第11回 海部川風流マラソン大会

〜 好タイム続出のコースで大惨敗 〜


2019年2月17日(日)、徳島県海部郡海陽町第11回海部川風流マラソンが開催された。
去年、私としては初めて参加した大会だ

この時期はマラソン大会が立て込んでいる2月3日には丸亀マラソンが開催され、翌週の2月10日には坂出天狗マラソン愛媛マラソンが開催され、さらに翌週の2月17日に今回の海部川風流マラソンや高知竜馬マラソンが開催され、さらに翌週の2月23日には善通寺五岳山空海トレイルが開催される

このうち丸亀マラソンにはのほか支部長、ピッグ、ゾウさん、國宗選手、D木谷さん、のらちゃんなんかが出場し、坂出天狗マラソンにはゾウさんD木谷さんが出場し、愛媛マラソンにはピッグが出場し、今回の海部川風流マラソンにはのほか支部長、ピッグ、D木谷さんが出場し、善通寺五岳山空海トレイルにはのらちゃんが出場する。つまり、ピッグとD木谷さんは3週連続のレース、私も1週あけて4週間で3レースという超ハードな過密スケジュールとなっている。

なんでこんなに立て込んでいるかと言えば、もちろん今がマラソンシーズン真っ盛りだからだ。年間で一番寒い時期だから良いタイムが出やすいため、全国で多くのマラソン大会が開催されており、同じ日に色んな大会がダブっているのは珍しい話ではない。個人的には、あんまり寒いのは苦手なので、4月頃の方が嬉しいし、もっと分散してくれた方が色んな大会に出られて嬉しいんだけど、仕方ない。

そんな超過密スケジュールなのに、なぜこの海部川風流マラソンに出場したのかと言えば、良いタイムが出やすいと評判のレースだからだ。
初めて海部川マラソンの話を聞いたのは、6年前だ。6年前の第5回大会にピッグが出場したのだ。

(幹事長)「海陽町って、どこやったっけ?」
(ピッグ)「海南町、海部町、宍喰町が合併して出来た町で、徳島県の南の端で、高知県との県境ですね」


海南町とか海部町とか言えばすぐ分かるんだけど、海洋町と言われてもピンとこない。ここに限らず、平成の大合併で生まれた自治体は、名前を聞いても、一体全体どこの事やら分からなくて混乱してしまう。海部郡の3町が合併したんだから海部町で良いじゃないか、その方が分かりやすいじゃないか、って思うんだけど、そうなると旧海部町が残りの2町を吸収したみたいで具合が悪かったんだろう。
ま、それは良いとして、徳島県の最南端なので、高松からだとかなり遠い。なぜそんな遠方のマラソン大会にピッグが出場したのかと言えば、当時ピッグは阿南市に勤務していたからだ。阿南市からだと海洋町まで1時間もかからないくらいだ。


〜 好タイム続出の大会 〜


ま、それも良いとして、衝撃的だったのはピッグの記録だ。それまでは私の良きライバルだったのに、いきなり4時間10分という好タイムを出したのだ。これは衝撃的だった。

(ピッグ)「自分でも信じられませんでしたね」

その年の2週間前の丸亀マラソンでは、ピッグは私より遅かった。高齢化により最近は私が負けることが多くなってきたが、二人の走力にそんなに大きな差は無く、長年の良きライバルだ。そのピッグが海部川マラソンでは突如、あり得ないような好タイムを出したのだ。それでも、その時だけなら、何か魔が差したって事もあり得る。

(ピッグ)「悪い事したように言わないでください」
(幹事長)「私にとっては朗報ではないからな」


さらに衝撃的だったのは、その翌年の第6回大会では、さらにタイムを縮めて4時間7分という好タイムを出し、フルマラソン自己ベストを2年連続で更新した事だ。
こうなると、もうまぐれではない。その年の2週間前の丸亀マラソンでは私が負けてるが、ほとんど差は無かったから、ピッグの実力が一気にレベルアップした訳でもない。それなのに私が到底出せないような好タイムをピッグが2年連続で出せたと言うことは、理由は1つしか考えられない。

(幹事長)「コースの距離が短いんやな」
(ピッグ)「日本陸連公認コースですぅ!」


そして、なんと、この大会に限って好タイムを出しているのはピッグだけではない。D木谷さんもフルマラソンの自己ベストは海部川マラソンで出しているし、さらに阿南の魔女Y浅さんもフルマラソン自己ベストは海部川マラソンで出している。しかも、ピッグもD木谷さんもY浅さんも、海部川マラソンで出したフルマラソン自己ベストが、ほとんど同じ4時間7〜8分だったというのも偶然にしては出来すぎている。3人は、普段の実力は微妙に差があるのに、ほぼ同じってのは怪しすぎる

(幹事長)「日本陸連も巻き込んだイカサマじゃないのか?」
(ピッグ)「目的は何ですか?」


一体どのようなカラクリが仕込まれているのか分からないが、いずれにしても、誰が出ても4時間7〜8分でゴールできるシステムになっているようなのだ。

(幹事長)「どういう仕掛けになってるんだろう?」
(ピッグ)「誰が出ても、ってのは違うと思いますよ」


とにかく、みんなが好タイムを連発しているマラソン大会なので、絶対に走りやすいことは間違いない。そんな素晴らしい大会なら、一度、出てみようと思い、去年、私も初参加したのだ。
丸亀マラソンの2週間後ってのは、少し不安だったが、他のメンバーが海部川マラソンで好タイムを出したのは、いずれも2週間前に丸亀ハーフマラソンを走った時だから、疲れが残るマイナス効果よりも、ちょうど良い練習になっているというプラス効果の方が高いのかもしれない。

去年は、D木谷さんからこの大会の話を聞いて慌ててランネットでエントリーしようとしたら、既に定員いっぱいでエントリーは打ち切られていた。辺鄙な場所で開催される田舎のマラソン大会が定員いっぱいになるなんて、以前ならあり得なかったんだけど、最近は世紀末的なマラソン狂走曲のせいで、こんなローカルなマラソン大会でも申し込み受付が始まったら、あっという間に定員いっぱいになり、油断して少しでも申し込みが遅れると参加できなくなってしまうのだ。
しかも、この海部川マラソンランネットのマラソン大会の人気ランキングで上位の常連になっており、かなりの人気の大会なのだ。おまけに定員は僅か2000人で、今どきのマラソン大会としては少ない。評判が良い大会なのに定員が少ないため、すぐ定員いっぱいになってしまうのだ。
しかし、この大会は、定員2000人のうちランネットでのインターネット申し込みの定員は1800人で、ほかに専用振替用紙での申し込み枠ってのが200人分あるインターネットを使えない人のために親切にも別枠で郵便振替で申し込めるのだ。この制度を悪用して・・・、もとい、活用して、町役場に電話して専用振替用紙を送ってもらい、郵便振替で申し込む事ができた。

苦労してエントリーした去年だが、結果は、4時間7〜8分という好タイムは出せなかった。私には秘密のからくりが適用されなかったようだ。

(幹事長)「差別だ!」
(ピッグ)「実力ですってば」


それでも、最近の長期低落傾向に歯止めをかけたと言える、まあまあのタイムでゴールすることができた。その翌月の徳島マラソンでは、相変わらず目を覆うばかりの惨敗だったから、私の力が持ち直してきた訳ではなく、やはり海部川マラソンは好タイムが出やすいのだろう。
ちなみに、4年ぶりの出場となったピッグは、なんと遂にサブ・フォーを達成してしまったのだ。

