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琵琶湖マラソン2024


第79回 琵琶湖マラソン

〜 近江牛が無いなんて! 〜



2024年3月10日(日)、滋賀県大津市から草津市にかけての琵琶湖南岸第79回琵琶湖マラソンが開催された。
ペンギンズが初参加するマラソン大会だ。

琵琶湖マラソンは1946年に第1回大会が開催された日本最古のマラソン大会だ。
以前は琵琶湖毎日マラソン大会と言う名称で日本陸上競技連盟が主催していたワールドアスレティックス(国際陸連)ゴールドラベルの男子マラソン大会で、国際大会の代表選手選考会も兼ねていた由緒あるマラソン大会だ。
参加資格もフルマラソンで2時間30分以内のタイムを出した者に限られた超エリートランナーのマラソン大会だった。

(支部長)「ハーフマラソンなら2時間30分は簡単やけどな」
(幹事長)「ハーフマラソンなら1時間10分以内が参加資格やったぞ」


有り得ない世界である。
このような超エリートしか出ない名実ともに日本を代表する超名門マラソン大会であり、3年前の2021年大会では鈴木健吾が2時間4分56秒の日本新記録を樹立して優勝している

ところが、この由緒あるレースが廃止になってしまった。最後の年に鈴木健吾が日本新記録を出したってのが皮肉だ。
名目上は大阪マラソンとの統合と言う事にしたが、コースが大阪になってしまったので、実態としては琵琶湖マラソンは廃止になったと言える。
大阪マラソンは2011年に新設されたばかりの由緒の無い新参者のマラソン大会だが、大都市のど真ん中で開催されるマラソン大会なのでとっても楽しく、人気が高い。
琵琶湖毎日マラソンは由緒正しいマラソン大会だったが、大阪マラソンの人気には勝てず、その軍門に下ったって訳だ。

それで、とりあえず2022年大会は第10回大阪マラソン・第77回びわ湖毎日マラソン統合大会なんて銘打って大阪で開催された。
しかし、その統合大会というあんまり意味の無い名称すら1年で無くなり、2023年は元の第11回大阪マラソンという名称に戻り、琵琶湖毎日マラソンの名称は無くなった。
ここに名実ともに琵琶湖毎日マラソンは完全に消滅した

ところが、その2023年に、琵琶湖毎日マラソンの後継イベントとして市民マラソンである琵琶湖マラソンが始まった。特段の参加資格は無く、誰でも出られる。
今回我々が参加するのは、その後継の琵琶湖マラソンの第2回大会だ。

(石材店)「それならタイトルは第2回琵琶湖マラソンにするべきですよね」
(幹事長)「第79回琵琶湖マラソンとした方が由緒正しそうで格好いいやんか」


この大会に出ようと言い出したのはD木谷さんだった。と思う。違うかもしれない。
彼は2022年の神戸マラソンの後、新しい提案をした。

(D木谷)「今まで出た事ないマラソン大会に毎年1つずつ出てみましょうよ」

これは、なかなかナイスな提案だった。
神戸マラソンがフルマラソンのデビュー戦だったのらちゃんは華々しい結果を残したため、翌年も出る気満々だったが、他のメンバーは平凡な結果に終わったし、みんな神戸マラソンには既に何度も出ていた事から「もう出なくていいや」って空気になっていたからだ。
この提案に従って2023年は下関海響マラソンに出て、今年は琵琶湖マラソンに出てみようとなったのだ。

(幹事長)「そういう経緯だったと思うんだけど、そうでしたかね?」
(D木谷)「そうでしたかねえ?」
(支部長)「何にも覚えてないなあ」


経緯は覚えていないが、伝統ある有名なマラソン大会なので、一度は出てみようと参加を決めたものだ。

ただ、上記のように、由緒のある琵琶湖毎日マラソンの後継イベントと言うだけで、この大会自体は実は全く由緒が無いって事を知ったのは、大会の僅か5日前の事だった。

(幹事長)「全然、由緒の無い大会じゃないですか!」
(D木谷)「言わなければバレないでしょ」


今回、琵琶湖マラソンに参戦するのはのほか、支部長、D木谷さん、加藤選手の4人だ。
いつも参加するのらちゃんゾウさんは、同日に開催される名古屋ウィメンズマラソンに出るため琵琶湖マラソンには出られない。

(幹事長)「由緒ある琵琶湖マラソンに出たくない?」
(のら)「なんだか地味なオタクのレースっぽいイメージやね」
(ゾウ)「名古屋ウィメンズの方が華やかで楽しいですよ」
(幹事長)「私も許されるなら名古屋ウィメンズの方に出たい!」
(支部長)「体は男だけど心は女って事で出してもらえないかなあ」


〜 コース 〜


もちろん、琵琶湖マラソンがどういうコースなのかは全く知らなかった。琵琶湖の辺りを走るんだろうって事くらいしか知らなかった。

(のら)「琵琶湖の周りを一周するんでしょ?」
(幹事長)「琵琶湖の周りを一周したら200kmにもなるがな!」


我々自転車部は6年前に琵琶湖一周サイクリングを敢行したが、一周するのは自転車でも大変だった。
琵琶湖マラソンのコースは琵琶湖の沿岸と言っても、南の端っこの方を走るものだ。

スタート地点琵琶湖の南西岸の端っこにある大津市皇子山陸上競技場だ。そこをスタートした後は琵琶湖の南岸東に向かって走り、近江大橋を渡って琵琶湖の東岸に移る。
そこから今度は北上し、中間地点辺りで東に向いてわき道に入ったりするが、再び琵琶湖の東岸に戻って北上する。
その後、いったんは烏丸半島を通りながらも、そのまま通り過ぎて北上を続け守山市琵琶湖大橋の近くまで行ってから南に向かって折り返し、再び草津市烏丸半島まで行ってゴールする。
大まかに言えば琵琶湖の南岸を西から東に向いて走るって感じだ。

アップダウンの少ない片道コースであり、走りやすそうと言うか、良いタイムが出そうなコースだ。
さすがは3年前に日本新記録が出た高速コースだと思っていたが、かつての由緒正しい琵琶湖毎日マラソンのコースとは異なっていた。それを知ったのも、大会の僅か5日前の事だった。
琵琶湖毎日マラソンのコースは、何度も変更を繰り返していたが、基本的には皇子山陸上競技場を発着するコースだったようだ。

(支部長)「幹事長にしては事前の学習が足りないな」
(幹事長)「君は当日まで知らなかったやろ?」


開催時期が3月の初めってのは少し不安だ。何が不安かと言うと、まだまだ寒いんじゃないかっていう不安だ。
一般的にマラソン大会は秋から春にかけて開催され、特にシリアスなマラソン大会は冬場がメインとなる。寒い方が良いタイムが出やすいからだ

