第29回 坂出天狗マラソン大会

〜 支部長とゾウさんの激闘! 〜



2023年2月12日(日)、第29回坂出天狗マラソン3年ぶりに開催された。

坂出天狗マラソンは丸亀マラソンなんかに比べたら世間での知名度が低いマイナーなマラソン大会だが、なんと歴史は丸亀マラソンより古い

(ピッグ)「でも丸亀マラソンは今年が第75回大会でしたよ」
(幹事長)「毎度ヤラセの質問をありがとう」


1週間前の丸亀マラソンは、今年が第75回だなんて銘打ってるけど、もちろん
これは大嘘で、本当は今年が第25回目だ第1回大会から連続出場している私が言うのだから間違いない。

(ピッグ)「その第1回と言うのは75年前ですか?」
(幹事長)「わしゃ仙人か!」


第1回と言うのは、もちろん本当の第1回であり、26年前の1997年の大会だ。
丸亀マラソンの記事にも書いているように、第1回大会は1997年に丸亀城築城400年記念大会として開催されたんだけど、2001年の第5回大会のとき、
突然50回も上げ底されて第55回になったものだ。
1997年の第1回大会の前年まで50年間にわたり開催されていた香川ロードレースという大会の回数を突然、足すという暴挙に出たからだ。香川ロードレースというのは、陸上競技の専門家しか出ない閉鎖的な業界内の大会であり、今の丸亀マラソンとは似ても似つかない全く別のレースだった。
水増しの事情については、2002年の第56回(本当は第6回)の記事に詳しく書いているが、理由はもちろん、
回数が多い方が伝統がある由緒正しいレースのように聞こえるからだ。(断わっておくが、私はこの暴挙については大賛成だ。私の故郷のマラソン大会が由緒ある大会のように聞こえるからだ)

なので、今年で第29回目を迎える
坂出天狗マラソンの方が丸亀マラソンより2年だけ古い

(ピッグ)「え?第29回と第25回なら4年古いんじゃないんですか?」
(幹事長)「いい所に気が付いたね、ポワロ君」


コロナ騒ぎでマラソン大会が軒並み中止になる前の2020年は、丸亀マラソンが第74回
(すなわち第24回)坂出天狗マラソンが第26回だったから、坂出天狗マラソンの方が2年古いって事がよく分かる。
ところが、3年ぶりに復活した今年の大会は、丸亀マラソンが中止になった2年間の大会をノーカウントとして
今年は第75回(すなわち第25回)としたのに対し、坂出天狗マラソンは中止だった2021年と2022年の幻の大会もカウントして今年は第29回と銘打った
丸亀マラソンに関しては、我々は中止になっていた2年間も自主開催を続けていたので、このホームページ上では2021年の第75回大会2022年の第76回大会の記事もあるが、今年の本大会は第75回大会に逆戻りした。自主開催を続けていたので、ややこしくなった。
一方、坂出天狗マラソンは自主開催もしてないのに、
中止になっていた2年間をそのままカウントするなんて、いかがなもんだろうか。

(幹事長)「いかがなもんだろうか」
(ピッグ)「何ででしょうね?」


理由は簡単だ。丸亀マラソンの回数水増し作戦に対抗して、少しでも回数をかせぐために
水増し作戦に出たのだ。回数が多い方が伝統がある由緒正しいレースのように聞こえるからだ。(古くから続く丸亀と坂出の対抗意識は根深い)
一気に50回も水増しした大胆な丸亀マラソンに比べて、僅か2回分水増ししたって焼け石に水なんだけど、涙ぐましい努力ではある。

(ピッグ)「本当ですか?」
(幹事長)「もちろん」


もちろん、推測だ。
いずれにしても、誤解と混乱を招くカウントの仕方だ。

(幹事長)「誤解と混乱を招くな」
(ピッグ)「だーれも気にしてないと言うか気付いてないですよ」

いずれにしても、坂出天狗マラソンはマイナーで知名度が低い割には、東京マラソンや大阪マラソンなんかの新参者に比べたら
ずっと由緒ある大会だ。
だが、
毎年、丸亀マラソンの翌週に開催されるもんだから、私としては2週連続のレースは避けたいので、ずうっと出場してこなかった

(ピッグ)「タートルマラソンと那覇マラソンとか、脱藩マラソンと秋吉台カルストトレイルランとか、2週間連続で出ているレースもありますが」
(幹事長)「どれも出ない訳にはいかない重要な大会だからな」

私にとって坂出天狗マラソンは、タートルマラソン那覇マラソン脱藩マラソン秋吉台カルストトレイルランほどの
重要性は無い
本格レースである丸亀マラソンで全力を使い切った翌週に、距離が15kmという
中途半端な坂出天狗マラソンに出るモチベーションは無かった。


〜 3年ぶりの復活 〜


て事で、これまでは坂出天狗マラソンはゾウさんのお誘いにもかかわらず、素知らぬフリをして回避してきた。
しかし今年は、ようやく
コロナ騒ぎが収まって色んなマラソン大会が一気に復活したから、嬉しくなって舞い上がってしまい、ついフラフラとみんなで発作的にエントリーしてしまったのだ。

