第34回 瀬戸内海タートルマラソン大会

〜 気持ち良く快走 〜


2013年11月24日(日)、小豆島において第34回瀬戸内海タートルマラソン全国大会が開催された。

(幹事長)「今回はできるだけ短い記事にします」
(石材店)「どしたんですか、急に?」


ここんとこ、サイクリングしまなみ2013大阪マラソン2013も、自分で言うのも何だが、むやみに長くて、「
長すぎて勤務時間中に読めんが」というお叱りを各方面から頂いたのだ。

(石材店)「家で読んでくださいって言えばいいじゃないですか」
(幹事長)「貴重なプライベートタイムを使ってまで読むほどのもんではないからな」

さて、この瀬戸内海タートルマラソン大会は、僕にとっては
初めて参加したマラソン大会(もちろん高校時代のマラソン大会を除く)ということで、一番愛着がある大会だ。
初めて出たときの感動は、今でも覚えている。それまで一人でジョギングするだけだったのが、テレビの宣伝を見て、ついフラフラと軽い気持ちで申し込んでしまったんだけど、何の予選も無いただの市民マラソン大会で単なるド素人が走っているだけなのに、沿道の住民からは熱い応援があり、まるで一流選手になったような気分になれるのだ。始めて出たマラソン大会が、すごく楽しかったというのは幸せだと思う。もし、天気が悪かったとか、故障したとか、悪い思い出になっていれば、もう走るのは止めたかもしれない。この初マラソンでマラソン大会に出る楽しさを知ってしまい、それ以来、やみつきになったという訳だ。
しかも、このタートルマラソンは坂が非常に多くて厳しいコースなんだけど、季節が良いせいか、それとも相性が良いと思いこんでいる精神的な要因のおかげなのか分からないが、なぜかタイムが悪くない。それもあって、最初に出た第16回(1995年)からほぼ毎年欠かさず出ている。フルマラソンの部とハーフマラソンの部があり、徳島マラソンが出来るまでは近場の貴重なフルマラソンだったので、ときどきフルマラソンの部に出ており、だいたい3回に2回はハーフマラソンに、3回に1回はフルマラソンに出ている。

既にあちこちで散々言いふらしてきたように、今年は奇跡的に、競争倍率10倍超の2月の東京マラソンに続いて、競争倍率5倍超の大阪マラソンにも当選し、4週間前に走ってきたばかりだ。大阪マラソンも東京マラソンと同様に、せっかくの滅多に走れない大都市マラソンなので、タイムは気にせず観光物見遊山マラソンに徹して走ったんだけど、あまりにもペースが遅かったおかげで、
フルマラソンなのに最後まで足が痛くならないという気持ちの良いレース展開となり、フルマラソンに対する恐怖心が一気に消え失せた。フルマラソンはこれまで十数回走ってきたけど、多くの場合、30〜35km辺りから足が痛くなって、最後は泣きながら足を引きずってゴールに辿り着くというパターンが圧倒的に多かった。なので、最近は「フルマラソンは、これっぽっちも楽しい事が無いから、もう止めようかなあ」なんて思い始めたところだったのだ。それが、大阪マラソンで気持ちよく走り終えることができたため、一気に気持ちが前向きになり、また早く次のフルマラソンを走りたい気持ちでウズウズしていた。

そこに、この瀬戸内海タートルマラソンだ。去年は、大阪マラソンと瀬戸内海タートルマラソンは同日開催だったので、両方に出るのは不可能だったけど、今年は1ヵ月離れているので、大阪マラソンにも出たうえ、このタートルマラソンにも出られる訳だ。(なお、去年はさらに神戸マラソンも同日開催だったけど、今年はこれも別の日となった。ただし、神戸マラソンは瀬戸内海タートルマラソンの僅か1週間前に開催されたばかりなので、神戸マラソンの抽選に当選して出場したピッグ増田選手は、このタートルマラソンには出ていない)
なので、大阪マラソンの勢いを持続させて、このタートルマラソンのフルマラソンを快走したかった。
もっとも、
このレースは坂が多い。坂がほとんど無い東京マラソンや大阪マラソンとは訳が違う。ハーフマラソンで7つ、フルマラソンになると大きな坂が14もある。前半は良いにしても、後半になると、これらの坂が大きな負担になり、終盤の坂は例外なく歩くという、非常に辛いレースになる。なので、5年前に坂が無いフラットな徳島マラソンが出来てからは、タートルマラソンではフルマラソンの部にはあんまり出ていない。
だが、しかし、大阪マラソンで気持ちよくフルマラソンを走れた今の私にとっては、過去の辛さの記憶より、こないだの気持ちよかった記憶の方が強く残っているので、坂があるのも気にせず、またまたフルマラソンを走りたかったところだ。

ところが、なんと、今年の瀬戸内海タートルマラソンは
フルマラソンの部が中止になってしまった。9月に降った台風の大雨による土砂崩れのために、コースの一部が通行止めになったままなのだ。通行止めの場所は、ハーフマラソンの折り返し点を過ぎた地点なので、ハーフマラソンは問題なく開催されるんだけど、フルマラソンが中止になったのだ。
てことで、今年はみんなハーフマラソンだ。ま、フルマラソンを走った1ヵ月後だから、体の調子から言えばハーフマラソンくらいが調度いいんだろうけど。

