第58回 丸亀マラソン大会

〜 高橋尚子状態で惨敗 〜



2004年2月1日(日)第58回香川丸亀ハーフマラソン大会が開催されました。

去年の秋頃から絶好調で、塩江マラソン小豆島タートルマラソンも連続で大会自己ベストを5年振りに更新し、2週間前の満濃公園リレーマラソンも快調な走りができた僕としては、坂がほとんど無いフラットな丸亀マラソンでも新記録を狙っていた。唯一の心配は天候で、温暖な四国にあっても、この時期、寒いときは寒い。気温は大したことないけど、北風が強いと寒いし走りにくい。さらに4年前の大会のように冷たい雨が降ったりすると最悪で、「なんで、こんな辛い思いをして走らんといかんのだ」と思う。
しかし、今年はとっても良い天気。風もそよ風程度。全然寒くない。1月とは思えない暖かさで、むしろ暖かすぎるくらい。もっと寒い方が良いと思うランナーも多いだろうが、僕なんかは、寒いよりは暖かい方がいい。

てな事で、今年は好記録間違いなし!と強く思った。
いつもなら、外が寒いため、ギリギリまで暖房の入った控え室で待機して、スタート直前に外へ出て行くのだった。だからウォーミングアップなんて、まるで無し。しかし今年は暖かいので、早々に外へ出て、軽く走ったりして、好調ぶりをアピールした。(誰にや?)

ハーフマラソンの前に、小学生の1kmの部と、中学生の3kmの部がある。暇つぶしにスタンドから見ていたんだけど、小学生の1kmの優勝タイムは、なんと3分6秒だった。かなり速い。まあしかし、たった1kmなんで、あり得るかなあ、なんて思っていたけど、次の中学生3kmの優勝タイムは、なんと9分25秒だった。これはすごい。僕らなんて、満濃リレーで2kmを9分くらいで走っているのだ。動物の格好をしているし、コースもアップダウンがあるとはいえ、それでも3kmを10分以内で走るのは絶対に無理だと断言できる。しかも速いのは優勝者だけではない、中学生の部は200人くらい出ているのだが、そのうち1/4くらいは、どこかの中学の野球部員が強制参加させられているようで、野球のユニフォームのまま出ている。なので、遅い奴はかなり遅いが、速い奴は、野球のユニフォームで走っているのに結構速い。たぶん負ける。

さて、今大会は、我がペンギンズのメンバーは大半が欠場している。あらゆる大会で参加率ほぼ100%の福家先生は5kmの部に出ているが、常連の増田選手笹谷選手は転勤で遠くへ行ってしまったし、若きエース佐竹選手は急用で出られなくなってしまった。F川は相変わらずサボりだし、ハーフマラソンの部で僕以外に参加する可能性があったのは高知支部長くらいだ。スタート地点で見回してみると、あっという間に見つかった。頭にバンダナを巻いたりして、やる気満々である。
(幹事長)「いやあ、良かった。誰もおらんのかと思った」
(支部長)「さっき福家さんを見かけましたよ」
(幹事長)「福家先生は、絶対に来てるなあ。それにしても、他の連中は全滅か?」
(支部長)「竹葉選手も申し込んでるみたいやけど、昨晩、酒飲む言うてましたから、まずサボりでしょう」
高知支部長は、かつて、あと少しのところで、どうしても僕を抜くことができずに悔しい思いを重ねていたんだけど、去年の丸亀マラソンで、ついに僕は負けてしまったのだ。あのショックは忘れられない。しかし、僕も今年は絶好調だ。
(幹事長)「今日は天候も良いし、自己ベストを目指して最初から飛ばすぞっ!」
(支部長)「私も失うもの無いし、ガンガン行きまっせ」
そうなのだ。僕らはアテネへの出場権がかかっている訳でもないので、勝負に徹して作戦を考える必要はない。ただひたすら好タイムを出すために飛ばすのみだ。
(支部長)「ところで高橋尚子も出る予定だったそうですね」
そうなのだ。高橋尚子が3年前の大会に続いて、出る予定だったらしいのだ。でも、「欠場します」っていう発表があるまで、そもそもエントリーしていた事も知らなかった。招待選手じゃなく、なぜかこっそりと一般選手でエントリーしていたらしく、誰も気づいてなかったらしい。色々な状況を想定して、場合によっては出る選択肢もあったんやろけど、先般の大阪女子マラソンでパッとした記録が出なかったから、アテネの切符が有力になったんで、ヘタにレースに出たりせん方がええという事だろう。その選択は正しいと思うが、出てくれた方が楽しいのは間違いない。残念。

