第1回 香東川マラソン(自主開催)

〜 徳島マラソンの代替大会 〜



2021年3月28日(日)、第14回とくしまマラソンが開催される予定だった。

徳島マラソンには青森での単身赴任期間も含めて、2008年の第1回大会から欠かさず出場してきた近場で開催される貴重なフルマラソンだからだ。
もっと近場の小豆島では、太古の昔から瀬戸内海タートルフルマラソンが開催されており、徳島マラソンができる前までは貴重なフルマラソン大会として参加していた
ただ、瀬戸内海タートルマラソンは坂が多いと言うか、ほとんど坂ばかりの非常に厳しいコースなので、徳島マラソンができてからは、基本的にハーフマラソンにばかり出ている。

一方、徳島マラソンは坂がほとんど無いフラットなコースなので、とても走りやすい
今や日本中、至る所でマラソン大会が行われているが、フルマラソンでフラットなコースってのは意外に少ない
日本は山が多いから平坦なコースを片道21kmも確保できる場所は少ない、って事ではなく、交通規制の問題だ。東京都知事や大阪府知事みたいに絶大な権力を誇る政治家なら、警察も文句を言えないから、都心のど真ん中でマラソン大会を開催できる。
しかし警察に対して知事の力が強くない地方では、そう簡単にはいかない。香川県内では、交通量の少ない小豆島で行われる瀬戸内海タートルマラソンが唯一のフルマラソンだ。
小豆島に限らず、交通量の少ない山間部や島嶼部なら大がかりな交通規制をしなくても42kmのコースを確保するのは比較的簡単だから、多くのマラソン大会がそういうコースで実施される。
ただ、当然ながら、そういう場所では、どうしても坂が多い厳しいコースとなってしまう

なぜ徳島マラソンのコースは坂が無いフラットなコースなのかと言うと、知事の力が強いからではなく、吉野川という真っ直ぐな大河川の堤防を走るからだ。
吉野川の堤防の上をコースにすれば、大して交通規制をしなくてもフラットで真っ直ぐなコースを確保できるのだ。
ただし、裏を返せば、これは徳島マラソンのコースがつまらないことを意味する。ただひたすら延々と吉野川の堤防を走るだけで、変化に乏しいからだ。はっきり言って途中から飽きてくる。
なので、フラットではあるけど、精神的には厳しいコースと言える。

それでも、やはりフラットなコースと言うのは魅力であり、精神力さえあれば好記録が期待できる大変貴重なレースとして人気が高いレースなのだ。
そのため、徳島マラソンのエントリーに当たっては、毎年、激烈なエントリー競争を繰り広げてきた。

(ピッグ)「考えたら、あの熾烈なエントリー競争を13年間も勝ち抜いてきたって、すごいですね」
(幹事長)「すごい執念やろ?」

そして、去年も無事にエントリーを果たし、楽しみにしていた
それなのに、ああ、それなのに、なんと去年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった

事の発端は去年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。
ただ、これらの大会は東京オリンピックのマラソン代表選考会を兼ねていたため、
エリートランナーの部は開催された
しかし、その後、状況はますます悪くなり、遂に去年3月22日の徳島マラソンは全面的に中止になってしまった。あまりの事に呆然とした。
そして、その後も、全国的にマラソン大会が次々と中止になっていった

これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。

(ピッグ)「この説明、いつまで続くんですかね」
(幹事長)「ほんとにいつまで続くんだろうね。早くマラソン大会が再開して、こんな説明が要らなくなって欲しいよ」

素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないと走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外では感染しない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしているが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない。

多くの国民がヒステリックに踊らされているのは、視聴率さえ稼げればいい下品なマスコミがキチガイみたいに煽り立てるのと、新型コロナウイルスの新規患者数をゼロにしようなんていう狂信的な妄想に取り憑かれた医療関係者の独善のせいだ。
さらに、それに付け込んで何でもかんでも政府を批判する無能な民主党が調子に乗ってギャアギャア騒ぐからだ。
いい加減に、このようなヒステリックな対応は止めて欲しいのだが、新型コロナウイルスの蔓延よりも、このようなヒステリックな対応の蔓延の方が遙かに早い。

もちろん、大会主催者側は苦渋の決断というか、断腸の思いだろう。なぜなら、大会の成功を一番願っているのは大会主催者なんだから。だから、私も大会主催者を責める気は、さらさらない。
悪いのは、こういう状況に大会主催者を追い込んだ世間のプレッシャーというか、コロナ自警団に代表される、社会を覆い尽くすバカ騒ぎだ。

そして、恐れていた通り、その後も5月のオリーブマラソン、6月の北山林道駆け足大会、7月の汗見川マラソンと、続々とマラソン大会の中止が発表になり、このままではマラソン大会もサイクリングイベントも全滅になりそうな雲行きになってきた。もうお先真っ暗だ。


〜 マラソン大会を自主開催 〜


って嘆き悲しんでいた時、ピッグが突然ナイスなアイデアを提示した。

(ピッグ)「この話も、いつまで続くんですかね。もうウンザリですね」
(幹事長)「書く方もウンザリやわ。もう書きたくないんだけど仕方ないよね」


5月のオリーブマラソン6月の北山林道駆け足大会7月の汗見川マラソン8月の酸欠マラソン9月の脱藩マラソン11月の庵治マラソン12月のタートルマラソン2月の丸亀マラソン2月の善通寺五岳山空海トレイルの記事にも書いてきたエピソードだが、これを外す訳にはいかないので、しつこくピッグに提案してもらう。

