第5回 神戸マラソン

〜 楽しく惨敗 〜


2015年11月15日(日)、神戸市第5回神戸マラソンが開催された。2年前の大阪マラソン以来の大都市マラソン出場となった。
神戸マラソンは4年前の2011年に始まった新しいマラソン大会だ。2007年に東京マラソンが始まり、その大成功に刺激されて関西の3大都市である大阪、京都、神戸が仲良く同じように真似して2011年度からマラソン大会を始めたのだ。マラソン大会が増えるのは喜ばしいことだが、それにしても関西の3大都市が揃って同じ年に始めるなんて、節操が無いと言うか独自性が無いと言うか横並びと言うかライバル心が強いと言うか、何と言うか。ちなみに、同じ関西でも、12月に参加する予定の奈良マラソンは1年前の2010年から始まっている。

神戸マラソンは大人気を誇る大都市マラソンの例に漏れず、エントリーは抽選で、競争率が高くてなかなか当選しない。今年はフルマラソンの部の定員18000人に対して78000人の応募があったので、競争率は4.3倍だった。基本的にあらゆる抽選やクジに弱い私としては、このような高い競争率を勝ち抜いて当選したことは、本当に嬉しい。
競争率が10倍を超える東京マラソン(今年は11.3倍)のほか、競争率が4〜5倍の大阪マラソン(今年は4.5倍)、京都マラソン(今年は4.3倍)、神戸マラソン(今年は4.3倍)の4大都市マラソンの出場期待値を計算すると、だいたい0.8回/年、つまり1年に1回弱の当選となる。過去の実績を見ると、2年前の2013年に東京マラソン大阪マラソンの両方に当選したほかは、ずっと落選続きなので、今年辺りどれかに当選してもおかしくはないと思っていたら、今回の神戸マラソンの当選となったのだ。神戸マラソンだけを考えたら、競争率が4.3倍で、第5回目でようやく当選したから、なんとかギリギリ確率通りか。

4大都市マラソンのうち、走ったことのある東京マラソンと大阪マラソンは間違いなく群を抜いた楽しいマラソンで、何度でも出たいと思ったが、京都マラソンと神戸マラソンは出たことないので、どれくらいのものなのか正直言って分からない。うちのメンバーでは支部長が京都マラソンに一度出てピッグが神戸マラソンに一度出たことがある。彼らの話によると、京都マラソンや神戸マラソンは東京マラソンや大阪マラソンほどのパノラマ感は無いようだ。彼らは東京マラソンや大阪マラソンには出たことがないので、本当かどうかは分からないが、京都も神戸も東京や大阪ほどの大都市ではないので、仕方ないかもしれない。それでも、普段なら絶対に走れない都会の街中を走れるというシティマラソンの魅力は同じだ。山と海ばかり見て走る瀬戸内海タートルマラソンや川と田畑ばかり見て走る徳島マラソンとは趣が異なる。それに、出たことないマラソンに出るってのは、やはり楽しみでワクワクする。

昨今の異常なマラソンブームにより、競争率が異常に高くなってしまった人気マラソンなんだけど、片っ端からたくさん応募していたら、上にも書いたように、1〜2年に一度は確率的にどれかには当たるはずだ。ただ、2年前の2013年は、一番競争率の高い東京マラソンと二番目に競争率の高い大阪マラソンの両方に当選してしまって、なんだかとっても、もったいないような気分になった。どちらも数年に一度くらいしか出られない大会なんだから、1年に1つづつくらい当選すればちょうどいいんだけど、なかなかうまくはいかないものだ。そう言えば、我がペンギンズで唯一京都マラソンに支部長が当選したのも2013年だったし、同じく、これまで唯一神戸マラソンにピッグが当選したのも2013年だった。つまり2013年は私個人としても、またペンギンズとしても奇跡の当たり年だったのだ。

で、今年も、少しだけ、それに近い事態になった。2月の京都マラソン、東京マラソンや10月の大阪マラソンは当然のように落選したんだけど、今年が初開催となる11月の岡山マラソンに当選し、その翌日に発表になった神戸マラソンにも連続当選してしまったのだ。岡山マラソンは4大都市マラソンほどの人気はなく、競争率は1.5倍だったので、当選して当たり前のような気もするけど、開催日が神戸マラソンの1週間前なのだ。
しかも今年は、夏場のマラソンの申し込みに失敗し続けた去年の反省から、気合いを入れて片っ端から申し込んだ結果、7月末の汗見川マラソン9月始めの酸欠マラソン(これは暴風雨で中止になったけど)、10月始めの龍馬脱藩マラソンの3大山岳マラソンに加え、12月の奈良マラソンにまで熾烈なエントリー競争を勝ち抜いてエントリーに成功してしまった。そこへ11月の神戸マラソンと岡山マラソンもダブルで当選してしまったので、過去、例の無いマラソン続きとなってしまい、大いに悩み、結局、2週間連続のフルマラソンは厳し過ぎると思って岡山マラソンは辞退した。岡山マラソンは今年が初開催なので、出てみたかったんだけど、仕方ない。

神戸マラソンの参加費用は参加料10300円と手数料510円を合わせると10810円だ。ちょっと前の感覚から言えば、マラソン大会ごときに10000円も出すなんて高い。高すぎる。ほんの少し前まで、マラソン大会の参加料はせいぜい3000円くらいだった。ただ、田舎のマラソンに比べれば大都市マラソンは参加する価値も高いし、東京マラソンも10800円だったから同じではある。大阪マラソンなんか、参加料は同じく10800円だけど、強制チャリティ募金が1000円もあり、合計すると11800円だ。チャリティ募金て、チャリティなんだから任意じゃないとおかしいと思うんだけど、強制徴収される。はっきり言って詐欺だ。京都マラソンは詐欺じゃなく、最初から12000円もする。調べてみたら、最高額は横浜マラソンで、なんと15950円もする。凄まじいなあ。ちなみに徳島マラソンも来年から9000円に値上がりするそうだし、愛媛マラソンや高知マラソンも8000円くらいする。それを思うと、瀬戸内海タートルマラソンなんかフルマラソンでも4000円だ。田舎は経費がかからないからだろうけど、それでも1万円を超えるってのは負担感が大きい。

ただ、季節的には11月中旬ってのは個人的には好ましい。一般的にマラソン大会は秋から春にかけて開催され、特にシリアスなマラソン大会は冬場がメインとなる。しかし冬は寒い。寒いのが苦手な私としては、冬のマラソン大会は嫌いだ。東京マラソンはとっても楽しいんだけど、一年で一番寒い時期に開催されるってのが難点だ。みんなが嫌がる夏場の暑い時季の方が個人的には好きだ。
もちろん、好き嫌いとは別に、良い記録が出るのは寒い季節だ。7月末の汗見川マラソンなんか論外としても、5月のオリーブマラソンでも天気が良い時は猛暑のレースとなって惨敗する。2月の丸亀マラソンなんかの方が良いタイムが出る。でも寒いのはやっぱり嫌だ。特にフルマラソンの場合は寒いのは辛い。せいぜいハーフマラソン程度の距離までなら、最後まで同じように走れるから、寒くても体は熱を発散する。でもフルマラソンの場合は、前半は体が動いているから熱も出てきて暑くなるが、後半は疲れ切った体を引きずって歩くように走るので、体が熱を発散せず、どんどん冷えてくる。なので寒い時期のフルマラソンは辛い。11月開催なら、終盤に力尽きてトボトボ歩いても寒くないだろう。
天気予報では1週間も前から、マラソン当日は雨のち曇りとなっていた。1週間も前の天気予報なんて当たるはずがないから、むしろ安心していたけど、最近の天気予報の精度は素晴らしいもので、本当に悪天候になった。前々日は夜、東京から出張で戻ってきたんだけど、高松空港が悪天候のため羽田に引き返すかもしれないなんて脅されながら飛行機に乗った。飛行機はなんとか無事に到着したものの、翌日もすっきりしない天気のまま神戸に行った。



大都市のマラソン大会はどこもそうだけど、神戸マラソンも当日の受付は無く、受付は前日に済ませなければならない。参加者が多くて当日の朝では大混乱になるからだろうけど、遠方から参加する人にとっては負担感が大きい。東京なら、どうせ当日に受付があったとしても高松を朝出発していては間に合わないので前日に移動せねばならないから仕方ないけど、関西になると、これは微妙だ。11年前の加古川マラソン17年前の明石海峡大橋開通記念駅伝大会に出たときは、朝出発して楽勝で間に合った。明石や加古川が間に合うんだったら神戸だって間に合うはずだ。酸欠マラソンの時、朝の5時半に出発したのに比べたら、よっぽどマシかもしれない。大阪マラソンだって間に合うだろう。ただ、そうは言っても、2時間ちょっとはかかるし、前日に行くのもやむを得ないかなとは思う。

(幹事長)「でも、岡山マラソンまで前日受付ってのは、どういうこった!?」
(支部長)「あり得ないよなあ」


岡山なんて電車で1時間の距離だ。小豆島のオリーブマラソンやタートルマラソンより近い。電車では間に合わない徳島マラソンより時間距離は近い。楽勝で朝出発できる。

(幹事長)「それなのに前日しか受け付けないなんて、一体どうしろと言うのだ!」
(支部長)「電車で1時間の岡山に前夜から行って泊まる訳にもいかんしなあ」


上にも書いたように、今年が初開催の岡山マラソンに出なかった理由は、神戸マラソンと2週連続になるって事が大きかったんだけど、前日受付というのも大きな理由だった

色々と不満のある前日受付だが、2年前の大阪マラソンの時は、普通のホテルが取れなかったため釜ヶ崎のドヤ街に泊まり、夜の釜ヶ崎を探検するという貴重な体験をした。ああいう機会でも無ければ、絶対に一生、泊まることがないような場所なので、非常に得難い経験だった。一方、今回の神戸には親戚があり、そこに泊まったので、特に面白い体験は無い。

