第52回 こんぴら石段マラソン

〜 楽しさ溢れるお気楽マラソン 〜



2017年9月24日(日)琴平町金比羅宮(こんぴらさん)で第52回こんぴら石段マラソンが開催された。
今年で第52回だから、由緒正しいレースと言える。こんな超マイナーな草レースが50年以上も続いているなんて、本当に驚異的な事だ。その理由は、やはり文句なしに面白いからだろう。

(ピッグ)「でもペンギンズの参加は少ないですよね」
(幹事長)「今回で3回目やもんな」


50年以上も続いているこんぴら石段マラソンだけど、ペンギンズが参加するのは今年でまだ3回目だ。初参加したのは5年前の第47回で、参加したのは支部長と國宗選手の2人だけだった。もちろん私も誘われたんだけど、娘を連れてキャンプに行ったので参加できなかったし、ヤイさんは村の秋祭りで獅子舞をせねばならないとの事で参加しなかった。2回目に出たのは3年前の第49回で、その時は支部長と私とピッグの3人で出た。

なぜ、このマラソン大会は面白いのに、過去の参加が少ないかと言えば、あまりにも超マイナーなので見落としがちになるからだ。草レース探検家のピッグを筆頭に、我々はこういう草レースにはとても興味があるんだけど、こんな草レースはランネットなんかには出展されていないから、いつから申込み可能なのか分かりにくいし、そもそも存在すら忘れがちになり、存在を思い出すのは例年、「今日、金比羅宮で石段マラソンが開催されました」っていう夕方のテレビニュースを見たときだ。もちろん、レースが終わってから気付いたんでは間に合わないんだけど、認知症が着実に進行しているしている今日この頃では、東京マラソンや丸亀マラソンといったメジャーな大会の申し込みでさえすぐに忘れて慌てるくらいだから、こんぴら石段マラソンみたいな超マイナーな草レースの存在は、残念ながらあっという間に忘れてしまうのだ

で、今年はたまたま7月中旬に琴平町のホームぺージを確認したら、8月1日からエントリー受付って書いてあった。定員に達しない限り「当日受付可」とも書いてある。事実、5年前に支部長らが参加した頃は、当日受付でも走れたらしい。古き良き時代だ。もちろん異常なまでのマラソンブームが吹き荒れている今では、当日まで定員に達しないなんて事はあり得ないので、すぐさま申込用紙をダウロードして必要事項を記入して準備し、忘れないように備忘メモをあちこちに貼りまくって、8月1日の朝一番でファックスで申し込んだのだ。その直前に富士登山競走と富士山登山と天城山登山を3日連続でこなし、疲れ果てて高松に帰ってきた翌日だったので、よく覚えていたもんだと我ながら感心する。

(ピッグ)「いつまでエントリーは受け付けていたんですか?」
(幹事長)「その日の夕方まで」
(ピッグ)「ひえ〜!」


ランネットなんかには一切情報が出てこない超マイナーなウルトラ草レースなのに、エントリー受付開始の8月1日の夕方には受付は終了してしまった。まさに瞬間蒸発だ。過去、2〜3年に一回しか出場できていないのも、この異常なまでのエントリー競走に敗れたからだ。

なぜこんなにエントリー競走が激しいかと言えば、伝統ある面白い大会だってこともあるが、超マイナーなため募集人数が700人と、とっても少ないことも大きな理由だ。
なぜそんなに募集人数が少ないかと言えば、交通規制が無くて、いつもと同じように一般の参拝客が大勢歩いている狭い石段をランナーが駆け上がり駆け下りるため、参加者が多いと、とっても危険だからだ。

(ピッグ)「700人っていう数も微妙ですねえ」
(幹事長)「申し込んでおきながら出ない人もいるから、歩留まり70%、実参加500人くらいで見積もってるんじゃないか?」


こんな楽しいマラソン大会なのに歩留まりが悪いのは、参加料が無料だからだ。今どき、参加料が無料のマラソン大会なんて、とても珍しい。過去を振り返っても、6年前に出た青森県南部町のうぐいすマラソン大会くらいしか出たことない。お金を払ってれば、もったいないから可能な限り参加するが、無料だと、申し込んでいても、当日になってちょっと都合の悪い事があったら、即、参加取りやめにする。こんな競争率の激しい人気大会を平気でキャンセルするなんて、大きな迷惑なんだけど、ま、歩留まりを考えて多めに受け付けているんなら、いいか。
(以上、「歩留まり」も「多めの受付」ってのも、全て勝手な推測です)


