第11回 国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会
今年も四電ペンギンズの初レースとして、2010年1月10日(日)、第11回国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会が開催された。
毎年、このレースと共に四電ペンギンズの活動はスタートする。一人が走る距離は長くないし、タイムを競うわけでもなく、純粋に楽しさだけを追求して参加するイベントで、まさに「楽しければいい」という四電ペンギンズの趣旨に沿ったレースと言えよう。
てことで、ペンギンズの動物チームは第1回から11回連続出場し、人気ナンバーワンの有名チームとなった。11回連続出場チームなんて、他にはおるまい。
(支部長)「いや、おるでしょう」
しかも、その中で、11回連続で走っているのは、私、幹事長だけだ。11回連続出場選手なんて、他にはおるまい。
(支部長)「いや、だから、おるでしょう。きっと」
うちのメンバーは、みんなサラリーマンだから転勤はつきもので、遠方に異動になったメンバーは、なかなか出られない。第1回大会に出た創生期メンバー5人のうち、現在、遠方に異動になって出られないのが2人、遠方から帰ってきたんだけど、体が元に戻らずレースに復帰してないのが2人。しかし、私だけはどこへ行っても、必ず出る。どんな遠方に行っても、必ず帰ってくるのだ。
(幹事長)「て事で、今回もわざわざ青森から駆けつけたのよ〜」
(支部長)「確かに、その根性は褒めてあげましょう」
(石材店)「創生期のメンバーって、幹事長以外はおらんようになったんですねえ。しみじみ」
このレースは、真剣に走るチームもいるけど、うちの動物チームは、あくまでもお遊びというかお祭り気分で参加している。しかし、だからといって軽く見ているかと言うと、それは違って、むしろ年間のレースの中で最も重要視しているレースだ。なぜなら、普通のマラソンレースは、みんなで参加すると言っても、一緒に行くというだけで、戦うのは個人々々の孤独なレースだ。しかし、この動物リレーは、みんなが力を合わせて戦うレースであり、自分さえ良ければいいというものでもないし、また自分が悪ければチームの足を引っ張るという意味で各人が責任を負うレースであり、日ごろバラバラなメンバーの意識が一体化するレースだからだ。
(石材店)「ほんまですかあ?どう見ても、みんなチームの事なんか考えずに、
自分勝手にバラバラに走ってるだけですやんか」
(幹事長)「ま、ちょっときれい事を言ってみました」
このレースを重要視する本当の理由は、女子部員を誘いやすいからだ。「楽しい動物チームに君も参加しよう!」てな甘い言葉で女子部員を誘いやすいレースなのだ。一周2kmというのも初心者に安心感を与えるし。
ただ、最近、成人の日が1月の第2月曜になってしまい、このレースは、その3連休のど真ん中に開催されるようになったため、若い女子部員の参加率が低迷している。我々おっさんにとってはレース翌日が休みなのは嬉しいけど、若い女子部員は3連休でスキー旅行なんかに行ってしまうのだ。
(支部長)「で、今年参加する女子部員は?」
(幹事長)「ゾウさんとライオンさんだあ!」
ゾウさんは第9回大会から3年連続の出場で、その間、オリーブマラソン、庵治マラソン、タートルマラソンなどにも出場し、今や、ペンギンズに欠かすことの出来ない主力メンバーとなりつつある。
一方、ライオンさんは3年前の第8回大会でデビューして以来の参加だ。マラソン大会に出るのも、一昨年の庵治マラソン以来だから、1年3ヶ月ぶりだ。もう引退しちゃうんじゃないかと心配していただけに、喜ばしい限りだ。しかも、今回は新人部員を引き連れての参加だ。
(幹事長)「誰つれてくるん?」
(ライオン)「トリ君で〜す」
どんなトリが現れるか楽しみである。
レースの朝、高松組は我が家が集合場所となった。まずはペンギン君が人間の格好で現れた。
(カッパ)「なんでペンギンの格好でないん?」
(ペンギン)「近所の目が気になって」
当然ながら、私は最初からカッパだ。カッパ王だ!
次に支部長がライオンさんとトリ君を乗せてやってきた。支部長は、この時点で、まだ何の格好をするか決まっていないため人間の格好だ。ここ数年、レッサ−パンダで出てたんだけど、レッサ−パンダは尻尾が大きくて走りにくいとの事で、他の動物に変身したがっているのだ。
ライオンさんはマイライオンを所有してたんだけど、今、誰が預かっているのかよく分かんないため、とりあえず人間の格好だ。
ところが、新人のトリ君だけは、いきなりニワトリの格好だあ!見上げた根性だ!
