第18回 四国のてっぺん酸欠マラソン大会
2018年9月9日(日)、高知県伊野町で第18回四国のてっぺん酸欠マラソン大会が開催される予定だった。
最近は毎年、夏場には山岳マラソンが続いている。3年前の夏は、7月下旬の汗見川マラソン、9月の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと、山岳マラソン3連戦という厳しい日程にした。
2年前の夏はさらに、6月上旬に北山林道駆け足大会に初出場したため、7月下旬の汗見川マラソン、9月の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールとなった。
去年は6月上旬の北山林道駆け足大会のあと7月下旬の富士登山競走に初参加し、続いて9月の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと、やはり山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールとなった。
そして今年は、富士登山競走のエントリーに失敗したため、2年前の夏と同じく、6月上旬の北山林道駆け足大会、7月下旬の汗見川マラソン、9月の酸欠マラソン、10月上旬の龍馬脱藩マラソンと山岳マラソン4連戦という超厳しいスケジュールにした。
(支部長)「自転車もそうやけど、ほんまに幹事長は最近、坂が好きやなあ」
(幹事長)「しかも今年は坂好きが高じてトレイルレースにもデビューしたからな」
今年は普通のマラソン大会に飽きたらず、遂に5月に奥四万十トレイルレースin松葉川でトレイルレースにデビューしたのだ。これが想像以上に面白かったため、10月には秋吉台トレイルランに出る予定だ。秋吉台のカルスト台地を駆け抜けるなんて、考えただけでも楽しくて仕方ない。あまりにも楽しそうなので、支部長も強引に誘い、引き込んでいる。
(支部長)「勝手に楽しむのはええけど、私まで道連れにするんは止めてちょうだいな」
なぜ坂のあるマラソン大会やトレイルレースが好きにかと言うと、普通のフラットなマラソンコースではタイムが伸び悩んでいるからだ。以前は良いタイムが出るフラットなコースの方が好きで、どの大会に出ても、毎回、大会自己ベストを出すのを目標にしてきた。そして、実際に、時々は良いタイムが出ていたから、それが楽しかった。ところが近年、自己ベストが出なくなってきた。惜しいっていうより惨敗続きで、どう考えても自己ベストなんて出そうにない状況になってきた。何か原因に心当たりがあれば不調のせいだと見なせるし、その対応策も考えられるが、最近は、何の心当たりも無いのにタイムが伸び悩んでいる、と言うか、年々悪くなっている。
(支部長)「だから、それは不調なんじゃなくて歳のせいなんやってば」
以前、亀ちゃんに「お前のレベルなら歳のせいじゃなくて、単なる練習不足や」なんて一喝されたように、私らのレベルだと、真面目に練習をすればまだまだタイムは良くなると信じていたんだけど、最近は、少し練習量を増やしただけで疲れが残り、どんどん調子が悪くなる。もともと大した練習量ではないのだけど、それすら増やせないのだ。これも多分、歳のせいなんだろうけど、こうなるとフラットなコースでも良いタイムを出すことはできない。
て事で、最近は、タイムは二の次で、フラットなコースよりも激坂がある山岳マラソンの方が面白くなってきた。以前から出ている汗見川マラソンなんかでは、むしろ物足りないくらいで、2年前から出ている北山林道駆け足大会なんかは、最大勾配19%なんていうトンでもない激坂を駆けめぐるレースで、とっても楽しいし、去年初めて出場した富士登山競走なんかは、標高差1480mを駆け上がる超過激なレースで、ものの見事に撃沈したが、面白くて楽しかった。そして、この酸欠マラソンも強烈な激坂が売り物だ。
過去を振り返ると、そもそも我々は昔から山岳マラソンに積極的に参加してきた。古くは21年前から参加していた塩江温泉アドベンチャーマラソンだ。これは前半は延々と12kmも急坂を登り続け、後半は9kmも急坂を下り続けるという尋常ではないコース設定のマラソンだったが、多くのメンバーが毎年参加していた。13年前に塩江町が高松市に吸収合併されて、塩江山岳マラソンが廃止されてしまったのはとても残念だ。
ほかにも、塩江マラソンと双璧をなす恐怖の山岳マラソン大会である四国カルストマラソンというのもあった。開催時期が酷暑の7月で、炎天下の高原の急坂を登るという殺人レースだった。標高1500m前後の高原なので曇っていると夏でも肌寒いくらいで、空気も澄んで気持ち良いのだが、ひとたび太陽が顔を出すと空気の薄い高原のギラギラした直射日光が強烈に当たり、肌が焼けていくような灼熱地獄のレースになる。もちろん、日射しがきついだけでなく、アップダウンも凄まじい厳しいレースだったが、マラソン大会がほとんど無い夏場の貴重なレースということで、時々参加していた。この四国カルストマラソンも廃止されてしまったので、とても残念なんだけど、こちらは後継大会として龍馬脱藩マラソンができた。