いよいよスタートとなったが、去年までは陸上競技場内のトラックでスタートし、トラックを1周走ってから道路に出ていた。今年はスタート時の混雑防止のためという理由で、始めから道路でのスタートとなった。スタートの位置は、持ちタイムの早い者順なので、僕らは後ろの方からのスタートとなる。
(支部長)「スタート場所が変わったけど、意味あるんかなあ」
(幹事長)「後ろの方からでも、すぐ走れるようになるんと違う?」
と期待したのだが、トラックでのスタートから道路でのスタートへの変更は、前の方のランナーには恩恵があるかもしれないけど、僕らのように後ろからスタートする者にとっては、何の効果もなく、僕らがスタート地点を通過したのは、ピストルが鳴ってから既に1分が経過していた。
(幹事長)「むしろ、タイムロスが増えたような気がするよ」
ま、しかし、それは仕方ない事だ。ロスを取り返すべく、ガンガン走り始める。高知支部長も快調に横を走る。

最初の5kmのタイムを見ると、まあまあ、ってとこ。最初のタイムロスが痛いとは言え、まだまだ新記録は十分に狙える。気合いを入れて、さらにピッチを上げると、次の5kmも良い感じ。どこまで記録が延びるか楽しみな展開だ。高知支部長は、ちょっとだけ遅れ始めるが、まだまだ付いてきている。
そして折り返し点を過ぎて次の5km地点を目指すのだが、なぜか、なかなか見えてこない。時計を見ると、もう見えてきてもいいのだが、なぜか見えない。おかしい。快調に走り続けていると自覚しているのに、いつまで経っても見えてこない。おかしすぎる。何かの間違い?勘違い?と戸惑いながら走り続けていると、ようやく見えてくる。なんと想定タイムより3分も遅れている。「一体、何が起こったんやあ!?」と思っていると、急に自覚症状が出てくる。明らかに足が重い。急速に重くなっていく。
まさに東京国際女子マラソンで高橋尚子が、終盤にいきなりガクンとペースダウンしてしまったのと同じ状態だ。あの時の高橋尚子も、前評判では「これまでで一番体調が良い」って事だったし、事実、前半は快調に飛ばしていたのに、終盤になって、故障でもあったのかと思うくらい突然ペースダウンした。僕らのような素人ならともかく、プロ中のプロでも、あなな無様な失態をしてしまうのか、と驚いたが、今回の僕も全く同じだ。僕だって、素人ではあるけど、レースには何度も出ており、ペース配分も考えている。もちろん練習不足の時は終盤に足が重くなるのも仕方ないが、そうでなければ、よほどペース配分に失敗しない限り、ここまでペースダウンする事は、最近は無い。前半の飛ばしすぎが、ここまでダメージになるとは思わなかった。高橋尚子と同様「足が棒のようになってしまった」
最後の方は、本当に足が動かなくなり、ノロノロとしたスピードで大勢のランナーに抜かれまくり、足を引きずるようにゴールした。信じられないくらい惨めなタイムだった。坂が多くアップダウンの激しいタートルマラソンなんかより、はるかに悪いタイムだ。自分の調子の良さを過信してはいけないなあ。
高橋尚子が参加しなかったレースだけど、自分がすっかり高橋尚子状態になっちゃったよ