神戸マラソンのスタート地点は三宮の駅前で、ゴール地点はポートアイランドにある神戸国際展示場だが、前日の受付はゴール地点の神戸国際展示場の方だ。高松から高速バスで三宮まで行き、そこからポートライナーに乗って10分ほどで会場に着く。
東京マラソンや大阪マラソンでは受付場所へ入るのにも参加証と身分証明証が必要だったけど、神戸はそこまで厳しくはなく、参加賞だけで受付してくれた。東京や大阪ほど代理出走など不正に出場する人は少ないのかもしれない。行ったのが夕方ってこともあり、会場は混雑してない、というか、どちらかと言えば閑散としていた。
受付でゼッケンや荷物預けの袋をもらい、それから記念品のTシャツをもらう。このTシャツがなかなか格好良かった。マラソン大会のTシャツは困りものだ。昔のは生地が悪く、何回も洗濯するとボロボロになっていったが、ローテーションとしては、それでちょうど良かった。ところが今のは生地が良くてしっかりしてて、いつまで着ても全然痛まないし、黄ばみも少ない。ほとんどのマラソン大会では記念のTシャツをくれるから、出るたびに、どんどんTシャツが溜まっていき、押し入れが溢れることになるのだ。もちろん、デザインが良くて普段から着たくなるようなものなら良いんだけど、ほとんどのものはマラソンの練習する時にしか着られないようなデザインだ。こないだ整理したら、使うアテのないTシャツが100枚を超えていた。「頼むから、Tシャツ要らないから参加料金を下げてくれ」と言いたい。その中で、唯一、2年前に出た大阪マラソンのTシャツは素晴らしいものだった。機能性も優れているしデザインも良くて、それ以来、マラソン大会本番の時は、そればっかり着ている。今回の神戸マラソンでもらったTシャツは、それに次ぐくらいの格好良いものだった。なので、明日の本番は、早速これを着ようと思う。

受付会場では、その他、スポンサーとかのブースなんかがあり、大会スポンサーのシスメックスのブースでは血液中のヘモグロビンの測定なんかしてくれた。

(ピッグ)「やっぱり濃いかったですか?」
(幹事長)「ちょうど平均的な程度やった」


特にマラソン向きの体質ってことはなかった。
それから目標タイムを掲げてジャンプする写真も撮ってくれた。今回の目標タイムは4時間30分だ

(ピッグ)「いつもサブフォーだとか言って、野心的というか無謀な目標タイムを設定する幹事長にしては控えめですね。
       やっと自分の実力が分かってきたんですか?」
(幹事長)「今回は物見遊山マラソンだし」


東京マラソンや大阪マラソンと同じように、せっかく滅多に走れない神戸のど真ん中を走れるマラソン大会なのだから、まずは楽しみながら走りたいと思う。なにも、こんな大会でしゃかりきになって良いタイムを出そうとしたって仕方ない。周りの風景を楽しみながら、のんびり走る観光物見遊山マラソンにしたい。なので4時間半を切れれば満足だ。

目標タイムと共にジャンプして記念撮影

(ピッグ)「と言いながら目標タイムは微妙に4時間20分になってますけど」
(幹事長)「4時間29分59秒でも4時間20分台やがな」
(ピッグ)「切り捨て過ぎーっ!」


そもそも、今回は練習量に不安がある

(ピッグ)「練習量に不安が無い時ってあるんですか?」
(幹事長)「君にだけは言われたくない」


去年の春以降、ほとんどロクに練習してないため奈落の底へ落ち続けているピッグほどではないが、今回は私も練習量が少ない。せっかく高い倍率を突破して当選した神戸マラソンなので、ロクに練習もせずに参加するのはもったいないんだけど、10月初めの龍馬脱藩マラソンに出た後は、淡路島一周サイクリングとか自転車で遊んでばっかりで、肝心のマラソンの練習はロクにできていない。回数としては、一応、週3回ほどは走るようにしてきたが、長い距離を走ってないのだ。これまでなら、フルマラソンを走る前には一度は30km近く走るようにしていた。それでも10km以上足りないが、本番の気合いで42kmを乗り切っていた。今回は一番長い時でも15km程度だった。走らないと言うより、走り始めてもすぐ足が重くなって、あんまり長い距離が走れなかったのだ。もちろん、この大きな理由は自転車だ。自転車ばっかり乗っていたら、その疲労により、ランニング練習に悪影響が出たのだ。ランニングと自転車では使う筋肉が異なるため、直接の影響や悪影響は無いと思うんだけど、疲労感は残るから、どうしても悪影響は出る。なので、いくらなんでも不安感が募り、ようやく1週間前に20kmちょっと走った。それも途中で昼食休憩と買い物を組み入れての20kmだ。とても心許ない。しかも普通なら、練習をきっちり積んだ上で、レースの1週間前は疲労を残さないために軽めのトレーニングで済ますのが理想なのに、焦って直前になって長距離を走ってしまい、おまけに出張もあり、疲労感を溜め込んでのマラソン大会となったのだ。いくら本番でアドレナリンが出るとしても、不安でいっぱいだ。

受付が終わった後、会場には他にも色々ブースやランニング関係の物品販売も行われていたけど、東京や大阪に比べると数も少なく賑わい感も乏しく、ちょっと寂しい感じ。神戸も大都市だけど、東京や大阪に比べると、大きな差があるもんだ。て事で、早々に会場を引き上げ、雨の中、親戚の家に行った。



朝起きた時は、まだ小雨が降っていたが、そのせいで気温は高く、朝なのに寒くはない。この程度の小雨なら走るのに影響は無いから、寒いよりマシだ。
何を着るかは、どんな季節でも最も重大な課題だが、この季節は暑くもなく寒くもないので、そんなに悩む必要はない。長袖のシャツと半袖のTシャツを重ね着すれば、何があっても対応できる。現場で時間をかけないために、家を出る前に昨日もらったTシャツにゼッケンを付け、長袖のシャツを着た上にゼッケン付きのTシャツを着た。下もランニングパンツの下にランニングタイツを履いた。最近は、ランニングタイツを履くランナーの方が多いくらい普及しているが、私はランニングタイツのサポート機能を全く信じてないので、普段は履かないが、今日は雨が降った時の防寒用に履くことにした。さらに、雨が降ったときに備えて雨ガッパ代わりのビニール袋を持つ。ランニングキャップも鬱陶しいので普段は被らないけど、今日は雨対策で持っていく。
他には、フルマラソンの時の必須アイテムとしてウォークマンがあるんだけど、注意書きに「携帯型音楽プレーヤーなどを使用しての走行は、緊急車両通報や放送が聞こえない場合がありますのでご遠慮ください」なんて書いてあるので止めておく。終盤トボトボと歩くときに気を紛らせるためには必要なんだけど、仕方ない。

朝食はご飯とお吸い物とバナナだけにする。以前はマラソン大会の朝食と言えば、決まって菓子パンを食べていた。もともと菓子パンは大好きだし、マラソン大会に出る時は、たいてい普段より早く家を出るので、手軽に菓子パンを食べていたのだ。ところがマラソン大会では時々、走っている最中にお腹を壊すことがあり、その原因を深く考えてみたら、菓子パンが原因ではないのかって思えてきた。て事で、今年3月の徳島マラソンから菓子パンじゃなくて、おにぎりを食べるように変えた。さらに用心には用心を重ねて、下痢予防のために下痢止めの薬も飲むようにした。そのせいかどうかは分からないが、少なくともそれ以降はマラソン大会でお腹を壊していない。なので今日も万全を期して、おかずは無しでご飯とバナナだけを食べたのだ。それから、スタート直前に食べるためにゼリーを持っていく。

親戚の家からスタート会場の三宮までは電車で一本。時間にして10分ほどだ。とっても便利。フルマラソンの部のスタートは9時だが、手荷物を預けるのが8時15分までなので、8時前には到着するように出かけた。
三宮駅に着いて余裕を持って歩き始めたが、駅前だと思っていたスタート会場は、なんだか延々と歩かされる。駅に近いのは前方からスタートする速いランナーの集合場所で、私ら遅いランナーが集合する場所は、ポートライナー1駅分くらい歩いてようやく着いた。着いたと思ったら係の人が「手荷物預かりの時間は後3分です。急いでくださいっ!」なんて叫んでいる。もちろん、その辺には、荷物を預ける準備をしているランナーがまだまだ沢山いるので、本当に8時15分きっかりに受付終了するとは思えないが、一応、慌てて上に着ているトレーニングウェアを脱いで荷物をまとめる。家を出た時は、まだ小雨が降っていたが、会場に着いたら、すっかり雨は上がってしまい、空を見ると、なんだか晴れ間も見えてきて、もう雨は降らないようなので、ランニングキャップや雨ガッパ代わりのビニール袋もしまい込んで荷物を預けた。

マラソン大会の会場でトイレに行くのは大変だ。神戸マラソンも例外ではなく、ものすごい長蛇の列が出来ている。当然ながら、家を出る時に済ませてきたので、列を見ながら余裕で時間を潰していた。ところがスタート時間が近づいてきてランナーが集合場所に集まり始めると、さすがに列は短くなっていく。それでも仮設トイレは男女兼用なので、まだまだ長蛇の列が無くならないが、公園の常設トイレは男女別なので、気が付くと男子用トイレは列が無くなっている。なので、念のために小用を済ませておく。

