第42回 小豆島オリーブマラソン大会
2019年5月26日(日)、第42回小豆島オリーブマラソン全国大会が開催された。
去年は久しぶりに新人女子部員2人が登場したが、今年も新人女子部員が1人新たに参加し、今回参加した女子部員は3人となった。
まずは大御所ゾウさんだ。
(ゾウ)「その言い方やめてくれますか」
(幹事長)「だって押しも押されぬ存在じゃん」
今年に入ってからのゾウさんと私の勝負は、距離2kmの満濃公園リレーマラソンでは惨敗し、ハーフマラソンの丸亀マラソンでは勝利し、フルマラソンの徳島マラソンでは一緒にゴールしたから、1勝1負1分で五分だ。しかし、私が出なかった坂出天狗マラソンでは5kmの女子年代別部門で去年、今年と2連覇している実力者だ。
二人目は去年、デビューしたのらちゃんだ。彼女は丸亀マラソンには4回出場しているが、それ以外では去年5月のオリーブマラソンと11月のタートルマラソンに初めて出ただけで、今回がマラソン大会7回目という初心者だ。しかし、初心者なのはレース経験が少ないと言う意味だけで、満濃公園リレーマラソンでは私といい勝負だったし、去年のオリーブマラソンでは支部長に勝ったし、去年のタートルマラソンや今年の丸亀マラソンでも支部長とほぼ同じタイムだった。しかも2月の善通寺五岳山空海トレイルでは、トレラン初参加なのに女子年代別部門で1位になったほどで、女子としてはとても速いランナーだ。
そして3人目が今年の満濃公園リレーマラソンでマラソンデビューしたライオン4世だ。彼女は、生まれてこのかた2km以上走ったのは満濃公園リレーマラソンだけと言う正真正銘の初心者だ。
(幹事長)「練習したんか?」
(ライオン4世)「え、ええ、少しは……」
(幹事長)「舐めとんか!まるっきりの初心者のくせに、少しではいかんやろ!」
(ピッグ)「満濃公園リレーマラソンで幹事長が勝ったのはライオン4世だけだから強気ですねえ」
てな事で、女子部員が3人参加した今年のオリーブマラソンだが、この大会には22年前の第20回大会から参加し続けている。随分、長い間、出場を続けてきたもんだと感慨深いが、昔はヨタヨタ走っていると地元の老人が「ふれあい賞」なんて札を掛けてくれて景品を貰えるなど、のんびりしたムードが漂ったアットホームな大会だったが、近年の異常なまでのマラソンブームにより様変わりしている。
この大会に限った事ではないが、以前は田舎のマラソン大会で定員が一杯になるなんて事はあり得なかったから、誰でも気が向いたら参加できていたのに、最近は世紀末的なマラソン狂走曲のせいで、こんなローカルなマラソン大会でも申し込み受付が始まったら、あっという間に定員いっぱいになり、油断して少しでも申し込みが遅れると参加できなくなってしまう。なので、自分も忘れないようにエントリー受付開始時間を書いたメモをあちこちに貼ると同時に、他のメンバーにもしつこく何度も注意喚起のメールを送り、全員、無事にエントリーが完了した。今回の参加メンバーは3人の女子部員のほか、私、支部長、ピッグ、國宗選手、D木谷さんといったところだ。
(幹事長)「ヤイさんは何しよんですか!?」
(ヤイ)「地区の運動会があるんですよ」
(幹事長)「アスリートとして、運動会とマラソン大会と、どっちが重要なんですか!」
(ヤイ)「自治会長してるんで、運動会の方が重要ですよ!」
ヤイさんは今年から自治会長をしているので、地区の運動会には出なければならないと言い張るのだ。
しかし、私も今年から自治会長をしており、実は前日の土曜日に地区の運動会があったが、それをサボって「番外編」に記事を載せた「スポーツクライミング ジャパンカップ」を見に西条へ行った。だから自治会長だからと言って地区の運動会に出なければならないという訳ではない。
(幹事長)「訳ではない」
(ヤイ)「不真面目な自治会長やなあ。一緒にせんとって下さい」
ちなみに、天気予報では、前日から全国的に季節外れの猛暑になるとの予報だったが、実際に前日は快晴の炎天下での観戦となったため、両腕が真っ赤に日焼けしてしまった。レース当日は、さらに気温が上がるとの予報だったので、戦々恐々だ。
この大会はハーフマラソン、10kmの部、5kmの部があるが、当然ながら、みんなハーフマラソンの部だ。しかし、ゾウさんは昨年に続いて今年も10kmの部に出る。これはゾウさんがハーフマラソンを走れないという事ではない。彼女は今年の徳島マラソンで私と一緒にゴールしてフルマラソン自己ベストを更新したくらいだから、長距離も得意だが、一方で最近は距離の短いガチンコレースも楽しんでいる。2月の坂出天狗マラソンも5kmの部と15kmの部があるが、彼女は最近は5kmの部に出ている。なぜかと言えば、5kmの部の方がペースが速いからだ。
距離が短いと楽そうに思えるが、それは素人の考えであり、距離が短いとペースが速くなるから、はるかにしんどい。距離が長ければペース配分とか考えて無茶に飛ばしたりはしないが、距離が短いとペース配分なんて考える余地は無く、最初から最後まで全力でぶっ飛ばさなければならない。なので、非常にしんどい。ゾウさんは何でも限界に挑戦するのが好きなので、スピードの限界に挑戦したくて、最近は距離が短い部門に出ているのだ。
(幹事長)「でも血の味がするんやろ?」
(ゾウ)「血の味もするし、最後は吐きそうになりますね」
私らは、どんなに頑張っているつもりでも、血の味もしなければ、吐き気も無い。そこまで頑張れないからだ。
それからライオン4世は5kmの部に出る。
(幹事長)「舐めとんか?」
(ライオン4世)「いえいえ、5kmでも走れるかどうか……」
5kmの部を選ぶなんて「距離が短いから楽だろう」という典型的な初心者の発想だ。どう考えても5kmの部なんて短距離走の世界だ。
(幹事長)「死ぬぞ」
(ライオン4世)「いえいえ、5kmをゆっくり走りますから」
〜 ドタキャン 〜
最近、レース直前になってからの國宗選手のドタキャンが少ない。
以前はレースの直前になれば必ず國宗選手からドタキャンの連絡が入っていた。3年前は汗見川清流マラソン、酸欠マラソン、龍馬脱藩マラソン、庵治クォーターマラソンと4戦連続でドタキャンした事があったし、徳島マラソンは2014年から4年連続でドタキャンしていた。それが去年はドタキャンしたのは丸亀マラソンだけだし、今年も今までのところ海部川風流マラソンだけだ。
(幹事長)「どしたんやろ?体の調子でも悪いんやろか?」
(支部長)「ほんとやなあ。まさか心を入れ替えたんやろか?」
もうフルマラソンは永遠にドタキャンするのかと思ってたら徳島マラソンも去年、今年の2年連続で出場し、今年はフルマラソンの自己ベストを出したから、まだまだやる気はあるようだ。
その國宗選手からレース前々日になって連絡が入る。以前なら、國宗選手からのレース直前の連絡はドタキャンの知らせと相場が決まっていた。しかし、最近は「船に乗るのがギリギリになります」とか言った普通の連絡が多い。なので、今回の連絡は「どっちだろう?」って注意深く聞く。
(國宗)「あのう、夜分遅くに済みません」
