四国ペンギンズ
四電ペンギンズ
坂出天狗マラソン2024


第30回 坂出天狗マラソン大会

〜 支部長の驚異の復活 〜



2024年2月11日(日)、第30回坂出天狗マラソンが開催された。

坂出天狗マラソンは丸亀マラソンなんかに比べたら世間での知名度が低いマイナーなマラソン大会だが、なんと歴史は丸亀マラソンより古い
1週間前の丸亀マラソンは、今年が第76回だなんて銘打ってるけど、もちろん
これは大嘘で、本当は今年が第26回目だ第1回大会から連続出場している私が言うのだから間違いない。

丸亀マラソンの記事にも書いているように、第1回大会は1997年に丸亀城築城400年記念大会として開催されたんだけど、2001年の第5回大会のとき、
突然50回も水増しされて第55回になったものだ。
1997年の第1回大会の前年まで50年間にわたり開催されていた香川ロードレースという大会の回数を突然、足すという
トンでもない暴挙に出たからだ。(断わっておくが、私はこの暴挙については大賛成だ。私の故郷のマラソン大会が由緒ある大会のように聞こえるからだ)
香川ロードレースというのは、陸上競技の専門家しか出ない閉鎖的な業界内の大会であり、今の丸亀マラソンとは似ても似つかない全く別のレースだった。
なので、今年で
第30回目を迎える坂出天狗マラソンの方が本当は丸亀マラソンより2年だけ古い

ただし、坂出天狗マラソンも
少し水増ししている。
コロナのバカ騒ぎでマラソン大会が軒並み中止になる前の2020年は、丸亀マラソンが第74回
(すなわち第24回)坂出天狗マラソンが第26回だったから、坂出天狗マラソンの方が2年古いって事がよく分かった。
ところが、3年ぶりに復活した2023年の大会は、丸亀マラソンが中止になった2年間の大会をノーカウントとして
第75回(すなわち第25回)としたのに対し、坂出天狗マラソンは中止だった2021年と2022年の幻の大会もカウントして第29回と銘打った
なぜ開催もしてないのに
中止になっていた2年間をそのままカウントしたのだろうか。
理由は簡単だ。丸亀マラソンの回数水増し作戦に対抗して、少しでも回数をかせぐために水増し作戦に出たのだ。回数が多い方が伝統がある由緒正しいレースのように聞こえるからだ。(古くから続く丸亀と坂出の対抗意識は根深い)
一気に50回も水増しした大胆な丸亀マラソンに比べて、僅か2回分水増ししたって焼け石に水なんだけど、
涙ぐましい努力ではある。

いずれにしても、坂出天狗マラソンはマイナーで知名度が低いけど、東京マラソンや大阪マラソンなんかの新参者に比べたら
ずっと由緒ある大会だ。

(ゾウ)「それなのに、ずうっと参加してくれませんでしたね」

地元の
ゾウさんは、昔から坂出天狗マラソンの運営に関わってきたから、ずうっと「参加してくださいよ」って言い続けてたんだけど、毎年、丸亀マラソンの翌週に開催されるもんだから、私としては2週連続のレースは避けたいので、ずうっと出場してこなかった

(ゾウ)「タートルマラソンと那覇マラソンとか、脱藩マラソンと秋吉台カルストトレイルランとか、2週間連続で出ているレースはあるじゃないですか」
(幹事長)「どれも出ない訳にはいかない重要な大会だからな」

私にとって
坂出天狗マラソンは、タートルマラソン那覇マラソン脱藩マラソン秋吉台カルストトレイルランほどの重要性は無い
本格レースである丸亀マラソンで全力を使い切った翌週に、距離が15kmという
中途半端な坂出天狗マラソンに出るモチベーションは皆無だった。
て事で、ゾウさんのお誘いにもかかわらず、素知らぬフリをして回避してきた。

しかし昨年2023年は、ようやく
コロナのバカ騒ぎが収まって色んなマラソン大会が一気に復活したから、嬉しくなって舞い上がってしまい、ついフラフラとみんなで発作的にエントリーしてしまった
そして、一度参加してみると、なかなか楽しいマラソン大会だったので、今年も参加する事になったのだ。


〜 エントリー 〜


坂出天狗マラソンは、坂出在住のゾウさんは地元の大会ということで、かつてはミス坂出としてお世話係として参加していたが、最近はお手伝いしながら、選手としても参加している。

(幹事長)「さすにが今はミスではないからミス坂出にはなれんわな」
(支部長)「いやいや、今はミスでなくてもミス坂出になれるらしいよ」
(幹事長)「なんとかーっ、詐欺やないか!」


そういう時代なのだそうだ。

坂出天狗マラソンの種目には
5kmの部15kmの部がある。5kmは良いとして、なぜ15kmという中途半端な距離になっているのかは知らない。
キリが良い10kmとか、あるいはどうせなら折り返し点を3km延ばして21kmのハーフマラソンにすればいいと思うのだが、何かいきさつがあるのだろう。
12kmレースの庵治マラソンがなぜクォーターマラソンと称しているのかと言う理由と言うかについては庵治マラソンの記事に書いている通り、自治体合併に伴う役所同士の魑魅魍魎としたバトルが背景にあった。
坂出天狗マラソンの15kmという中途半端な距離設定も、何かしらのドロドロした背景があるのだろう。
(全て推測です)

定員は5kmの部と15kmの部を合わせて1300人だ。
ただし、丸亀マラソンを走った事により県内のランナーの97%が疲弊している中で、翌週のマイナーな大会にそんなに大勢のランナーが集まる訳がなく、今年の15kmの部の参加者は533人だ。