そもそもコロナ騒ぎの発端は2020年の坂出天狗マラソンが開催された翌月の2020年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。
その後、状況はますます悪くなり、遂に3月22日の徳島マラソンは全面的に中止になり、その後も全国的にマラソン大会が次々と中止になっていった。

これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。

(ピッグ)「あれ?この説明はもう書かないのかと思ってましたが」
(カッパ)「ちょっとだけよ」

素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないとぶつかって走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外で走っている時に感染なんかしない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしていたが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない
それなのに、その後も続々とマラソン大会の中止が発表になり、マラソン大会もサイクリングイベントも全滅してしまった

この暗黒の事態を打開するため、ピッグの提案により、中止になったイベントをペンギンズで自主開催していくことになった。マラソン大会では5月の小豆島オリーブマラソンから自主開催を始め、全てのマラソン大会を自主開催した
これらは例外なく、とても楽しくて大成功だったが、そうは言っても正式な大会ほどのやる気と達成感は得られないため、願わくは、コロナのバカ騒ぎは2020年で収束して、2021年はマラソン大会が復活して欲しかった。
ところが、2021年になってもコロナのバカ騒ぎが終わらず、丸亀マラソンが初めて中止になるなど、全てのマラソン大会の中止が続いたため、前年と同様に全てのマラソン大会の自主開催を続けた

しかし、バカみたいなコロナ騒ぎもいよいよ収まり、2022年2月の丸亀マラソンから正式なマラソン大会が復活する予定となり、我々はちゃんとエントリーしていた。ところが、なんと、
丸亀マラソンは直前になってドタキャンされてしまった
さらに3月の徳島マラソンもちゃんとエントリーしていたのに、やはり直前になってドタキャンされてしまった。

ただし、全国的にコロナのバカ騒ぎによるマラソン大会中止が全面的に3年目に突入した訳では決してない東京マラソンは3月6日に開催されたし、名古屋ウィメンズマラソンも3月13日に開催され、ゾウさんが出場して完走した。
なぜマラソン大会が復活し始めたのかと言えば、
コロナの感染者数が減ったからではない。相変わらず感染者数は高止まりしている。
しかし、
コロナのバカ騒ぎは収まりつつある国民の多くが理解するまで2年もかかったが、ようやくコロナなんてただの風邪に過ぎないっていう理解が進んできたのだ。

ところが、人口が密集している大都市の東京や名古屋で大規模マラソンが開催されたのに、なぜか田舎で沿道の観客だってスカスカの徳島マラソンは中止になった
その流れを受けて、
四国で開催されるマラソン大会はことごとく3年連続の中止になった。

しかし、遂に2022年10月、高知県梼原町の大英断により四国のマラソン大会として3年ぶりに龍馬脱藩マラソンが復活した!
それに続いて同じく10月に
庵治マラソンも3年ぶりに復活
し、さらに今年1月の満濃公園リレーマラソンや1週間前の丸亀マラソンも3年ぶりに復活した

そして、この
坂出天狗マラソンも3年ぶりに復活となったのだ。まことに、めでたいめでたい。


〜 エントリー 〜


坂出天狗マラソンは、坂出在住のゾウさんは地元の大会ということで、かつてはミス坂出としてお世話係として参加していたが、最近は選手として参加している。

(幹事長)「さすにが今はミスではないからミス坂出にはなれんわな」
(支部長)「いやいや、今はミスでなくてもミス坂出になれるらしいよ」
(幹事長)「なんとかーっ、詐欺やないか!」


そういう時代なのだそうだ。

坂出天狗マラソンの種目には
5kmの部15kmの部がある。5kmはいいとして、なぜ15kmという中途半端な距離になっているのかは知らない。
キリが良い10kmとか、あるいはどうせなら折り返し点を3km延ばして21kmのハーフマラソンにすればいいと思うのだが、何かいきさつがあるのだろう。

(ピッグ)「庵治マラソンの12kmってのも中途半端ですよね」
(幹事長)「あれもややこしいいきさつがあるからなあ」


12kmレースの庵治マラソンがなぜクォーターマラソンと称しているのか
と言う理由と言うかについては庵治マラソンの記事に書いている通り、自治体合併に伴う役所同士の魑魅魍魎としたバトルが背景にあった。
坂出天狗マラソンの15kmという中途半端な距離設定も、何かしらのドロドロした背景がある。

(ピッグ)「本当ですか?」
(幹事長)「もちろん」


もちろん、推測だ。
定員は5kmの部と15kmの部を合わせて1300人だ。ただし、丸亀マラソンを走って県内のランナーの97%が疲弊している中で、翌週のマイナーな大会にそんなに大勢のランナーが集まるとは思えないので、実際に何人くらいが参加するのかは行ってみないと分からない。
ゾウさん最近、5kmの部に出ていた。なぜ15kmの部でなくて5kmの部に出ているかと言えば、5kmの部の方がペースが速いからだ

(幹事長)「どゆこと?」
(支部長)「意味わからん」


15kmの部はハーフマラソンに近い距離だから、ペースもハーフマラソンに近いペースになる。我々なら、せいぜい1km5分程度というペースだ。しかし、
距離が短くなればペースは上がる
距離は短いから、そういう意味では15kmの部より5kmの部の方が楽そうに思えるが、それは素人の考えであり、ペースが速い5kmの部の方がはるかにしんどい。
15kmだとペース配分とか考えて無茶に飛ばしたりはしないが、たった5kmになると
ペース配分なんて考える余地は無く、最初から最後まで全力でぶっ飛ばさなければならない。なので、非常にしんどい。
ゾウさんは何事も限界に挑戦するのが好きなので、スピードの限界に挑戦するために5kmの部に出ていたのだ。オリーブマラソンでも我々のようにハーフマラソンの部じゃなくて、あえて10kmの部に出ていたし。