しかし冬は寒い。当たり前だ。寒いのが苦手な私としては冬のマラソン大会は嫌いだ。東京マラソンや大阪マラソンなんかはとっても楽しいコースなんだけど、寒い時期に開催されるってのが難点だ。
大阪マラソンは以前は11月に開催されていたのに、いつの間にかどさくさに紛れて2月の開催になってしまった。
寒いのが嫌いな私は、みんなが嫌がる夏場の暑い時季のマラソン大会の方が好きだ。

(支部長)「いつも言っておるが、好きなのとタイムが良いのとは無関係やで」
(幹事長)「分かっておりまする」


もちろん、好き嫌いとは別に、良い記録が出るのは寒い季節だ
7月末の汗見川マラソンなんか論外としても、5月のオリーブマラソンや10月の脱藩マラソンでも、天気が良い時は猛暑のレースとなって惨敗する。2月の丸亀マラソンなんかの方が良いタイムが出る。

でも寒いのはやっぱり嫌だ。特にフルマラソンの場合は寒いのは辛い
ハーフマラソン程度の距離までなら、最後までさほどペースは落ちず頑張って走れるから、寒くても体は熱を発散し続け、なんとか耐えられる。
でもフルマラソンの場合は、前半は体が動いているから熱も出てくるが、後半は疲れ切った体を引きずってトボトボ歩いたり、歩くようなスローペースになったりするので、体が熱を発散せず、どんどん冷えてくる
なので寒い時期のフルマラソンは辛い。

昨年の下関海響マラソンは11月の開催だったから、終盤トボトボと超スローペースに落ちたが、寒くはなかった。
また那覇マラソンは12月開催だったけど、常夏の沖縄でのレースだから、やはり終盤トボトボと超スローペースに落ちたが寒くはなかった。

(支部長)「寒くないどころじゃなくて、暑くて大変やったやんか!」

寒いよりは暑い方がよっぽどマシだ。


〜 宿泊場所の確保 〜


四国内のマラソン大会は、たいてい当日の朝に受付がある。近くのマラソン大会なら良いけど、高知県内の大会なんかになると、かなり早起きして暗いうちに家を出なければ間に合わない。
一方、大都市のマラソン大会は、たいてい前日に受付がある。参加者が多いと当日の朝では大混乱になるからだろうけど、遠方から参加する人にとっては前日受付は負担感が大きい
いずれにしても大変だ。

でも、この琵琶湖マラソンは受付が無い。普通の大会なら受付でもらうゼッケンや参加賞などは事前に送られてきている
これは便利だ。これで済むんだから、世の中の他のマラソン大会も全て同じように事前に送るようにして、当日や前日の受付は廃止にして欲しい

とは言え、受付が無い琵琶湖マラソンではあるが、琵琶湖は遠いので当日の朝に出発して日帰りするのは無理だ
香川から琵琶湖まで片道4時間近くはかかりそうなので、スタートの8時20分に間に合わせるためには、遅くとも夜中の3時には出発しないといけない。そんな事したらスタートする前からヨレヨレになってしまう。
なので、受付は無くても前日から移動しなければならない。なので、宿泊場所を確保しないといけない

遠方へのマラソン遠征の際の宿泊場所の確保は極めて大変な問題だ。
一番記憶に残るのが2013年の大阪マラソンだ。詳細は2013年の大阪マラソンの記事に書いているが、ああいう機会でも無ければ、絶対に一生、泊まることがないような怪しい場所に泊り、結果的に非常に得難い経験をした。
那覇マラソンも似たような状況だったが、2023年大会では画期的な宿泊場所を開拓した結果、とても快適な沖縄滞在を楽しめた。
龍馬脱藩マラソンでも大変苦労した。あまりにも苦労したため、今は前日移動は諦め、当日の早朝に出発している。

このように、これまでも苦労し続けてきた宿泊場所の確保だが、今回は少し事情が異なる。
これまでは、単純に宿泊場所がなかなか確保できずに苦労してきたが、今回は、どこに泊るのか決めるのに悩んだ

もちろん、宿泊場所の確保では非常に苦労を重ねてきたので、最近は行動が早い
バカ正直にエントリーが決まってから探したのでは遅すぎて、手が届かない高級ホテルしか残っていないのは分かっている。
なので、例えば東京マラソンの場合は、毎年、抽選に申し込む何ヵ月も前に、会場近くの安宿を前日と当日の2泊分の予約をしている。
もちろん、東京マラソンは落選するのが当たり前なので、毎年、直前になってキャンセルし続けている。

一方、琵琶湖マラソンが開催される大津の宿泊状況はどうなのか皆目見当がつかない。
宿泊場所の確保の難しさは、宿泊施設のキャパと利用者の数に左右される。大津は大都市ではないが、そこそこの規模の町なので、そこそこの数のホテルはありそうだ。
一方、参加者の大半は京阪神の人達だろう。なので、それほど宿泊客が多いとは思えない。なので、それほど厳しい状況にはならないだろう。
とは思うが、全く予想できないので、とにかくエントリーと同時に早々に押さえておこうとした。

ところーが!なんと、マラソン大会にエントリーした時点で、既に近くの宿泊場所はほぼ完売していた。
て言うか、そもそも、なんとか会場まで歩いていけるような範囲には元々宿泊場所はとても少なかったのだ。

ここからが問題だ。会場の近くに宿泊場所が無い場合、一体どこに泊るのが良いのか。これが非常に難しい。
まず、我々は香川から車で現地に行くんだけど、マラソン大会の会場付近には適当な駐車場が無いらしい。
下関海響マラソンの時は、かなり離れた場所に泊まり、大会当日の朝に車で移動して、会場のすぐそばの大規模な駐車場に車を停めた。
しかし、皇子山陸上競技場の近くには大きな駐車場が無いようなので、同じ手は使えない。

さらに、琵琶湖マラソンはスタート地点とゴール地点が異なると言うのも問題になる。仮にスタート会場まで車で行ったとしても、レースが終わったらわざわざ車を取りに戻らなくてはならなくなる。
ゴール地点からは最寄りの草津駅と守山駅にはシャトルバスが出るが、そこからは電車での移動になる。
そうなると、草津の駅周辺に宿泊するのが良さそうにも思える。ただ、草津の駅周辺のホテルも、ほとんど残ってはいなかった。

それで、一体どうしようか悩みに悩んだ結果、遂にパズルを解いた。
 ・まず少し離れた野洲市という所にある、車で行かないと少し不便な場所のホテルを予約する。不便な場所にあるので、お値段は手ごろだ。
 ・そこからレース当日の朝、草津駅の近くの駐車場まで行って車を停め草津駅からスタート地点の皇子山陸上競技場まで電車で移動する
 ・レースが終わった後はゴール地点から草津駅までシャトルバスで帰ってくる
という素晴らしいプランだ。

