第75回 丸亀マラソン大会(自主開催)
2021年2月7日(日)、第75回香川丸亀ハーフマラソン大会が開催される予定だった。
毎年、ペンギンズの真剣勝負のレースとしては、この丸亀ハーフマラソンが初レースとなる。
丸亀マラソンは、高速レースとして全国的にも名高いことで、以前から人気が高かったが、昨今の異常なまでのマラソンブームのせいで、毎年、さらに参加者が増加している。
また、丸亀は私の故郷なので、第1回から欠かさず出場している。
(幹事長)「なーんて書いたら、私を90歳代って勘違いするよな?」
(ピッグ)「さすがに、それは思いませんよ」
丸亀マラソンは今年で第75回って事になているが、もちろん、これは嘘だ。
本当の第1回大会は74年前ではなくて、24年前の1997年に丸亀城築城400年記念大会として開催された。当時はまだこのホームページを開設してなかったため記事は残っていないが、翌年の1998年の第2回大会からは毎年記事を掲載している。そのまま第4回までは正直な回数だったのに、2001年の第5回大会のとき、突然50回も上げ底されて第55回になった。1997年の第1回大会の前年には第50回香川ロードレースが開催されていたので、いきなりその50回をまるまる足したのだ。
香川ロードレースというのは、専門の陸上競技関係者しか出ない閉鎖的な大会であり、今の丸亀マラソンとは似ても似つかない全く別のレースだった。長距離レースではあったものの、距離だってフルマラソンの時もあれば35kmレースなんて中途半端な距離のときもあった。レースの性格が全く異なっており、少なくともハーフマラソンが種目だった事はない。
水増しの事情については、第56回(本当は第6回)の記事に詳しく書いているが、理由はもちろん、回数が多い方が伝統がある由緒正しいレースのように聞こえるからだ。もちろん、私は回数の水増しを非難するつもりは毛頭無い。私の故郷である丸亀のマラソン大会であり、回数が多い由緒正しいレースのように聞こえた方が、知らない人に対しては格好良いから、それでいい。
第1回と言うか第51回の頃は、毎年、コースがコロコロ変わり、私の実家のすぐ裏の農道に毛が生えたような道を走ったりしていた草レースだったのが、今や国際陸連公認の高速コースになって全国的にも有名になり、定員1万人があっという間に一杯になってしまうなんて、地元の私としては嬉しい限りだ。
て事で、私の中では一番重要なレースが丸亀マラソンだ。
それなのに、ああ、それなのに、なんと今年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった。
事の発端は去年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。ただ、これらの大会は東京オリンピックのマラソン代表選考会を兼ねていたため、エリートランナーの部は開催された。
しかし、3月22日の徳島マラソンが中止になった頃から雲行きが怪しくなってきた。全国的にマラソン大会が次々と中止になり始めたのだ。
これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。
(ピッグ)「この説明、今年も続くんですね」
(幹事長)「早くマラソン大会が再開して、こんな説明が要らなくなって欲しいよ」
素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないと走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外では感染しない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしているが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない。
多くの国民がヒステリックに踊らされているのは、視聴率さえ稼げればいい下品なマスコミがキチガイみたいに煽り立てるのと、新型コロナウイルスの新規患者数をゼロにしようなんていう狂信的な妄想に取り憑かれた医療関係者の独善のせいだ。さらに、それに付け込んで何でもかんでも政府を批判する無能な民主党が調子に乗ってギャアギャア騒ぐからだ。
いい加減に、このようなヒステリックな対応は止めて欲しいのだが、新型コロナウイルスの蔓延よりも、このようなヒステリックな対応の蔓延の方が遙かに早い。
もちろん、大会主催者側は苦渋の決断というか、断腸の思いだろう。なぜなら、大会の成功を一番願っているのは大会主催者なんだから。だから、僕も大会主催者を責める気は、さらさらない。
悪いのは、こういう状況に大会主催者を追い込んだ世間のプレッシャーというか、コロナ自警団に代表される、社会を覆い尽くすバカ騒ぎだ。
そして、恐れていた通り、その後は5月のオリーブマラソン、6月の北山林道駆け足大会、7月の汗見川マラソンと、続々とマラソン大会の中止が発表になり、このままでは今年はマラソン大会もサイクリングイベントも全滅になりそうな雲行きになってきた。もうお先真っ暗だ。
〜 マラソン大会を自主開催 〜
って嘆き悲しんでいた時、ピッグが突然ナイスなアイデアを提示した。
(ピッグ)「この話も、今年も続くんですね」
(幹事長)「もう書きたくないんだけど仕方ないよね」
5月のオリーブマラソンや6月の北山林道駆け足大会や7月の汗見川マラソンや8月の酸欠マラソンや9月の脱藩マラソンや11月の庵治マラソンや12月のタートルマラソンの記事にも書いてきたエピソードだが、これを外す訳にはいかないので、しつこくピッグに提案してもらう。
(幹事長)「お待たせしました。はい、どうぞ」
(ピッグ)「中止になった大会をペンギンズで自主開催しましょうよ」
(幹事長)「え?」
あまりのナイスなアイデアに一瞬、言葉が出なかったが、これは画期的なアイデアだ。そうなのだ、大会が中止になったのなら、我々で独自に勝手に自主開催すればいいのだ。
(幹事長)「なんて素晴らしいアイデアだ!君がこんな素晴らしいアイデアを出したのは実に23年ぶりやぞ」
(ピッグ)「ハイハイ、分かりました」
23年前に我々がペンギンズを立ち上げた時、クラブの名前を何にしようか相談したんだが、幹事長の私の意見を差し置いて、ピッグが「ペンギンズにしましょう」なんて言い出し、押し切られてしまったのだ。
