第19回 四国のてっぺん酸欠マラソン大会
2019年9月1日(日)、高知県伊野町で第19回四国のてっぺん酸欠マラソン大会が開催される予定だった。
かつては、夏場にはマラソン大会へほとんど参加してなかった。そもそも夏場にはマラソン大会が非常に少ないからだ。そのため、過去の記録を調べてみると、2004年までは5月のオリーブマラソンが終わった後は、秋までマラソン大会には出てなかった。
夏場にもマラソン大会が皆無だった訳ではないが、夏場のマラソン大会と言えば、標高の高い場所で開催される山岳マラソンばかりだ。標高が高い場所なら、夏場でもそれほど暑くはならないだろうという甘い考えからだ。なので、夏場のマラソン大会は、ことごとく山岳マラソンだ。山岳マラソンなので、コースは非常に厳しい。下界に比べて暑さは多少はマシかもしれないが、コース設定は非常に厳しいので、トータルとすれば極めて過酷なマラソン大会となる。
このような夏場の山岳マラソン大会に初めて出場したのは2005年の四国カルストマラソンだ。場所は高知県の山の中にある四国カルスト台地だ。記事を見ると、サブタイトルに「ペンギンズ史上 最も過酷なレース」とあるように、やはり非常に過酷なレースだった。
それなのに、懲りずに翌年の2006年も同じく四国カルストマラソンに出場した。ただ、2年連続で出場した四国カルストマラソンは、あまりにも過激だったので、それで卒業することにして、その翌年の2007年には汗見川マラソンに出場した。これも場所は高知県の山の中だ。これが思いのほか楽しかったので、2008年も汗見川マラソンに出た。
しかし、その後、青森に転勤になり、夏場の山岳マラソンへの出場が途絶えてしまった。青森は四国に比べれば夏場の暑さがマシなので、夏場でも平地でマラソン大会が開催される。て言うか、普通の地域ならマラソンシーズンである冬場は、青森では雪のため外を走れなくなるため、もっぱらマラソン大会は5月以降に開催される。いくら北国とはいえ、夏場はそれなりに暑いんだけど、冬に走れないので暑くても夏にマラソン大会があるのだ。そのため、無理して四国の真夏のレースに出る必要は無かったから、青森で夏場のマラソン大会に出ていた。
そして、その後、四国に戻ってきて、2012年に久しぶりに汗見川マラソンに出場しようとしたら、なんと既に定員に達して受付が終了になっていた。以前は存続すら危ぶまれていた大会であり、申し込み期間が過ぎてたって、役場に電話してお願いしたら出場させてもらえていたのに、熱狂的なマラソンブームのせいで、知らないうちに超人気大会になっていたのだ。
そのため、その翌年の2013年には気合いを入れてエントリーし、なんとか久しぶりに汗見川マラソンに出場することができた。しかし、2014年はほんの少しの油断が死を招き、再びエントリーに失敗した。2013年は、まだ数日間はエントリーが可能だったのに、2014年からは即日完売するようになっていたのだ。
それで2015年には再び気合を入れ直し、なんとかエントリーすることができた。この2015年は、我々の中で夏場の山岳マラソンブーム元年とも呼べる年で、汗見川マラソンのほか、同じく高知県の山の中で開催される酸欠マラソンと龍馬脱藩マラソンにも出場するようになった。そのため、7月下旬の汗見川マラソン、9月上旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと、山岳マラソン3連戦という厳しい日程になったのだ。一度、こういうスケジュールを組んでしまうと、それが当たり前になってきて、その後は毎年、夏場の山岳マラソン連戦スケジュールを組んでいる。
3年前の2016年の夏はさらに、6月上旬に北山林道駆け足大会に初出場したため、7月下旬の汗見川マラソン、9月上旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールとなった。全て高知の山の中で開催される山岳マラソンだ。
2年前の2017年は6月上旬の北山林道駆け足大会のあと7月下旬の富士登山競走に初参加し、続いて9月上旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと、やはり山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールとなった。