(幹事長)「うわ、久しぶり!ドキドキするなあ」
(國宗)「え?実は、明後日のオリーブマラソンなんですけど・・・」
(幹事長)「うん、うん、どっち、どっち?」
(國宗)「え?どっちって?」
(幹事長)「出るん?出ないん?」
(國宗)「えーと・・・」
(幹事長)「まさか、今回も出るん!?」
(國宗)「いえ、ちょっと仕事の都合で出られなくなって」
(幹事長)「そうかあ!久しぶりのドタキャンかあ!やったー!」
(國宗)「何を喜んでるんですか!」
久しぶりのドタキャンの連絡だった。なんだか嬉しい。
(幹事長)「いやあ、久しぶりのドタキャンの連絡で、なんだかホッとするわ」
(國宗)「どういう事ですか!」
て事で、國宗選手は久しぶりにドタキャンすることとなった。
〜 奴隷船に乗船 〜
この大会は、出場エントリーもさることながら、交通の便の悪さも大きなネックだ。
小豆島は、四国と本州と、どちらからでも船で1〜2時間で行けるため、関西地方からの参加者も多く、そういう意味では立地の良い大会と言える。しかし、レース会場である小豆島坂手地区には、港はあるけど船の定期航路がほとんど無い。なので、主催者が出している高松発の臨時船に乗るか、他の港へ定期便で行くか、どちらかの選択となる。数年前に一度、定員8名の私の車に9人で乗り合わせて池田港に上陸して行ったこともあるが、移動に時間がかかるうえ、駐車場を探すのも一苦労で、会場へ着くのがギリギリになったので、その後は臨時船に戻った。
ただ、臨時船は古いフェリーボートを借り切ったものであるため、座席が少くて、早く行かないと通路の片隅に体を丸めてしゃがみ込むか、広い車両甲板に寝転がるしかない。車両甲板は固い鉄板で、おまけに朝は冷え込み、冷たい波しぶきが飛んでくるし、逆に帰りは太陽熱で焼けて熱くなった鉄板の上で焼かれるお好み焼き状態になり、とても人間扱いされているとは思えない状況だ。そのため、我々は、この臨時船を奴隷船と呼び、恐れおののいていた。
それなのに、最近の異常なマラソンブームにより、この奴隷船にすら、早めに申し込まないと定員オーバーで乗船券を入手できなくなっている。奴隷船は満杯というか定員の3倍くらい詰め込まれるので、もはや家畜船と呼ぶのが相応しい阿鼻叫喚の世界だが、奴隷船だろうが家畜船だろうが、この乗船券ですら最近は入手が困難なのだ。
マラソン大会への参加自体はランネットで申し込めるから簡単なんだけど、奴隷船のチケットは参加申込みとは連動しておらず、別途、郵便振込みで申し込まなければならないから、マラソン大会にはエントリーできても、奴隷船が定員一杯で交通手段に困る人が続出するのだ。
当日の朝は早起きをしなければならない。いくらプラチナチケットの奴隷船乗船券を持っていても、遅く行ったら奴隷か家畜のように車両甲板に転がされてしまう。奴隷船に人間の尊厳を維持したまま乗るには、かなり早く港に行かなければならない。奴隷船が出港するのは6時50分だが、1時間前の5時50分頃には乗船開始となるので、6時頃に港に着いたのでは遅く、既に座る場所が無くなっている。
去年は5時15分頃に港に着いたら、支部長はまだ来ておらず、数人のグループが先客で並んでいた。誰もいないとかえって不安だし、大勢いると席の奪い合いになるが、数人程度ってのがちょうどいい。ところが、しばらく待っていると、支部長が手ぶらでやってきた。どうしたのかと思って聞くと、実は支部長は5時前に到着したんだけど、少し早すぎて係員もおらず、船のすぐそばに荷物を置いたままトイレに行っていたのだ。
て事で、去年の記事に、
[来年への教訓メモ]
★5時に行くと誰もいないが、5時15分になると数人が来ている。
と注意書きが残されていた。
(幹事長)「本当に役に立つメモやな」
(支部長)「歳とるとメモは絶対に必要やな」
て事で、今年も5時10分頃を目途に行くことにした。そのためには自宅を5時前に出なければならない。そのためには4時半前には起きなければならない。4時半に起きるなんて、若い頃なら想像を絶する世界だったが、高齢化が進んだ今は、何の問題も無くなった。予定どおり5時前に家を出て5時10分頃に港に着いたら、既に支部長が来ていた。本当に良い子だ。奴隷船も既に着岸している。ところが、支部長と、もう1人の選手だけは船のすぐそばに並んでいるのに、他の数人は遠く離れた所にならんでいる。
(幹事長)「これは一体どういう状況?」
(支部長)「私らは係員の指示に従って船の側に並んでるんやけど、後から来た人はあそこから入ってこないんや」
他の人たちが並んでいるのは、ずっと手前のゲートの辺りだ。確かに、去年まではゲートの所に並ばされた。今日は支部長は係員の指示に従ってゲートの内部に入って船の側に並んでるんだけど、後から来た他の人たちは、支部長らが違反して勝手に並んでいるものと勘違いしているようで、ゲートの外に並んでいるのだろう。
例年のように、今年も折りたたみイスを2つ持ってきているので、支部長と2人で座っておしゃべりしながら待つ。年によっては、並んでいる時に寒かったりもするが、今年は天気が良いからか既にすっかり明るく、寒さも感じない。て言うか、天気予報通り今日はかなり暑くなりそうだ。
しばらくするとD木谷さんがやってくる。D木谷さんのトレーニングジム仲間で奴隷船のチケットをゲットできなかった人がいるとのことで、國宗選手のチケットを譲ってあげることになった。
5時50分頃になり、乗船開始となったが、我々以外は遠く離れた所に並んでいるので、ことさらダッシュすることもなく、普通に歩いて楽勝で船の2階席の一番前にあるボックス席を押さえた。 例年、陣取る場所で、ここが一番、落ち着く。例年は1ボックスを抑えるだけだったが、今年はD木谷さんのジム仲間も何人かいるとのことなので、2ボックスを確保した。
しばらくするとピッグがライオン4世と一緒に自転車でやってきた。二人とも、示し合わせたようにお揃いの満濃公園リレーマラソンのTシャツを着ている。
(幹事長)「舐めとんか」
(ピッグ)「ひえ〜、お許しを!」
最後にゾウさんとのらちゃんがJRでやってくる予定だ。電車が高松駅に到着するのが6時半過ぎなので、ギリギリになるはずだ。ゾウさんから「二人で駅からダッシュして行きます」との事だったので、今か今かと窓から見てたんだけど、なかなか来ない。かなり不安になりかけた頃に、ようやく二人一緒に到着した。
さらに、D木谷さんの部下のT村さんも合流した。T村さんはD木谷さんの部下で、去年のオリーブマラソンでも一緒に走ったランナーだ。そのT村さんが肩から腕を吊っている。
(幹事長)「どしたん、それ?」
(T村)「ちょっと骨折しまして」
(幹事長)「なんとかーっ!」
遊びでサッカーしてて骨折したとの事だ。骨折するほど真剣に遊んではいけない。もちろん、骨折してもマラソンができない訳ではない。私は3年前の12月に交通事故で肋骨を骨折したけど、翌月の満濃公園リレーマラソンや2ヵ月後の丸亀マラソンに出たことがある。さらに、その直後、今度は登山で右足の靱帯を損傷したけど、その1ヵ月後のオリーブマラソンに出たこともある。骨折も靱帯損傷も1ヵ月は安静にしていたので、トレーニングが全くできず、どのレースも惨敗だったが、どれも完走はできた。なので、T村さんが骨折しても走るというのは理解できる。ただし、腕を吊ったままでは走りにくいだろう。