(幹事長)「お待たせしました!はい、どうぞ!」
(ピッグ)「中止になった大会を
ペンギンズで自主開催しましょうよ」
(幹事長)「え!?」


あまりのナイスなアイデアに一瞬、言葉が出なかったが、これは画期的なアイデアだ。そうなのだ、大会が中止になったのなら、
我々で独自に勝手に自主開催すればいいのだ。

(幹事長)「なんて素晴らしいアイデアだ!君がこんな素晴らしいアイデアを出したのは実に23年ぶりやぞ」
(ピッグ)「ハイハイ、分かりましたってば」


23年前に我々がペンギンズを立ち上げた時
クラブの名前を何にしようか相談したんだが、幹事長の私の意見を差し置いて、ピッグが「ペンギンズにしましょう」なんて言い出し、押し切られてしまったのだ。
しかし、よくよく考えてみれば、むやみにスピードを追求するのではなくマイペースでゆっくり走る我々のスタンスは、まさに「ペンギンズ」の名前がピッタリであり、
素晴らしいネーミングだったと思う。
ピッグがナイスなアイデアを出したのは、その時以来、実に23年ぶりのことだ。

と感心していたのだが、5月にオリーブマラソンを自主開催して走っていた時、同じように一人で走っている女子がいて、支部長が聞いたところ、彼女も自主開催していた事が分かった。
また7月に汗見川マラソンを自主開催して走っていた時も、同じように走っているカップルがいて、支部長が聞いたところ、彼らもやはり自主開催していた事が分かった。
つまり、
マラソン大会の自主開催ってのは、誰でも思いつくような平凡なアイデアだったことが分かったので、ピッグに対する賞賛は雲散霧消した。

(ピッグ)「ハイハイ、分かりましたってば

てなわけで、その後は中止になったイベントは、できる限り自主開催することとなった
その第1弾が去年5月17日に開催した
サイクリングイベント第7回ツールド103であり、これが思いのほか楽しくて大成功だった。
続いてマラソン大会として5月のオリーブマラソン6月の北山林道駆け足大会7月の汗見川マラソン8月の酸欠マラソン9月の脱藩マラソン11月の庵治マラソン12月のタートルマラソンを自主開催してきたが、これらもとても楽しくて大成功だった。
願わくは、コロナのバカ騒ぎは去年で収束して、今年はマラソン大会が復活して欲しかったんだけど、
今年になってもバカ騒ぎが終わらず、マラソン大会の中止が続いているため、2月の丸亀マラソン2月の善通寺五岳山空海トレイルも自主開催した。

この善通寺五岳山空海トレイルは、去年はギリギリでなんとか開催され、コロナのバカ騒ぎでマラソン大会が軒並み中止になる前の最後の大会だった。
それから
まる一年が経って一周したので、そろそろバカ騒ぎを止めてマラソン大会を再開して欲しかったところだが、去年、最初に中止になった徳島マラソンは、なんと2年連続で今年も中止になってしまった
コロナのバカ騒ぎによるマラソン大会中止が2年目に突入したのだ。

それで、
中止になった徳島マラソンの代替大会として自主開催したのが今回の第1回香東川マラソンだ。


〜 代わりの大会を自主開催 〜


実は当初は徳島マラソンも開催を模索していた
しかし、昨年12月に発表された開催要項を見ると、なんとか本大会を実施するものの、参加できるのは昨年エントリーしていた
徳島県内在住者に限るとのこと。
昨年エントリーしていた人でも県外の人は
オンラインマラソンに参加してくれ、なんてことになった。

オンラインマラソンは最近多い。本大会を開催できないからだ。
しかし、
オンラインマラソンなんて全く何の意味も無い
マラソン大会の存在意義ってのは、普段の練習コースとは違う新鮮なコースを、スタッフの手厚いサポートや沿道の声援も受けて走るからそこ楽しい。
また、
数多くの他のランナーと競い合うからこそ緊張感も高まり、アドレナリンが大量に分泌してやる気が漲り、その結果、良いタイムも期待できる
しかしオンラインマラソンなんて、自分で普段走ってる練習コースを好き勝手に走るだけなので、なんの緊張感もやる気も湧いてこない。参加している他のランナーと競い合っているんだと思い込もうとしても、現実に周りにいないんだから、極めて非現実的な設定だ。
そんな意味の無いオンラインマラソンに参加するくらいなら、我々のように
仲間内で大会を自主開催した方が5億倍くらいマシだ。

て事で、県外在住者はオンラインマラソンに限るってなった時点で、我々は今回も諦めた。
しかし、その後、今年の2月になって、結局、
県内在住者に限定したマラソン大会も中止になってしまった。ま、我々にはどっちでも同じ事だけど。

ここで一言文句を言っておきたいのは、結局、
10000円も払った昨年のエントリー代金はびた一文戻ってこないってことだ。
それは昨年の時点で分かっていたことだが、腹立つのは、
今年エントリーした人には、今年の参加料10000円は全額払い戻してくれるってことだ。
なんでやねん!って感じだ。
参加料が戻ってこないのは他の大会も同じだ。既に申し込んでいた小豆島オリーブだって戻ってこなかった。
しかし小豆島オリーブマラソンの参加料は5000円なので徳島マラソンより被害は少ないし、また小豆島オリーブマラソンは事務局から心のこもった手紙と一緒に小豆島の特産品がたくさん送られてきて、誠意が感じられた。
それに対して徳島マラソンは、気持ちのこもっていない事務的な書面と、出てもいないのに完走メダルが送られてきただけだ。