(石材店)「今回は短い記事にすると言っておきながら、既にどうでもいい前置きが長すぎです」
(幹事長)「歳とると、ついついしつこくなってのう」


フルマラソンを走ったら、それだけで十分にトレーニングは積めているから、1ヵ月後のハーフマラソンなんて練習しなくても軽く乗り切れそうな気がする
けど、過去の実績を見ると、そんな甘い考えは通用していない。例年、フルマラソンの徳島マラソンが4月末にあり、1ヵ月後の5月末にはハーフマラソンの小豆島オリーブマラソンがあるが、オリーブマラソンは練習しなくても軽く乗り切れているかと言えば、全然そんな事はない。青森勤務時代には、10月始めにフルマラソンの弘前アップルマラソンがあったけど、だからと言って10月や11月のレースの実績が良かったかと言えば、そんな甘い話はない。なので、練習はサボってはいけない。
以前は、ハーフマラソンに出た後でも、最低でも1週間は完全休養を取っていた。フルマラソンに出たときなんか、2週間くらいサボっていた。ところが、最近、読んだ金哲彦さんの本によると、
フルマラソンを走った足の痛みを解消するには、むしろ走った方が良いなんて書いてあったもんだから、レースの2日後には早くも数km走ったし、1週間後には20km走った。

(石材店)「どしたんですか。以前の幹事長からは考えられませんねえ」
(幹事長)「大阪マラソンが気持ちよかったから、それを持続させたくてな」


ただ、さすがに疲労が溜まってきたのか、2週間後にも20km走った時は、かなりヨタヨタになった。なので、ハードな練習はそこで止めにし、その後は短い距離を何回か走って疲労を抜き、大会当日に万全のコンディションで臨むという事にした。

(石材店)「そのくせ、相変わらず自転車には乗っているようで」
(幹事長)「自転車は楽しいんだも〜ん」


裏を返せば、ランニングは自転車ほどは楽しくないって事だ。自転車は完全に楽しいレジャーだけど、ランニングは肉体と頭の老化防止のためだから、仕方ない。でも、ランニングは疲労感があるからと言い訳して練習量を減らしながら、その一方で自転車には激しく乗っているため、疲労感はますます溜まっている。



この愛着ある瀬戸内海タートルマラソンだが、毎年、しつこく四電ペンギンズの他のメンバーにも参加の圧力をかけているのに、なぜか参加メンバーが少なかった。僕のような思い入れが無いせいか、同じ小豆島でも春のオリーブマラソンなんかに比べて、ペンギンズのメンバーの参加率はとっても悪かった。あれだけ熱心に色んなレースを開拓している支部長も、全く関心を示さなかった。いったい、これまで出場したことあるメンバーって誰がいるんだろう、って思って過去の記事を読み返してみた。
すると、昨年は國宗選手W部選手、小松原選手、一昨年はトリ君のほか矢野選手、H本さん、O林氏、さとやん、さらにそれ以前にはゾウ坂出、トラベル恵子、空手バカ一代、KO野選手、佐伯先輩、テニス君、山野上君、石材店、E間さん、まゆみちゃん、福家先生、ピッグ増田、中山選手(元ダイエー)、隅田大先生、竹葉選手、亀ちゃんなど、出てくるわ出てくるわ、おや?ほぼフルメンバーが出ているではないか!意外!
そうなのか。毎年、出る人数が少ないから、あんまりみんな出てないと思っていたけど、交代で出ていたのか。一度も出ていないのは、支部長のほかは、気まぐれで走ってくれた女子部員たちくらいだったのか。女子部員は大半が支部長の勧誘で参加しているから、支部長が出ないと来ないのは当たり前なので、要するに支部長が出ていないだけなのか。

(幹事長)「こら、あかんやろ」
(支部長)「仕方ないな」


て事で、遂に、今年は支部長が初出場することとなった。まことに目出度い。
他には連続出場の國宗選手ゾウ坂出が参加することになった。トリ君も申し込んではいたんだけど、都合で出られなくなってしまった。残念。



レースの直前、私は大変忙しかった。たまたま色んなイベントが重なってしまい、水曜日から金曜日まで3日連続で高知に出張だった。毎日、毎晩、次々と色んなお客さんと鰹のタタキばっかり食べていた。高知の鰹は言うまでもなく美味しい。とても美味しい。でも、さすがに昼も夜も3日連続で食べ続けると飽きた。しかも、連日の酒盛りで、お腹の調子も悪くなってしまった。マラソン大会の直前はタンパク質より炭水化物を摂ってカーボローディングしないといけないし、もちろん酒は体に悪い。なのに毎日鰹ばかり食べて酒飲んでたので、体調的にはよろしくない。おまけに前日の土曜日は親戚の結婚式があったため、朝一番のJRで神戸まで出かけ、豪華な食事を食い散らかして、またまた酒盛りして、夜、帰ってきた。

て事で、カーボローディングどころか、かなり胃腸がボロボロになって苦しんでいた前夜、支部長から電話がかかってきた。

(支部長)「明日の朝は何時頃に行ったらえんやろか?」
(幹事長)「出港の30分くらい前でええんと違う?」


などと言いつつ、去年の記事を読むと、出港40分前では遅かった事が判明。慌てて出港の50分前に集合することにした。
最近、驚くべき記憶力の低下のために、1年前の事なんて全く覚えてないんだけど、記憶力が驚異的に低下しているって事は自覚があるので、過去の記事を読み返す習慣は着いてきた。

(幹事長)「過去の記事って、本当に役立つなあ」
(支部長)「このコーナーは日記代わり?」



レース当日の朝、今年も小豆島へはフェリーで行く。以前は、スタート時間にギリギリで間に合うというリスキーな時間設定の高速船で行っていたけど、参加者が多くなり、高速船に乗るためには、かなり早くから並ばなければならなくなり、並ぶ時間を入れると、フェリーと変わらないうえに、並んだあげく、もし満席で乗れないなんて事態になれば悲惨だ。フェリーと違って、高速艇は定員オーバーの乗客は絶対に乗せないから、もし満席になってしまったらアウトなのだ。そんな訳で、最近はフェリーを利用することが多い。
ただ、高速艇なら30分で着くところを、フェリーだと1時間もかかるし、高速艇より1時間も早い7時20分に出港するので、その50分前ってことになると、6時半までには港へ行かなければならない。そんなに早いと、家で朝食を摂るには早すぎる。フルマラソンの場合なら、食事はゴール予想時間の5時間前が理想だ。ハーフマラソンだから、そこまで気にする必要は無いだろうけど、スタート時間が9時40分で、2時間でゴールするとすれば、その5時間前は6時半頃だ。家を出る前に食べるのは、ちょっと早すぎるのだ。て事で、今回は菓子パンを3個持って港に6時半に着いた