この後継の龍馬脱藩マラソンには、4年前に初めて参加する予定だったが、直前になって台風のために中止になってしまったため、龍馬脱藩マラソンへの初参加は3年前になったが、恐れをなしてハーフマラソンの部に出たら、意外に楽で、ちょっと肩すかしだった。そこで2年前はフルマラソンの部に出たら、ものの見事に撃沈してしまった。レース直後には「もうこのマラソン大会のフルマラソンには絶対に出ないぞ」なんて思ってたんだけど、月日が経つうちにリベンジしたくなり、性懲りもなく去年もフルマラソンの部に出て、なんと2年前以上の大惨敗を喫してしまった。このように坂が厳しい山岳マラソンは結果が悲惨なんだけど、それでも不思議な魅力があり、最近はますます山岳マラソンが好きになっている。
山岳マラソンが開催されるのは、たいていは夏場だ。なので、ここんとこ毎年、夏場は山岳マラソンが4連戦も続いたりする。なぜ山岳マラソンが夏場に集中しているのかと言えば、夏は暑いから、少しでも気温の低い山岳地帯でマラソン大会を開催しようという発想からだ。特に四国の夏はアホみたいに暑く、平地でマラソン大会なんか開催したら死屍累々の大惨事になる。そのため山岳地帯で開催するんだけど、じゃあ山の上なら涼しいのかと言えば、これはトンでもない勘違いで、四国では山の上でも暑いのは同じだ。11年前の汗見川マラソンでは、この世のものとは思えないようなあり得ない暑さで、「四国山地の真ん中の高原で、こんなに暑いんだったら、下界は地獄のような暑さだろうなあ」なんて思っていたら、なんと、その日は、汗見川マラソンが開催された高知県本山町が全国で一番暑かったという、トンでもない状況だった。昔は涼しかったのかもしれないが、少なくとも今は山の上だからと言って涼しさを期待してはいけないって事だけは確かだ。でも、私は夏の猛暑の炎天下に走るのは嫌いじゃないから、暑くても平気だ。
(支部長)「タイムは悪いけどな」
もちろん炎天下のレースはタイムは悪くなる。「平気」ってのは嫌いじゃないという意味であって、タイムは寒ければ寒いほど良い。夏場なら雨が降って肌寒いくらいが良い。でも、それじゃあ楽しくない。夏場のマラソン大会なら、やはり猛暑の炎天下のレースが楽しい。
酸欠マラソンは今年で18回目にもなるが、3年前までは参加したことはなかった。存在すら知らなかった。存在を知ったのは、4年前だ。その年は、汗見川マラソンの申込みに油断して失敗してしまい、その代わりになる夏場のマラソン大会を探していて、酸欠マラソンを見つけたのだ。ただその時は、酸欠マラソンも油断して申し込みし損ねたので、参加できなかった。それを教訓に、最近は、新年早々、年間スケジュール表を作成して、常にそれを確認して申し込みを忘れないようにしており、そのおかげで3年前以降は汗見川マラソンも酸欠マラソンも龍馬脱藩マラソンもエントリーに成功している。
酸欠マラソンが開催されるのは高知県伊野町だが、伊野町と言っても、元々の伊野町のイメージではない。元々の伊野町は、高知市のすぐ西側にある和紙の産地で、山深い町ではない。一方、酸欠マラソンが開催されるのは、合併で伊野町に吸収される前は本川村だったところだ。しかも本川村の中でも北の端で、私らのイメージでは高知県と言うより愛媛県だ。なぜなら、コースは瓶ヶ森林道だからだ。瓶ヶ森林道は、ほぼ高知県と愛媛県の県境に沿って走る道で、正確に言えば大半は高知県側を走ってるんだけど、この道を通るのは石鎚山や瓶ヶ森などの石鎚山系の山々へ登山に行く時だから、イメージとしては愛媛県の道だ。よく地図を見ると、そもそも石鎚山系の山々も県境にあり、愛媛県の山とも高知県の山とも言えるのだけど、愛媛県側から登るのが一般的なので、なんとなく愛媛県の山というイメージがある。そのため瓶ヶ森林道も愛媛県のイメージなので、伊野町ってのは違和感があった。
酸欠マラソンは、コースのイメージとしては、かつて存在した四国カルストマラソンに似ている。四国カルストマラソンは、酸欠マラソンのコースより数十km南西にある四国カルスト高原を走るもので、酸欠マラソンと同じように愛媛県と高知県の県境の道がコースだった。どちらも県境の尾根の上の道を走るから、天気が良いと見晴らしが良くて気持ち良い。少なくとも車で走ると、それほどアップダウンがあるような感じはなく、快適な尾根の道だ。だが、しかし、それは車で走ってるから勘違いしているだけであり、自分の足で走ると、かなり強烈にアップダウンがある。
