第25回 わかさぎマラソン大会
2010年7月24日(土)、青森県東北町で第25回わかさぎマラソン大会が開催された。
青森に赴任して、最初、東北町っていう名前を聞いたとき、えらく大胆な名前やなあ、と思った。伊予三島と川之江が合併した四国中央市というのも大胆不敵というか厚かましい名前だけど、この広い東北地方の中で東北町と名乗るのも大胆だ。
それから、土曜日に開催されるマラソン大会というのも、かなり珍しい。全国で開催されるマラソン大会の大半は日曜日の開催だ。個人的には、土曜日に開催してくれる方が、翌日、ゆっくりと休めるので嬉しい。
(石材店)「日曜日に開催されても、フルマラソンに出た時なんか、たいてい次の月曜日は会社を休んでるじゃないですか」
ま、そういう事より、7月末にマラソン大会が開催される事自体が、青森ならではの事だ。一般的にはマラソンのシーズンは冬を中心に、秋から春にかけて、だ。5月末のオリーブマラソンも、今年は雨のせいで気温が低かったので良かったけど、例年なら暑くて限界だ。これまでに出たマラソン大会で6月〜9月の夏季に開催されたものと言えば、標高が高い四国山地の真ん中で開催される四国カルストマラソンと汗見川マラソンくらいだ。
(石材店)「と言っても、どっちも地獄のような暑さですけどね」
四国カルストマラソンは、標高1400mくらいの高原なので、きっと涼しくて気持ち良いと期待していたら、確かに曇ったり木陰に入ったりすれば涼しいんだけど、炎天下は下界よりも日差しが強烈で暑いというか熱くて肌が痛い感じ。しかも空気は薄いし、なにより塩江山岳マラソンを上回るような急坂の山岳マラソンだったのだ。
(幹事長)「2回出たけど、あと50年は出る気がおこらんな」
これに比べれば汗見川マラソンは、ずっと登りとは言え、坂も緩やかだし、まだマシなんだけど、初めて出た3年前の大会は、なんと開催地の高知県本山町は、前日に観測史上過去最高の38.1度を記録し、その日の暑さ全国一に輝いている。高原なのに、涼しくないのだ。
(幹事長)「これも2回出たけど、あと20年は出る気がおこらんな」
て事で、いくら高原で開催されると言っても、やはり夏季のマラソン大会は出るべきではない、というのが軟弱なペンギンズのメンバーの共通認識となった。
それが、昨年、青森に来て、ピッグ増田に誘われて6月下旬の走れメロスマラソンに参加した。青森なら夏季でもそんなに暑くないだろうから、という理由だ。実際には、途中から快晴となり、結構、暑かったけど、それでも四国の暑さに比べればマシだった。
そして今回は7月下旬。山の上でない限り、普通なら考えられない時期だけど、さすがに青森は涼しいから可能なのだ。
開催地の東北町は「駅伝の町」として知られており、青森県の市町村対抗駅伝で、町の部で過去17回中15回も優勝している圧倒的な強豪町である。今日のマラソン大会自体は、そんなに大きな大会ではなく、僕が出るハーフマラソンは参加者が男子296人、女子41人のこぢんまりした規模だ。ただし、駅伝の町らしく、小学校低学年を対象にした2km、小学校高学年を対象にした3kmなど、小学生や中学生の参加が多い。なので、付き添いの父兄などを含め、和気藹々とした楽しい雰囲気だ。
コースは小川原湖の湖畔の道が基本なので、そんなに大きな坂は無いと予想される。距離もハーフマラソンだし、坂が無いし、しかも青森で気温も高くない、となれば、これは誰が考えても楽勝のレースだ。
(石材店)「て事で、例によって練習はサボりまくりですか?」
(幹事長)「ま、そこそこに」
マラソン大会に出たのは5月末の小豆島オリーブマラソンが最後だから2ヵ月のブランクがある。しかし、ずうっとサボっていたわけではなく、そこそこは練習している。しかも、ここんとこ出るレース出るレース連続して大会自己ベストを更新し続けている僕としては、多少、サボったところで大きな影響はあるまい。
(石材店)「連続大会自己ベストの件に関しては、大きな疑惑がありますけどね」
ちょうど1週間前、高松に帰っていた時、ちょっと走ってみたところ、アホみたいな暑さのため、5kmくらい走ったところで足が動かなくなり、サンポートの防波堤の上で、しばらく放心状態になっていたが、青森の涼しい場所でなら、一気に蘇るはずだ。