(幹事長)「イカサマだ、絶対にイカサマだあ!」
(ピッグ)「なんとでも言ってください。あっはっは」


これで調子に乗ったピッグは、その後、去年11月の大阪マラソンでもサブ・フォーを達成したし、つい1週間前の愛媛マラソンでもサブ・フォーを達成してしまい、すっかりサブ・フォー・ランナーの仲間入りとなった。

しつこいようだが、私とピッグはハーフマラソンではタイムはほとんど同じだ。その2週間前の去年の丸亀ハーフマラソンのタイムと比較すると、私の場合は丸亀マラソンのタイムの2倍に50分足したくらいのタイムだが、ピッグの場合は丸亀マラソンのタイムの2倍に20分足したくらいのタイムだ。私の場合、フルマラソン方がハーフマラソンより1km平均で1分以上遅いが、ピッグの場合は30秒以下の差だ。

(幹事長)「一体どうしたというのだ?」
(ピッグ)「幹事長がフルマラソン遅すぎるんですよ」


たしかにNHKのランスマでも金さんは「ハーフマラソンのタイムの2倍に20分くらい足したものがフルマラソンのタイムの目安になる」なんて言ってた。そんなアホな、って思ったが、ピッグのタイムはそれに当てはまっている。やはり私のフルマラソンが遅すぎるのだろうか
ついでに言えば、ピッグだけでなくY浅さんも去年の海部川マラソンでサブ・フォーを達成した。

て事で、私も今年の大会では、もし可能であればサブ・フォーを目指したい、かな。

(ピッグ)「絶対に達成する、っていう意気込みが感じられませんが」
(幹事長)「冷静に考えたら、不可能な気がして」


サブ・フォーは難しいとしても、良いタイムは期待できるので、今年も迷わずエントリーした。今年は早めにエントリーしたので、普通にインターネットからエントリーできた。もちろんD木谷さんやピッグもエントリーした。
そして、さらに今年は、「絶対に良いタイムが出るよ」という私の甘言に騙されて支部長も出ることになった。

(支部長)「ほんまに良いタイムが出るんやろな?」
(幹事長)「間違いないで。一緒にサブ・フォー達成できるで」


て事で、去年に続いてD木谷さん、ピッグ、そして支部長が出場することとなった。D木谷さんは4年連続の出場、ピッグも4回目の出場、私が2回目、支部長が初参加だ。


〜 会場へ出発 〜


スタートは9時なので、日帰りで行くとすれば、かなり早朝に出発しないといけない。眠い目をこすりながら車を運転していくのはしんどいので、一人で行くのなら前日から移動していくところだが、今年は支部長様が車を出して頂けるということで、当日の朝、出発することとなった。
時間は余裕を持って最後の私の家を4時20分に出ることとなった。同じように遠方で、同じように9時スタートの龍馬脱藩マラソンでさえ5時出発だから、一番早い出発だ。いくら最近、老化が進んで、若い頃よりは早起きになったと言っても、自分で運転するのなら不可能な時間設定だけど、支部長はさらに超早起きになっているので、なんとか可能な時間だ。

当日、なんとか4時前に起き出して待っていると、支部長が車にD木谷さん、ピッグ、そしてT村さんを乗せてやってきた。T村さんはD木谷さんの部下で、去年のオリーブマラソンタートルマラソンにも一緒に行ったが、マラソン歴は浅く、デビューしてからまだ1年くらいしか経っていない。しかし、もともと素質があるらしく、とても速い。フルマラソンは去年のタートルマラソンが初レースだったが、デビュー戦でいきなりサブ・フォーを達成している。

(幹事長)「学生の頃は何かスポーツやってたん?」
(田M)「いえ、美術部でした」


漫画みたいな話だが、何のスポーツの経験も無いのに、走り始めていきなりサブ・フォーを達成するなんて、やはり才能の問題だろう。
マラソンは、誰だって勝手に走れるから、ついつい平等なスポーツのような気がするが、決してそんな事はなくて、他のスポーツと同じように才能が決定的な要因となる。トップ選手でも苦しそうに走っているのを見ると、他のスポーツより根性が大きく支配するスポーツのように見られがちだが、根性が必要なのはどんなスポーツでも同じだし、根性だけで実力が向上することが無いのも他のスポーツと同じだ

(支部長)「根性が無い我々が言うのはおこがましいけどな」

生まれつき才能がある人は、ちょっと走り始めたばかりでも、素晴らしいタイムを出せる一方で、我々のように才能も根性も無い連中は、どんなに経験を積んで頑張ったって、ロクなタイムは出ない。

(幹事長)「経験だけは豊富やけどな」
(支部長)「経験は豊富やけど、老化も進んでいる」


ちなみにT村さんは、自転車も始めていて、お正月には香川県の輪郭を自転車で走破するという突飛なツアーを決行したとのことだ。どういう事かと言うと、高松から出発して、できるだけ海岸線に沿った道を西に向かって走り、愛媛県との県境に達すると、今度はできるだけ徳島県との県境に沿った道を東に向かって走って、海に出たら、再び海岸線に沿った道を走って高松に帰ってくるという画期的な試みだ。

(D木谷)「それって何か意味あるん?」
(田M)「何にもありません」
(幹事長)「めちゃ面白そうやんか。今度やろうよ」
(支部長)「いや、山間部は坂が多そうやから止めとくわ」


支部長が賛同してくれないのなら、今度、一人で決行しよう!

(D木谷)「今日、NHKのランスマが取材に来るらしいですよ?」
(幹事長)「えっ?誰が走るん?」
(D木谷)「秋元才加が走るらしいですね」
(幹事長)「ええっ?あいつフルマラソンなんか走れるん?」


リサッチならともかく、秋元才加がフルマラソンを完走できるとは思えないが、それでは番組が成り立たないので、金さんが秘かに鍛え上げたのかもしれない。
NHKランスマと言えば、一昨年のオリーブマラソンにも取材に来てたが、あの時はあんまり有名じゃないお笑い芸人と女性タレントが走ったため、顔を知ってる人もほとんどおらず、全く話題にはならなかった。でも、秋元才加なら会場は盛り上がるだろう。

時間が早いので、外は真っ暗で、高速道路をスイスイ走る。民主党政権の地方切り捨て政策により、完成が10年遅れた高松〜徳島の高速道路4車線化が、このたびようやく完了し、恐怖の対面通行が無くなり、安心して走る事ができるようになった。

(幹事長)「わしは死ぬまで、いや死んでも絶対に民主党は許さんからな!」

死んでも絶対に許せない民主党は、国民から見捨てられて解党したが、死にぞこないの残党どもが立憲民主党などと名乗って蠢いているから、まだまだ油断してはいけない。やつらを殲滅するまで、我々は断固、徹底的に戦うのみだ。

(ピッグ)「そういう事は『幹事長の独り言』のコーナーでボヤいて下さいね」

まだ時間は早いが、起きるのも早かったので、そろそろお腹が空いてきた。ここで朝食を食べることにする。もちろん食べるのはおにぎり2個だ。本当は菓子パンが大好きで、以前はいつも菓子パンを食べていたんだけど、パンに含まれるフルクタンという糖類は消化に悪いので、レース中にお腹を壊すことが多かった。お米に含まれている糖類は消化が良いので、おにぎりに変えてからは一度もお腹を壊したことがない。
他にバナナを持ってきてるから、いつもならおにぎり2個あれば十分なんだけど、今日はまだ朝早く、スタートの9時までまだまだ時間がある。マラソン大会の時の朝食は、ゴールの5時間前に食べるのが理想とのことだ。ただし、我々のように遅いランナーだと、それじゃあスタート直前になってしまう。