さて、ライバルの高知支部長だが、彼も前半は僕と同じように飛ばしていた。彼の場合、それが普通のパターンであり、行けるところまで飛ばして、後は足を引きずるという、先行逃げ切り型のレース配分が得意なのだ。去年の丸亀マラソンでは、実際に、終盤、ガクンとペースダウンした支部長を、僕はあと少しのところで追いつけなかったのだ。しかし、その彼にしても、今年の前半のハイペースは行き過ぎたようで、後半のペースダウンがひどすぎて、僕以上の惨敗となった。
(支部長)「もう全然だめで、終盤は走ったり歩いたりで制限時間をオーバーしてしまいましたよ。
       去年のタイムより20分も遅いなんて、考えられない。スタート前の大言壮語が恥ずかしい」
(幹事長)「北風も無い良い天候で、去年より20分も遅くなるなんて要素は無いわなあ」
(支部長)「でも、ちょっと暑すぎましたね」
確かに、最初は暖かくて良い、と思っていた天候だが、ちょっと暑すぎたかもしれない。体中が塩まみれになっている。
あまりの無惨なレースに自己嫌悪に陥っていた僕だけど、ライバルの高知支部長が僕以上の惨敗を喫したことだけが唯一のなぐさめだった。
(支部長)「人の不幸を喜ばんといて下さい!足はつるし、豆はできるし、マッサージでも受けてきますわ」
と言ってマッサージコーナーへ向かったが、なんと、とっくの昔に受け付けは終了している。
(支部長)「真に遅いランナーほどマッサージが必要なのではないか!?」
と憤る支部長であるが、制限時間を超えてゴールしたのでは、ちょっと無理か。

さらに、我々の怒りを買ったのは、うどんコーナーだ。塩江マラソンのようなマイナーな大会では、ボランティアのおばちゃんが誰にでも何杯でもうどんを食べさせてくれる。また小豆島の大会は参加者が多いが、ボランティアのおばちゃんの体制もしっかりしているので、いくらでもソーメン食べ放題だ。しかし、丸亀マラソンはうどん供給体制が貧弱で、以前から問題化している。そこで出場者にだけチケットが配られ、見物客には食べさせない体制に変えているのだが、それでも、ものすごい長蛇の列が出来てしまう。それを恐れて今年もすぐさま駆けつけたのだけど、そもそもゴールが非常に遅かったので、時既に遅く、並ぶ気力も沸かなかった。延々と並んだあげく、最後はうどんが無くなって食べ損なってしまった事もあるからだ。

家に帰ってからも足が痛い。最近は、山岳マラソンの塩江マラソンを走っても、全然へっちゃらで、痛くも何ともないのに、今回は、ものすごく足が痛い。歩くのが苦痛。翌日になると、さらにひどい状態で、階段の上り下りも苦痛が伴う。初めてマラソン大会に出た時のようだ。情けないなあ。

なお、同日開催された別府大分マラソンで四電陸上部の武田選手が優勝しました。こんなメジャーな大会で優勝するなんて、すごいなあ。途中でトップ集団から離されても自分のペースを守って淡々と走っていたら、前の選手が次々とペースダウンしていき、最後にトップに立ったなんて、やはり確実なペースを守るのが最良なのかもしれません。ヘタに欲を出して好記録を狙うのも考えものかなあ。

ところで、後日、竹葉選手からクレームが来る。
(竹葉)「僕はサボってませんよ」
(幹事長)「えっ!?高知支部長が、絶対にサボりやと断言しよったけど」
(竹葉)「確かに、前日は大酒を飲む予定があったので、出ないつもりだったけど、
     朝起きてみると、二日酔いなのに走れそうだったので、走りましたがな。
     二日酔いの前半はだめでしたが、酔いのさめ始めた後半はまあまあでしたよ」
なんと!慌てて大会のホームページで確認すると、二日酔いのくせに、僕から見れば速すぎるタイムでした。あらまーっ!

さらに、なんとなんと、驚いたことに、これまた絶対にサボったはずのF川の名前も載っている。5kmの部とはいえ、かなりの好記録である。て言うか、最近のF川としては、あり得ない記録である。絶対に不可能な記録である。竹葉選手はともかく、これは怪しい。絶対に怪しい。怪しすぎる。
(幹事長)「これこれ、F川くん。君はサボったんじゃなかったっけ?」
(F川)「い、いや、まあ、そのぅ・・・」
(幹事長)「しかも、最近の君にしたら、ものすごい好タイムやなあ。
       僅か2週間前の満濃リレーで死んでいた君とは別人28号のような記録やが?」
(F川)「え、ええ。ですから、そのぅ・・・」
(幹事長)「まさか同姓同名ではないわなあ?F川なんて変わった名前は他におらんやろし」
(F川)「あ、いや、ま、しかし、そこはそれ・・・」


〜おしまい〜




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