そして、なんと
前回の2020年大会も5km女子年代別部門で優勝してしまった2018年2019年も5km女子年代別部門で優勝したから、なんと5km女子年代別部門で3連覇を達成したのだ。
しかも、2020年のタイムは2018年や2019年のタイムを大幅に上回る大会自己ベストを達成している。

(幹事長)「めちゃめちゃすごいやん!3連覇もすごいし、前年より30秒以上速いやん!

優勝どころか上位入賞なんてまるっきり無縁の私らからすれば想像できない世界だ。しかも平均で1km4分40秒を切るペースだなんて、素晴らし過ぎる!

(ゾウ)「レース前にアップをしっかりやりましたから」
(幹事長)「いや、そういう問題ではないやろ」
(支部長)「私らは絶対にアップなんかしないぞ!」


「スタート直後は大混雑でまともに走れないので、その時がウォーミングアップであり、一般ピープルにはウォーミングアップは疲れるだけで百害あって一利無しだ」と言う小出監督の教えを忠実に守ってきた我々は決してウォーミングアップはしない

(ピッグ)「会則に、あんまり速い人は除名されるって書いてますけど」
(幹事長)「もちろん女子部員には適用しません」
(支部長)「いつも血の味がするって言ってたけど?」
(ゾウ)「
血の味もしたし、最後は吐きそうになりました」


私らは、どんなに頑張っているつもりでも、血の味もしなければ、吐き気も無い。そこまで頑張れないからだ。
しかも、何を隠そう、何も隠しはしない、ゾウさんは最近、足に故障を抱えており、痛み止めを飲まないと走れない状態なのだ。

(幹事長)「痛み止め飲みながら3連覇って、どゆこと?」
(ゾウ)「てへっ」


3年前の丸亀マラソンで途中で骨折しながら大会自己ベストで完走したのらちゃんと言い、女子部員の根性には、ただひれ伏するしかない。

(幹事長)「やっぱり女性の方が根性あるよなあ」
(支部長)「私らは男の中でも特に根性が無いけどな」


このように過去5kmの部で輝かしい実績を積んできたゾウさんだが、3年ぶりに復活した今年の大会には我々と同じ15kmの部に出ると言う。

(幹事長)「え?なんで?」
(支部長)「一緒に走ったら私ら蹴散らされるよ!」


絶頂期に辞めるというのは格好いいが、未練がましい私には真似のできない事だ。

(幹事長)「まさか2階級制覇を狙って部門を変えたのか?」
(支部長)「3連覇もしたから、他の人が優勝できないからって事務局から出入り差し止めされたんと違う?」
(ゾウ)「違いますよ。名古屋ウィメンズを考えて」


ゾウさんのらちゃんと共に3月に開催されるフルマラソンの名古屋ウィメンズマラソンに出場するので、それに備えて少しでも長い距離を走っておこうという事らしい。

(支部長)「いいなあ。私らも名古屋ウィメンズに出てみたいよ」
(幹事長)「体は男でも心は女やもんなあ」
(のら)「捕まるよ」


て事で、今年は15kmの部ゾウさんのほか幹事長、支部長、ピッグ、のらちゃん、D木谷さん、長谷さんが出場する。
先週の丸亀マラソンではD木谷さん長谷さん倉石さんと共にウルトラ三兄弟で走ったが、今回は倉石さんが不参加なのでウルトラ兄弟での出走だ。

上にも書いたように、丸亀マラソンの翌週と言うことで坂出天狗マラソンを回避してきた我々だが、実はD木谷さんは坂出出身と言うこともあって、何度か出場している。

(幹事長)「あれ?支部長も坂出勤務があったよな?」
(支部長)「そんな事あったっけなあ」
(ゾウ)「あれだけ誘ったのに出てくれなかったんですよ!」


支部長は坂出勤務の頃、ゾウさんに何度か出場を誘われたらしいんだけど、頑なに拒んでいたそうだ。
その因縁が今回のレースの結末を左右する事になるなんて、その時は誰も考えてもなかった。


〜 ドタキャンか! 〜


会場へは、みんなで車に乗り合わせて行く事になっていた。今回はピッグさまが車を出してくる予定だ。
ところが、レース前夜になって長谷さんから連絡が入る。もちろん、レースの直前に入る連絡は悪い知らせと相場が決まっている。たいていはドタキャンの連絡だ。分かり切っている。

(長谷)「あのう、済みません」
(幹事長)「ああ、はいはい」
(長谷)「明日の坂出天狗マラソンですけど・・・」
(幹事長)「ああ、はいはい」
(長谷)「あの、実は、・・・」
(幹事長)「ああ、はいはい、残念やな」
(長谷)「えーと・・・」
(幹事長)「いやいや、決して見捨ててはいないからな」
(長谷)「って、何の話ですかっ!」
(幹事長)「どうせ農作業が入ったとかでドタキャンするんやろ?」
(長谷)「違いますがな!出ますがな。ただ午後から用事ができたので自分の車で行くって事を連絡しようと思って」
(幹事長)「なんや、そんな事か。参加できるんやったら良かった良かった」