(支部長)「いや、ゴール5時間前やったらスタートした後やで」

いずれにしても、もうちょっとスタートが近付いてきてから何か食べないといけない。て事で、コンビニに寄ったついでに、お饅頭を1個買った。

日曜日の早朝なので、普段は大混雑の徳島市内も道路はガラガラで、車は順調に進む。徳島市から阿南市を通って海陽町まで行く道も、途中、いくつかルートが分かれていて、どれが一番早いのか分からないけど、今の時間なら、どこを通っても同じようなもので、順調に進んでいた。
ほとんど車がすれ違わない対向車線に比べると、前後にはかなりの車が一緒に走っている。明らかに、みんな今日のマラソン大会に行く車だ。そうでなければ、この時間にこんな道を大量の車が通るわけがない。それでも信号機も無いような田舎の道なので、順調に進んでいく。

ところが、牟岐町に着く手前で突然、激しい渋滞に出くわした。信号機も無い山間部なのに、ほとんど進まなくなり、大渋滞になったのだ。対向車線には時折車が通っていくが、一体何が起こってるのか分からない。かなり早めに出発してきているので、時間はまだまだ余裕があるから焦ってはいないが、とってもイライラする。

(D木谷)「これで間に合わなくなったら、悲劇ですね」
(幹事長)「前後の車は全部、参加者だから、スタートを遅らせてくれるんじゃないですか」

ノロノロと言うより、ほとんど動かない。ものすごく時間をかけて、ようやく渋滞の原因が分かる場所までたどり着いた。なんと、工事用の臨時の信号機が設置されているのだ。工事区間は、ほんの10メートルくらい。しかも、今の時間は工事なんてしていない。しかも、対向車線はほとんど車が来ないのに、バカみたいに、こっち車線の車は停止させられる。1回の青信号の間に進める車は10台くらいで、すぐ赤信号に変わる。
対向車が来てないってのは見えてるから、僕なら、そんなバカな信号機は無視して進むところだが、みんな真面目に停止するもんだから、ものすごく時間がかかる。

ものすごい時間を浪費して、なんとか渋滞を抜け出したら、目的地まではもうすぐだ。


〜 会場へ到着 〜


思いがけず、大幅に遅れて現地に着いた。それでも、まだまだ時間は余裕はある。会場はまぜのおか運動公園だが、駐車場は少し離れた場所にあり、そこからマイクロバスでピストン輸送してくれる。
今の時期の朝だから、当然ながら気温は低くて、吐く息は白い。でも既にお日様が出ていて、寒くはない。風がほとんど無いし、絶好のコンディションだ。

(幹事長)「去年も同じような絶好のコンディションでしたよね」
(D木谷)「私は4年連続の参加ですけど、毎年、こんな天気ですね」


このマラソン大会はコースも良いけど、毎年なぜか天候にも恵まれている。丸亀マラソンが最近、雨や雪に祟られているのと対照的だ。

受付では参加賞のバスタオルをもらった。マラソン大会の参加賞と言えばTシャツが多いが、どこも似たようなTシャツばかりで、毎年々々、大量のTシャツが積み上がっていき、始末に困るから、バスタオルの方がありがたい。
バスタオルの他にも、地元も名産品らしきものを色々とくれたので、ちょっと楽しい。さらに、このマラソン大会の名物でもある伊勢エビ入りの味噌汁券やうどん券も配布された。うどんに関しては全く期待はしてはいけないが、伊勢エビの味噌汁は絶対に貰わなければならない。
パンフレットには参加者の県別内訳が載っている。なんと2/3以上が徳島県内の人だ。丸亀マラソンでも香川県内の人が多いが、それでも半分以下だ。やはり、ここは徳島の中でも最南部の不便な土地だから、県外からの参加者は少ないようだ

(幹事長)「でも、ほとんど高知県との県境に近いのに、高知県の人が17人しかおらんぞ。奈良県からの人より少ないって、どゆこと?」
(D木谷)「今日は高知市で高知竜馬マラソンが開催されるから、高知の人は、みんなそっちに出てるんでしょう」


そうか。隣県で開催がダブってしまうと、参加者は困ってしまうよね。上にも書いたけど、ほんと、どうにかならないものかなあ。

他に、NHKの関係者がランスマのパンフレットなんかを配っていた。やはり今日、取材があり、秋元才加が走るようだ。放送は3月9日と16日の2週にわたって行われるらしい。

(支部長)「2週間も何を放映するんやろな?」
(幹事長)「1週目は特訓の様子を流して、2週目が本番やろ」


去年は、順調に着いたため、スタートまで時間があり、駐車場も空いていたし、男子更衣室になっている体育館もガラガラだったし、トレイもガラガラで、とってもゆったり過ごすことができた。でも今年は渋滞で遅れたため、体育館は既にほぼ満席状態だトイレにも既に列ができている。なんとかスペースを見つけて陣取り、着替えを始める。

(D木谷)「今日も何を着るかで悩むんですか?」
(幹事長)「いえいえ、このシーズンは、あんまり悩まなくてすみますね」


何を着るかはマラソン大会において最も重要な要素だ寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。でも、今日は天気は良くて気温が低いから、悩むような天候ではない。今の時期としては理想的なコンディションだ。仮に晴天になったとしても、この気温なら暑くなるってことはないだろうし、風が弱いので寒さも大した事はないだろう。
気温は低いが雨の心配は無いので、登山用に愛用している吸湿性と速乾性に優れた濡れてもベチョベチョしないインナーウェアではなく、もっと防寒性能を重視した防寒用長袖ランニングシャツを着る。3年前の丸亀マラソンで買ったものだ。生地の厚さは、そんなに厚いってわけでもないが、背中の首筋の部分が補強されて暖かくなっている。
その上には去年の奥四万十トレイルレースでもらったTシャツをを着た。ほとんどのマラソン大会で記念品としてTシャツをもらうが、どれを着るか迷ってしまう。デザインがイマイチのものが多いからだ。6年前の大阪マラソンでもらったTシャツは群を抜く良いデザインで愛用しているが、そればっかり着てると痛むから、今日は奥四万十トレイルレースのTシャツを選択したのだ。特に大して色やデザインが良いという訳ではないが、丸亀マラソンや徳島マラソンみたいにお気軽ランナーが大挙して出場する普通のマラソン大会と違い、なかなか安易な気持ちでは出場できない超厳しいトレイルレースなので、これを着ているだけで人々の尊敬を集められるのではないかと期待しているのだ。

(幹事長)「ピッグも100kmの部じゃなくて60kmの部に出ただけなのに、四万十ウルトラマラソンのTシャツをこれ見よがしに着てたよな。去年だっけ?」
(ピッグ)「恥ずかしいから、もう着ません」


D木谷さんは今年もスポーツジムで熱心にやっているズンバのTシャツを着ている。D木谷さんはかなりズンバに入れ込んでおり、なんとインストラクターの資格を取ったんだそうだ。