(幹事長)「それ、走りにくいやろ?」
(T村)「走る時は吊ってるのをはずします」
腕を吊ってるから、肘辺りを骨折したのかと思ったら、骨折したのは肩とのことで、もう治りかけているから、大丈夫だろうと言う。でも、腕を振るのは痛そうだから、だいぶ走りにくいだろう。
(幹事長)「ま、しかし、それくらいのハンディなら、我々は勝てんやろな」
(支部長)「勝てる訳がないがな」
T村さんはマラソン歴は浅く、デビューしてからまだ2年ちょっとしか経っていない。しかし、もともと素質があるらしく、とても速い。フルマラソンは去年のタートルマラソンが初レースだったが、デビュー戦でいきなりサブ・フォーを達成している。学生時代に何かスポーツをしてたかと言うと、学生時代は美術部で、何のスポーツの経験も無い。それなのに走り始めていきなりサブ・フォーを達成するなんて、やはり才能の問題だろう。
マラソンは、誰だって勝手に走れるから、ついつい平等なスポーツのような気がするが、決してそんな事はなくて、他のスポーツと同じようにマラソンも才能が決定的な要因となる。トップ選手でも苦しそうに走っているのを見ると、他のスポーツより根性が大きく支配するスポーツのように見られがちだが、根性が必要なのはどんなスポーツでも同じだし、根性だけで実力が向上することが無いのも他のスポーツと同じだ。
(支部長)「根性が無い我々が言うのはおこがましいけどな」
生まれつき才能がある人は、ちょっと走り始めたばかりでも、素晴らしいタイムを出せる一方で、我々のように才能も根性も無い連中は、どんなに経験を積んで頑張ったって、ロクなタイムは出ない。
(幹事長)「経験だけは豊富やけどな」
(支部長)「経験は豊富やけど、老化も進んでいるから、プラスマイナスでマイナスの方が大きい」
みんな揃って落ち着いていると、今年も後ろから肩を叩く人がいる。ここで後ろから肩を叩くのは高知の恋さんしかいない。
(幹事長)「1年ぶりですねえ。まだ相変わらずマラソン大会には出まくってるんですか?」
(濃い)「出てるなあ。それにゴルフもしてるしなあ」
福家先生もいるとのことなので、故意さんに着いて行った。
(幹事長)「うわ、お久しぶりです。お元気ですか?」
(福家)「まあ、なんとかね」
そう言いつつ、以前と全く変わっていない。全然老けてなくて元気そうだ。ただ、体がしんどくなってきて、今日は5kmの部に出るとのことだ。
さらに、高野くんとも出会った。つい最近、どこかで見かけたはずなので、色々と言ってみたが、お互いに頓珍漢な会話となって噛み合わなかった。歳とると記憶力がバカになって困るわい。
〜 出港 〜
6時50分になって船が動き始めたので、朝食だ。さすがに早起きしたからお腹が空いてきた。本当は家を出る前に朝食を食べてトイレも済ませたいところだが、いくら早起きが苦痛でなくなったとは言え、普段より早い時間に朝食を食べるとお腹を壊す可能性が高いので、家では食べず、船に乗ってから食べるのだ。朝食はおにぎり3個だ。以前はレース中にお腹を壊すことが多かったので、用心して朝食と一緒に下痢止めの薬も飲んでいたが、4年前の徳島マラソンから朝食を菓子パンからおにぎりに変えたため、その後は一度もお腹を壊さなくなった。パンに含まれるフルクタンという糖類は消化に悪く、下痢になりやすいが、お米に含まれている糖類は消化が良いので、おにぎりを食べれば、もう下痢を心配する必要は無いのだ。
(のらちゃん)「よく気づいたねえ」
(幹事長)「NHKのガッテンでやってて」
さらにバナナやゼリーも持ってきたが、おにぎりを3個も食べたらお腹いっぱいになってしまった。
すっかり日が昇ってきたが、外を見ると少し薄雲がかかっている。もしかしたら昨日みたいな炎天下にはならないかもしれない。
以前の私達は、マラソン大会は晴れを望んでいた。オリーブマラソンは毎年5月末に開催されるが、この季節は天気が良いときは本当に気持ちが良い。まだ湿度があんまり高くないから、木陰でボケッとしてるぶんには暑くなく、大変気持ちが良い季節なのだ。ただし、マラソン大会となると事情は異なる。木陰は気持ち良くても、炎天下を走るとなると非常に暑い。個人的には寒いのは嫌いで、暑い方が好きだから、真夏の炎天下で汗だくになって走るのは楽しくて好きなんだけど、しかし、いくら好きでも暑いとタイムは悪くなる。
むしろ雨の方が望ましいくらいだ。昔の私たちなら、雨のマラソン大会なんて走る気が起きなかった。朝から雨が降っていると、空を見上げながら連絡を取り合って、結局、みんな揃って欠場って事も多かった。しかし、2010年の第33回オリーブマラソンで考えが変わった。その日は朝からものすごい土砂降りの雨だったので、みんなで欠場の相談をしていたら、我がペンギンズのエース城武選手から「雨がどうしたんですかっ!何を考えてるんですかっ!」と一喝され、渋々参加した。そしたら、土砂降りの雨は、走りにくいどころか、気温が低くなって走りやすくて、後半の大きな坂も全然、苦にならず、最後までペースダウンすることなく、むしろ坂が多い後半の方がペースアップしてタイムが良くなるという考えられないレース展開でゴールし、2時間を大幅に切る大会自己ベストとなった。私だけでなく、最後までデッドヒートを演じたピッグも快走だったし、支部長も例年なら絶対に歩く最後の大きな坂も歩かずに2時間を切る大会自己ベストを出した。それ以来、暑い季節には、むしろ雨を好むようになったのだ。
この大会には22年前の1997年から出続けているが、昔からずうっとタイムが悪く、長らく2時間を切ったことがなかった。私に限らず、ピッグや支部長だって、他のレースに比べたらタイムは悪かった。でも、それが暑さのせいだとは誰も思わなかった。いくら暑いと言ったってまだ5月なんだから、7月下旬の炎天下の汗見川マラソンや四国カルストマラソンのような地獄の暑さではないからだ。
なので、このレースのタイムが悪い理由は坂が多いからだと信じていた。オリーブマラソンのコースは、スタート直後の大きな坂の後は、前半は草壁の町の中心地まで行って折り返してくるという坂が無いフラットな区間だが、後半に入ると、二十四の瞳の舞台となった岬の分教場まで行って折り返してくるという曲がりくねった狭い海岸線のコースとなる。この海岸線の道路は、曲がりくねっているだけでなく何度も何度も丘を越えてアップダウンが繰り返される。まだ元気な前半に坂があるのなら耐えられるけど、疲れ始めた後半に坂が次から次へと襲ってくるので、後半は厳しい戦いとなるのだ。
同じ小豆島だけど、反対側の北西部で行われる11月の瀬戸内海タートルマラソンも同じように坂が多いが、なぜかそちらの方はタイムが良い。タートルマラソンはコース全般に満遍なく坂が配置されてるけど、オリーブマラソンは疲れが出る後半に坂が集中するのが良くないのだと思っていた。なので、オリーブマラソンでは2時間を切るなんて絶対不可能だと信じていた。