(カッパ)「そのトリ、ちょっと古そうやけど、誰に借りたん?」
(トリ)「いや、僕のです」
(カッパ)「え?なんで、そんなん持ってるん?」
(トリ)「パジャマです」
げげっ、トリ君は、トリをパジャマにして寝ているのか。あんまり想像したくないぞ。
(カッパ)「トリ君は、走った経験は?」
(トリ)「まったく無いっす」
(カッパ)「何かスポーツは?」
(トリ)「ここんとこ、まったくやってないっす」
(カッパ)「学生の時は?」
(トリ)「えと、弓道やってました」
ううむ。なかなか異色な新人だ。
みんな揃ったところで、5人でペンギン君のミニバンに乗り込み、満濃公園に出発する。
行きの車は順調に進み、満濃公園の入り口でゾウさんと合流。
会場に入っていくと、妙に人が多い。参加チームが妙に多いのだ。どのチームも、テントを張ったりシートを広げたりして場所を確保するんだけど、あまりにチームが多くて溢れている。一体、これはどうしたことだ?パンフレットを見ると、例年、200数十チームくらいだったと思うのに、今年は400近いチーム数だ。なんで、こんなに一気に急増したんだろう。
(カッパ)「これも、ひとえに我が四電ペンギンズ動物チームの人気のおかげだろうなあ」
(支部長)「まず違うと思います。それより、妙に県外チームが多いですよ」
(カッパ)「こら高速道路料金値下げの影響かも」
去年の春から休日は高速道路も瀬戸大橋も1000円になったから、四国外から安く来られるようになった。そのせいで参加チームが急増したのかもしれない。ま、少なくなるより増えたほうが賑やかで楽しい。
なんとかシートを広げて場所を確保して、手持ちの着ぐるみを持ち寄る。ライオンの着ぐるみも発掘されたので、ライオンさんは無事ライオンに変身。
ペンギン君は2色保有しているペンギンのうち、黒っぽいペンギンに変身した。
支部長は、レッサ−パンダを頑固に拒み、なんと今年はトラに変身した。このトラは、3年前にデビューし、そのまま消えていったいとはん所有のトラで、一昨年、去年と矢野選手が着ていたが、今年は矢野選手不参加のため支部長がゲットしたのだ。これで、とりあえず先発の6匹が揃った。
実は、このほか、去年から動物チームに加わったタヌキさんも参加予定だったのだが、なんと前夜になって体調不良でダウンしてしまったとの連絡が入った。
(カッパ)「どないしたん?」
(タヌキ)「あかんですわ。立ってられんくらい」
(カッパ)「タヌキやのに、インフルエンザになるん?」
(タヌキ)「原因不明です」
今にも死にそうな声で、急遽、参加取りやめとなった。去年、1周8分11秒という快記録を出したタヌキの欠場は、非常に残念!
