第32回 瀬戸内海タートルマラソン大会

〜 気持ちの良いレースで超平凡なタイム 〜


2011年11月27日(日)、小豆島において第32回瀬戸内海タートルマラソン全国大会が開催された。

僕が初めて出たマラソン大会が、今から16年前のこの大会だった。若かった頃はヒマがあればテニスとか、もっと目先の面白いスポーツで遊んでいたんだけど、だんだん体に無理がかかってきたため、ゆっくりとしたペースのランニングを始めていたのだ。で、テレビを見ていると、この大会の宣伝が流れ、ふと、せっかくだから出てみようか、なんて軽い気持ちで思って、ついフラフラとハーフマラソンの部に出てしまったのだ。コース自体は坂が多くて決して楽な大会ではなかったのだけど、始めて出たマラソン大会は、すごく楽しかった。単なるド素人が走っているだけなのに、沿道の住民からは熱い応援があり、まるで一流選手になったような気分になるし、何の予選も無いただの市民マラソンなんだけど、試合に出るとなれば、なんだか選ばれた選手のような気分になれるのだ。これでマラソン大会の楽しさを知ってしまい、それ以来、やみつきになって16年も経ってしまった。特にこの大会は、初めて出たマラソン大会ということで一番愛着があるし、坂が非常に多くて厳しいコースなのに、なぜか相性が良くてタイムも悪くないので、最初に出た第16回からほぼ毎年欠かさず出ている。

てことで、毎年、しつこく四電ペンギンズの他のメンバーにも参加の圧力をかけているんだけど、なぜか参加メンバーが極端に少ない。僕のような思い入れが無いせいか、同じ小豆島でも春のオリーブマラソンなんかに比べて、ペンギンズのメンバーの参加率はとっても悪い。

(幹事長)「なんで出んの?」
(支部長)「いやあ、もうすっかり冬ごもりの気分だし」


大半のメンバーに取っては、3週間前の徳島マラソンで今年のマラソンは打ち止めのようだ。

で、今年は
トリ君と一緒に出掛けることにした。トリ君は去年も一緒に出る予定だったんだけど、直前になって風邪でダウンしたため、出られなかったのだ。トリ君は、去年1月の満濃動物リレーでペンギンズにデビューした後、初めての本格的なレースとして去年のこの大会に申し込んでいたんだけど、風邪で出られず、今年の満濃動物リレーに再び参加した後も、他のレースには出てないから、今回が初めての本格的なレースだ。他のメンバーの参加が低調な中で、このレースにこだわる彼は貴重な存在だ。ぜひ頑張って欲しいぞ。
それからレースには出場しないけど、ライオンさんも応援に来てくれることになった。心強い!



レースの前夜、準備をしていて、参加証を青森に忘れた事に気付く。

(支部長)「庵治マラソンで私が参加証を忘れた事を非難してたけど、自分も同じやん」
(幹事長)「レースに行く途中で気付いた君と、前夜に気付いた私を一緒にせんとってくれたまえ」


青森に忘れたとなると、もうどうしようもないが、参加証を持ったうえ写真付き身分証明証も求められる東京マラソンなんかとは違って、庵治マラソンと同様に、なんとかなるだろう。

小豆島へはフェリーで行くことにする。春のオリーブマラソンもそうだが、小豆島のレースは船の便が重要な要素となる。以前は、ちょうど良いタイミングで高速船があったため、多くのランナーが高速船を利用していた。ウォーミングアップをしない僕は、あんまり早く行ってもヒマなだけなので、それよりさらに遅い高速船を利用していた。それだとスタート時間になんとかギリギリで間に合うという多少リスキーな時間設定だけど、そんなギリギリの船に乗るような気合の入っていないランナーはごく少数なので、空いていたのだ。多少リスクはあるとしても、着替えたら即スタートという時間設定なので、待たなくても良いのが嬉しいところだ。