はずだった。
ところーが!この1週間は、日本列島は異常なまでの高温状態になってしまい、どこへ行っても35度を上回る灼熱地獄と化した。これは日本だけでなく、最近、世界中で異常気象が発生してて、なんとモスクワでも連日40度近い高温となって死者が多数出ている。こんな中で、青森だけが無傷という訳にはいかず、連日30度を超す暑さとなった。期待は、大会当日は雨が降るという天気予報だけだったのだが、天気予報は見事にはずれ、スタート前から炎天下の猛暑となった。
こうなると、いくらなんでも好タイムは望めないので、目標の設定は低くなる。現実的な目標として、昨年の走れメロスマラソンのタイムを上回れば良し、としよう。なんちゅうでも、初参加のレースなので、どんなタイムだったとしても、現在更新中の7レース連続大会自己ベストの記録が8レース連続に伸びるのは間違いない。
(石材店)「だから、初参加のレースの記録を自己ベストと言い張るのは止めて下さい」
参加者が少ないこともあるけど、それより最初から好タイムを期待していないってことで、あまりにも緊張が無いままスタートとなる。まるで練習で走っているような緊張感の無さで、最初は自然体で走ってみて、その日の調子を伺う。若い頃は、そうは言っても、最初は周りのハイペースにつられて、ついついオーバーペースになってしまって終盤にバテる、という愚行を繰り返したが、さすがに最近は周りを気にせず抑制したペースで走ることができる。
(石材店)「どう見ても、ペースを抑制しているというより、単に気合いが入ってないだけにしか見えないんですけど」
最初の1kmのタイムを見ると、ふむ、まあまあだ。決して早くはないけど、昨年の走れメロスマラソンのタイムは上回れるか。次の1kmも、ほぼ同じペースだ。前半は無理せずに、これくらいのペースで行き、後半、力が残っていればペースを上げて好タイムを狙おう、なんて思っていたら、あれれ?次の1kmになると、早くも一気にペースダウンしている。その後も、あれよあれよという間に急激にペースが落ちていく。暑いうえに、もわっと湿度を感じる。足が重くて動かない。周囲の人も、決して快調っぽくは見えないけど、それでも少しずつ抜かれていく。ここで気合いを入れて頑張るかどうか、ちょっとだけ悩んだけど、まだまだ前半なのに無理すると終盤に力尽きるのが目に見えているので、あんまり無理せずに体調にまかせてゆっくり走り続ける。
それにしても遅い。遅すぎる。一体、何が起こったんだ!?っていうくらい遅すぎる。確かに足取りは重いけど、時計が壊れてるんじゃないか、と思うくらい遅い。しかも、8kmを過ぎた辺りで湖から離れ坂を登り始める。坂と言っても、四国カルストマラソンや塩江山岳マラソンはもちろん、小豆島や庵治マラソンの坂に比べても緩やかな坂で、全然、大した事はないだけど、重くなった足取りには堪える。しかも、結構長かった。
ハーフマラソンくらいなら、前半は調子を見ながら作戦を考えながら走るって感じで、取りあえず余力を残しながら走るのが常だが、なんと今日は、早々に走るのが苦痛になり始めるる。「リタイアしたら気持ち良いだろうなあ」なんていう思いが頭をよぎる。まるでフルマラソンの終盤のような状態。
ひぃひぃ言いながら、なんとか折り返して自分より後の人数を数えていくと、なんと!ものすごく少ない!圧倒的に遅い!おかしい。これは、おかしい。確かに今日は暑い。暑すぎる。しかし、それはみんな同じだ。しかも青森の人は暑さに慣れてないから暑さに弱いはずだ。相対的には僕の方が有利なはずだ。それなのに、この遅さは何なんだ?結構、レベルが高かった八戸うみねこマラソンでも、なんとか半分以内には入ったのに、今日は後から数えた方が早いぞ。
(ピッグ)「去年の走れメロスマラソンの時は、暑さを味方にしてましたよねえ」
そうなのだ。確かに暑いけど、いくら暑いとは言っても、四国のレースのようなアホみたいな暑さではない。四国カルストマラソンや汗見川マラソンはもちろん、5月のオリーブマラソンや4月の徳島マラソンだって、天気が良ければもっと暑くなる。なので暑さには慣れているはずだ。それが証拠に、去年の走れメロスマラソンの時は、終盤、ペースダウンした地元の人達をごぼう抜きしたのだ。それが今回は、全然駄目だ。
