第12回 国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会

〜 スーパールーキーモンキー登場! 〜


今年も四電ペンギンズの初レースとして、2011年1月9日(日)、第12回国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会が開催された。
毎年、四電ペンギンズの活動はこのレースと共にスタートする。参加するメンバーも、このレースが一番多い。

(支部長)「それも、どうかと思いますけどね」
(幹事長)「確かに。もっとシリアスなレースへの積極的な参加を呼びかけたいぞ」


ま、しかし、一人が走る距離は長くないし、タイムを競うわけでもなく、純粋に楽しさだけを追求して参加するイベントなので、まさに「楽しければいい」という四電ペンギンズの趣旨に沿ったレースと言えよう。

(ピッグ)「楽しければいい、を人生のモットーにしている幹事長は、第1回から12年連続出場ですねえ。
       すごいと言うか、なんと言うか」
(幹事長)「地元のレースの中でも、1回も休まずに出てるのは、このレースだけやなあ。できれば50回連続で出たいぞ」
(石材店)「このレースに限らず、青森に転勤になってからは、四国のレースは皆勤ですよねえ。
       すごいと言うより、仕事しとんですか?」


このレースの楽しさは、動物の格好をして走る、というだけではない。同じチームと言っても、普通のマラソンレースでは、一緒には行くけど、実際に走るの時は個人の孤独な戦いだ。しかし、この動物リレーは、みんなが力を合わせて戦うレースであり、自分さえ良ければいいというものでもないし、また自分が悪ければチームの足を引っ張るという意味で各人が責任を負うレースであり、日ごろバラバラなメンバーの意識が一体化するレースだからだ。

(石材店)「できるだけ自分が走る回数を減らそうと考えている幹事長とは思えないお言葉」
(幹事長)「わしが走る回数が減れば、チーム力はアップするやないか」


このレースは、最低一周2kmだけでも走れば参加OKなので、日ごろ全く練習をしていない女子部員も参加しやすい。

(ライオン)「まさか私の事ですか?」


そう、今年も女子部員の中から、ライオンさんとゾウさんが参加する。ライオンさんは第8回、11回に続いて3回目の出場だ。実は、昨年11月の瀬戸内海タートルマラソンにも冷やかしで参加する予定だったけど、体調悪化のため来れなかった。なので、レースはまる1年ぶりだ。一方、ゾウさんは第9回大会から4年連続の出場で、他のシリアスなレースにも出場を重ね、今やペンギンズの主力メンバーになっている。

そして、今回の目玉は、あの驚異のスーパールーキー城武選手の参加だ。彼は、出るレース、出るレース、軒並み優勝しまくっている驚異のランナーなのだ。我々と一緒に出たレースで言えば、去年の4月の徳島マラソン5月のオリーブマラソンと、2レース連続で初出場初優勝した。
その後も、我々の手が届かないところで賞金稼ぎのアウトローと化し、10月には新潟まで出かけて新潟マラソンに優勝し、その優勝の副賞として翌週のグアム・ココ・ロードレースの招待を勝ち取り、翌週はグアムまで遠征して、疲れも感じさせず見事2週連続の優勝を成し遂げ、優勝賞金の1000ドルに加え、コースレコードを出したボーナスとしてプラス500ドルもゲットした。
さらに11月には河口湖マラソンに出場し、ゴール前のスプリント勝負で敗れて惜しくも優勝を逃したが、2位の副賞として今年のゴールデンウィークに開催されるニュージーランドのロトルアマラソンへの招待をゲットした。しかも、その翌週は、素人ランナーは出られない福岡国際マラソンに出場し、2週連続のフルマラソンにもかかわらず、2時間20分を切る驚異の走りで15位に食い込んでいる。

(幹事長)「あり得んぞ。自分でも、そう思わんか?」
(城武)「さすがに2週連続のフルマラソンだったから、最初から軽い気持ちで出場して、あんまり無理せず
      走ろうと思ってたんですが、速い集団に入ってしまって、そのまま行ってしまいました。
      ちょっと無理したんで、35km地点からはジョグに切り替えたんですけど、最後まで頑張ってたら
      自己ベストが出ただろうなあと若干後悔してます」


誤解を招くといけないから補足すると、35km地点からジョグに切り替えたって言ってるけど、35〜40kmの5kmのラップは17分45秒だ。

(幹事長)「これはジョグとは言わんぞ!」

35kmまでは5kmを16分台で走っているからペースダウンには間違いないけど、それでも驚異のスピードだ。て言うか、2週間連続のフルマラソンで、なんでこなな快走ができるんだ?