(幹事長)「素晴らしいプランでしょ?」
(D木谷)「それは素晴らしい!前日に少し早めに行って草津駅周辺の駐車場事情を偵察しておきましょう」


という事で、なんとか無事に宿泊場所問題をクリアした。


〜 琵琶湖へ移動 〜


今回はD木谷さんが車を出してくれて、支部長加藤選手を拾った後、12時過ぎに私んちに迎えに来てくれて、高松中央インターチェンジから高速道路に入った。
琵琶湖は遠い。片道300km近くある。下関海響マラソンで行った下関(片道400kmちょっと)とか秋吉台カルストトレイルランで行ってる秋吉台(片道400km弱)よりは近いが、片道150kmちょっとの神戸なんかに比べると、はるかに遠い。
しかも、途中には年がら年中混雑して渋滞が発生する京都なんかを通らなければならない。そのため、ちょっと早めに出発したものだ。

天気予報では今週末の天気は良さそうだ。
今年は年初から満濃公園リレーマラソンと言い丸亀マラソンと言い坂出天狗マラソンと言い善通寺五岳山空海トレイルと言い、晴天とはほど遠い微妙な天気が続いてきた
いずれも雨の直後とか雨の直前と言った具合で、かろうじて雨の直撃は避けられてきたが、気持の良い快晴の下でのマラソン大会とはならなかった。
それに比べたら、明日は久しぶりに晴天の下でのマラソンが期待できる。

もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、第33回小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。

ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、寒い時期に冷たい雨の中を走るのは嫌だ。特にフルマラソンの場合は寒いのは辛い
雨のフルマラソンと言うと、もう古い話だが2006年のタートルマラソンで終盤に体が冷えて、ものすごく辛かった事を鮮明に覚えている。
また2020年の高知龍馬マラソンも、雨で寒くなった上に、お腹も冷えてお腹を壊して、歩くような超スローペースでゴールまで泣きながら走った事を覚えている。
このような辛い経験があるから、フルマラソンでは雨は避けたい。なので、今回は少なくとも雨が降るって事は無さそうなので嬉しい。

と思ってたんだけど、淡路島を走っていると、なんと雪が降ってきたではないか。雨どころの話ではない。トンでもない寒さになるかもしれない

車は渋滞も無く順調に進み、3時間ほどで草津駅に着いた
まずは草津駅周辺の駐車場事情を偵察する。
明日の朝は、この辺りに車を停めて、電車に乗ってスタート会場の皇子山陸上競技場まで行き、レース後はゴール地点の烏丸半島からシャトルバスに乗ってここに戻ってくる事になる。
なので、駐車場はできるだけ草津駅に近い方がよろしい。
駅の近くには、大規模な駐車場はあんまり無いけど、小さな駐車場はたくさんあった。我々と同じような行動パターンを取る参加者がどれくらいいるのか分からないが、通常ならいくらでも停められそうだ。

駐車場の目途が着いたので、ホテルに向かう。ホテルまでは道が混んでいて、30分ほどかかったが、それでも16時頃には到着した。
野洲市にあるビジネスホテル・タカラというホテルで、大したホテルではないが、寝るだけなので問題は無い。

明日は早朝に朝食を食べる必要があるので、それから逆算すると今日の夕食も早目に食べる必要がある
て事で、ちょっと早いけど、17時頃に近くのレストランで夕食を食べた。ホテルのすぐ近くなんだけど、雪が散らついて、行き帰りがものすごく寒かった
その後、コンビニで明日の朝食を買い、ホテルに戻ったら早めにベッドに潜り込んだ。


〜 朝食 〜


昨晩は8時頃に早々にベッドに入ったが、さすがに、いくらなんでも早すぎたようで、実際に眠れるまでは2時間くらいかかってしまった。
そのため、朝4時に目覚まし時計に起こされた時は、少し睡眠不足気味だった。

体をシャンとさせるためにシャワーを浴び、それから朝食を食べる。
私の場合、朝食を食べてしばらくするとトイレで大が出るようになるので、早目に食べて出発する前にトイレを済ませるのが理想だ。
なので、かなり早いが、5時前には食べる事にした。

食べるものには用心しなければならない。もちろん、ご飯を中心にに食べなければならない。
以前はレース中にお腹を壊すことが多かったので、用心して朝食と一緒に下痢止めの薬も飲んでいたが、2015年の徳島マラソンから朝食を菓子パンからおにぎりに変えてみたらその後は一度もお腹を壊さなくなった
パンに含まれるフルクタンという糖類は消化に悪く、下痢になりやすいが、お米に含まれている糖類は消化が良いので、おにぎりを食べれば、もう下痢を心配する必要は無いのだ。

なーんて、すっかり油断してたら、なんと2020年の高知龍馬マラソンで5年ぶりにレース中にお腹を壊して20分もトイレに籠ってしまった。
その後も2022年の神戸マラソン2023年の那覇マラソンでもお腹を壊し、トイレに籠ってしまった。
いずれの場合も、朝食の量は控えめだったし、パンも避けていた。それなのにお腹を壊した。
あえて言えば、ご飯の他にバナナやゼリーを食べたり、またカロリーメイトを食べたりしたので、それらが悪かった可能性はある。
少なくともご飯路線が悪い訳ではないだろうが、レース前に食べすぎるのは禁物だ。

て事で、最近は非常に神経質になっており、今回はインスタントの味噌汁とおにぎり2個にした。
昨晩買ったおにぎりは冷えており、お腹に悪いかもしれないので、熱々の味噌汁の中に入れて、おじやにして食べた。
おかずやフルーツやヨーグルトなんかは、お腹を壊す可能性がゼロではないので、一切、食べなかった。なんとなく物足りないが、我慢しなければならない。

朝食を食べてしばらくしたら、うまい具合に便意を催してきたので、トイレに行って用を済ます。
大会会場のトイレは激混みだろうから、ホテルで大を済ませると、心に余裕が生まれる。


〜 ウェアの選択 〜


朝食が終わったら出発の準備をしなければならない。
パンフレットには、「現地では着替えるスペースがあまり無いので、事前にランニングウェアに着替えて来場いただき、脱衣のみで走れる状態でお越しください」なんて書いてある。
そもそも更衣スペースは屋外のようなので、快適な場所ではないだろう。
なので、朝、ホテルを出る時からウェアを着て、すぐに走れる状態で出発しなければならない。

ウェアの選択は、どんな季節のマラソン大会であっても最も重大な問題だ
寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。
寒いのも暑いのも困るが、事前の天気予報を信じてどちらかに決めつけていると、予想外のコンディションになった時に困ってしまう。
なので、今回は暑くても寒くても対応できるように、あらゆる場面を想定して準備してきた。

今回は天気予報では晴れだったので、雨の心配は無く、暑くなる事を心配していた。
ところが昨日は雪が降っていて、ものすごく寒かった。今朝は雪は止んだようだが、寒いのに変わりはない。
天気予報では、昼間も気温は上がりそうにないし、風も少しはありそうだ。なので寒さ対策が重要だ。
ハーフマラソンなら頑張って走るので体が熱を発散するが、フルマラソンは長距離をスローペースで走るので、そんなに熱は湧いてこない。
なので、寒くなるのは間違いないから、長袖シャツの上に半袖Tシャツを着るという組み合わせは決まりだ。