それから高速ランナー馬は、午前中、用事があって、遅れて参加する予定だ。つまり、矢野選手を入れて、昨年出走したメンバーのうち上位3人が先発メンバーにいないという、かなり厳しい先発陣となった。ま、いーか。
余裕の笑顔を見せつつ、実は手薄な先発メンバー
今日の天候は、寒くなく風も無く、非常に良いコンディション。日頃、青森の寒さと戦っている僕にとっては、四国の冬は、天国のようだ。
(トラ)「て言うか、走ったら暑くなりまっせ」
確かに。去年はかなり寒かったから動物チームには有利だったけど、今年は暑くなって、ハンディになるかも。
(カッパ)「で、今年の目標は?」
(トラ)「やっぱり8分台でしょう」
先発からはずれた上位3人は、コンスタントに8分台で走るけど、ライバル関係にあるカッパとトラは、調子が良ければ、かろうじて8分台が出るかどうかっていうレベルだ。なので、取りあえず目標は8分台だが、真の目標は、もちろん、お互いの勝負だ。
(カッパ)「ペンギン君は?」
(ペンギン)「僕も今年は8分台が出れば万々歳ですね」
かつて8分20秒という快足を誇ったペンギン君としては控えめな目標だが、最近、ほとんど走ってないので、現実的な目標だろう。ペンギン君は去年のこのレース以来「1年間で2kmしか走ってない」とのことだが、確か、去年も全く同じ事を言ってたような気がする。てことは、ペンギン君は2年続けて、1年間に2kmしか練習してないってことか。あり得ないほどの練習量だ。
ちなみに、去年は、カッパ、トラ、ペンギンの3匹とも、9分20〜30秒というだらしないタイムだった。今年は、ちったぁ頑張らねば。
このレースは、なだらかな公園の丘陵地の1周2kmのコースを全部で21周してフルマラソンの42.195kmを走るというレースだ。2kmだから8分台くらい軽く出そうな気もするけど、結構、坂がきつくて意外にシビアなコースだ。チームメンバーの誰がどこで何周走っても自由なので、走る順番がキーポイントとなる。
(トリ)「1周2kmですかあ。僕にとっては長距離ですねえ」
(カッパ)「そんなことないって。2kmなんて軽い軽い。短かすぎて物足りないくらいだよ」
もちろん、これは真っ赤な嘘で、我々のようなゆったりランナーにとっては、距離は短ければ短いほど、きつい。距離が長くなれば、足はだんだん重くなるけど、心臓が苦しくなるってことはない。心臓が苦しくなるようなハイペースで走ったら足が動かなくなるからだ。でも2kmという距離は、まさに短距離であり、みんな最初から飛ばしに飛ばすから、もう心臓が爆発する。おまけに後半には大きな坂が待ち受けている。非常にきついのだ。
そこで、初出場のトリ君や、久しぶりのレースとなるライオンさんのために、軽く1周ウォーミングアップすることにした。トラさんが最近読んだ小出監督の本によると「フルマラソンを走る場合、一般のランナーはウォーミングアップする必要などない。最初の2〜3kmをウォーミングアップ代わりに走ればよい」という、我々が常に実践している戦法にお墨付きを与えてくれるような嬉しい記述があったが、それは長い距離のレースの場合であって、2kmなんていう短距離レースの場合は、ウォーミングアップ代わりに走っている間に終ってしまうので、やはり軽くアップしていく必要があるだろう。しかも、このコースは短いくせにアップダウンがきつく、どこに坂があるのか把握しておかなければ精神的にきついのだ。
軽く軽〜く走ったつもりだったんだけど、後半の坂が思いのほかきつくて1.5kmで足が疲れてしまい、ライオンさんと一緒に早期リタイヤする。後の4匹は一応、完走した。
(カッパ)「やっぱり、このコースは侮れんなあ」
(トリ)「最初に言ってた事と違いますやん!」
いよいよ走る順番を決めねばならない。
(カッパ)「まずは栄誉ある一番バッターの大役をトリ君に贈呈したいと思うが」
(トリ)「え?今、何とおっしゃいました?」
(カッパ)「トリ君は鳥目で耳が聞こえにくいかもしれんが、続く2番手は同じ鳥類のペンギン君で攻めたいと思う」
(ペンギン)「なんの権限で勝手に決めてるんですか!?」
1番、2番がスムースに決まった後は、公平にジャンケンで決める。3番はゾウ、4番はライオン、5番はカッパ、そして最後の6番がトラとなった。この順番で2回走った頃には、馬が登場するだろうから、後は全部馬に走ってもらって結構。