(石材店)「せめてスタートの1時間前には会場に着くようにしてくださいよ!」
(幹事長)「でもウォーミングアップするわけでもないしなあ。ヒマなのよ」


ところが古きよき時代は去り、最近は便数が半分に減ったため、レースに間に合うタイミングの船便がギリギリの便だけになってしまった。そうなると、高速船に乗るためには、かなり早くから並ばなければならない。高速船に乗っている時間はフェリーの半分の30分だけど、並ぶ時間を入れると、フェリーと変わらないうえに、並んだあげく、もし満席で乗れないなんて事態になれば悲惨だ。フェリーと違って、高速艇は定員オーバーの乗客は絶対に乗せないから、もし満席になってしまったらアウトなのだ。

そんな事もあり、最近は料金も半額で済むフェリーを利用することが多い。高速艇なら30分で着くところを、フェリーだと1時間もかかるし、乗り心地も悪い。しかも高速艇より1時間も早く出港するので早起きしなければならない。でも、誰かと一緒に行くときは、多少乗り心地が悪くて時間がかかっても平気だ。ワイワイやってると、あっという間に着く。
て事で、トリ君には「フェリーが出るのは7時20分だけど、僕は7時前には船に乗り込むから、適当に来たまえ」と伝える。



レース当日、朝起きると天気は薄曇だった。でも、雨の心配は皆無のようだ。気温は思ったよりはヒンヤリしている。
乗り込むフェリーは座席指定も無く、遅く行くと座る場所が無くなるので、船の出港の30前には乗り込もうと思って、少し早めに港に着いた。
参加証と一緒に船の割引券も送られてきていたんだけど、当然、それも青森に忘れている。チケット売り場のおねいさんが「割引券が無くても参加証を見せてくれたらいいですよ」とまで言ってくれたけど、参加証も忘れているから、さすがに正規料金を払わされた。
チケットを買っていると、ゾウ坂出の知人のO林氏に会う。彼も、この大会には欠かさず出ていて、毎年、お目にかかる。

ちょっと早めに来たと思ったんだけど、船を見ると、既にかなりの人が乗り込んでいる。もしかして、決して、早くはないのかも。いつもは、もっと早めに来てたんだろうか?

(石材店)「自分が書いた記事に3年前は40分前に乗り込んだって書いてあるじゃないですか!」
(幹事長)「これからレースに出る時は以前の記事を読み返さんといかんなあ」


座席に座るのは諦めて地べたに座る場所でも探そうか、と思っていたら、トリ君とライオンさんが既に早々に乗り込んで、座席じゃないけど、硬い絨毯を敷いた雑魚寝スペースの一角にスペースを確保してくれていた。良かったあ。

(幹事長)「30分前なら十分早いと思ったんだけど、既に遅かったんやなあ」
(ライオン)「経験豊富な割には記憶が飛んでますねえ」


なんとか座れて一息ついたところで、朝食のパンを食べる。以前は、家できちんと食べてから出ていたんだけど、普段より食べる時間が早すぎるからか、あるいは十分にエネルギーを補給しようと思って大量に食べるのが悪かったのか、もしかして前日の夕食も大量の炭水化物を食べていたのが良くなかったのか、レース中にお腹を壊す事が多かった。なので、最近は、移動中に適量の食事をするように心がけている。
と思っていたんだけど、クチャクチャとおしゃべりしながら何も考えずに食べていると、ついつい大量に食べてしまった

(ライオン)「そんなに食べて大丈夫ですか?」
(幹事長)「え?うわ、ほんまや」


明らかに食べ過ぎてて、もう入らない状態。て言うか、喉から戻しそうな感じ。

(幹事長)「いかん。絶対に食べすぎや。お腹大丈夫かなあ」
(トリ)「僕もお腹を壊しやすいんですよ」


食べすぎでムカムカしている僕を横目に、トリ君は慎重にバナナなんかを食べている。

(幹事長)「で、どのコースに出るんやったっけ?」
(トリ君)「初めてなんで10kmの部です。幹事長はフルマラソン?」
(幹事長)「いやいや、フルマラソンは当分、控えとく」