しかし、よくよく考えてみれば、むやみにスピードを追求するのではなくマイペースでゆっくり走る我々のスタンスは、まさに「ペンギンズ」の名前がピッタリであり、素晴らしいネーミングだったと思う。
ピッグがナイスなアイデアを出したのは、その時以来、実に23年ぶりのことだ。
と感心していたのだが、5月にオリーブマラソンを自主開催して走っていた時、同じように一人で走っている女子がいて、支部長が聞いたところ、彼女も自主開催していた事が分かった。
また7月に汗見川マラソンを自主開催して走っていた時も、同じように走っているカップルがいて、支部長が聞いたところ、彼らもやはり自主開催していた事が分かった。
つまり、マラソン大会の自主開催ってのは、誰でも思いつくような平凡なアイデアだったことが分かったので、ピッグに対する賞賛は雲散霧消した。
(ピッグ)「ハイハイ、分かりました」
てなわけで、その後は中止になったイベントは、できる限り自主開催することとなった。
その第1弾が去年5月17日に開催したサイクリングイベントの第7回ツールド103であり、これが思いのほか楽しくて大成功だった。
続いてマラソン大会として5月のオリーブマラソン、6月の北山林道駆け足大会、7月の汗見川マラソン、8月の酸欠マラソン、9月の脱藩マラソン、11月の庵治マラソン、12月のタートルマラソンを自主開催してきたが、これらもとても楽しくて大成功だった。
願わくは、コロナのバカ騒ぎは去年で収束して、今年はマラソン大会が復活して欲しかったんだけど、今年になってもバカ騒ぎが終わらず、マラソン大会の中止が続いているため、自主開催マラソン大会の第8弾として今回の丸亀マラソンを開催することとなった。
参加するのは私のほか、支部長、ピッグ、D木谷さん、のらちゃんだ。当初は田村選手も参加予定だったが、急遽、仕事が入ったため残念ながらドタキャンとなった。
(幹事長)「高速ランナーの田村選手がいるとレースが締まるんだけどなあ」
(ピッグ)「今回は私が自己ベストを狙って頑張りますよ」
〜 丸亀競技場の周回コースで開催 〜
これまで、オリーブマラソンも北山林道駆け足大会も汗見川マラソンも酸欠マラソンも脱藩マラソンも庵治マラソンもタートルマラソンも、全て開催予定日に開催予定コースで自主開催してきた。
最近、本当のマラソン大会中止にする代わりにバーチャルで大会を開催するケースが多いが、バーチャルで自宅周辺を好き勝手に走るんでは、何の意味も無い。全く何の意味も無い。
マラソン大会ってのは、その場所に行ってみんなで走ることに意義がある。普段、練習している自宅周辺の道を一人で走ったって、そんなものはマラソン大会でも何でもない。ただの練習だ。
なので、我々の自主開催シリーズは、遠く離れた高知の山奥で開催される北山林道駆け足大会や汗見川マラソンや酸欠マラソンや脱藩マラソンや、離島で開催されるオリーブマラソンやタートルマラソンも、全て開催予定日に開催予定コースで自主開催してきた。
丸亀マラソンのコースは、ほとんど坂が無い国際陸連公認の高速コースを走るため、良いタイムが期待できる。我々のメンバーも、大半がハーフマラソンの自己ベストは丸亀マラソンで出している。
なので、今回も本当は丸亀マラソンの本コースを走りたかった。
しかし、丸亀マラソンは本コースを自主開催で走るのは困難だ。なぜならコースが市街地だからだ。
遠く離れた山奥とか離島で開催されるマラソン大会は、現地に行くのは不便だが、コースは走りやすい。そういう所では歩道は無いし、センターラインも無い狭い道だが、交通量は非常に少なく、信号機も無く、とても走りやすい。
しかし、丸亀は行くのは近くて便利だが、交通量が多く信号機も多いので、本コースを走るのは不可能だ。
本コースでなくても、近くに代替になるようなコースを取れればそれでもいいんだけど、少しばかり離れても市街地が続いているため、なかなか難しい。
て事で、今回は丸亀マラソンの会場である丸亀競技場のトラックで開催することにした。
(ピッグ)「え!?何周するんですか?」
(幹事長)「21.1kmを走るため400mのトラックを53周する」
(ピッグ)「ご、ごじゅうさんしゅう!?」
(支部長)「それは、きつい!精神的に耐えられない!」
(幹事長)「いやいや、これがなかなか楽しいんよ」
私は時々丸亀競技場のトラックで練習しているが、10周くらいなら簡単だが、20周や30周になると、かなりきつい。さらに40周とかになると絶望的な気分になるが、これが50周になると無我の境地になり、もっと走りたくなる。
(ピッグ)「ほんまですか!」
(幹事長)「てへぺろ。嘘です。でも精神修行には良いよ」
(支部長)「ランニングの修行をしたいよ」
て事で、陸上競技場のトラックをひたすら53周も走るという前代未聞のレースを開催することになった。
(ピッグ)「精神的にきつそうですが、坂が無い完全にフラットなコースなので、気持ちを切り替えれば大会自己ベストを狙えそうですね」
(支部長)「よし、1時間50分を切るぞ!」
丸亀マラソンでは1時間50分を切るというのが重要になる。
なぜなら、2017年の大会から一般部門がB部門とC部門に分かれたからだ。以前はエリートランナーがA部門で、一般ピープルはB部門だったが、一般ピープルが細分化され、過去3年間で男子なら1時間50分以内、女子なら2時間10分以内の記録を出したランナーがB部門で、それ以外はC部門となった。A部門がスタートした後、次にB部門がスタートし、最後にC部門がスタートすることになったのだ。
別にB部門だろうがC部門だろうが関係無いじゃない、なーんて事はない。かなり大きな問題なのだ。
タイムはゼッケンに着けたチップでネット計測してくれるから、後ろの方からスタートしても構わないんだけど、後ろの方からスタートしたら大混雑で身動きが取れなくなる。遅いランナーを追い抜きたくても、仲間同士でおしゃべりしながらゆっくり走るおばちゃん軍団なんかに邪魔されて追い抜くこともままならない。
昔は参加者が少なかったから、邪魔なランナーがいても、そのうちバラけてきて空いてきたが、1万人も参加するようになってからは、最後の最後まで混雑は緩和されず、最後までおばちゃん軍団に前を邪魔されたままになるので、それは避けなければならない。
実はスタート順は、B部門とかC部門とかいう大きな部門だけでなく、AブロックからTブロックまで細かく分けられている。以前からそうだった。