さすがに6時半の港は閑散として、切符売り場も列が無く、すぐに買えた。支部長も着いたばかりで、二人で乗船口に並んだが、前には10人もいない。去年は40分前に来たら、既に切符売り場にも長蛇の列が出来ていたのに、今年はどうしたんだろう。

(幹事長)「ちょっと早すぎたかなあ」
(支部長)「そうでもないで」


などと言われて、ふと後ろを振り返ると、おや、あっという間に列が延びている。見ている間に、乗船口の列も切符売り場の列もみるみるうちに延びていく。どうやら、ちょうどこのタイミングでJRや琴電が到着して、一斉に参加者が押し寄せる時間帯のようなのだ。だから乗船50分前だとガラガラなのに、40分前になると、あっという間に長蛇の列になるのだ。

(幹事長)「来年も、ちゃんと覚えておかんといかんな」

毎年乗る船ではあるけど、あらためて見ると、なんだか小さいフェリーだ。しかし、いくら小さいと言っても、列の前には10人もいないから楽勝だ。
乗船が開始になって乗り込み、船室を見渡す。大半の席は長椅子が並んだタイプだが、それだとおしゃべりもできないので、テーブルを挟んで長椅子が2つ向かい合わせに配置されたボックス席を確保した。これだと余裕で6人、詰めれば8人は座れる。見ていると、みるみるうちに席が埋まっていき、さらに大半の人が仲間の席も確保しているので、あっという間に空席は無くなっていった。

しばらくすると、会社のK口選手が現れた。

(幹事長)「久しぶり!一人?」
(川G)「はい、一人です」


って事なので、座ってもらう。K口選手も、もうかなり前からマラソンを始めているが、そうは言っても20年も走っている我々からすれば初心者同然だ。

(幹事長)「君、タートルマラソンは出たことあったっけ?」
(川G)「はい、ハーフマラソンとフルマラソンと交互に出てます」
(幹事長)「えっ?フルマラソンも出てるの?」
(川G)「一昨年は3時間40分くらいでした」
(幹事長)「どひゃーっ!」


この坂の多いタートルマラソンのフルマラソンで3時間40分だなんて、何が起きても私には絶対不可能なタイムだ。

(幹事長)「すんません!お見それしましたーっ!」

本来の順番では、今年はフルマラソンに出る予定だったらしいけど、フルマラソンが中止になったため、ハーフマラソンに出るのだそうだ。

続いて國宗選手が到着した。さらに國宗選手の元上司のDK谷氏もやって来た。DK谷氏は去年の庵治マラソンで初めて一緒に走り、その後、今年の満濃動物リレー丸亀マラソンにも出ているが、はっきり言って國宗選手より早い。

(國宗)「ま、元上司なんで、遠慮してるだけですけどね」

出港ギリギリになって、ようやくゾウ坂出O林氏と一緒に到着した。彼女らはJRで坂出から来るため、駅からダッシュしてもギリギリになってしまうのだ。

(幹事長)「ちゃんと練習してる?」
(ゾウ)「ここんとこテニスが忙しくて全然走れてないんですよう」


彼女は5年前にこの大会でハーフマラソンのデビューを飾り、好記録で完走したが、今年は練習不足で不安そうだ。なんと言っても坂が多いので、終盤が厳しくなる。

(支部長)「そんなに坂って多いん?」
(幹事長)「大きな坂が往復で計7つある。オリーブマラソンの後半みたいなイメージやな」


折り返し点が坂の途中なので、片道で坂が3.5個、往復合計で7つあるのだ。支部長は坂に弱いから、徹底的に脅かしてレース前から精神的に優位に立っておかねばならない。ゾウさんの表情も不安で暗くなっているが、彼女は基礎体力があるから大丈夫だろう。やはり心配なのは支部長だ。支部長は坂に弱い。坂に極端に弱い。弱すぎる。自転車でも坂に弱い。坂に極端に弱い。弱すぎる。

(支部長)「しつこいっ!」

近年、フラットな丸亀マラソンでは負けることもあるが、坂の多いオリーブマラソンなんかでは、どんなに前半でリードされても、後半の坂が多い区間に入ると、絶対に期待を裏切らず歩いてくれるので、最終的には勝てる。このタートルマラソンも坂が多いので、もしかしたらゾウさんにも負けるかもしれないぞ。

船も出港したので、ゆっくりと朝食のパンを食べる。なんとなく物足りないんだけど、これくらいでないとレース中にお腹を壊す事が多いので、我慢だ。

今年は天候不順な日が多く、1週間前は異常な寒波も押し寄せてきたりしていたけど、ここ数日は天気も良く、気温もそんなに低くはない。今日もだんだん天気は崩れていくという天気予報だけど、少なくともレースが終わる頃までは晴天がもちそうだ。基本的に、この瀬戸内海タートルマラソンの開催日は、天気が良くて気持ちの良い絶好のマラソン日和が多い。そういう季節なんだろうけど、今年も良い天気で風も無いし、絶好のコンディションだ。



みんなでおしゃべりしていたら、寝る間もなく小豆島の土庄港に着いた。港から会場までは送迎バスがあるが、乗り場に長蛇の列が出来ているし、歩いても10分少々くらいなので、適度なウォーミングアップになるから、迷わず歩く。歩いているうちに、今日は何を着るべきかを判断しなければならない。11月も末だから、そんなに寒くないと言っても、朝の気温は低い。しかし風が無いため、体感的にはそんなに寒くない。しかも晴天だから、このまま日射しに当たっていると、結構、暖かくなるかも。少なくとも重ね着が必要な天候ではない。問題は長袖にするか半袖にするか、だ。