ゾウさん最近は5kmの部に出ていたなぜ15kmの部でなくて5kmの部に出ていたかと言えば、5kmの部の方がペースが速いからだ

(幹事長)「どゆこと?」
(支部長)「意味わからん」


15kmの部はハーフマラソンに近い距離だから、ペースもハーフマラソンに近いペースになる。我々なら、せいぜい1km5分程度というペースだ。しかし、
距離が短くなればペースは上がる
距離は短いから、そういう意味では15kmの部より5kmの部の方が楽そうに思えるが、それは素人の考えであり、ペースが速い5kmの部の方がはるかにしんどい。
15kmだとペース配分とか考えて無茶に飛ばしたりはしないが、たった5kmになると
ペース配分なんて考える余地は無く、最初から最後まで全力でぶっ飛ばさなければならない。なので、非常にしんどい。
ゾウさんは何事も限界に挑戦するのが好きなので、スピードの限界に挑戦するために5kmの部に出ていたのだ。

そして
2018年2019年に続き、2020年大会も5km女子年代別部門で優勝してしまった。なんと5km女子年代別部門で3連覇を達成したのだ。
のらちゃんも庵治マラソンで去年、女子年代別部門で3連覇を達成しており、我がペンギンズは体たらくが続く男子部員に比べて、女子部員は素晴らしい活躍をしている。
このように5kmの部で大活躍していた
ゾウさんだが、
コロナのバカ騒ぎで中止になっていた大会が復活した去年2023年は、4連覇を目指すことなく15kmの部に変更した。

(幹事長)「まさか2階級制覇を狙って部門を変えたのか?」
(支部長)「3連覇もしたから、他の人が優勝できないからって事務局から出入り禁止されたんと違う?」
(ゾウ)「違いますよ。名古屋ウィメンズを考えて」


ゾウさんのらちゃんと共に3月に開催されるフルマラソンの名古屋ウィメンズマラソンに出場しているので、それに備えて少しでも長い距離を走っておこうと方針転換し、去年は15kmの部に出たのだ。
しかし、今年は再び5kmの部に出ると言う。

(支部長)「やっぱり血の味が忘れられないん?」

ゾウさんは短い距離になると必死に走るので血の味を感じてしまうらしい。我々には想像できない世界だ。

(ゾウ)「違いますよ。ジュニアが出るからですよ」

5kmの部に転向したのは、ジュニアが出るからだった。
ゾウさんジュニア去年の庵治マラソンのファミリー部門にゾウさんと一緒に走り、マラソンデビューした。これは3kmのコースだった。
続いて今年の満濃リレーマラソンには子ザルで走った。1周2kmのコースを3回走ったから、トータルで6km走った。
そして今回はさらに距離を延ばして5kmの部を走ると言うのだ。小学校1年生で5kmも走るなんて、自分の子供時代を考えると信じられない距離だ。
ただ、小学生は保護者の同伴が義務付けられているので、ゾウさんも一緒に5kmの部に出る事になった。

て事で、今年は5kmの部ゾウさん&ジュニアが出場し、15kmの部幹事長、支部長、のらちゃん、D木谷さん、長谷選手、O野選手が出場する。


〜 会場へ出発 〜


当日はD木谷さんが車を出してくれて、高松組は乗り合わせて行く。支部長、O野選手をピックアップしてから私んちに来てくれて、8時に高松を出発した。
今年は臨時駐車場の場所が変わり、会場である林田運動公園より東にある総社グラウンドという所になった。
他に用事があるとて単独行動になった長谷選手や、丸亀からくるのらちゃんとは8時半に現地で落ち合う事にした。

レースのスタート時間は15kmの部は10時で、受付は9時50分までだから、もっと遅く行っても問題は無いんだけど、何かトラブルでもあったら遅れるので、余裕をもって早めに出たものだ。
ゾウさんは大会運営のために早々に会場に着いて、受付でお手伝いをしているとの事だ。

今年は満濃リレーマラソン、丸亀マラソンと2レース連続で天気はイマイチだった。どちらもスタートまでには止んだものの、直前まで小雨が降っていた。
今日の坂出天狗マラソンは、少し前の天気予報では晴れとの事だったので一安心していた。
ところが大会が近づくにつれて雲行きが怪しくなり、雨は降らなさそうだが曇り予報に変わった。そして前日の天気予報ではお昼ごろから雨が降るっていう予報になってしまった。

朝、起きると、予報通り怪しい空の色だ。
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、2010年の小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。
ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、今は一年で一番寒い時期なので、冷たい雨の中を走るのは嫌だ

ただ、先週の丸亀マラソンと同様に、今日も天気はイマイチだが、風が弱いのが嬉しい。
例年、この時期は西から強い風が吹いてきて、丸亀マラソンは折り返してからの後半が強い向かい風となり、ただでさえペースが落ちる後半にますます厳しい戦いを強いられる。
坂出天狗マラソンは私は経験が乏しいのでよく知らないが、同じような状況らしく、終盤は西に向かって帰ってくるから向かい風になる事が多いらしい。

(D木谷)「終盤は風よけの無い海岸線の道を戻ってくるので、向かい風は丸亀マラソンより強烈ですね」

丸亀マラソンよりもさらに強烈な向かい風になるなんて恐怖だ。
でも今年は、先週の丸亀マラソンに続いて風は弱そうだから、走りやすいレースが期待できそうだ

車は順調に進み、臨時駐車場には8時半ごろに到着した。
駐車場では既に到着していたのらちゃんと無事に合流できた。
臨時駐車場から大会会場林田運動公園へはシャトルバスで移動する。
町中の競技場で開催されるため周辺の道路が大渋滞となる丸亀マラソンと違って、林田運動公園の周辺は休日はほとんと交通量が無い海辺の工業地帯なので、何の渋滞もなく順調にシャトルバスは大会会場に着いた


〜 会場到着 〜


時間はまだまだ早いと思ったが、会場に到着すると、すでにかなりのランナーが来ていた
マイナーな草レースというイメージが強いが、ボランティアの人も多く、意外に賑わっている。