このブロック分けが適正に行われていたら、そんなに問題は無い。自分の周りは同じような速さのランナーであり、自分の前は速いランナー、後ろは遅いランナーだ。自分と同じ速さのランナー達と一緒に走れば、邪魔なランナーを追い抜く必要も無ければ、後ろから抜かれる事も無いので、秩序良く走ることができる。そうなればスタート直後の混雑も緩和されるはずだ。
ところが、どのマラソン大会でもそうなんだけど、ブロック分けの根拠は自己申告のタイムであり、みんな速めのタイムを申告しがちだから、本当は遅いのに前の方からスタートするランナーも多い。こうなると邪魔なランナーが多くて本当に走りにくくなる。
大会の開催要項には、参加上の注意事項として
「スタート順は、申告タイム(2017年1月1日以降の自己ベストまたは予想タイム)順とします。虚偽の申告は、安全な大会運営に支障をきたすので絶対にやめてください。アナウンス、現場係員の指示に従い、必ず指定されたブロックからスタートしてください。割り込みなどは絶対にしないでください」
などと強い口調で書かれているが、なかなか不正は防げない。
その打開策として2017年から導入されたのが、B部門とC部門の分離だ。AブロックからFブロックまでがB部門、GブロックからTブロックがC部門なんだけど、部門分けの基準になるのは自己申告タイムではなくて、大会事務局が把握している過去3年間のタイムだ。虚偽申告するランナーを排除するために厳密な記録に基づいてB部門とC部門に分けたのだ。
(支部長)「細かいブロック分けも過去のタイムを基に実施したらええんやないか?」
(幹事長)「ズルして紛れ込む人が多いから駄目なんじゃない?」
細かいブロック分けは、大きな部門の中でのブロック分けなので、どこにでもこっそりと紛れ込むことが可能であり、あんまり厳密には実施できない。でも大きな部門分けは、ゼッケンの色が異なるため、かなり厳密に実施されており、B部門に遅いランナーは紛れ込みにくい。
一方で、C部門の中では相変わらず遅いランナーが不適正な申告で前の方のブロックに陣取っている。なので、なんとしても1時間50分の制限時間をクリアしてB部門からスタートしたいわけだ。
て事で2019年は万全の状態で臨み、真剣に走った結果、なんとか久しぶりに1時間50分を切ることができ、翌年から3年間のB部門出走権を手にした。
タイムは3年間有効だから、2020年〜2022年までの大会はB部門で出られる事になったから、しばらくはムキにならなくてもいい。ただ、若い頃ならそれでもいいんだけど、毎年、老化は確実に進行しているから、翌年と翌々年が駄目だった場合、3年後に再び速くなるなんて事は、たぶん無理だ。
なので、できるだけ長い間、B部門でスタートできるよう、2020年も真剣に走った結果、なんとか1時間50分を切ることができ、B部門出走権は2023年まで確保できた。今年は本大会が中止になったが、この記録の扱いがどうなるのか気になるところだ。スライドして2024年まで有効になるのか、それとも2023年で打ち切られるのだろうか。
少なくとも、今回の自主開催で1時間50分を切ったところで、何の役にも立たない事だけは確かだが、来年、本大会が復活したときに再び1時間50分を切れるよう、今回も1時間50分を切るように頑張らなければならない。
〜 会場へ出発 〜
自主開催は自由に開催日を設定できるから、とても便利だ。できるだけ本来の大会が開催される予定だった日に合わせているが、多くのメンバーが参加できるよう、みんなの都合が良い日を選べばいい。また、天気が悪そうだったら延期するのも自由だ。
今年の丸亀マラソンの開催日は2月7日だったが、みんなその日で都合が良いという事で、2月7日に開催することにした。天気も良さそうだ。
丸亀マラソンの前日には、いつも金さんのジョギング教室が開催されてきた。毎年、誰かしら有名な女子選手を相棒にしており、一昨年は有森裕子が相棒で、去年は高橋尚子さまが相棒だった。
以前から時々参加してきた私としては、高橋尚子さまが来るのであれば何がなんでも万難を排して参加せねばならないが、有森裕子だと参加するかどうか悩むところだ。ただ、一昨年はのらちゃんが「ジョギング教室に出たことないから出てみたい」って言うから、一緒に参加した。
もちろん、大会前日のジョギング教室で何かためになる事を期待してはいけない。そんな即効性のあるノウハウなんて有り得ない。そんなものは最初から期待してはいけない。
内容は、延々と続くストレッチと、自分の目標ペースのペースランナーと一緒に走るペース走と、質疑応答だ。今さらの内容であり、翌日のレースに役立つことは一切無い。
大半の参加者もそれくらい分かっていて、誰も最初からそんな事は期待してなくて、単に金さんや高橋尚子さまと一緒に楽しく過ごすイベントと割り切っている。
でも、結果的に、一昨年は翌日の本番のとき、とても体が軽くなっていた。ジョギング教室のノウハウと言うより、前日に軽く楽しく走ったのが良かったようだ。
去年も同じで、翌日の本番のとき、とても体が軽くなっていて、2年連続で良いタイムが出た。
つまり、ジョギング教室が良いのではなく、前日に軽くジョギングするのが良いようなのだ。
私は以前から、レースの1週間前からは練習を控えて疲れを取ることにしている。特に老化の進展が著しい最近は、疲れを取ることが重要だ。
でも、前日に軽くジョギングするのは良い事みたいなので、今回も前日に近くの池の周りを軽く走った。
ただ、軽く4〜5km走ろうと思ってでかけたら、意外に多くのランナーが走っていて、ついついムキになって抜きつ抜かれつのランニングをして無茶なペースで走ってしまい、3km走っただけで力尽きてしまった。前日は軽くジョギングするのが良いはずなのに、ちょっと予定が狂ってしまった。
て事で、軽い疲労を残したまま当日の朝になった。天気予報では午前中は曇りで少し風もあるって言ってたけど、朝から快晴で風も弱い。
高松を出るのは例年よりちょっと遅い8時頃にした。自主開催なのでスタート時間は勝手に設定できるので、もっと遅くても良いんだけど、お昼までには終わらせたいので、9時頃に着いて、9時半頃にスタートする予定だ。
例年なら駐車場が大問題となる。駐車場は抽選に当たらなければ停めることができないのだ。
参加メンバー全員が駐車場に申し込むことにしているので、誰かは当選するが、たいていは遠く離れた臨時駐車場で、そこから送迎バスで移動するのに時間がかかる。
