治って、大金持ちの子供だったのね。それから、すぐ近くの芦野公園にも行ってみたかった。でも、スタート地点に送り返してくれるバスが非常に限られていて、そんな余裕もなく帰ることとなった。

(幹事長)「ちょっとバス少なすぎじゃない?せっかく来たのに、もったいないなあ」
(ピッグ)「もっとゆっくり観光で来るべきですね」

克雪ドームまで帰り、タダ券をもらった近くの温泉に入って汗を流し、ラーメン食べて汗かいて帰途についた。タイムは良くなかったけど、マイペースで最後まで走れた充実感があり、快晴で景色がきれいで気持ちよかったし、太宰雀子さんに声援をもらったし、幸せな気分。やっぱりレースに出ると気持ち良いなあ。
なんて満足感に浸りながら高速道路をひたすら走って三沢に戻ってくると、なんと!やませの濃霧で、真っ白だ!朝と一緒やないの!まさか、今日も一日中、霧が晴れなかったのか?気温も低く、Tシャツ短パン姿が寒い。同じ県内で、ここまで気候が違うとは!ほんと、もう、びっくり。



(幹事長)「いやあ、楽しかったなあ。青森のレースは、夏でも気持ち良いかなあ」
(ピッグ)「いや、それは甘いですね。去年、7月の青森マラソンに出ましたけど、あまりの暑さに死にました」
(幹事長)「さすがに7月のマラソンは暑いのか。
       じゃ、次回は、予定通り、7月末の十和田湖一周50kmウォーキングに参加するぞ!」


〜おしまい〜




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