瀬戸内海タートルマラソンは、以前は近場で唯一のフルマラソンがあるので、時々はフルマラソンの部に出ていたんだけど、3年前に坂が無いフラットな徳島マラソンができたので、坂が多くてきつい瀬戸内海タートルマラソンはハーフマラソンにしている。しかも、今年は10月初めの弘前アップルマラソン3週間前の徳島マラソンと、2ヵ月連続でフルマラソンに出場するので、今回はハーフマラソンに申し込んでいたのだ。その2回のフルマラソンだが、フルマラソン自己ワースト第1位と第2位のタイムを叩き出すほど惨敗続きだったので、このタートルマラソンはハーフマラソンにしておいて、本当に良かった。ハーフマラソンくらいなら、いつでも調子よく走れそうな気がするし。ただし、2回のフルマラソンの惨敗ぶりが、あまりに悲惨だったので、いくらハーフマラソンとは言え、今回は大きな不安を抱えての出場だ。

船の中では、H本さんに会う。H本さんはマラソン始めて僅か3年目だと言うのに、3週間前の徳島マラソンでは、あと数分でサブフォーという驚異的な快走を見せ、すっかり別次元に飛んでいってしまった人だ。このタートルマラソンでは、2年前は僕は大会自己ベストを出す快走だったので少し差をつけて勝ったけど、去年は終盤でようやく後姿を捉え、そこから必死で頑張って、最後はゴールまで10mというところでかろうじて追い越して顰蹙を買った。しかし、3週間前の徳島マラソンで1時間もの大差を付けられた今年は、絶対に負けることを断言できる。

(石材店)「マラソン始めて3年目の女子に対して、そこまで力強く敗北宣言しなくても」

小豆島には1時間少々で着く。港からは会場までの送迎バスがあるが、長蛇の列が出来ているから歩いていく。歩いても10分少々くらいのもので、朝、起きてから港まで車で送ってもらった僕は何の運動もしてないので、多少歩くのが適度なウォーミングアップになる。
天気予報では今日の天気は晴れで暑くなる恐れもあったけど、薄曇りで風も無く、気温も少し低めで、ちょうど良い感じ。ただし、3週間前の徳島マラソンも絶好のコンディションの中、惨敗したから、あんまり関係ないんだけど。

会場に着き、受付をする。参加証は忘れたけど、身分証明書の提示も求められず、名前を言っただけで再発行してくれた。東京マラソンなんかと違って、こういう、こじんまりしたアットホームな大会は優しい。
何を着るかは、毎度の事ながら悩むところだ。一昨年は半袖、去年は長袖のTシャツを着た。今日はずっと薄曇のままだし、ちょっと肌寒い感じもしたから長袖のTシャツにした。最近、ますます寒さに弱くなってきてて、終盤で寒さを感じると辛くなるので、迷った時は長袖にしている。
しかしその後、外に出て写真なんか撮ったりしていると、薄曇りではあるけど風も無いし、少しづつ気温も上がっていくような気配がするので、もう時間が無かったけど、慌てて半袖のTシャツに着替える。いくら寒いのは辛いと言っても、暑く感じるようでは明らかにペースは落ちる。多少でも攻めの気持ちがあるのなら、やっぱり半袖だろう

(石材店)「って、やっと気付いたんですか?」
(幹事長)「人間、楽ばっかり求めていたんではいかんと思って」


時間が無いので焦りながらスタート地点に向かっていると、さとやんに会う。さとやんは、見るからに遅そうな、ええおっちゃんなんだけど、実は見かけによらず大変、速かった。過去形で言うのは、速かったはこの春までの発電所勤務だった頃の話だからだ。発電所勤務だと、お昼休みとかに毎日、構内をランニングできるため、その成果で圧倒的な走力を誇示してきたのだ。ところが、今年の春に本店勤務になったとたん、平日に走る事は難しく、終末にちょこっと走る程度になったため、去年までに比べると練習量が激減してしまい、10月末の庵治マラソンでは、かなり苦しんでいたのだ。それでも、この大会には真面目に参加しているところが偉い。