たまにメンバーの誰かが丸亀競技場の駐車場が当たって直接丸亀競技場に行ける事もあるが、そんなラッキーな事は滅多にない。
しかし、今年は自主開催で、当日は丸亀競技場では何のイベントも開催されないことを確認しているので、駐車場は停め放題だ。
今年は支部長さまが車を出してくれて、D木谷さんを拾ってから我が家へ来てくれて、その後、ピッグも拾ってから高松を出た。途中でのらちゃんを拾って丸亀競技場に着いたのは予定通り9時頃だ。
(D木谷)「今日も良い天気になりましたねえ。自主開催のマラソン大会はことごとく天候に恵まれてますよね」
(幹事長)「自主開催だから天気が悪そうな時には延期すればいいんだけど、結果的に、延期した事なかったよねえ。本当に天気に恵まれてるなあ」
(支部長)「いやいや、こんな良い天気は、恵まれてるとは言わんぞ。曇ってる方が走りやすい」
(幹事長)「夏ならそうやけど、真冬は曇ってたら寒いやんか」
(支部長)「いやいや、冬でも晴れたら暑い!」
支部長は汗っかきなので真冬でも天気が良いと汗をかきまくり、すぐ脱水症状になってアンデルセン状態に陥るのだ。でも私は寒がりなので暑い方が好きだ。雨なんて絶対に避けたい。
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、第33回小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、今は一年で一番寒い時期なので、天気が良い方が良い。
3年前なんて、朝から雪が降って丸亀競技場が真っ白になり、寒さで縮み上がった。
(支部長)「でもタイムは良かったやろ?」
(幹事長)「確かに」
確かにタイムは気温が低い方が良い。でも、やっぱり寒い中で走るのは嫌だ。
〜 会場到着 〜
会場に到着すると、思ったとおり駐車場はガラガラだったが、妙に人が多い。何があるのかと思って高校生らしき女子に聞いてみたら「練習です」なんて言ってる。丸亀競技場の行事予定表には何の記載も無かったから、学校単位の小さな練習かな。
使えるのであればメインの競技場を使いたかったが、メイン競技場は芝生の張替え作業中でトラックを一周できない状態だったため、いつも練習で使っているサブグランドで行うことにした。
サブグランドに行くと、高校生のグループがいくつか既にウォーミングアップなんかをしている。かなりの数の高校生がいるが、これまでの経験では、たいていの場合、長距離の選手ってのはいなくて、みんな短距離かフィールド競技の選手なので、お互いに邪魔にはならないだろう。
例年なら家を出てからスタートまでの時間が長いこともあり、家で朝食を食べるのは時間が早すぎるので、競技場に着いてから朝食を食べるんだけど、今日は素早くスタートできるので、家を出る前に朝食もトイレも済ませてきた。
こういうのも自主開催の便利なところだ。
(幹事長)「自主開催だと何もかも便利だから、本大会が復活しても自主開催を続けたいくらいやなあ」
(ピッグ)「本当に便利ですよねえ」
自主開催のメリットを挙げると、
・みんなの都合に良い日に開催できる
・天気が悪い時は延期できる
・勝手にスタート時間を決められるから早朝に出発しなくてもいい
・混んでないから駐車場に困らない
・混んでないからトイレに困らない
・終わってからも混んでないからスムースに帰れる
・参加費がかからない
一方、デメリットとしては
・本番ほどは気合が入らないから良いタイムは出ない
(ピッグ)「それだけですかーっ!」
(幹事長)「一番、重要な点ではあるけどな」
給水所が無いっていうのもデメリットだが、自分でリュックで運べば可能だし、今回はトラックで開催するので、各自、好きな場所にドリンクを置いておけばいつでも水分補給できる。
(ピッグ)「これ便利ですね」
(幹事長)「そやろ?400mごとに水分補給できるよ」
て事で、各自、好きな場所に飲料ボトルを転がしておく。
次はいよいよ着替えだ。何を着るかはマラソン大会において最も重要な要素だ。寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。
3年前のようなコンディションなら悩む余地は無かった。強烈な風雪の中を走るため、防寒に徹しなければならなかったからだ。迷うことなく、防寒用のぶ厚い長袖ランニングシャツを着て、その上に半袖Tシャツを着た。
一昨年は防寒に徹しなければならないほど寒くはなかったが、雨が降る可能性があったため、濡れてもベチョベチョしないように、登山用に愛用している吸湿性と速乾性に優れた長袖のインナーウェアを着て、その上に半袖Tシャツを着た。
去年は、気温は低かったけど天気が良かったから、悩みに悩んで長袖シャツ1枚で走った。
今年は去年よりさらに気温が高く天気も悪くなりそうな気配が無い。風も少しはあるが、冷たい北風ってほどではない。
(幹事長)「悩むなあ」
(支部長)「悩む余地は無いよ。絶対に暑くなるって」
さすがに半袖1枚では腕が寒くなりそうなので、去年と同じように長袖1枚にしようかとも思ったけど、結局、長袖のシャツを着て、その上に半袖Tシャツを着た。
(支部長)「それは暑いってば」
(幹事長)「暑くなったら脱ぐよ」
走り始めて暑くなったら脱げばいい。これまでも、途中で暑くなって脱いだことは数えきれないくらいある。
通常、途中で脱ぐのは長袖シャツだ。長袖シャツは脱いでも腰に巻いて走れるからだ。ただ、長袖シャツは内側に着ているため、それを脱ぐためには、いったん半袖シャツも全部脱いでから長袖シャツを脱ぎ、その後で半袖シャツを着なおすという作業が必要だ。これを真剣に走りながらやるのは大変だ。
(支部長)「タイムの事を気にして着るものに悩む割には、そんな事してタイムをロスしよるなあ」
ただ、今回はトラックで走るので、外に着た半袖シャツを好きな時に脱いで、その辺に置いておくって事が可能なので、あまりタイムロスは無いはずだ。
上に着る半袖シャツは2012年の丸亀マラソンのものだ。のらちゃんは2018年の丸亀マラソンのTシャツを着ている。
(ピッグ)「ちゃんと丸亀マラソンのTシャツを着てるんですね」
(幹事長)「当たり前やんか」
ピッグは四万十ウルトラマラソンのTシャツを着ているし、D木谷さんは丹後ウルトラマラソンのTシャツを着ている。この二人は、ウルトラマラソンを完走した事を自慢したくて、これ見よがしに着ているので仕方ない。