会場に着くと、すぐに長谷選手と合流できた。受付に行くとゾウさんもお手伝いをしていた。
受付ではゼッケン計測チップ記念品パンフレットをもらう。記念品は乾麺のお蕎麦だ。完走したら小さなタオルをくれるが、Tシャツは無しだ。
さらに手荷物を預ける時に入れる大きなビニール袋をもらう。ものすごく巨大なビニール袋だ。

(幹事長)「ビニール袋史上最大の大きさだなあ」
(のら)「去年みたいに敷物代わりにするのよね」


会場の林田運動は芝生なので、巨大なビニール袋を下に敷いて準備を始める。
場所が落ち着いたら、さっそく着替えなければならない。
何を着るかマラソン大会において最も重要な要素だ。寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。

(幹事長)「今日は悩むなあ」
(支部長)「いつも悩んでるやんか」

今日の天気は先週の丸亀マラソンと同じようなコンディションだ。
先週は雨の直後で、今日は雨の直前なので、状況は少し異なるが、今にも雨が降り出しそうなのは同じだ。また気温も低い。ただ心配していた風は弱い。全く同じような状況だ。
異なる点は、距離が丸亀マラソンは21km、坂出天狗マラソンは15kmという点だ。

(支部長)「それがどうしたん?」
(幹事長)「距離が短い方が一生懸命走るから暑くなるやろ?」

距離が短い方がペースが速くなり、体が暑くなるから薄着の方が適している。

(のら)「でも去年も丸亀マラソンの方がペースが速かったよ」

実はそうなのだ。去年の距離ごとのラップを見ると、坂出天狗マラソンより丸亀マラソンの方がペースは速かった
最初から最後までフラットな丸亀マラソンに比べて坂出天狗マラソンは途中に大きな坂があるからペースダウンしてしまう、のかと思ったら、実は坂が始まる前からコンスタントに坂出天狗マラソンの方が丸亀マラソンよりペースが遅い。

(幹事長)「なんでやろ?不思議なやあ」
(支部長)「気合が入ってないからやろ」


確かに、年間のレースの中でも最も気合が入る丸亀マラソンに比べて、坂出天狗マラソンは気合ゼロのお気楽マラソンだからペースが上がらないのかもしれない。
て事で、悩みに悩んだが、とりあえず寒いのは間違いないので、長袖シャツの上に半袖Tシャツを着るという組み合わせは決まりだ。
ただ、どの長袖シャツを着るかが問題だ。
その日の天候を予想して、それに合わせたウェアだけを用意してくると、予想外のコンディションになった時に困るので、最近は何があっても対応できるように色んな準備をしてくるようにしている。
今日は雨天対策から晴天対策まで怠りなく準備してきている。
長袖シャツとしては、強烈な風雪の中を走った2018年に着た防寒用の分厚い長袖ランニングシャツや、雨の可能性があった2019年に着た雨で濡れてもベチョベチョしない登山用の吸湿性と速乾性に優れた薄手の長袖インナーウェアや、その中間の厚さの長袖シャツなんかを揃えて持ってきた。
先週の丸亀マラソンでも悩んだ末、一番分厚い防寒用の長袖ランニングシャツにした。だが今日は、ほんの少しだけ寒さがマシなような気がしたので、中間の厚さの長袖シャツにした。

(のら)「それって、そんなに違いがあるの?」
(幹事長)「微妙な違いだから、精神的なものかな」


一昨年の神戸マラソンや去年の下関海響マラソンでは「悩んだ時は薄着にすべきだ」と言うことで、自分に気合を入れるつもりで決死の覚悟で思い切って半袖Tシャツ1枚にした。
今日は厳冬期なので状況は異なるが、少しだけ薄めのシャツと言う事で、覚悟は同じだ。

(支部長)「2枚も着るんやから覚悟とは言えんな」

長袖シャツの上に着るTシャツは去年10月の酸欠マラソンで貰ったピンク色の「酸欠Tシャツ」だ。背中に大きく「酸欠」と書かれたインパクトのある画期的なデザインのTシャツだ。
最近は、これが気に入って、こればっかり着ている。のらちゃんもお揃いのピンクの酸欠Tシャツだ。

冬なので、防寒用にタイツは必要だ。ただ、今日も先週の丸亀マラソンと同様にランニングタイツではない
私はもともとランニングタイツはなるべく履かない主義だった。ランニングタイツを履くと膝が突っ張って走りにくくなり、履いてない方が走りやすいような気がしたからだ。
ただ、ランニングタイツには筋肉疲労を防止する効果もあるという事を聞いてからは、私は寒い季節には防寒用も兼ねてランニングタイツを履いてきた。
でも、やはりランニングタイツは履いてない方が走りやすいと思うので、筋肉疲労防止のためには脹脛サポーターを履き、ランニングタイツは履かない事にした。
それだと寒そうなので、脹脛サポーターの上から普通の防寒用タイツを履くことにした。防寒用と言っても、一番薄手のものなので、膝は突っ張る事なく動かしやすい。

手は寒さでかじかんできたので、薄手の手袋の上から神戸マラソンで貰った黄色の軍手を重ねて履いた。
そのほか、顔を拭くハンドタオルティッシュはポケットに入れたが、いちいち出すのは面倒なので、汗はできるだけ手袋で拭きたい。
いつものように、嫌いなランニングキャップは被らない。

他のメンバーを見ると、今回もゾウさん長谷選手はタイツを履かずに脹脛サポーターを履いている。D木谷さんに至っては脹脛サポーターすら履いていない。
タイツを履いているのは支部長のらちゃんだけだ。

着替えをしてたら、長谷選手の職場の先輩であるT橋選手も合流した。T橋選手2023年の庵治マラソンが初マラソンだった新人選手だ。
準備が整ったら団旗を持って記念撮影だ。