(さとやん)「ま、ここまで力が弱るとも思ってなかったから、申し込んでたんやけどな」
庵治マラソンでもさとやんと一緒に来ていた取引先企業の方2名が来ている。彼らも熱心だ。

さらに、小松原選手に会う。彼は、なんと、来週は那覇マラソンに出るとのことで、今日は練習がてらに軽く10kmレースに出るのだそうだ。

(幹事長)「那覇マラソンかあ。えーなー」
(小松原)「初フルマラソンなんですよ」


これまでフルマラソンは無理、なんて言って参加してなかった小松原選手だが、なんとフルマラソンのデビューが那覇マラソンなのだ。誠に羨ましい限りだ。
いよいよスタート時間が近づいてきた。最近いつもそうだけど、スタートラインに立って初めてストレッチすらしてないことを思い出し、慌てて膝の屈伸くらいだけやる。

(石材店)「ウォーミングアップは絶対にしないのを信念にしてますが、せめて最低限ストレッチはやらんといかんでしょう?」
(幹事長)「いやあ、ほんと、真剣みが足りなさ過ぎやわな」


今回の目標としては、もちろん、例によって取り合えず、大会自己ベストの更新は狙っている。どんなレースであろうとも、取り合えず大会自己ベストの更新は誰でも狙っているだろ。ただし、今回は、真剣に狙っているわけではなく「そうなったらいいなあ」って願望があるだけで、その裏づけとなる練習もしてなければ、最初から頑張るつもりもない。なので、目標達成の可能性は限りなくゼロに近い。なんと言っても先月の弘前アップルマラソン、3週間前の徳島マラソンと、2回連続でフルマラソンを惨敗しているので、決して無理をするつもりはない。とにかく、絶不調から抜け出すのが最優先目標だ

(ピッグ)「なんだかんだ言っても、不調の根本原因だった練習不足は解消してないんでしょ?」
(幹事長)「体から疲労が抜け切れないから、練習できないのよ」


週末にまとまった距離を走ろうとしても、すぐ力尽きて長距離が走れないのだ。思った以上にフルマラソンにダメージは大きいのかもしれないけど、本当に不安だ。でも、マラソンは精神的な要素も大きいので、坂がある割にはタイムが良いこのレースは好きだし、愛着もあるしイメージも良い。精神的な余裕があるのは利点だ。これと言って大きな目標は無いが、絶不調から脱したいという強い思いもあるので、スタート直前になると、少しは気合が入ってきた。



いよいよスタート。ピストルの音と共に飛び出すが、当然、スタート直後は混雑してて、まともに走れないから、どうしてもスローペースになる。とは言え、最初の2〜3kmまで混雑が続いた徳島マラソンなんかと違って参加者が少ないから、しばらく行くとマイペースで走れるようになる。
以前は、スタート直後は気持ちが高ぶっているうえ、ガンガン走り始める周囲のペースにつられて、ついついオーバーペースになってたから、最初は抑えて走らなければいけないという教訓を強く意識していたが、最近はレースでもあんまり気持ちも高ぶらないし、周囲にもつられたりしないから、むしろ逆に、最近の絶不調から立ち直るためには、ちょっとガツンと最初から飛ばした方が良いような気もする。所詮はハーフマラソンなので、終盤に力尽きたとしても大した事態にはならないだろうから、あんまり無理して抑えずに、自然体で走ってみる。ただ、食べ過ぎたパンが喉から出掛かっているのが気になるところだ。

序盤のペースを知りたいところだけど、このレースは距離表示が5kmおきにしかないから、なかなかペースが分からない。まずは自然体で走ってみて、最初のタイムで、その日の調子を把握したいのに、それができないのだ。なので、適度な緊張感を維持しながら、なるべくペースが一定になるように気をつけながら自然体で走るしかない。体はそんなに重くなく、適度に軽快な走りができているような気がする。風が無いので、結構、暑くなるかとも思ったけど、薄曇りのままなので、半袖のTシャツを着ていると、心配したほど暑くはない。長袖をやめてよかった。