(ゾウ)「幹事長って、ほんとに着るものに神経質ですねえ」
(幹事長)「寒さに弱いもんで」


会場に着いて受付を済ませ、男子の更衣室になっている中央公民館の会議室に入る。國宗選手やDK谷氏は半袖だけど、腕にアームウォーマーを着けている。しかもよく見ると、國宗選手は半袖を重ね着している。

(幹事長)「それって暑くない?」
(國宗)「アームウォーマーは暑くなれば除ければいいですから」


暑がりの支部長は、さすがに半袖1枚だ。用心深い僕は、今日くらいの天候なら、長袖を選択する場合が多い。暑いのは我慢できるけど、寒いのは大嫌いだからだ。だが、先月の大阪マラソンでもらったTシャツが気に入ってしまい、それを着たいという欲求もある。普通のマラソン大会の記念品のTシャツは、プリントしている柄は良くても、Tシャツそのものは普通のTシャツで、どうってことはない。ところが大阪マラソンのTシャツはマラソン用にメッシュが入ったりした格好良い品で、柄も格好良く、なんとしても着たいのだ。
大阪マラソンはフルマラソンだったため、終盤の体の冷えが怖くて長袖の上から半袖を重ね着したが、走り始めたら暑くなって走りながら苦労して長袖を脱いだりした。今日は大阪マラソンの時より気温が低いけど、ハーフマラソンなので終盤の身体の冷えまでは気にする必要が無いってことで、本来なら長袖1枚が適当なところだけど、大阪マラソンのTシャツを着たいっていう理由で半袖1枚にした

國宗選手やDK谷氏はもちろん、上は半袖1枚の支部長も、下はランニング用タイツを履いている。去年は私も初めてランニング用タイツを履いてみた。最近、ランナーの半分くらいはランニング用タイツを履いているような気がする。それほどポピュラーなアイテムになっている。今どきタイツを履いてないのは、15年以上も同じランニングシャツを着ているピッグくらいだ。膝とかに故障を抱えている人は、タイツを履くとサポーター代わりになって良いのかもしれない。いちいちテーピングするより効率的な気はする。だが「筋肉をサポートして走りやすくしてくれる」っていうのは、本当だろうか。エネルギーが無から生まれる訳ではないから、楽して早く走れるなんてうまい話は無いはずだが、足の疲労防止には効果があるのだろうか。
結局、よく分からないので、私はもっぱら寒さ対策で履くことにしている。なので、今日のように寒さ対策が不要の日には、履かない。

着替えていると、小松原選手に会う。彼もペンギンズの登録メンバーだが、会社で会うことは、ほとんど無い。会うのはマラソン大会だけだ。彼は一昨年に初フルマラソンとして12月の那覇マラソンに出場し、すっかり、その虜になってしまい、去年も出たし、今年も1週間後に出場するという。そのため、このタートルマラソンは那覇マラソンの前哨戦という位置づけで、今年も10kmの部に出る。でも、軽く練習代わりに走る訳ではなく、去年は35〜49才男子の部で8位に入賞し、賞品の醤油セットをゲットしている。

(小松原)「那覇マラソンは、ええですよう。ぜひ一緒に出ましょうよ!」
(幹事長)「ええだろうなあ。来年あたり出ようかなあ」


他にも会社では会わない同僚に更衣室で会ったりしながら着替えを終え、外に出て写真を撮り、スタート地点に向かう。

好天に恵まれて気合が入るメンバー
(左からDK谷氏、支部長、O林氏、ゾウさん、國宗選手、幹事長)

途中で、会社では会わない取引先のK野さんにも会う。会社では滅多に会わない人に、こういう場所で次々に会うってのも不思議だ。そんなにキョロキョロしている訳ではないから、たいてい先方から声を掛けてくれる。それにしても何千人もの参加者がいるのに、よくもまあ偶然に会うものだ。

スタート会場では、既に暖かいソーメンが振る舞われている。

(支部長)「オリーブマラソンでは冷たいソーメンを食べさせてくれるけど、ここは暖かいソーメンなんやな」
(幹事長)「今の季節は走り終わって暖かいソーメンが嬉しいんや」
(國宗)「さっき、もう食べましたよ」
(幹事長)「え?」


なんと走る前に食べてる人も多かった。いくらなんでも走る前に食べたらお腹が痛くなると思うんだけど。

さらに歩いていると、なんと久しぶりにトラベル恵子に会う

(幹事長)「うわあ、久しぶり!いつから再開してるん?」
(トラベル)「今日から」


トラベル恵子は海外のレースにしか出ないと豪語する驚異の女性ランナーだが、ここ数年はマラソン大会から足が遠のいていた。

(支部長)「これは海外のレースになるん?」
(トラベル)「一応、海を渡るからね」


彼女は6年前にはハーフマラソンの部に出たこともあるが、今年は10kmの部に出る。

さらに、SS木さんにも会う。SS木さんは、2003年の丸亀マラソンで、視力障害のランナーの伴走者を探す件で知り合ったランナーだ。その後もマラソン大会では時々お会いしていたが、何年か前には足を故障してしばらく休んでいた。

(SS木)「またちょっと痩せたんちがう?」
(幹事長)「久しぶりに会う人は、みんなそう言うけど、全然痩せてませんから!」


なぜか久しぶりに会う人は、あらためて僕を見て、みんな口を揃えて「一段と痩せたなあ」なんて言うけど、決してそんな事はない。現状でも、生きていくのに必要最小限の体重しか維持できてない。これ以上痩せたら死んでしまう。もっと脂肪を蓄えられたら走る時に楽なのに。もっと脂肪があれば泳ぐときも浮力になって楽なのに。