(幹事長)「どんどん新境地を開拓してますねえ」
(D木谷)「楽しいですよ。ぜひやりましょうよ」


もちろん冬なので、迷うことなくランニングタイツも履いた。ランニングタイツは、本来は足のサポートのために履くものだ。何をサポートするのか良く分からないが、テーピングテープと同じ働きをするらしい。と言っても、そもそもテーピングテープの働き自体が分からないので、ランニングタイツの効用は分からない。
最近は多くのランナーがタイツを履いているが、プロ級の選手は決して履いていないので、どこまで意味があるのか大いに疑問だ。個人的には、サポートになると言うより、足が突っ張ってむしろ走りにくい。大リーグボール養成ギブスのように足に負荷がかかって、かえって疲れるんじゃないかっていう疑惑がある。でも、冬場の気温が低い日には防寒のために履くべきだ

雨は降りそうにないし、日射しも強くないので、嫌いなランニングキャップは被らないが、防寒用に手袋は必要だ。あとはハンドタオルとポケットティッシュと、足が攣るのを防止するマグネシウム入りのジェルをポケットに入れた。ジェルを飲んだからと言って、足が攣らなくなるのかと言えば、そうでもなく、ジェルを飲んでも攣る時は攣る。でも、少しでも軽減される可能性があるのなら飲んでおこうという事だ。

周りを見回すと、ビニール袋を被っている人も多い。この大会は事務局が首や肩の部分をくり抜いた防寒用のビニール袋を用意して配ってくれるのだ。T村選手もビニール袋を被っている。ただ、気温は低いとは言え、風は無いし、天気も良さそうなので、ビニール袋を被ると暑くなりそうだから、私は止めておく。

着替えていると、今年も四痙攣の航路さんに会ったので、みんなで記念写真を撮った。

まさか惨敗するとは思ってなかったレース前の笑顔のメンバー
(左から航路さん、D木谷さん、ピッグ、幹事長、支部長、T村選手)


航路さんはマラソンを始めてまだ数年だが、もともと学生時代に陸上をやっていたこともあり、あっという間に我々を凌駕してしまった実力者だ。去年の海部川マラソンでは、ピッグをサポートして最初から最後まで一緒に走り、一緒にサブ・フォーを達成した。ピッグがサブ・フォー・ランナーになれた恩人だ。
航路さんは最近、マラソン大会に出まくっており、ピッグと同様、1週間前の愛媛マラソンに出たし、1週間後の姫路マラソンにも出るとのことだ。

(幹事長)「フルマラソンを3週間連続って、しんど過ぎない?」
(航路)「川内優輝と同じで、レースが練習ですね」


私たちもレースは続いてるが、さすがに3週間連続でフルマラソンってのは、あんまり聞いたことが無い。体もしんどいだろうけど、精神的に持たないような気がする。

(幹事長)「それとも辛いのに慣れてしまって平気になるんかいな?」
(支部長)「わしゃ絶対に嫌やな」

スタート時間が近付いてきたので、最後にバナナを食べ、伊勢エビ入り味噌汁券とうどん券をポケットに入れてスタート地点に移動することにする。

(D木谷)「味噌汁券とか持っていくんですか?」
(幹事長)「ゴール後はヘロヘロで券を取りに来るのも大変なので」

更衣室と味噌汁配給所はすぐ近くなんだけど、ゴールしたら歩くのも辛いので、少しでも楽できるように、味噌汁配給所へ直行するつもりだ。
最後にトイレに寄って小を足して外に出る。


〜 スタンバイ 〜


スタート地点は、体育館から坂を少し下った野球グラウンドの横だ。
一応、背番号順に整列することになっていたから、エントリーの際に目標タイムを自己申告したのかも知れない。
一般的に、スタートしてからの混雑を避けるためには、できるだけ前の方からスタートした方が良い。タイムはゼッケンに着けたチップでネット計測してくれるから、後ろの方からスタートしても構わないんだけど、後ろの方からスタートしたら、仲間同士でおしゃべりしながらゆっくり走るおばちゃん軍団なんかにブロックされて走りにくい。
丸亀マラソンのように参加者の多い大会になると、最後まで混雑は緩和されず、最後までおばちゃん軍団に前をブロックされたままになるので、それは避けなければならない。自分と同じ速さのランナー達と一緒に走れば、邪魔なランナーを追い抜く必要も無ければ、後ろから抜かれる事も無いので、秩序良く走ることができる。
だがしかし、このマラソン大会は参加者が少ないため、一番後ろからスタートしても、スタート地点をくぐるまで1分くらいしかかからないから、どこに並んでも似たようなものだ。それにハーフマラソンなんかと違って、フルマラソンは最初からハイスピードで飛ばすような事はしないから、多少混雑しても支障は無い。

スタート時間が迫ってきたので、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ。去年は目論見通り大会自己ベストを出した。

(ピッグ)「初参加の場合でも大会自己ベストって言うんですか?」
(幹事長)「もちろんだとも」


もちろん、去年は初参加だったので、大会自己ベストの目標は設定しようがなかった。ただ、この海部川マラソンはみんながフルマラソン自己ベストを出している走りやすいコースのようなので、とにかく良いタイムを出したかった。
とは言え去年は「良いタイムを出す」という攻めの姿勢ではなく、「長期低落傾向に歯止めをかける」という守りの姿勢が強かった。それまでの1年間は、交通事故や登山事故のせいでマラソン大会はことごとく惨敗が続き、特にフルマラソンは10月の龍馬脱藩マラソン12月の那覇マラソンも、空前絶後の大惨敗を喫してしまい、「もうフルマラソンは止めよう」なんて思ったくらいだ。
なので、心の片隅に微かに自己ベストを狙いたい気持ちはあるものの、現実的には長期低落傾向を食い止める事が最優先だった。

そのため、去年は前半からあまり無理せず、できるだけ自然体で淡々と走って行った。その結果、サブ・フォーなんかには程遠いものの、最近にしてはまあまあ良いタイムが出て、少なくとも長期低落傾向に歯止めをかけることはできた。ゴールしてから思えば、もうちょっとだけ最初からペースを上げていたら、もっと良いタイムが出たかも、なんて思ったが、それは仕方ない。
去年のように、最優先事項がある場合は、最初から自重して抑えたペースで走るべきだろう。

だがしかし、今年の海部川マラソンでは、もう守るべきものは無い。ただ単に攻めれば良いだけだ。なので、もちろん最低目標は大会自己ベストだが、単に大会自己ベストというだけでなく、できればもし可能であればサブ・フォーを目指したい。て事で、今年は去年よりはもう少し前半からペースを上げようか、なんて思ったりもする。

ただし、あんまり調子に乗るのは禁物だ。どんなレースでも最初は軽快に走れて「なんだか今日は調子いいな」なんて勘違いするんだけど、それは気分が高揚しているのと、始めだからまだ元気が有り余っているのと、周囲のランナーにつられているだけだ。そのまま調子に乗って飛ばしたら後半に撃沈する
これまでフルマラソンでは、前半で調子に乗って飛ばして終盤に撃沈してトボトボ歩くという苦い経験を山ほど積んでいるので、あくまでも慎重に進めなければならない。なので、前半は抑えて走らなければならない
去年の龍馬脱藩マラソン那覇マラソンでは、最初から無理せずに抑えて走ったつもりだったのに後半に足が攣ったりして走れなくなったって事は、あれでも前半に無理が生じていたって事だ。自分では抑えて走っているつもりで、どうしても高揚感のせいで少しは無理していたって事だろう。
とは言っても、去年の海部川マラソンではゴール後に余力が残っていたから、去年よりは少しだけリスクを冒して、もうちょっとだけ前半から飛ばしたい。もう、めちゃめちゃ微妙なさじ加減だ。

