第29回 八戸うみねこマラソン大会

〜 素晴らしい景色のコース 〜



2010年5月9日(日)、青森県八戸市で第29回八戸うみねこマラソン大会が開催された。
3年前にピッグ増田が青森に赴任して開拓したレースだ。

八戸市というと、四国の人間からすると、名前は聞いたことあるけど、遠い未知の世界だ。隣の三沢市は、昔、太田幸司を擁した三沢高校が甲子園で大活躍したのが強烈な印象として残っているし、米軍基地もあるので、なんとなく華やかなイメージだったけど、八戸市は寂れた寒村っていうイメージだった。ところが実際には大違いで、三沢市が人口4万人程度の小さな町なのに対して、
八戸市は人口20数万人の青森県第二の都市だった。人口や工業出荷額など、徳島市とほとんど同規模だ。
八戸市 徳島市
人口 244,700人 267,833人
農業出荷額 14,910百万円 14,050百万円
工業出荷額 488,417百万円 471,868百万円
小売販売額 301,325百万円 301,776百万円
(ピッグ)「うわあ、ほんまですねえ。八戸市って意外に大きいんですねえ」
(幹事長)「イメージと大違いだよなあ。失礼しました」


青森県では、県庁こそ青森市にあるが、八戸市も青森市と並ぶ中心都市なのだ。

八戸市には
ウミネコの繁殖地である蕪島という国の天然記念物の名所があり、八戸うみねこマラソンという大会名は、ここから来ている。ハーフマラソンのコースは、この蕪島のすぐそばを通る海岸線の道だ。この他にも、断崖絶壁の葦毛崎とか種差海岸と言った八戸の観光名所を巡る道で、なかなか魅力的なコースだ。

マラソンブームは八戸にも押し寄せており、
今年の参加者は初めて5000人を越え、5802人となった。ただし、これは3km、5km、10kmの各レースの参加者も含めた数で、僕が参加するハーフマラソンの参加者は1431人がエントリーしている。ほどよい数だが、去年は1000人ちょっとだったらしいから、やはり急増している。

(ピッグ)「私が開拓したレースとは言え、つい2週間前に一緒に徳島マラソンでフルマラソンを走ったばっかりなのに、
       頑張ってますねえ」
(幹事長)「当初の予定では、徳島でフルマラソンを走った勢いで一気に八戸のハーフマラソンを快走する予定だったのよ。
       2週間しか経ってないから練習は不要だし。ところが、徳島マラソンで惨敗しちゃったもんだから、
       心身の傷が癒えず、超厳しいスケジュールになっちゃった」
(ピッグ)「しかも、2週間後には小豆島オリーブマラソンのハーフマラソンに出るんでしょ?
       僅か1ヵ月の間にフルマラソン1回とハーフマラソン2回って、いくらなんでも無謀じゃないですか?」
(幹事長)「今となっては後悔してます」


しかし、いくら厳しくても、今さら欠場できない事態になってしまったのだ。なんと、先日、高松に帰ってた時、「
遠来賞に選ばれた」という受賞のお知らせをもらってしまったのだ。つまり、一番遠方からの出場者と認定されたらしい。確かにもっと有名なレースならともかく、八戸市のローカルな大会に西日本から参加する人は少ないだろう。

(ピッグ)「でも、幹事長は今は基本的には青森県に住んでるんだから、遠来賞には該当しないんじゃないですか?」
(幹事長)「そこんとこは若干、心苦しいところだけど、住民票は高松の家に残しているし、週末は帰ってるし、ま、許してください。
       て言うか、何も自分で申請した訳じゃなく、ランネットに登録している住所で判断されたものだから仕方ないよ」

青森でのレースは、去年、参加した五所川原市の走れメロスマラソンと、弘前市のアップルマラソンに次いで3回目だ。
四国では5月と言えば、かなり暑くなっており、2週間後の小豆島オリーブマラソンは天気が良いと炎天下の厳しいレースになる。しかし青森では、これからが本格的なマラソンシーズンだ。今日も天気は良いが、まだまだ涼しくて、絶好のコンディションだ。

僕の寮から会場までは60km程度だが、青森では車だと1km1分で走れるから、ちょうど1時間程度の距離だ。

(石材店)「それは高速道路ですか?」
(幹事長)「普通の国道や県道だけど、信号も無いし交通量も少ないから早いのよ」


受付は8時半までだが、余裕をもって寮を6時半に出る。

(石材店)「幹事長とは思えない早さですねえ」
(幹事長)「ところが、これでも時間がギリギリだったのよ」


青森の道路は、混雑とはほど遠く、会場まで順調に予定どおりの1時間で着いたんだけど、駐車場に車を停めるまでに1時間近くかかったのだ。
ものすごい混雑ぶり。て言うか、あまりにも駐車場が狭すぎるのだ。会場は八戸港で、駐車場は、港の防波堤の上なのだ。全種目で5000人以上も参加者がいるのに、ちょっとあり得ないというか、よくもまあ、今まで成り立ってきたものだ。狭い防波堤の上に無理矢理に多数の車を駐車させようとするから、時間がかかって仕方がないのだ。場内アナウンスで「まもなく受付時間が修了します。早く受付して下さ〜い!」なんて叫んでいるが、車を停められない状態で、受付もクソもない。マラソンブームが来る前は、これでも不都合が無かったのかもしれないが、今後、近いうちに破綻するのは目に見えている。会場を変えなければならないだろう。当然のように、受付時間の締め切りには間に合わなかったが、そんな人が大勢いるので、いつまでも受付はしてくれる。