〜 お得なマラソン大会 〜


こんぴら石段マラソンは大変お得なマラソン大会だ。参加料が無料っていうだけではない。無料の上に参加賞としてTシャツをくれるのだ。参加料が無料なのにTシャツをくれるなんて、もうあり得ない。6年前に出た南部町うぐいすマラソン大会では、当然ながら何もくれなかった。実は5年前に支部長と國宗選手が参加した時は、Tシャツなんてくれなかった。それが3年前に出た時は、デザインの良いTシャツをくれたのだ。
マラソン大会の景品のTシャツって、品質自体は、昔のように何回か洗濯したらクタクタになるような粗悪なものから、最近は丈夫なものになってきたが、デザインはたいていダサく、使い道に困るようなTシャツが多い。早くボロボロになって捨てられるんならまだいいけど、品質が良くなっていつまでもくたびれないから、かえって始末に困るのだ。ところが、3年前にもらったTシャツは、とっても素敵なデザインだった。参加費が無料なのに、なんでこんな素晴らしいTシャツをくれるんだろうと不思議だったが、その時ちょうど、全国門前町サミットというイベントを琴平町で開催していたので、Tシャツはたぶん門前町サミットの予算から出ているんだろうって結論づけた。なので、Tシャツをくれるのはその年だけだろうと思っていたのだ。ところが、その後、他のマラソン大会で、我々がもらったTシャツとは異なるデザインのこんぴら石段マラソンTシャツを着ている人を見かけることがあり、その後の大会でもTシャツをくれている事が分かった。

(支部長)「えらい太っ腹が続くなあ」
(幹事長)「門前町サミットの予算が余ってしまい、それを使い続けてるんやないか?」

(もちろん「門前町サミットの予算」ってのも勝手な推測です)

実は今年は夏場もマラソン大会が立て込んでて忙しい。6月上旬の北山林道駆け足大会7月下旬の富士登山競走9月初旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと、山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールが続き、今回の石段マラソンは、その間に強引に入っている。
3年前に私が初めて出た時は、6月末の徳島航空基地マラソンの後、11月末のタートルマラソンまで5ヵ月もマラソン大会が無かったため、このこんぴら石段マラソンに出る必要があった。こんなマイナーな草レースに出たからと言って、あんまりトレーニングにはならないんだけど、何も出ないのは寂しすぎるからだ。でも、今年は違う。山岳マラソン4連戦は、いずれも過酷なレースであり、2週間後の龍馬脱藩マラソンのフルマラソンを控えて、石段マラソンなんていうたわけたレースになんか出てないで真面目に練習すべき時期だろう。しかしながら、競走の激しいエントリーを勝ち抜き、参加料も無料でTシャツまでくれるありがたいマラソン大会なので、やはり万難を排して参加しなければならない

ただし、雨の場合はちょっと考えなければならない雨に濡れると石段は滑るからだ。大会の実施要領にも「雨天の場合及び荒天の時は中止(石段が濡れると非常に危険な為、小雨でも中止となる場合もあります。)」なんて書いてある。普通のマラソン大会なら、多少の雨風というか、トンでもない暴風雨であっても、中止になる事はない5年前の第5回とくしまマラソンでも分かるように、悪天候のため中止するなんていう発想はマラソン関係者の辞書には載っていない。我々にしたって、7年前の第33回小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは雨に対する抵抗感は払拭されている。だがしかし、石段マラソンとなると雨は怖い。どう考えても下りの石段は滑る。滑って尾てい骨を打撲してしまう。ヘタしたら頭蓋骨だって陥没してしまう。雨の日の石段は、あまりにも危険だ。なので、小雨であっても大会は中止になる可能性があるのだ。
3年前に出たときは、レースの数日前の天気予報では季節外れの大型台風に直撃される恐れが出ていたので、ヤキモキした。結局、当日は雨も降らず、無事に大会は開催された。今年も1週間前には超大型台風が直撃し、県内でも大きな被害が出たが、大会当日は良い天気になりそうだったので心配はない。