海部川マラソンのコースは、このまぜのおか運動公園をスタートして数km進んで海部川の堤防に出て、その後は旧海南町と旧海部町の間を流れる海部川に沿った道を上流に向かって走っていく。途中、支流の相川の上流に向かって折れ曲がっていく区間もあるが、その寄り道区間が終われば再び海部川をさかのぼり、折り返したら再び海部川沿いに下ってくるというコースだ。
ひたすら吉野川の堤防を走り退屈で発狂しそうになる徳島マラソンと違い、変化があって退屈はしないコースだ。

川を遡るって事は、前半は上りになり、帰りは下りになるって事であり、疲れて足が動かなくなった後半が下り坂だと自然に足が動く事が期待できるから、理想的なコースとも言える。
ただし、こういうコースの場合、とにかく前半の上りさえ乗り切れば、後半はずっと下りなので、多少くたびれても帰ってこられるから、前半で全力を使い果たしても大丈夫だ、なんていう大きな勘違いをして惨敗する事が多い。弘前アップルマラソンは3年連続で惨敗だったし、龍馬脱藩マラソンも3年連続で大惨敗している。前半の上りで体力を使い果たしてしまったら、下りでも後半は足が動かなくなるのだ
とは言え、このコースは、坂と言っても、片道20km走って上るのはせいぜい50mくらいだから、全体の傾斜は1%以下で、ほとんど坂とも言えない傾斜だ。もちろん、途中でアップダウンはあるが、そんなに大きな坂ではない

(支部長)「じゃあコースは走りやすいんやね?」
(D木谷)「ただし、終盤に海部川の堤防から離れて会場に向かう松林の横を走る区間が長く感じるんですよ」
(ピッグ)「そうですよね。もうゴールは近いと思うのに、延々と続くんですよ」


残り3kmくらいの所から大里松原海岸てところを走るのだが、何も知らずに、もうゴールは近いと思って突入したら長く感じる。去年は、それを事前に聞いていたにもかかわらず、やっぱり長く感じて心が折れそうになった。

(ピッグ)「それと、最後の最後で、ほんの短い区間ですけど上り坂になるのがきついですね」

まあ、これは所詮は数百mなので、大した問題ではない。

しばらくすると、開会式が始まった。今日はゲストとして徳島出身の市橋有里が来ている。

(幹事長)「あいつ走るん?」
(支部長)「ちょこっと走るんじゃない?」


市橋有里も40歳を過ぎているが、遠目に見ると可愛い。
一方、ランスマで来てるはずの秋元才加の姿は見えない。てっきり開会式で紹介があるのかと思っていたが、そういう立場ではないようだ。単にマスコミが取材に来てるだけという位置づけなんだろう。
姿が見えないのは、最後尾辺りからスタートするのだろう。折り返し点ですれ違ったら声援を送ろう。


〜 スタート 〜


いよいよスタートとなった。もちろん、スタートと同時に一斉に走り出すわけではなく、スタート地点まではダラダラ歩いて進む。でも、参加者が2000人と少ないため、1分ちょっとでスタート地点に達した
スタート地点を過ぎると、そんなに混雑もなく、すぐに走り始めることができた。もちろん、まだスピードには乗れないが、あんまり焦らずに自然体で走っていく

去年、走っているので、コースの全体像は分かっているが、細かい部分は全く覚えておらず、最初の方もどうなってたのか全然記憶に無い。まずは運動公園内の坂を上って降りて公園から一般道に出る辺りに最初の1km地点の距離表示があった。時計を見ると、なんと6分半以上かかっている。いくら序盤はペースを抑えると言っても、さすがに遅すぎる。でも、最初は混雑もあるし、小さいながらも運動公園内の坂を上り下りしたから仕方ない。ここで意識的にペースを上げたりすると後から悪影響が出るかもしれないので、そのまま自然体で走る。

その後はなだらかな一般道を自然体のまましばらく走っていると、2km地点、3km地点、4km地点でのラップは5分50秒くらいで安定している。1km5分50秒のペースではサブ・フォーは達成できないが、序盤を自然体で走ってこのペースなら、レース全体の平均でもっとペースを上げるのは絶対に不可能だろうから、早々にサブ・フォーは諦める。去年はもっとマシで、序盤はサブ・フォーを狙えると思っていたくらいだから、去年より遅いようだ。でも、無理は禁物なので、ペースは上げない。

4km地点を過ぎると海部川にかかる橋を渡り、海部川の南岸に移る。ここから海部川の堤防を走って川をさかのぼっていく。橋を渡ってすぐに5km地点があり、ラップは相変わらず5分50秒ほどで安定している。

5km地点を過ぎてしばらく走ると最初の給水所がある。今日は気温が低いから天気は良くても全然暑くなくて、しかもまだレースは始まったばかりで喉は渇いてないので、いつもなら給水はパスするところだ。もともと私の場合、あんまり喉が渇かない体質なので、給水無しでも全然平気だ。
しかし、最近、気にしているのが足の攣りだ。攣りを防止するためには水分の補給は欠かせない。そもそも「給水は喉が渇いてからでは遅く、早め早めに給水しろ」ってのが鉄則だ。てなことで、今日は最初の給水所から始まって、全ての給水所で真面目に水分を補給することにした
給水するとすぐに6km地点となり、さらに次の7km地点でも、まだペースは安定している。

この大会は地域全体で盛り上げようという意気込みが強く感じられ、沿道のみなさんの声援が暖かい。特に幼稚園児のみんなが沿道にズラッと並んでハイタッチしてくれるのは本当に嬉しい。小さな手とハイタッチすると、元気がどんどん沸いてくる。こんな田舎の町に、こんなに大勢の幼稚園児が本当に居るのか不思議なほどだが、たぶん全員総出で応援してくれているんだろう。
この大会は、町をあげての一大イベントとして地域に密着した大会で、もっと大規模な全国的にも有名なマラソン大会のような派手さは無いんだけど、地元の人たちの温かい応援やボランティアスタッフのサポートが手厚い。ランネットでの評判が全国一ってのは、そういう面が評価されているのだろう。

コースは海部川に沿って山に向かって遡っていくから、山間の狭い川に沿って厳しい坂を上っていくっていうイメージだが、実際は海部川は大きくて幅が広く、傾斜もほとんど無く、とてもゆったりとしている。途中に時々アップダウンはあるが、そうでない区間では、ほとんどフラットにさえ見える。
そのため、その後も8km地点9km地点10km地点と相変わらず1km6分弱で安定している。このままペースを維持できれば、かなり良いタイムが出そうだ。

10km地点を過ぎると2つ目の給水所がある。ここでも真面目に水分を補給し、続いて11km地点でラップを確認すると、おや、6分を少しオーバーしている。遂にペースダウンが始まったのか。ちょっと早いぞ。でも次の12km地点では、再び6分弱になっていたから、まだ頑張れるかもしれない。
と思ったが、次の13km地点では6分ジャストだったので、ジワジワトペースダウンしてきているのは間違いない。

この辺りからメインの海部川に沿って上るルートからはずれ、支流である相川に沿って走るルートに分岐する。この支流は本流の海部川に比べたら傾斜が少し急で、やや上り坂となる。そのせいか、14km地点、15km地点でのラップは少し落ちて、6分を少しオーバーしていた。それでも、まだそんなに大きなペースダウンではない。