(幹事長)「どれくらい日常的に練習してるん?」
(城武)「年末年始は時間があったんで、毎日50km走ってました」
(支部長)「1ヶ月じゃなくて?」
(ピッグ)「1年間じゃなくて?」


彼は、日本のマラソン界の救世主としてロンドンオリンピックに出るべきじゃないかと思うので、その前哨戦として、今回、この国営讃岐まんのう公園リレーマラソン大会に出てもらうこととになったのだ。

(支部長)「誘う方も誘う方だけど、出る方も理解できん」

もちろん、彼には動物の中でも最も身軽なサル3号になってもらう。

(城武)「それって、どんなんですか?」
(幹事長)「全身タイツの恥ずかしいやつ」
(城武)「う、うきっ・・・」



レースの前々日の金曜日、仕事が終わって三沢空港まで雪道を車で飛ばし、最終便の飛行機で東京まで行こうとしたら、なんと、雪で欠航になってしまった。雪国の冬は飛行機が当てにならなくて、本当に困ってしまう。最近は慣れて達観していて、文句言ったり騒いだりすることなく、冷静に淡々と対処することにしているけど、ほんま、腹立つ。
こうなったら翌日の土曜日の飛行機で帰らざるを得ないが、三沢空港発の始発便は既に満席で、第2便は午後3時発だ。

(支部長)「えっ?第2便のくせに3時発?」
(ピッグ)「一日に3便しか飛んでないですからねえ」


なので、空席のあった青森空港発の始発便に乗ることにした。しかし、朝の8時半発の始発便に乗るために、100km近く離れた青森空港まで雪道を行くには、余裕を持って4時過ぎに出発しないと不安だ。なので、三沢空港から雪道を1時間以上かけて、いったん帰宅し、またまた超早起きして、真っ暗なうちから、凍結しそうな寒波の中、ひたすら雪道を車で青森空港まで行った。ところが、青森空港も雪が降り積もり、除雪作業に時間がかかったため、羽田到着が遅れ、高松行きの飛行機に乗り換えるのに、広いターミナルビルを全力で走り抜けてギリギリ間に合った。

(幹事長)「ほんまに苦労するわ」
(石材店)「よくまあ、それで毎週帰ってきてますねえ」


青森から帰ってくるのに一日がかりで、しかも羽田空港のターミナルビルで走ったため、妙に疲れたままレースの朝を迎えた。ただ、青森と違って、高松は良い天気。風も無いし、気持ちの良い朝だ。

早々にカッパの格好で待っていると、ピッグ増田選手サル3号を乗せて迎えに来てくれた。ピッグは、青森に3年間赴任していたから、4年ぶりの出場だ。

(カッパ)「お帰り!久しぶり!」
(ピッグ)「お帰りというか何と言うか、幹事長は青森勤務のままですよねえ。
       毎回青森から戻ってくるカッパ大王には恐れ入りますわ。仕事しとんですか?」


ピッグは目立つピンクのピッグ姿だ。
ピッグの指導が行き届いて、サル3号もちゃんとサルの格好をしている。

(カッパ)「なかなか心がけがよろしい」
(サル3号)「うきうきっ」
次に支部長を迎えに行くと、道端で普通の格好をして待っている。

(カッパ)「これこれ、人間は乗せんよ」
(支部長)「この交通量の多い街中でクマの格好してたら捕まりますがな」


支部長は、最近はレッサーパンダやトラが多かったが、今年はクマになる。

(カッパ)「君はポリシーというものが無いのか?」
(支部長)「たまたま手元に回ってきたもので済ませてます」
次はテニス君だ。テニス君は、以前はクマになっていたけど今年はトラだ。