問題はどの長袖シャツを着るかだ。
長袖シャツとしては、丸亀マラソンで着た防寒用の分厚い長袖ランニングシャツや、五岳山空海トレイルで最初に着ようとした登山用の吸湿性と速乾性に優れた超薄手の長袖インナーウェアや、坂出天狗マラソンで着たその中間の厚さの長袖シャツなんかを取り揃えて持ってきた。
だが、今日はものすごく寒くなりそうなので、あまり悩まずに丸亀マラソンで着た防寒用の分厚い長袖シャツにした。

長袖シャツの上に着るTシャツは去年10月の酸欠マラソンで貰ったピンク色の「酸欠Tシャツ」だ。背中に大きく「酸欠」と書かれたインパクトのある画期的なデザインのTシャツだ。
最近は、これが気に入って、こればっかり着ている。
2枚着たけど、それでも寒くなる可能性はあるので、防寒用のビニール袋も持っていく事にした。

下は練習の時にいつも履いているランニングパンツを履いた。
冬なので、防寒用にタイツは必要だ。ただ、今回も丸亀マラソンや坂出天狗マラソンの時と同様にランニングタイツではない
私はもともとランニングタイツはなるべく履かない主義だった。ランニングタイツを履くと膝が突っ張って走りにくくなり、履いてない方が走りやすいような気がしたからだ。
ランニングタイツには筋肉疲労を防止する効果もあるという事を聞いてからは、寒い季節には防寒用も兼ねてランニングタイツを履いてきたが、筋肉疲労防止のためには脹脛サポーターを履き、ランニングタイツは履かない事にした。
ただ、それだと寒そうなので、脹脛サポーターの上から普通の防寒用タイツを履いた。防寒用と言っても、一番薄手のものなので、膝は突っ張る事なく動かしやすい。

シューズはアシックスノヴァブラストだ。
去年の初旬に、のらちゃんが「クッション性が良くて足が疲れないんよ」なんて言って勧めるので、騙されたと思って購入してみた。
ノヴァブラストはアシックスとしてはサブ5を目指す初心者ランナー用みたいな位置付けなんだけど、のらちゃんはこれを履いて去年の名古屋ウィメンズマラソン終盤に一気にペースアップするという驚異的な走りでフルマラソン自己ベストを出した。
それで私も試しに去年の徳島マラソンで履いてみたのだ。
そしたら、なんと、八ヶ岳への雪山登山から下山して、そのまま夜通し車を運転して前日に帰ってくると言う超強行スケジュールのため、疲労と睡眠不足でボロボロ状態だったにもかかわらず、9年ぶりに大会自己ベストを更新するという予想外の健闘を見せた。

大健闘の理由は、最後まで足があまり疲れなかったからだ。ノヴァブラストマジックスピードのようにスピードが速くなるシューズでは決してないが、足が疲れないため、いつものような終盤のペースダウンが避けられたのだ。
フルマラソンでもそれだけの威力を見せたものなので、フルマラソン以上の距離を走るウルトラマラソンには打ってつけシューズだと期待して、去年の富士五湖ウルトラマラソンでも履いてみたら、やはり足の疲れがあまり無くて、初めてのウルトラマラソンを快適に完走できた。

ただし、その後は、下関海響マラソンと言い、那覇マラソンと言い、ノヴァブラストを履いたにも関わらずフルマラソンでの惨敗が続いている。なので、私の中でのノヴァブラスト神話は崩れつつある。
とは言え、大撃沈した下関海響マラソンや那覇マラソンでも最後まで足は痛くならなかったので、それだけは期待したい。
何が辛いかと言うと、フルマラソンの終盤に足が痛くなるのが一番辛い。なので、どんなに足が動かなくなって大惨敗したとしても、足が痛くならなければマシだ。

その他、いつものように、嫌いなランニングキャップは被らない。
手は寒さでかじかみそうなので、薄手の手袋の上から神戸マラソンで貰った黄色の軍手を重ねて履いた。
顔を拭くハンドタオルティッシュはポケットに入れたが、いちいち出すのは面倒なので、汗はできるだけ手袋で拭きたい。
念のために足攣り防止用のドーピング薬68(芍薬甘草湯)とエネルギー補給のため濃縮ゼリーをポケットに入れたら、準備完了だ。


〜 会場へ出発 〜


スタートは8時20分で、スタートブロックへの整列は8時5分までだ。スタートブロックへの整列は7時20分からなので、できれば7時40分頃にはスタートブロックへ行くべきだろう。
それでも受付が無いから、会場へは7時半頃に行っても大丈夫な気がする。
とは言え、草津駅からの電車の事情が良く分からないから、何かあったらいけないので6時半頃に草津駅を出る電車に乗る事にした。
それなら、特に混雑がひどくなければ、会場の最寄り駅である京阪大津京駅に7時頃に着くだろう。

草津駅までは車で30分はかからないと思うが、駐車場の混雑度とか、草津駅からの電車の込み具合とかが分からないので、ちょっと早いが、まだ辺りが真っ暗の中、5時45分にホテルを出発し、草津駅に向かった。
早朝なので道路は空いており、かなり早めに草津駅の近くに到着した。駐車場も期待した通り、あまり車は停まっておらず、駅に最も近い場所に停める事ができた
順調に着いたので、JR草津駅6時16分に出る電車に乗り、膳所京阪電車に乗り換え、6時51分大会会場の最寄り駅である京阪大津京駅に到着した。

電車にはかなりの数のランナーが乗っていたが、大混雑で乗り遅れるってほどではなかった。
パンフレットを見ると、エントリー者数は7593人なので、そこそこの規模のマラソン大会だが、交通事情は良さそうだ。

何かトラブルでもあって遅刻するよりはマシなので、早めに来たものだが、順調に来たのでかなり早く着いてしまった。
外気温は低く、おまけに風も少しある。さらに、もう止んだと思っていた雪が降ってきたりする。つまり、ものすごーく寒い

(幹事長)「アホみたいに寒いやんか!」
(支部長)「テントがあるで。あそこに潜り込もう!」


屋外に設置された更衣スペースにはテントが張られていたので、その中に潜り込んだ。
7593人ものランナーがエントリーしているとは思えないほど小さな小さなテントで、しかも風が吹き抜けていくが、それでも屋外よりはずっとマシだ。

手荷物預けは7時50分までだが、まだ時刻は7時なので、ものすごく時間がある。する事もないので、震えながらテントの中で寒さをしのぐ。
どう考えても寒そうなので、持ってきたビニール袋を被ったが、それでも不十分だ。
加藤選手雨合羽を羽織っている。ビニール袋は袖が無いが、雨合羽は袖もあるので暖かそうだ。
支部長ウィンドブレーカーを着ている。それが一番暖かそうだ。