この辺りまでくると、最初の折り返し点から折り返して来たランナー達とすれ違うようになる。だいぶ上位でK口さんが走ってきた。

(幹事長)「川Gさーん!」
(K口)「いやあ、こんにちわっ!」


去年のタートルマラソンでもかなり上位の方で走っていたが、相変わらずめちゃ早いなあ。
他のメンバーを探していたら、T村さんもかなり前方で走ってきた。4時間のペースランナーよりはだいぶ前だったので、今日もサブ・フォーは達成しそうだ。ピッグは4時間のペースランナーとほぼ同じペースで走ってきたから、彼もサブ・フォーの可能性がある。一方、D木谷さんは表情は余裕があったが、かなり遅れていた。

15km地点を過ぎてしばらく走ると、ようやく第1の折り返し点があったが、この辺りは距離は大したことないけど、かなり傾斜がきつい坂があったりして、一段とペースは落ちてしまい、折り返した後にある16km地点でのラップは6分をかなりオーバーしてしまった。でも、ここから下り坂になるので、まだ焦らない。

折り返し点を過ぎて後続のランナーを確認していると、すぐ後ろから4時間半のペースランナーと、それに着いて走る集団が追ってきた。去年と全く同じ展開だ。4時間半のペースランナーって事は、彼らは1km平均6分20秒くらいで走っているはずだ。こっちはペースダウンしてきたと言っても、まだ平均すれば1km6分くらいで走ってきたはずだ。それなのに、すぐ後ろに迫ってきているって、一体、どういう事だろう?よく分からないが、なんにしても、こんな前半のうちに4時間半のペースランナーに追い抜かれたのでは目も当てられないから、さすがに焦って少し頑張る。

折り返して3分ほどの地点で支部長とすれ違った。往復時間で6分ほどの差だから距離にして1kmほどの差か。僕もそんなに速くはないのに、こんなに差が付いてるってことは、支部長は調子が悪いのだろうか。

さらに3分ほどの地点、つまり往復で12分ほどの差、つまり距離にして2kmほど後方に秋元才加が走ってきた。もっと派手な分かりやすい集団かと思っていたら、本人のほか、カメラを持ったスタッフとマイクを持ったスタッフと計3人でこじんまりと走ってきたから、全然目立たない。私は彼女が走る事を知っていたから、後方のランナーを注視していて見つけることができたが、普通に走っていたら見過ごすだろう。
もちろん大きな声で「秋元才加がんばれーっ!」って声援を送る。少し疲れたような顔をしてたけど、反応して何か声を出してくれた。まだまだ大丈夫そうだ。

折り返し点から海部川の本流に戻るまでの3kmは、緩やかながら下り坂になっているので、走りやすい。その結果、17km地点18km地点のラップは6分弱にまで戻せた。
相変わらず天気は良くて、日射しが当たると暖かい。風も無いが暑くはないし、ちょうどいい感じ。

海部川の本流に戻るとすぐに中野トンネルというトンネルがある。トンネルを抜ける直前に19km地点があり、ここでのラップは6分ジャストだった。
トンネルを出たところに第5給水所があり、ここには食べ物もある。まだそんなにお腹は空いてないが、去年は後半になってお腹が空いて力が入らなかったので、今日は早めに食べることにして、バナナういろうをもらう。ういろうは密度が高く、エネルギー補給に最適と思ったんだけど、これが食べにくく、苦労した。やっぱりバナナが走りながらでも食べやすくていい。

ここから2つ目の折り返し点、すなわちスタートから一番遠い地点までは5km半ほどだ。この区間も平均すれば微かな上り坂程度なんだけど、結構、細かなアップダウンが繰り返され、やや厳しい区間だ。そのため、ペースダウンは覚悟の上だ。

ここで沿道から突然、私の名前を呼ぶ声がする。誰かと思ったら、仕事の知り合いの女性だった。高松の人で、なんでこんな場所にいるのか分からないが、突然の声援で嬉しかった。
そのせいか、20km地点21km地点のラップは6分前後で良いペースを維持できている。21kmと言うことは、ちょうど半分が終わったわけだ。ここまででちょうど2時間6分だから、ちょうど1km6分のペースを維持できている。後半で多少ペースが落ちても、まあまあ良いタイムが出そうだ。

なーんて思ったんだけど、その後はアップダウンがあったこともあり、22km地点23km地点24km地点のラップは6分半くらいに落ちてしまった。それでも、この後6分半くらいのペースダウンで頑張れば、まだまだマシなタイムだ。

スタートして24.3kmの地点第2の折り返し点になっていて、その前に再びメンバーの姿を探す。相変わらず川口さんは上位で駆け抜けていく。T村さんも相変わらず3時間30分のペースランナーの少し後につけている。一方、ピッグは4時間のペースランナーから少し離されている。D木谷さんも、さらに遅れていた。
折り返し点には第7給水所があり、ここではバナナのほかパンも頂いた。パンを水で流し込むとお腹が満たされる。

折り返して後続のランナーを見ると、相変わらず少し後ろから4時間半のペースランナーが迫ってきている。どうしても彼らには追いつかれたくないので、かなり焦る。
参加者が少ない大会なので、折り返す前にすれ違ったランナーの数も、それほど多くはなかったが、折り返した後にすれ違う後続ランナーはさらに少ないように思える。参加者が多い丸亀マラソンなんか、折り返してすれ違う後続のランナーが後から後から、はるか遠く地平線のかなたまで夥しい数のランナーが走ってきて、一体どれだけ走っているのか見当もつかないが、今日なんか簡単に数えることができそうだ。

しばらくすると支部長の姿が見えた。第1の折り返し点で6分ほどの差だったのが、倍の12分ほどに広がっている。表情はとても厳しそうだ。やはり調子が悪いらしい。
しかし、驚いたのは、支部長のさらに後ろに航路さんを見つけたことだ。既に歩いている。あの強靭な航路さんが、まだ半分近く残っているのに歩くなんて、明らかに故障のようだ。

そして、さらに5時間のペースランナーの後から秋元才加ご一行様がやってきた。今度も大きな声で「才加がんばれーっ!」って声援を送ったが、なんとか反応するのがやっとで、疲労困憊している。まだ第2折り返し点の前でこんなに疲れていたら、こりゃあ完走は難しいんじゃないか。今のペースでも、最後まで走り続けられたら、なんとかゴールできるだろうけど、あの感じじゃ途中で歩き出しそうだ。そうなると制限時間内の完走は無理だろう。まだフルマラソンは無謀だったんじゃないか。

2つ目の折り返し点を折り返したって事は、残りは緩やかに下っていくコースなので、なんとなく精神的にホッとするが、実際には細かなアップダウンがあるほかは、基本的にフラットで、下りとは言えない
そのため疲労と共にペースはジワジワと確実に落ちていき、細かなアップダウンにより多少の幅はあるが、25km地点26km地点27km地点28km地点と6分台後半に落ちていった。
27kmを過ぎた辺りで救急車がサイレンを鳴らしてやってきたから、何事かと思って見てたら、中年男性のランナーが道端に倒れこんで動かなくなっていた。そんなに暑いわけではないから、熱中症とか脱水症ではなく、心臓かどこかの故障かもしれない。

その後もペースは落ちていき、29km地点では遂に7分台になってしまった。去年も前半の6分前後から後半はジワジワと落ちて行ったが、それでもせいぜい7分程度で、7分を大きくオーバーしたのは最後の最後だけだった。