受付の後は、すぐに開会式が始まる。場所が無いから仕方ないが、とても狭いエリアでの開会式だ。遠来賞の案内の葉書に「
開会式では最前列に並んで下さい」なんて書いてあったので、開会式に出ない訳にはいかない。賞は何をもらえるんだろう、とか、インタビューでは何て答えようか、なんて考えていたら、なーんと、遠来賞は僕一人じゃなく、大阪から福岡まで西日本出身者が10名ほど読み上げられた。なーんだ、そうか。しかも、その代表として福岡から来た人には記念品が贈られたが、その他大勢は何もくれなかった。せっかくインタビューの答えまで用意してたのにぃ。
(この時は、こういう状況だったのですが、後日、家の方に、景品として八戸の地元のお菓子が、わざわざ送られてきました。娘が大喜びで頂きました。当日、その場でくれたら手間もかからず良かったのに、とは思いますが、何となく当日は開会式の運営が混乱気味だったようなので、仕方なかったのでしょうね)

今回のレースのゲストランナーは
市橋有里だ。彼女は、なんと、2週間前の徳島マラソンにもゲストランナーで来ていて、5kmくらい走って、あとはランナーにハイタッチして激励してくれた。ただ、その時は一瞬しか顔を見なかったが、今回、開会式で、割と近くからじっくり見たら、すごく可愛い人なのね。タレントみたい。シドニーオリンピックに出た時も、テレビで見てて、ちょっと可愛いなとは思っていたけど、あの時は高橋尚子さまの応援に必死だったから、あんまり関心が無かった。今はすっかり大人になったけど、相変わらず可愛い。
さて、今回も何を着るか悩む。なんと言っても、この時期の青森は、まだまだ寒い。四国じゃあ、もう半袖の人も多いが、こっちでは普通の人はジャケットを着込んでいる。少なくともランニングシャツとか半袖シャツは選択肢にない。長袖シャツにするか、その上からさらに半袖シャツを着るか、で悩む。しかも、今日は風が強いので、体感温度はかなり低い。こんな寒いレースは初めてだ

(石材店)「いくら何でも大げさじゃないですか?
       なんぼ青森が寒いと言ったって、2月の丸亀マラソンより寒いって事はないでしょう?」
(幹事長)「すんません。大げさでした」


暑い高松から帰ってきたばかりだから、異常に寒いような気がしたけど、冷静に考えれば、2月の丸亀マラソンの方が寒い。しかし、丸亀マラソンでは、いくら寒くても長袖シャツの上から半袖シャツを重ね着したことはない。なので、今回も冷静になって、長袖シャツ1枚で走ることにする。なんとなく寒いけど。

今日の目標タイムは、ピッグ増田が3年前に参加したときに記録した1時間43分56秒だ。

(石材店)「徳島マラソンの時に比べたら、ちょっとはマシな目標設定ですね」

結構、早いペースではあるが、ピッグには、直接対決した去年の走れメロスマラソンで圧勝している。

(ピッグ)「あの時は、あり得ないくらい遅かったですからね」

一方、2週間前の徳島マラソンではゴールまで500mという所で抜かれてしまった。

(ピッグ)「あの時も、フルマラソンとしては、自己ワースト記録だったんですよ」

ま、レベルの低いライバル関係と言えよう。

いよいよ
スタートだ。まずは自然体で軽く走ってみて、本日のペースを見てみる。と、最初の1kmは、5分程度。最初は混雑しているし、こんなもんだろう。と思って次の1kmを見ると、あれ?ちょっと落ちている。まだまだ助走かな、なんて思って次の1kmを見ると、さらに落ちている。こら、あかん。今日は調子悪いのかも。そんなにペースを抑えているつもりは無いのに、全然ペースがあがらない。なんとなく体が軽くない。1km5分弱でいかないとピッグの記録には勝てないのに、これじゃあ無理だ。早々に諦める。