まだ時折、雪が散らついているが、7時40分になったので、ようやく重い腰を上げ、外に出て記念写真を撮った。

寒さに震えながらスタート前の記念撮影
(左から支部長、加藤選手、D木谷さん、幹事長)


スタート時間が近づいてきたので、本日の目標を立てなければならない。
もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、常に大会自己ベストを狙うのが良い子のランナーとしてあるべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるため、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、とりあえず大会自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
このレースは今回が初出場なので、どんなに惨敗しても大会自己ベストは間違いない

(幹事長)「ひゃっほう〜、大会自己ベスト間違いなしだ!」
(支部長)「相変わらずやけど、それで嬉しいんかいな?」


なので、目標は立てにくいが、コース図を見る限りフラットで走りやすそうなコースなので、とりあえず4時間半以内でのゴールを目指す事にした。
去年の徳島マラソンでは、八ヶ岳への雪山登山から下山して、そのまま夜通し車を運転して前日に帰ってくると言う超強行スケジュールのため、疲労と睡眠不足でボロボロ状態だったにもかかわらず、4時間半を切れたくらいだから、体調が良ければクリアできる目標だ。

(D木谷)「サブフォーとか、もっと攻めた目標でも良いんじゃないですか?」
(幹事長)「いえいえ、控えめにしときます」


徳島マラソンでは調子が良かったけど、その後の下関海響マラソンや那覇マラソンでは大撃沈したので、あまり欲深い目標は抱かず、地味に走る事にした。
4時間半を切るのであれば1km6分20秒くらいのペースで走れば良い。これなら、めちゃくちゃスローペースのように思える。
ただし、最後までペースを維持して走るとなると、それほど簡単ではない。
大抵はレース前半は調子にのってもっともっと速いペースで飛ばしてしまい、貯金が出来て喜ぶんだけど、終盤になって一気にペースダウンしてしまい、一気に借金地獄と化し、泣きながらゴールするというパターンが非常に多い。
なので、今日は貯金を作ろうなんて色気を出さずに最初から抑えたペースで走り、最後までペースダウンしないレース展開を目指す。

D木谷さんは、この大会はフラットで走りやすいという評判なのでサブフォーを狙うと言う。
一方、支部長は去年の春先から足の故障によりランニングの不調が続いており、7月の汗見川マラソンで途中リタイアした後は、ランニングの練習量が極端に減っている。
それでもランニングの代わりに毎日プールで水泳をしているため体幹が強化されており、短い距離なら以前のスピードで走る事ができる。そのため、距離15kmの坂出天狗マラソンでは私は負けてしまった。
しかし、さすがにフルマラソンは距離が長いので最後まで走れるかどうかは分からない。

(支部長)「今日は26km地点で止めるよ」
(幹事長)「走る前から決めてるんかいな」


26km地点では、ゴール地点のすぐ側を通るため、そこでリタイアしてしまおうという計画だ。

(幹事長)「35km地点のエイドには近江牛があるから、そこまで走ろうよ」
(支部長)「そんな所まで行ったら帰ってこられなくなるやんか」


35km地点の手前にもリタイアポイントがあるが、過去の経験からすると、そういう所でリタイアすると、バスに乗って帰って来るのにすごく時間がかかるから避けたいらしい。

(幹事長)「せっかく来たのに近江牛を食べずに帰るのは心残りやろ?」
(支部長)「何の未練も無いな」


いずれにしても、今日は無理せず走ってみて、よっぽど力が有り余らない限り26km地点でリタイアする計画のようだ。

手荷物を7時50分ギリギリになって預け、最後のトイレに並ぶ。
トンでもない長蛇の列が出来ていたので、集合時間に間に合うのか不安になったが、もし遅れても最後尾からスタートすれば済む話なので、それほど危機感は無い。
少しでも良いタイムを狙うハーフマラソンなら、できるだけ前方からスタートしたいところだが、今日はのんびり完走できればいいくらいの気持なので、焦りは無い。


〜 スタンバイ 〜


なんとか集合時間ギリギリに間に合い、指定されたブロックに並ぶ。私と支部長加藤選手は同じCブロックで、D木谷さんだけが前方のBブロックだ。適正な場所だろう。
集合ブロックは、たぶん申告した予想タイム順になっているはずだ。速いランナーと遅いランナーが一緒くたにごちゃ混ぜになっているとスタート時の混雑がひどくなり、混乱するからだ。
こういう場合、申告する予想タイムは正直な方がいい。実力より前からスタートすると、周りのみんなから置いてきぼりになって精神的に落ち込むか、あるいは周りの速いランナーにつられて無理して飛ばしてしまって潰れる可能性が高い。
逆に、後ろの方からスタートすると、おしゃべりしながら固まって走る遅いおばちゃん軍団にブロックされて前へ行けない。参加者の少ないマラソン大会なら問題ないけど、多くのランナーが参加する大きなマラソン大会では、最後まで遅いランナーに邪魔されてイライラすることになる。
なので、自分の実力通りの場所からスタートするのが一番良い

Bブロックまでは皇子山陸上競技場の中でスタンバイするが、我々Cブロック以下は隣の多目的広場という名の空き地に集合する。
集合場所では多くのランナーが集まっているので、風があまり当たらず、寒さが少しは和らぐ
シューズの紐の締め具合がしっくりこないので、締め直していると、まだスタート時間になってないのに、少しずつ前方に動き出した。

(支部長)「相変わらずシューズの紐の締め具合を気にするなあ」
(幹事長)「気になるんよねえ」
(支部長)「後半は足がむくんできつくなるよ」
(幹事長)「最近は気をつけてます」


以前は、かなりきつめにピッタリと締めていたが、フルマラソンになると後半に足がむくんで痛くなるので、支部長のアドバイスを聞いてからは、最初から緩めに締めるようにしている。

シューズの紐を締め直し、持ってきたゼリーをチビチビと食べていると、支部長が再びトイレに駆け出して行った。スタート直前になってトイレに行く人はいないので、もうガラガラになっている。
前の方では開会式が始まったようで、誰かが挨拶している声が聞こえてくるが、誰が何を喋っているのかは全く分からない。
有名なゲストランナーとかはいないようだ。

しばらくすると8時20分となり、いよいよ前の方のブロックからスタートした。と思う。
我々がいる場所からスタート地点までは少し距離があるので、周囲は全然緊張感もなく、しばらくしてようやくノロノロと動き出した。
タイムはチップでネット計測してくれるから、焦らずにのんびり歩いていく


〜 スタート 〜


しばらく歩いて皇子山陸上競技場に入っていくと、スタートのゲートが見えた。小走りになってスタートラインを越えるとスタートだ。
スタートの合図からスタートライン越えるまでは6分ちょっとだった。3万人規模の那覇マラソンで後の方からスタートすると30分くらいかかるから、だいぶマシだ。
スタートラインを越えた後も、特にひどい混雑は無く、ゆっくりだけど普通に走っていける