去年の2018年は、富士登山競走のエントリーに失敗したため、3年前と同じく、6月上旬の北山林道駆け足大会、7月下旬の汗見川マラソン、9月上旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールにした。
もちろん今年も6月上旬の北山林道駆け足大会、7月下旬の汗見川マラソン、9月上旬の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールにした。この高知の山の中の夏場の山岳マラソン4連戦ってのが恒例になってしまったのだ。
〜 山岳マラソンは楽しい 〜
最近は、丸亀マラソンに代表されるような、マラソンシーズン真っ盛りの冬場に開催されるフラットなレースより、高知の山の中で開催される夏場の山岳マラソンや、さらにはトレイルレースの方が楽しくなってきた。なぜ坂が厳しい山岳マラソン大会やトレイルレースが好きになってきたかと言うと、普通のフラットなマラソンコースではタイムが伸び悩んでいるからだ。
以前は良いタイムが出るフラットなコースの方が好きで、どの大会に出ても、毎回、大会自己ベストを出すのを目標にしてきた。そして、実際に、時々は良いタイムが出ていたから、それが楽しかった。ところが近年、自己ベストが出なくなってきた。惜しいっていうより惨敗続きで、どう考えても自己ベストなんて出そうにない状況になってきた。
何か原因に心当たりがあれば不調のせいだと見なせるし、その対応策も考えられるが、最近は、何の心当たりも無いのにタイムが伸び悩んでいる、と言うか、年々悪くなっている。
(支部長)「簡単な話しやな。単に歳とってきてるからや」
以前、亀ちゃんに「お前のレベルなら歳のせいじゃなくて、単なる練習不足や」なんて一喝されたように、私らのレベルだと、真面目に練習をすればまだまだタイムは良くなると信じていたんだけど、最近は、少し練習量を増やしただけで疲れが残り、どんどん調子が悪くなる。もともと大した練習量ではないのだけど、それすら増やせないのだ。もちろん、これは歳のせいなんだろうけど、こうなるとフラットなコースでも良いタイムを出すことはできない。
て事で、最近は、タイムは二の次で、フラットなコースよりも激坂がある山岳マラソンやトレイルレースの方が面白くなってきた。以前から出ている汗見川マラソンなんかでは、むしろ物足りないくらいで、3年前から出ている北山林道駆け足大会なんかは、最大勾配19%なんていうトンでもない激坂を駆けめぐるレースで、とっても楽しいし、この酸欠マラソンも強烈な激坂が売り物だ。
ただ、過去を振り返ると、そもそも我々は昔から山岳マラソンに積極的に参加してきた。古くは22年前から参加していた塩江温泉アドベンチャーマラソンだ。これは前半は延々と12kmも急坂を登り続け、後半は9kmも急坂を下り続けるという尋常ではないコース設定のマラソンだったが、多くのメンバーが毎年参加していた。13年前に塩江町が高松市に吸収合併されて、塩江山岳マラソンが廃止されてしまったのはとても残念だ。
この塩江マラソンと双璧をなす恐怖の山岳マラソン大会が、上にも書いた四国カルストマラソンだ。開催時期が酷暑の7月で、炎天下の高原の急坂を登るという殺人レースだった。標高1500m前後の高原なので曇っていると夏でも肌寒いくらいで、空気も澄んで気持ち良いのだが、ひとたび太陽が顔を出すと空気の薄い高原のギラギラした直射日光が強烈に当たり、肌が焼けていくような灼熱地獄のレースになる。もちろん、日射しがきついだけでなく、アップダウンも凄まじい厳しいレースだった。この四国カルストマラソンも、今は廃止されてしまって残念だが、その後継大会として生まれたのが龍馬脱藩マラソンだ。