(幹事長)「それにしても、なんでこうも沢山、知り合いに会うんだ!?」


スタート地点に並ぶが、遅めに行ったため、既に大混雑だ。チップでネット計測してくれるので、後ろの方からスタートしても大きな問題はない、と言いたいところだが、後ろの方からスタートすると、世間話しながらゆっくり走るおばちゃん軍団に走路をブロックされたりして思うように走れないので、本当はできるだけ前の方からスタートしたい。でも、さすがにもう無理だ。

それにしても、本当に気持ちの良い天気だ。なんとなく攻める気持ちがわいてくる

(幹事長)「絶好のコンディションだから、できれば好タイムを期待したいな」

もちろん、過去の戦績を振り返ってみれば、よっぽど暑いとか寒いとか暴風雨の時とかは悪影響もあるけど、天候が良いからと言ってタイムが良くなった実績は、実は、無い。きちんと練習してない限り、当日の天候が良いだけで良い結果が出るはずがない。当たり前だ。天気が良いと気持ちも良くなり、精神的には前向きになる。だが、気持ちが前向きになれば好タイムが出るわけでもなく、むしろ序盤に調子に乗ってオーバーペースになって終盤に潰れる可能性の方が高い。なので、絶好のマラソン日和はむしろ要注意だ
とは言え、今日に限らず、出場する限りは、目標は常に大会自己ベストの更新だ。マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるので、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どのレースに出ても、とりあえず大会自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
50を過ぎてから自己ベストを更新できるのか、という疑問はあるが、この瀬戸内海タートルマラソンのハーフマラソンの部の大会自己ベストは50を過ぎた4年前に出したし、2番目のタイムは3年前に出している。20年近く走り続けているこの大会だが、50を過ぎてからの方がタイムは良いのだ。亀ちゃんによると「歳の影響なんて、もっとレベルの高い奴が言う事や。もっと練習を積んでギリギリまでやってる奴なら、歳の影響も出てくるけど、お前みたいにロクに練習もせん奴は、歳は関係ない。タイムが伸び悩んでるとしたら、単に練習サボってるからや」ということだ。非常に心強いお言葉である。
しかも、今回は1ヵ月前の大阪マラソンが気持ちよかったので、うまくいけば自己ベストの可能性も低くはないかも、なんて期待している。

密かに闘志を燃やしながらスタート地点に立つと、最近、どのレースもそうだけど、スタート地点に立って初めて、ストレッチすらしてないことを思い出し、慌てて膝の屈伸くらいだけやる。僕らのレベルの素人ランナーにはウォーミングアップは無用だと金哲彦さんも言ってるので良いとしても、さすがにストレッチは入念にやっておきなさいって言ってるから、覚えておかないといけないんだけど、ほんと、まるで条件反射のパブロフの犬のように、スタート地点に来て初めてストレッチを思い出す。もちろん、大混雑しているスタート地点でロクなストレッチができるはずがないので、気休めにもならない。普段の練習から習慣づけておく必要があるなあ。



などと反省していると、すぐにスタート時間となった。合図が鳴ると、一斉にランナーが拍手して、スタートラインに向かってだらだら動き始める。スタート前の整列がいい加減なため、結構、混雑している。だらだら歩きながらスタートラインを越えると、さすがに小走りで走り始める事ができる。

今日の作戦は、1ヵ月前の大阪マラソンを踏襲して、前半は抑えて走るのが基本だ。とは言え、大阪マラソンはフルマラソンだったので徹底的に抑えて走ったが、今日はハーフマラソンなので、そこまで徹底して抑える必要はない。ハーフマラソンくらいなら、多少無理しても乗り切れるのだ。て言うか、あんまり抑えすぎると良いタイムは出ない。フルマラソンなら完走するだけでも多少は意義があるけど、ハーフマラソンの完走なんて何の価値も無い。
重要なのは、最初にどれくらい抑えて走るか、という程度の問題だ。最初から歩くようなペースで走れば、そりゃ、最後までペースは落ちないだろうが、適度に頑張らないと良いタイムは出ない。終盤に潰れないギリギリのペースが理想だ。しかし、それが難しい。ちょっとでもオーバーペースになると、終盤には足を引きずるようになる。かと言って、余力を残しすぎるとロクなタイムは出ない。

最初に過度に無理すれば終盤にガクンと落ち、最初にそこそこ頑張れば終盤には緩やかな落ち込みで済む。なので、以前は「終盤にガクンと落ちずにギリギリで緩やかなペースダウンに踏みとどまれる程度に前半を頑張って貯金する」というレース展開を目指していた。目標タイムをクリアするには、終盤に緩やかなペースダウンで済むギリギリで、前半にどれだけ貯金できるかが勝負の分かれ目と考えていたのだ。
しかし、当然ながら、そんなにうまくはいかない。前半に計画通りの貯金をするのは難しくはなく、ちょっと頑張れば、なんぼでも貯金は出来る。しかし、終盤のペースの落ち方は、たいていの場合、想定した以上に大幅にガクンと落ち込んでしまい、前半の貯金など、一気に無くなってしまうのだ。
て事で、今回は、さらに一層、考え方を転換し、「前半には貯金をしない。そのかわり後半もペースダウンをしない。あわよくばペースアップさえ試みる」という作戦にした。そもそも前半で貯金しようとするから、終盤にペースダウンするのだ。前半で1kmあたり10秒や20秒の貯金をコツコツとしていったって、終盤で足が止まって歩いたりすると、何の意味も無い。前半の、ほんの少しの無理が、終盤には大きな負担になって返ってくるのだ。