参加するのはのほか支部長、ピッグ、國宗選手、出木谷選手の5人だ。ヤイさんは、今年は村の秋祭りとは実施日がズレたが、12月の那覇マラソンまでに肉離れを完治させるために、それまではレースは控えている。
て事だったんだけど、例によって直前になって國宗選手からドタキャンの連絡が入り、参加するのは4人となった。

(ピッグ)「あれ?今回はいつものような國宗さんとのドタキャンの会話は書かないんですか?」
(幹事長)「あまりに頻繁すぎて、もう書くのに飽きた」


他の人の場合なら、上に書いたように、参加料が無料だから平気でドタキャンするんだろうって思うところだが、國宗選手に限って言えば、最近は3回に2回はドタキャンしているので、今回も参加料が無料っていうのが理由ではなく、休日出勤が理由だろう。


〜 金刀比羅宮へ出発 〜


金刀比羅宮までは電車で行くか車で行くか、少しだけ迷うところだが、今年も車で行くことにして、支部長に車を出してもらった。支部長の車に4人が乗り込み、8時頃に高松を出発した。琴平まで普通なら1時間くらいかかるけど、スタート時間は10時で、受付は9時半までだから大丈夫だろう。
参加する5人のうち、初参加は出木谷さんだけだ。

(出木谷)「初めて出るレースはワクワクしますね」
(幹事長)「私も2回目だから、まだまだワクワクしてますよ」


この大会は、5年前に支部長らが参加した時は、30歳代までの選手は石段が1368段ある奥社まで走って折り返すが、40歳代以上は785段の金比羅宮本殿で折り返すコースだった。でも3年前には若い人も含め、全員が785段の金比羅宮本殿で折り返すコースとなった。どうせなら奥社まで走っていきたいところだが、主催者としては早く終わらせたいのかもしれない。
途中の金比羅宮本殿までとは言え、最初聞いたときは、785段もの石段を駆け上るなんてめちゃめちゃ大変そうで、途中で心臓麻痺で死ぬんじゃないかと不安になった。でも、参加経験のある支部長と國宗選手に聞くと、二人とも「楽勝だった」と豪語する。本当かなあと半信半疑ながら3年前に初参加してみたら、彼らの言う通り、本当に楽勝だった。もちろん785段の石段が大変なのは事実で、駆け上がるのは不可能だ。テレビニュースの映像を見ると、先頭集団はものすごいスピードで駆け上がるマニア的なランナー達だが、我々はどんなに頑張っても一生懸命早足で歩いて上るのが関の山だ。でも、途中で力尽きる事はなく、頑張って上っていくうちに、割りとあっさりと上りは終わってしまった。思ったほど厳しいレースではなかったのだ。
むしろ恐いのは下りだ。上りはしんどいけど、しんどいだけで危険性は無い。下りは石段から転げ落ちる恐怖と隣り合わせの危険なレースとなる。一つ間違えば、転がり落ちて全身骨折か、運が悪けりゃ頭を打って死んでもおかしくない。絶対に恐いので、慎重に下らなければならない
ただ、このレースの制限時間は1時間30分で、最初から最後まで歩きっぱなしでも楽にゴールに間に合うような緩い時間設定となっているから、焦る必要は全くない。3年前に出たときは、途中で写真を撮ったり参拝したりしながらダラダラ進んだが、結局、往復で20分ちょっとだった。

(出木谷)「トレーニングとしてはあんまり意味ないですかね?」
(幹事長)「あくまでもレジャーですね」


最近、ますます上を目指す出木谷さんは、なんと今年は2つも100kmウルトラマラソンにエントリーしていた

(幹事長)「で、丹後ウルトラマラソンはいつでしたっけ?」
(出木谷)「それが台風で中止になったんですよ」


なんと、つい先週の日曜日が開催予定日だったんだけど、大型で強い台風18号が日本列島を直撃し、丹後ウルトラマラソンも中止になったとのことだ。台風18号は先週の日曜日に九州や四国を直撃し、その後、史上初の主要4島全て(九州、四国、本州、北海道)に上陸した台風として北陸地方も縦断していったので、丹後地方も大荒れだっただろう。四国では天気が大荒れになったのは午後になってからだったのだ、午前中に終わるような普通のマラソン大会であれば丹後地方なら大丈夫だったろうけど、早朝に出発しても終わるのは暗くなってからのウルトラマラソンでは、制限時間内にゴールできなくなって夜中に山中に取り残されて台風に直撃される人が出るだろうから、中止はやむを得なかっただろう。
て事で、出木谷さんのウルトラマラソン出場は10月15日の四万十ウルトラマラソンだ。