やる気がみなぎるメンバー
(左からD木谷さん、支部長、ゾウさん&ジュニア、O野選手、T橋選手、のらちゃん、幹事長、長谷選手)


遠方のマラソン大会なら、家を出る時間が早いため、会場に着いてから朝食を食べる事が多いが、今日は近場のマラソン大会で時間に余裕があったため、既に家で食べてきた
私の場合、朝食を食べたらトイレで大が出るようになるので、自宅で早目に食べて家を出る前にトイレを済ませるのが理想だ。なので、今日も早めに食べた。
ただ、これだと食べるのがちょっと早すぎて、レースの途中でエネルギーが枯渇する恐れがあるので、持ってきたゼリーを食べるつもりだった。
すると、その時、のら女王様からちょっと早いバレンタインデーのチョコが支給された。

(幹事長)「女王様のお恵みじゃ」
(支部長)「おお、ありがたや、ありがたや」


と言う事で、チョコをほおばってエネルギー補給する。
いつの間にか開会式が始まっていたが、去年は飴湯の接待があったのを思い出したので、開会式をスルーして飴湯を貰いに行く。飴湯は甘くて温かくてとても美味しかった

(のら)「甘いものを食べて甘いものを飲んだの?」
(幹事長)「甘いもの、だーい好き!」


飴湯を飲んだら口の中がベチャベチャするので、温かいお茶も頂いた。熱い飴湯とお茶で体が温まった。
開会式ではストレッチもやっていたようだが、飴湯を飲んでてストレッチをできなかったので、のら女王様と一緒にあらためてストレッチをする。

(支部長)「幹事長はストレッチは体に悪いからって毛嫌いしてたよね?」
(幹事長)「最近、心を入れ替えたんよ」


1月の初めに青山剛コーチによる丸亀マラソン攻略クリニックなんてイベントがあった。
本番の直前に即効性のある指導なんてある訳ないじゃん」という私の忠告にも拘わらず、のらちゃんが「やだ。行きたい行きたい!」と駄々をこねるもんだから、仕方なく付き合って一緒に参加した。
すると、思った通り1ヵ月後の丸亀マラソンに向けた即効性のあるアドバイスなんて全く無かった。それどころか、ランニングの指導すらほとんどなくて、専らストレッチの指導だった

これまで、私はストレッチを避けていた
小出監督が言ってたように、我々のような一般ピープルには通常のマラソン大会では体力を無駄に消耗するウォーミングアップは百害あって一利無しだ。どうせ序盤は大混雑でまともに走れないので、その時がウォーミングアップだ。
その教えを忠実に守る私は、さらにストレッチまで目の敵にし、ストレッチも一切やってこなかった。
ところが青山コーチの話を聞いて開眼した私は、さっそく彼の本を3冊も購入し、それ以来、ランニングの前にはストレッチをやる事にしている

(幹事長)「なんだか体が軽くなってなあ」
(支部長)「そんなん言われなくても当たり前や」

集合時間が迫ってきたので、トイレに行ってみる。
仮設トイレの前には少し行列が出来ていたが、男子の小用のトイレがいくつか並んでいて、それらは空いていたので、あっさりとトイレを済ませる事ができた。


〜 集合 〜


スタート10分前9時50分になって集合開始となった。集合がスタート直前なのは、朝早くから交通規制が始まる丸亀マラソンと違って、直前になってようやく交通規制がかかるからだ。
敷物代わりにしていた巨大なビニール袋に手荷物を入れて預け、スタート地点に向かう。

15kmの部の参加者は533人で、これくらいの数だとスタート時でもそんなに混雑はしない
よっぽど後ろの方からスタートしない限り、仲間同士でおしゃべりしながらゆっくり走るおばちゃん軍団に邪魔されて追い抜くことがままならないような状況にはなりそうにない。

ただ、タイムはシューズに着けたチップでネット計測してくれるから、後ろの方からスタートしても構わない、なーんて思うのは早計だ。
ゴールゲートにはタイム計測用の機器が設置されているが、スタートラインにはそれが無い。ゴール時間は計測してくれるけど、スタート時間は個別には計測してくれない。全員、スタートのピストルと同時だ。
つまりグロスタイムだけで、ネットタイムは計測してくれない。て事は、後ろの方からスタートしたら、ゴールラインを越えるまでの時間が余分にかかってしまう。

(幹事長)「前の方からスタートしないと好タイムが出ないぞ!」
(支部長)「ほとんど変わらんってば」


確かに、人数が少ないから、少しくらい後ろからスタートしてもほとんど変わらないだろう。
て事で、適当な場所に並ぶ。
恐れていたほど雲は厚くなく、なんとかゴールまで雨は降らなさそうな気配だ。風も弱いから、あんまり寒くない。絶好のコンディションとも言える。

スタート時間が迫ってきたので、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるから、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、その大会での自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
坂出天狗マラソンの過去のベストタイムは2023年のものだ

(幹事長)「去年は大会自己ベストを出したからな」
(のら)「去年が初参加じゃん!」

初参加の時は、どんなに遅くても大会自己ベストになるから良いけど、今年はそうはいかない。去年のタイムを上回らなければならない。
去年は初参加のためコースが良く分からなかったが、基本的にフラットなイメージだったので、1km5分を目安にして、15kmで75分を目標にした。
ところが、実は、このコースには大きな坂があったのだ。

(O野)「このコースはフラットって聞きましたけど?」
(D木谷)「いやいや、かなり坂がありますよ」
(幹事長)「私もフラットだって聞いてたけど、実際はここの坂は大きかったよ」


去年は初参加だったので走るまで分からなかったが、8km地点辺りから始まる坂は思った以上に厳しかった
たぶん傾斜は大した事はないんだろうけど、疲れ始めた足には結構きつかった。

