第13回 徳島マラソン

〜 まさかまさかの中止 〜



2020年3月22日、第13回とくしまマラソンが開催される予定だった。

徳島マラソンには青森での単身赴任期間も含めて、12年前の第1回大会から欠かさず出場してきた。これは、近場で開催される貴重なフルマラソンだからだ。
もっと近場の小豆島では、大昔から瀬戸内海タートルフルマラソンが開催されており、徳島マラソンができる前までは、貴重なフルマラソン大会として参加していたが、瀬戸内海タートルマラソンは坂が多いと言うか、ほとんど坂ばかりの非常に厳しいコースなので、徳島マラソンができてからは、基本的にハーフマラソンにばかり出ている。

一方、徳島マラソンは坂がほとんど無いフラットなコースなので、とても走りやすい
今や日本中、至る所でマラソン大会が行われているが、フルマラソンでフラットなコースってのは意外に少ない。日本は山が多いから平坦なコースを片道21kmも確保できる場所は少ない、って事ではなく、交通規制の問題だ。東京都知事や大阪府知事みたいに絶大な権力を誇る政治家なら、警察も文句を言えないから、都心のど真ん中でマラソン大会を開催できる。
しかし警察に対して知事の力が強くない地方では、そう簡単にはいかない。香川県内では、交通量の少ない小豆島で行われる瀬戸内海タートルマラソンが唯一のフルマラソンだ。
小豆島に限らず、交通量の少ない山間部や島嶼部なら大がかりな交通規制をしなくても42kmのコースを確保するのは比較的簡単だから、多くのマラソン大会がそういうコースで実施される。ただ、当然ながら、そういう場所では、どうしても坂が多い厳しいコースとなってしまう。
なぜ徳島マラソンのコースは坂が無いフラットなコースなのかと言うと、知事の力が強いからではなく、吉野川という真っ直ぐな大河川の堤防を走るからだ。吉野川の堤防の上をコースにすれば、大して交通規制をしなくてもフラットで真っ直ぐなコースを確保できるのだ。
ただし、裏を返せば、これは徳島マラソンのコースがつまらないことを意味する。ただひたすら延々と吉野川の堤防を走るだけだからだ。はっきり言って途中から飽きてくる。なので、フラットではあるけど、精神的には厳しいコースと言える。
それでも、やはりフラットなコースと言うのは魅力であり、精神力さえあれば好記録が期待できる大変貴重なレースとして人気が高いレースなのだ。

そのため、徳島マラソンのエントリーに当たっては、激烈なエントリー競争を繰り広げてきた。

(ピッグ)「考えたら、あの熾烈なエントリー競争を13年間も勝ち抜いてきたって、すごいですね」
(幹事長)「すごい執念やろ?」

そして、今回も無事にエントリーを果たし、リベンジに燃えていたのだ。
リベンジと言うのは、去年の徳島マラソンからのリベンジではない。去年の徳島マラソンは、まあまあマシなタイムだった。その1ヵ月前の海部川マラソンでは惨敗していたため、不安を抱えての出走だったが、終盤でゾウさんと一緒に走ったおかげで、なんとか失速を免れたのだ。リベンジと言うのは、今年の1ヵ月前の高知龍馬マラソンの大惨敗からのリベンジだ。
去年と今年は同じようなパターンだった。去年は、2月初めの丸亀マラソンで快走し、その2週間後の海部川マラソンで惨敗し、その1ヵ月後の徳島マラソンではまあまあの成績だった。今年も、2月初めの丸亀マラソンで快走し、その2週間後の高知龍馬マラソンで大惨敗したから、同じように1ヵ月後の徳島マラソンでリベンジしようと思っていたのだ。

参加予定はのほか、支部長、ゾウさん、國宗選手、ヤイさん、D木谷さん、のらちゃんらだ。中でも、のらちゃんはフルマラソンのデビュー戦だったので、私と一緒にずうっとトレーニングに励んできた。