天気はますます良くなってきて、すっかり晴れてきた。もともと朝から気温は高かったけど、小雨の時はちょうど良かった。ところが晴れ間が見えてくると、一気に暑くなってきた。じっとしているのに汗が滲み出てくる。走る前から暑いのでは話にならないと思って、下に着た長袖シャツを脱ぐことにした
これまでも2枚着ていたのを、スタート直前になって1枚脱いだことはある。3年前の丸亀マラソンでは脱いだTシャツを近くの木にくくりつけてレース後に回収したし、同じく3年前の瀬戸内海タートルマラソンでもスタート地点でTシャツを1枚脱いでその辺に置いて走って後から回収した。これはスタート地点とゴール地点が同じだから可能だったもので、今日はスタート地点とゴール地点が異なるから、今年の徳島マラソンと同じように、脱いだ長袖シャツは腰に巻いて走る事にする。捨てる訳にはいかないってこともあるけど、フルマラソンだと終盤に力尽きてトボトボと足を引きずって歩く事も多いから、そうなると体が冷えるので、その事態に備えて最後まで持っておきたい気持ちもある。

(ピッグ)「相変わらず歩くことを前提にしてますね」
(幹事長)「ほんと寒いのは苦手なんよ」


今回は最初から1枚脱いだので、一昨年の大阪マラソンに比べれば、まだマシだ。大阪マラソンでは風邪気味だった事もあって長袖の上に半袖を着たまま走っていたんだけど、途中であまりにも暑くなったので、走りながら下に着ていた長袖を脱いだし、終盤には寒くなったので再び長袖を着込んだりした。走りながらの着脱なので、結構、大変だった。



フルマラソンの部のスタートは9時で、ランナーの集合は8時50分までだ。東京マラソンとか丸亀マラソンなんかスタートの30分前までに並ばされ、退屈するけど、僅か10分前の集合って、田舎の草レース並で、逆に「そんなんで大丈夫か」なんて思ってしまう。
スタート地点の集合場所は申告した予想タイム順になっているが、これは速いランナーと遅いランナーが一緒くたにごちゃ混ぜになっているとスタート時の混雑がひどくなり、混乱するからだ。こういう場合、申告する予想タイムは正直な方がいい。実力より前からスタートすると、周りのみんなから置いてきぼりになって精神的に落ち込むか、あるいは周りの速いランナーにつられて無理して飛ばしてしまって潰れる可能性が高い。逆に、後ろの方からスタートすると、おしゃべりしながら固まって走る遅いおばちゃん連中にブロックされて前へ行けない。参加者の少ないマラソン大会なら問題ないけど、2万人も参加する巨大マラソン大会では、最後まで遅いランナーに邪魔されてイライラすることになる。なので、自分の実力通りの場所からスタートするのが一番良い
スタート地点は神戸市役所の前だが、そこで待機するのは先頭集団であり、私が指定された待機場所はスタート地点から500mくらい南の場所だ全体で言うと、ちょうど半分くらいの場所か。フルマラソンの部の定員は18000人だから、ざっと言って前に1万人近く、後ろにも1万人近くのランナーがいるわけだ
集合時間も近づいてきたので、ポケットに入れてきたゼリーを食べ、さらに用心のために下痢止めも飲んでから、時間ギリギリに待機場所へ行くと、当然ながら既に大勢のランナーが整列している。どうせ私らのように後方からスタートすると、スタート地点を越えるまでに10分はかかるだろうし、タイムはチップでネット計測してくれるから、焦らずにのんびり後ろの方で待つ

神戸マラソンのコースは、神戸市の中心地である三宮をスタートして西に向かって真っ直ぐ走り、須磨海岸で海岸線を通る国道2号線に合流し、そのまま明石海峡大橋の真下まで行って折り返す。帰りは須磨海岸を過ぎてもずっと海岸線を走り、最後は橋を渡ってポートアイランドでゴールするというものだ。最後は橋を渡って埋め立て地でゴールというのは、東京ビッグサイトがゴールの東京マラソンやインテックス大阪がゴールの大阪マラソンと同じだ。市街地から離れて臨海部の埋め立て地帯でゴールするってのは、ちょっとつまんないけど、ゴール後の混雑なんかを考えると、市街地では対応が難しいからかもしれない。基本的にフラットなコースで、最後のポートアイランドへ向かう橋を除けば、大きなアップダウンは無い

(ピッグ)「ここで注意事項が3つあります」
(幹事長)「はいな」
(ピッグ)「第1点は、明石海峡大橋の折り返し点まで来ると、イメージ的には中間地点のような気がしますが、
       実際は18km付近で、決してまだ半分には達していないって事を覚えておいてください。
       まだまだ半分にも達していない、って分かったらガッカリします」
(幹事長)「そうか。油断したらいかんのやな」
(ピッグ)「2つ目は、ポートアイランドへ行く橋は、大した高さじゃないんだけど、終盤の疲れ切った所にあるので、
       思った以上に厳しいです」
(幹事長)「そうなんか。坂ったって低いから楽勝かと思ってた」
(ピッグ)「最後は、橋を下ってポートアイランドに降りたら、もうゴールしたような気になりますが、
       そこからまだ4kmもありますから、結構、精神的にきついので、心してください」
(幹事長)「知らずに行ったらガックリくるけど、最初から分かっていたら心構えはできるな」


ここで今日の戦略を確認する。上にも書いたように、今日の目標タイムは4時間半切りだ。十分な練習さえ積んでいれば、そんなに難しいタイムではないと思うが、今回は圧倒的に練習不足なので、慎重にレース展開を考える。と言っても、単に、何があっても前半から徹底してペースを抑えて走るというだけだ。

(幹事長)「どんなに遅いペースでも、全然歩かずに完全に完走できたら、そんなに悪いタイムにはならないしな」
(ピッグ)「そうですよね。ちょっとでも歩いたらタイムは一気に悪くなりますからね」


一度でも歩いてしまうと、「ちょっとだけ」は通用しなくなる。心が切れてしまって、絶対に繰り返し歩いてしまう。歯止めが無くなるのだ。逆に、最後まで歩かなかったら、そんなにひどいタイムにはなりようがない。いくら遅くても歩くのと走るのではペースが違うからだ。そして、足が痛くさえならなければ最後まで歩かずに済む。終盤は足が重くなるが、どんなに足が重くなっても、痛くなければ走り続ける事ができる。ペースは極端に落ちて歩くようなスピードになったとしても、痛くさえ無ければ、足を引きずりながらゆっくり走り続けることができる。しんどくなったから歩く、なんて事は無い。しんどければペースが落ちるだけだ。疲れとか、足が棒の様になる、っていう状態なら、精神力で乗り切れるものだ。しかし、足が痛くなると我慢できない。立ち止まって屈伸したりして、なんとか痛みを取るしかない。最後まで足が痛くならないようにするためには、前半のペースを抑える事だ。これが分かったのが一昨年の大阪マラソンだ。
それまでも「序盤は我慢してペースを抑えろ」というのは耳にタコが出来るほど聞いてきた。しかし、いくら聞いていても、いざ本番になるとアドレナリンが爆発してしまい、「今日だけは例外的に調子が良さそうだ。今日だけはいけるかもしれない。こんなに調子が良い時に記録を狙わなければ記録を狙える時なんて無いじゃない」なんて思ってレース序盤から頑張って走ってしまい、終盤に大きなツケが返ってくるのだ。同じ過ちを何十回繰り返しても身に染みなかった。
それが大阪マラソンでは、体調不良だったし、せっかく滅多に走れない大都市大阪のど真ん中を走れるマラソン大会なのだから、のんびり見物しながら楽しんで走る観光マラソンに徹して、最初からものすごく遅いペースで走ったら、最後まで足が痛くならなかったのだ。それまでフルマラソンに出ると、終盤は必ず足が痛くなって辛くなり、「なんでアホみたいに、こんなレースに出たんやろ。もうフルマラソンなんて出るの止めよう」って思っていたのだが、大阪マラソンで開眼したのだ。ただ、この時は、最初から極端にペースを抑えて走ったため、最後まで足は痛くならなかったけど、タイムはとても遅かった。なので、もう少し速いペースで走る必要がある。てことで、去年の徳島マラソンでは、抑えめとは言いながら、大阪マラソンよりは早いペースで前半を走った。その結果、35km辺りまでは、なんとか良いペースで走れたが、その後は急激にペースダウンしてしまい、大阪マラソンのように最後までペースを維持することはできなかった。それでも最後まで足は痛くならなかったので、最後まで全く歩くことなく完走できた。今年の徳島マラソンも同様に、前半からペースを抑えて走ったおかげで、最後まで足が痛くならず、なんとか最後まで全然歩かずに走り続けられた。終盤には去年を上回るペースダウンになってしまって、タイムは良くなかったけど、それでも最後まで歩かずに完走できたのは嬉しかった。疲労が極限に近くなっているので、歩きたい気持ちは出てくるが、痛くなければ精神力で歩きたい気持ちを抑えることができるのだ
今回の神戸マラソンも、同じ延長線上にある。東京や大阪ほどではないにしても、普段は決して走れない大都市のど真ん中を走れるんだから、しゃかりきになって良いタイムを出そうとしたって仕方ない。周りの風景を楽しみながら、のんびり走る観光物見遊山マラソンにしたい。