(幹事長)「それって龍馬脱藩マラソンの翌週ですよね?」
(出木谷)「ちょっと無謀ですかね」


龍馬脱藩マラソンはハーフマラソンの部なら大したことないが、フルマラソンの部は壮絶な戦いとなる。それに出た翌週に四万十ウルトラマラソンなんて、さすがに無謀以外の何ものでもないと思うのだが。

車で走っていると、途中でランニングしている10人ほどの集団がいた。小さな荷物を背負っているから、単なるトレーニングと言うより、こんぴら石段マラソンに参加するために走って向かっているように見える。

(支部長)「マラソン大会に行くのに走っていくなんて自殺行為やなあ」
(幹事長)「距離が短いお遊びレースだからかな」


こんぴら石段マラソンは距離が短く実力のあるランナーなら物足りないレースなので、せめて行き帰りは十分に走ろうっていうつもりなんだろう。

(ピッグ)「どこから走ってるんでしょうね?」
(幹事長)「高松からだと琴平まで30kmはあるから、途中の綾川町あたりからやろな」


などと勝手な想像をするが、怪しい実力者集団だ。


〜 金刀比羅宮に到着 〜


初詣の時は死ぬほど渋滞する金比羅さんだが、普段の日曜日は道路が空いていて、順調に予定通り9時頃に到着した

(出木谷)「マラソン大会がある割りには空いてますね」
(幹事長)「参加者数が僅か700人ですからね」


金比羅さんには参拝客用の駐車場がたくさんあるが、駐車場も空いていた。たいていの駐車場はお土産物屋さんが経営していて、お土産を買った人はタダだけど、買わない人からは駐車料金を取るというシステムだ。特にお土産を買うつもりもないが、取りあえず会場に一番近い駐車場に停める。1回700円だったが、時間制限は無いので、決して割高な料金ではない。

大会会場は、参道に入ってすぐの所にある金陵の郷で、ここで受付をする。参加費無料の大会なので事前に参加証なんてものは送られてきていないから、ちゃんと参加申込みが通っているかどうか少し不安だったが、間違いなく全員分の名前が登録されていた。
受付をすると期待通り新しいTシャツをくれた。3年前にもらったTシャツと同じく、真っ黄色の生地にマスコットキャラクターのこんぴーくんをあしらったポップで良いデザインだ。参加費が無料なのに、こんな素晴らしいTシャツをくれるのが嬉しい。レースに参加するには、ゼッケンの代わりにこのTシャツを着て走らなければならない。一般の参拝客が歩いている中をかき分けて走っていくレースだから、誰が参加者か分かるように、よく目立つ黄色のTシャツになっているのだ。ゼッケンの代わりとは言え、みんな同じでナンバーは付いていない。タイムも計測しないし順位も数えてくれないからだ。以前は順位を付けてくれていたようだが、私が初参加した3年前から順位は競わず自分のペースで走る大会に変更されたらしい。あくまでも参加する事に意義がある健脚大会であり、自己満足のために走るマラソン大会なのだ。もちろん、はなから観光がてらの物見遊山で来ている我々にとっては何の問題もない。
ただ、3年前はTシャツのほかに、うどん引換券と無料温泉入浴券もくれたんだけど、今年はくれなかった。なんでも、思った以上に参加者が増えてTシャツだけで予算が無くなったためにうどん券と温泉県は中止になったそうだ。当初の定員は700人だったんだけど、申し込みが多く、結局、参加者は900人に増えたらしい。他の大会のようにインターネットでエントリーを受け付けるのであれば、定員に達した段階で受付終了にできるが、この大会はファックスでの受付だから、途中でいきなり中止することができず、取りあえず申し込み開始初日の8月1日は最後まで受け付けた結果、定員をオーバーしてしまったらしい。恐るべきマラソンブームだ。
ま、そもそも参加料が無料なんだから、仕方ないか。それに、ゴールした後は金刀比羅宮御守りや飲料はもらえるらしい。