久しぶりのドタキャンの連絡かと思ってドキッとしたが、レースには参加できるとの事で一安心だ。

(ピッグ)「久しぶりのドタキャンコーナーですね」
(幹事長)「レース自体が久しぶりやからな」

以前は必ず登場していたドタキャンコーナーだが、この3年間は自主開催ばかりだったので影を潜めていた。ドタキャンコーナーも3年前の満濃公園リレーマラソン以来、3年ぶりの復活だ。

(ピッグ)「別にめでたくはないですけどね」

てことで、長谷さんは自分の車で一人で行く事となった。


〜 会場へ出発 〜


予定通り、当日はピッグさまの車に乗り合わせて行く。
まず7時40分に私んちに迎えに来てもらい、その後、支部長、D木谷さんをピックアップして8時に高松を出発し坂出市江尻町に設けられた臨時駐車場へ向かう。自分の車で行く事になった長谷さんも8時に出発する。丸亀からくるのらちゃんも8時に出発したとの事だ。
レースのスタート時間は15kmの部は10時で、受付は9時50分までだから、もっと遅く行っても問題は無いんだけど、初めての参加で要領が分からないから、余裕をもって早めに出たものだ。
ゾウさんからは、大会運営のお手伝いのために早々に会場に着いて準備を進めているという連絡が入る。

1週間前の天気予報では週末は天気が崩れそうな感じだった。でも日が近づいてくるとレース当日は晴れ予報に変わった。
そして、実際にレース当日は朝から良い天気となった。前週の丸亀マラソンに続き、2戦連続で絶好のコンディションだ。

(支部長)「今年は満濃公園リレーマラソンと言い丸亀マラソンと言い好天が続くなあ」
(幹事長)「全て私の人徳のおかげやな」
(支部長)「人徳がある人は自分では言わんぞ」


3年ぶりのマラソン大会復活を祝すかのように、今年のマラソン大会はことごとく晴天が続いている
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、2010年の小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。
ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、今は一年で一番寒い時期なので、冷たい雨の中を走るのは嫌だ

また、先週の丸亀マラソンと同様に、今日も天気が良いだけでなく風が弱いのがとても嬉しい。
例年、この時期は西から強い風が吹いてきて、丸亀マラソンは折り返してからの後半が強い向かい風となり、ただでさえペースが落ちる後半にますます厳しい戦いを強いられる。
坂出天狗マラソンは私は初参加なのでよく知らないが、同じような状況らしく、終盤は西に向かって帰ってくるから向かい風になるらしい。

(D木谷)「終盤は風よけの無い海岸線の道を戻ってくるので、向かい風は強烈ですね」

丸亀マラソンよりもさらに強烈な向かい風になるようだ。でも今年は、先週の丸亀マラソンに続き、風も弱そうだから、楽しいレースが期待できそうだ

車は順調に進み、臨時駐車場には8時半ごろに到着した。
駐車場では既に到着していたのらちゃん長谷さんに無事に合流できた。
臨時駐車場から大会会場林田運動公園へはシャトルバスで移動する。町中の競技場で開催されるため周辺の道路が大渋滞となる丸亀マラソンと違って、この辺りは休日はほとんと交通量が無い海辺の工業地帯なので、何の渋滞もなく順調にシャトルバスは大会会場に着いた。


〜 会場到着 〜


時間はまだまだ早いと思ったが、会場に到着すると、すでに大勢のランナーがいて賑わっていた

(幹事長)「意外に人が多いですね」
(D木谷)「これでも以前に比べたら少ないですね」


もっと人数の少ない草レースかと思っていたが、コロナ騒ぎで中止になる前は、もっと大勢のランナーが来ていたらしい。
会場に入ると健康状態を記載した体調管理チェックシートを提出させられる。大会の1週間ほど前から毎日、体温を記録すると共に、「喉に痛みがある」とか「頭痛がある」とかいった体調を申告するものだ。
もちろん、1週間の間に1つでも何か異常があったら参加できないという理不尽で無茶苦茶なシステムだ。
このような体調管理チェックシートは、3年ぶりに復活した多くのマラソン大会で提出が求められる。先週の丸亀マラソンでは不要だったが、去年秋の脱藩マラソンや庵治マラソンや神戸マラソンでは求められた。
どう考えても、全く無意味なシステムだ。1つでも異常があったら参加できないのに、該当する箇所にチェックを入れたチェックシートをわざわざここまで提出しに来る人がいるだろうか?