29km地点を過ぎてしばらく進むと第9給水所があるので、その直前でマグネシウム入りジェルを飲む。足攣り防止のためのジェルだが、去年は大変な目にあった。このジェルを初めて飲んだのは去年の丸亀マラソンで、ジェルなので飲みやすいだろうと思っていたら、結構、濃厚で、走りながらでは飲みにくいし、口の中がベチャベチャになって気持ち悪くなり、必ず水が必要だと分かった。それで去年の海部川マラソンでは給水所の直前で飲んだ。
ところが、走りながら吸い込んだもんだからむせてしまい、大変な事になった。通常、水分とかが気管の方に入ると咳き込んで体から出そうとするが、濃厚なジェルが気管に入ってしまったもんだから、そこでジェルが詰まってしまって息を吸い込むことができなくなり、咳き込むことも息をすることもできなくなってしまったのだ。マラソン大会で走っている最中に呼吸が停止するなんて、大変を通り越して危険な状態になったが、なんとか必死で肺に残っていた息を絞り出して、必死で咳をして立ち直ったが、あのまま呼吸停止になるのかと思った。
その反省から、今年は注意深く少しずつジェルを飲んだ。それでも濃厚なので飲みにくく、危険な感じもしたし、水をもらって流し込んだが、なかなか口の中はさっぱりせず、嫌な感じが残った。やっぱり、こんなジェルはもう止めようっと。

給水所を過ぎて再び中野トンネルにたどり着き、トンネルを過ぎたら30km地点だ。ここのラップは6分台前半にまで持ち直しており、少し一安心団。ここまでで3時間5分だから、残り12kmを平均7分で走ればギリギリ4時間半でゴールできる。去年と全く同じ展開だ。
だいぶ弱ってきているとは言え、この1kmは6分台前半にまで持ち直したんだから、これなら十分、いけるような気がする。残りはもう12kmなので、気持ちとしてはスパートをかけるくらいの意気込みで走ろう。

なーんて思って走ったんだけど、その後の細かなアップダウンで力を奪われ、31km地点32km地点33km地点と7分をオーバーしてしまった。周りのランナーにどんどん追い抜かれていくから、明らかに私だけが弱っている。まずい。非常にまずい。足はどんどん動かなくなり、走るのが辛くなってきた。まだ足が痛いというほどではないが、足を動かすのが辛くなってきたのだ。そのため34km地点では遂に7分台後半になった。
これじゃあ4時間半も難しい。そう思うと、心も折れてしまい、歩きたくて歩きたくて仕方なくなる。心が弱くて根性が無いから、こうなると歩く誘惑が怒涛のように押し寄せてくる。それでもせめて35kmまでは走ろうと思って、なんとか頑張って35kmまでは走ったが、35km地点でのラップは、走り続けてきたのに8分台にまで落ちてしまった。

そして、ここで遂に4時間半のペースランナーに追いつかれてしまった。去年も同じような場所で追いつかれてしまったが、まだ6kmも残っているのに4時間半のペースランナーに離される訳にはいかないので、なんとかしばらくは着いて行った。しかし、今年は着いていくのは絶対に無理だ。あまりにも自分のペースと違いすぎる。去年は、ここでの踏ん張りのおかげで、まあまあのタイムでゴールできたが、今年は完全に駄目だ。
そう思った瞬間、心が完全に折れてしまい、それ以上、頑張れなくなり、遂に歩いてしまう。歩くと楽だ。足の疲労がジワジワとほぐれていって気持ち良い。

歩きが入ったため、36km地点でのラップは一気に9分台に落ちた。さすがにこのままゴールまで歩き続ける訳にはいかないから、しばらく歩いて辛さがマシになったら、再び走り始める。
ところが、今度は両足の脹脛が攣りそうになってきた。せっかく苦労してジェルを飲んだのに、何の役にも立たない。もう金輪際、あんなジェルを信用して飲むのは止めよう。
足が攣りかけたため、しばらく走ったら再び歩かざるを得なくなった。しばらく歩いて少しマシになったら再び走るんだけど、すぐまた攣りそうになって歩く。時間としては歩いている方が圧倒的に長い。そんな事を繰り返しているとタイムはどん底状態に落ちていき、37km地点38km地点39km地点のラップは10分台になった。
そもそも、4時間30分も不可能になった今、もう何の目標も無くなってしまったから、頑張る意欲が失せてしまった。マラソンはメンタルが非常に重要なスポーツなので、目標が無くなってやる気が失せてしまうと、それ以上、辛い思いをして走り続けるのは無理だ

コースは海部川沿いの道が海に近付き、橋を渡って海部川の北岸に戻り、最後の大里松原公園の松林の横を走る区間となる。3kmにも満たない区間だが、延々と続くように感じられるという松林だ。去年は精神的に厳しく、心が折れてペースダウンした区間だが、今年はペースダウンどころが、もうベタ歩き状態だ。たぶんフラットなんだろうと思うんだけど、なぜか上っているように見えてしまい、全然走る気力が湧かなくなってしまった。そのため、40km地点では遂に11分台にまで落ちた。
さすがにこれでは5時間すらオーバーするんじゃないかっていう恐れも出てきたが、少し走ると、とたんに両足の脹脛が攣りそうになって、走り続けることができない。そのため41km地点でのラップも11分近かった。
ただ、41km地点を過ぎると、松林区間が終わり、運動公園に向かう区間となり、少し下り坂となる。なので、ここはなんとか走れるようになった。一応、気持ちとしては最後のスパートだが、もちろん足が攣りそうなので、そんなにスピードは出ない。

最後に公園に入ると、距離は短いが厳しい上り坂がある。両側には地元の高校生が並んで応援してくれているから、ここで歩くのは格好悪いと思いつつも、もう走るのは無理、と思ってヨタヨタと坂に近付いていくと、なぜか高校生の一人が近付いてきて、横で一緒に走ってくれる。何かと思ったが、最後に一緒に伴走して気持ちを支えてくれるのだ。これは精神的にとってもありがたかった。

(幹事長)「どこの学生さん?」
(生徒)「海部高校です」

そうか、地元の海部高校の学生さんか。一緒に走ってくれるだけで、腰を押してくれる訳ではないが、マラソンはメンタルが極めて重要なスポーツであり、特に終盤は、気持ちの持ちようで走りが大きく違ってくるから、非常にありがたかった。どうせなら、35km地点辺りから伴走してくれたら惨敗しなかったのに。
短い激坂が終わるとゴールが見え、学生さんが離れていった。最後は元気に笑顔でゴールを駆け抜けた。


〜 ゴール 〜


なんとかゴールして、5時間オーバーなんて大惨事は免れたが、信じられない惨敗だ。好タイムが期待できる海部川マラソンでこんな惨敗をしようとは思ってなかったから、愕然だ。誰がいつ走っても好タイムが出るものと思っていたが、そんなに甘くはなかったようだ。
でも、原因が分からない2週間前の丸亀マラソンは、去年より良かったし、その後も適度なトレーニングは続けていたし、特に疲れもたまってなかったし、天候のコンディションも申し分ないし、これで惨敗だなんて、まったく理解できない。どうしたんだろう。 せっかく丸亀マラソンで久しぶりに快走できたのに、フルマラソンがこんな体たらくでは情けない。本当に情けない。

記録証を受け取って確認すると、去年より25分も遅かった。30km過ぎまでは去年とほぼ同じペースだったから、その後の10kmで25分もよけいにかかったって事だ。ま、歩いたんだから仕方ないけど。
去年はゴールした後も、まだ少しは走れそうなほど余力が残っていたが、今日はゴールしてへたり込むと、もう立ち上がれなくなった。フルマラソンで終盤に撃沈したパターンの時は、いつもゴールした後、足が固まって動かなくなるのだ。
倒れこんでいると、スタッフの人がわざわざ飲み物を持ってきてくれた。ありがとうございます。