(ピッグ)「今日は着るものに悩まなくていいですね」
(幹事長)「その意味でも良い大会やな」


今頃の季節は暑くも無いし寒くも無いから、もともとウェアに悩む要素は少ない。とは言え、何を着ても自由なら、短距離だからタンクトップにしようか、なんて悩む余地も出てくるが、参加Tシャツの着用が義務付けられているからスッキリしている。下は、黄色のTシャツに合わせてオレンジのランニングパンツを履く。

(ピッグ)「色合いは良いと思いますが、派手ですねえ」
(幹事長)「目立って良いやろ?」


このマラソン大会は全員が同じTシャツを着ているから、メンバーの姿を見失いがちになるのだ。

(支部長)「でもランニングシューズが最近よく履いているオレンジ色と違うな」
(幹事長)「石段用と言うことで、変えました」


石段用の専用シューズがある訳ではないが、今日は底が薄目の本番用シューズではなく、底が厚い練習用の安物シューズを履いてきた。石段の下りは衝撃が大きいからだ。

楽ちんレースなのでスタート前だと言うのに浮かれっぱなしのメンバー
(左から出木谷さん、幹事長、支部長、ピッグ)


参加Tシャツへの着替えが終わっても、まだまだスタートまでたっぷり時間があるので、暇つぶしに門前町をブラブラ散策する。こんな超トリッキーなコースの草レースでも、ウォーミングアップやダッシュしている選手はいる。

(幹事長)「さすがに今日は距離が短いし、いきなりの急登だから少しはウォーミグアップする?」
(支部長)「いや、いかん。我々のようなレベルのランナーは小出監督からウォーミグアップ禁止令が厳しく出ている!」


て事で、今回もまったりとした時間を過ごす。
しばらくすると、ようやく9時半の開会式になったので会場に戻る。注意事項を聞いていると、参加者が多いので、混雑を避けるためにスタートは年齢別に分かれてスタートするらしい。タイムも順位も競わないため一斉にスタートする必要は無いのだ。ただし、今年はピッグや出木谷さんが遂に50代になったため、全員が50歳代の部に出るので、一緒にスタートだ。
折り返しの本殿で通過証を受け取り、ゴールしたら通過証と引き替えに御守りなんかをもらえるとのことだ。「2回走ってもいいですけど、2回目の時は通過証を受け取らないでください」なんて言ってるから、御守りは2個は貰えない。

(ピッグ)「て言うか、2回も走る人がいるんですかね?」
(幹事長)「1回じゃ物足りなくて何度も走る人がおるんやろな」
(出木谷)「それは可能なんですか?」
(幹事長)「出木谷さんなら3回は行けますよ」


制限時間は1時間30分もあり、3年前はスタートからゴールまで20分ちょっとだったから、単純に計算したら4回は行ける。だんだん弱ってくるだろうけど、それでも3回は行けるだろう。

開会式が終わって前方を見ると、可愛い女性が2人いるこんぴら観光大使の方だ。彼女たちがいる場所だけ光り輝いているので、躊躇うことなく一緒に写真を撮ってもらった。

ウォーミングアップなんて無視して観光大使と戯れて喜ぶメンバー


いよいよスタートの時間となり、スタート地点に集合する。狭い参道は黄色いシャツを着た集団に埋め尽くされた
まず最初は39歳以下の男子がスタートし、その3分後に40歳代男子がスタートした。

スタート地点を埋め尽くす黄色い集団


次は我々の番だ。タイムも順位も競わないゆるいマラソン大会だが、どうせなら3年前より速く走りたい。とは言っても、3年前の記録は、このホームページの記事にしか残ってなくて、それによると「20分ちょっと」と言う表現になっている。「ちょっと」ってどういう意味がよく分からない。

(幹事長)「20分から21分の間やろか?それとも20分から29分までの間やろか?」
(ピッグ)「いくら幹事長でも29分を20分ちょっととは言わないでしょう?」
(幹事長)「いや、4時間59分でも4時間台って言い張る私やからな」
(支部長)「自分で自分が信じられんわけやな」