(幹事長)「何も悪いところは無いっていう真っ白なチェック表しか提出しないやろ?」
(支部長)「役所のアリバイ作りやがな」
(幹事長)「分かってまんがな」


体調不良で倒れたランナーが出た場合、あくまでも虚偽申告したランナーの責任であり、主催者側には何も落ち度が無かったって事を証明するアリバイ作りのためとは分かっている。
でも、そもそもマラソン大会なんて、何が起きても参加者の自己責任だ。マラソン大会に限らない。学校の体育じゃないんだから、どんなスポーツイベントでも参加者の自己責任だ
それは当たり前の事であり、かつては全ての参加者が自覚していた。それが、いつの間にか主催者の責任が問われるようになってきた。炎天下のレースで参加者が倒れたりすると、主催者は大慌てだ。

これは独善的なマスコミが騒ぎ立てる事が原因だ。スポーツイベントの参加者はあくまでも自己責任で参加しているのに、あたかも主催者の責任のように騒ぎ立てる。
このマスコミのヒステリックな態度のせいで、コロナのバカ騒ぎが巻き起こり、全てのマラソン大会を始めとする多くのスポーツイベントが中止に追い込まれてきたのだ。
マラソン大会に参加した人が、コロナに感染したからと言って主催者を責めるような事はあり得ない。それなのに、無関係のマスコミが大騒ぎするから多くのスポーツイベントが中止に追い込まれてきた。
マスコミが社会を破壊していると言っても過言ではないだろう。こんな身勝手な行動は断じて許す事ができない。害をまき散らすマスコミは徹底的に弾圧しなければならない。これは報道の自由という次元の問題ではない。

(幹事長)「弾圧しなければならない!ゼイゼイゼイ」
(ピッグ)「レース前に血圧が上がってますよ」


受付ではゼッケン計測チップ記念品パンフレットをもらう。さらに手荷物を預ける時に入れる大きなビニール袋をもらう。ものすごく巨大なビニール袋だ。

(幹事長)「ビニール袋史上最大の大きさじゃないか」
(のら)「みんな敷物代わりに使ってるよ」


会場の林田運動は芝生なので、みんな巨大なビニール袋を下に敷いて準備している。
記念品はTシャツくらいくれるのかと思ったら、乾麺のお蕎麦くらいだった。多くのマラソン大会の記念品がTシャツなので、同じようなTシャツが毎年、積み上がっていくから、Tシャツはもう十分なんだけど、この大会は初参加なので1つくらいはTシャツが欲しかった。

場所が落ち着いたら、さっそく着替えなければならない。
何を着るかマラソン大会において最も重要な要素だ。寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。

(幹事長)「今日は悩まないぞ」
(支部長)「うわ、珍しい!」

なぜ今日は悩まないかと言うと、先週の丸亀マラソンと同じようなコンディションだからだ。
寒ければ防寒用のぶ厚い長袖ランニングシャツを着て、その上に半袖Tシャツを重ね着する。
そこまで寒くなくても、冬ならたいていは長袖シャツを着る。長袖シャツにも色々あって、今日も一応、少し厚手の長袖シャツと薄手の長袖シャツを持ってきている。
しかし先週はどうしようか散々悩んだあげく、長袖シャツは止めて半袖Tシャツを着て、腕が冷えるのを防ぐためにアームウォーマーを着けて走った。
実質的には薄手の長袖シャツを着るのと似たようなものだが、アームウォーマーは暑くなれば走りながらでも脱ぐ事ができるので便利だ。
このウェアの選択は正解で、それほど暑くもなく寒くもなく、快適に走れた

(支部長)「その割にはタイムは悪かったな」
(幹事長)「ウェアとタイムは関係ないって事が良く分かったよ」
(支部長)「だからいつも言ってるやろ。着るもので悩んでも意味は無いって」


タイムは良くなかったが、快適に走れたというのは重要だ。せっかくレースに出るんだから楽しく走らないとつまんない。
今日は先週と同じように天気が良くて風が無い上に、先週以上に気温が暖かい。じっとしてるのに暖かく感じられるような時は、走りだすと暑くなるに決まっている。しかも、この後、気温は上昇していきそうだ。
なので、今回も半袖Tシャツとアームウォーマーの組み合わせで走る事にした。

先週の丸亀マラソンでは長袖シャツの上に半袖Tシャツを重ね着したのらちゃんも今日は私と同じように半袖Tシャツとアームウォーマーの組み合わせだ。

(のら)「暑くて後半に失速したからね」
(支部長)「それは重ね着が原因ではなくて序盤に突っ込み過ぎたんが敗因やで」


そう言う支部長も半袖Tシャツとアームウォーマーの組み合わせだ。ウルトラ兄弟ピッグに至っては、アームウォーマーすら着けていない。

(幹事長)「若い人たちは元気やなあ」
(ピッグ)「恥ずかしいので、若いなんて言わないでください」


さらに、今日はランニングタイツは履かないという大胆な選択をした。
私はもともとはランニングタイツはなるべく履かない主義だった。ランニングタイツを履くと足が突っ張って走りにくくなり、履いてない方が走りやすいような気がしたからだ。
なので数年前までは、寒い季節には防寒用と割り切ってランニングタイツを履くものの、寒くて仕方ない時以外は履いてなかった
それが、ランニングタイツには筋肉疲労を防止する効果もあるという事を聞いてからは、ちょっと寒いくらいの季節でも履くようになった
それに慣れてしまい、いつの間にか冬のレースには思考停止して迷うことなく防寒用にランニングタイツを履いてきた。
でも実は、タイツを履かなくても、筋肉疲労防止のためなら脹脛サポーターを履けばいい。
先週の丸亀マラソンでは、ランニングタイツを履いていたのは私と支部長のらちゃんの年寄りトリオだけで、ピッグゾウさんウルトラ三兄弟はタイツを履かず、代わりに脹脛サポーターを履いていた。
それが影響したのかどうかは分からないが、ランニングタイツを履いていた年寄りトリオが揃って大撃沈したのは事実だ。