もちろん、坂と言っても北山林道駆け足大会酸欠マラソン脱藩マラソン汗見川マラソンと言ったマニアックな山岳マラソンに出てくる激坂のような傾斜ではない。
また、坂は1つだけなので、何度も何度も坂が繰り返し出現するタートルマラソンオリーブマラソン庵治マラソンよりはマシだ。

ただ、坂があるコースが絶対に遅くなるかと言えば、そうでもない
最も良いタイムが出そうなマラソン大会と言えば、坂が無い高速コースの丸亀マラソンだが、私はなぜか坂が非常に多くて厳しいコースの瀬戸内海タートルマラソンの方がタイムが良いことが多い
おそらくタートルマラソンは前半から坂が多くて厳しいコースなので、終盤の失速を恐れて序盤からペースを抑えめに走っているため、終盤に失速しない事も多く、結果的に良いタイムが出やすいのだろう。
一方、丸亀マラソンはほとんど坂が無い高速コースで良いタイムが期待できるため、ついつい調子に乗って序盤からガンガン飛ばしてしまい、結局、終盤に大撃沈して失速するというワンパターンを繰り返している。

なので、坂があるコースの方が必ずしもタイムが悪いとは限らない
しかし、タートルマラソンやオリーブマラソンや庵治マラソンは小刻みなアップダウンが繰り返されるため、上りで疲れた足はすぐに下りで回復させる事ができる。上り坂も下り坂もそれほど長くは続かないからだ。
ところが、ここのコースは前半は超フラットで、後半に長い坂が現れる。坂の距離は長く、2km近くあるから、一気に上る訳にはいかず、だんだんペースダウンしてしまう。なかなかしんどいのだ。

てな訳で、結局、去年のタイムは80分ちょっとだった。のらちゃんも似たようなものだった。
なので、今年は80分を切る事を目標としたい。

マラソンにおいて理想的な走り方と言うのは、序盤は抑えめに走って、後半にペースアップするというネガティブ・スプリットだ。タートルマラソンやオリーブマラソンでも、好タイムを出した時は、たいていネガティブ・スプリットになっている。
オリーブマラソンなんて、前半はフラットで後半に坂が続くから、後半の方が遅くて当たり前なんだけど、好タイムを出した時は必ず後半の方がペースアップしている。

なので、今回も序盤から突っ込んでいったら絶対に撃沈するのは目に見えているので、序盤に頑張って貯金を作ろうなどという不埒な事は考えず、序盤から抑えて走ろうと思う。
そして、仮に、上り坂が終わって余力が残っていれば、そこから飛ばせばいい。

(のら)「具体的にどれくらいのペースで行くの?」
(幹事長)「1km5分20秒ペースで行こう!」

目標の80分を15kmで割ったら1km当たり5分20秒になるので、最初から最後までそのペースで走る事を目指そう。

(幹事長)「のらちゃんはもっと飛ばして良いと思うよ」
(のら)「そうかなあ」


のらちゃんは1週間前の丸亀マラソンで快走し、ハーフマラソン自己ベストを出した勢いがあるから、今日も好タイムを狙って突っ込んでも良いかなと思う。

そもそも、去年は二人とも疲れていた。レースの4日前に善通寺五岳山空海トレイルの試走をしたからだ。

(支部長)「天狗マラソンを舐めとんか?」
(幹事長)「すんませーん!舐めてましたっ!」


善通寺五岳山空海トレイルは坂出天狗マラソンの2週間後に開催されるんだけど、それに備えて去年はのらちゃんと二人で坂出天狗マラソンの4日前に山の中を試走したのだ。
なぜ、もっと近くなってから試走しなかったのかと言うと、山道のトレランなので足をくじいたりする危険性があり、あまり直前に足を故障すると本番に差し障ると思ったのだ。
ただ、思った以上に疲れは残り、その影響は大きかったと思う。
今年は五岳山空海トレイルの試走は坂出天狗マラソンが終わってからやる事にして、疲れは無いようにしてきた。なので、去年よりはマシなタイムが出る事を期待したいぞ。


〜 スタート 〜


スタート地点林田運動公園東側の道路だ。
いよいよ10時となり、スタートの号砲が鳴ってスタートとなった。
それほど前の方からスタートした訳ではないが、僅か10秒ほどでスタートラインを越えた
こんな小規模大会でも気合の入ったマジなランナーはたくさんいて、彼らはあっという間に飛ぶように駆け出して行った。

(のら)「速い人しか出てないんじゃないの?」
(幹事長)「そうかも」


1月の満濃公園リレーマラソンでも、以前は我々のライバルになるような遊び半分と言うか遊び全部のようなチームも多かった。ところが、コロナのバカ騒ぎで大会の中止が続き、ようやく復活した去年からは参加チームが例年の数分の一にまで減少し、参加チームのほとんどが気合の入ったマジなチームになった。
たぶん今日も、こんな世情でもマラソン大会に出たいっていう真面目なランナーが大半で、なんとなく流行に乗って出ていたような軽い気持ちのランナーは少なくなったのだろう。
でも、周りの速いランナーに釣られて調子に乗って飛ばしてはいけない。自重して走らなければならない

コースは、まずは林田運動公園の周りをぐるりと一周する。丸亀マラソンのような大規模マラソンと異なり、序盤から混雑はないので、自分のペースで走る事ができる。走りやすい。
一周して少し西へ行った所1km地点がある。時計を見ると5分を切っている。

(幹事長)「いかーん!いきなり調子にのって飛ばし過ぎてる!」
(のら)「抑えて抑えて」


序盤は自重して走らなければならないのに、いきなり調子に乗ってオーバーペースになっている。序盤から無理して走って終盤に潰れてはいけないので、とりあえずペースを抑える
すると、ここで支部長が我々を追い抜いていく。支部長は去年から足の調子が悪く、最近はランニングの練習があんまりできていない。
それなのに、序盤からどんどん飛ばしていく。一体どういう事?