(幹事長)「ほんと腹立つよなあ!」
(ピッグ)「まあまあ、抑えて抑えて」


このように結局、
中止になった徳島マラソンだが、なぜ素直に自主開催せずに代替大会を開催したかと言うと、高知龍馬マラソンを自主開催しなかったのと同じく、理由は2つある

1つ目の理由は、フルマラソンを自主開催で走るのは辛いからだ。
ハーフマラソンくらいの距離なら自主開催でも楽しく走れる。しかしフルマラソンになると、スタッフによる充実したサポート態勢と沿道からの声援がある正式な大会だからこそ、なんとかくじけずに頑張れるが、自分らで勝手に走ってるだけでは、絶対に途中で嫌になって止めてしまう。

2つ目の理由は、都市部を走る区間では交通規制が無いと走りにくいからだ。
遠く離れた山奥とか離島で開催される田舎のマラソン大会は、現地に行くのは不便だが、コースは走りやすい。
そういう所では歩道は無いし、センターラインも無い狭い道だが、交通量は非常に少なく、信号機も無く、とても走りやすい。
しかし、市街地では信号機が多いし、歩行者が多い地域で歩道を走るのは危険だ。
徳島マラソンは、吉野川の堤防に出てしまえば、田舎道と同じで信号機も無ければ車もあまり通らないんだけど、前後に市街地があるから、全てのコースを走るのは無理だ。

これまで
オリーブマラソン北山林道駆け足大会汗見川マラソン酸欠マラソン脱藩マラソン庵治マラソンタートルマラソンも、全て開催予定日に開催予定コースで自主開催してきた
上記でオンラインマラソンを批判したが、
マラソン大会ってのは、その場所に行ってみんなで走ることに意義があるのだから、バーチャルで自宅周辺を好き勝手に走るなんて、何の意味も無い。
だから、我々の自主開催シリーズは、
遠く離れた高知の山奥で開催される北山林道駆け足大会汗見川マラソン酸欠マラソン脱藩マラソンや、離島で開催されるオリーブマラソンタートルマラソンも、全て開催予定日に開催予定コースで自主開催してきた

なので、
2月初めの丸亀マラソンも本コースを走りたかった。丸亀マラソンのコースは、ほとんど坂が無い国際陸連公認の高速コースを走るため、良いタイムが期待できることも魅力だ。
しかし、丸亀マラソンの本コースを自主開催で走るのは無理だ。なぜなら
コースが全て市街地だからだ。本コースでなくても、近くに代替になるようなコースを取れればそれでもいいんだけど、少しばかり離れても市街地が続いているため、それも無理だ。
て事で、丸亀マラソンでは本来のコースを諦めて、丸亀マラソンの会場である
丸亀競技場の400mトラックをひたすら53周も走るという暴挙に出た。

(ピッグ)「あれは厳しかったですね」
(幹事長)「精神修行になったやろ?」


暴挙と言われながらも、競技場のトラックを53周走るという厳しい精神修行を強引に開催したのは、
距離がハーフマラソンだったからだ。

一方、
高知龍馬マラソンは距離がフルマラソンなので自主開催しなかった
その流れで言うと、徳島マラソンもフルマラソンなので自主開催するつもりは無かった。
一応、「
本コースを少し変更して、吉野川の堤防だけで42kmを確保しようか」という意見も一部から上がってはいた。

(ピッグ)「それは幹事長が勝手に言ってただけでしょ?」
(幹事長)「アリバイ作りで提案させて頂きました」


正式なコースを走れるんならともかく、わざわざ徳島まで行って、勝手に変更したコースを42kmも走るなんて、そんな虚しいことは無理だ

それなら高知龍馬マラソンのように、あっさりと中止にする事もできたが、ペンギンズの健全な発展を常に願っている幹事長としては、完全中止は避けたかった。なぜなら、何もやらないと5月末の小豆島オリーブマラソンまでマラソン大会が何も無い状態が続くからだ。
丸亀マラソンが2月初めだったから、3ヵ月半くらいマラソン大会が無い状態が続くことになる。それではメンバーのモチベーションがダダ下がりになり、レベルが一気に落ちてしまう。

(幹事長)「それはいかん。なんとかせんといかん!」

という事で、代替になるマラソン大会を模索した結果が、今回の第1回香東川マラソンだ。
コースは香東川の河川敷と堤防をつないで21kmを確保することができた。
  ・吉野川の堤防を走る徳島マラソンのコースの雰囲気に近いコースである
  ・距離は自分たちだけでも楽しく走れるハーフマラソン

という性質を兼ね備えた素晴らしいプランだ。

(幹事長)「こんな素晴らしいコースを思いつくなんて、なんて素晴らしいお人柄なんだ!」
(ピッグ)「人柄とは関係無いでしょう?」


スタートゴール地点は、国道11号線のすぐ北にある香東川の沈下橋の西側だ。
ここから河川敷や歩行者・自転車専用の堤防を北に向かって走る。途中に橋があったりするが、下をくぐるようになっていて、信号も無ければ車が通る区間も無い
最後に旧国道11号線の橋をくぐると、車が通る道に入るが、交通量はほとんど無い区間なので問題は無い。
さらに北に進むと海に突き当たる。ここで折り返してしまうと、距離が少し足りないので西へ左折し、少し進んで再び海に突き当たると、再度、南へ左折し、ほんの少し進んだところにある食肉加工センターの門の前を第1折り返し点として折り返してくる。
スタート地点まで戻ってきたら前半区間が終わる。スタート地点から第1折り返し点までの距離は5500mなので、前半区間の往復で11kmとなる。
橋をくぐったりする所に微かなアップダウンがあるだけで、極めてフラットなコースだ。