しばらく休んで歩けるようになったら、更衣室の方に戻るんだけど、これがまた坂道を上がらなければならず、非常に辛い。本当に辛い。泣きながら戻るが、更衣室まで戻る元気は無く、とりあえず一刻も早く伊勢エビの味噌汁をもらいに行く。ここでピッグに会った。

(幹事長)「もうボロボロや。ピッグはどうだった?」
(ピッグ)「私もイマイチでサブ・フォーはできませんでした」


今日はサブ・フォーを達成できなかったとのことだが、それでも4時間10分くらいだから、素晴らしいものだ。ピッグとは、フルマラソンにおいては完全に差をつけられてしまった。これまた原因が分からないな。
二人で伊勢エビの味噌汁を食べていると、D木谷さんとも合流した。彼も今日はイマイチで、4時間半をオーバーしてしまったとの事だ。

(幹事長)「足が攣ったんですか?」
(D木谷)「それは大丈夫だったんですけど、心が折れてしまって歩きました」


強靭なD木谷さんでも私と同じように、途中で目標を見失い、さまよってしまったらしい。

(幹事長)「コンディションは良かったと思うけど、みんなタイムが悪かったって事は、何か理由があるんでしょうね」

なーんて打ちひしがれていると、Y浅さんがやってきた。

(幹事長)「どうやったんですか?」
(Y浅)「なんとか今年もサブ・フォー達成できましたよ」
(幹事長)「えっ?そうなん!?」


理由は分からないけど、みんな悪かったのかとおもったら、そんな事はなくて、Y浅さんはちゃんと2年連続でサブ・フォーを達成していた。ますます打ちひしがれてしまう。
2週間前の丸亀マラソンでは、僅か11秒差とは言え私はY浅さんに勝っている。それなのにフルマラソンで1時間も差をつけられて惨敗すると、もう立ち直れない。

伊勢エビの味噌汁を食べ終わったら、次はうどんだ。もちろん、香川から遠く離れたこの土地でうどんに期待してはいけない。コシも粘りも無い細長いダンゴのような、とてもうどんとは呼べない代物だが、マラソンを走った後の疲れた胃には、こういう柔らかいうどんが優しいので、不満は無い。

しばらくすると、5時間半近くになって航路さんが帰ってきた

(幹事長)「一体、どうしたん?」
(航路)「やっぱり先週の愛媛マラソンの疲れが残っていたみたいです」


まだ半分近く残っていた地点で歩いていたから、もうリタイアすると思ってたけど、最後まで帰ってきたのはすごい。それに、来週はまた姫路マラソンに行くという。修行僧のような人だ。
航路さんに続いて、何とか5時間半を切って支部長も帰ってきた

(幹事長)「遅いから絶対にリタイアしたと思っていたよ」
(支部長)「リタイアしようと思ったんやけど、バスが見当たらなかったから、仕方なく帰ってきたんよ」


そして、支部長に続いて、5時間30分を少しオーバーして、絶対にリタイアすると思っていた秋元才加もゴールした。第2折り返し点で見た感じでは、絶対にリタイアすると思った。彼女のタレントとしてのキャラからすれば、歯を食いしばって頑張ってる映像は、華やかなイメージとのギャップが生じるから、てっきりマネージャーがドクターストップをかけると思ったのだ。でも、そんなに安易にリタイアしたら、ランスマのMCから降ろされるかもしれない。いくら元AKBと言えども、そんな安易に仕事を選べる立場ではないのかもしれない。

(幹事長)「元AKBなんて言うとチャラチャラしたイメージやったけど、意外に根性あるなあ」
(支部長)「熾烈な芸能界で生きてきたから、私らよりは、よっぽど根性あるんと違うか?」
(幹事長)「て言うか、もうちょっとで負けるところやったやん!」
(支部長)「ほんまや。危ない危ない」


いくらなんでもド素人の元アイドルに負けたんでは、恥ずかしくて表を歩けなくなるところだった。


〜 反省会 〜


食べるものを食べた後は、温泉だ。参加賞として温泉のタダ券をくれるのだ。
行ける温泉は2カ所あるが、去年と同じく、ふれあいの宿遊遊NASAという温泉に行った。距離は会場から数km離れているが、車ならすぐだ。多くの参加者が来ていたので、かなり混雑はしていたが、のんびりとお湯に浸かると疲れがほぐれていく。しかも、これぞ温泉っていう感じのヌルヌルしたお湯で、入りごたえのある温泉だ。

湯に浸かって足を揉みほぐしながら反省をする

(幹事長)「今日は本当にガッカリだ。一体、何が悪かったんだろう」
(支部長)「私は全然ガッカリなんかしてないよ」
(幹事長)「なんで?」
(支部長)「リタイアせずに完走できただけで満足や」


なんと支部長は、もうタイムなんて気にせず、完走だけを目標に切り替えている。悟りの境地だ。確かに支部長は去年、徳島マラソンは欠場し龍馬脱藩マラソンはハーフマラソンの部に転向し那覇マラソンは途中でリタイアしたから、フルマラソンを完走したのは一昨年の那覇マラソン以来のことだ。

(支部長)「完走だけを目標にしたら気が楽になるで」
(幹事長)「そうやろなあ・・・、いやいや、そんな安易な道を選んではいけないっ!」


惨敗した私や支部長や航路さんのほか、ピッグやD木谷さんもパッとしなかった中で、T村さんだけは3時間半ちょっとの好タイムで、フルマラソンの自己ベストを更新した。やっぱり才能がある人は違うなあ。
それにしても、我々の惨敗の理由は分からない。2週間前の丸亀マラソンではみんな好タイムだったし、特に疲れが蓄積しているとも思えないし、今日は絶好のマラソン日和だったし、前半に飛ばしすぎた訳でもないし、もう何が何やら分からない。

(幹事長)「でも、理由も無く惨敗したって事は、逆を考えれば、理由も無く好タイムが出る可能性もありますよね」
(D木谷)「えっと、どうですかねえ」
(幹事長)「1ヵ月後の徳島マラソンで理由なく好タイムが出るかもしれませんよ」


次のレースはちょうど1ヵ月後の徳島マラソンだ。吉野川の堤防を延々と走り続ける変化のないウンザリする退屈なコースなので、最近は、もう出るのは止めようかなんて思い始めていたところだけど、今日のリベンジができるかもしれないと思うと、急にやる気が出てきた
去年は海部川マラソンでタイムが良かったから、ますます良いタイムを出したいと思って出場したら、惨敗してしまった。今年は逆に徳島マラソンで好タイムが出るかもしれない。なんと言っても徳島マラソンは坂がほとんど無い超フラットなコースなんだから、潜在的には好タイムが期待できるはずなのだ。

(幹事長)「そう思わない?」
(支部長)「思わない。今年も惨敗やってば」


だが実は、その前に、私には1週間後に善通寺五岳山空海トレイルというトレイルランニングのレースがあるのだ。去年始まったばかりの大会で、距離は15kmに過ぎないが、累積の標高差が1300mもあるのに、制限時間が3時間20分という厳しいレースだ。フルマラソンとはまた別の難しさがあるので、今日の惨敗を引きずって打ちひしがれている場合ではない。またすぐにトレラン用の練習をしなければならないのだ。
ちょっと焦りが出てきたぞ。


〜おしまい〜




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