しばらく走ると綾川に突き当たるので、そこを右(北)に直角に折れて海に向かう
少し走ると、なんと早くもトップ集団が折り返してきた。こんな小規模なマラソン大会でもトップの人たちはアホみたいに速い
さらに少し走って埋め立ての工業地帯北岸に突き当たった辺りに2km地点がある。この1kmは一気にペースが落ち、5分15秒くらいになった。

(幹事長)「ちょっと落とし過ぎやろか?」
(のら)「難しいところやね」

2km地点は埋め立て地の北岸にあるので、ここで右(東)に折れる
少し走ると、女子のトップ選手とすれ違った。これまた、ものすごく速い。こんな小規模なマラソン大会の女子選手でもトップの人はアホみたいに速い。

東に向かって400mほど走ると道が突き当たりになる。そこが第一折り返し点だ。
折り返し点の手前で折り返してくるメンバーを探すと、長谷さんが真っ先に走ってきた。思った以上にものすごく速い。もう、めちゃくちゃ速い。かなり上位にいる。
さらにしばらく走るとD木谷さんがにこやかに走ってきた。彼もかなり速い。
我々の少し前には支部長が走っていく。

折り返してしばらく走ると、再び綾川に突き当たるので、そこを左(南)に折れる。折れてから少し走ると3km地点の表示があった。この1kmも5分15秒程度だ。
そこから少し南に向かって走った所で左(東)に曲がって林田運動公園の方に戻る。
特にペースは上げていないが、ここで支部長に追いつく。

(のら)「お先に〜」
(支部長)「いかん。もう追いつかれた!」


のらちゃんと二人で支部長を追い抜き、順調に走っていく。

少し走ると最初の給水所がある。
もともと私の場合、あんまり喉が渇かない体質なので、フルマラソンでもない限り、給水無しでも全然平気だ。しかも冬場はあんまり汗もかかない。
ただ、足の攣りを防止するためには水分の補給は欠かせない。そもそも「給水は喉が渇いてからでは遅く、早め早めに給水しろ」ってのが鉄則だ。
て事で、最近はどんなマラソン大会でも全ての給水所で少しでもいいから水分を補給する事にしている。
だがしかし、今日は僅か15kmのコースだ。この季節に水分が不足するとは思えないし、坂が少ないので足が攣るような事態も考えられない。
て事で、給水はパスする事にした

林田運動公園まで戻ってきた所に4km地点があり、そのまま林田運動公園の北の道を東に向かって走り続けると5km地点がある。この辺りのペースは1km5分15秒前後のままだ。
ところが、早くもなんとなくしんどくなり、ペースが落ちていく。無理すればまだ少しは頑張れるが、前半のうちから頑張ると、後半に撃沈するのは目に見えているので、少しペースを落とす。
するとのらちゃん背中が少しずつ離れていく。彼女はまだまだ元気そうだ。

のらちゃんの背中が離れるのは仕方ないと思いながら、ことさら気落ちする事なく走っていたら、なんと後ろから支部長追いついてきた。これにはビックリ!
さっき追い抜いた時、もう支部長は早々に力尽きたと思っていたのに、全然、力尽きてなかった。全然ペースが落ちないから、私がペースダウンしたとたん、あっという間に追いつかれたようだ。
さすにが支部長にそのまま追い抜かれるのは阻止しなければならないので、ここは少し頑張って着いていく。

さらに東に向かって走る続けると6km地点の表示があった。やはりだいぶペースダウンしている
そして、じりじりと支部長の後姿も少しずつ離れていく。

ふと前を見ると、のらちゃんライバルネコさんの背中が見える。
ライバルネコさんは以前は支部長が勝手に付けた敵対ネコと言う名前だったが、その後、私たちは仲良しになったので、今ではライバルネコさんと呼んでいる。
彼女はかつて40歳近くになってもフルマラソンをサブ3.5で走っていた高速ランナーで、今でも様々なマラソン大会で女子年代別で優勝を重ねている。
今日も彼女は最前列でスタートしていたが、ここでようやく追いついたようだ。

支部長ライバルネコさんとお友達にはなってないので、気付いてないようだが、たまたま同じスピードで並走していく
しばらく並走した後、遂に支部長が前に出てライバルネコさんを置いていく。
私は支部長ほどの勢いは無いが、それでも少しずつライバルネコさんに近づいていく。
私自身のペースもだいぶ遅くなってきたが、彼女はそれ以上にペースダウンしているようだ。
最後は横に並び、そのまま追い抜いていく。もちろん、礼儀正しい私は、いつものように「ライバルネコさん、こんにちは!」って声を掛けて追い抜いていく。

しばらく走ると五色台の海岸を回る県道16号線に出るので、そこを左(北)に折れて大越方面に向かって走る。
少し走ると7km地点の表示がある。なんとこの1kmは5分半にまでペースダウンしてしまった。

さらに走ると、遂に長い坂が始まった。そんなに大した激坂ではないけど、疲れてきた足には堪える坂だ。
坂が始まる頃に8km地点があり、ペースはさらに少し落ちている。
それでも、さっき追い抜いたライバルネコさんに再び逆転されたりしたら格好付かないので、頑張って走っていく。
一方、支部長着実な足取りで坂を上がっていき、背中はますます遠ざかっていく。さらにのらちゃんの背中は遥か遠くになってしまった。

坂の途中に2つ目の給水所があったで、ここでは少し水分を補給する
次の9km地点でもペースは同じようなものだったが、遠くに第二折り返し点見えてきたので少しホッとする。
一度、フラットになりかけたが、再び傾斜が出てきて、折り返し点まで一気に傾斜がきつくなってくる