スタート地点まで戻ってきたら、そのままさらに南へ進み、こちらも河川敷と歩行者・自転車専用の堤防をひたすら走る。橋がいくつかあるが、どこも下をくぐるので、信号も無ければ車が通る区間も無い
最後に河辺橋のたもとで一般道に出てしまうので、そこを第2折り返し点として折り返してくる。
スタート地点まで戻ったら後半区間が終わり、そこがゴール地点だ。
スタート地点から第2折り返し点までの距離が5050mなので、後半区間の往復で10.1kmとなる。
後半も橋をくぐったりする所に微かなアップダウンがあるだけで、極めてフラットなコースだ。

前半と後半の合計で、ちょうど21.1kmとなり、ハーフマラソンの距離と同じになる。
  ・信号機は一切無いし、車もほとんど通らない、走りやすいコース
  ・ぴったりハーフマラソンと同じ距離
  ・ほとんどアップダウンが無い極めてフラットなコース

という素晴らしいコースだ。

(幹事長)「こんな素晴らしいコースを思いつくなんて、本当に頭が下がる思いだよ」
(ピッグ)「自分で自分に勝手に頭を下げてください」


この素晴らしい大会に参加するのはのほか、支部長、ピッグ、D木谷さん、T村選手、のらちゃんだ。


〜 ドタキャン 〜


開催日は徳島マラソンが予定されていた3月28日だ。
我々の自主開催シリーズは、本大会が開催される予定だった日に、その場所で開催するのが原則だ。それでこそ真剣みが増すというものだ。

だが、自主開催なので、実は日程については柔軟に対応できる

まずは、多くのメンバーが参加できるよう、参加したいメンバーの都合が最優先だ。みんなの都合が良い日を選べばいい。
例えば、本来なら9月初めに開催されていた
酸欠マラソンは、私の緊急手術が8月末に入ったので、繰り上げて手術直前の8月下旬の開催にした。
また、本来なら10月初めに開催されていた
脱藩マラソンは、私の登山の予定とカブったため、繰り上げて9月末の開催にした。

(ピッグ)「幹事長の都合で変えてるだけですよね」
(幹事長)「それだけじゃないぞ」


本来なら10月末に開催されていた庵治マラソンは、みんなでサイクリングしまなみの代替大会として阿蘇山一周サイクリングに行ったため、繰り下げて11月初めの開催にした。
さらに、本来なら11月末に開催されていたタートルマラソンは、私の登山の予定とカブったため、繰り下げて12月初めの開催にした。

(ピッグ)「やっぱり幹事長の都合が多いですねえ」
(幹事長)「ま、主催者がおらんと始まらんからな」


加えて、メンバーの都合だけでなく、天気が悪そうだったら延期するのも自由だ。なので、いつも数日前から天気予報を注視している。
ところが、今回で10回目となるマラソン大会の自主開催シリーズだが、これまで奇跡のように天候に恵まれてきたため、オリーブマラソン北山林道駆け足大会汗見川マラソン酸欠マラソン脱藩マラソン庵治マラソンタートルマラソン丸亀マラソン善通寺五岳山空海トレイルも、全て予定通りに自主開催できてきた
天気による順延は一度も無かった。快晴じゃなかったのは北山林道駆け足大会だけで、それでも曇っていただけで雨は降らなかった。

(D木谷)「ほんとにいつもいつも良い天気ですねえ。誰のおかげですかねえ」
(幹事長)「そりゃあ、素晴らしい人格者の幹事長のおかげでしょう」
(ピッグ)「自分でよく言いますね」


ところが、今回、初めて
天気予報が悪かった。1週間前の天気予報では雨予報だった。どうせ1週間前の天気予報なんて当たりっこないだろうと高をくくっていたが、いつまで経っても改善しない。
それで参加予定メンバーの都合を聞いてみたら、なんとT村選手が翌週から遠方に人事異動になることになった。
こうなると、もう順延はできない。大雨になろうが大雪が降ろうが、
T村選手の送別マラソン大会として決行しなければならない。

(幹事長)「でも、引っ越しの準備とかで忙しくないの?」
(T村)「大した荷物じゃないんで大丈夫です」


て事で、天候は気にせず、気合を入れて
強硬開催することになった

ところが、なんと
ピッグからドタキャンの連絡が入る
ドタキャンと言えば國宗選手のお家芸だったが、ピッグのドタキャンは珍しい。3年前の琵琶湖一周サイクリングの時以来かもしれない。

(幹事長)「まさか天気が悪いからドタキャンするんやないやろな?」
(ピッグ)「いえいえ、滅相もない」


て事で、最終的に今回の参加者はのほか、支部長、D木谷さん、T村選手、のらちゃんの5人となった。


〜 会場集合 〜


天気予報では当日は雨予報だったが、朝、起きた時は、まだ降ってなかった。
支部長様がお迎えに来てくれて、一緒に集合場所香東川の河川敷に行った。しばらくするとD木谷さん、T村選手、のらちゃんも次々に到着し、集合時間の9時少し前には全員が揃った。