四国カルストマラソンの坂も強烈だったが、酸欠マラソンもスタート地点から最高地点までの高低差が285mもある。しかもスタート直後の序盤で、3kmちょっとの間に250mも登るから、勾配は8%以上となる。8%もの勾配を3kmも登るなんて、これは強烈以外の何物でもない。最高地点はスタート地点から4kmほど走った瓶ヶ森登山口で、そこを超えると今度は下りが6.5km続いて折り返し点に至る。折り返した後は、当たり前だが、6.5kmの坂を登り返し、最後に4kmの急坂を下ってゴールとなる。終盤の4kmが下りになるのは嬉しいような気がするが、レース終盤で足がヘタってきた頃の急な下り坂は決して楽なものではない。つまり、最初から最後まで厳しいコースだ。
〜 まさかの中止! 〜
この酸欠マラソンに初めてエントリーできたのは3年前だが、初参加しようと思って、やる気満々で現地まで行ったのに、スタート直前になって風雨のため急遽中止になってしまった。風雨と言っても、6年前の徳島マラソンのような台風みたいな暴風雨ではないが、ガスで真っ白になり視界が悪かったので、仕方なかったかも知れない。
気を取り直して2年前に再チャレンジしたら、打って変わって快晴となり、気持ち良く初参加することができた。その日は快晴だったが、酸欠マラソンのコースは1400〜1700m前後で、四国の道路としては最も標高が高いから、下界よりだいぶ涼しいだろうと期待してたら、甘かった。標高が100m違えば気温は0.6℃違うから、下界より10℃くらい低いはずだが、下界がめちゃ暑い日だったら、山の上もそこそこ暑い。しかも、高原なので曇っていると夏でも肌寒いくらいで、空気も澄んで気持ち良いが、ひとたび太陽が顔を出すと空気の薄い高原のギラギラした直射日光が強烈に当たり、肌が焼けていくような灼熱地獄になるのだ。て事で、強烈な激坂にぶちかまされて、2年前はハーフマラソンとしては歴史的な敗北を喫するタイムとなった。
そして去年は、時々雲に陽が隠れる天気だったので、2年前ほどは暑くなく、そのおかげで少しはタイムがマシだった。とは言っても、ほんの少しマシだった程度で、他の大会のタイムに比べたら歴史的敗北に変わりは無い。
てな事で、今年はさらにリベンジに燃えていて、8月の月間ランニング距離としては過去最高の練習をこなしてきた。
(ピッグ)「そんなに練習に励んでたんですか!」
(幹事長)「ま、普段の年は夏にサボりまくっているだけやけどな」
それなのに、ああ、それなのに、なんと、この酸欠マラソンも雨で中止になってしまった。
台風でも何でもない、ただの雨だ。量は多いかもしれないが、高松トライアスロンが中止になった時のような豪雨ではない。ただの雨だ。6年間の徳島マラソンのような台風並みの暴風雨ではなくて、単なる雨だ。それなのに、前日に、早々に中止決定が下された。
(幹事長)「ちょっと雨に怯えすぎじゃないか?もう少しギリギリまで様子を見たらどうだ?」
(ピッグ)「スタート直前になって中止になった3年前よりマシじゃないですか?」
確かに、3年前はひどかった。雨の中、苦労して標高1700mの瓶ヶ森林道まで上がって、いよいよこれからって時に、突然、中止になった。中止にするのなら、もっと早めに決断して欲しかった、などと大会運営に対して不満が爆発した。今回は前日の決定だったので、その点では少しマシかもしれない。しかし、3年前と言い今年と言い、本当に中止にする必要があったのだろうか?
汗見川マラソンが中止になった時にも言ったが、かつてマラソン大会は、どんなに暴風雨が荒れ狂っても、天気のせいで中止にはならなかった。6年前の徳島マラソンは台風顔負けの暴風雨の中でも決行された。マラソン関係者の間では、雨や風の影響で大会を中止にするなんて発想は皆無だったはずだ。それが、いつから変わってしまったのだろう。おそらくは、事故でも起きたら、アホなマスコミ共が一斉に声高に非難するからだろう。実際に参加しているランナー達は、天候の事は自己責任で出場しているのだから、天候のせいで事故が起きても文句言うような幼稚な人はいないはずだ。
7月の真夏の貴重なマラソン大会である汗見川マラソンが無くなってしまったので、6月初めの北山林道駆け足大会から9月初めの酸欠マラソンまで3ヵ月もレースが無くなってしまったと嘆いていたら、この酸欠マラソンまでもが中止になってしまい、次の10月の龍馬脱藩マラソンまで4ヵ月もレースが無い日が続くことになった。本当に腹立たしい限りだ。
(ピッグ)「今回も参加費は戻ってこないんですよね?」
(幹事長)「絶対に戻ってこないだろうな」
大会前日に中止が決まった高松トライアスロンのようなケースは、機材や人手も手配済みで、コストの大部分は使ってしまっていただろうから、やむを得ないだろうけど、今回のように大会前日の中止決定なら、少しは戻してよと言いたい。来年の参加権を確保してくれて、来年の参加費に回してくれるのなら許してもいいけど。
それより何より、雨天によるマラソン大会の中止が、こうも続くと、マラソン大会事務局のやる気を疑ってしまう。何か事故が発生したら、全て参加者の自己責任でいいから、雨くらいで止めるのではなく、決行して欲しいぞ。
〜おしまい〜
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