厳しい坂をなんとか上り終えると、ようやく第二折り返し点に到着する。
のらちゃんとの差はかなり開いていて、到底、追いつけそうにない。
それより驚いたのは、支部長のらちゃんのすぐ後を走っている事だ。全然ペースダウンする事なくしっかり走れている。ほとんど練習できてないとは思えない力走だ。

折り返した後は下り坂となる。ここまで来れば残りは5.5kmだし、しばらくは下り坂だ。なので、ここで一気にペースアップして遅れを取り戻したいところだ。
折り返して後続のランナーを確認すると、すぐ後ろをライバルネコさんが走ってくる。やはり、それほど差はついていない。頑張らないと、すぐに追いつかれそうだ。

少し下ると10km地点の表示がある。下り坂に変わったのに、前半は上り坂だったためか、この区間も5分半ほどのままだ。
でも、この時点でちょうど1km5分20秒のペースだ。つまり、このまま行けばちょうど80分でゴールできる
ここんところ5分半のペースが続いてきたが、ここからは下り坂になるのでペースアップできるだろう。そして、そのまま勢いを保てば80分でゴールできる。

折り返してすれ違う後続のランナー達を見ると、まだまだ後から後から意外に多くのランナーが走ってくる
丸亀マラソンのようなマンモス大会になると夥しい数のランナーが遥か遠く地平線の彼方から永遠に湧いてくるが、さすがにこの大会は参加者数が丸亀マラソンの1/20ほどの小規模な大会なので、それほど多くはない。
それでも、まだまだ数多くのランナーが苦しそうに坂を上ってくる。こちらは下り坂なので気持ちよく駆け下りていく。

坂を駆け下りていくと、11km地点の表示がある。完全に下り坂の区間なのに、なんと全然ペースアップできていない
去年はこの辺りはかなりハイペースで駆け下りたのに、今年は上り坂と全く同じペースのままだ。一体どういう事だろう。信じられない展開だ。

そして、次の12km地点では、下り坂が終わったせいか、ほんの少しだけどさらにペースダウンしていた。マズい。マズすぎる。
これじゃあ80分でゴールできない。かなり危機感が迫ってきた。もう残り3kmだけど、それを1km5分ちょっとで走らなければならない。スタート直後ならまだしも、レース終盤になってるので到底不可能なペースだ。

しばらく走ると、右(西)に折れて林田運動公園に戻る道に入る。
ここから道は西向きになり、正面から西風を受けるようになる。今日は風は弱かったはずだが、少し風が出てきたようで、こうやって向かい風になると意外に強く感じる
しかも、冷たい風が当たって体が冷えていく。とは言え、もう残りの距離は少ないので、寒さは我慢できそうだ。

3つ目の給水所でも少しだけ水分補給して、そこから少し走ると13km地点の表示がある。ペースは少しだけ持ち直したが、80分でのゴールは絶対に不可能になった。
ただ、のらちゃんの背中はとっくに見えなくなってしまったが、支部長背中がチラチラ見える。蛍光色のTシャツを着ているので、遠くからでも良く見える。
気のせいかもしれないけど、なんとなく少しずつ背中が大きくなっているように思える。ようやく力尽きたのだろうか。

支部長の背中が見えるので、なんとかモチベーションを維持して走っていくと14km地点になった。
ペースは同じで、80分でのゴールは不可能なんだけど、さらに支部長の背中が大きくなってきたので、俄然やる気が湧いていく。
しかも、良く見ると、支部長は歩いているではないか。これなら追いつける。
そう思って頑張んるんだけど、今日の支部長は意外に粘りを見せ、歩いたかと思うと、すぐにまた走りだす。そしてまた歩き、また走りだす。その繰り返しだ。
なので、なかなか一気には近づかないが、それでも着実に近づいていく。


〜 ゴール 〜


ようやく林田運動公園に着き、角を曲がって公園の中に入っていく。
去年はゾウさんが公園に入ってから支部長を捉えてゴール直前で一気に抜き去った。今年は私がそれを再現したかった。
しかし、それに気付いた支部長は、今年は最後まで粘りを見せ、結局、追いつけなかった。

(幹事長)「あー、追いつけなかった!」
(支部長)「なんとか逃げ切れた。いつ追いつかれるかと思って生きた心地がしなかったよ」


完走したら小さなタオルを肩に掛けてくれるほか、お蕎麦やミカンなんかをくれる。
さらに、すぐその場で記録証を発行してくれる。最近のマラソン大会は、どこもかしこも記録はウェブ上に掲載されているだけなので、面倒で仕方ない。この大会は規模が小さいため、丁寧にその場で記録証を発行してくれるので嬉しい。
結局、タイムは去年より9秒速いだけで、今年も80分を切れなかった。1kmごとのラップを見ても、結局、最初から最後まで去年と同じような展開だった。
今年は去年の反省を踏まえて、序盤を抑えるとか考えていたのに、結局、スタートしたら同じ事の繰り返しだった。

(幹事長)「呆れるほど成長が無いなあ」
(支部長)「この歳になって成長する訳がないやんか」


先週の丸亀マラソンの15km地点のタイムより、今日のタイムの方が遅かったってのも、去年と同じだ。15kmで終わるレースなのにハーフマラソンの15km地点のタイムより遅かったのは情けない。
後半に大きな坂があったのは理由とも言えるが、上り坂が終わって下り坂になってもペースが全く上がらなかったのは衝撃だ。何が悪かったのだろうか?

一方、のらちゃんは去年より2分ほど速かった。
そして、なんと彼女は今年も女子年代別部門で堂々の1位だった。大会2連覇だ。

(幹事長)「参加者が3人とか?」
(のら)「何を言うか!47人中の1位だよ!」
(幹事長)「ひえ〜っ!さすがは女王様!」
(のら)「えっへん!」


住民運動会とか小学校の運動会ではない。足に自信があるランナーが大勢参加している一般のマラソン大会で47人中1位だなんて素晴らしい!
女子全体でも153人中で上位1割に入っていた。凄い!凄すぎる!