マラソンは極めてメンタルなスポーツなので、走る前から「このコースでは2時間を切るなんて絶対不可能だ」なんて決めつけていたら、現実にも2時間を切ることは難しい。途中で苦しくなったら、「どうせ良いタイムは出ないコースだから」と、すぐに諦めるからだ。以前は、最後の大きな坂では、ほぼ必ず歩いていた。無理して走っても、どうせ良いタイムは出ないと信じていたからだ。
それなのに、2010年に土砂降りの中、みんな揃って快走したもんだから、メンバー全員、衝撃を受けた。オリーブマラソンのタイムが悪かったのは、坂が多いからというだけではなくて、暑さのせいが大きかったのだ。そのため、それまではみんな雨を嫌がっていたんだけど、一転して、暑い季節のマラソンは雨乞いをするようになった。そして、その翌年も、序盤に激しい雨が降ったため、前年と同じように後半にペースを上げることができて、大会自己ベスト2位を出した。これでオリーブマラソンも雨さえ降れば良いタイムが出るという事が分かり、それまで大の苦手だったこのレースに対して、なんとなく自信がついた。
でも、今年は天気予報では猛暑の予想だ。
(のらちゃん)「暑くなるかなあ?嫌だなあ」
(幹事長)「めちゃめちゃ暑くなるよ。暑さを楽しもう!」
実は、雨さえ降れば良いタイムが出るということが分かると、雨が降らなくても暑さ対策を施せば、炎天下のレースになっても良いタイムを出すことが可能になってきた。暑さ対策とは、秘密兵器のメッシュのシャツだ。5年前に初めて、他のメンバーから沸き起こった「恥ずかしいから脱いでくれ」という批判を気にせずに着て走ったところ、炎天下にもかかわらず暑くないため、好タイムを出すことができたのだ。さらに4年前も、自信を持ってメッシュのシャツを着て走ったら、炎天下のレースだったにもかかわらず、土砂降りの9年前に出した大会自己ベストを更新する大会自己ベストを出した。
4年前に炎天下で好タイムを出した時に着たメッシュのシャツと短パン
マラソンは極めてメンタルなスポーツなので、「雨が降らなくてもメッシュのシャツを着れば良いタイムが出る」という事が分かったのは大きな自信となった。雨が降らなくても、暑さ対策さえ万全に施せば、暑さを楽しむことができる。もう怖いものは無いのだ。
て事で、ウェアの選択に入る。「何を着るか」は、どんな季節のマラソン大会であっても最も重大な課題だ。
(ピッグ)「また例によってウェアで悩みまくるんですか?」
(幹事長)「いや、だから、今年は悩む余地は無い。秘密兵器のメッシュのシャツ以外に選択肢は無い」
(ピッグ)「もう秘密でも何でもないですけどね」
上に書いたように、5年前や4年前に炎天下にもかかわらず好タイムを出せたのは、このメッシュのシャツのおかげだと思う。それまで炎天下のレースでは惨敗続きだったのが、急に快走できるようになった理由は他には見当たらない。なので今日も暑くなるのだったら、このメッシュのシャツを着なければならない。 他に選択の余地は無い。悩む余地なんて無いのだ。
(のらちゃん)「うわ、それすごいね」
(幹事長)「ほとんど何も着てないのと同じやから涼しいんで」
なんで、こんなものがあるのか、記憶が定かでない。押し入れの奥から発掘してきたものだが、たぶん若い頃、海水浴に行くのに着ていたんだろうと思うが、記憶がある訳ではなく、あくまでも想像だ。
(のらちゃん)「でも、これ着るって、なかなか勇気がいるよね」
(幹事長)「満濃公園リレーマラソンの動物もそうだけど、自分では自分の姿が見えないから、恥ずかしくないんよ」
(のらちゃん)「そうかなあ」
一緒にいると仲間は恥ずかしいと感じるんだろうけど、着ている本人は自分の目に入らないから、意外に恥ずかしくないものだ。
下は、青森勤務時代に作った陸上部のユニフォームのランニングパンツだ。短くて軽いので、これを着ると非常に走りやすく、これを着たときは、たいてい好タイムを記録している。
ただし、この秘密兵器のメッシュのシャツを着ても惨敗することはある。5年前と4年前は、メッシュシャツのおかげで炎天下にもかかわらず快走できたが、続く3年前は同じメッシュのシャツを着て走ったにもかかわらず、以前と同じような惨敗を喫してしまった。支部長にまで負けてしまったのだから、究極の惨敗だ。メッシュシャツを着ているのに支部長に負けるなんて、もう全く理由が分からないが、メッシュシャツを着たからと言って必ずしも快走できる訳ではないってことが分かった。
その後は、2年前は交通事故や登山事故による肋骨骨折や靱帯損傷のせいで完走するのがやっとの状態だったし、去年は私が誘って初出場したのらちゃんや忍ちゃんの圧力に屈してお揃いのTシャツを着たから、秘密兵器のメッシュシャツは3年ぶりの登場だ。
〜 島に上陸 〜
1時間半の船旅が終わって小豆島の坂手港に着くと、いつものように島の小学生達の鼓笛隊が演奏で迎えてくれる。本当に心温まる歓迎だが、数年前から年々、隊員の数が減ってきていて、今年はもう驚くほど人数が少なくなっていた。最盛期の1/3ほどのように見える。少子高齢化が急速に押し寄せる島嶼部なので、小学生の数も減っているんだろうと思うが、いつまで鼓笛隊を維持できるのか心配だ。
船から下りたら、まずは場所取りをしなければならない。最近は帰りの船に乗るのが便利っていう理由で、船を降りてすぐの狭い芝生のところに陣取っている。船の一番奥まったところに乗っていたため、下船するのが最後になって遅かったので、既に広い場所は無くなっていたが、何とか隙間を見つけてシートを敷き、荷物を置いてから受付へ向かう。
数年前から事前にゼッケンやチップが送られてくるようになったので、受付と言っても、参加賞やプログラムをもらうためだけの受付だ。最近、大きな大会になると、前日に現地で受付をしなければならない、なんていうトンでもない風習が蔓延しており、遠方から参加する人にとっては迷惑この上ないのだけど、当日の朝の受付さえ不要なオリーブマラソンのシステムが普及すれば良いのに、と思う。
参加賞は今年もタオルだ。マラソン大会の参加賞はTシャツが一般的だが、マラソン大会のTシャツはタンスから溢れているのでタオルの方が大歓迎であり、オリーブマラソンのタオルは大きいのでバスタオルにもってこいだ。
ライオン4世は参加賞の引換券を無くしてしまったが、ゼッケンを見せると、すぐに再発行してくれた。またヤイさんの参加賞にいたっては、引換券も無いしゼッケンも分からないし、ヤイさんの仲間であることの証明すらできない状態だったが、事情を話すと、これまたすぐに再発行してくれて、無事、貰う事ができた。
基地に戻り、走る準備に取り掛かる。空を見上げると、まだ薄雲はあるものの、それでも暑い。太陽が雲から出たりしたら、それこそものすごい日射しが照りつけてきて、一気に暑くなる。しかし、秘密兵器のメッシュシャツを着ている限り、編み目が大きいため、ほとんど何も着てないのと同じで、裸同然の涼しさと軽さだ。とても快適。