龍馬脱藩マラソンには、5年前に初めて参加する予定だったが、直前になって台風のために中止になってしまったため、龍馬脱藩マラソンへの初参加は4年前になったが、恐れをなしてハーフマラソンの部に出たら、意外に楽で、ちょっと肩すかしだった。そこで3年前はフルマラソンの部に出たら、ものの見事に撃沈してしまった。レース直後には「もうこのマラソン大会のフルマラソンには絶対に出ないぞ」なんて思ってたんだけど、月日が経つうちにリベンジしたくなり、性懲りもなく2年前にもフルマラソンの部に出て、さらに3年前以上の大惨敗を喫してしまい、よっぽどもう止めようと思ったんだけど、月日が経つうちに再びリベンジしたくなり、性懲りもなく去年もフルマラソンの部に出て、またまた3年連続の大惨敗を喫してしまい、よっぽどもう止めようと思ったんだけど、月日が経つうちにやっぱりリベンジしたくなり、性懲りもなく今年もフルマラソンの部に出る予定だ。
(支部長)「永遠に続きそうやな」
(幹事長)「輪廻の世界やな」
このように坂が厳しい山岳マラソンは結果は悲惨なんだけど、それでも不思議な魅力があり、最近はますます山岳マラソンが好きになっている。
それにしても、夏場の山岳マラソンは全て高知県で開催されている。かつては香川県でも塩江温泉アドベンチャーマラソンという超過激な山岳マラソンが開催されていたが、それが無くなった後は、四国の山岳マラソンは専ら高知県内で開催されている。これは、どうしてだろう?もちろん面積の狭い香川県に比べて高知県は広く、しかも大半が山の中なので、山岳マラソンを開催できる場所はいくらでもある。でも、徳島県や愛媛県だって山はいくらでもある。それなのに、なぜ高知県ばかりで開催されているのか不思議だ。
たぶん、高知県はマラソンに熱心であり、そのためマラソン大会が多いって事だろう。大きな大会から小さな大会まで、数多くのマラソン大会が高知県内の各地で開催されている。そうなると、基本的に平地が少なくて山が多い県なので、結果的に山岳マラソンも多くなるのだろう。いずれにしても、マラソン大会が多いってのは、選択肢が多いって事なので、喜ばしい限りだ。
それに比べて香川県はマラソンに不熱心で、驚くほどマラソン大会が少ない。たぶん全国的にも群を抜いて圧倒的に少ないんじゃないだろうか。基本的に行政がマラソン大会に対して非常に不熱心だ。塩江温泉アドベンチャーマラソンも開催していた塩江町が高松市と合併してから消滅してしまったし、高松市が開催していた屋島一周クォーターマラソンも庵治町と合併して消滅した。全国的に熱狂的なマラソンブームが沸き起こり、全国津々浦々でマラソン大会が雨後の竹の子のように急増してきた中で、完全に逆行する動きだ。
また、香川県内のフルマラソン大会と言えば小豆島で開催されているタートルマラソンだけだ。この大会は歴史ある大会で、個人的には大好きだが、坂が多くて厳しいコースだ。しかもコースは陸連の公式コースではないため、記録は非公認扱いだ。つまり、香川県内ではまともなフルマラソン大会が無いのだ。全国の県庁所在地でフルマラソン大会が開催されていないのは、香川県だけじゃないんだろうか?(未確認な勝手な推測であり、たぶん他にもありそう)
〜 夏場のマラソン大会は楽しい 〜
山岳マラソンが開催されるのは、たいていは夏場だ。なので、ここんとこ毎年、夏場は山岳マラソンが4連戦も続いている。なぜ山岳マラソンが夏場に集中しているのかと言えば、夏は暑いから、少しでも気温の低い山岳地帯でマラソン大会を開催しようという発想からだ。特に四国の夏はアホみたいに暑く、平地でマラソン大会なんか開催したら死屍累々の大惨事になる。そのため山岳地帯で開催するんだけど、じゃあ山の上なら涼しいのかと言えば、これはトンでもない勘違いで、四国では山の上でも暑いのは同じだ。
2007年の汗見川マラソンでは、この世のものとは思えないようなあり得ない暑さで、「四国山地の真ん中の高原で、こんなに暑いんだったら、下界は地獄のような暑さだろうなあ」なんて思っていたら、なんと、その日は、汗見川マラソンが開催された高知県本山町が全国で一番暑かったという、トンでもない状況だった。昔は涼しかったのかもしれないが、少なくとも今は山の上だからと言って涼しさを期待してはいけないって事だけは確かだ。
でも、私は夏の猛暑の炎天下に走るのは嫌いじゃない。寒い中を走るよりは暑い中を走る方がよっぽど楽しい。なので、暑くても割りと平気だ。
(支部長)「タイムは悪いけどな」