2kmほど進むと最初の大きな坂があり、ここでペースが少し落ちる。とは言え、まだまだ序盤なので周囲も頑張ってあまりペースダウンしないので、一緒に頑張って上る。下りは時間稼ぎに大またで駆け下りる。以前は、下り坂になると、ここぞとばかりに飛ぶように転がり降りていたけど、最近、なんとなく、それもできなくなってきた。足が回らないのだ。歩幅も思いっきり大きくはできないし。これは筋肉の衰えなんだろうか。それとも、単に疲労の蓄積だろうか。

坂を下りてしばらく行くと、ようやく5km地点だ。最初の5kmのタイムを見ると、イマイチだ。だけどスタート直後の混雑を差し引けば、まあまあってとこか。決して速いペースでもないけど、今後の頑張り次第では、そこそこのタイムにはなるかもしれない。まだまだ期待は維持できる。

5km地点を過ぎると、今度は中くらいの坂がある。最初の坂に比べると、そんなに大きくもないので、あんまり負担は感じない。そんなにペースは落ちていないような気がする。
さらに進んで8km地点を過ぎると、またまた大きな坂が始まるが、この辺りで折り返してきたトップランナーとすれ違う。トップクラスのランナーは、まるで短距離走のような走りで、いつも感心する。というか、呆れるというか不思議というか、同じレースに参加しているとはいえ、全く別次元のレースだ。

だんだんすれ違うランナーが増えてきたとは言え、まだまだ知った顔は現れないだろうと油断していたら、なんと矢野選手がめっちゃ速いペースで折り返してきた。サングラスをかけた表情も真剣そのものだ。う〜ん、マラソンに賭ける意気込みが違うなあ。

(幹事長)「なぜ、そこまで真剣になれるっ!?」
(矢野)「どうせやるんなら、幹事長も、もうちょっと真剣にやったら?」
そんなに真剣ではないにしても、そんなに遅くなった自覚も無かったんだけど、折り返し点の少し前の10km地点でタイムを見ると、おや?とっても遅い!去年や一昨年のように調子が良いときは、混雑する最初の5kmより次の5kmの方が速かったんだけど、今年は最初の5kmより大幅に遅くなっている。あれえ、おかしいなあ。自分ではそんなにペースダウンしている感じでもないのになあ。やはり、これこそが不調の証なのかなあ。自己ワーストを更新するような絶不調ではないけど、自己ベストには遠く及ばず、全く中途半端な状態になってしまった。このままズルズルとペースは落としたくないけど、もういくら頑張っても大した記録にはならない。目標を完全に失って、ここからが精神的に厳しいところ