とは言え、どれくらい抑えればいいのか、という微妙なペース調整は、当然ながらその日のコンディションによって変わってくるため、さじ加減は難しい。なので、取りあえず最初は自然体で走ってみる
昔は、レース本番になると気分が高揚して、序盤はなんだか調子が良いような勘違いをして、ついつい速めのペースで飛ばしてしまって終盤に泣きを見るパターンが多かった、て言うか、いつもそうだったが、さすがに年季が入ってきて、最低限の学習効果により、序盤の勘違いは少なくなってきた。それでも、気分が高揚して気持ちよく走れるのに変わりはない。
ところが、今日は、後ろの方の混雑した状態で走り始めたもんだから、なかなか思うように走れない。邪魔になる人が多い。もう少し速いペースで走りたいところだが、ここで無理して右へ左へポジションを変えて抜きながら走るのは愚の骨頂だ。労多くして功少なしだ。序盤はウォーミングアップと割り切って我慢してノロノロ走っていく。混雑していると言っても、最後まで混雑が続く東京マラソンや大阪マラソンなんかと違って、しばらく行くとマイペースで走れるようになる。

だんだんランナーもバラけてきて、少しずつ走りやすくなってくる。この辺りで序盤のペースを知りたいところだけど、このレースは距離表示が5kmおきにしか無いので、今のペースが分からない。まずは自然体で走ってみて、最初の1kmのタイムで、その日の調子を把握したいのに、それができないのだ。前半から頑張れるだけ頑張って貯金を貯めて、終盤に力尽きたらそれまでよっていう作戦なら、ペース配分なんて発想は無いから、途中の距離表示なんか無くてもいいけど、最後までペースを維持して走る作戦なら、きめ細かいペース管理が必要だ。いくら調子が良いような気がしても、オーバーペースになっていると注意しなければならないし、あんまり遅すぎると多少は頑張る必要もあるし。でも距離表示が少ないから、適度な緊張感を維持しながら、なるべくペースが一定になるように気をつけながら自然体で走るしかない。

最近、練習しててもそうなんだけど、常に足のふくらはぎが攣り気味と言うか少し痛みを感じる。でも体自体は重くなく、適度に軽快な走りができているような気がする。どれくらいのペースなのかは皆目見当が付かないが、気持ちよく走れているのは確かだ。

序盤の市街地は日陰が多いこともあって、さすがに薄い半袖Tシャツ1枚では肌寒い感じだが、それくらいの方が気合いが入る。市街地を抜けると、坂が出てくる。このコースは坂が多いのが特徴で、まず2km地点辺りから3km地点辺りまで最初の大きな上り坂がある。ただ、大きな上り坂と言っても、庵治マラソンの5km地点から6km地点にかけての巨大坂ほど勾配はきつくない。距離は長いけど、淡々と走っていけば、そのうちピークがやってくる。ちょっと前までは、前半はまだ力があるから、上り坂でもストライド走法で大股でグイグイ上っていってた。その方が気持ち良いからだ。周囲のランナー達も、まだ序の口なので、ペースを落とさずに上っていく人が多い。でも、最近読んだ金さんの本によると、前半で無理に筋肉を使うと、終盤に大きなダメージになって返ってくるとのことなので、チョコチョコとピッチ走法で刻んで上っていくことにした。あんまり好きな走りじゃないんだけど、終盤の事を考えて我慢する。
坂を上り始めるとだんだん体も温まってきて、調度いいくらいの体感温度になってきた。天気は良いけど気温は低めなので、山に入って木陰で日差しが当たらなくなると肌寒いくらいで、そんなに暑くはならず、ちょうど良い感じだ。
ピークの後は、当然ながら緩くて長い下り坂が続く。金さんによると、下り坂も大股でガンガン走って下りると、その後、大きなダメージが返ってきて、終盤に足が動かなくなるとのことなんだけど、ただ、所詮、今日はハーフマラソンだから、下り坂によるダメージは大した事ないだろうと判断して、以前のように重力のなすがまま思いっきり転げ落ちるように駆け下りる重力走法で走った。

坂を下りてしばらく走ると、ようやく最初の5km地点の距離表示がある。時計を見ると、期待したほどは速くない。自己ベストを狙うには、もう少し速くなければならない。ただし、最初の混雑でのタイムロスがあるから、それを差し引くと、まあ許容範囲かも。今後の頑張り次第では、そこそこのタイムにはなるかもしれない。まだ前半だから無理するのは禁物だけど、少なくとも今のペースは維持しなければならない。て言うか、最初の混雑が無いぶんだけ、次の5kmはタイムを短縮しなければならない。

ふと気が付くと、僕と同じ大阪マラソンの記念品のTシャツを着た女性ランナーがいる。ペースは僕とほとんど同じ。いい目印になるので、彼女をペースメーカーにして後を着いていく。その後、しばらく走ると、今度は夫婦らしい2人連れで同じく大阪マラソンのTシャツをお揃いで着ているランナーがいた。彼女達はちょっと遅かったので追い抜くことにし、追い抜きながら話しかける。

(幹事長)「大阪マラソンに出られたんですか?」
(おばちゃん)「あらあ、そうなのよ。あの人もそうみたいね」


などと、僕がペースメーカーにしている女性ランナーを指して言った。それにしても、2人揃って大阪マラソンに当選するなんて、運が良い夫婦だ。
その後もしばらく大阪マラソンTシャツの女性の後をつけていたが、ほんの少しだけ遅いというか、もっと頑張らないと自己ベストは出ないと思ったので、ちょっと無理して追い抜くことにした。今度も追い抜きながら話しかける。声を掛けながら追い抜いたからには、抜き返されるのも恥ずかしいので、頑張らなければならない。気合いを入れるには追い抜いて良かったけど、ちょっとプレッシャーになってしまった。
さらに走っていると、DK谷さんの後ろ姿が見える。僕より前にいたのか。しかも、ようやく追いつけたってことは、結構、頑張って早いではないか。ただ、アームウォーマーが暑そうで、汗びっしょりだ。

(幹事長)「暑いんじゃないですか?」
(DK谷)「さすがはフルマラソンを走った後だから軽快ですねえ」


汗まみれのDK谷さんも追い抜いたけど、ますますプレッシャーを感じながら走ることになる。
5km地点を過ぎると、今度は中くらいの大きさの2つ目の坂がある。最初の坂に比べると、そんなに大きくもないので、あんまり負担は感じない。そんなにペースは落ちていないような気がする。
まだ喉は全然渇いてないけど、最近の僕はよい子なので、最初からこまめに水分を補給する。喉が渇いてから飲み始めたのでは遅いからだ。