(ペンギン)「そら無理でしょう」
いよいよスタート時間となり、右も左も分からないままのトリ君をスタート地点まで引きずっていき、ランナーの群れに放り込む。猛獣の群れに放り込まれた餌のような状態だが、トサカがあるから分かりやすい。
(カッパ)「後先考えずに、何でもええから最初はトップを走れ。そしたらテレビに映るぞ」
(トリ)「え?は、はあ。そうなんすか」
しかし、スタートの合図と同時に猛然と飛び出すランナー達に圧倒されて、トリ君は控えめなスタートを切ったため、テレビには映らなかった。
(ペンギン)「鳥類は足が短くて走りにくいんですよ」
いきなりトップバッターを任されて戸惑いつつも、トリ君はヒヨコを連れて、なんとか無事、1周走って生還した。
次は、鳥続きでペンギン君だ。年間で、このレース本番以外はほとんど走っていないのだが、さすがに過去の蓄積があるため、そこそこのタイムで戻ってきた。
次はゾウだ。ゾウは過去に、あと2秒というところで10分の壁を破れなかった悔しい思い出がある。
(ゾウ)「今年こそは10分を切りますわ!パオーン」
と駆け出したのだが、今年も10分を切れなかった。
(カッパ)「やっぱり、その耳が邪魔やな」
(ゾウ)「でも、この耳が無いとネズミとかに間違われるんですよう」
ゾウの次は、久々のレースとなったライオンだ。久々の割には余裕の表情で駆け出していった。そして、余裕のタイムで帰ってきた。
(カッパ)「余裕かましすぎじゃー!」
そして、いよいよ次はカッパ王の登場だ。ライオンからタスキを受け取ると、軽く走り出す。以前は、2kmの短距離なので最初から何も考えずに猛然と飛び出していたが、最近は、フルマラソンにしてもハーフマラソンにしても最初を抑え目で走った方が結果が良いということが分かってきたので、2kmの短距離とは言え、今日も最初は抑え目のペースでスタートしたのだ。スタート直後から、いつものように「あ、カッパだカッパだ」とか「カッパさん頑張って〜」とかいった声援がかかる。もちろん、子供や女性の声援には笑顔で答える。
(ペンギン)「男は無視ですかっ!」
前半の1kmは余裕を持って走ったため、タイムは悪いが、後半が勝負だ。と思ったけど、しかし、抑え目でスタートしても、やはり後半の長い上りはきつい。どうしても足が重くなってペースダウンしてしまう。あれれ、作戦は失敗だったかも。目標の8分台は難しくなってきた。しかし、まだ最後のスパートで一気に取り戻せる可能性はある。そう思ってギアを入れ替え、余力を振り絞ってペースアップする。これでなんとか8分台が見えてきたか、と思ったとたん、「カッパさーん、ピースピース」なんて女の子達から声がかかったので、条件反射的にそっちを向いて笑顔でピースなんかしてたら、ペースダウンしてしまった。「いかんいかん」と思いつつ頑張ってトラにタスキを渡したが、タイムは9分1秒。ひえ〜。あと僅か1秒で8分台を出せなかった。悔しいーっ。あそこでピースしなかったらギリギリでセーフだったのに。
(ライオン)「でも、うちのチームの存在価値はタイムじゃなくて愛嬌ですから、いいんじゃないですか」
(カッパ)「ま、そやな。マジなレースでもないし」
最後はトラだ。トラの前身であるレッサ−パンダは、毎年、カッパといい勝負をしながらも、決してカッパより早かったことはない。なぜなら、このコースには坂があるからだ。坂の無いコースには強いが、坂があると、からっきし駄目という鉄則は揺るがないのだ。
ところが、なんと、今回、トラは8分49秒という自己ベストで帰ってきた。過去一回も9分を壁を破った事はなかったのに、いきなり素晴らしいタイムだ。
(カッパ)「がーん。どしたん、何があったん、その快足?」
(トラ)「いや、まあ、こんなもんですよ」
もちろん、こんなもんではない。トラとしては、あり得ない快記録だ。トラは去年は尻尾が大きくて走りにくいレッサ−パンダだったのが、今年はトラに変身したため、かなり走りやすくなったのかもしれない。驚いてばかりはいられない。なんとしても、2周目で頑張ってリベンジせねばカッパ王の面目丸つぶれだ。
いよいよ2周目に入る。1周目で体がほぐれて2周目の方が早くなると期待したいところだけど、たいていの場合は、どうしてもだんだん遅くなる。トリ君もゾウさんもライオンさんも、着実に少しづつ遅くなった。しかし、ペンギン君だけは1周目より2周目の方が早かった。元々実力者のペンギン君は、単に練習不足で遅くなっているだけなので、1周目が練習となって2周目が早くなったのだ。