いずれにしても20分を切れば前回よりは速いってことで、大会自己ベストの達成となる。

(ピッグ)「こんな草レースでも大会自己ベストを目指すんですね?」
(幹事長)「もちろん!どんなレースであれ、出場する限りは、目標は常に大会自己ベストの更新だ!」


こんな草レースだからこそ、大会自己ベストくらいしか目標が思いつかない。

(支部長)「こなな草レースに目標なんて要らんやろ」


〜 スタート 〜


40歳代男子がスタートした3分後に50歳代男子のスタートとなり、我々全員が一緒のスタートとなった。
たぶん、最前列に陣取ったようなランナーはロケットスタートでダッシュで飛び出していったんだろうけど、我々を含む大半のランナーは慌てずに走り始める。距離が短いマラソン大会だからペース配分なんかを気にする必要はなく、最初から全力疾走してもいいんだけど、ほぼフラットな参道は最初だけで、どうせちょっと進むとすぐに急な石段となり、そんなにハイペースで走る事は不可能になるからだ。

スタート直後からゆったりしたペースで始まる


タイムも計ってくれないし、順位も付けてくれない緩い大会なので、今日もカメラを持って写真撮影しながら走る事にする。

(ピッグ)「大会自己ベストを狙っている割には気合いが入ってませんね」
(幹事長)「前回も写真を撮りながら走ったから、同じ条件だよ」


一方、支部長とピッグは割と真剣に走っている。

一応、真剣に走っている支部長とピッグ


スタート直後のフラットな区間を少し走ると、参道は石段に変わる。最初は石段とフラットな部分が交互に現れるが、だんだん石段が多くなる。フラットな区間で多少、出遅れたとしても、所詮この大会の勝負どころは石段であり、石段をどれくらい粘り強く上れるかで勝敗は決まる。土産物屋が立ち並ぶ狭くて急な石段を早足で歩いて上る。傾斜45度の急な石段なので駆け上がることは不可能だ。
ところが横を見ると、なんとピッグが1段飛ばしでガンガン上っていく。まだ序盤なので力は余っているから、こういう時は1段飛ばしくらいでガンガン上がっていった方が歩きやすいし、気持ちも良い。でも登山の時は、急登を大股でガンガン上っていくのは禁物だ。絶対に後から疲れがドッと出てくる。なので私はピッグがどんどん離れていくのを気にせず、チョコチョコと1段づつ上がっていく。1段づつ上がるのは歩幅が狭くて、とても歩きにくいが、我慢してチョコチョコ上がっていく。いくら元気があっても、決して飛ぶように上がってはならず、無駄なエネルギーを使わずに着実に歩いて上がらなければならない
一方、出木谷さんは一段飛ばし走法ではないが、着実に差を広げながら前の方を走っていく。

急な石段が始まると歩いて上がっていくしかない


急な石段が続くが、ずうっと傾斜45度の急な階段が連続する訳ではなく、ときどき数メートルほどのフラットな部分もあるので、一瞬だけ一息つきながら上っていく。すると、さっきまで一段飛ばしでガンガン上がっていたピッグが早くも脱落してきた。既に一段飛ばしは止めているが、一段づつ上がるのも苦労して一気にペースダウンしている。一方、出木谷さんの姿は見失ってしまった。
お土産物屋さんが立ち並ぶ一之坂が終わると365段目に大門があり、そこをくぐると五人百姓がいる。大門から中が金刀比羅宮の境内であり、境内で商売が許されているのは五人百姓だけだから、ここから先は落ち着いた境内の雰囲気となる。

五人百姓を過ぎると静かな境内に入る


五人百姓の前を走り抜けると桜馬場に出る。ここは階段が無くてフラットな上、とても清々しくなる気持ちの良い区間だ。こういう道なら、いつまでも走ってみたくなる。
桜馬場を抜けると、いったん左に曲がり、馬舎の前を右折して、再び石段の区間が現れる。石段は急だけど、表参道と違って広々としているので、これまた気持ち良い。石段を駆け上がるなんて、聞いたら大変そうだけど、早足で上がるっていうイメージなので、不可能ではない。とは言え、呼吸は苦しく、自分でも大きな声でゼイゼイ言ってるのが耳障りだ。