しかし、支部長は普段は丸亀マラソンのTシャツを着ることが多いのに、逆に今日は脱藩マラソンのTシャツを着ている。
(ピッグ)「どうしてわざわざ別の大会のTシャツを着てるんですか?」
(支部長)「何も考えてない」
(幹事長)「いかんなあ、みんな。自主開催の気分を盛り上げるためには、その大会のTシャツを着るんが当たり前やろ」
(ピッグ)「でも過去の記事を見ると、脱藩マラソンの時は幹事長はタートルマラソンのTシャツを着てますよ」
(幹事長)「そうやったかいのう」
そのほか、真冬なので、迷うことなくランニングタイツも履いた。ランニングタイツは、最近は履いてるランナーの方が圧倒的に多いくらい普及しているが、私はランニングタイツのサポート機能を全く信じてなかった。
ところが、一昨年の龍馬脱藩マラソンで、一緒に走った航路さんからタイツの機能を教えてもらった。彼によると、タイツを履くと筋肉の無駄な動きが抑制されて疲労が防止できるのだそうだ。テーピングも同じ効果があるとのことだが、航路さんは元陸上部なので、彼の言う事なら信用できる。て事で、それ以来、暑くない限りタイツを履いている。
しかし、今日は支部長とピッグは、暑いからと言ってタイツの代わりに脹脛サポーターを履いている。私も暑い時はタイツと同じ機能がある脹脛サポーターを履いてるけど、今日はそんなに暑くはないだろうと思うんだけど。
そのほか、手袋は気温が低ければ二重に履こうかと思っていたけど、そんなに寒くはないので1枚だけにする。
帽子は大嫌いなので、雨でも降ってない限り被らない。
ポケットにハンドタオルとティッシュを入れたら準備完了だ。
準備が終わったら、恒例のスタート前の記念撮影を行う。また調子に乗ってジャンプしたもんだから、レース前から疲れてしまった。
絶好の天候でやる気まんまんの精鋭メンバー
(左から幹事長、D木谷さん、のらちゃん、ピッグ、支部長)
集合写真を撮り終わったところで、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ。しかも、今回は坂の無い完全フラットなトラックを走るため、あわよくば良いタイムが出る可能性がある。
ただし、丸亀マラソンで是が非でもクリアしなければならない最優先タイムは、自己ベストではなく1時間50分だ。上にも書いたように、1時間50分を切れば、翌年から3年間は前方のB部門でスタートできるからだ。
大会自己ベストが出れば1時間50分もクリアしたことになるが、大会自己ベストが出なくても、最低でも1時間50分は死守したいのだ。
もちろん今回は自主開催なので、どんなに良いタイムを出しても、来年以降のB部門スタートには何の関係も無い。それでも気持ちの問題として、今年もなんとしても1時間50分を死守したい。
もともと丸亀マラソンのコースは、ほとんど坂が無い国際陸連公認の高速コースだし、気温が低い2月だから、良いタイムが期待できる。
それなのに、私はなぜか坂が非常に多くて厳しいコースの瀬戸内海タートルマラソンの方がタイムが良いことが多い。おそらくタートルマラソンは前半から坂が多くて厳しいコースなので、終盤の失速を恐れて序盤からペースを抑えめに走っているため、終盤に失速しない事も多く、結果的に良いタイムが出やすいのだろう。
一方、丸亀マラソンはほとんど坂が無い高速コースで良いタイムが期待できるため、ついつい調子に乗って序盤からガンガン飛ばしてしまい、結局、終盤に大失速するというワンパターンを繰り返している。
理想的な走り方と言うのは、序盤は抑えめに走って、後半にペースアップするという展開だ。タートルマラソンやオリーブマラソンでも、好タイムを出した時は、たいてい後半の方がペースが速くなっている。オリーブマラソンなんて、前半はフラットで後半に坂が続くから、後半の方が遅くて当たり前なんだけど、好タイムを出した時は必ず後半の方がペースアップしている。
しかし、丸亀マラソンのコースは終盤に失速するのが必至のコースだ。支部長は「最後の直線区間の直前にある17km地点の給水所の水には毒が入っているから直線区間に入ったら失速は避けられない」という毒入り説を信じて疑わないが、確かに、最後の給水所からゴールの丸亀競技場までの直線部分では、それまでどんなに快調に走っていても、必ず失速してしまう。
私は17km地点の給水所では、もう水分を取らないので、毒入り説には否定的だが、最後の直線コースは緩やかだけど上り坂になっているからペースダウンするのかもしれない。
しかし、一昨年は初めて終盤にペースを上げるという理想的な展開となった。あわよくば好タイムを出そうなんて色気を捨てて、1時間50分切りを絶対目標にして、前半を抑えて走ったからだと思う。そのおかげで最初から無茶に飛ばして終盤に撃沈するという永遠のパターンを避けることができたのだと思う。
それで十分なんだけど、少しだけ後悔もあった。ギリギリで1時間50分は切ったものの、ゴールして、あまりにも余力が残っていたのだ。全力を使い果たした時は、ゴールするともう足が動かなくなるが、まだまだいくらでも走れそうな余力が残っていたのだ。
後から考える結果論で言えば、もうちょっと前半から突っ込んでいたら、もっと良いタイムが出たはずだ。前半をあんまり抑えて走ってしまうと、いくら後半でペースアップしても、トータルで良いタイムを出すのは難しいのだ。
て事で、去年はもう少しだけ序盤のペースを上げてスタートした。一昨年は何がなんでも1時間50分を切らないといけないと思ったので、リスクを回避してセーブして走る作戦をとったけど、去年は失敗しても、まだ2年間はB部門で走れるので、少しくらいは冒険しようと思い、多少のリスクは冒して、一昨年より少しだけハイペースで入った。
その結果、一昨年のように終盤にペースを上げることはできず、むしろ少しペースダウンしてしまったけど、トータルでは一昨年より良いタイムだった。つまり、ちょうどいいペース配分だったのかもしれない。
今年は例年のコースではなく、ひたすらトラックを53周走るコースだ。でも、元々のコースもフラットなので、あまり変わらないと思う。なので、去年と同じようなレース展開に持ち込めれば良いと思う。
(ピッグ)「53周って、ちゃんと数えられるか不安ですねえ」
(幹事長)「みんな力は似たようなものだから私に聞いてくれたらいいよ」