(支部長)「それはランニングタイツが原因ではなくて序盤に突っ込み過ぎたんが敗因やで」
(幹事長)「あくまでもウェアとタイムの関係性を否定するなあ」

真の敗因はペース配分の失敗だろうけど、今日は試しにランニングタイツを履かない事にした。
他のメンバーを見ると、今回もゾウさんピッグ長谷さんはタイツを履かずに脹脛サポーターを履いている。D木谷さんに至っては脹脛サポーターすら履いていない。
タイツを履いているのは支部長のらちゃんだけだ。

(ゾウ)「タイツは履かない方が絶対に走りやすいですよ」
(支部長)「そんなの関係ないってば」


このタイツ論争が今回のレースの結末を左右する事になるなんて、その時は誰も考えてもなかった。

ウルトラ兄弟ピッグは暑いから手袋も履かないと言う。

(支部長)「手袋は要るやろ。汗を拭かんといかんし」
(幹事長)「鼻水も拭かんといかんし」


顔を拭くハンドタオルティッシュはポケットに入れたが、いちいち出すのは面倒なので、できるだけ手袋で拭きたい。
そのほか、嫌いなランニングキャップは私だけ被らない。

準備が整ったら団旗を持って記念撮影だ。

絶好の天候に恵まれてやる気まんまんのメンバー
(左からピッグ、支部長、D木谷さん、のらちゃん、幹事長、長谷さん)
(ゾウさんは大会運営のお手伝いに行って不在)


遠方のマラソン大会なら、家を出る時間が早いため、会場に着いてから朝食を食べる事が多いが、今日は出発がゆっくりしていたので、既に家で食べてきた
私の場合、朝食を食べたらトイレで大が出るようになるので、自宅で早目に食べて家を出る前にトイレを済ませるのが理想だ。なので、今日も早めに食べた。
ただ、これだと食べるのがちょっと早すぎて、レースの途中でエネルギーが枯渇する恐れがあるので、持ってきたゼリーを食べる。
いつの間にか開会式が始まっていたが、気にせずにトイレに行って最後の小を済ませておく。仮設トイレはそんなに多くはなかったが、開会式をやっていたせいか、ガラガラだった。

さきほど食べたゼリーが冷たかったので、ちょっとお腹が冷えたような気がする。お腹が冷えるとレースの途中でお腹を壊す恐れがある。お腹の冷えを防止するための腹巻も持ってきたが、今日は腹巻なんか着けて走ると絶対に暑くなりそうだ。
どうしようかなあ、って思ってたら、飴湯の接待があるとの事なので、さっそく貰いにいった。会場ではストレッチの時間となっていたが、ストレッチよりは飴湯の方が大事だ。
飴湯は甘くて温かくてとても美味しかった

(のら)「ストレッチもしないで、どこに行ってたの?」
(幹事長)「飴湯を貰いに行ってた」
(のら)「あ、いいな、いいな」


て事で、他のメンバーもみんな飴湯を貰いに行った。
飴湯を飲んだら口の中がベチャベチャするので、温かいお茶も頂いた。飴湯とお茶があるのなら、ゼリーは要らなかったかもしれない。

(幹事長)「なかなかサービスが良い大会ですね」
(D木谷)「アットホームな感じが良いでしょ」


トイレの方を見ると、いつの間にか大混雑となっていた。

(幹事長)「早目にトイレに行っておいて良かったよ」
(のら)「ストレッチしてないから良くないよ」


〜 集合 〜


スタート10分前9時50分になって集合開始となった。集合がスタート直前なのは、朝早くから交通規制が始まる丸亀マラソンと違って、直前になってようやく交通規制がかかるからだ。
敷物代わりにしていた巨大なビニール袋に手荷物を入れて預け、スタート地点に向かう。
パンフレットを見ると、15kmの部の参加者は443人だ。これくらいの数だと、スタート時でもそんなに混雑はしない
よっぽど後ろの方からスタートしない限り、仲間同士でおしゃべりしながらゆっくり走るおばちゃん軍団に邪魔されて追い抜くことがままならないような状況にはなりそうにない。

タイムはシューズに着けたチップでネット計測してくれるから、後ろの方からスタートしても構わない。なーんて思ったけど、よく見てみると違う。
ゴールゲートにはタイム計測用の機器が設置されているが、スタートラインにはそれが無い。つまり、ゴールの時は計測してくれるけど、スタート時は個別には計測してくれない。全員、スタートのピストルと同時だ。
つまりグロスタイムだけで、ネットタイムは計測してくれない。て事は、後ろの方からスタートしたら、ゴールラインを越えるまでの時間が余分にかかってしまう。

(幹事長)「前の方からスタートしないと好タイムが出ないぞ!」
(支部長)「ほとんど変わらんってば」


確かに、人数が少ないからほとんど変わらないだろな。て事で、適当な場所に並ぶ。
相変わらず良い天気で、風もあまり無いから、寒くない。絶好のコンディションとも言えるが、むしろちょっと暑すぎるかもしれない。

スタート時間が迫ってきたので、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるから、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、その大会での自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
だがしかし、この坂出天狗マラソンは今回が初参加なので、過去のタイムが無い。