(カッパ)「君もポリシーというものが無いのか?」
(テニス)「たまたま手元に回ってきたもので済ませてます」


しかし、テニス君は、交通量の多い幹線道路沿いにもかかわらず、ちゃんとトラの格好をして待っていてくれた。しかも、ガードレースに足をかけてストレッチをしている。

(ピッグ)「めっちゃ目立ってますねえ」
(カッパ)「いやん。見てる方が恥ずかしくなっちゃう」
(支部長)「動物の格好でレースに出る時点で、十分恥ずかし過ぎるけど」
4匹と1人を乗せた車は順調に会場の満濃公園に到着。ところが、入場ゲートの前に1kmの渋滞が発生している。こら、一体、どういう事だ?今まで11年連続で出てきたけど、こんなに混んでいた事はなかった。しかも、周囲の車を見ると、県外ナンバーも多い。いつから、そんな広域レースになったんだ?
料金所を通過して駐車場に着くと、既にほぼ満車状態だ。僕らにしては、結構、早く来たつもりなのに。確かに参加チーム数は、年々増えている。かつては100チームくらいだったのに、今年は400チームに達している。ここまで増えると限界かも。

我々が到着すると、既に石材店こと親子ゾウさん、ライオンさん、トリが来ている。
馬の親は、当然ながらペンギンズのエースの名を欲しいままにしていた高速ランナーだが、去年のこのレースでデビューした馬ジュニアが特筆すべき速さで、僕らは足下にも及ばなかった。サル3号と並んで今年の強力な戦力だ。
ゾウさんは相変わらずの重装備だ。今日みたいに寒い日には暖かくて良いけど、かなり重いので走るのは一苦労だ。ただ、彼女は今年も2月に、2週連続で丸亀マラソンと坂出天狗マラソンに出場するから、今から鍛えているのだ。
トリは去年のレースでペンギンズにデビューしたが、それが初めてのマラソンレースだった。て言うか、それまでロクに走ったこともなかったのだ。それなのに、去年のレースでは、2周走っただけで早々にウドンを食べてリタイアしたカッパ王の命令で4周も走らされたため、膝を故障して再起不能になりかけたのだ。

(カッパ)「いやあ、あの時はすまんかったのう」
(馬)「今年はカッパのノルマは最低3周ですからね」


しかし良い子のトリ君は、それに挫けることなく、決意も新たに昨年11月の瀬戸内海タートルマラソンに出場しようとしていたのだ。ところが残念なことに、レース前々日に病に冒されてしまい、無念の欠場となったのだ。ちゅうことで、レースに出るのは丸一年ぶりだ。
会場に入り、陣取る場所を確保しようとするのだが、ものすごい参加チーム数で、見渡す限りテントが立ち並んでいる。高松は風も無く天気も良かったのに、山に近い満濃公園は天気も曇りだし、気温が低いうえ、風が強いため、かなり寒い。こんな日はテントが欲しいところだ。て言うか、この時期、寒い事の方が多いんだから、基本的にテントは持ってくるべきかも。

(馬)「12年も連続で出場してる割には、うちのチームって、テントを持ってこようなんて発想が無いですねえ」
(カッパ)「動物の記憶力は悪いからのう」


テントは無いけど、風よけが欲しいので、他のチームのテントとテントの間にブルーシートを敷いて、かろうじて場所を確保する。

こんなレースにも拘らず、また、かなり恥ずかしい格好をしているにも拘らず、サル3号はウォーミングアップに余念が無く、ひたすら走り回っている。

(クマ)「レース前からそんなに走ったら疲れるやん」
(サル3号)「一日の練習量を確保しないといけませんから」
(カッパ)「今日も50km走るのなら、21周全部走ってもらっても足りないわなあ」
(馬)「サル3号が走っている間に、なにを遊んでるんですか!」

ちうことで、1周だけウォーミングアップで走ることにする。

(カッパ)「本当は寒いから走るだけなんやけどね」
(馬)「明らかに走ってませんねえ」

体も暖まったところで、走る順番を決めなくてはならない
このレースは、なだらかな公園の丘陵地の1周2kmのコースを全部で21周してフルマラソンの42.195kmを走るというレースだ(1周目だけ端数の0.195kmが着いて2.195kmある)。2kmだから8分台くらい軽く出そうな気もするけど、結構、坂がきつくて曲がりくねって芝生もあって意外にシビアなコースだ。チームメンバーの誰がどこで何周走っても自由なので、走る順番がキーポイントとなる。
実は今年は、練りに練った驚愕の秘密大作戦がある。

(カッパ)「まずは最初にサル3号に走ってもらって圧倒的なリードをつける作戦だあっ!」
(馬)「どこが驚愕の作戦なんっすか。誰でも思いつく順番じゃないですか」
(カッパ)「そして、その後は、なんとジャンケンで決める作戦だあっ!」
(馬)「結局、今年もジャンケンですか」