私はこのトラックで走るのに慣れていて、毎周ごとにラップを取っているので、何周走っているか正確にカウントすることができる。私より速くても遅くても、それほど何周もは違わないだろうから、みんなの周回数は私が把握できるだろう。
〜 スタート 〜
スタート時刻は9時半に設定した。
相変わらず良い天気で、風もあまり無いから、寒くない。少し暑くなりそうだけど、私にとっては絶好のコンディションと言える。やる気が湧いてきた。
いよいよスタート時刻となったので、主催者の幹事長からありがたいお言葉を頂いて開会式が10秒ほどで終わり、支部長のカウントダウンにより一斉にスタートとなった。
スタート地点は、周回をカウントしやすいのでトラックのゴールラインが引いてある地点とした。
そこから53周走ると21.2kmになるので、ゴール地点はトラックのスタート地点辺りとした。つまり、正確に言うと52周と3/4だ。これで21.1kmになる。
周回数は私が管理するとして、各自のタイムはもちろん自己計測だ。自主開催なので当たり前だ。
自主開催シリーズでは、常に序盤は私が先頭を走っている。序盤はコースが分かりにくい事が多くて、道に迷う人が出るといけないので、分かりやすい道に出るまではコースを把握している私が先導している。
自主開催シリーズが始まって以来、常に同じパターンだ。あわよくば、そのまま最後まで先頭で逃げ切りたいところだが、逃げ切れたのは酸欠マラソンだけだ。
今回はトラックを走るので、道に迷う心配はない。ただ、いつもの調子で最初は私が先頭を走る。当然ながら、すぐ後ろからみんなピタッと着いてくる。
とりあえず自然体で走ってみると、1周目のラップは2分ジャストくらいだった。
21.1kmで1時間50分を切るためには1km5分12秒くらいで走ればいいから、400mトラック1周あたり2分5秒くらいで走ればいい。
ただ、去年は1km平均5分5秒くらいで走ったから、トラック1周あたり2分2秒くらいだ。なので1周目のラップが速すぎるって事はないから、そのペースで行けるところまで行こうと思った。
ところが、2周目になるといきなりペースダウンした。すると、とたんに後ろの足音がピッタリと迫ってくる。こらいかんと思って立て直し、次の3周目はペースを上げる。しかし、後ろからの足音はますます大きく迫ってきて、バックストレートで遂に早くもピッグが抜きにかかる。ちょっと頑張ってみるが、あんまり無理したらいけないと思って前に出てもらう。
ところがそのまま第4コーナーを回ってホームストレートに入ると、なぜかピッグが遅く感じられる。それで、ゴール付近で抜き返した。
ところが、第2コーナーを回ってバックストレートに入ると、再びピッグが抜き返してきた。
この展開は、その後も何度か繰り返された。またピッグ相手だけでなく、支部長とも似たような抜きつ抜かれつの展開が何度かあった。これについてレース後に分かった事がある。
(支部長)「幹事長はホームストレートに入ると、急にペースが上がるよ」
(幹事長)「え?そうかな?」
(ピッグ)「そうですよ。第4コーナー辺りから急にスピードが上がりますよ」
てっきりピッグや支部長のペースが上下しているのかと思ってたら、ペースが変動していたのは私だったようだ。
(のら)「練習の時でもいつもそうだよ。バックストレートでは遅いのに、ホームストレートに入ると急に速くなるんだよ」
どうやらホームストレートに入ると気合が入って速くなる癖があるようだ。
ピッグと競り合うのがしんどくなって諦めると、ピッグの背後にピッタリ着いていた支部長も一緒に追い越していった。
D木谷さんとのらちゃんは、我々3人が競り合っている間に、少し離れたようだ。タートルマラソンの時と同じような展開だ。
ちょっと頑張って走り過ぎたせいか、だんだん暑くなってきたので、丸亀マラソンの半袖Tシャツを脱いで、トラックの横に置いた。また寒くなればいつでも着られるから、気楽だ。
(ピッグ)「でも丸亀マラソンのTシャツを脱いだらいかんでしょ」
ピッグや支部長と競り合っていた時はペースを維持できたが、二人が離れていくと単独の戦いとなり、そうなるとどうしてもダレてしまう。1周ごとのラップは着実に落ちていき、遂に1km5分半ペースくらいにまでガタ落ちした。
すると後ろの二人もどんどん近づいてきて、遂にD木谷さんとのらちゃんにも抜かれてしまう。なんとか立て直したいけど、きつくてペースを上げられない。
さらにダラダラ走っていると、なんと遂にピッグと支部長が後ろから迫ってきた。これはまずい。いくらなんでも周回遅れは屈辱だ。
さすがに気合が入り、一気にペースを上げる。単独で走っていると、いくら気合を入れようとしてもペースは上がらないが、こういう危機的状況になるとペースは上がる。
彼らに抜かれまいとして頑張って走ると、再び1周2分ジャストくらいにまでペースアップした。て事は、彼らは最初からずうっとこのペースを維持して走ってきたって訳だ。これなら軽く1時間50分はクリアできるだろう。
しばらく二人とつばぜり合いをしていたが、なんとここでピッグがいきなり戦線を離れて水分補給に行った。すると、なんと支部長も一緒に水分補給に戦線を離脱した。
これはチャンスだ。通常のマラソン大会の給水と違って、今回は自分で給水ボトルの蓋を開けて飲まなければならないので、少し時間がかかる。このスキに追いつかれないように離さなければならない。
なーんて思ったんだけど、単独になると、また突然ペースダウンしてしまい、思ったように差は付けられない。
それでも二人としばらく競り合っていたことで、前を走るD木谷さんやのらちゃんとの差は明らかに詰まっていた。彼らに追いつければ展開が変わってくると思い、なんとか頑張る。
しかし、全然ペースは上がらず、1km5分半ほどのペースが続く。ただ、彼らもどうやらペースダウンしているようで、少なくとも差は広がっていかない。
そうこうしていると、再び支部長が後ろから迫ってきた。周回遅れだけは避けたいので頑張ってみるが、支部長はどんどん迫ってきて、ついに後ろにピタッと付けられた。
でも、追いついてきたのは支部長だけで、ピッグはいない。
(幹事長)「あれ?ピッグは?」
(支部長)「だいぶ後ろや」
見ると、かなり遅れている。水分補給で一気に緊張の糸が切れたようで、やる気を失ったかのようにズルズルと後退している。支部長との1対1の勝負に疲れ果てたようだ。恐るべし支部長!