4時間半を切るには1kmを6分20秒で走れば良い。最後までそのペースで走れれば4時間半を2〜3分切れる。スタート直後の混雑でのタイムロスがあるだろうから、ちょうどギリギリ4時間半ってとこか。1km6分20秒なんて、普通に考えれば楽勝だ。楽勝過ぎる。しかし、「いくらなんでも、それじゃあ楽勝過ぎる」って思って、ついつい前半から貯金を貯め込もうとして終盤に惨敗するのが過去に数え切れないほど繰り返してきた失敗パターンだ。前半から貯金を貯めるのは、タイムの貯金じゃなくて、体力の貯金だ。前半から体力を貯めまくって終盤にはあわよくばペースアップするというのが理想的なレース展開だ。



そんな事を考えていると、あっという間にスタート時間が近づいてきて、場内放送が盛り上がってきた。ここまで、いつものようにウォーミングアップをしていないのはもちろん、ストレッチすらやっていない。我々のように体力の無いランナーにとってウォーミングアップが百害あって一利無しなのは常識だが、最近、ストレッチすら無用という説を聞き、それを実践している。すなわち、朝、起きたままの体で、何もせずに自然体で走るのだ。
天気はすっかり晴れになり、風もほとんど無く、ランニングタイツが暑い。スタート1分前なのに、間違っていきなり「スタート10秒前です」なんて放送があって混乱を招いたりしていたが、無事にスタートのピストルが鳴った

(ピッグ)「今回は最近には非常に珍しく、早くもレースの記事になりましたねえ」
(支部長)「ほんまほんま。最近の記事は、スタートするまでが長いもんなあ」
(幹事長)「一人で参加すると面白い事も少ないんです」


スタートのピストルは鳴ったものの、私がいる場所からスタート地点までは、まだまだ長いので、周囲は全然緊張感もなく、ようやくノロノロと動き出す。前方を見てもスタート地点の印が見えない。だらだら歩いていると、ようやくスタートの看板が見えてきて、遅いながらも走り始める。スタート地点を越えるまで8分くらい経過していた

ようやくスタート地点を越える

スタート地点を越えたら、ゆっくりではあるものの、大きな混乱もなく進み始めた。まともに走れないのでフラストレーションが溜まるが、ウォーミングアップ代わりと割り切らなければならない。
神戸市役所の前三宮駅に向かって北にスタートし、すぐ左に折れて西に向かう。さらにしばらく走って再度左に折れたかと思うとすぐまた右に折れて西に向かう。この辺り、道幅がちょっと狭くなり、混雑は一向に解消されず、走りにくい状態が続く。

この辺りに最初の1km地点の距離表示があり、時計を見ると6分半を超えている。当初計画の6分20秒をオーバーしているが、スタート直後の混雑によるタイムロスは織り込み済みだ。むしろ、この程度のロスで済んでいる事に安心する。
その後、再び右折し、またすぐに左折して西へ向かう。さっきから基本的には西に向かって走ってるんだけど、なんだかチョコチョコと右へ曲がったり左へ曲がったりで走りにくい。最初から三宮駅前の道へ出ていれば真っ直ぐに走れたのに、交通規制の問題があるのだろうか。
ビルの陰に入った時は日射しが遮られて良いんだけど、そうでないときは日射しが当たって、かなり暑い。朝方まで雨が降っていたため湿度も高く、気温も高く、おまけに直射日光が当たるので、早くも汗びっしょりだ

この辺りに2km地点の距離表示があり、時計を見るとラップはまだ当初計画の6分20秒をオーバーしており、最初の2kmで20秒ほど借金が出来ている。
だが、JR神戸駅の高架をくぐった辺りから道幅が広くなり、一気に走りやすくなる。ようやく混雑もマシになり、そろそろ自分のペースで走れるようになってきたので、借金を返済しておこうと思う。もちろん、無理して一気にペースを上げすぎると終盤のペースダウンに繋がるので、余裕を持って1km5秒ずつくらい返済していく計画を立てた。

しばらく行くと3km地点の距離表示があり、時計を見るとラップは6分20秒を少し切るまでに上がっていた。素晴らしく計画通りのペースアップができている。

さらに順調に走り続けると、御旅公園の前に最初の第1関門があり、その直後に4km地点がある。時計を見ると、ラップは6分ジャストにまで上がっていた。順調に走れ始めたのでペースアップしたんだろうけど、ちょっと上げすぎだ。調子に乗ってハイペースで走ると終盤になって一気に失速するので、もっと抑えなければならない。スタート直後の借金は早くも完済したので、これから後は、当初予定のペースを守って走っていけばいい。

しばらく行くと、微妙に道路が曲がって、再び狭い道に入る。そのまま行けば広い道を走れるのに、なぜ狭い道に入るのか、よく分からない。狭い道に入ってすぐ、5km地点の距離表示があり、ラップは6分20秒を少し切る程度になっていた。ちょうど良い感じだ。
この直後に最初の給水所がある。スタート直後から暑くて汗びっしょりになっているので、今日は最初の給水所からこまめに水を飲むことにする。手前にスポーツドリンクがあり、取りあえずそれを飲むが、口の中が甘くなったので、水も取って飲む。

その後、小さな川があって、ほんの少しだけ坂のアップダウンがあるが、まだまだ大丈夫だ。真っ直ぐ走り続けると6km地点の距離表示があり、ラップは再び6分ちょっとに上がっている。自然体で走っていてペースが上がるってことは、無理している訳ではないと言えるが、たいていの場合は勘違いで、後から大きなツケが回ってくるので、用心しなければならない

ところで、これだけ大勢のランナーが走っている割には、仮装しているランナーは意外に少ない。て言うか、ほとんどいないくらい。私らが初めて動物チームで出場した17年前の明石海峡大橋開通記念駅伝大会なんか、10チームに1チームくらいは仮装チームがいて、スーツ姿で頭に大きなウンコを乗せたチームとか、バレリーナの格好をしたチーム(全員男)とか、看護婦さんチーム(これも男)とか、明石の大蛸とか、マーブルチョコの箱だとか、電車とか、お侍さんチームや土人チームや点滴打ちながらの病人チームや、もう阿鼻叫喚の世紀末的世界だった。だから関西のマラソン大会は仮装のオンパレードかなあなんて思っていたけど、大阪マラソンも神戸マラソンも、とても少ないので意外だ。さすがにこういうマラソンになると真面目に走るのだろうか
その中で数少ない仮装ランナーとしては、バットマンとかスパイダーマンとかに混じって、女性がウエディングドレスを着て男性がタキシードを着た新郎新婦がいた。なかなか楽しそう。
なんて思ってみていると、なんだかコスプレっぽい格好をしながら松葉杖で走っていくランナーに追い付いた。松葉杖を持ってるだけではなくて、松葉杖をついて走っているのだ。さすがに、それほど速いペースではないが、歩くよりは遙かに速い。あまりの事に驚いて「これで最後まで行くんですか?」って聞いたら、言葉にならない叫び声のような返事が返ってきた。必死で走っているのに話しかけて悪かったけど、周囲のランナーもみんな驚いていた。しかも、体つきはがっしりして身長も高かったけど、なんと女性だった。走り方を見ていると、普通のランナーが怪我をして松葉杖をついているのではなくて、元から足が悪くて松葉杖をついているようだ。もう信じられない。こんな人を見てしまうと、自分のだらしなさが情けなくなる。もっと頑張らねば。

その後、新長田駅に向かって左折し、駅の西のガードをくぐると、すぐにまた西へ向かって右折する。今日のコースは最初から右へ左へ曲がりまくっているが、特にこの辺りの道は狭くて、かなり走りにくい。
今日はマラソン写真撮影販売のオールスポーツのカメラマンがやたら多く、あちこちで写真を撮ってくれている。オリーブマラソンなんかだと、全部で2〜3箇所にしかいないけど、今日は何十箇所もいるのではないだろうか。私としては、気が付けばどんなに疲れていても近づいていって笑顔で写してもらうようにしているが、この時もカメラマンに近づいてポーズを取ったあと、ふと思い出した。そう言えば長田駅の近くには鉄人28号がいたんじゃなかったっけ。と思って左の海側を見ると、まさに鉄人28号の真横を走っていた。これは阪神・淡路大震災復興のシンボルのモニュメントだ。鉄人28号は海側を向いていたので、こっちからは顔は見えなかったが、それでも見落とさなくて良かった。

向こうの方に背中を向けた巨大な鉄人28号がいる

鉄人28号の直後にあった7km地点で見たラップは6分10秒くらいで、同じようなペースだ。ちょっと速いかなとは思うけど、別に無理してる訳でもないし、自然体で走り続けることにする
その直後には第2給水所があり、ここでもこまめに水を補給する。

しばらく行くと、今度はJR鷹取駅があり、またまた駅前でチョコチョコと細かい道路を曲がる。こうなると、まるで農道を走っていた昔の丸亀マラソンみたいだ。
8km地点で見たラップは相変わらず6分10秒くらいの同じペースだ。

その後もJRの線路沿いの狭い道を走り、9km地点天神橋東詰には第2関門があり、そこで見たラップも6分10秒と同じペースだった。安定しているのは良いことだ。
ここから国道2号線に入り、ようやく広い道になる。たぶん、この後は最後まで広い道が続くはず。とは言っても、ここからは往路と復路が対面通行なので、道の半分しか走れないから、結局は同じような広さか。国道2号線は広くて真っ直ぐなので、ずっと先まで見通せる。見渡す限りものすごい数のランナーだ。だいたい全体の半分くらいの位置からスタートしたから、ざっと言って前には1万人近いランナーが走っているわけで、すごい眺めだ。