ジャンケンで順番を決め、基本的に全員、2回ずつ走ることにした。ただし、サル3号は、なんぼでも走れるので、回数を増やし、逆にライオンさんは1回で許す。

(クマ)「で、カッパは何周走るつもり?」
(カッパ)「8分台が出れば本日の目標達成としよう!」
(馬)「8分台が出るまで走り続けるということでよろしいでしょうか?」
(カッパ)「なんぼでも走るぞ!」


いよいよスタート時間だ。初めてのレースでトップを任された割には、さすがは百戦錬磨のサルだ。全然、緊張していない。

(ピッグ)「て言うか、緊張感が無さすぎ!」
(カッパ)「ま、プロ級の彼に、こななレースで緊張しろという方が無理やわな」
しかし、スタートと同時に圧倒的なロケットダッシュで飛び出すかと思っていたら、こななレースなのに、猛然とスタートダッシュするチームが多くて、いきなり10番手くらいでのスタートとなった。

(カッパ)「今まで真面目に見たことなかったけど、他のチームって、結構マジなんやなあ」
(トリ)「僕は去年、トップを走らされましたけど、後ろの方からスタートするチームは和やかでしたよ」


どんなマラソン大会もそうだけど、シリアスな選手と楽しく走る選手と、二極分化しているなあ。サル3号は軽やかに走って行ったが、最初に予想外のリードを許してしまったので、何位で帰ってくるか予断を許さない状況となった。ヤキモキしながら見ていると、1500m地点で第3位で走ってきた。その直後、2位のチームを抜いて2位に上がり、残るは、あと1人だ。しかし、このトップのランナーが見るからにマジで走っている。このクソ寒いのにランニングシャツにランニングパンツで、なかなかの強敵だ。

(カッパ)「サル頑張れっ!」

と声を掛けると、サル3号は「ウキッ」とポーズを取る。

(ピッグ)「あいつ、やっぱり緊張感無いですよ」
(カッパ)「あと1人抜けばトップというのに、あんなポーズを取るなんて・・・」
結局、最後の1人は抜けずに、第2位で帰ってきたが、タイムはなんと6分台だった。このコースは1周が2kmなんだけど、1周目だけは0.195kmのおまけが付いて、ちょっと長い。それなのに、サル3号の1周目のタイムは、過去のうちのメンバーが出したどの記録よりも圧倒的に速かった。あり得ない速さだ。それなのに、トップでなかった事に文句が出る。

(ピッグ)「あのウキッのポーズが無ければトップだったかもしれないのに」
(ゾウ)「他のチームに比べて、サルの格好がハンディになってるんですよ」
(カッパ)「いや、基本的なところで気合が不十分だったんじゃないか」
(馬)「みんな好き勝手言い過ぎ!いつもなら400チーム中200番目くらいなのに、2位で文句言わないで下さい!」


確かに、そうだ。て言うか、これが50位とかなら真剣に気合が入るところだが、2位だなんて、あまりにも縁遠い順位なので実感が沸かない。ピンとこない。
そして、この非現実感を打破してくれるのが第2ランナーのトリ君だ。浮かれた我々を現実に引き戻してくれる大役を担っている。

(トリ)「それって、バカにしてないっすか?」
(カッパ)「いえいえ、ここで順位を落としてくれないと、あとのメンバーが走りにくいですから」
2位でタスキを受けたトリ君には、当然、観客から「うわ、動物チームめっちゃ速っ!」という驚愕の声が聞こえる。そんな状態では我々はプレッシャーを感じてしまうので、ここはトリ君に頑張ってもらって、どんどん順位を落としてもらわないといけない。彼が速いチームにあらかた抜かれてしまえば、後のメンバーは、もう抜かれなくても済む。

(ピッグ)「抜くのと抜かれるのとでは大違いですよねえ」
(カッパ)「ほんとほんと。動物に抜かれてガックリする人を見るのが最大の楽しみだもんなあ」


しかし、初レースとなった去年とは違って、トリ君も予想外に軽快な足取りで帰ってきた。まだまだ緊張感が続くレース展開だ。

次はゾウさんだ。ゾウさんは3年前、あと2秒で10分を切れなかったという惜しい結果を残して以来、毎年、9分台を目指して頑張ってきた。ところが、なかなか10分の壁が破れず、惜しい思いを重ねてきた。今年こそは、と頑張って走り出したが、今年も、あと一歩の所で10分を切れなかった。
(ゾウ)「あ〜ん、悔しい!」
(カッパ)「やっぱり、そのゾウの衣装は重くてハンディが大きいわなあ」
(ゾウ)「いえいえ、むしろ観客からネズミって言われてガックリきましよう」