それなのに、ああ、それなのに、なんと新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった

(幹事長)「ひどい話やなあ」
(のら)「もうガックリだよ」


実は2週間前の3月8日に開催された第9回名古屋ウィメンズマラソン一般市民ランナーの参加が中止になった時に嫌な予感はしていた。
名古屋ウィメンズマラソンも、その1週間前の東京マラソンも、一般ランナーの参加が中止になったが、これは極めて非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ
素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないと走れないじゃないか。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない
新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外では感染しない。
スポーツと感染症に詳しい専門医師も「一般参加をやめればランナーが密集するリスクは減るが、日々の満員電車のリスクを比べると、マラソンをやめたからといって、ウイルスの広がりを抑えられるわけではない」と話している。

マラソン大会は、出場する選手だけでなく、沿道に大勢の観衆が集まるが野球やサッカーみたいに同じ場所で長く観戦する競技ではないから、それらに比べたら感染リスクは低い。もちろん、私は野球やサッカーの試合を中止にしろといってるのではない。感染リスクの無い屋外競技を中止にする愚かさを糾弾しているのだ。
別の専門医師も「少なくともマラソン大会で走っている間は感染の問題はない」と断言している。もちろん、スタート前の待機中では感染リスクはゼロではないかもしれないが、それとて満員電車に比べたら、遙かにリスクは少ない。
どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。新型コロナウイルスの蔓延より、このようなヒステリックな対応の蔓延の方が遙かに早い。

しかし、このヒステリックな対応の流れは大きくなりそうだと恐れていた。特に徳島マラソンは中止になりそうな気がしていた。なぜなら、徳島マラソンには前科があるのだ。
今から9年前に東北大震災が発生した時、なんと、遠く離れて何の関係も無い徳島マラソンは中止になってしまったのだ。あまりにも意味の無い勝手な忖度による中止だった。その当時、私は青森に住んでおり、青森もかなりの被害を受けた。それでも、青森県内では震災の直後からマラソン大会は例年通り実施され、私も数多くのマラソン大会に参加した。
それなのに、何の縁もゆかりもない遠く離れた徳島でマラソン大会が中止になるなんて、無意味で勝手な忖度以外のなにものでもない。
こういう前科があったため、今回も徳島マラソンは中止になるのではないかと恐れてたんだけど、不安は的中し、あっさりと中止が決まってしまった

また、9年前の勝手な忖度による中止は、完全な中止ではなく、延期であり、半年後の11月に開催された。そして、参加費はそのまま流用され、新たな費用は発生しなかった。単純に開催日が順延になっただけだった。
しかーし、今回は完全なる中止であるうえに、なんと既に払い込んでいた参加料は1円も戻ってこない。こんなバカな話があるだろうか。
もちろん、準備を進めていたのだから、既に発生している費用はあるだろう。しかし、当日に開催しないと発生しない費用も多いはずだ
毎年のように台風で中止になっている四国のてっぺん酸欠マラソンなんかは、中止になると、全額ではないが、払い込んだ参加料5000円のうち7割の3500円は払い戻してくれる。これだと良心的と言えるし、怒りも湧いてこない。
ところが、徳島マラソンの参加料は1万円もするくせにビタ一文戻ってこない。もう、これは詐欺だ。詐欺以外の何物でもない。

いや、別に私は参加料の払い戻しが無いから怒っているのではない。そもそも、たかが普通のインフルエンザに毛が生えたくらいの新型コロナウイルスを、バカみたいに恐れおののいて大騒ぎして、何でもかんでも中止にする風潮に腹を立てているのだ。
多くの国民がヒステリックに踊らされているのは、視聴率さえ稼げれば良いマスコミがキチガイみたいに煽り立てるのと、新型コロナウイルスの新規患者数をゼロにしようなんていう狂信的な妄想に取り憑かれた医療関係者の独善のせいだ。なので、こいつらを取り締まらない限り、思考停止に陥った主催者たちが、責任追及を逃れようと、何でもかんでも中止にしてしまうのだ。
このままでは今年のマラソン大会は全国的に全滅だろう。サイクリングイベントも全滅だろう。もうお先真っ暗だ。

何度も言うが、多くの大衆が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしているが、新型コロナウイルスはそれほど怖くはない。決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスではない。
もういい加減に、このような意味の無いヒステリックな対応は止めようよ!


〜おしまい〜




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