もちろん炎天下のレースはタイムは悪くなる。タイムの事を言えば、やはり寒い冬場のレースの方が良いタイムが出る。厳冬期に開催される丸亀マラソンなんか、雪が降ることもあるが、風さえ無ければ寒ければ寒い方がタイムは良い。季節的には11月から3月くらいまでのマラソン大会が良いタイムを期待できる。徳島マラソンなんかは、以前は4月下旬に開催されていたが、その頃になると、天気が良い年は暑くて大変だった。今は3月に開催される事が多くなったので、寒い年が多く、好き嫌いで言えば、寒いから嫌いなんだけど、タイムは暑い時より寒い時の方がマシになった。
なので、「暑くても平気」ってのは「嫌いじゃない」という意味であって、タイムは寒ければ寒いほど良い。夏場なら雨が降って肌寒いくらいが良い。でも、それじゃあ本当は楽しくない。夏場のマラソン大会なら、やはり猛暑の炎天下のレースが楽しい。タイムは悪くても楽しい。
(支部長)「タイムが悪くても言い訳できるしな」
夏場のマラソン大会なら、タイムが悪くても暑さのせいにできるのも嬉しい。もし、それほど悪くなければ、「こんなに暑いのに、よく頑張ったな」なんて自己満足に浸ることもできる。
て事で、夏場のマラソン大会は大好きなんだけど、それだけじゃなく、夏場にマラソン大会に出ないと、ブランクが長くなりすぎるってのも積極的に参加する大きな理由のひとつだ。
真夏にマラソン大会が少ないのは、あまりにも暑くて走るのが大変だからだが、だからと言って真夏にレースに出ないと、夏の間、ランニングをサボってしまいがちになる。レースが無くても地道にトレーニングできる真面目な人ならいいんだけど、我々のように心が弱いと、レースが無いとどうしてもサボってしまう。時候が良いときなら、レースが無くても楽しく走ることもあるが、クソ暑い時とかクソ寒い時なんかは、レースが無かったら、絶対にすぐサボってしまう。
なので、夏場のマラソン大会に出なければ、5月末のオリーブマラソンの後は、秋のマラソンシーズンまで、夏場の4ヵ月間を完全休養してしまうかもしれない。心の弱い我々としては、少しでもモチベーションを維持するために、夏場にレースを入れなければならないのだ。
〜 超厳しいコース 〜
酸欠マラソンは今年で19回目にもなるが、4年前までは参加したことはなかった。存在すら知らなかった。存在を知ったのは5年前だ。その年は、汗見川マラソンの申込みに油断して失敗してしまい、その代わりになる夏場のマラソン大会を探していて、酸欠マラソンを見つけたのだ。ただその時は、酸欠マラソンも油断して申し込みし損ねたので、参加できなかった。それを教訓に、最近は、新年早々、年間スケジュール表を作成して、常にそれを確認して申し込みを忘れないようにしており、そのおかげで4年前以降は汗見川マラソンも酸欠マラソンも龍馬脱藩マラソンもエントリーに成功している。
酸欠マラソンが開催されるのは高知県伊野町だが、伊野町と言っても、元々の伊野町のイメージではない。元々の伊野町は、高知市のすぐ西側にある和紙の産地で、山深い町ではない。一方、酸欠マラソンが開催されるのは、合併で伊野町に吸収される前は本川村だったところだ。しかも本川村の中でも北の端で、私らのイメージでは高知県と言うより愛媛県だ。
なぜなら、コースは瓶ヶ森林道だからだ。瓶ヶ森林道は、ほぼ高知県と愛媛県の県境に沿って走る道で、正確に言えば大半は高知県側を走ってるんだけど、この道を通るのは石鎚山や瓶ヶ森などの石鎚山系の山々へ登山に行く時だから、イメージとしては愛媛県の道だ。よく地図を見ると、そもそも石鎚山系の山々も県境にあり、愛媛県の山とも高知県の山とも言えるのだけど、愛媛県側から登るのが一般的なので、なんとなく愛媛県の山というイメージがある。高知県の人だって、石鎚山系が高知県の山と言う認識は無いんじゃないだろうか。そのため瓶ヶ森林道も愛媛県のイメージなので、伊野町ってのは違和感があった。
酸欠マラソンは、コースのイメージとしては、かつて存在した四国カルストマラソンに似ている。四国カルストマラソンは、酸欠マラソンのコースより数十km南西にある四国カルスト高原を走るもので、酸欠マラソンと同じように愛媛県と高知県の県境の道がコースだった。どちらも県境の尾根の上の道を走るから、天気が良いと見晴らしが良くて気持ち良い。少なくとも車で走ると、それほどアップダウンがあるような感じはなく、快適な尾根の道だ。だが、しかし、それは車で走ってるから勘違いしているだけであり、自分の足で走ると、かなり強烈にアップダウンがある。