それを見て力が入るカッパ王も、満を持して2周目でトラを上回るタイムを目指したのだが、そうはうまくいかない。1周目と違って抑えたつもりはないのに、最初の500mで既に1周目より5秒遅い。あれえ?次の500mも同じく5秒遅い。こらあかん。上り坂になる後半に必死で頑張ってみたが、次の500mもやっぱり5秒遅い。もう絶体絶命。一体、これはどうしたことか?結局、最後の500mはピースもせずに頑張ったけど、トータルで1周目より10秒以上遅かった。
(カッパ)「自分の限界を知りました。確実に遅くなっております。本日はこれにて終了いたします」
(ペンギン)「これこれ、勝手にリタイアせんとって下さい」
次のトラも2周目は一気にタイムを落とし、カッパ以上に遅かった。
(カッパ)「2周目の勝負は、私の勝利だな」
(トラ)「何を言うてるの。今日の勝負は1周目で決着ついてますがな」
(カッパ)「悔しーっ!」
悔しいけど、もう1周走っても「なんだか今日は、いけなさそうな気がする〜」てことで、リタイアの決意は固く、勝手にうどんを食べだす。
そろそろ馬が現れる予定で、現れたら取りあえず駆けつけ3周くらい走ってもらうつもりだったのだが、なかなか現れないもんだから、とりあえず、もうフラフラになってるトリ君を強引に送り出す。
そうこうしていると、ようやく馬が馬ジュニアを連れて登場だ。いやあ、良かった良かった。親馬も満を持しての登場だが、馬ジュニアは元気盛りで、親馬以上に走る気まんまんだ。
当初予定では、まずは親馬に何周か続けて走ってもらおうかと思っていたが、馬ジュニアが強烈にアピールするので、先に走らせる事にした。馬ジュニアは、まだ子供なので、作戦も何も考えず、いきなりガムシャラに走り始めた。
(カッパ)「あのペースで走ったら、あまりのしんどさに、すぐダウンするやろ。ま、それも、また、彼にとって良い経験になるやろ」
などと余裕をかましながら馬ジュニアを見ていたんだけど、なんと、ものすごいタイムで帰ってきた。8分25秒だ。ここまでで本日の最高タイムだ。
(カッパ)「あり得ん!小学校の低学年やぞ!わしらが、どんなに頑張っても絶対に無理なタイムや!」
(トラ)「子供って身が軽いから速いんかなあ」
(カッパ)「そうやな、そうやな。短距離やし。長距離やったら絶対に負けんよなあ」
などと慰めあいながら呆然とするのであった。いや、しかし、これは呆然としている場合じゃなく、強力なメンバーの突然の出現を喜ばねばならない。馬ジュニアの肩に手をかけ、親馬のいないところへ連れて行く。
(カッパ)「なあなあ、ちょっと、ぼくよ。もう1周走ってみとうないか?もっと良いタイムが出るかもしれんよ」
(馬ジュニア)「え、ま、まあ、ええけど」
(カッパ)「よし、決まりやな。お父さんには言うたらあかんで」
(親馬)「これこれ!何を勝手に、こそこそ決めよんですか!」
親馬には4周走ってもらうとして、さらに馬ジュニアが2周走れば、先発6匹のうち3匹は3周目を走らなくてもいい。
(カッパ)「さきほどのリタイア宣言どおり、本日は、これでおしまいにしたいと思います!」
(ゾウ)「わたしも!」
(ライオン)「わたしも!」
(ペンギン)「早いもの勝ちですかっ!?」
馬ジュニアの次はペンギン君が3周目を走ったが、さすがは秘めた実力者。3周目は2周目よりさらに早くなった。
そして、いよいよ親馬の登場だ。さすがは親馬。当り前のように圧倒的に速い。今日のメンバーの中では敵なしの速さだ。
その後は、馬ジュニアに2周目を走らせる。これまた軽く飛んでいくように走っていった。さすがに、休憩時間が短かったため1周目より少し遅かったが、それでも僕らには不可能な速さだった。
その後は、さらに再び親馬だ。
(ペンギン)「なんか馬一家だけで終らせようとしてません?」
(カッパ)「ま、ええやない。
ただ、今年はトラ年だから、アンカーだけはトラに走ってもらおうと思うが」
(トラ)「え?何のこってすか?」
すっかり油断していたトラは戸惑いの表情を浮かべているが、他のメンバーはすっかりくつろいでいる。
ところーが!ここでアクシデント。予想外の出来事。頑張りすぎた馬が、急遽、ダウンしてしまったのだ。
(馬)「いかん。もう走れませんわ」