確かに、ゾウは頭を被ってないと何の動物なのか分かりにくい。ちゃんと頭を被っていればいいんだけど、ゾウは耳がでかいうえに鼻も長いし牙もあるし、頭を被ると非常に走りにくいので、ついつい頭を取ってしまうのよねえ。

次にタスキを受け取ったのはピッグだ。ピッグは、どんなレースの時も同じように緊張感の無さを漂わせているが、好不調の差が激しく、遅い時はかなり遅いが、速い時は非常に速い。表情からは調子が読めない男だ。今日もトリ君からタスキをもらって、淡々と走り出したが、結構、早々と帰ってきた。

(カッパ)「タイムはどうや?」
(ピッグ)「いきなり8分台が出ましたよ」
がーん!本日の目標としている8分台を、いきなりピッグに出されてしまった。4年ぶりのレースだと言うのに、しかも練習量は絶対的に不足しているはずなのに、一体どこにそんな力が秘められていたのだろうか。おかしい。おかし過ぎる!

(馬)「どうですか、カッパ王。8分台を出すまで帰れませんよ」
(カッパ)「ま、まずい。まず過ぎる」


ライバルのピッグとクマが8分台を出せなければ、僕も8分台が出なくてもお茶を濁そうと思っていたのに、その野望はあっさりと打ち砕かれた。

(カッパ)「8分台が出るまで、なんぼでも走るぞ!」

と、本日2度目の宣言をしてしまった。

次は再びサル3号だ。

(カッパ)「行けっ!」
(サル3号)「うきっ?また僕?早すぎやしませんか?」


戸惑うサルに鞭打ち、有無を言わさず2周目を走らせる。1周目でトップを取れなかった悔しさを2周目にぶつけてガンガン走ってもらう作戦なのだ。ところが、いくら超プロ級モンキーのサル3号とは言え、さすがにいきなり2周目を走らされて、いまいち力を発揮できず、1周目よりタイムが落ちてしまった。

(カッパ)「こ、これは、一体どういうことじゃ!?」
(サル3号)「うききっ」(=1周目で疲れたから、ちょっと手抜きしちゃいました)
(カッパ)「みんながこのレースにどれだけの熱い思いで臨んでいるのか分かっておるのかっ!」
(サル3号)「うききっ」
(=そう焦りなさんな、だんな。次で軽く取り返して見せますぜ)
(カッパ)「よし、分かった。そこまで言うなら、名誉回復の機会として、わしの出番を譲ってやろう」
(サル3号)「うききっ」
(=がってん承知の助だい。いくらでも走りますぜ、だんな)
(クマ)「ほんまに、そんな事言ってるん?」

サルからタスキを受けて、次はトラが走る。
トラからタスキを受け取るのはカッパだったが、トラの練習不足は、一説では我々以上との情報もあり、まだまだ帰ってこないだろうと油断していたら、いきなり帰ってきて、びっくりした。

(カッパ)「なんで、そんなに速いんやあーっ」
(トラ)「油断しすぎですよっ」


いくら練習不足でも、やっぱりカッパやクマより若いので、元気あるなあ。予想外の速さでトラが帰ってきたもんだから、カッパとしては慌ててタスキを受け取り、心の準備も無いままに走り出さざるを得なかった。
しばらく走ってから、ようやく本日の作戦を考える。このレースは1周が2kmと短いので、こまではペース配分なんて何も考えずに闇雲に走っていたが、今日はペース配分を考えて前半は抑え目に走ることにした。

(馬)「どしたんですか、また急に」
(カッパ)「最近、ハーフマラソンなんかだと前半を抑えて走った方がタイムが良くてなあ」


しかし、これは結果的に良くなかった。いくら前半を抑え目に走っても、後半にスピードを上げるってのは無理で、所詮2kmのレースなんだから力尽きるまで我武者羅に走った方がマシだった。それに、スタート直後から、いつものように「カッパだカッパだ」とか「カッパさん頑張って〜」とかいった声援がかかるので、当然ながら、これらの声援には手を振って応えなければならない。その結果、あと少しというところで9分の壁を越えられなかった。