折り返し点の少し前では、H本さんともすれ違った。予想以上の大差に愕然とする。去年はラスト1km辺りで姿を捉え、そこから必死で頑張ってゴール直前で抜き去ったが、今年は、折り返し点でこれだけ差が差がついていれば、もう絶対に逆転は不可能だろう。なんで彼女はそんなに速くなったんだ?と思いつつ、よくよく考えてみたら、僕が大会自己ベスト2位のタイムだった去年だって、ゴール前10mでなんとか追いついたくらいだったので、それより大幅に遅い今年は完敗しても不思議はない。彼女が速くなったというより、僕が遅くなっただけだ
去年は、走る後ろ姿がきれいな女性ランナーを勝手にペースランナーに見立てて頑張って着いて行ったため、ペースを維持できたけど、今年は適度なスピードの女性ランナーも見当たらない。とは言え、折り返し点を過ぎて後半戦に入ると、ちょっとは挽回しようと思って力をこめる。
ところが、挽回するどころか、だんだん追い抜かれるランナーの数が多くなってきた。だんだんというか、急速に増えてきた。回りのランナーが突然、みんな一斉にペースアップしたとは思えないので、これは明らかに僕がペースダウンしているって事だ。それほど遅くなっている自覚は無いんだけど、確かに足は重くなりつつある。緊張感も乏しいし、これは良くない状態だなあ。なんて思っていたら、O林氏が声を掛けながら抜いていく。おやあ、今まで彼には負けた事がないように思うのだけど。さすがに少しは気合が入り、しばらく後ろを着いていく。彼もそんなに速いわけではないので、なんとか着いていけるんだけど、だんだんしんどくなってきて、徐々に差が開いていく。これが去年のようにH本さんだったら、必死で着いていくところだし、それくらいなら精神力で補えるんだけど、さすがにO林氏が相手では、そこまで気力も沸いてこないから諦める。
後半になっても風はなく、暑くも寒くも無い良い状態のままだ。明らかに足が重くなってきたけど、何の言い訳もできない。これといった目標も失ってダラダラと走っていくが、写真撮影しているところでは、ことごとくポーズを取る。もう楽しみと言えば、これくらいしかないわな。
最後の大きな坂を下りたら、残りは2kmだ。以前は終盤は1kmおきに距離表示があったけど、最近は最後まで5kmおきの表示しかない。おまけとして「あと2km」ってのはあるけど、これは19km地点じゃなくて19.0975km地点なので、疲れた頭で換算するのは難しい。とは言え、あとだいたい2kmってのは間違いない。今さら頑張ったところで大したタイムになる訳ではないが、最後の2kmくらいはスパートかけて完全燃焼感を味わいたい。先の事を考える必要はなく、力の限り走るだけだ。
ただ、気持ちではそう思っても、体はついていかず、思いっきり飛ばしているつもりでも、タイムを見ると、意外なほど遅く、客観的に見ると、あんまり足は上がっていない。坂がない区間なのに、今日、一番遅いタイムになっている。ここへきて力が尽きかけたってことか。フルマラソンの終盤をベタ歩きしたのに象徴されるように、今年はスタミナが枯渇しているんだろうなあ。いくら頑張っても足が回らない。

(石材店)「本当に、いくら頑張っても、って言うほど頑張れてるんですか?」
(幹事長)「いや、ま、それを言われると辛いところ」


H本さんを必死で追いかけた去年のような展開だと力も入るんだけどなあ。後で調べてみたら、最後の1kmは、なんと去年より1分近く遅かった。いかに心の問題が大きいかが良く分かる。
ただ、今年はゴールまで数百mのところでトリ君とライオンさんが声援を送ってくれたので嬉しかった。これで少しは力も蘇る。さらに、ゴール直前ではH本さんも声援を送ってくれた。有難いことです。うるうる。

終盤になっても他の追随を許さず独走する筆者(ライオンさん撮影)

結局、全く平凡なタイムに終わってしまったが、しかし、平凡なタイムってのが、最近では珍しいのだ。例えば、丸亀マラソンは今年、大会自己ベストを出したオリーブマラソンは去年が大会自己ベストで、今年は大会自己ベスト2位のタイムだ。そして、このタートルマラソンは一昨年が大会自己ベスト去年が大会自己ベスト2位だ。これだけ聞くと、最近は絶好調のようだけど、一方で、去年のわかさぎマラソンではハーフマラソン自己ワースト記録を叩き出したし、先月の弘前アップルマラソンではフルマラソンの自己ワースト記録を叩き出した。つまり、ここ2年間、良いタイムか悪いタイムのどちらかという極端な成績が続いていて、今日みたいな平凡なタイムってのは最近では珍しいのだ。

(ピッグ)「去年は、新しいシューズが良かったのか、とか練習方法とか色々と分析してましたけど、何か新しい原因は分かりましたか?」
(幹事長)「やっぱり練習不足ですかね」
(ピッグ)「あまりにも当たり前すぎて、何の教訓も無いですね」