四国カルストマラソンの坂も強烈だったが、酸欠マラソンもスタート地点から最高地点までの高低差が285mもある。しかもスタート直後の序盤で、3kmちょっとの間に250mも登るから、勾配は8%以上となる。8%もの勾配を3kmも登るなんて、これは強烈以外の何物でもない。最高地点はスタート地点から4kmほど走った瓶ヶ森登山口で、そこを超えると今度は下りが6.5km続いて折り返し点に至る。折り返した後は、当たり前だが、6.5kmの坂を登り返し、最後に4kmの急坂を下ってゴールとなる。終盤の4kmが下りになるのは嬉しいような気がするが、レース終盤で足がヘタってきた頃の急な下り坂は決して楽なものではない。つまり、最初から最後まで厳しいコースだ。
他のマラソン大会と比較すると、ハーフマラソンでは、地獄の山岳マラソン大会だった塩江温泉アドベンチャーマラソンが最大標高差が約350mなのに対して酸欠マラソンは300m弱なので、少し低いが、累積の獲得標高で見ると、塩江温泉アドベンチャーマラソンが550mちょっとだったのに対して酸欠マラソンは560mちょっとなので、少しだけ多いくらいだ。また、上り坂の距離は少しだけ塩江温泉アドベンチャーマラソンの方が長かったので、上りの平均斜度は酸欠マラソンの方が少しだけきつい。また四国カルストマラソンや龍馬脱藩マラソンのハーフマラソンや汗見川マラソンと比べても、最大標高差、獲得標高、平均斜度のいずれをとっても酸欠マラソンの方が厳しい。つまり、塩江温泉アドベンチャーマラソンが無くなった今となっては、酸欠マラソンは四国内の山岳マラソンで文句なしに一番厳しいコースと断言できる。
ところが、なんと、今年、コースが変更となった。これまで会場(スタート地点、ゴール地点)だった山荘しらさが工事中で使えなくなったため、会場が瓶ヶ森駐車場になったのだ。
従来のコースは、山荘しらさをスタートして北に向かって激坂を4kmほど上って瓶ヶ森駐車場まで走り、そこからおおまかに言えば東に向かって6km半ほど緩やかに下って折り返し点まで走り、そこから戻ってくるというものだ。ところが今年のコースは、いきなり瓶ヶ森駐車場からのスタートとなり、東に向かって10.5kmほど緩やかに下り続けて折り返し点まで走り、そこから今度は10.5kmほどひたすら上り続けて帰ってくるというものになった。山荘しらさからの激坂が無くなった代わりに、従来の折り返し点からさらに4kmほど東に行ったところまで走って戻ってくるのだ。
これは、単にスタート地点やゴール地点が移動したっていう単純な話ではない。このコース変更は、酸欠マラソンの性格を激変させる衝撃的な変更だ。
(支部長)「最初の激坂が無くなったから朗報じゃないの?」
確かに、スタート直後の4kmの激坂が無くなったのは、朗報と言えば朗報だ。しかし、酸欠マラソンの名物は最初の4kmの激坂だ。あの激坂が無くなったとしたら、酸欠マラソンの魅力は半減してしまう。
(支部長)「偉そうに言ってるけど、内心は喜んでるやろ?」
(幹事長)「実は、必ずしも走りやすくなった訳ではないぞ」
スタート直後の激坂が無くなったので、一見、走りやすそうに思えるが、実はそうとも限らない。従来のコースなら、最初の4kmは超厳しいが、その後は6.5kmの下りが続くから休める。そして折り返した後は6.5kmの上りが続くが、最後は4kmの激坂の下りがあるから、疲れ切っているとは言え、ガンガン激走してフィニッシュできる。北山林道駆け足大会も終盤が激坂の下りなので、ガンガン激走してフィニッシュできるのが楽しいが、酸欠マラソンも同じだ。
ところが、今回のコースでは、前半はひたすら下りだ。まだ疲れてないから休む必要は無いのに、延々と下りが10.5kmも続く。そして折り返した後は、後半は上り坂が延々と10.5kmも続く。これは厳しい。絶対に途中で疲れ果てる。