今日のコースは、ほとんど坂が無く、フラットで走りやすいらしい。なので、ことさら終盤の撃沈を心配する必要は無さそうだが、それでも前半に調子に乗って飛ばし過ぎるとオーバーペースになって後半に撃沈するだろう。
あくまでも、前半は焦らず控えめに自然体で走る事が重要だ。

皇子山陸上競技場のトラックを半周ほど走ったところで競技場の外に出た。
土地勘が全く無いのでどこを走っているのか分からないが、何度か角を曲がったら、琵琶湖が見えてきたので、琵琶湖の湖畔に出たようだ。このまま琵琶湖の南岸を東に向いて走って行く
雪は止んだが、相変わらず空気はとても冷たい。走っているうちに暖かくなるのを期待する。

最初の1km地点のラップは1km6分20秒くらいだった。スタート直後の混雑を考えたら、こんなものだろう。
まだまだ混雑はしているが、ことさら走りにくいほどではない。

その後は1km平均6分5〜10秒くらいのペースが続く。当初計画より少し速い。あんまり序盤から飛ばすと終盤に撃沈する可能性が大きいから要注意だ。
とは言え、今日は決して無理して飛ばしてはいない。自然体で走っているだけだ。もしかしたら今日は調子が良いのかもしれない。
て事で、ペースは気にせず自然体で走って行く。
ランナーの数は多いとは言え、だんだん混雑も収まってきて、他のランナーが邪魔になるような事は少なくなっていく

距離表示は1kmごとにあるが、距離表示はいい加減な場合があるので注意が必要だ。
こんな大規模なきちんとしたマラソン大会の距離表示がいい加減だなんて、普通は思わないだろうけど、さらに大規模でしっかりしているはずの神戸マラソンの距離表示は非常にいい加減だ。
詳しくは神戸マラソンの記事に書いているが、明らかに距離表示がアテにならない事が分かったので、1kmごとのラップには一喜一憂しない事にした。
なので、最近は、1kmごとの距離表示に従ってラップを計測する腕時計と、自動でラップを計測するガーミンの両方を着けて走っている。
この琵琶湖マラソンの距離表示も、区間によって異常なほど速かったり遅かったりしていたので、明らかに1kmごとの距離表示が間違っていたのだろう。
ただ、5kmおきに設置されているタイム計測機ではチップで正確にタイムを計測してくれるので、その距離表示は正確だと思われる。

遠くに近江大橋が見えてきた頃に5km地点があった。
5km地点の場所が正確だとすると、ガーミンは20秒近く誤差が生じていた。5km地点より少し手前でガーミンは「5kmを通過した」と言っていたのだ。なのでガーミンもアテにはならない
ただ、1kmごとの距離表示に従って計測した1kmごとのラップは、上がり下がりが異常に大きいので、1kmごとの距離表示もアテにはならない。なので、両方を睨みながら走らなければならない。
ここまでのペースは1km6分10秒くらいで安定している。当初計画よりは少し速いが、特に頑張って走ってる訳ではないので、そのまま自然体で走って行く。

1つ目の給水所は4.6km地点にあった。
今日は寒いし、まだ全然喉は乾いていないが、最近はどのレースのどこの給水所でもこまめに補給することにしているので、水を少し口に含む。

この辺りでようやく日射しが出てきた。すると、とたんに暑くなる。このまま天気は良くなりそうなので、ここで被っていたビニール袋を脱いだ
ただ、終盤にペースダウンすると再び寒くなる可能性があるので、ビニール袋は捨てずに、丸めてランニングパンツに突っこんでおく。少し走りにくいが、こういうのは慣れているので平気だ。

5km地点を過ぎてしばらく行くと、近江大橋が見えてきた。かなり大きい橋だ。高さもある。
このマラソン大会のコースはアップダウンが無くて走りやすいとの事だったが、どう見ても、なかなかのアップダウンだ
まだ序盤なので元気はあるから、ペースを落とさずに橋を上がっていく事はできるだろうが、ここで足を使ってしまっては終盤に疲れが出てくるので、上り坂では極端にペースを落とす
すると、当然ながら大勢のランナーに抜かれていく。でも、気にしない。

近江大橋を渡り終えると琵琶湖の東岸に出るので、今度は左に曲がって北上する
1kmごとのラップは多少の上下変動はあるものの、10km地点までのラップは、だいたい1km6分10秒くらいで安定して推移している。まだまだ順調だ

先ほどは晴れて日射しが出たのでビニール袋を脱いだが、すぐにまた曇ってきた。日射しが無くなると、とたんに寒くなる。
でも、再びビニール袋を被ったら、また日射しが出て暑くなりそうなので、そのまま寒さを我慢して走る

琵琶湖の東岸を北上し続けると、15km地点の手前で、いったん右に折れて東の内陸部に入っていく盲腸区間のようなところだ。
15km地点までのラップも、ほぼ1km6分10秒くらいで安定している。とても順調だ。このまま行けば、なかなか良いタイムでゴールできそうだ。

調子よく走ってきてが、この盲腸区間は曲者だった。盲腸区間なのに、距離がとても長いのだ。
まずは、真っすぐな道を東に進み、そこから右に折れて南に向かい、左に折れて東に向かい、しばらく走ったところにある第1折り返し点で折り返す。
今度は、来た道を引き返し、右に折れて北に向かい、そこからかなり走ったところにある第2折り返し点で折り返す。
そこから再び来た道を戻って行くんだけど、結局、盲腸区間のトータルは7kmくらいあった。ものすごく長い。本当にウンザリする。そのせいで、この辺りから大きくペースダウンし始めた

第1折り返し点には第5給水所があり、ここに初めての給食がある。お腹が空いてて、これをすごく楽しみにしていたので嬉しい。
ここにはアンコの入ったお餅があった。柔らかくて美味しかった。
ただ、水が無いととても食べにくいものなので、まず給水所で水のコップを取り、左手にコップを持ったまま右手でお餅をもらう。
その状態で走りながら苦労してお餅をパッケージから出して口に入れたが、お餅はしばらくモグモグしないと呑み込めないので、走りながら食べるのは難しかった

第1折り返し点で先行するD木谷さんや後ろから来ているはずの支部長加藤選手を探したが見つからなかった。
でも、第2折り返し点では支部長を見つける事ができた。私のほんの1kmくらい後を走っている。思ったほど遅くない。早々にリタイアすると言ってた割りには、とても元気に走っているので驚いた。

第2折り返し点の手前には20km地点があった。15km地点まで順調に1km6分10秒ほどのペースを維持してたんだけど、この辺りから急にペースダウンし始めて、1km6分半くらいにまで落ちてしまった。
まだ半分しか来てないのに、早くも疲れが出てきたのだろうか。意外に長い盲腸区間にウンザリしたのは確かだが、思った以上にペースダウンが早い
それでも、まだ、今のペースを最後まで続けられれば、目標の4時間半はクリアできる。