2つ目の坂をクリアし、3つ目の坂はかなり小さい、と思ったら、それはフェイントで、さらに進んで8km地点を過ぎると、本当の3つ目の大きな坂が出現する。初めてのランナーは、これに引っかかってガックリするが、コースを熟知した僕には、そななフェイントは通用しない。ちゃんと心構えはできている。

この辺りで折り返してきたトップランナーとすれ違う。みんな素晴らしく速いけど、ま、僕は、同じコースを走っているというだけで、同じ土俵で戦っている気はないので、無視する。

3つ目の坂を下りた辺りに、10km地点の距離表示がある。時計を見ると、またまた期待したほどは速くない。最初の5kmよりは少しはタイムが短縮しているが、混雑が無くなった事を考えると、もっと短縮できてるかなあと思ったんだけど。この調子では自己ベストは難しいかも。

ここで早くもH本さんとすれ違った。こんなところですれ違うなんて、後半にどうあがいても勝てっこないが、もう気にしない。4年前はマラソンを始めたばかりの彼女を前半のうちに余裕で抜き去り、3年前はゴール前10mでかろうじて抜き去ったものの、2年前には大差で敗北して愕然とし、それ以降は、全く歯が立たないので、悔しいとも思わなくなった。
とは言え、彼女の力走を見るのは刺激になり、再度、気合いを入れ直し、最後の4つ目の坂を上り始める。

4つ目の坂を少し上ると、中間の折り返し点がある。ここで折り返して、すれ違うランナーをチェックする。例の大阪マラソンTシャツの女性には、少し差をつけたようだ。大阪マラソンTシャツの夫婦は、さらに後ろの方だ。大阪マラソンTシャツを着たランナーがこんなにいるなんて思いもよらなかったので、もしかして他にもいっぱいいるのかって思ったけど、結局、この人たちだけだった。

DK谷さんも、少し後を走ってきた。まだまだ差は小さく、抜き返される可能性がある距離だ。支部長も思ったほどはバテてなくて、そんなに大差はついていない。だが、そのすぐ後ろにはゾウさんが走ってくる。支部長が歩けば、すぐに逆転しそうな勢いだ。國宗選手は見つける事ができなかった。
後半に入っても足はそんなに重くならず、前半と同じように自分では軽快に走れているような気がする。自己ベストを出すには、前半よりかなりペースアップする必要があるので、ちょっと頑張ってみる。もちろん、まだ半分残っているから、無理すると終盤に足が止まるけど、所詮、残り10kmだから乗り切れそうな気もする。追い抜いていくランナーもいるけど、追い抜くランナーもいるので、ペースは保たれているような気がする。
相変わらず風は無く、日陰に入ると少し肌寒く、日なたに出ると少し暑いという、気持ちの良い天候が続く。

帰りの大きな坂を2つ越えたら、いよいよ15km地点だ。タイムを見ると、おっ、少しペースアップできている。そんなに大きなペースアップではないが、後半に入ってペースアップできることは珍しい。自己ベストを狙うには物足りないアップ度合いだけど、ここからさらに一段とペースアップできれば、まだ自己ベストは不可能ではない。もう残り6kmだから、先の事を考える必要はなく、めっちゃ気合いを入れて、ラストスパートのつもりで頑張ってみる。
って、頑張ったつもりなんだけど、さすがに6kmもスパートはできない。しばらくはペースを上げたものの、最後の大きな坂になると、すぐにガクンとペースダウンしてしまった。気持ちでは頑張っているものの、体がついていかず、思いっきり駆けてるつもりでも、客観的に見ると、あんまり足は上がっていない。自己ベストには非常に厳しい展開だ。でも、足はそんなに重くなっておらず、下り坂では思いっきり駆け下りることができる。足が重い時は、下り坂だってペースは落ちてしまうので、まだまだいける証拠だ。

最後の大きな坂を下りたら、残りは2kmだ。あと2km地点でタイムを確認すると、さらに少しだけペースアップはできている。ペースアップの度合いは物足りないが、少なくとも落ちてないので、まだ気持ちは切れない。自己ベストを出すには、残り2kmを満濃リレーのような短距離走のペースで走らなければならない。19kmも走った後で、それは無理のような気もするが、一応、頑張ってみる。でも、ここでライバルとかペースメーカーとかいれば頑張りもきくが、一人で頑張り続けるのは難しく、ついついペースが落ちていく。3年前は、この辺りで先行するH本さんを見つけて必死で追いすがったけど、一人だと緊張が続かない。

いよいよあと1km地点の表示が現れたが、おかしい!この1kmは、信じられないほどペースダウンしている。結構、頑張っているはずなのにペースダウンしているなんて、表示がおかしいんじゃないか?表示が正確なんだったら、もう自己ベストは不可能な状況になってしまった。でも、もしかして何かの間違いかもしれない。どんなレースでも、ゴールしてから「わーん、あと数秒早かったら自己ベストだったのにーっ!」とか「うわあ、なんとか数秒差で自己ベストが出たっ!」って事は意外に多いので、取りあえず今日はまだ気を抜かずに頑張り続けてみる。て言うか、さすがに最後の1kmになったので、子供みたいな無茶走りする。
ゴールまで数百mのところに来ると、いち早くゴールしたH本さんが声援を送ってくれる。完敗した事に対する悔しさは無く、素直に嬉しい。さらにトラベル恵子と小松原選手も声援を送ってくれる。