(支部長)「いっそのこと、裸で走ったら?」
(幹事長)「えっ?裸でもかまわんの?」
もちろん、裸は禁止だ。と思う。て言うか、裸で走ったら全身が日焼けで真っ赤になるぞ。
一方、あれだけ暑さに弱い支部長はタイツを履いている。
(幹事長)「それ暑いやろ?」
(支部長)「どっちにしても暑いから同じや」
もちろん、ランニングタイツのサポート機能を信じていない私としては、見るだけで暑くなるので履かない。
ゾウさんはタイツは履いてないが、腕にアームウォーマーを付けている。
(幹事長)「この暑いのに、なんで!?」
(ゾウ)「日焼け防止ですよ」
ライオン4世もタイツは履いてるし、のらちゃんに至ってはタイツも履いてるし、上は長袖シャツの上に半袖シャツを着ている。
(幹事長)「それ真冬の格好やん。絶対に暑いって!」
(のらちゃん)「日焼けするよりマシだよ」
もちろん、昨日の炎天下のスポーツクライミング観戦で真っ赤に日焼けしてしまった私としては、今日は日焼け防止に抜かりない。腕から足まで日焼け止めクリームを入念に塗った。耳なし芳一になったらいけないので、耳たぶまで塗りまくった。
また、今日は炎天下になりそうなので、嫌いなランニングキャップも被ることにした。帽子を被ったら頭が蒸れて暑くなったりするんだけど、直射日光があまりに強いとクラクラするかもしれないので、仕方なく被ることにした。
さらにサングラスも必須だ。眩しいからと言うより、歳とってくると紫外線による目への悪影響が強まって白内障の危険性が出てくるので、サングラスをかけるようにしている。サングラスをかけると、目がとっても楽だ。のらちゃんも最近買ったばかりのサングラスをかける。
(ゾウ)「あーん、サングラス忘れちゃった!」
なんと、いつもサングラスをかけているゾウさんは忘れてしまったようだ。仕方なくキャップをギリギリまで下げて目を隠している。
最後に持ち物を点検する。汗を拭くハンドタオルは必携だし、お腹を壊した時に備えてティッシュペーパーも必携だ。ところが、ここで重大な事を思い出した。
(幹事長)「いかん!このランニングパンツはポケットが無い!!」
(支部長)「パンツの中に入れるしかないな」
(幹事長)「ひえ〜」
仕方なくティッシュペーパーとハンドタオルをパンツの中に入れる。
準備も終わったので、そろそろトイレを済ましておこうと思うが、臨時トイレはたくさん設置されているものの、大も小もいっしょくたなので、長蛇の列ができており、ちょっと並ぶ気がしない。以前は港にある小さなターミナルビルの中の小さなトイレが穴場だったんだけど、去年からターミナルビルは立ち入り禁止になった。船の待合所のトイレも臨時トイレよりは空いているが、それでも長時間かかりそうだ。てことで、どこか空いているところは無いかなあ、とさまよっていると、土産物屋か観光施設のような建物の一角に小さなトイレがあり、大は1ボックスだけで行列ができていたが、小は列が無く、すぐに用を足すことができた。
(ピッグ)「字が小さいですね」
(幹事長)「極秘情報だからな」
ダラダラとバナナを食べたりしていたら、ようやくスタートの10時が近づいてきたので、スタート地点に移動する。
スタート地点で気合いを入れるメンバー
(左から幹事長、のらちゃん、ゾウさん、ライオン4世、ピッグ、D木谷さん、支部長)
スタートはまずハーフマラソンが10時にスタートし、10時7分に5kmの部が、さらに10時14分に10kmの部がスタートする。スタートの順番もスタート時間も微妙だが、コースが錯綜しているので、色々と考えているのだろう。
スタート地点では、例年通り予想タイム順に並ぶようになっている。この大会はタイムをチップで計測してくれるんだけど、それはゴール地点だけで、スタートはチップでは計測してくれず、ネットタイムは出してくれない。そのため、多くのランナーはできるだけ前の方に並ぼうとして混雑する。昔は存続すら危うんでいた小規模大会だが、マラソンブームのおかげで今日の参加者はハーフマラソンの部だけで2851人もいて、後ろの方までかなり混雑している。
空は薄曇りだったのが、だんだん晴れてきた。こうなると暑くなる。でも、前日のトンでもない炎天よりはマシだ。そんなにジリジリと焦げるような暑さではない。
(ピッグ)「そんなに無茶苦茶暑くはなくて良かったですね」
(幹事長)「いや、こうなると、せっかくの秘密兵器のメッシュシャツの威力が半減してしまう」
もっと滅茶苦茶暑ければ、他のランナーが撃沈する中で、メッシュシャツを着た私が相対的に有利になるが、そんなに暑くなくなれば、私の有利性が失われてしまう。
(のらちゃん)「めちゃドキドキするよう」
(幹事長)「去年も走ったんだから、そんなに緊張することないじゃん」
しかし、のらちゃんはすごく緊張している。緊張と言えば、ゾウさんも相変わらず緊張している。
(ゾウ)「胃に穴が開きそうですよ」
なぜこの二人が緊張しているかと言えば、それは真剣さが我々と違うからだ。我々男子部員なんて、もう20年以上も前から出ていることもあり、緊張感のカケラも無い。なので、結果もついてこない。毎回毎回、惨敗か、良くても平凡な結果だ。でも、二人の女子部員は初出場でもないのに、めちゃ緊張している。この緊張感こそが好タイムの要因だ。スタート前に緊張できるってのは、ダレ切った私らにとっては羨ましいことだ。緊張感が無いと良いタイムが出るはずがない。
この二人に共通している事が、もう1つある。練習の時のペースだ。彼女たちは練習の時でも速いペースで走るのだ。我々男子部員は、練習では、どんなに頑張ってもスローペースでしか走れない。本番なら、フラットな丸亀マラソンなんかだと序盤は1km5分くらいのペースで飛ばすが、練習ではどんなに頑張っても1km5分半がせいぜいで、それすら長続きせず、すぐに1km6分くらいのスローペースに落ちてしまう。なぜかと言うと、真剣さが足りないからだ。どんなに頑張ろうとしても「しょせん練習だから」って思ってしまってスローペースになってしまうのだ。ところが女子部員2人は、練習の時でも1km5分くらいのペースで走るのだ。素晴らしい真剣さだ。
ところが、もう1人の女子部員ライオン4世には緊張感が感じられない。
(幹事長)「舐めとんか?」
(ライオン4世)「そんなことありませんよう。緊張してますよう。うふうふ」
なんとなく不敵な余裕が感じられる。もしかして秘めたパワーがあるんだろうか。
(支部長)「それで今日の目標は?」
(幹事長)「密かに大会自己ベストを狙いつつも、この炎天下なので、取りあえず2時間切りを目標とします」
どんなレースでも、常に大会自己ベストを狙うのが良い子のランナーとしてあるべき姿だ。今日は炎天下のレースになりそうだけど、4年前は炎天下だったにもかかわらず大会自己ベストを出せたので、暑くもて可能性はある。