盲腸区間が終わりかけた所に第6給水所があり、ここにも給食があったが、お腹の足しになるようなものは見当たらず、迷っていたらグミを袋にいっぱい入ったまま渡された。
先ほどのお餅もそうだけど、手袋を2枚重ねて履いているので、包装を開けるのはとても難しい。最終的には口で破って開けた。
グミは甘酸っぱくて美味しいんだけど、2〜3個あれば十分だ。

盲腸区間が終わり、琵琶湖の東岸の道に戻り、再び北上する
琵琶湖の湖畔に出て北に向いて走っていると、冷たい北風が正面から吹き付けてくる。近畿地方とは言え、滋賀県は北陸からの冷たい風がモロに吹き付けてくるので、京阪神地方とは気候が異なり、かなり寒い。
おまけに空は曇ったままで、ビニール袋を脱いだ身には寒さが堪える
それに、フラットで走りやすいコースだったはずなのに、ちょこちょこと橋があり、細かなアップダウンが繰り返される
大した上りではないが、過度な疲れを防ぐため、上りのところは極端にペースを落として走り続ける。

25km地点でのラップは、さらにペースダウンしていて、1km7分近くにまで落ちていた。どんどんペースが落ちていく。明らかに、もう疲れが出てきたのだ。
こんな事では4時間半も切れない。でも、まだ17kmも残っているので、ここで無理するのは危険だ。なので、相変わらず無理せず自然体で走っていく。

今日もマラソン写真撮影販売のオールスポーツのカメラマンがあちこちで写真を撮ってくれているので、どんなに疲れていても、カメラに気が付いたら近づいていってポーズを取るようにする。
しかし、疲れてくると、頭が下がってきて目の前の足元しか見なくなるのでカメラマンに気付かなくなっていく。

26km地点を過ぎると、ゴール会場である烏丸半島の公園があり、その側を通り過ぎて北上を続ける。
ちょうどその時、なんと、トップランナーがゴールしてきた。こちらはまだ16kmも残っていると言うのに、もうゴールするなんて、呆れてしまう。
ここには第8給水所があり、琵琶湖の魚の佃煮があったが、ランニング中には食べにくそうだったのでパスした。

ここからは第3折り返し点までひたすら琵琶湖の東岸を北上する
琵琶湖の湖畔を北に向いて走っていると、冷たい北風の向かい風で体は冷え切る。時々、日射しが出る事もあるが、ほとんど曇ったままで、寒さが堪える。
でも、ビニール袋を再び被るのも面倒なので我慢して走る。第3折り返し点で貰える近江牛だけが心の支えだ。

しばらく走ると30km地点があったが、さらにペースダウンしていて、1km7分を少し上回るまで落ちていた。もう絶望的だ。
その先には第10給水所があり、食べ物もあるが、あるのはキャンディやバナナだけだ。もっとお腹の足しになるものが欲しいところだ。

なんとか頑張って33.3km地点にある第3折り返し点で折り返すと、ようやく陸上競技場が近づいてきた。ここにある第12給水所近江牛が貰えるはずだ。
ちょこちょこと何度か道を曲がりながら、ようやく陸上競技場に入ると、まずは給水所がある。とりあえず水を少し口に含んで近江牛を探す。給食は少し先にテーブルのようだ。
給食テーブルまで行くと、まずはバナナがある。でもバナナなんか食べてたら近江牛が味わえなくなる。とにかく近江牛が先だ。
と思って近江牛を探したんだけど、なんと、近江牛は影も形も無かった!どういう事だ?まさか、もう品切れになったのか?そんなアホな!
いくら探しても、残っているのはキャンディとバナナだけだ。酷い!酷すぎる!
ここまで近江牛だけを楽しみに辛い道のりを我慢して走ってきたと言うの、もう無くなっているなんて、あまりにも酷い!酷すぎる!
確かに私は来るのが遅かったかもしれない。それでも、まだまだ後にはおびただしい数のランナーが続いている。なので、それほど遅くはないはずだ。
それなのに、もう近江牛が枯渇しているなんて、あまりにも酷い!酷すぎる!

近江牛が無かった事に対して、ものすごい怒りが込み上げてきたが、怒りを力に変える事はできない。
むしろ逆で、やる気が無くなり、もうアホらしくて真面目に走るのが嫌になってきた
だからと言う訳なのかどうかは分からないがその直後にあった35km地点でのラップは、なんと一気に1km8分をオーバーしていた。もうトンでもないペースだ。

折り返してから後続のランナーを見ていたが、支部長加藤選手も見つけられなかった。二人ともまだ走っているのかリタイアしたのかは分からない。
私も、近江牛が無かったため、もうリタイアしたい気分だが、ここでリタイアしてバスに乗って帰るよりは走って帰った方が早く戻れそうなので、仕方なく走り続ける。
途中の給水所にいたボランティアの女子高生が私のTシャツの背中を見て「酸欠さぁん、頑張ってぇ!」なんて声援を送ってくれたのだけが嬉しかった。

遠くにゴール会場烏丸半島の公園が再び見えてきた頃に40km地点があり、ラップはなんと1km9分近くにまで落ちていた。
一応、全く歩かずに走り続けているつもりなのに、ものすごいペースダウンぶりだ。歩いているのと変わりないペースだ。ここまで落ちるとは思ってなかった。
全て近江牛が無かったせいだ。
モチベーションがゼロになっているので、ゴール会場が見えてきてもペースを上げる事はできない。そのままダラダラ走り続ける。


〜 ゴール 〜


さすがに最後の最後だけは少しペースアップして格好つけようと思っていたら、最後の角を曲がったところに、いきなりゴールゲートがあり、ペースアップする間も無く、いきなりゴールしてしまった。
結局、タイムは5時間を切るのがやっとだった。甘い目標だったはずの4時間半から大きく遅れる惨敗だった。

ゴールするとフィニッシャータオルをかけてもらい、メダルや水を貰う。
他のメンバーを探してたら、すぐに支部長が出迎えてくれた。既に着替えを済ませ、すっかりくつろいでいる。

(幹事長)「めちゃめちゃ早いやんか」
(支部長)「予定通り26kmでリタイアしたからな」


第2折り返し点ですれ違った時は元気そうだったが、その後、一気にペースダウンしたため、予定通り早々にリタイアしたとの事だった。
さらにD木谷さんにもすぐ会えた。

(幹事長)「近江牛はありましたか?」
(D木谷)「ありましたよ。2つ食べました」
(幹事長)「なんとかーっ!そんな輩がおるから遅いランナーの分が無くなるんやないの!」


D木谷さんがスタッフに「もう1つ食べても良いですか?」って確認したら、「どうぞどうぞ」と言って食べさせてくれたんだそうだ。
明らかにスタッフの対応が間違っている!酷い!酷すぎる!