(支部長)「あれ?私も男子年代別部門で100人中21位やで!」
(幹事長)「ほんとや!私も男子年代別部門で100人中22位や!」


ふむふむ。我々も全くの役立たずではないようだ。

一方、今年デビューしたゾウさんジュニアも、素晴らしい快走だった。最初からペースが全然落ちず、て言うか、最後はペースを上げ、最後の5km目の1kmは5分21秒のハイペースだった。
そもそも小学校1年生で5kmも走るのが凄い上に、最後までそんなハイペースで走った事に驚愕する。伴走したゾウさんも、疲れた顔をしている。

(ゾウ)「私も疲れましたよ」
(幹事長)「あと何年かしたらゾウさん負けるよ」


〜 反省会 〜


結局、今日も終盤は着実にペースダウンしてしまい、相変わらずパッとしない惨敗となった
序盤にさらにゆっくり走るべきなんだろうか。そんな事をしてたら、ロクなタイムは出やしないぞ。

(支部長)「もう歳やから無理せん方がええよ」
(幹事長)「悲しい現実!」


そもそも、足の故障でロクにランニングの練習ができていない同じような年齢の支部長に負けたのには茫然自失だ。驚異の復活としか言いようが無い。

(幹事長)「ランニングの練習はできてないけど、水泳を練習を続けているのが良いみたいやなあ」
(支部長)「そうかなあ?」
(のら)「絶対にそうだよ。青山コーチが言ってたよ」


のらちゃんと一緒に青山コーチの丸亀マラソン攻略クリニックに行った時に説明を聞いたが、水泳は体幹を鍛えるのに非常に優れていて、ランニングの練習をしなくても水泳の練習をきっちりやっていればランニングの基礎はバッチリなんだそうだ。
支部長が走っているのを後ろから見ていると、見事なまでに体幹がしっかりしていて、美しい安定したフォームで走れている。まさしく水泳の効果だろう。
フルマラソンのような長い距離だと終盤に力尽きて撃沈したところを逆転できるだろうけど、15kmくらいの距離では逃げ切られてしまうようだ。

レースが終わると、このマラソン大会の一番の楽しみである天狗うどんを食べる。「天狗うどん」と言うのは「てん(ten=10)の具」が入ったうどんだ。
10の具と言うのは正式には
 1、イチョウ(銀杏) 
 2、ニンジン(人参)
 3、サツマイモ
 4、シイタケ(椎茸)
 5、ゴボウ
 6、ムカゴ(山芋の実)
 7、ナナクサ(七草の大根)
 8、ハスネ(蓮根=レンコン)
 9、クリ(栗)
10、トウフ(揚げ)

らしい。

(のら)「正式って何よ?」
(幹事長)「坂出天狗まつり実行委員会の定義やな」


この坂出天狗マラソンってのは坂出天狗まつりの一環として行われているのだ。

(幹事長)「今になって気が付いたけど、1から10までダジャレになってるんやね」
(D木谷)「なかなか凝ってますよね」


うどんより具の方が多いくらいのボリュームで、とっても美味しく頂いた。体も温まるし、嬉しい天狗うどんだ。
坂出天狗マラソン自体は、もう来年は出なくても良いかなと思う程度のマラソン大会なんだけど、これを食べていると来年も出ようかなという気分になってくる。

天狗うどんを食べていると、ライバルネコさんが声を掛けてきて、隣で一緒に食べた。
彼女は次は徳島マラソンに出るそうで、サブ4を狙っているそうだ。40歳近くになってもサブ3.5で走っていた高速ランナーなので不思議は無いが、相変わらずモチベーションは高い。我々も見習わなければならない。

天狗うどんの他におにぎりも頂いてお腹いっぱいになったところで割引券をもらった城山温泉に行く。
城山温泉には、去年の天狗マラソンの後に初めて行ったが、なかなか見晴らしの良い場所にある温泉だ。
登山の後と同じく、半分眠りながら疲れた体を長時間お湯に浮かべていると、マラソンにしても登山にしても、喜びの半分は終了後の温泉ではないかと思うくらい気持ち良い。

(支部長)「長湯しすぎやがな」
(のら)「ほんとほんと。みんな待ちくたびれてるよ」
(幹事長)「すんませーん!」


さて、次は2週間後善通寺五岳山空海トレイルがある。
出場するのは今年で4回目だが、今年は初めてダブルの部門に出る

(幹事長)「シングルでもヘトヘトになるのに、それを2周するだなんて狂気の沙汰だ!」
(のら)「幹事長が出ようって言ったんじゃない!」
(幹事長)「ダブルにしようって言い出したのはD木谷さんじゃなかったっけ?」
(D木谷)「違います!言い出しっぺは幹事長ですよ!」
(支部長)「勝手に出てちょ。私は今年もシングルで十分や」


1周するだけでもヘトヘトになる獲得標高1300m、距離15kmのコースを2周するのは大変だろうけど、私は12月に試走して、制限時間6時間40分ギリギリで走破できたので、実は自信がある。

(のら)「あ〜ん、私は不安爆発だよう」
(D木谷)「私もビビりまくりです」


さらに善通寺五岳山空海トレイルの翌々週には女子部員は名古屋ウィメンズがあり、男子部員は琵琶湖マラソンがある。
さらに、その2週間後には四万十川桜マラソンがある。この時期は本当にマラソン大会が多くて困ってしまう。

(支部長)「別に出なくてもええんやけどな」
(幹事長)「体が元気なうちに出ておかないと、そのうち出たくでも出られない体になるからなあ」


〜おしまい〜




戦績のメニューへ