前半に苦労した長い坂は、後半は下りになるので、ここだけは楽だったけど、その後は見るも無惨なペースとなった。さすがに、ここまでくればリタイアって事はあり得ないんだけど、早くゴールして休みたい、それなのに、いつまで経ってもゴールが遠い、って感じ。精神状態はフルマラソンの終盤と同じだ。歩こうとまでは思わないが、それは歩くとゴールがますます遠ざかるからだ。
途中、一人、道ばたに倒れ込み、係員らがあたふたしていた。それでも、倒れている人を見たのは、この一人だけだった。暑いとは言え、それほどの酷暑でもなかったのか。単に僕が絶不調だっただけなのか。
2kmおきくらいに給水所があるんだけど、最後の方は、水が切れていたりして、ますます悲惨な状況になる。せめて水くらいは十分に補給して欲しい天候だった。
終盤は歩いている人もけっこういるけど、まだ足は動くので、地道に抜いていく。そして、なんとか淡々とゴール。
一応、最後まで歩かずになんとかゴールできたし、まだ数kmは走れるような状態だったけど、スピードという点で言えば、それ以上、ペースを上げるのは不可能に近い足の重さだった。
余力を残して自己ワースト記録を達成した筆者
それにしても、久しぶりに達成感の無いレースだった。フルマラソンなら、どんなにタイムが悲惨でも、完走すれば、それなりに達成感はあるけど、ハーフマラソンごときで、この悲惨なタイムとなると、もう自分が嫌になる。
(石材店)「どれくらい遅かったんですか?」
(幹事長)「家に帰って調べてみて、びっくり!自己ワースト記録だった!」
もう信じられない。こんな所でハーフマラソンの自己ワースト記録が出るなんて!
(中山)「ビリから数えて僕が5番目で幹事長が10数番目だった塩江山岳マラソンより遅かったんですか!?」
(幹事長)「はい」
坂はあったとは言え、急な坂が9kmも連続して続く塩江山岳マラソンより遅かったのだ。
(矢野)「ビリから数えて15番目だった今治シティマラソンより遅かったんですか!?」」
(幹事長)「はい」
原因不明の絶不調の今治シティマラソンより遅かったのだ。あの時よりも、後には、まだ多数のランナーがいた事だけが救いか。
(支部長)「フラフラになって歩きまくっていた小豆島オリーブマラソンより遅かったん!?」
(幹事長)「はい」
今回は、全く歩かなかったにもかかわらず、坂という坂をことごとく歩いたレースより遅かったというのも不思議だ。
(石材店)「まさか灼熱地獄の登山マラソンである四国カルストマラソンより!?」
(幹事長)「はい」
灼熱急登の四国カルストマラソンは20kmレースなんだけど、それを21kmに換算したタイムより悪かった。絶対に、あり得ない!また、炎天下で、ものすごい長い坂を歩いて登った宿毛篠山マラソンよりも悪かった。
(ピッグ)「まさか、まさか、終盤、ずうっと歩いていた徳島マラソンより?」
(幹事長)「はい」
なんと、足を引きずりながら歩いた徳島フルマラソンのタイムの半分より遅かった。ハーフマラソンなのに、フルマラソンの半分より遅いって、普通ならあり得ない。しかも、徳島マラソン自体がボロボロだったのに。
(石材店)「ちょっと考えられませんねえ」
(幹事長)「あり得んやろ?」
て事で、確かに暑さは敗因の1つではあるけれど、それだけでは説明の付かない異常な遅さでした。
(幹事長)「全く原因不明だ。去年から続いていた絶好調の波が突如として無くなったようだ」
(石材店)「絶好調だったかどうかは別として、絶不調の波が来たのは間違いないですね。
て言うか、気合いの無さ、と言うか緊張感の無さと言うか、精神的な面も大きそうですね。
さすがに、この記録で、大会自己ベスト連続8レース達成なんてアホな事は言わんでしょうね」
(幹事長)「さすがに、その話題には触れたくないな」
さて、次のレースは2ヵ月後の弘前アップルマラソン(フルマラソン)だ。それまでに立て直す事ができるだろうか?
〜おしまい〜
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