これまで色んな山岳マラソンに出てきたが、ほとんどのコースは前半が上りで後半が下りだ。塩江温泉アドベンチャーマラソンもそうだし、汗見川マラソンもそうだし、北山林道駆け足大会もそうだし、竜馬脱藩マラソンもそうだ。なぜかと言うと、ほとんどの山岳マラソンはスタート地点およびゴール地点となる会場が、一番、麓に近い場所にあり、コースは会場から山に向かって上っていくからだ。山岳マラソンとは言えないが、海部川マラソンや弘前アップルマラソンのような川沿いを走るコースも同じで、最も下流の場所からスタートして上流に上っていって折り返してくるから、やはり前半が上りで後半が下りだ。
前半はまだまだ元気だから上りでもなんとか走れるし、疲れてきた後半が下りになると、疲れていてもなんとか戻ってこられる。ところが、今回のコースは逆になったため、まだまだ元気な前半に無駄に下りがあり、疲れてきた後半がひたすら上りになるから、レース展開としてはかなり厳しく辛いものになると予想される。
(幹事長)「という事だ」
(支部長)「確かに、それはそうだ」
このようにハーフマラソンのコースは、本当に楽になったのかどうか走ってみなければ分からない変更となったが、10kmの部は超楽ちんコースとなった。10kmのコースは、従来は激坂を4km上った後、1kmだけ緩い下りを走り、そこで折り返して1km緩く登った後、激坂を4km下るというアップダウンの激しいコースだったが、今年のコースは緩やかに5km下って折り返し、緩やかに5km上って帰ってくるというものになった。前半が下りで後半が上りというのはハーフマラソンと同じだが、距離が半分しかないので、それほど厳しくはない。てな事で、加藤選手が10kmの部に初参加することになった。
さらに、今年からマラソンを始めたばかりというライオン4世も10kmの部への参戦を決めた。彼女は今年の満濃公園リレーマラソンでマラソンデビューしたばかりだ。そして、生まれてこのかた2km以上走ったのは、その時だけという状態なのに、無謀にも5月のオリーブマラソンの5kmの部に出場し、完走すら危ぶまれていたにもかかわらず、なんと女子年代別部門で50人中8位という快挙を成し遂げた。
(幹事長)「ビギナーズラックか!?」
(ライオン)「実力です!」
これで自信をつけたライオン4世は、瓶ヶ森林道の写真を見て「キャア素敵。絶対にここ走りたい!」ってことで衝動的に参加を決めたのだ。瓶ヶ森林道はUFOラインとも呼ばれ、標高1300m〜1700mの尾根沿いを縫うように走るルートは、天空へと続く絶景のドライブコースとして人気があり、トヨタ自動車のテレビCMにも使われたりしている絶景コースなのだ。
絶景の瓶ヶ森林道
(2016年の写真)
確かに、写真を見ると、本当に気持ちの良さそうなコースであり、誰しもが一度は走りたいと思うだろう。でも、従来のコースはアップダウンが厳しかったため、なかなか気軽には参加できなかった。ところが今年は10kmの部のコースが穏やかになったため、絶好のチャンスになったのだ。
もちろん、従来からハーフマラソンの厳しいコースに出場し続けている私と支部長とピッグは、今年もハーフマラソンの部に出る。コース変更でタイムが少しでも良くなれば嬉しいが、それはふたを開けてみなければ分からない。
でも、突然のコース変更はダレ切った我々に緊張感をもたらしてくれた。真面目なゾウさんなんかは、何回も出ているレースであっても、レース前は胃が痛くなるほどのものすごい緊張感に包まれている。一方、我々は何度も出ているレースになると、何の緊張感も無く、ダレてダレてダレ切ってしまう。
(支部長)「緊張するのは初参加の時くらいやな」
(幹事長)「一回でも走ったら緊張感無くなるな」
ゾウさんは真のアスリートなので、レースに対する心構えと言うか真剣さが違うので、緊張するが、我々は真剣さが皆無なのでダレてしまう。良いタイムを出したいと言う欲はあるものの、その裏付けとなるような練習はしてないし、相変わらず行き当たりばったりの出たとこ勝負のレース展開になり、惨敗が続いている。
しかし、今回のコース変更により、初参加のような状態になったため、我々も最低限の緊張感を抱けるようになったのだ。
〜 まさかの中止! 〜
て事で久しぶりに緊張感を持って楽しみにしていた今年の酸欠マラソンだが、なんとなんと、またまたまさかの中止になってしまった!