今にも雨は降りだしそうだが、本格的に降り出す前に終わりたいので、早目にスタートすることにする。

自主開催のメリットとしては、上にも書いたように、
  ・みんなの都合に良い日に開催できる
  ・天気が悪い時は延期できる
というのがあるが、それ以外にも、
  ・勝手にスタート時間を自由に決められる
てのがある。
これは、
  ・混んでないから駐車場に困らない
  ・混んでないからトイレに困らない
  ・終わってからも混んでないからスムースに帰れる
というのと合わせて、時間がとても融通がきくことを意味する。つまり、運営がとても柔軟になるのだ。

て事で、さっさと準備を始める。まずは着替えだ。
何を着るかマラソン大会において最も重要な要素だ。寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。
今年は春の訪れが異常に早く、普段ならもう寒さを心配する必要が無くなった。半袖Tシャツ1枚でもいいくらいだ。
しかし、今日は確実に雨が降る予報だ。雨が降ってきたら半袖Tシャツ1枚では寒いだろう。って事で、長袖のシャツを着て、その上に半袖Tシャツを着た

(支部長)「2枚も着たら暑いで」
(幹事長)「暑くなったら脱ぐよ」


これまでも、途中で暑くなって脱いだことは数えきれないくらいあるから、走りながら脱ぐのは慣れている。先月の丸亀マラソンでも、同じスタイルで走りだしたが、暑くなったので、すぐに半袖Tシャツを脱いだ。
また、雨が降り出して寒くなった時に備えてビニール袋をポケットに入れた。

(幹事長)「これで雨対策、防寒対策は万全やな」
(支部長)「そななもん被ったら汗まみれになるで」


ランニングパンツの下にはランニングタイツを履いた。今日は寒くはないので、防寒用としてはタイツは不要だが、四痙攣の航路さんからタイツを履くと筋肉の無駄な動きが抑制されて疲労が防止できると聞いたので、履いておく。
ただ、超高速ランナーのT村選手はタイツを履いてないので、本当にタイツが有効なのかどうか疑問は残る。
手袋も寒くないので不要かとも思ったが、雨が降ると手が冷えるかもしれないので、はいていく。
帽子は大嫌いだが、雨除けのために持っていく。
ポケットにハンドタオルとティッシュを入れたら準備完了だ。

正式な大会と違ってエイドが無いから、水分は自分で確保しなければならない。そのため自主開催シリーズではトレランリュックにペットボトルを入れて走る事が多い。
しかし今日のコースは、前半が終わるとスタート地点まで戻ってくるので、そこに水分を置いておけば前半終了時の中間地点では水分補給ができる。
て事で、今日は自分で運ぶ必要は無い。各自、スタート地点に飲料ボトルを置いておく

準備が終わったら、恒例のスタート前の記念撮影を行う。また調子に乗ってジャンプしたもんだから、レース前から疲れてしまった。

スタート前にジャンプして無駄な力を使う参加メンバー
(左から支部長、幹事長、T村選手、のらちゃん、D木谷さん)


相変わらず、雨は今にも降りそうだが、なんとか降らずに持ちこたえている。
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、第33回小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。
ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、今の季節なら、やはり雨は降らない方が良い

(支部長)「いやいや、そんな事は無い。どんな季節であろうとも雨が降った方が呼吸が楽や」

支部長は汗っかきなので、冬でも天気が良いと暑くなって汗をかきまくる。真冬の丸亀マラソンでも、大量に汗をかいて脱水症状になってアンデルセン状態に陥った事があるくらいだ。なので、ひたすら雨を好んでいる。
でも、私は雨が嫌いというより、寒くなるのが嫌いなのだ。だから暑い季節なら雨は嫌いではないが、今の季節なら雨が降ると寒くなりそうなので避けたい。

(支部長)「寒い方がタイムは良いんやってば」
(幹事長)「確かにそうやけど」


確かにタイムは気温が低い方が良い。でも、やっぱり寒い中で走るのは嫌だ
まあ、今日は雨が降ってもビニール袋を被れば寒さはしのげるだろう。

スタート時間が近づいてきたので、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるから、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、その大会での自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
だがしかし、この香東川マラソンは今回が初開催だ。

(幹事長)「なので、どんなに遅くても大会自己ベストになるぞ」
(のら)「やったーっ!」
(支部長)「いやいや、それは意味ないやろ。坂が無いフラットなコースなんやからハーフマラソンの自己ベストを目指さんといかんやろ」


確かに、こんなにフラットで走りやすいコースは少ないんだから、やはりハーフマラソンの自己ベストを目指すべきだろう。

多くのメンバーがハーフマラソンの自己ベストは丸亀マラソンで出している。やはりアップダウンが少ないフラットな高速コースだからだ。
そうなると、丸亀マラソンの自己ベストが最終目標になるが、丸亀マラソンを念頭に置くとなると、死守しなければならない目標として、丸亀マラソンで是が非でもクリアしなければならない最優先タイムである1時間50分という目標が出てくる。
丸亀マラソンでは、1時間50分を切れば、翌年から3年間は前方のB部門でスタートできるからだ。大会自己ベストが出れば1時間50分もクリアしたことになるが、大会自己ベストが出なくても、最低でも1時間50分は死守したいのだ。
もちろん今回は丸亀マラソンでもなければ正式な大会でもないので、どんなに良いタイムを出しても、来年の丸亀マラソンのスタート場所には何の関係も無いが、気持ちの問題として1時間50分を死守しておきたい。