ただ、支部長は一気に抜いていくのかと思ったら、ピッタリ後に着いて前には出ない。
(支部長)「風が強くなってきたから幹事長を風よけにするよ」
もちろん、黙って風よけにされては不利なので、ホームストレートに入ると少し頑張って離す。しかしコーナーを回ると再びピタッと後ろに付かれてしまう。
なぜかホームストレートの区間だけはペースが上がるが、それが終わるとペースが落ちる。
そして、遂に追い抜く勢いで聞いてくる。
(支部長)「もう残り3周くらいかな?」
(幹事長)「え?私が37周目やから、支部長は38周目や。まだあと15周あるよ」
(支部長)「ええーっ!?まだそんなにあるんかいな!」
支部長は何か勘違いしたらしくて、もう残り3周くらいだと思い、ラストスパートをかけようとしたんだそうだ。でも、まだ6kmも残っていると知って、少しくじけてしまい、私を抜く気力がなくなったようで、そのまま後ろを着いてきた。
その後もペースは上がらないが、後ろに支部長がピタッと着いてくるので、ある程度の緊張感は保つことができ、大きくペースダウンすることなく、二人で淡々と走って行く。すると、他のメンバーも徐々にペースダウンしているようで、D木谷さんやのらちゃんとの差が着実に縮まってきた。
中でもピッグのペースダウンが著しく、D木谷さんやのらちゃんに抜かれて、私のすぐ目の前まで落ちてきた。このままだと追いつける。
こういう時は一気に追いつこうと思って頑張ってみるが、なかなか追いつけない。ピッグがペースアップしたのかと思ったら、自分のペースが落ち始めていた。
ここまでなんとか踏ん張ってきたが、残り3kmくらいから一気にペースダウンし始めた。
ピッグとの差が縮まらないまま、しばらく走っていると、遂に50周を越え、残り3周となった。
(幹事長)「支部長は、あと2周やで」
(支部長)「おおう、やった!じゃあお先に行きま〜す!」
(幹事長)「頑張ってピッグを抜いてね」
支部長はそのまま一気にラストスパートしてピッグをも周回遅れにしようとスピードを上げたが、どうやらピッグも追い付かれまいとラストスパートしたようで、支部長との差は縮まらず、そのまま二人一緒にどんどん遠くなってしまった。
同じようにD木谷さんやのらちゃんも最後の頑張りを見せ、背中が少しずつ遠ざかっていき、私が追いつくのは不可能な状況になった。
〜 ゴール 〜
そのまま支部長、D木谷さん、のらちゃん、ピッグ、私の順でゴールした。
と思ったら、なぜかD木谷さんが走り続けている。後に続いてゴールしたのらちゃんは戸惑っていたが、間違っていたのはD木谷さんの方だ。
彼はGPS付きのランニングウォッチをしていて、それを見て距離を測っていた。GPSでは直線距離は正確に計測できるが、トラックのような円形のコースでは誤差が出て短めに表示される。少しくらいなら問題ないが、53周も走っていると誤差が蓄積して1周分くらいは狂いが出てしまうのだ。
まだ37周しか走ってないのに50周走っていると勘違いした支部長を始め、我々なら少しでも早く終わらせたいという願望から勘違いするところだが、D木谷さんは2017年の高松トライアスロンでは自転車で9周するコースを10周もしてたくらいなので、長く走るのは苦痛ではないらしい。
結局、支部長がダントツのブッちぎりで優勝した。支部長としては、庵治マラソンとタートルマラソンで覚醒の2連覇を達成したピッグを蹴散らし、久しぶりの優勝だ。やはり、支部長が今、一番の実力者と言えよう。
一方、ピッグは途中まで支部長と競り合っていたが、水分補給したとたんに一気に脱落した。
(幹事長)「ペットボトルを飲みながら歩いていたという目撃情報があるが」
(ピッグ)「歩いていたように見えたかもしれませんが、自分では走ってるつもりでした」
いずれにしても支部長との競り合いを諦めたとたんに一気に脱落した。精神的な弱さが露呈したと言えよう。
(ピッグ)「一番精神的に弱いのは幹事長でしょう」
(幹事長)「すんませーん」
私も誰かと競り合っている時はペースを維持できるんだけど、ちょっと離れて孤独な戦いになると、とたんに激しくペースダウンしてしまう。
本番の正式な大会の場合は、周りに途切れることなく大勢のランナーが走っているから、緊張感が途切れる事がない。そのため、最後まで頑張る事ができるが、たった5人では気持ちが持たない。
(幹事長)「序盤でピッグは飛ばし過ぎや。あれがもう少し遅かったら着いていったのに」
(支部長)「序盤は確かに速かった。着いていくのがしんどかった」
(ピッグ)「ちょっと無理し過ぎましたね。あれで終盤、足が動かなくなりましたよ」
て事で、私としてはパッとしないつまんない結果となった。
支部長もダントツでぶっちぎりの優勝を遂げたとは言え、タイムは1時間52分だから、目標の1時間50分は切れなかった。
(幹事長)「やっぱり本番でないと良いタイムはでないな」
(支部長)「ま、本番でないところで良いタイムを出しても仕方ないけどな」