(幹事長)「て事は、どんなに遅くても大会自己ベストになるぞ!」
(のら)「ヒャッホー!やったーっ!」
(支部長)「これこれ」


仕方ないから距離が似ている庵治マラソンの記録を参考にすると、12kmの庵治マラソンの大会自己ベストは1時間ちょっとだ。1km平均で5分は切れていないが、庵治マラソンは巨大な激坂を始めとして坂が多い厳しいコースなので仕方ない。
一方、庵治マラソンの前身大会である屋島一周マラソンは緩やかな坂しかない12kmコースだったので、大会自己ベストは1時間を切っていた
坂出天狗マラソンのコースは初めてなので良く分からないが、基本的にフラットなイメージなので、とりあえず1km5分を目安にして、15kmで75分を目標にしよう

(D木谷)「いやいや、コース後半は上り坂がありますよ」
(幹事長)「え?後半って王越へ行く海岸線の県道やろ?坂なんて無いんじゃない?」
(D木谷)「車で走ってると分かりにくいんですが、結構上ってますよ」


なんと、あの道は上り坂だったのか。でも、どれくらいの坂なのかは分からない。
慌てて調べてみたら、なんと2kmで25mも上がっていた。斜度1%を超えている。

(のら)「それって、どうなの?」
(幹事長)「う〜ん、分かんない」


斜度1%の意味合いは良く分からない。上りの平均勾配が10%を超えるような北山林道駆け足大会酸欠マラソンのアホみたいな激坂に比べたら坂とは呼べないような緩さだけど、3kmで10mしか上らない丸亀マラソンの終盤で大失速する事を考えたら、甘く見てはいけないかもしれない。
なので、とりあえず目標は75分にして、厳しそうになったら80分に切り替えよう

(のら)「丸亀マラソンの15km地点のタイムって覚えてる?」
(幹事長)「80分ちょっとやったな」


記録を調べてみると、私ものらちゃん支部長も80分ちょっとだった。21kmの丸亀マラソンと違い、15kmで終わる坂出天狗マラソンなら、もう少し速いペースで走れるから、80分は切れそうだ

(支部長)「いつの間にか75分という目標が念頭から無くなってるで」

一方、ピッグは80分を切っていたし、ウルトラ兄弟は70分も切っていた。

(幹事長)「1時間を切れるんと違う?」
(D木谷)「絶対に不可能ですね」


D木谷さんはコースに坂があると言うが、坂があるコースが絶対に遅くなるかと言えば、そうでもない
最も良いタイムが出そうなマラソン大会と言えば、坂が無い高速コースの丸亀マラソンだが、私はなぜか坂が非常に多くて厳しいコースの瀬戸内海タートルマラソンの方がタイムが良いことが多い
おそらくタートルマラソンは前半から坂が多くて厳しいコースなので、終盤の失速を恐れて序盤からペースを抑えめに走っているため、終盤に失速しない事も多く、結果的に良いタイムが出やすいのだろう。
一方、丸亀マラソンはほとんど坂が無い高速コースで良いタイムが期待できるため、ついつい調子に乗って序盤からガンガン飛ばしてしまい、結局、終盤に大撃沈して失速するというワンパターンを繰り返している。

(支部長)「今年も典型的な大撃沈やったな」
(幹事長)「目も当てられない大々撃沈やったわ」


なので、坂があるコースの方が必ずしもタイムが悪いとは限らない。しかし、それは坂があることが事前に体感として分かっているコースの場合だ。坂出天狗マラソンは初参加なので、実際に坂の厳しさが分かっていない。
なので、大した坂ではないだろうと前半から調子に乗って突っ込み、後半に予想外に厳しい坂に突入して大撃沈するという最悪のシナリオも考えられる。
15kmという距離を考えたら最初から全力で突っ込みたいが、後半の坂の厳しさによっては、死を招く展開かもしれない。

(幹事長)「う〜む、難しいな」
(D木谷)「序盤はあんまり無理しない方が良いかもしれませんね」


そもそも、マラソンにおいて理想的な走り方と言うのは、序盤は抑えめに走って、後半にペースアップするという展開だ。後半にペースアップするのをネガティブ・スプリットと言うが、タートルマラソンやオリーブマラソンでも、好タイムを出した時は、たいていネガティブ・スプリットになっている。
オリーブマラソンなんて、前半はフラットで後半に坂が続くから、後半の方が遅くて当たり前なんだけど、好タイムを出した時は必ず後半の方がペースアップしている。
丸亀マラソンは調子に乗って序盤から飛ばすので、終盤に失速する事が多いが、2019年は初めて終盤にペースを上げるという理想的な展開となった。良いタイムを出そうなんて色気を捨てて、1時間50分切を絶対目標にして、前半を抑えて走ったからだ。

て事で、今回はバカみたいに序盤から飛ばすのは控えて、後半の上り坂までは様子を見ながら走り、折り返してからの下り坂から一気にペースアップするという作戦をとる事にした。