丸亀マラソンも同じだが、今回のようなフラットなコースの場合、良いタイムが期待できるため、ついつい調子に乗って序盤からガンガン飛ばしてしまい、結局、終盤に大失速するというワンパターンが多い
理想的な走り方と言うのは、序盤は抑えめに走って、後半にペースアップするという展開だ。
タートルマラソンやオリーブマラソンでも、好タイムを出した時は、たいてい後半の方がペースが速くなっている。オリーブマラソンなんて、前半はフラットで後半に坂が続くから、後半の方が遅くて当たり前なんだけど、好タイムを出した時は必ず後半の方がペースアップしている。
丸亀マラソンでも、2019年は初めて終盤にペースを上げるという理想的な展開となった。あわよくば好タイムを出そうなんて色気を捨てて、1時間50分切りを絶対目標にして、前半を抑えて走ったからだろう。そのおかげで最初から無茶に飛ばして終盤に撃沈するという永遠のパターンを避けることができた。

とは言え、同じような心づもりで走った今年の丸亀マラソン(自主開催)では、支部長に惨敗したのはもちろん、ピッグやD木谷さんやのらちゃんにもだんだん引き離されていき、撃沈してしまった。1時間50分なんて、全く手が届かなかった。
敗因は分からない。序盤にそんなに無理したつもりはない。て言うか、敢えて自重して抑えた訳でもないのに、早々に他のメンバーに着いていけなくなったのだ。そしてそのままズルズルと後退していった。
去年の8月の酸欠マラソンでは支部長に圧勝したが、その後、緊急手術した後は、ずっと似たようなレース展開が続いている。スタミナ不足というより圧倒的なスピード不足だ。
まだまだ元気な序盤のうちから、どんなに頑張ってるつもりでもスピードが出ず、ズルズルと引き離されてしまうのだ。
練習量としては、それほど極端に減ったわけではない。支部長よりは少ないものの、そこそこの月間走行距離は確保している。

(支部長)「練習の質の問題やな」
(幹事長)「やっぱり、そうやろなあ」


単にダラダラと距離を走るだけでなく、もっと力を入れてスピードを上げてトレーニングしないと効果的ではないのだろう。

さらに、自主開催では本番のレースほど気合が入らないってのも理由だろう。
上に、自主開催のメリットを色々と書いたが、逆に大きなデメリットとして
  ・本番ほどは気合が入らないから良いタイムは出ない
て言うのがある。
実はこれは非常に大きなデメリットだ。
ゾウさんやのらちゃんのように普段の練習の時でも本番並みのスピードでガンガン練習できる人にとっては、他にランナーがいるかどうかは、あんまり問題ではないかもしれない。
しかし、私のように練習ではどんない気合を入れても本番よりはるかに遅いスピードでしか走れない人間にとっては、他のランナーの存在は大きな影響がある
数多くの他のランナーと競い合うからこそ緊張感も高まり、アドレナリンが大量に分泌してやる気が漲り、その結果、良いタイムも期待できるのだ。
自主開催で他のメンバーと一緒に走るので、独りで練習している時よりはだいぶマシだが、本当に必死で走れるかと言うと、どうしても甘さが残る。

もちろん、今さら嘆いても仕方ないので、今日も行けるところまで行ってみよう。


〜 スタート 〜


スタート時刻は9時半に設定した。
今にも雨が降り出しそうな空模様だが、風が無いから寒くはない。暑くもなく寒くもなく絶好のマラソン日和と言える。なんだか、やる気が湧いてきた。

いよいよスタート時刻となったので、主催者の幹事長からありがたいお言葉を頂いて開会式が10秒ほどで終わり、支部長のカウントダウンにより一斉にスタートとなった。

まず前半の前半は北に向かって走る。スタート地点の河川敷から堤防の道に上がるが、ずっと歩行者・自転車専用の道なので、車を気にする必要はない。

自主開催シリーズでは、常に序盤は私が先頭を走っている。序盤はコースが分かりにくい事が多くて、道に迷う人が出るといけないので、分かりやすい道になるまではコースを把握している私が先導している
自主開催シリーズが始まって以来、常に同じパターンだ。あわよくば、そのまま最後まで先頭で逃げ切りたいところだが、逃げ切れたのは酸欠マラソンだけだ
今回は比較的分かりやすい河川敷と堤防の道ではあるが、何箇所か分岐があったりするので、できるだけ私が先導したい。

距離表示が無いので、どれくらいのペースで走っているのか分からないが、独りで走る時よりは緊張感があり、いつもよりはハイペースで走れているような気がする。
でも、後からは全員がピッタリ着いてきているのが足音で分かる。て事は、あんまり速くはないんだろうか。

しばらく進むと、峰山トンネルから抜けてくる新しい道の橋が現れる。

(幹事長)「あそこは橋の下をくぐるからね」
(支部長)「了解」


さらにしばらく走っていると、いつものように支部長が私の前に出ようとする。そう簡単には逆転を許すまじと思って少し頑張るが、少しずつ前の方に離れていく。彼はコースを間違える不安ってのが無いのだろうか?
そう言えば、前回の善通寺五岳山空海トレイルの時も、前半のロード区間で、道が非常に分かりにくいにもかかわらず、どんどん前を先行して走った。
あの時は、ロードと言っても、途中からトンでもない激坂になり、そこで歩いてしまったので、私が再逆転したから良かったが、今日は坂が無いフラットなコースなので、このまま突っ走ったらコースが分からなくなるぞ。