天気は終盤に少しずつ雲が増えてきて、風も少し強まってきた。走っている時は、そんなことは気にならなかったが、走り終えると肌寒くなってきたので、そそくさと引き上げる。
ロッカー室で着替えていると、足にいっぱいマメが出来ているのが分かった。ちゃんとマメ防止のテーピングをしているのに、最近、マメが出来ることが多い。フォームが悪いんだろうか。
〜 反省会 〜
例年ならレースが終わっても、駐車場にたどり着き、さらに車を出すのが大渋滞で大変だが、自主開催なのでスムースに会場を後にする。
いつものようにうどん屋での反省会に繰り出す。ちょうど12時過ぎだが、近くにある釜揚げうどんの香の香に行ってみる。
香の香は大人気の店なので、通常なら日曜日のお昼時は頭がクラクラするような大行列が出来る。
ところが1週間前の峰山山系全山トレラン大会の後は、近くの竹清に待たずに入る事ができた。竹清もすごい人気店で、通常なら日曜日のお昼時は果てしない長蛇の列が出来て、近寄ることも不可能だ。ところがコロナ騒ぎのおかげで観光客が激減したため、全然並ばずにスッと入る事ができたのだ。
なので、今日の香の香も、もしかしたら空いているかもしれないと思って行ってみたら、期待通り、行列は少ししかなくて、ほんの少し待っただけで座ることができた。ただし、うどんが出てくるまでは、だいぶ待たされたが。
結局、タイムは去年より6分以上も遅い惨敗だった。途中でみんなに着いていけなくなったんだから、ペース配分とか作戦が悪かったとか言うんじゃなくて、明らかなスピード不足だ。単に練習不足の結果のような気がする。
去年の8月末に手術入院した後のレースは、全て似たような展開だ。手術でしばらく練習できなくなった影響が残っている可能性はあるが、去年の丸亀マラソンの後、故障で半年以上も練習ができなかったのらちゃんに負けたんだから、そんな言い訳は通用しないだろう。
去年の12月から今年の1月にかけては、昨シーズンほどではないにしても、そこそこの練習量は達成したのに、こんなに落ち込むなんて衝撃だ。
(支部長)「単に練習不足なんよ。私は去年は年間を通して毎月200km以上はコンスタントに走ったよ」
支部長のすごいところは、ランニングを毎月200km以上走っている上に、水泳も毎日1km以上は泳いでいる事だ。明らかに体力が向上している。
(ピッグ)「幹事長は山に行きすぎですよ。3日前にも登ってたでしょ」
(幹事長)「だって、お山は楽しいんだもーん」
時々「ランニングはもう卒業して、山登りだけを楽しみたいなあ」なんて思ったりするくらいだ。
ま、しかし、コロナ騒ぎが収まって本大会が復活し始めたら、もっと真剣にランニングに取り組まなければならない。
ただ、最近のマラソン大会ではいつも感じる事だけど、今日もゴールした後、足には疲労感が無かった。本当に力を出し切った時は、ゴール後は歩く事も辛くなるが、今日は平気で、まだまだ走れそうな感じだった。つまり全力を出し切れてないって事だ。これは明らかに精神力の問題だ。もっと頑張って限界まで力を出せるようになりたいぞ。
ただ支部長も、我々は蹴散らされたとは言え、去年よりは少し遅かったし、他のメンバーも自己ベストには程遠かった。
唯一のらちゃんだけは大会自己ベストだった。去年はレース途中で足を故障して、レース後は歩くこともできないくらいだったので、怪我から回復すれば当然だろう。
(のら)「でも支部長に勝てなかったのが悔しい!」
(支部長)「ふふふ。いつでもかかってきなさい」
もちろん、次のレースでは私とのらちゃんが支部長に圧勝するだろう。間違いない。なぜなら、次のレースはトレランだからだ。
一昨年、去年と2年連続で出場した善通寺五岳山空海トレイルが今年はコロナ騒ぎで中止になったので、我々で自主開催する。天候次第だが、一応の予定は2週間後だ。
最近、自主的にやっているトレラン大会の結果を見ると、仏生山クレーター五座トレラン大会も峰山山系全山トレラン大会も、登山やトレランに慣れた私とのらちゃんが気持ちよくスイスイ走る一方で、他のメンバーは山に慣れてないので、息も絶え絶えで死にそうになりながら走ってくる。
しかも、善通寺五岳山空海トレイルのコースの厳しさは、仏生山クレーター五座トレランや峰山山系全山トレランの比ではない。上りがきついだけでなく、急斜面を転げ落ちる下りも慣れてないと走れない。
(支部長)「それって危険そうやなあ。私は高所恐怖症やから危険な登山は嫌だよ」
(幹事長)「いやいや、楽勝楽勝。ハイヒールでも行けるよ」
(支部長)「乗鞍岳も阿蘇山も、そのセリフで騙されたぞ。ハイヒールでも登れるっていうのには、もう騙されないぞ」
もちろん善通寺五岳山空海トレイルをハイヒールで走るのは無茶だが、みんなトレランシューズを買ってるので、大丈夫だろう。
ワクワクするぞ。
〜おしまい〜
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