走りやすい広い石段だが体力的には限界が近づきつつある


石段を上ると628段目に旭社があり、その前を右折してフラットな道を走ると、最後に本宮へ向かう急で長い石段が現れる。旭社から本宮へ上るルートは石段が狭くて急で長いため、上りと下りが別々に分かれた一方通行の回廊区間となっている。とっても急で長い石段なんだけど、これが最後の上りなので、上を見ずに足下だけを見てひたすら頑張って一気に上ると、ようやく最高点に達してホッとする。急な石段を上がっている最中は、息も苦しくて限界のように感じられたが、終わってしまうと思った通り楽勝だった。足も呼吸も全然平気だ。全く物足り無いくらいだ。是非とも奥社まで行きたいところだ。

参加者は本宮で参拝する事が義務づけられているので、お賽銭は持ってきてないが、手早く参拝する。
折り返し点で通過証を貰わなければならないが、それらしき場所が見つからない。ま、どうせ何とかなるだろうと思って、あんまり探すのは止めて、参加証は諦めた

実質的には上りが終わる本宮がゴールのようなものだが、実際にはここから下って帰らなければならない。時計を見ると、上りで12分かかっている。下りを8分で走れば合計で20分だ。上りが12分なら下りは半分くらいで行けそうに思えるが、よく分からない。下りは上りより楽と言えば楽だけど、滑ったら大怪我をするので、精神的には緊張する。雨で濡れたりはしてないので、滑りやすくはないんだけど、それでも油断は大敵だ。それに石段は急なため、足への負担も思った以上に大きくて、足を故障しそうでとても走りにくい。
こわごわと石段をしばらく駆け下りていくと、フラットな桜馬場の区間に出る。ここは緊張感を休めながら気持ち良く走ることができる。

フラットな区間では一息つきながら走る


五人百姓の前を通り過ぎると再び急で狭い石段が延々と続く。支部長なら下りに強いから、水を得た魚のように2段飛ばしでピョンピョンと跳ぶように降りていくところだが、私はそんな怖いことはできない。他の参加者を見ると、慎重に1段づつ下りていく人も多いが、さすがにそのペースでは大会自己ベストは無理だから、緊張感を持続させつつ1段飛ばしで下りていく。慎重に下りているつもりだが、それでも1段飛ばしで下りていると、かかとが石段に引っかかったりしてヒヤリとする事も多い。足を前向きにして下りると足が引っかかりそうになるので、体を横向きにして一段飛ばしで下りていく。結構、走りにくいが他のランナーを次々と追い抜いていくのは気持ちいい。

なんとか転ぶこともなく急な石段が終わり、最後の短いフラットな区間になった。急な石段の下りでは神経はすり減らしたけど、体力的には全く消耗しておらず、元気が余りまくっているので、フラットな区間は全力疾走する。とは言っても、あっという間に終わり、そういう意味では消化不良で、残尿感が残る最後だ。
ゴールすると観光大使のお姉さんがゴールテープを持って迎えてくれる

観光大使のお姉さんの笑顔に迎えられてゴール!


タイムは結局、合計で20分25秒だった。「20分ちょっと」という表現がふさわしいタイムだが、3年前の「20分ちょっと」というのと比べて早かったのかどうかは不明だ。なので大会自己ベストを達成できたのかどうかは分からない。もっと正確に記録しておけば良かったが、所詮こんな緩い草レースだし、写真を撮りながらの観光マラソンだから心構えが緩いから仕方ないか。写真を撮ったりしなければ20分は切れるだろうけど、それじゃつまんないし。ま、それでも3年間より悪くはならなかったのは確かだから、一応、満足と言うか、気持ち良くゴールできた。

ゴールして出木谷さんを探したが見あたらないので、ゴール横で待っていると、しばらくして出木谷さんがゴールした

(幹事長)「てっきり先にゴールしたのかと思ってましたけど」
(出木谷)「下りの石段を1段づつ慎重に下りてきたので、どこかで抜かれたんでしょうね」


私も自分の足下を見るのに必死で、他のランナーはほとんど見てなかったから、出木谷さんを追い抜いたのは気付かなかった。
ゴール横で一緒に待っていると、しばらくして支部長がゴールした。下りは快調に飛ばしてきたはずだが、思いの外くたびれている。上りで疲れ果てたようだ。
さらに、だいぶ経ってからようやくピッグが帰ってきた。表情は支部長に比べてずっと元気だが、あまりにも遅い。30分くらいかかっている。いくら何でも遅すぎる。