(馬)「まだまだレースはこれからですよ」
(カッパ)「そう思いたいなあ」
カッパの次はクマさんだ。クマさんもカッパやピッグと同様、8分台を目標に走ったが、惜しいところで9分を切れなかった。

(カッパ)「ああ良かったあ。もしクマさんも8分台を出してたら、すごいプレッシャーになってたよ」
(クマ)「練習不足か歳か分からんけど、年々厳しくなっていきますなあ。
       それに、観客からネズミって言われて力が抜けましたがな」


なんと、ゾウに続き、クマもネズミと間違われたらしい。クマもゾウと同じように、頭を被ってないと何の動物なのか分かりにくい。でも、ネズミって言われるとガックリくるよなあ。
そして、なんと、ここで再びサル3号だ。

(馬)「またサルですかっ!?大丈夫?」
(カッパ)「大丈夫だ。サルは、なんぼでも走れる。今度は心の準備もいいか?」
(サル)「うきうきっ!」

2周目で手抜きの走りをしたサル3号は、今度は気合も十分にロケットダッシュで駆け出して行き、なんと6分37秒という、ペンギンズ空前絶後というか何と言うか、あり得ないスピードで帰ってきた。彼のような超プロ級スーパーモンキーなら、1km3分くらいで走れるだろうから、2kmなら6分くらいで帰ってきても不思議はない。しかし、ここのコースは山あり谷あり、芝生あり、しかも曲がりくねった走りにくいコースだ。このコースで1kmを3分20秒を切るというのは、人間ではあり得ない。サルでなきゃ無理!

(カッパ)「サルは、こういうワイルドなコースが得意なんかなあ」
(サル3号)「うききっ」
(=ま、こんなもんですぜ、だんな。走れと言われれば、まだまだいくらでも走りますぜ)
(カッパ)「この栄誉を称えて、サル3号にスーパールーキーモンキーの称号を授けようぞ」
(サル3号)「うききっ」
(=私には勿体なさ過ぎる栄誉。ありがたく頂戴いたします)
(クマ)「だから、ほんまに、そんな事言ってるの?」

唖然呆然とするような快足で帰ってきたサルの次は、去年、衝撃的なデビューで大人達の度肝を抜いた馬ジュニアの登場だ。小学生とは思えない軽やかな足取りで、今年も素晴らしい速さで帰ってきた。

(カッパ)「こういうのを見ると、練習不足がどうのこうのと言い訳するのも空しくなるよなあ」
(クマ)「基本は才能の問題やなあ。当たり前すぎるけど」
(カッパ)「私ら、いくら練習しても無理やなあ。練習するのが虚しくなるなあ」
(馬)「ほとんど練習しない人たちが何を偉そうに言ってるんですか!」


そして最後は、本日は1周だけと決めているライオンさんの登場だ。
(ライオン)「私、遅いですよぅ」
(カッパ)「かまわん。借金ならサルが取り返してくれる」


ほんと、今年はサル3号がなんぼでも取り返してくれるから、いくら遅くても平気だ。

(馬)「このレースは、みんなが力を合わせて戦うレースだったんじゃないんですか?何もかもサル3号に依存したらいかんですよ」

ライオンさんは笑顔を絶やさないから、苦しんでいるのか喜んでいるのか分からない表情で帰ってきた。

(ライオン)「苦しいんですよっ!」
サル3号以外のメンバーも、次々に2周目に入る。
ライオンさんの次は、トリ君だ。やはり1周目よりだいぶタイムが落ちた。
次は再びサルだ。3周目で空前絶後の好タイムを叩き出したため、さすがに少しタイムが落ちたが、もちろん、それでも無茶苦茶速い。
次はゾウさん。今度こそ9分台を目指したが、1周目より1秒だけ遅くなった。タイムを上げるのは、本当に難しい。
続くピッグは、1周目でいきなり8分台の好タイムを出したことから緊張感が無くなったため、大幅にタイムを落とした。

(ピッグ)「いいんですよ。今日は既に目標をクリアしたから」
(カッパ)「くやしーっ!」


次のトラは、相変わらず平均な顔をして、1周目より1秒だけ遅かったけど、かなりの好タイムを維持した。一体、彼のどこにそんな力が秘められているのだろう。
次はいよいよ親馬だ。親馬は先ほど馬ジュニアが走った時に伴走で一緒に走ったので、本日の2周目だ。馬ジュニアも速かったけど、さすがは親馬、ジュニアより速かった。