今年で19回目にもなる酸欠マラソンに我々が初めてエントリーしたのは、上にも書いたように、ほんの4年前の2015年の事だ。初めての参加だったので、緊張しつつもワクワクしながら麓の西条から延々と瓶ヶ森林道を上って行った。瓶ヶ森林道は気持ちの良い絶景コースだが、麓から上がっていくのが一苦労で、曲がりくねった狭い坂道を延々と1時間も上り続けてようやく瓶ヶ森駐車場に着くため、レース前からグッタリしてしまう。
それでも景色が良ければ疲れも吹き飛ぶが、2015年は上に着いたらガスの中だった。麓の西条でも雨は降っていたが、大した雨ではなかったから、誰も問題視はしてなかった。一般的に山の天気は悪くなりがちで、麓が晴れていても山の上は曇りって事が多いし、麓が曇りなら山の上は雨、麓が雨なら山の上は嵐って事も多い。瓶ヶ森林道は標高が高いので、麓が雨なら天気が悪くなる事は覚悟はしていたが、それでも大した雨ではないし、大した風でもない。ガスで景色は見えないし、風の中を走るのは辛いが、それでも我々は走る気まんまんだった。なぜなら、まさか風雨のせいでマラソン大会が中止になるなんて発想が無かったからだ。
また、寒い冬場は別として、我々自身も雨のマラソン大会が嫌いな気持ちは払拭されている。昔の私たちなら、雨のマラソン大会なんて走る気が起きなかった。朝から雨が降っていると、空を見上げながら連絡を取り合って、結局、みんな揃って欠場って事も多かった。しかし、2010年の第33回オリーブマラソンで考えが変わった。その日は朝からものすごい土砂降りの雨だったので、みんなで欠場の相談をしていたら、我がペンギンズのエース城武選手から「雨がどうしたんですかっ!何を考えてるんですかっ!」と一喝され、渋々参加した。そしたら、土砂降りの雨は、走りにくいどころか、気温が低くなって走りやすくて、後半の大きな坂も全然、苦にならず、最後までペースダウンすることなく、むしろ坂が多い後半の方がペースアップしてタイムが良くなるという考えられないレース展開でゴールし、2時間を大幅に切る大会自己ベストとなった。私だけでなく、最後までデッドヒートを演じたピッグも快走だったし、支部長も例年なら絶対に歩く最後の大きな坂も歩かずに2時間を切る大会自己ベストを出した。それ以来、暑い季節には、むしろ雨を好むようになったのだ。
てな事で、何も考えずにスタートを待っていたら、なんと、突然、中止になってしまった。これには呆然とした。かつてマラソン大会は、どんなに暴風雨が荒れ狂っても、天気のせいで中止にはならなかった。7年前の徳島マラソンは台風顔負けの暴風雨の中でも決行された。あの時に比べたら、雨が降っていると言っても、大したことはないし、風も弱い。そもそもマラソン関係者の間では、雨や風の影響で大会を中止にするなんて発想は皆無だったはずだ。 それが、いつから変わってしまったのだろう。おそらくは、事故でも起きたらアホなマスコミ共が一斉に声高に非難するからだろう。世の中の悪い事ってのは、ほとんどがマスコミと民主党が諸悪の根源だ。
以前は、参加するランナーだって、風雨で中止になるなんて予想もしてなかったと思う。参加しているランナー達は、天候の事は自己責任で出場しているのだから、天候のせいで事故が起きても文句言うような幼稚な人はいないはずだ。そもそも、夏場のマラソン大会なら、天気が良くて炎天下を汗だくになって走るより、むしろ雨の方が望ましいくらいだ。
それに、百歩譲って中止にするのは仕方なかったとしても、決断が遅すぎる。めちゃ早起きして、高速道路を通って、さらに延々と瓶ヶ森林道を上って、スタンバイしてから中止の決定をするなんて、遅すぎる。せめて家を出る前には決定してほしかった。
怒り狂いながら下山したが、どうしても参加したくて、翌年の2016年に再チャレンジしたら、打って変わって快晴となり、気持ち良く走ることができた。ただし、酸欠マラソンのコースは1400〜1700m前後で、四国の道路としては最も標高が高いから、快晴でも下界よりはだいぶ涼しいだろうと期待してたら、甘かった。標高が100m違えば気温は0.6℃違うから、下界より10℃くらい低いはずだが、下界がめちゃ暑い日だったら、山の上もそこそこ暑い。しかも、高原なので曇っていると夏でも肌寒いくらいで、空気も澄んで気持ち良いが、ひとたび太陽が顔を出すと空気の薄い高原のギラギラした直射日光が強烈に当たり、肌が焼けていくような灼熱地獄になるのだ。て事で、強烈な激坂にぶちかまされて、ハーフマラソンとしては歴史的な敗北を喫するタイムとなった。
その翌年の2017年は、時々雲に陽が隠れる天気だったので、前年ほど暑くはなく、そのおかげで少しはタイムがマシだった。とは言っても、ほんの少しマシだった程度で、他の大会のタイムに比べたら歴史的敗北に変わりは無い。
続いて去年はさらにリベンジに燃え、8月の月間ランニング距離としては過去最高の練習をこなして参戦しようとした。ところが、なんと、去年も再び雨で中止になってしまった。