しばらく行くと第3給水所があり、さらにそこを過ぎるとJR須磨駅の前に10km地点がある。時計を見るとラップは6分15秒だ。ちょっと落ちている。当初予定通り程度だから、まだ焦る必要は無いが、意識せずに自然体で走りながらペースが落ち始めるってことは、疲れが出始めているって事だ。まだ10kmしか走ってないのに早くもペースが落ち始めるって、どうした事だ。て言うか、今日は最初からペースを抑えてゆっくり走っているが、実は、ことさら無理してペースを抑えている訳ではないごく自然に走っているのに、遅いペースを守れているのだ。つまり、これは「今日は調子が悪い」ってことではないのか?まだ10kmしか走ってないのに、無理して抑えてもいないのに、ゆっくりしたペースってことは、終盤には確実に失速するような気がする。いや、終盤どころか、後半に入ったら失速するような気がする。かなり危ない。でも、だからと言って、ここで無理すると、それこそますます事態は悪くなるので、自然体で走り続ける。

しばらく進むと須磨一ノ谷プラザ第3関門がある。フルマラソンの後からスタートするクォーターマラソンは、ここがゴールだ。ここで終わりだなんて羨ましい気もするが、まだ10kmちょっとなので、さすがに走り足りないか。
この辺りから国道2号線は海岸線の道になり、海が良く見える。天候によっては風が強くなると注意書きがあったけど、今日はそよ風しか吹いていない。今日みたいに暑い日は、むしろ涼しい風が欲しいところだが、風が弱くて汗が噴き出る。腰に巻いた長袖シャツは全く不要だったが、多少は鬱陶しいけど思ったほど邪魔にはならないので、できるだけ気にしないことにする。それよりタイツが暑い。途中で脱ぐわけにはいかないから履き続けるしかないが、大失敗だった。

この辺りに第4給水所があり、その直後に11km地点がある。ラップは6分15秒程度で、まだ許容範囲だ。

この辺りで、早くも折り返してきたトップランナーが白バイに先導されて走ってくるのとすれ違う。黄色のウェアを着た小柄な黒人だ。おそらく去年の優勝者のケニアのマレルだろう。とっても身軽にピョンピョン跳んでいく。2位は日本人だったが、ものすごく距離が開いていた。どう見ても優勝は決まりだ。
なーんて見ていたからかも知れないが、次の12km地点距離表示がなかなか無い。注意して見ているはずなので見落とす訳はないと思うのだが、いつまで経っても出てこない。おかしいなあ、って思っていると、ようやく現れた。時計を見ると、なんとラップが6分45秒になっているではないか。あり得ない!一気に30秒もペースダウンしている。確かに、徐々にしんどくはなってきた。少し足は重くなってきた。でも、しかし、いくらなんでも一気に30秒もペースダウンするなんて!まだ12kmだぞ。アカンやないか!焦りを通り越して、絶望的な気持ちになった。

いくら自然体で走ると言っても、さすがにこれでは話にならないので、少し気合いを入れて頑張る。すると、次の13km地点で見たラップは5分30秒ほどになっていた。んなアホな!いくら頑張ったからって、ラストスパートじゃあるまいし、1分以上もペースアップできるはずがない。これは距離表示が間違ってるんじゃないのか?しかし、龍馬脱藩マラソンなら明らかに距離表示が間違っていたと確信を持って断言できるけど、こんなにきっちりした神戸マラソンともあろうものが、距離表示が間違っているなんて事があり得るだろうか。でも、どう考えてもおかしすぎる。さっきの1kmとこの1kmの平均を取ると、1km6分10秒程度で、さっきまでのペースと変わらない。やはり距離表示が間違っていたのだろう。

気を取り直してしばらく進むと第5給水所があり、さらに進むと14km地点がある。時計を見るとラップは6分30秒を超えている。むむ。また大きく落ちている。でも、1kmごとの距離表示はアテにならないと分かったので一喜一憂するのは止める。

だが、次の15km地点の距離表示は正確なはずだ。5kmごとではチップで正確にタイムを計測してくれるようになっているので、いくらなんでも、そこの距離表示は正確だろう。
てことで15km地点で見たラップは6分10秒ちょっとだった。結局、この5kmの平均ラップは1km6分15秒くらいで、当初予定通りでもあるし、また最初からあんまりペースダウンもしていない。これで一安心だ。

15km走ったってことは全体の1/3は過ぎたって事なので、なんとなく一安心だ。もちろん、まだまだ残り27kmもあるんだけど、絶望的に調子が悪くて途中棄権するような可能性は無い。下痢止めも飲んで万全の対応を取ったおかげか、今日は今のところお腹を壊す予兆は無い。

その後、そのまま国道2号線を走ればいいのに、再び海側へ左折し、海岸線の狭い漁港道路に入る。なんで、こうもチョコチョコ曲がりまくるのか分からないが、少なくともこの道は海の近くを走るため気持ちの良い道だ。折り返し地点である明石海峡大橋もどんどん近づいてくるのが見えて、景色が楽しい。たぶん、そういう配慮なんだろう。

この道路の途中に16km地点があるはずなんだけど、なぜか見つからない。12km地点と同じように、思った以上に遅くなっているのかとも思ったが、結局、見つからなかった。これだけ注意して見ているのに見落とすなんて事があるかなあ、とは思ったが、神戸マラソンともあろうものが、距離表示が抜けているってのもあり得ないので、見落としたんだろう。
再び国道2号線に戻ると17km地点の距離表示があり、この2kmの平均ラップは6分20秒ほどだった。やはり少しづつペースは落ちているが、体感的には納得できる。明らかに疲れは実感しつつあるし、この程度のペースダウンは仕方ない。それでも、まだ当初予定通りだから、このまま踏ん張れればいい。

その後、第6給水所があり、さらに続いて舞子公園東第4関門がある。その直後に、いよいよ折り返し地点明石海峡大橋の袂になる。よく通る橋なので、そういう意味では珍しくも無いけど、こうやって真下から見る機会はあまり無いので、雄大さに圧倒される

雄大な明石海峡大橋の袂で折り返す

ただ、ここで注意点がある。ピッグから聞いた最初の注意事項だ。つまり「明石海峡大橋の折り返し点まで来ると中間地点のような気がするが、実はまだ18km地点であり、決してまだ半分も終わってない」って事だ。気を引き締めていないとガッカリするところだ。
18km地点で見たラップは6分20秒弱で、さきほどと同じペースだ。

折り返すと、後ろからくるランナーの大群衆が見える。ものすごい数だ。だいたい全体の半分くらいの場所からスタートして、まだそんなに抜いたり抜かれたりはしてないから、相変わらず全体の半分くらいのところに居るはずだ。なので、前を行くランナーは1万人近くでものすごい数だけど、後ろにも同じく1万人近くのランナーがいるわけで、こら、もう凄すぎるというか、多すぎ。前方にも反対側にも道路を埋め尽くすようにランナーがいて、まさに壮観だ。

帰り道は、来たときと同じように国道2号線から海岸線の狭い漁港道路に入る。そこが19km地点だが、ラップは6分10秒ちょっとで、なんとか踏ん張れている。折り返し点を過ぎて景色が変わり、気持ちもリフレッシュできたからかもしれない。そこには第7給水もあり、水分を補給する。

海岸のすぐ側を走る気持ちの良い漁港道路が終わって国道2号線に戻る直前に20km地点があり、そこで確認するとラップは6分40秒近くに落ちていた。だんだん疲労も出てきてペースが落ちるのは不思議はないが、さっきの1kmに比べてガクンと落ちている。しかし、距離表示はあまり信頼できないので、それくらいの誤差はあるだろう。少なくとも5kmごとの距離表示は正確だと思われるので、この5kmの平均ラップを計算すると1km6分20秒くらいだ。さっきの5kmより着実にペースダウンしているとは言え、まだなんとか当初計画通りなので絶望する必要は無い。でも、まだ20kmしか走ってないのに、早くも当初計画ギリギリってのは、この先は極めて厳しい戦いが予想される

国道2号線に戻ってしばらく行くと、垂水下水処理場前第5関門があり、その直後の21km地点で見たラップは6分20秒を超えている。距離表示が微妙なので1kmごとのラップに一喜一憂する必要は無いが、なんとなく着実にペースは落ちているような気がする。折り返してから走る向きは変わったけど、相変わらず風はほとんど無く、暑さは増していく

21km地点の直後が中間点だ。中間点まで来ると、残りはもう半分だっていう喜びというか安心感もあるけど、かなり疲労感が出てきているのに、ようやく中間点ってのは、ちょっとガッカリでもある。
この中間点には第8給水所だけでなく、最初の給食所もある。どのマラソン大会でも、後半に突入すると給食所があるが、これが楽しみで走っているようなものだ。だいぶお腹が空いてきていたので、さっそくチョコパンやみかさをもらい、だいぶ元気回復した。

空腹感が和らいだおかげか、次の22km地点で見たラップは6分10秒弱で、だいぶ回復していたが、距離表示の誤差のような気もするので、油断してはいけない。
暑さのせいか、時々、道ばたで苦しんでいるランナーも見かける。中には倒れ込んでしまい、係の人が介抱しているランナーもいる。
この辺りまで来ると、すれ違うランナーもいなくなる。あんまり遅いランナーは途中の関門で回収されてしまうからだ