スタート地点から4kmほど走ると、旧の国道11号線の橋が現れる。ここまで走ってきた遊歩道は堤防に上がって行き止まりになるので、遊歩道から離れて芝生の中に入って川沿いを走らなければならないから、間違いやすい箇所だ。
すると支部長が振り返って確認する。

(支部長)「ここは右かな?」
(幹事長)「そうそう、川の側を走ってね」


少し離れたとは言え、まだ声が届く範囲だから、支部長に指示を出して道を間違えないように走ってもらう。
この橋をくぐったら、ようやく車が通る一般道に出る。ただし、交通量は極めて少ないので、車を気にする必要は無い。
JRの線路の橋を2つくぐり、さらに浜街道の橋をくぐると、堤防の道に出る。センターラインのある広い道だが、ここも交通量は皆無だ。
スタート地点から5kmほど走ったところで、一般道は左折するが、まだ人は真っすぐに進める。

(支部長)「ここはどっち?」
(幹事長)「真っすぐに行って」


そのまま北へ少し進むと、最後は海に突き当たる

(支部長)「ここは?」
(幹事長)「左に曲がって」


左(西)に曲がってさらに少し進むと、再び海に突き当たる。

(支部長)「ここは?」
(幹事長)「そこも左に曲がって」


左(南)に曲がってさらに少し進むと、第1折り返し点とした食肉加工センターの門がある。

(幹事長)「そこの門の前で折り返して」

支部長が折り返してくる。まだ、ほとんど差は無い。他のメンバーもほとんど差は無い。
ここまでのタイムは30分ほどだ。5.5kmで30分だから1km5.5分のペースだ。坂の無いフラットなコースの割にはかなり遅い。そんなに手を抜いている訳ではないが、どうしたんだろう。

みんなで折り返して戻って行くと、T村選手やのらちゃんやD木谷さんが私をかわして少し前に出る。まだ前半の前半しか終わってない時点で、早くも最下位になるのは避けたいので頑張ってみるが、全然スピードが出ず、ずるずると引き離れていく
たぶん、ここまではコースが良く分からないから、みんな自重して私のスローペースに着いてきたが、折り返した後はコースを間違えることもないから、力を解き放って走り始めたのだろう。

しばらく走って旧国道11号線の橋をくぐると、再び河川敷の遊歩道に戻る
この辺りからみんなと私のペースの差が大きくなり、みるみるうちにみんな離れていく。まだ前半なんだから力は残っているはずなので、なんとか食らいついていこうと思うんだけど、全然足が出ない
相変わらず、空は今にも雨が降りそうな雰囲気だが、なんとか持ちこたえている。雲っているが、あまり風が吹かないので、少し暑い。でも、1枚脱ぐのは面倒なので、そのまま着て走る。

他のメンバーははるか遠くに離れてしまい、独りで走っている状態になってしまった。前でも後でもいいから、他のメンバーが近くにいれば、緊張感を保って競り合って走れるが、独りで走ると、どうしても緊張感が途切れてしまい、ますますペースはズルズルと遅くなっていく。

それでも孤独に走り続けると、スタート地点が遠くに見えてきて、他のメンバーが給水のために少し休んでいるのが見える。ここがチャンスだ。この間に追いつこう。なんて思ったんだけど、すぐにみんな走り出してしまい、差は縮まらなかった。
ようやく自分もスタート地点にたどり着き、タイムを確認すると、行きより1分半ほど遅くなっている。早くもかなりのスローペースだ。
手早く水分を補給して、慌ててすぐに走り出す。見通しの良い区間では、かろうじて支部長やD木谷さんの蛍光色のTシャツが見えるが、それもだんだん分かりにくくなってきた。

ここでようやく雨が降ってきた。大した雨ではないが、天気予報を信じるなら、雨脚はどんどん強くなる可能性が高い。雨そのものは、それほど嫌でもないが、体が冷えるのが嫌なので、ここでビニール袋を被る。他のメンバーはビニール袋を持ってないはずなので、この秘密兵器で一気に優位に立とう
て事で、気合は入れなおしたんだけど、孤独な戦いになってしまったので、どうしても力が入らず、ペースはさらに徐々に遅くなっていく。

後半のコースの前半は、最初の頃は河川敷にサッカー場があったりして賑わっているので、なんとなく気持ちも明るくなるが、そのうち人気が無くなり、琴電の鉄橋をくぐる頃になると、とても寂しい雰囲気になってくる。
もう気力も萎えかけた頃に、ようやく遠くに第2折り返し点の河辺橋が見えてくる。

すると、こんな所で早くも支部長が折り返してくる。T村選手も一緒だ。T村選手は超高速ランナーなので、真剣に走ればもうゴールしていてもおかしくない時間だが、今日は支部長のサポートに徹しているようだ。
しばらくするとD木谷さんも折り返してきた。さらに少し後をのらちゃんも折り返してきた。
支部長からのらちゃんまでの差は、それほど大きくはないが、のらちゃんと私の差は思ったよりはるかに大きかった。私が第2折り返し点で折り返した時には、みんな完全に見えなくなっていた
後半の前半であるスタート地点から第2折り返し点までのタイムは、前半の後半である第1折り返し点からスタート地点までのタイムと同じだった。距離は5500mから5050mと短くなっているのに同じタイムって事は、かなり遅くなっている