(小松原)「うわ、早いじゃないですか!」
(幹事長)「ありがとーっ」


決してそんなに早い訳でもないけど、もっと遅いと思っていたんだろう。

そんなこんなでゴールしてタイムを見ると、最後の1kmはかなりペースを上げることができた結果、3年前のタイムを上回って大会自己2番目のタイムとなった。2番目っていうのも中途半端だし、タイムの絶対値としても中途半端なものだけど、20年近く走り続けているこの大会のタイムのベスト3を、いずれも50歳を過ぎてから出したというのは、何となく嬉しい

最後に頑張ったので、適度に足の疲労感が残り、心地よい。相変わらず天気も良くてポカポカしているので、そのままゴールの横でみんなを待つ。予想では、次はDK谷さんが入ってくると思ったんだけど、なかなか誰も来ない。おかしいなあ、と思っていたら國宗選手がゴールした。
(幹事長)「あれ?DK谷さんは?」
(國宗)「最後の坂で撃沈してましたね」


どしたんやろ。続いてゾウさんが来るかと思っていたら、意外にも支部長がゴールした。

(幹事長)「決して速くはないけど、思ったよりは速いな」
(支部長)「ふふふ、今日は最後の坂でも歩かんかったからな」
(幹事長)「え?なんとっ!」


あんなに坂に弱い支部長なのに、全然歩かなかっただなんて、一体どうしたんだろう。

(支部長)「このレースは坂は多いけど、斜度は大したことないな」

妙に強気な発言だが、確かに庵治マラソンなんかに比べれば坂は大きいけど緩やかかもしれない。それにしても支部長が坂を最後まで歩かなかったのは、画期的だ。ていうか、強敵になったぞ。
一方、ゾウさんは、練習不足がたたって、支部長に追いつけなかった。そんなに悪いタイムではないけど、悔しそうだ。
DK谷さんは、前半は快調に走っていたけど、終盤になって突然ガス欠になり、歩きまくったそうだ。
例の大阪マラソンTシャツの夫婦もゴールしたので、駆け寄ってお互いの健闘を讃え合う。



記録証を受け取って待ちに待ったソーメンをもらいにいく。レースの終盤は、早くゴールしてソーメンを食べる事を心の支えにして頑張る、というほど、ソーメンはこのマラソンの重要な楽しみの要素だ。ところが、なんと、ソーメンの屋台には長蛇の列ができている。どうやら麺が切れて、大急ぎで茹でている最中だった。かなり時間がかかりそうだったので、先に着替えることにした。
着替えていると、小松原選手が嬉しそうに荷物を抱えて帰ってきて。

(幹事長)「何?その荷物?」
(小松原)「入賞の賞品の醤油セットもらいました」


なんと、彼は去年、年代別で8位に入賞して賞品をもらったが、今年も10位に入って賞品をゲットしたのだ。すごいなあ。この勢いで来週は那覇マラソンか。

着替えて出て行くと、ソーメンの列も無くなっており、たっぷり2杯も頂いた。
さらに弁当も受け取って港へ急ぐ。次の船の出港まで1時間以上もあるが、フルマラソンがあれば、帰りの客は分散しているため、そんなに慌てなくても帰りの船には楽勝で乗船できるけど、今年はみんなハーフマラソンに集中しているため、ちょっと急いだのだ。ところが、港に着いてびっくり。気が遠くなるような、とんでもない長蛇の列が出来ていた。みんなゴールして弁当をもらって、そのまま港へ直行して並んだ、って感じだ。どう見ても、あの小さいフェリーに乗れそうには思えない。

(支部長)「次の便って、何時やったっけ」
(幹事長)「この船の1時間後やから、今から2時間後」
(支部長)「その次は?」
(幹事長)「今から3時間後」


下手したら3時間待ちかもしれない。ま、今日は天気も良くて外に居ても気持ち良いから、待ってもいいか。なんて思っていると、乗船が始まり、列が動き出す。途中で何度か動きが止まり、これでおしまいか、なんて思っていると、再び列が動き出す。直前で切られたら悔しいなあ、なんて思っていたけど、車が全部、乗船した後は、人はなんぼでも乗せるっていう勢いで、なんのチェックもせずにどんどん乗せていく。見た目は小さい船なのに、驚くべき収容力だ。て言うか、客室は難民キャンプと化していて、歩くのもままならない状態だ。フェリーって、定員っていう概念は無いんだろうか。どんなに乗せてもOKなんだろうか。なんとかスペースを見つけてレジャーをシートを敷き、みんなで体を寄せ合ってしゃがみ込む。

弁当を食べながら、反省会をする。

(國宗)「幹事長、調子良かったですねえ」
(幹事長)「いやあ大したことないよ、わっはっは」


事実、大したタイムではない。でも、何度も言うけど、50歳を過ぎてから、この大会のタイムのベスト3を出していることが嬉しい。まさか体力がアップしているとは思えないので、やはり前半を抑えて走る作戦が功を奏しているのだろう。

(幹事長)「やはり前半は徹底して抑えて走り、だんだんペースを上げていく展開がよろしいのじゃ。
       もちろん、私のように実力が無いと無理とは思うがな。あはははは」


とは言え、自己ベストを出せなかった事に対して、1km当たりあと数秒速ければ、とか、スタート直後の混雑を回避していれば、とか色々反省というか後悔はある。ま、行っても仕方ない後悔ですけど。

大阪マラソン、タートルマラソンと、2大会連続で気持ちよく走れたから、またまた次のレースが楽しみで仕方ないんだけど、次は2月始めの丸亀マラソンまでレースは無い。新年早々1月始めに満濃リレーマラソンがあるが、これは動物チームで出るお遊びなので、マジなレースは丸亀まで無い。坂の無い丸亀マラソンは良いタイムが出やすいため、ついつい自己ベストを狙ってしまい、自分自身でプレッシャーを感じる大会だけど、適度な緊張感で頑張りたいぞ。

(石材店)「結局、今回も、どうでもいい話がダラダラ続き、結構、長くなってるんですけど」
(幹事長)「今年最後のレースだから許してちょ」


〜おしまい〜




戦績のメニューへ