(カッパ)「まだまだジュニアには負けられんわな」
(馬)「ジュニアに負けたら力関係が逆転しますからね」


そして、次はいよいよカッパ大王の2周目だ。1周目を走ってから1時間40分も経っているので疲れは回復しているし、1周目と違って今度は心の準備も出来て冷静なスタートを切れたし、作戦も例年のように「最初から突っ込むだけ突っ込んで討ち死にじゃあ作戦」に戻したので、大いに期待ができる。
ところが、最初の500mのラップを見ると、あれれ、1周目より遅い。ほんなアホな。と思ったが、次の500mも遅い。さらに次の500mも遅い。最後の500mだけ必死で転がりこんで、なんとかマシだったけど、結局、1周目より、だいぶ遅かった。

(カッパ)「なんでかなあ。疲れてもないと思うんだけど」
(クマ)「やっぱり歳ですよ」


次のクマさんも同様に1周目より遅かった。

(クマ)「もう、この歳になると、何周走っても、タイムは確実に悪くなっていきますね」
(カッパ)「やっぱりそうかあ。作戦うんぬんの話じゃないわなあ。じゃ、もう、やーめた!」
(馬)「これこれ!8分台を出すまで走るって宣言したでしょうー!」
(カッパ)「いつまでもバカみたいにマニフェストにしがみ付く民主党と違って、私は不可能な事は諦めが早いのじゃ。
       あとはピッグに任す」
(ピッグ)「え?何の話?」


て事で、アンカーはピッグに決まった。
アンカーの前は再びサル3号に走ってもらう。サル3号は5周目になるが、4周目より良いタイムで帰ってきた。

(クマ)「5周も走って、このタイムかあ。疲れを知らないと言うか、何と言うか」
(カッパ)「やっぱりサル3号に21周全部走ってもらった方が良かったなあ」
(クマ)「ほんとほんと。来年は、それで行こう!」
(馬)「来年は出てくれるかどうか・・・」


そして、最後に、アンカーの大役は余裕の表情のピッグだ。

(ピッグ)「余裕があるように見えるかもしれないけど、もういっぱいいっぱいですから」

いくらピッグが力尽きても構わない。今日は快足サル3号が5周も走ったおかげで、貯金が山ほどある。ペンギンズ史上に残る好記録となった。
みんなでゴール前でピッグが帰ってくるのを待ち、最後は一緒にビクトリーランを決める。ところが、誰かに写真を撮ってもらおうと手間取っていたクマさんが間に合わず、クマさん無しの写真になってしまった。
ゴールした後は、みんなで記念写真だ。

今年もお疲れ様でした
(おや?これもなぜか撮影者のクマさんが写っている!)

レースの後は、いつものように、うどんを食べに繰り出す。例年なら、駐車場から出るのに大渋滞で長時間かかってしまうが、今年は異常に早くゴールしたので、まだ混雑する前に会場から出ることができた。例年なら大混雑のうどん屋も、今年はまだそんなに混雑しておらず、イライラすることなく、うどんを頂いた。

ところで、今日の勝利の立役者サル3号だが、なんと実は体調が悪かったらしく、家に帰ったら熱があり、翌日は寝込んでしまったらしい。それなのに、あのタイムってのは、ほんと、恐るべしスーパールーキーモンキーだ。



(石材店)「最近、掲載が早いですね。仕事しとんですか?」
(幹事長)「青森の冬の夜は長いからね」


さて、いよいよ次回は丸亀マラソンだ。我がペンギンズは、ここ2年間、ペースランナーの大役を仰せつかったため、ランナーとしては参加できなかったけど、今年はペースランナーをお役御免となり、再びランナーとして参加することになった。
ペースランナーとして走るのは、とっても勉強になり、また楽しかったけど、日本でも指折りの高速コースに再びランナーとして挑戦できるので、緊張感が高まる。
ペースランナーをやっていたためランナーとして参加しなかったこの2年間に、庵治マラソン、瀬戸内海タートルマラソン、小豆島オリーブマラソンと、地元の主要レースでは全て大会自己ベストを出しているので、この丸亀マラソンでも絶対に大会自己ベストを出したいぞ!


〜おしまい〜




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