その後も海岸線の国道2号線を延々と走り続けるが、23km地点のラップも24km地点のラップも6分30秒前後で、やはりペースダウンは明らかだ。
周りのランナーを見ていると、ウォークマンをしているランナーも時々いる。ウォークマンは禁止されていたと思うのだけど、あんまり厳しい制限ではなかったのか。前半はいいけど、後半になって疲れてくると、ウォークマンがあった方が苦しい気持ちが紛れていいんだけど。

しばらく行くと第9給水所があるが、ここは水だけで食料は無い。
その直後に25km地点があり、そこでのラップは7分近くにまで落ちていて、本日最悪のトンでもないタイムになっていた。もちろん、距離表示は信頼できないので、1kmごとのラップに一喜一憂する必要はないが、この5kmの平均ラップは6分30秒ちょっとになっており、これは間違いない。つまり、当初計画を確実に下回り始めたのだ。予想した通りだが、やはり厳しい状況になってきた。ここまで25kmの平均ラップを計算すると、1km6分20秒ほどで、ちょうど当初計画通りだ。つまり、もう貯金は無いってことだ。しかも、現時点のラップは落ちている。てことは、早くも当初計画が崩壊したってことだ。う〜む、厳しい。
とは言え、レース序盤から自然体なのにスローペースで、それなのに早々に足に疲労感が出てきて、先行きが大いに不安だったけど、意外にもここまでなんとか持ちこたえている。タイムは確実に悪くなっているけど、足の疲労感はそれほど悪化しておらず、まだ痛くなる兆候はない

次の26km地点見たラップは6分20秒で、なんとか踏ん張ってはいるが、厳しい状況に変わりはない。なんだか力尽きそうな気持ちになってきた。まだまだペースは大きくは落ち込んでいないが、あんまり足に力が入らなくなってきた。なんとか次の給食所までは頑張ろうと思って走り続ける

そこからしばらく進んで須磨駅を過ぎると第6関門があり、そこから往路とは違う道に入っていく。往路はここまで狭い道を走り、ここで国道2号線に入ったが、復路は往路と離れてそのまま海側の国道2号線を走る。ただし、海側と言っても海岸からは少し離れていて、海のすぐ側ってわけではない。
往路と分かれた直後の須磨海水浴場の辺りに27km地点があり、ラップは6分30秒ちょっとだった。じわじわと落ちつつも、大きくは落ちていないが、もう限界に近い

その直後にようやく第10給水所と共に2つ目の給食所があった。お腹も空いてるけど、それより足の疲労が限界で、何か休む言い訳を探している状態だったので、給食所を大義名分というか言い訳に、今日、初めて歩いてしまう。歩きながらバナナを食べ、水を飲み、しばらく歩く。だが、まだあと15kmも残っているので、このまま最後まで歩き続ける訳にはいかない。って事で少しはリフレッシュしたので再び走り始める。

次の28km地点で見たラップは7分20秒近いトンでもないペースになっていたが、さっき給食所で歩いたんだから当たり前だ。
だが、次の29km地点で見たラップは、さらに7分30秒近くにまで遅くなっている。歩いてもないのに、さらに大きくペースダウンしたなんて、大きなショックだ。しかも、当初計画に比べたら1km辺り1分以上も遅くなっている。もう絶望的なタイムになってきた。距離表示が信頼できない今日のコースではあるけど、さっきから私を追い抜いていくランナーが増えてきているので、大きくペースダウンしているのは間違いない。私が追い越すランナーもいるけど、私を追い抜くランナーの方が圧倒的に多い。みんなが一斉にペースアップしたとは考えられないので、私が大きくペースダウンしているのだ
大きなサイレン音がしたかと思うと、反対側の車線を救急車が走り抜けていった。ちょっと前に見た倒れ込んでいた人かも知れない。

次の30km地点で見たラップは8分近くにまで落ちていて、この5kmの平均ラップは1km7分を超えている。4時間半切りはとうに絶望になっているが、て言うか、現時点では1km8分近くになっているのだから、後はもう、どこまで落ちるかの問題だ。

30km地点の直後には第11給水所があり、その後の31km地点でのラップは同じく8分近い。4時間半切りの目標も消え失せ、新たな目標も見つからず、なんだかモチベーションが駄々下がりで、困った状況になってきた。こうなると、もう後は完走だけが目標だ。もちろん、ここまで来たら歩いてでもゴールはできるが、ここで言う「完走」とは、文字通り歩かずにゴールすることだ

(ピッグ)「突然すんませんが、既に給食所で歩きましたよね」
(幹事長)「あれは走りながらじゃ食べにくいから少し歩いて食べていただけです」


「完走」だけが目標になると、良い意味で一気に体の力が抜け、精神的にも楽になった。もう後はゆっくり走っていけばいい。

快調に飛ばす幹事長

しばらく進むと和田岬駅前第7関門があり、その後の32km地点で見たラップは8分15秒ほどだった。遂に8分を超えてしまった。もうほとんど歩くようなスピードなので仕方ない。

(ピッグ)「て言うか、もう歩いてるんじゃないですか?」
(幹事長)「いや、たぶん、歩いてはないと思うんだけど・・・」


少なくとも歩くようなスピードになってるのは間違いない。
それでも、いつもなら、中間地点を過ぎると、足が痛くなるのと同時に、走るのも飽きてきて精神的に疲れてくる。そもそも42kmも走るなんて飽きるに決まっているが、特に海岸線をひたすら走るタートルマラソンや、吉野川の堤防をひたすら走る徳島マラソンなんか、絶対に飽きてくる。なので、たいていは中間地点を過ぎると気を紛らせるためにも、また多少は足の痛みも誤魔化すために、ウォークマンを聴き始める。でも今日は真面目に規則を守ってウォークマンを持ってきていない。それでもさすがに都会のマラソン大会なので景色が退屈せず、辛いながらも、なんとか楽しい気分も残っている。東京マラソンや大阪マラソンほどではないが、神戸マラソンも大都市マラソンなので最後まで楽しめる要素はある。
そこからしばらく行くと第12給水所と共に3つ目の給食所がある。良かった。また堂々と歩ける。

(ピッグ)「今、歩くって言いましたよね」
(幹事長)「食べる時くらい大目に見てよ」


ここでは再びバナナを食べ、さらに竹輪ももらう。ただ、竹輪は美味しいんだけど、走りながら食べるものとしては適当なのかどうか疑問だ。なんとなく食べにくいし、消化が良いようにも思えない。ただ、やっぱり美味しいのでパスする訳にはいかない。
竹輪を飲み込むのに時間がかかり、次の33km地点で見たラップは、遂に本日最悪の9分オーバーになってしまった。

(ピッグ)「それ、歩き過ぎでしょ」
(幹事長)「そんなに歩いたつもりでもないんだけどなあ」


ちょっと歩きすぎて体も楽になったので、次の34km地点でのラップはかろうじて8分を切って、少しマシになっていた。もちろん、さっきに比べたらマシになっているというだけで、絶対水準としてはトンでもなく遅い。
その直後には、湊小学校前第8関門を過ぎたところに第13給水所と共に再び給食所があった。レースも終盤になり、給食所が充実してきた。て事で、再びチョコパンなんかをもらい、ゆっくり歩きながら食べた。ここでも歩きすぎたために次の35km地点でのラップは9分近くで、最悪に近いタイムになった。でも、ゆっくり走っているおかげで足は痛くならない。力が入らずにペースは極端に遅くなっているとは言え、足が痛くならなければ、そんなに辛くないから助かる。

この辺りからコース最大の難関と言われる浜手バイパスに入っていく。ゴールのポートアイランドへは最終的に橋を渡っていくのだが、橋の上りが始まるのが浜手バイパスなのだ。とは言っても、橋の最高地点でも20数m程度の高さだから、山岳マラソンである汗見川マラソンや龍馬脱藩マラソンは言うに及ばず、瀬戸内海タートルマラソンとか小豆島オリーブマラソンとか庵治マラソンに比べても全然大した坂ではない。なので、走る前は全くノーマークだった。ところが、疲労困憊して歩くように足を引きずっている今となっては、この小さな坂が重くのしかかる。やはりピッグのアドバイス通りだった。周りのランナーを見ると半分くらいの人は歩いている。しかし、先ほど、給食所でかなり歩いてしまったので、再び歩くわけにはいかない。ここで歩いてしまったら「完走」とは言えない。

(ピッグ)「いえいえ、もう完走してないですから」
(幹事長)「だから食べる時くらい大目に見てよ」


それに、この辺りにはボランティアの高校生らしき集団が沿道で応援してくれているのだ。浜手バイパスは通常は自動車専用道路だし、ここから先は人家は無いので沿道に応援してくれる地元民はいないのだが、その代わりに坂を上り始めた辺りからボランティアの高校生達が動員されているのだ。若い子達が大きな声で声援してくれてハイタッチしてくれているのに歩くわけにはいかない。て言うか、元気をもらうので歩かずに済む。
ただ、歩かずに走っているとは言え、ペースは歩くのとほとんど変わらない。周りを見ても、歩いているランナーと走っているランナーは半々くらいだが、ペースはほとんどみんな同じだ。て事は歩く方が負担が小さいので歩いた方が体力温存的には良いのだけど、なんとなく意地で走り続ける。

ゴール地点が人家の無い海の埋め立て地で、寂しくなっていくってのは東京マラソンも大阪マラソンも同じだが、もう慣れてしまったので、特に寂しくはない。
足はどんどん重くなっているけど、痛くはない。足が重いのと痛いのでは、全然違う。痛いのは我慢できなくなるけど、重いのは許容できる。それに、ここまで来れば、もう足が痛くなる心配はしなくてもいい。