(ピッグ)「諦めが早いですねえ。まだ3kmですよ」
(幹事長)「勇気ある撤退と言ってくれたまえ」


僅か2週間前にフルマラソンを走り、その後、ゴールデンウィークに鹿児島まで車で遊びに行ったりした疲労が残っているようだ
。こら、無理したら自滅する。急遽、目標を、直近のハーフマラソン、すなわち去年11月のタートルマラソンのタイムに変更する。その後は、なんとかペースも落ち着き、比較的安定したペースで走る。最初の5kmは港の地区内をやたら曲がりながら走る、つまんないうえに走りにくいコース。まるで今治シティマラソンを彷彿とさせるウンザリコースだ。
しかし、その後は、一気に
風光明媚なコースとなる。まずはウミネコの繁殖地の蕪島だ。島と言っても、半島のようにつながっている、というか、ちょっと大きな岩という程度だ。この岩山に無数のウミネコが群がっているのだ。3月にお客さんを案内して初めて来たのだが、その時はまだウミネコは数羽しかいなかったが、今は見渡す限り無数のウミネコが群がっている。なかなか壮観な景色だ。
蕪島の横を通り抜けて、しばらく行くと、小さな坂がある。坂と言っても、塩江マラソンや四国カルストマラソンや汗見川マラソンのような四国の山岳マラソンに比べたら、坂とは言えないくらいの緩やかなスロープだ。基本的に青森は土地が広いので、どのレースも坂は少なくフラットなのだ。この坂を過ぎれば、断崖絶壁の葦毛崎があり、さらに種差海岸と言う美しい海岸線に出る。ここも3月にお客さんを連れてきた時は、草も枯れて寒々としていたが、今は緑になり、大変美しい。こんなきれいなマラソンコースは少ないと思う。今まで出たレースの中で、間違いなくトップクラスの美しいコースだろう。きれいなコースを走っていると、気持ちも清々しくなり、快調に走れる、ような気がする。
参加者を見ていると、かなり外国人がいる。間違いなく、三沢基地の米軍兵士だろう。しかも、男だけでなく、女性兵士が非常に多い。たぶん、駐留している兵士の数から言えば、絶対に男の方が圧倒的に多いだろうから、女性兵士の参加率はとても高いと思う。なんでだろう。強制されているのだろうか。しかも、折り返してすれ違っていく選手を見ていると、肥満体の女性兵士が異様に多い。後の方でトボトボと走っているのは、たいていが肥満体の女性兵士だ。どう見ても、好きこのんで自主的に参加するような体型ではない。恐らく、ダイエットのために走らされているんではないか?

(石材店)「そなな体型で兵士が務まるんですか?」
(幹事長)「ほんまやなあ。炊事とかやってるんかなあ」


一方、
一般市民では、遅い人は多くない。肥満体の女子兵士以外は、落ちこぼれが非常に少ない。結構、レベルが高いのだろうか。なんて思いながら、なんとかペースを維持して16km地点まで走ったが、風光明媚な海岸線はそこで終わり、最後の5kmは超つまんない港湾地区の中をぐるぐる走るコースだ。これで精神的にやる気がそがれたうえ、体力的にも限界が近づいてきたため、だんだんペースが落ちていく。あと少しなんだから、なんとか頑張ろうと思ってスパートをかけたんだけど、スパートは100mくらいしか長続きせず、すぐにペースダウンしてしまう。これじゃあ去年のタートルマラソンの記録だって無理だ。新たな目標を設定しなければならないが、今さら見つからない、というか、今さら意味が無い。目標が無いと、なかなか頑張れない。あと1kmと言うところで、途中で抜いていた爺さんに抜き返されたので、さすがに、こらあかん、と思い直して気合いを入れてペースを上げて爺さんを抜き返す。そのまま1kmは全力で駆け抜け、なんとか、まあまあのペースでゴールした。

圧倒的な余裕を残して完勝した筆者

(ピッグ)「で、結局、どれくらいのタイムだったんですか?」
(幹事長)「去年の走れメロスマラソンよりはマシだったけど、平凡なタイム」
(石材店)「坂また坂のタートルマラソンより遅かったんですね」


最後の1kmだけは全力でスパートできたけど、それまでが頑張れていないため、ゴールしても足は痛くない。やっぱり
ゴールと共に倒れ込むような状態でないと悔いが残るなあ

(石材店)「ほんと、幹事長は、ゴールしてから元気ですよねえ」
(幹事長)「昔はゴールしたら、しばらく立てなかったんやけどなあ」


今回も、なんとなく欲求不満が残ったけど、疲労も抜けてなかったし、仕方ないかなあ。

とは言え、徳島マラソンでは、終盤は足を引きずった惨敗だったのに、1/3程度の順番だった。それなのに、今回は、今いちとは言え、そんなに惨敗した訳でもないのに、
順位はギリギリ半分以内ってところだ。やっぱり、結構レベルが高いレースだったのか?

ゴールした後は、再び車でコースを走り、きれいな景色の写真を撮る。
その後、東北町にある
東北温泉という温泉に入る。

(石材店)「東北町って、大胆な町名ですねえ」
(幹事長)「四国中央市みたいなもんやな」


この東北温泉というのは、
お湯が黒いので有名だ。まるでコーラのような色で、お湯に浸かると体が見えなくなる。湯質もなかなか良く、マラソンの疲れが取れたような気持ちになる。
ただ、それで疲労が取れたと思ったのは錯覚で、翌日、徳島マラソンからゴールデンウィークを経て八戸うみねこマラソンまで溜まり続けた疲労が極限に達し、体調が極端に悪くなった。疲れでこんなに体調不良になった記憶はない。

(ピッグ)「そら、歳ですね」
(幹事長)「一晩ぐっすり眠ったら、なんとか回復したけど、2週間後の
オリーブマラソンが不安やなあ」


〜おしまい〜




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