寒さをしのぐためにビニール袋を被ったんだけど、そのせいでかなり暑くなってきた。雨脚は一向に強まらず、大した雨ではない。ビニール袋を被ったのは失敗だった
それでも完全に戦意を無くした訳ではなく、まだまだモチベーションを維持して頑張ってるつもりなんだけど、スピードが出ない。一生懸命走ってるつもりなのに、ペースが全然上がらない。これは一体どうしたんだろう。

ようやく遠くにゴール地点が見えてきた。はるか前にゴールしたみんなが談笑している。雨の中を長時間待たせて悪かったが、足は棒のようになって動かないから、スピードを上げる事ができない。


〜 ゴール 〜


なんとかゴールしたが、タイムは2時間を大きく超える圧倒的な大惨敗だった。

(のら)「どうしたの?どこか調子悪いの?」
(幹事長)「いや、原因が分からない」

(支部長)「そのビニール袋が敗因やな」
(幹事長)「確かに暑かったよ」


他のメンバーが持っていない秘密兵器のビニール袋を被ってみんなを逆転しようと思っていたが、完全に逆効果で裏目に出てしまった。

それに、最近のマラソン大会ではいつも感じる事だけど、今日もゴールした後、足には疲労感が無かった。あれだけ足が棒のようになって動かなかった割には、走り終えると疲労感は無い。
本当に力を出し切った時は、ゴール後は歩く事も辛くなるが、今日は平気で、まだまだ走れそうな感じだった。つまり全力を出し切れてないって事だ。
これは明らかに精神力の問題だ。もっと頑張って限界まで力を出せるようになりたいものだが、どうしたらいいのか分からない。

結局、超高速ランナーのT村選手を除けば支部長がダントツのブッちぎりで優勝した。その後はD木谷さん、のらちゃんの順番だったようだ。

(支部長)「終盤、力尽きそうになったけど、T村選手がずっと励まし続けてくれたので最後まで持ちこたえたよ」

T村選手のサポートは素晴らしいが、それに応えられる支部長の底力も素晴らしい。

(支部長)「でも、今回もあと少しで1時間50分は切れなかったなあ」

支部長は先月の丸亀マラソンでも、あと少しで1時間50分を切れなかった。
でも、本番になれば緊張感の度合いが違うから、このままの調子を維持できれば1時間50分は軽く切れるだろう。
一方、私は、こんな体たらくでは、いくら本番でも惨敗が続きそうだ。


〜 反省会 〜


汗と雨で濡れたウェアを着替えて、うどん屋での反省会に繰り出す。ちょうど12時過ぎだが、近くにある中西に行ってみる。
中西もなかなか人気の店なので、通常なら日曜日のお昼時は長蛇の列が出来る。ところがコロナ騒ぎのおかげで客が減少したため、列はそれほど長くなくて、少し待っただけでうどんにありつけた。

それにしても、今日の大惨敗は衝撃的だ。途中でみんなに着いていけなくなったんだから、ペース配分とか作戦が悪かったとか言うんじゃなくて、明らかなスピード不足だ
本当に原因が分からない。一体、どうしてこんな大惨敗になったんだろう。
丸亀マラソンやタートルマラソンも惨敗ではあったが、ここまでの大惨敗ではなかった。「本番じゃないから、どうしても気合が入らないので、仕方ないかな」なんて思えるレベルだった。

しかし今日は、そういうレベルではない。こんな超フラットなコースで2時間をオーバーするなんて2008年の今治シティマラソン以来だ。
あの時は雨風が強く、コースも同じ所を何度も行ったり来たりする単調なコースで精神的にも辛かったが、完走者253人中、最後から15番目だったから、コンディションが悪かったと言うより、単に私が不調だっただけだ。

(のら)「ビリから15番目だなんて、そんな忌まわしい過去があったの!?」
(幹事長)「懐かしい時代やな」


今日は雨は小雨だし、強い向かい風もなかったし、コースも単調ではないから、惨敗の原因が全く分からない

(支部長)「やっぱり練習不足やで」
(幹事長)「そこそこは走ってるんだけどなあ」
(支部長)「練習の質の問題や」


大惨敗した今治シティマラソンの記事を読み返してみると、

(幹事長)「もう絶望的。一体、何がどうしてどうなったのやら」
(矢野)「単に練習不足なんでしょ?」
(幹事長)「そうでもないんだけどなあ。練習の仕方が悪いのかなあ」
(新城プロ)「練習でもスピードを上げる事を意識した方が良いですよ」
(幹事長)「そうかあ。最近は、遅くてもいいから、とにかく距離を走る事しか考えてないもんなあ。遅いペースでダラダラ走るのは良くないのかも」


なんて言う会話があった!
そして、
今回の反省として、これからは、練習の時、やたらダラダラと距離をかせぐのではなく、もっとスピードを意識しよう。
・もっと向上心を持って練習に励まなければならない!

なんて反省している!

(支部長)「今と全く同じやんか!全然進歩が無いなあ」
(幹事長)「13年も前に同じような反省をしていたとは!すっかり忘れてたよ」


13年前にも全く同じ状況で全く同じ反省をしていたなんて、衝撃的だ。全くその通りだ。全く同じ反省をしなければならない
最近も、なんとかそこそこの月間走行距離を達成して満足していた。もちろん距離を走るのも重要だが、単にダラダラと距離をかせぐのではなく、スピードを意識して走りこまなければ意味が無い
分かってるつもりなんだけど、すぐ忘れちゃうのよねえ。


〜おしまい〜




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