浜手バイパスを登り切った所に36km地点があるはずなんだけど、また今度も見あたらない。おかしいなあと思いながら良く見ていると、それらしき場所にそれらしき看板が立っている。でも看板は真っ白だ。看板の足下には道路に距離表示らしきものがあり、恐らくそこが36km地点だと思えるのだが、看板から表示の紙が飛んで無くなったようだ。神戸マラソンともあろうものが、そなな初歩的な不手際をするとも思いにくいのだが、ここまで距離表示疑惑を考えると、十分にあり得ると思う。もしかしたら距離表示が見つからなかった16km地点も、表示が無くなっていたのかも知れない。
ただ、そこでのラップは7分弱だった。歩かなかったからとは言え、終盤の上りで、異常にペースアップしている。これはおかしい。やはり距離表示は間違いだったのか。ま、ここまでペースが落ちていると、どうでもいいんですけど。

もう上り坂は終わったのかと思っていたけど、再び上り坂が続く。大した傾斜でもないけど、神戸大橋までしばらくダラダラと上る。高い場所を走るので見晴らしが良く、風も多少は吹いていて気持ちも良いんだけど、最高点辺りにある37km地点で見たラップは再び8分近くにまで遅くなっていた。
ここには第14給水所と共に最後の給食所があったが、給食所と言ってもブドウ糖のタブレットや塩あめがある程度で、チョコパンとか無いので、もうパスする。ここからは下りになっていくので、給食所を言い訳に歩く必要も無いし。

真っ赤な神戸大橋を渡ってポートアイランドに入る

真っ赤な神戸大橋を渡った辺りに38km地点があり、ラップは7分30秒弱だった。上り坂が終わったので、こんなもんだろう。
ここからいよいよ下り坂でポートアイランドに入っていく。神戸学院大学前第9関門を過ぎた所にある39km地点見たラップは6分ちょっとと、レース序盤のようなタイムになったが、下り坂だったので早くて当たり前だ。問題は、残り3kmでペースを維持できるかどうかだ。

ポートアイランドに入ったらいよいよラストだが、ここで気をつけなければならないのがピッグのアドバイスだ。「ポートアイランドに入ったら、もうゴールしたような気になるけど、そこからまだ4kmもあるので油断してはいけない」ってことだ。分かっている。十分、分かっている。分かっているつもりだったのに、やっぱりガックリしてしまった。分かっているのに、やはりポートアイランドに入ると、レースが終わったような気分になるのだ。ポートアイランドに入ると、あちこちをグルグルと走らされ、すぐそこにゴール目前のランナーが走っているのも見えたりして、すっかり終わったようなムードになるのだ。それなのに実はまだまだ先は長いので、精神的にガックリ来てしまうのだ。
さきほどの1kmは下り坂だったので、一気にペースアップしたけど、その後は精神的に持続できなくて、どっと疲労感が出て明らかにペースダウンしてしまう。最後の第15給水所なんかは目もくれずパスしたんだけど、40km地点でのラップは7分40秒程で再び大きくペースダウンしていた。
ただ、ここで救いの神が現れた。5時間のペースランナーだ。

(ピッグ)「そこまで落ちぶれたんですかっ!」
(幹事長)「グロスタイムの5時間だからな」


彼らは5時間を目標に走っているが、あくまでも公式タイムであるグロスタイムの5時間なので、公式タイムより遅れてスタートしている我々が一緒にゴールしたら、ネットタイムはもっと早くなる。だが、それにしても遅いのでペースランナーに確認したら、あんまり正確に走っている訳でもなくて、どうやら「5時間より10分くらい早めにゴールしてしまいそう」とのことだ。なので、あんまり焦る必要はない。とは言え、ここで5時間のペースランナーに負けるのは癪に障るので頑張る事にする。久しぶりに見いだした目標と言うかモチベーションだ。
て事で、多少、頑張ったおかげで次の41km地点でのラップは6分30秒程に戻せた。終盤、歩くように走ったため、余力はまだ残っていたようだ。なんとか精神力で、このような余力をうまく使い果たせればいいんだけど、目標を失った後は難しいものだ。

そして最後1kmになると、がむしゃらになってラストスパートするのが理想だけど、5時間のペースランナーを大きく引き離した後はモチベーションが再び無くなった。もう少しなんだから、精神力でスパートできるかと思ったけど、やっぱり無理で、全然スパートできない。これは精神力をもってしても足の疲労はカバーできない、っていうのではなく、何の目標も無くなってダラダラ走っているだけなので、そんなに精神力が沸いてこないからだ。
結局、最後はゆっくり万歳してゴールした。

疲れを見せずにラストスパートする幹事長

タイムは限りなく惨敗に近いものだった最後まで歩かずに「完走」したにもかかわらず、こんなひどいタイムになるなんて、信じられない

(ピッグ)「いえいえ、だから歩きまくってるじゃないですか」
(幹事長)「だから食べる時くらい大目に見てってば」


「最後まで歩かなかったら、そんなにひどいタイムにはならない」って思っていたけど、今日はもし給食所で歩かなかったとしても、相当ひどいタイムだった。歩かなかったとは言え、スピードは歩くようなノロノロだったって事だ。

(ピッグ)「で、タイムはどうだったんですか?」
(幹事長)「4時間台だったとだけ言っておこう」
(ピッグ)「どういう意味ですか?」
(幹事長)「4時間59分59秒までは4時間台じゃ」
(ピッグ)「切り捨てすぎーっ!」


なんと、体調不良で最初から徹底的に抑えて走った大阪マラソンより遅かった。大阪マラソンの時も終盤は徐々にペースが落ちていったものの、給食所でも全く歩かなかったから、今日みたいに極端には落ちなかったのだ。大阪マラソンの方がコースが楽しかったせいもあるかもしれないけど、やっぱり今日は練習不足だったのだろう。レースの1週間前になって初めて長距離を走るようでは全くの練習不足だ。

今日のフルマラソン出走者は17621人で、そのうち完走者は17087人で、完走率はなんと97%だ。制限時間が7時間もあるってことも完走率が高い理由だろうけど、それにしたって出走した人の97%もが完走したなんて、考えられない高率だ制限時間に間に合わずに回収された人と途中でリタイアした人を合わせても3%だなんて、あり得ない
私がゴールした順位はちょうど半分ちょっとのところだ。さすがにこれには少しショック。

(幹事長)「タイムは惨敗だったとは言え、みんなも同じように遅ければ順位は悪くならないけど、
       ちゃんと完走したのに順番が半分程度だなんて、ものすごく悲しい」
(支部長)「何を偉そうに言うてるんや。昔は後ろから数えた方が早かったやろ」


確かに、初めてマラソン大会に出場した20年前の瀬戸内海タートルマラソンでは、男子35〜49歳の部で585人中408位だった。上から数えて7割程度の順位だ。つまり後ろから数えた方がずっと早いという情けない順位だった。さらに1998年の塩江マラソンなんか完走者346人中335位で、後ろから12番目だ。ちなみに、中山選手(元ジュビロ、前コンサドーレ)なんか、この時、後ろから5番目という前代未聞の順位でゴールしている。

(中山)「久しぶりの登場ですが、いきなり過去の汚点を晒さないでくださいよ」

支部長も1999年の塩江マラソンでは後ろから7番目だった。

(支部長)「何を言うか。私なんか2002年の塩江マラソンでは途中で最下位になったから、
       消防車に救護されて、さらに途中で救急車に乗り換えたぞ」


過去はそうだが、最近は異常なまでの熱狂的なマラソンブームのせいで初心者の参加者が激増したため遅いランナーが多く、調子が悪い時でも少なくとも上位1/3くらいには入っている。それなのに今日はどこも故障してないのに半分辺りだなんて、情けない。完走率が高かったことも考えると、この神戸マラソンはレベルが高いのかも知れない。

(ピッグ)「でも、スタートで集合した場所も前から半分程度の場所だったんでしょ?
       だったら最初から最後まで半分程度だったんですよ」」
(幹事長)「そらそうかもしれんけど情けないわなあ」


ゴールしても余力が残っているので、そんなにしんどくもなく、しゃがみ込むような事にはならない。フィニッシャータオルを掛けてもらい、水とバナナを受け取り、完走メダルを掛けてもらう。

素敵なフィニッシャータオルをもらって記念撮影
(着ているのは神戸マラソンの記念Tシャツ)

昔はフルマラソンなんか走った後は、ゴールしたら足が痛くて動けなくなったものだが、最近は、どうしても余力が残ってしまってて、ゴールしても平気で歩けてしまう。嬉しいような気もするけど、やはり情けない。終盤、足がどんどん重くなって、どんどんペースが落ちていったんだけど、それでも余力が残っているってことだ。精神をコントロールして、そういう余力をなんとかうまい具合に引き出せれば、全力を使い切って良いタイムが出るだろうし、ゴールした後は足が痺れて動かなくなるだろう。タイムは悪いし、余力が残っているっていう状態だと、不完全燃焼感が満ちあふれて、達成感が乏しい。