去年は酸欠マラソンだけでなく、マラソン大会の中止が相次いだ。まず最初は7月初旬の高松トライアスロンだ。この時は豪雨の天気予報が出ていたため、前日に中止決定となった。自転車はスリップしやすいため、仕方なかったかもしれない。
そして、高松トライアスロンに続き、7月末の汗見川マラソンも中止になってしまった。この時の理由はひどいと言うか信じられないと言うか理解できないと言うかあり得ないものだった。天気予報は晴れで、しかもずっと猛暑の晴天が続いていた。それなのに中止になった理由は「3週間も前の豪雨」だった。3週間前の豪雨の後は、ずうっと猛暑の晴天が続いていたのに、今頃になって豪雨を理由に中止にしたのだ。3週間も前の豪雨により、マラソンコースの道路に崩落の危険箇所があるから、という理由なのだ。豪雨により道路が崩落して通れなくなった、と言うのなら理解できる。あるいは、再び雨が降っていて、今にも崩れそうだから、と言うのなら理解できる。しかし、豪雨は3週間も前の事であり、しかもその豪雨によっても崩れてはいないのだ。そして今は晴天が続いてカラカラで、土砂崩れが発生する可能性はゼロに近い。一体、何を恐れているか、全く理解できない。
そしてそして、それに続いて酸欠マラソンまでもが中止になったのだ。確かに天気予報は悪かった。でも台風でも何でもない、ただの雨だ。量は多いかもしれないが、高松トライアスロンが中止になった時のような豪雨ではない。ただの雨だ。6年間の徳島マラソンのような台風並みの暴風雨ではなくて、単なる雨だ。それなのに、前日に、早々に中止決定が下された。
確かに、2015年の時の中止決定は遅すぎた。雨の中、苦労して標高1700mの瓶ヶ森林道まで上がって、いよいよこれからって時に、突然、中止になった。中止にするのなら、もっと早めに決断して欲しかった、などと大会運営に対して不満が爆発した。なので、去年の中止決定が前日だったのは改善点と言える。しかし、単なる雨の予報で中止決定するのは、やり過ぎだ。2015年もそうだったが、本当に中止にする必要があったのか、と問いたい。
そしてそして、なーんと今年もまたまた中止になってしまった。去年よりさらに早く前々日に事務局から電話があり「天気が悪そうなので中止になりました」と告げられた。確かに天気予報は雨だったが、大雨の予報ではなく、降ったり止んだり程度の雨の予報だ。しかも前々日だから、まだ本当に降るかどうかも分からない。そんな曖昧な天気予報で中止決定するなんて、早まり過ぎだ。
改めてパンフレットを見てみると、「雨天が予想される場合、前日15時までに開催の有無を決定」なんて書いてある。前日15時なら天気予報の確度も高くなっているだろう。台風がやってきそうだって言うのなら前々日の決定だとしても分かるが、単なる雨の予報なのに、なぜ前日じゃなくて前々日の曖昧な天気予報の時点で決定したのだろうか。なぜ、そんなに急いで中止決定する必要があったのだろうか。
怒り狂って文句を言おうとしたんだけど、申し訳なさそうに中止を伝える電話の向こうの事務局のおねえさんが可哀想なので、あっさりと引き下がったが、もう全く理解に苦しむ。そして、結果論だが、当日はほとんど雨も降らず、風も弱かった。どう考えても開催できた天気だ。
これでエントリーし始めてから5年間で3回目の中止だ。ここまで中止が続くと、まさか本当は開催したくないんじゃないかって、事務局のやる気を疑ってしまうが、さすがにそれはないだろう。そんなんなら、最初から開催しないだろうし、事務局としても、準備をしたからには開催したいだろう。
去年は高松トライアスロン、汗見川マラソン、酸欠マラソンと3大会連続で中止になったが、今年は汗見川マラソンは土砂崩れにも関わらずコース変更でなんとか開催されただけマシだった。でも、マラソン大会ではないが、8月13日の高松花火大会は中止になってしまった。この時も、前々日のいい加減な天気予報に基づいた中止で、結果的に雨なんて全然降らなかったから、何も知らずに見物に来た花火客の怒りが爆発した。これだって、事務局としては準備したんだからやりたかっただろうと思う。やはり諸悪の根源は何かあったらすぐ狂犬のように吠えまくるマスコミや民主党が悪いのだろう。
本当に残念な決定だが、単に楽しみにしていたマラソン大会に出られなくて残念ってだけでなく、9月初めの酸欠マラソンが無くなると、次は10月の龍馬脱藩マラソンまでレースが無いのが困る。夏場は暑いから、どうしても練習不足になりがちになるので、せめてハーフマラソンを9月にこなしてから10月のマラソンシーズンに挑みたいのに、いきなり10月のフルマラソンだ。しかも、あらゆるマラソン大会の中で最も過酷な史上最強の龍馬脱藩にいきなり挑まなければならない。これは厳しい。
何か事故が発生したら、全て参加者の自己責任でいいから、雨くらいで止めるのではなく、決行して欲しいぞ。
〜おしまい〜
![]() 戦績のメニューへ |