ただし、3年前は同じく炎天下で惨敗した。さらに2年前は、前年末に交通事故で肋骨を3本も骨折してしまい、その傷が癒えかけたゴールデンウィークに今度は登山事故で右膝の内側側副靱帯損傷という重症を負い、ほとんど練習もできないままかろうじて出場したため、空前絶後の大惨敗だった。なんと言っても、一歩も歩かなかったのに、途中で歩いた支部長に負けたのは痛恨の極みだ。
(支部長)「3年前やって私が勝ったやんか」
3年前も、一歩も歩かなかったのに、途中で歩いた支部長に負けたのだった。私が撃沈した一方で、支部長が苦手の坂を克服しつつあるからだ。
ただ、去年もかなりの炎天下だったが、かろうじてギリギリで2時間を切ることができて、惨敗傾向に歯止めはかかった。なので、現実的な目標としては、最低でも少なくとも2時間は切りたい。ハーフマラソンで2時間切りを目標にするなんて、甘すぎるというか情けない気もするが、このレースに限って言えば、2時間を切れば、なんとか納得しなければならない。
レース展開としては、前半のフラットな区間で貯金して後半の坂が多い区間で貯金を吐き出す、なんてパターンではなく、前半はフラットなんだけど、敢えて抑えて後半の坂でペースアップするという理想的な走りを目指す。
以前の私のレース展開は、全て後半に失速するパターンだったが、9年前に土砂降りの中で快走した時をはじめ、8年前、5年前、4年前と、良いタイムを出したときは全て、後半の坂のある区間の方がペースが上がっている。前半のフラットな区間のペースは、どの年も似たようなものだが、後半の二十四の瞳の岬の分校へ行く半島でのペースが違う。惨敗パターンは、この半島で止めどもなくペースが落ちていくのに、快走パターンではどんどんペースが上がっている。
一般的に、後半でペースを上げるのは難しいが、それだけに理想的な展開とされている。なかなか難しいパターンだが、オリーブマラソンに限って言えば、ここ数年、好タイムを出したときのレース展開は、どれも後半にペースアップできている。ちなみに、タイムはパッとしなかったが、去年もそのパターンだった。また、丸亀マラソンでも、今年は初めて後半にペースアップするという画期的に理想的なレース展開で好タイムを出すことができた。
なんでそうなるのか、何が決め手になるのか、全く分からないが、目指すパターンは後半のペースアップだ。第2の折り返し点を過ぎてもペースが落ちなかったら、その後はペースアップできる可能性が大きいということであり、諦めることなく、最後まで突っ走れば良いタイムが期待できるのだ。
(幹事長)「ところで支部長はレフコで鍛えてるん?」
(支部長)「最近はもっぱら水泳ばっかりやなあ」
支部長は最近はトライアスロンに的を絞って水泳練習に力を入れているのだ。なのでランニングのトレーニングはあんまりできていないようだ。しかし、3年前は惨敗してるので、油断はできない。
〜 スタート 〜
スタートの時刻が近付いてきた。思ったほどの炎天でもないし、涼しいメッシュシャツを着てサングラスもしているので、あんまり暑さを感じない。こうなると、何の根拠も無いけれど、なんとなく、今日は行けそうな気がする。
こうなると、ついさっきまで、前半は抑えて後半にペースアップするという理想的なレース展開を考えていたが、最初から飛ばしたくなった。
(幹事長)「前半を抑えると、そこそこ良いレース展開にはなるかもしれないけど、すごい好タイムは出ないからな」
(支部長)「そやな。快記録を出すには、最初から飛ばさんと無理やな」
(幹事長)「なんとなく今日は行けそうな気がするから、急遽、予定を変更して、最初から飛ばす作戦にする!」
前半は抑えて後半にペースアップするというのは理想的なレース展開だ。ただし、前半を抑えると、いくら後半にペースアップすると言っても限界がある。トータルとして、ものすごく良いタイムにはならない。でも、前半から飛ばして奇跡が起きて最後までペースを維持できれば、すごいタイムが出るかもしれない。
(幹事長)「まさに今日がその日じゃないのか!?」
(ピッグ)「それは典型的ないつもの危険な勘違いですよ!」
ピッグの制止を無視して、今日は前半から飛ばす作戦に変更した。て事で、少し前の方からスタートすることにした。
「スタートまで、あと1分」というコールは聞いたが、「スタートまで、あと何秒」とかいうカウントダウンが無いまま、いきなりスタートのピストルが鳴った。毎年同じだから我々は分かっていて、腕時計のボタンを押す準備をして待っていたが、慣れていないのらちゃんはいきなりのスタートの合図に困惑して、ボタンを押すタイミングが遅くなった。これが最後に微妙に影響してくる。
最初から飛ばすと言っても、スタートのピストルが鳴ったからと言っていきなり走り始められる訳ではなく、しばらくしてようやく周りの集団が動き出す。しかも、スタート地点まではゆっくり歩かなければならない。スタート地点まで歩くと、ようやく走り始めることができるが、最初は混雑しているので思ったようには走れず、しばらくはノロノロと走る。ダラダラ進む前のランナーが鬱陶しいが、前のランナーの前にも、その前にも延々とランナーがダラダラ走っているから焦るのは禁物だ。無理して追い抜いても意味は無い。最初はウォーミングアップと割り切って、ゆっくり走ればいい。
なーんて言うのがセオリーだが、今年は最初から飛ばす作戦なので、あんまり意味が無いというか無駄な体力の消耗になるんだけど、右へ左へ移動しながら前のランナーを無理矢理追い抜いて行く。
飛ばすとは言っても、オリーブマラソンはスタートした直後にいきなり大きな坂があるから、そんなにスピードは出ない。それでも、できるだけ頑張ってペースを上げて登る。
大きな坂のピークを過ぎると、今度は下り坂になるので、集団のペースも一気に上がる。もちろん、私もペースを上げる。この後は草壁港の近くにある第1折り返し地点まで平坦な道が続く。混雑はまだまだ解消されていないが、前の方からスタートしたため、周りのランナーもペースが速く、そんなに走りにくいってことはない。炎天下だが、メッシュシャツとサングラスのおかげで暑さは感じない。むしろ帽子が鬱陶しい。
このレースは距離表示が5km地点まで無いため、今のペースがどれくらいなのか見当がつかない。とりあえず5km地点までは、かなり頑張って走っていこう。
まだまだ序盤だが、さっそく最初の給水所が現れた。以前は、どんなマラソン大会でも、前半の給水所はパスする事が多かったけど、去年の奥四万十トレイルレースで主催者の奥宮さんが「給水も給食も、できるだけこまめに取ってください」って言ってたので、それ以降、給水所では必ず水分補給することにしている。まだまだレース序盤で喉はそんなに乾いてないが、最初の給水所でスポーツドリンクをもらう。
しばらくすると、さっそくT村さんが追いついてきた。肩の骨折のため今日は控えめに後ろの方からスタートしたんだけど、早々に追いつかれた。
(幹事長)「肩はどんなん?」
(T村)「今のところ痛みは無いですね」
そのまま、あっさりと抜き去られてしまった。骨折なんて、ものともしない快走だ。
調子が悪い時は、なかなか距離が進まず、第1折り返し点まで長く感じられ、なかなか辿り着かないが、今日は気分が乗ったまま第1折り返し点が近づいてきた。