大きな傾向としては夏場に開かれる青森のレースは調子が悪くて、秋から春に開かれる四国のレースは調子が良い、という傾向はあるんだけど、四国のレースでも徳島マラソンは悲惨な結果に終わっているので、そうも言い切れない。青森に来た最初の頃は、もっぱら寮の発狂ランニングマシーンで練習していたので、一回の距離は短いけど、頻度の多い練習をしており、また一回の距離が短い分だけペースは速かった。でも、最近は、いくら外が寒くても、雪で走れない限り、発狂マシーンは避けて屋外を走っているので、距離は長めだけどペースは遅い。つまり、青森に来る前に高松で練習していた頃と似たような練習メニューになっているのだ。もしかして、一回の距離は長くても頻度が少なくてペースも遅い練習より、一回の距離は短くても頻度が多くペースが速い練習の方がいいのかもしれない

(ピッグ)「これからの季節は、その練習しかないですね」
(幹事長)「そうなんよ。もう青森は雪の世界に突入しちゃったから、寮の発狂ランニングマシーンで走るしかないのよねえ」


寮の発狂ランニングマシーンは、あまりにも精神的に苦痛だから一回の距離は極端に短くて、せいぜい3kmくらいだけど、そのためにハイペースで走れるし、頻度も増える。この練習を2ヵ月続けて2月始めの丸亀マラソンで成果を確認しなければならない。

ま、超平凡なタイムだったけど、フルマラソンの自己ワースト記録を叩き出した先月の弘前アップルマラソンの暗い影を払拭すべくリベンジに燃えた3週間前の徳島マラソンでも惨敗してしまい、絶不調のどん底で喘いでいた僕としては、距離はハーフマラソンとは言え、少しは回復の兆しが見えたかもしれないので、少しは満足だ。

それに、やっぱりこのレースは天候が気持ち良い。たまには雨に祟られて悲惨な結果になったこともあるけど、たいていは良い天気で、かと言って、そんなに暑くもないし、寒い丸亀マラソンや暑いオリーブマラソンに比べると、年間で一番、気持ちの良いレースだ。

トリ君は、満濃リレー以外ではマラソン大会初参加だったけど、見事、10kmを目標どおり1時間以内で走ることができ、大きな自信をつけた。

(トリ)「最後までちゃんと完走できたし、一年越しの目標が果たせて嬉しいですね」
(幹事長)「練習はつまらんけど、マラソン大会って楽しいやろ?」
(トリ)「ほんと、そうですね。
思っていた以上に楽しいし、達成感があったので、これからも続けていきたいですね」

若手から前向きな意見が出て、本当に嬉しい。一度マラソン大会に出ると、誰でも病み付きになる事は間違いないのだ。

(ピッグ)「そもそも走るのが嫌いな人を走らせるのは難しいんですけどね」
(幹事長)「うちの家族なんか、全員がそうだな」
レースが終わった後は、まずは例年のように暖かいソーメンを食べようと思ったんだけど、すごい長蛇の列が出来ていて、早々に諦める。どう見ても、参加者じゃない人が大勢並んでいるのが原因だ。まずはレース参加者を優先して欲しいな。レースで疲れた体には、暖かいソーメンが最適なんだけどなあ。
ソーメンを諦めれば、急げば早い時間のフェリーに間に合うから、急いで着替える。弁当も抱えたまま送迎のマイクロバスに乗せてもらったら、なんとかフェリーに間に合った。そんなに急いで帰るランナーは少ないので、朝と違って空いていて、楽に座席に座れた。

フェリーの中で弁当を食べていると小松原選手がやってきた。なんと10kmレースで40分を切り、来週の那覇マラソンに向けて大きな自信をつけたようだ。それにしても10km40分切りは、すごいの一言だ。矢野選手といい小松原選手といい、もう完全に別次元に行ってしまったなあ。

(ピッグ)「私たちは一緒に気楽にやりましょうよ」
(幹事長)「て言うか、それしか無理だもんな」



て事で、次は来年の正月早々に開催される満濃リレーマラソンだ。今回も動物チームで目立つから、応援してね!


〜おしまい〜




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