(D木谷)「その代わり豚汁は食べ放題ですよ」

と言うので、公園の奥に行くと、自衛隊さんが熱々の豚汁おにぎりを配給してくれた。これらは潤沢に用意されており、豚汁2杯とおにぎり2個を美味しく頂いた。
自衛隊ばんざーい!琵琶湖マラソンくそ喰らえだ!
ちなみにD木谷さんは、近江牛を2つも食べた上に、豚汁3杯とおにぎり4個も食べたんだそうだ。

(幹事長)「近江牛を食べた割りにはタイムはイマイチでしたよね?」
(D木谷)「タイムがイマイチになったから、のんびり近江牛を食べたんですよ」


走っている時は寒さが身に染みたが、ゴールした頃からすっかり晴れて暖かくなってきた。走っている時も、これくらい暖かければ辛さも和らいだのに。
しばらく待っていると、加藤選手も帰ってきた。いつもの調子で、制限時間6時間ギリギリで帰ってくるのかと思ってたら、今日は意外に早かった。

(加藤)「近江牛が無かったですよ!」
(幹事長)「そらそうや。私の時に既に無かったんやから!」


加藤選手近江牛が無かった事でガッカリし、いつものようにあちこちで写真を撮ったりするのを止めて早々に帰ってきたようだ。

名古屋ウィメンズマラソンに出た女子部員もそろそろゴールしたはずなので連絡をとってみると、なんとのらちゃんゾウさんも去年より大幅にタイムを縮め、二人とも自己ベストを更新していた。

名古屋ウィメンズマラソン琵琶湖マラソンの記録をそのまま並べてみると、

 1位 のらちゃん
 2位 D木谷さん
 3位 ゾウさん
 4位 幹事長
 5位 加藤選手
 6位 支部長


という結果になった。

(幹事長)「琵琶湖組の完敗やんか」
(D木谷)「ちょっと情けないですね」
(支部長)「うちの女子部員は普通じゃないから、勝とうなんて思ったらいかんよ」


それにしても、情けない。最後までモチベーションを保って走るべきだった。

(幹事長)「ゾウさんのタイムがリアルタイムで分かっていたら、もっと気合を入れて頑張ったのにぃ」
(D木谷)「私ものらさんのタイムがリアルタイムで分かってたら、最後まで頑張りましたよ」


〜 反省会 〜


ゴール会場に長居しても仕方ないので、さっさとシャトルバスに乗って草津駅まで戻る事にした。
会場から草津駅まで近いはずなのに所要時間30分なんて書いてる。なんでかいな?って思ったら、道がすごく渋滞していた
おまけに、草津駅の側まで行ってくれるのかと思ってたら、ものすごく遠い所で降ろされてしまった。駅の周辺は混雑するから仕方ないのかもしれないが、フルマラソンを走った後に延々と歩かされたのには参った。

悲しい結果に終わった大会だったが、とりあえずお風呂に入ってサッパリしたい。
車に乗って、割りと近くにあるロクハ公園てところの草津市立長寿の郷ロクハ荘っていう施設のお風呂に行く。
なかなか立派なお風呂で、気持ち良かったし、疲れ果てているので、ぐったりと湯船に浮かんだ。

お風呂から出たら、高速道路に入り、すぐ近くにある大津サービスエリアで夕食だ。ただ、事故で渋滞が発生しており、近いのにたどり着くのにすごく時間がかかった。
今日は近江牛を食べ損ねたので、大津サービスエリアのレストランで近江牛の焼肉を食べた。加藤選手も近江牛のすき焼き重を食べた。
一方、エイドで近江牛を2つも食べたD木谷さんはちゃんぽん麺なんかを食べている。

(幹事長)「近江牛は飽きましたか?」
(D木谷)「しつこく攻めてきますねえ」


支部長は近江牛カレーではなくて、普通のカレーを食べている。

(幹事長)「せっかくやのに、なんで近江牛カレーにせんの?」
(支部長)「だから私は近江牛には関心が無いんやってば!」


近江牛を食べた私と加藤選手は、「特にどうって事はないな」という意見で一致した。支部長が正解だった。

お腹もいっぱいになったことろで、今日の反省をしなければならない。
前半は良い調子で走りながら後半になって撃沈すると言うのは、これまで何千回も何万回も繰り返してきた基本的なペース配分ミスだ。
ただ、そうは言っても、前半のペースだって1km6分ちょっとだから、決してむやみに速いペースではない。これまでも、もっと速いペースで飛ばした事はいくらでもある。
それなのに15km地点を過ぎてからは、どんどんペースダウンしていった。ハーフマラソンなら、終盤でも1km6分を超えるような事はないのに、なぜだろう。

名古屋ウィメンズマラソンで大躍進した女子部員に比べて大惨敗した琵琶湖マラソン組の敗因を分析してみよう。
 ・坂が無いフラットで走りやすいコースとの前評判だったが、近江大橋を始めとして、予想外に坂が多く疲弊した。
 ・快晴だった名古屋と違って、雪が散らつく極寒の環境だった。
 ・近江牛が無くてモチベーションが一気に無くなった。


しかし、いくら坂があったとは言っても、脱藩マラソンのような超過激なコースではないから、ここまで惨敗した理由にはならない。

(幹事長)「最大の理由は近江牛が無かった事だよなあ!」
(加藤)「どう考えても酷すぎますよねえ」
(幹事長)「それに対して名古屋はイケメン男子から完走ペンダントを貰えるからモチベーションが高いよなあ」
(加藤)「琵琶湖マラソンの完走メダルはショボかったですねえ」


26km地点の烏丸半島を過ぎてからは、35km地点の第12給水所まで近江牛だけを楽しみにして、心の支えにして頑張って走って行ったから、本当にガックリきた。何度思い返しても本当に腹が立つ。
開会式では誰かが「皆さん近江牛を目指して頑張って下さい!」なんて言っていた。それなのに早々に品切れになってるなんて、怒りが爆発する。
確かに私は遅かった。それでもエントリー数7593人に対してちょうど4000番くらいだった。それで既に品切れっていうのは、準備した数があまりにも少なすぎる。

(幹事長)「参加費を15000円も取られた上に、こんな詐欺のような事を平気でする琵琶湖マラソンには、もう金輪際、二度と出ないぞ!金返せ!!」

それにしても、去年3月の徳島マラソンは意外に良い調子だったが、その後は11月の下関海響マラソンや12月の那覇マラソンに続いてフルマラソンは大惨敗が続いている
理由が良く分からないのが絶望的だ。

(支部長)「老化なんやってば」
(幹事長)「たった1年でそんなに急激に老化するか?」

序盤のペースは徳島マラソンより遅かったくらいなので、序盤に飛ばし過ぎた訳ではない。それなのにどんどん失速していった。どうすれば良いのか皆目見当がつかない。
僅か2週間後には、再びフルマラソンの四万十川桜マラソンがある。
これも初出場だが、それまでに何とか解決の糸口を見つけ出さなければならない。


〜おしまい〜




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