(カッパ)「え?まだ2周しか走ってないで。4周走ってもらう予定やったのに。
こら緊急事態や。仕方ないから、次、ペンギン君ね」
(ペンギン)「は?意味不明?」
3周目が最後だと思って全力を使いきっていたペンギン君は、ボロボロになりながら4周目を走った。
しかし、まだ1人足りない。アンカーの前のあと一人をどうするか。ゾウとライオンは、すっかりくつろいでいる。
(トラ)「男子部員で2周しか走ってないのはカッパだけでっせ」
(カッパ)「僕はもう駄目。うどん食べちゃったんだもーん」
(トラ)「そんなん理由にならんがな」
(カッパ)「しゃあないな。じゃ、トリ君もう1周ね」
(トリ)「え?今、何とおっしゃいました?」
身も心もボロボロになったトリ君は、目が点になっているが、カッパ王の命令には逆らえず、ヨタヨタと4周目に突入した。
(カッパ)「タイムは気にせんでええからね」
(ペンギン)「暖かいお言葉。て言うか、2周しか走ってないカッパが走らんといかんでしょ!」
タイムは気にしなくてもいいと言ったものの、それにしても遅い。いつまで経っても帰ってこない。
(カッパ)「いくらなんでも、トリ君、遅くない?」
(ゾウ)「膝を痛めてたから、ちょっと心配ですね」
(カッパ)「え?膝を痛めてたん?」
(馬)「そら、いかんやないですか。カッパが走らんといかんですよ!」
(カッパ)「何を言うか。馬だって2周しか走ってないだろ!」
(馬)「カッパは嫌というほど休憩してるでしょ!」
(トラ)「これこれ、醜い争いはやめんかい」
しばらくすると、ようやく足を引きずりながら帰ってきた。膝を見ると、ゾウさんが施したテーピングが痛々しい。
(カッパ)「大丈夫?」
(トリ)「なんとか死んでます」
いよいよアンカーのトラに無事タスキが渡った。
(カッパ)「今年も誰も怪我せずに楽しく走れて良かった良かった」
(トリ)「ちょっと、ちょっとちょっと!」
トラが戻ってきたので、最後はウィニングランを決めるために、ゴール前に集合して、トラを真中にして、みんなで一緒に元気いっぱいゴールした。つもりだったのだが、ボロボロになったメンバーも多くて、グチャグチャとゴールした。
個人的にはライバルのトラに負けたのが悔しいが、天候も良く、本当に楽しいレースだった。
レースの後は、いつものように、うどんを食べに繰り出す。ところが、公園の駐車場から出る道が異様に渋滞している。
(カッパ)「こら一体なにごと?」
(トラ)「考えてみたら、あんなに参加者が激増したんだから、道も混むわなあ」
あちゃー。何も考えずに出てきたけど、これやったら、時間差攻撃するべきやった。気付いた時には、もう遅く、引き返すことも出来ずに、延々と待たされて、ようやく公園を出た。やっとうどんが食べられる、と思って有名うどん店に行ったら、なんと、ここも長蛇の列だ。
(カッパ)「考えてみたら、これだけ県外チームが来てるんやから、せっかくやから、美味しいうどん食べて帰るわなあ」
うどん屋でも信じがたいほど待たされた。もっとマイナーなうどん屋へ行けばよかった。
(石材店)「今年は掲載が比較的早かったですね」
(幹事長)「青森の冬の夜は長いのよ」
さて、いよいよ次回は丸亀マラソンだ。我がペンギンズは、今年も去年に引き続いてペースランナーの大役を仰せつかった。去年の精密マシーンのような正確無比なペース刻みが評価されたのであろう。
(石材店)「他にやりたがる人がおらんのでしょうねえ」
(幹事長)「ボランティア精神を持て余しているのは我々だけか!」
(大ちゃん)「去年はゲストの高橋尚子と懇親できるから引き受けたんでしょ?」
いきなり出てきた大ちゃんだが、その指摘は鋭い。今年はQちゃんは来ないから、ちょっとがっかり。でも、去年やってみて、ペースランナーとして微力ながらも大会の運営を手伝ったという充実感が大きかったので、Qちゃんが来なくても、声が掛かれば喜んでお手伝いしたいぞ。
(大ちゃん)「で、練習はしよんですか?」
(カッパ)「いや、ま、ペースが遅いんで」
今年も、僕は支部長とペアで2時間半ペースのペースランナーをやる。2時間半なんて、すごく遅いペースだから、油断してるんだけど、ただ、最初から最後まで同じペースで走るのって意外に難しく、ちょっとは練習せんといかんよなあ。
〜おしまい〜
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