第1折り返し点の前後ですれ違うランナーの中からメンバーを探したが、混雑していることもあり、なかなか分からない。のらちゃんだけはすぐ後ろから来ているのが分かった。自分もかなり速く飛ばしているつもりなのに、すぐ後ろから来ているのでびっくりした。彼女も飛ばしているのか、それとも自分のペースが思ったほどは上がっていないのか。
他は支部長もピッグもD木谷さんも、前にいるのか後ろにいるのかも分からなかった。
第1折り返し点で折り返した後、しばらくすると最初の5km地点の距離表示がある。時計を見ると、最初の5kmは1km5分ちょっとのペースだ。さすがに、ちょっと飛ばし過ぎだろうか。フラットな丸亀マラソンなら、これくらいのペースで飛び出すが、それは最後までフラットなコースだからだ。オリーブマラソンは後半は次から次へと坂が出てくるタフなコースなので、序盤からこんなペースで走っていると、さすがにマズいような気がしてきた。ちょっと抑えるべきだろうか。
体はそんなに暑くはないけど、帽子を被っている頭がもわっとして鬱陶しくなったので、早々に帽子は脱いで手に持って走ることにした。こうなると、せっかくパンツの中に入れたハンドタオルが取り出しにくくて邪魔だ。やっぱり帽子は最初から被らない方がいいぞ。
しばらく進むと、10kmの部のランナーとすれ違うようになった。10kmの部は14分遅れでスタートしているから、早いランナーとはすれ違うのだ。ゾウさんはいないかなあと探していると、彼女の方から私を見つけて声を掛けてくれた。頑張って真剣な顔をして走っていた。
さらにしばらく進むと、後ろから高野くんが追いついてきた。
(高野)「どしたんですか、幹事長。なんでこんなところにいるんですか!?」
(幹事長)「今日はちょっと飛ばし過ぎたかなあ」
(高野)「幹事長にしたら飛ばし過ぎですよ!」
高野くんはかなりのスピードランナーで、その彼をここまでリードしていたとなると、やはりこれは飛ばし過ぎだ。ちょっと抑えなければ。
ちょっとペースを落として走り続けると、二十四の瞳の分教場がある岬へ向かう分岐点があり、10kmの部はそのまま真っ直ぐに会場に帰るんだけど、ハーフマラソンは来た道から別れて、岬の分教場へ行く道に入っていく。坂が多い海岸線のクネクネした道だ。
前半のフラットな区間が終わったので、気分的には、ここまでで半分終わったって感じなんだけど、実はまだ8kmも走ってなくて、ここからの方が長い。なので、調子が悪いときは「ええっ?まだ半分も来てないのか?」って精神的にしんどくなるんだけど、今日はまだまだ平気だ。
少し行くと、ようやく2つ目の距離表示の8km地点がある。ここで時計を見ると、この3kmは一気に1km5分半もかかっている。ちょっとペースを落としたつもりだったけど、そこまで落としたつもりはない。これは落としたと言うより、落ちてしまったと言うべきだ。序盤のハイペースの影響が出てきて早くもペースダウンしたようだ。ここからどこまで踏ん張る事ができるかが勝負の分かれ目だ。
8km地点の距離表示の後は1kmごとに表示があるので、ペースが分かる。次から次へと坂が現れるので、上り坂がある区間と下り坂の区間ではタイムは変動するが、おおよそのペースは分かる。それに、上り坂や下り坂と言っても、このコースの坂は、そんなに延々と続くわけではないから、そう極端にはペースは変わらない。
暑さは厳しくなってきたが、後半のコースは木陰も多く、少しそよ風もあって、そんなに暑くはない。
なんとか踏ん張って走っているつもりだがペースは上がらず、9km地点、10km地点、11km地点と1km5分半前後のペースが続く。それでも、中盤はこのペースを維持して、終盤でペースアップできれば快走パターンに持ち込めるので、なんとか頑張っていく。
次の12km地点ではペースはさらに落ちて1km6分近くかかったが、ここは厳しい上り坂があり、例年、大きくペースダウンする区間なので気にしない。そして、その次の区間は少し長い下り坂なので、思いっきりガンガン駆け下りたら、13km地点では1km5分を切るペースにアップできていた。もうすぐ第2の折り返し点なので、ここからが勝負だ。
しばらく行くと、二十四の瞳の映画村の前にある第2折り返し点が見えてきた。
再び折り返し点の前後で他のメンバーを探すと、すぐ後ろをD木谷さんがやってきた。D木谷さんは速いので、てっきり私より前にいるものと思っていたら後ろにいるから驚きだ。やはり今日はここまで飛ばし過ぎかな。
さらに、そのすぐ後ろからのらちゃんがやってきた。第1折り返し点よりは少しだけ差が開いているが、まだまだ元気で走ってくる。去年のタートルマラソンでは、15km辺りまで快調に走ったけど、その後、撃沈してしまった。今日もここからが勝負だろう。
ピッグと支部長は見つけられず、相変わらず前にいるのか後ろにいるのか分からない。
第2折り返し点を折り返した後、フラットな区間が続く14km地点では1km5分20秒くらいのペースを維持できていた。
さらに、しばらく走ると再び上り坂の区間になるが、15km地点でもあまりペースダウンはしていない。これは良い傾向だ。
調子が良いときと悪い時の差は、この辺りからはっきりと現れてくる。調子が悪い惨敗パターンのときは、この14〜15km地点辺りからみるみるうちに奈落のようにペースが落ちていくが、調子が良い快走パターンのときは、逆にペースを上げることができる。
このままペースを維持できれば、なんとか快走パターンに持ち込める。まだまだ頑張れるぞ。もう残り6kmしかないんだから、後の事は考えずに全力を出さなければならない。
次の16km地点のタイムは、再びペースが落ちて1km6分近くかかったが、ここは坂が多くて、例年ペースダウンする区間なので仕方ない。
と思ったんだけど、次の17km地点や18km地点でも全くペースが上がっていない。16km地点までは快走パターンだったのに、一気に惨敗パターンになっている。こら一体どうしたことだ。って言うか、やっぱり前半の無理がたたったのか。
ここで後ろからD木谷さんが追いついてくる。第2折り返し点での差を考えると、追いつかれても仕方ないんだけど、D木谷さんがペースアップしたようにも見えないので、やはり私がペースダウンしているのだろう。
(幹事長)「もう駄目。やっぱり最初を飛ばし過ぎたかなあ」
(D木谷)「いやいや、ここまで良く持ちましたよ」
さらに、その直後、今度はピッグが追いついてくる。ピッグは前を走ってるものとばかり思ってたけど、後ろを走ってたのか。
(ピッグ)「最初から飛ばし過ぎですよ。だから終盤に力尽きるんですよ」
D木谷さんのペースは無理したら着いて行けそうな気もするが、ピッグはさらにハイペースで走っていて、とうてい着いて行けそうにないので、早々に諦めた。
ふと道端を見ると、男性が倒れこんでいて、連れのランナーとスタッフが心配そうに介抱している。顔面が真っ青で、口から泡を吹いているようにも見える。様子から察するに、私よりはだいぶ前を走っていたようだが、暑さでやられたんだろうか。しばらくしたら救急車がサイレンを鳴らしながらやって来た。炎天下のレースでは、常に何人か倒れる人が出てくる。体調管理は難しい。