(幹事長)「舐めとんか?」
(ピッグ)「途中から観光参拝に徹しましたからね」


なんにせよ、みんな怪我もせず完走できたので良かった良かった。正直なところ、ちょっと物足りなくて、もう1回は上がりたくなる。3回往復したら景品でも貰えるのなら行きたいところだ。


〜 反省会 〜


ゴールすると、通過証と引き替えに金比羅さんのお守りをもらえる。通過証は貰えていないが、思った通り「通過証は分からなくて貰えなかったんですよ」って言ったら、あっさりとくれた。お守りのほか、お茶とおまんじゅうももらった。

今年は温泉のタダ券はくれなかったが、マラソン大会と登山の後は温泉に限る。この辺りはすぐ近くに温泉があるのだから、入らないっていう選択肢は無い。て事で、前回も行った桜の抄という温泉に行くと、12時からでないと入れないと言う。時間はまだ11時前なので、いくらなんでも長すぎる。もう1軒、近くにわたや旅館という温泉があり、そこなら11時から入れるとのことだったので、しばらく待って入ることにした。しばらく時間を潰してから11時ジャストに行くと、既に大勢のランナーが来ていて、浴場は混雑していたが、湯船でプカプカして足の疲れを癒すと気持ちいい。

お風呂から上がって休憩場に行くと、同じ会社の山Dさん達がいた。Y田さんは同じ会社とは言え、私はほとんど知らないが、支部長とは顔なじみだ。聞くところによると、なんと、朝、来るときに集団で走りながら来ていた人たちは、山Dさんらの一行だった。

(幹事長)「あれ?山Dさんって確か、牟礼がお住まいですよね?」
(Y田)「ええ、そうです」
(幹事長)「って、牟礼から琴平までランニングで来たんですか!?」
(山D)「はい」
(幹事長)「って、あなた、40kmくらいあるでしょ!?」
(Y田)「はい」


なんと、本番のマラソン大会の前に、牟礼から琴平まで40kmも走ってきたのだ!あり得なーい!
山Dさんは以前、丸亀営業所の勤務だった頃、時々丸亀から牟礼の自宅まで走って帰っていたと言う噂を聞いたことがある。丸亀から牟礼も30数kmはある。もう通勤ランという概念を超えた走りだ。

(幹事長)「まさか本宮まで何往復もしたとか?」
(Y田)「いえいえ、1往復だけです」
(幹事長)「まさか帰りもランニングで帰るとか?」
(山D)「いえいえ、もうお風呂に入ったから電車で帰ります」


彼はトライアスロンもやっていたんだけど、最近、頸椎を痛めたためロードバイクに乗ることができなくなり、それで最近はトレイルランニングに力を入れているんだそうだ。

(幹事長)「いや、その、トレイルランニングだって頸椎に支障はあるでしょ?」
(Y田)「そうですねえ、多少はありますね」


もう我々の常識を超越したような人間だ。もしかしたら人間ではないのかも。

軟弱な我々は、温泉に入って疲れを癒し、善通寺に寄って岸井うどんで昼食を食べる。岸井うどんはビニールハウスのうどん屋って事で一部で有名なうどん屋だが、最近、少しだけ移転した。移転したが、相変わらずのザッとしたビニールハウスで、夏は暑く冬は寒いという構造は変わっていない。ただ、今の季節はちょうど良い気候だから問題ない。

(出木谷)「期待どおり面白くて楽しいマラソン大会でしたね!」
(幹事長)「何のトレーニングにもならないけど、楽しさ爆発でしょ?」


他のマラソン大会に出るのに比べたら、朝の出発も遅くて大丈夫だし、終わってもまだお昼どきだし、マラソン大会そのものも楽しかったので、やはり来年以降も素早くエントリーして是非とも参加しなければならないぞ。


〜おしまい〜




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