とは言え、最後まで足が痛くならなかったのは悪い事ではない。一昨年の大阪マラソンで開眼し、去年と今年の徳島マラソンで確認できた事だけど、前半で徹底的にペースを抑えて走れば、最後まで足は痛くならないってことが4回連続で証明された。これは、もう真理だ。足が痛くなっても、なんとかマシなタイムを出すのと、悲惨なタイムでも最後まで足が痛くならずに完走できるってのと、どっちが良いかと聞かれれば、タイムは悪くても足が痛くならない方が良い。最後まで足が痛くならずに済むと、少なくとも辛くはない。走っている途中で、フルマラソンに出た事を後悔したりすることはない。また出たいと思うようになれる。どんなにタイムが悪くても、フルマラソンを一歩も歩かずに完走できたってことは、それだけで嬉しい事だ。
ただし、フルマラソンの自己ベストは終盤に足が痛くなって足を引きずりながら泣きながらゴールした時のものだ。前半の貯金が物を言ったパターンだ。これがレース展開の難しいところだ。前半からペースを抑えて走ると、足が痛くならないのは嬉しいけど、当然ながらタイムは悪い。足が痛くならない範囲でもっとペースを上げる必要がある。どこまでペースを上げるべきか、難しいところだ。

トップ選手の動向は、と言うと、なんと、あんなにリードしていたマレルが終盤に大失速してしまい、粘り強く走っていた鈴木が逆転優勝したとのことだ。あんなに調子よく飛び跳ねていたマレルが失速するなんて、ちょっと考えられない展開だ。あんな一流のプロになってもレース展開に失敗することがあるんだ

預けていた手荷物を受け取り、ようやく地べたに座り込んで着替えを始める。結局、最後まで暑くて、腰に巻いた長袖シャツを着ることはなかった。周囲のランナーもみんな着替えをしてたんだけど、しばらくしたら係の人が「ここは女性ランナーもいますので着替えはしないでください。奥の更衣室で着替えてください」って叫んでいたので、Tシャツは着替えたけど、タイツは脱ぐのを止めた。暑くて大変だった忌々しいタイツは早く脱ぎたかったけど、仕方ない。

しばらく休みたい気持ちもあったけど、足は痛くもないので立ち上がる。一昨年の東京マラソンの時は、こうやって余裕かましていたら、いざ電車に乗ろうとして1時間も待たされたので、油断してはいけない。三宮からの帰りのバスは遅い便を予約しているので、多少、時間が掛かっても遅れる事はないと思うが、油断してはいけない。順路に従って歩いていく。

記録証はどこでもらえるのかと思って、そこにいた係の人に聞くと「後から郵送になります」って言う。そう言えば大阪マラソンなんかも後から郵送だったような気がしないでもない。でも確信は無い。しばらくして再び別の係の人に聞いてみる。すると、今度の人は「このまま順路に従って歩いていくと記録証を発行するコーナーがあります」って言う。なんだ、やっぱり、ここで発行して貰えるのか。と思って歩いていくんだけど、一向にそれらしきコーナーが無い。どこかで見落としてしまったのかと思って再び係の人に聞くと「記録証はネットでダウンロードするようになってます。今日からダウンロードできます」なんて言う。3人とも言う事が違う。一体、どれが本当なんだ!?ただ、その後も発行所は無かったから、いずれにしても後日のことになるようだ。
家に帰ってから調べると、ネットからダウンロードするようになっているとのことだった。でも、大会が終わって数日経っても、ホームページにはそれらしい情報は一切無い。どうなってるんだろう?

順路通り歩いていたら、あちこち歩き回らされて疲れてきたが、豆スープの配給なんかもあったりしたので文句は言えない。
三宮へはポートライナーで戻るのだが、駅は思ったほど混雑してなくて、10分ほど待ったら、あっさり乗ることができた。シートはすぐに埋まって立ったままになったけど、10分ちょっとなので問題は無い。
三宮のバスターミナルへ着いたら、予約していたバスの出発時間まで2時間以上もある。カウンターで聞いてみたら、もっと早い便に空席があったので、変更してもらって順調に高松に帰ることができた。



家に帰ってから録画していたサンテレビの中継をチェックした。サンテレビは神戸の地元ローカルテレビ局で、今日のマラソン大会を完全中継している。家で加入しているCATVはサンテレビも放映しているので、全部、録画していたのだ。当然ながらトップ選手達がゴールするまではトップ選手を中継し、その後も表彰式とか解説があったりするけど、中盤以降はゴール横に固定したカメラの映像を延々と垂れ流してくれる。なので自分がゴールした時刻の映像をチェックすると自分が写っているのだ。思ったより元気そうに写っているのを見て、なんとなく安心した。全然、疲労困憊しておらず、笑顔で万歳しながらゴールしている。ま、あれだけ余力を残してゴールしたんだから、そらそうだわな。
その後もしつこくチェックしていると、6時間過ぎには、例の松葉杖のランナーもゴールした。私が追い抜いた時はかなりのスピードだったけど、さすがにゴール前では大きくペースダウンしていた。でも、私だって終盤は大きくペースダウンしたんだし、そういう意味では普通のランナーと同じようなレース展開だった訳だ。本当にすごい人だなあ。

それと面白かったのは、最初の数kmもの間、先頭集団にプリキュアみたいなコスプレをしたいかつい男子選手がいたことだ。明らかに素人っぽい無駄の多い走り方だったけど、それでも数kmも先頭集団に着いていくなんて、ものすごい事だ。私なんて、たぶん100mも着いていけないと思う。その後、さすがに少しずつ落ちていったが、終盤になると、今度は女子のトップ選手と争うようになって再びテレビに映り、最後も女子トップから少し遅れてゴールしていた。つまり2時間40分ちょっとのタイムだったわけだ。これまたすごい人だと思う。そんなに目立っているというのに、テレビの実況アナウンサーや解説者が完全に無視しているのも面白かった。ま、コメントする訳にはいかんわな。

先頭集団に食らいつくプリキュアおじさん

高松に戻ってきてからスーパーアスリートウルトラマラソンアイアンマン小松原選手に会った。彼も神戸マラソンに出るとは言っていたが、現地では会えなかったのだ。彼は最近、超多忙で、なんと前日に海外出張から戻ってきて、関西国際空港から直接神戸へ行って受付を済ませ、翌日、走ったあと高松に帰ったんだそうだ

(幹事長)「どうやった?」
(小松原)「もうボロボロでした」


彼は5週間前の龍馬脱藩マラソンのフルマラソンに出た翌週には四万十ウルトラマラソンの100kmの部に出たと言うのに、翌日も全く平気で足も痛くなかったそうだ。ところがその後は、一緒に淡路島一周サイクリングには行ったものの、忙しくて一切ランニングをする時間が取れず、四万十ウルトラマラソン以降、まるまる1ヵ月もの間、全然走ってなかったそうだ。さすがのスーパーアスリートウルトラマラソンアイアンマン小松原選手でも、そのブランクはカバーできず、いつものフルマラソンのタイムより30分も遅かったそうだ。

(幹事長)「ま、それでも私よりは1時間も速いんだけどね」

やはり日々のトレーニングは怠ってはいけないという重い教訓でした。



結論から言えば、タイムは惨敗だったけど、やはり大都市のマラソンは風景が変化に富んでいて、とても楽しかった。景色が最後まで退屈しないし、沿道の応援も楽しい。東京マラソンや大阪マラソンに比べたら景色のバラエティさは落ちる。都市の規模が東京や大阪より小さいので仕方ない。それでも小豆島や徳島と言った田舎のマラソンに比べれば終始楽しかった。

(幹事長)「やっぱりシティマラソンがええな」
(ピッグ)「でも2週間後は瀬戸内海タートルマラソンですよ」


今年の瀬戸内海タートルマラソンはハーフマラソンの部に出るから、それほど退屈はしないだろう。

(幹事長)「それに、今回のフルマラソンが絶好のトレーニングになるから、もう練習はしなくても楽勝だろう」
(ピッグ)「マラソン大会が続くと、いつもそう言ってますけど、結局、いつも惨敗してますよね」


さらに、瀬戸内海タートルマラソンの2週間後には奈良マラソンのフルマラソンに出る。つまり、1ヵ月の間にフルマラソン、ハーフマラソン、フルマラソンと3回もマラソン大会に出るのだ。奈良マラソンはフラットな神戸マラソンと違ってアップダウンが激しく、瀬戸内海タートルマラソン並の高低差がある非常に厳しいコースだ。でも、今日の神戸マラソンと2週間後の瀬戸内海タートルマラソンが十分過ぎるトレーニングになるから、もしかして良いタイムが出るかも。

それと、もう1つ結論がある。

(幹事長)「絶対にウルトラマラソンなんか不可能って事だ」
(ピッグ)「無理ですよねえ100kmなんて」

(D木谷)「そんな事ないと思いますけどねえ」
(ヤイ)「そうそう、一生に一度はウルトラマラソンに出ないと死んでも死にきれない」
(支部長)「ヤイさんの、そのやる気は、どこから出てくるんですか」


D木谷さんは知人に軽くウルトラマラソンに誘われて気軽に参加して気軽に完走したけど、あれは極端な例外であって、私には絶対に無理だ。42kmを走ってゴールした時点での感覚から言えば、もし仮に十分なトレーニングを積んでいれば60kmは可能かも知れない。でも、どんなに準備したって100kmは絶対にあり得ないと思う。

(ピッグ)「ところで最近にしてはスタートするまでの文章が短かったから安心していたら、
       スタートしてからが異常に長かったですねえ」
(支部長)「ほんまや。フルマラソンで1kmごとのラップを延々と書かれたらウンザリするがな」
(幹事長)「あれは自分のための備忘録なんで、読み飛ばしてくれて結構」
(支部長)「言われんでも読み飛ばすがな」


確かに、予想以上に長く、しかも面白くない記事になってしまい、誠に申し訳ありませんでした。


〜おしまい〜




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