それにしてもペースが上がらない。次の19km地点で見たペースも、ほとんど同じで改善できていない。
ここでようやく後半の半島の区間が終わり、メインの区間に戻る。て事は、つまり、いよいよ最後の大きな坂が始まる。この大きな坂ではペースが落ちるのは仕方ないが、それでも落ち方を最小限に食い止めたい。調子が悪い時は1km7分を越えたりするが、調子が良いときは5分半くらいで登れる坂だ。
ところが今年は、もう力を使い果たしているようで、頑張っているつもりなのにペースは撃沈ペースで、歩いているようなペースだ。もちろん、歩こうなんていう気持ちは全く無いが、危機感は強くなる。
なんとか坂を上り終えたら、もうあとは下るだけだ。全力で走り下りる。つもりなんだけど、足がもう動かないから、下りでもペースが上がらない。坂を下り終わると残り1kmの表示があるが、この激坂の区間は1km6分を越えていた。本日の最悪ペースだ。
ここまでペースが落ちていると、もう好タイムは期待できないので、モチベーションはだだ下がりだが、それでも最後の1kmなので、早くゴールして楽になりたいという気持ちだけで走り続ける。
いつもならゴールが見えてきたら最後の頑張りができるんだけど、今日はゴール間近になっても足は重くてペースは上がらず、足をひきずりながらのゴールとなった。どんな惨敗パターンの時でも、最後の1kmは一気にペースアップできていたのに、今日はさきほどの激坂区間に次ぐ悪いペースでの最後となった。
〜 ゴール 〜
結局、タイムは4年前の大会自己ベストには遠く及ばず平凡なものに終わった。丸亀マラソンやタートルマラソンなら惨敗の部類に入るタイムだ。それでも去年よりはだいぶマシで、過去の長い歴史の中でもボチボチのタイムだったので、オリーブマラソンとしては善戦と言えるかな。
ただし、1kmごとのペースで見ると、15km地点までは快走パターンだったのに、それ以降は一気に惨敗パターンになってしまったのが残念だ。
ゴールして他のメンバーを待つと、なんとすぐ後ろからのらちゃんがゴールした。なんと私と僅か30秒しか違わない。
(幹事長)「めちゃ速いやんか!」
(のらちゃん)「今日は最後まで力尽きなかったよ」
のらちゃんは、去年のオリーブマラソン、タートルマラソン、今年の丸亀マラソン、そして今回のオリーブマラソンと、4戦連続でハーフマラソンの自己ベストを更新し続けている。コースの難しさから言って、オリーブマラソン、タートルマラソン、丸亀マラソンとタイムが良くなるのは分かるが、今回、オリーブマラソンで丸亀マラソンよりさらにタイムを縮めたってのは凄い。凄すぎる。
(幹事長)「て言うか、もう少しで負けるところやったなあ」
(のらちゃん)「途中までは後姿が見えてたんだけどなあ」
15km地点辺りまでは私が差を広げていたんだけど、その後のペースダウンでのらちゃんが一気に猛追してきたらしい。
記録証をもらうと、なんとのらちゃんは女子年代別部門で4位に入賞し、賞状まで貰った。
(幹事長)「どっひゃあ!マラソン大会7戦目で快挙やん!」
(のらちゃん)「めちゃ嬉しい!!」
ピッグとD木谷さんは既にゴールしていたが、いつまで待っても支部長がゴールして来ない。どうしたのかなあ、って思ってたら、ゾウさんがやってきた。
(ゾウ)「支部長は帰りの奴隷船の順番待ちをしてくれてます」
(幹事長)「え?どゆこと?」
なんと支部長は途中で体調が悪くなって、早々にリタイアして帰ってきて、今は船着き場で場所取りをしてくれているのだそうだ。暑い時のレースでは支部長はよく脱水症状になるんだけど、今日もそうだったのだろうか。前半で止めて帰ってきたそうだ。
他の女子部員は、と言うと、ゾウさんも10kmの女子年代別部門で7位だった。去年は13位だったから、大きく躍進だ。
(幹事長)「すごーい!」
(ゾウ)「でも、あと1人早ければ6位入賞で賞状を貰えたのに、悔しいー!」
(幹事長)「贅沢言うたらあかんがな」
そして、なんとなんと、伏兵というか、ど素人で完走すら危ぶまれていたライオン4世までもが5kmの女子年代別部門で8位だった。
(幹事長)「全部で8人しか出てなかったんと違うん?」
(ライオン4世)「50人中8位です!」
生まれてこのかた2km以上走ったのが今年1月の満濃公園リレーマラソンだったのに、なんという快挙だろう。もしかして、彼女も生まれ持った才能があったのか!?
全員が年代別部門で1ケタの順位に入った女子部員たち
それにしても、女子部員は3人とも年代別部門で1ケタの順位だなんて、凄い。凄すぎる。男子部員の体たらくを見るにつけ、愕然とする。
(幹事長)「愕然とする」
(支部長)「私は体調不良のせいですから」
支部長様にはおかれましては、体調不良でリタイアしたにも関わらず、炎天下で帰りの奴隷船の場所取りをして頂いたので、感謝です。
支部長が場所取りで並んでいる間、私は女子部員と一緒にソーメンを食べに行く。今日みたいに暑い日は、レース後の冷たいソーメンがとても美味しい。
〜 帰りの船 〜
帰りの奴隷船は出港時間が2時なので、まだまだ時間はあるが、朝と同じで、早く行かなければ座る場所を確保できない。もちろん、我々がゴールする頃は既に遅く、それから急いで並んだって所詮、シートにはありつけない。そのため、当初の予定では、10kmの部で早々にゴールしたゾウさんが並んで場所取りをしてくれる予定だったが、急遽、支部長が列の先頭で場所取りをしてくれて助かった。
(幹事長)「行きも帰りも先頭に並んだわけやな」
(支部長)「心から感謝してね」
朝と同様、ボックス席を確保することができ、ゆっくり弁当を食べながら、いつものように反省会をする。
個人的にはタイムはオリーブマラソンとしては悪くはなかったが、終盤が惨敗パターンに陥ったのが悔いが残る。前半をもう少し抑え目に走っていれば、終盤の大失速を免れ、全体としてもう少しマシなタイムになったのではないだろうか。
(ピッグ)「だからスタート前に忠告したでしょ?」
(幹事長)「なんだか今日は行けそうな気がしたんだけどなあ」
こういう勘違いはもう何百回目だろう?
(幹事長)「支部長は脱水症状になったん?」
(支部長)「どうかなあ。全身がしんどくて、こら完走は無理やと判断して、半分で止めたんよ」
それにしても、女子部員は3人とも年代別部門で1ケタの順位ってのが凄い。
(幹事長)「家に帰ったら祝杯やね」
(ゾウ)「えっと、もうビール飲みました」
なんと、ゾウさんはゴールして早々に祝杯を上げていたらしい。
これでまともなレースは終わり、一般的なマラソンシーズンは終わったが、マニアックな大会は続く。
早くも2週間後には北山林道駆け足大会がある。さらに7月末には汗見川マラソンが待っている。まだまだ暑い戦いは続くのだ。
〜おしまい〜
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