(のら)「って、具体的にどれくらいのペース?」
(幹事長)「分かんな〜い」

よく分からないから、とりあえず自然体で走ろう。

(のら)「ぜんぜん作戦になってないじゃん!」
(幹事長)「丸亀マラソンよりは抑えて走ろう」


少なくとも丸亀マラソンよりは抑えて走る事にした。特にのらちゃんは丸亀マラソンで前回よりハイスピードで突っ込んだせいで終盤に歩いたりしたから、絶対に前半は抑えて走らなければならない。

(幹事長)「調子に乗って走ったらいかんよ」
(のら)「今日は絶対に幹事長に着いていくよ」


て事で、今日は私はのらちゃんのペースランナーに徹する事にした。

でも、そもそも最近、練習量は圧倒的に不十分だ。コロナ騒ぎでマラソン大会が中止になる3年前は、2ヵ月連続で300kmを超える月間練習距離を達成するなど、練習量が多かったため、タイムも良かった。
でも最近は、練習量がガタ落ちだ。なにもサボっているからだけではない。練習量を増やすと疲れがたまり、不調に陥ってしまう。練習すればするほど遅くなるという状況だ。老化が進むと疲れの回復が遅くなるのだ。
なので、以前のようにむやみに練習量を増やすのが良いとは思えなくなってしまった。非常に厳しいジレンマだ。
ただ、今回は1週間前に丸亀マラソンを走っているので、それが練習と言えば練習だ。

(のら)「でも4日前に走った五岳山トレイルの疲れが抜けてないよ」
(幹事長)「全くその通りです」


2週間後善通寺五岳山空海トレイル3年ぶりに開催される。それに備えてのらちゃんと二人で4日前に山の中を試走してきたのだ。
なぜ、もっと近くなってから試走しなかったのかと言うと、山道のトレランなので足をくじいたりする危険性があり、あまり直近に足を故障すると本番に差し障ると思ったのだ。

(ピッグ)「足を故障しても坂出天狗マラソンなら走れると思った訳ですね」
(支部長)「舐めとんか」


幸い、足は故障しなかったが、普通のランニングと異なるトレランだったので、普段あまり使わない筋肉を使ったため、体中のあちこちが痛い。こんなに疲れが残るとは思わなかった。


〜 スタート 〜


スタート地点林田運動公園東側の道路だ。
いよいよ10時となり、スタートの号砲が鳴ってスタートとなった。
それほど前の方からスタートした訳ではないが、僅か10秒ほどでスタートラインを越えた
こんな小規模大会でも気合の入ったマジなランナーはたくさんいて、彼らはあっという間に飛ぶように駆け出して行った。

(のら)「速い人しか出てないんじゃないの?」
(幹事長)「そうかも」


1月の満濃公園リレーマラソンでは、例年なら我々のライバルになるような遊び半分と言うか遊び全部のようなチームも多かったが、今年は参加チームが例年の数分の一に減っており、そのほとんどが気合の入ったマジなチームだった。
マラソン大会の中止が続く中、常日頃からマラソン大会の情報にアンテナを広げている真剣なチームばかりだった。
たぶん今日も、こんな世情でもマラソン大会に出たいっていう真面目なランナーが大半で、なんとなく流行に乗って出ていたような軽い気持ちのランナーは少なくなったのだろう。
でも、今日は周りに釣られて調子に乗って飛ばしてはいけない。て事で自重して走る

コースは、まずは林田運動公園の周りをぐるりと一周する。丸亀マラソンのような大規模マラソンと異なり、序盤から混雑はないので、自分のペースで走る事ができる。走りやすい。
一周して少し西へ行った所1km地点の表示が見えてきた。一応、1kmごとに距離表示はあるようだ。時計を見ると5分10秒くらいだ。
特に抑えてもいないし、頑張ってもいない。ごく自然体に走ったペースだ。丸亀マラソンの序盤のペースよりは遅いが、序盤から無理して走って終盤に潰れてはいけないので、とりあえずこのままのペースで走る。

しばらく走ると綾川に突き当たるので、そこを右(北)に直角に折れて海に向かう
少し走ると、なんと早くもトップ集団が折り返してきた。トップ集団は3人で、ものすごく速い。アホみたいに速い。こんな小規模なマラソン大会でもトップの人たちはアホみたいに速い
さらに少し走って埋め立ての工業地帯北岸に突き当たった辺りに2km地点の表示あった。この1kmもさっきと同じラップだった。まあ、こんなものか。

(のら)「75分の目標は無かった事で良いのかな?」
(幹事長)「もう忘れた事にしよう」

75分という目標は1km5分ジャストで走る事になるが、それだと序盤から突っ込み過ぎて大撃沈した丸亀マラソンの序盤のペースより速いくらいだから、あんまり適当な目標ではなかった。
目標は80分にしよう。これだと1km5分20秒だから大丈夫だろう。

2km地点は埋め立て地の北岸にあるので、ここで右(東)に折れる
少し走ると、女子のトップ選手とすれ違った。これまた、ものすごく速い。こんな小規模なマラソン大会の女子選手でもトップの人はアホみたいに速い。

東に向かって400mほど走ると道が突き当たりになる。そこが第一折り返し点だ。
折り返し点の手前で折り返してくるメンバーを探すと、長谷さんが真っ先に走ってきた。これまた、思った以上にものすごく速い。かなり上位にいる。長谷さんの最近の進化には驚くばかりだ。
さらにしばらく走るとD木谷さんがにこやかに走ってきた。彼もかなり速い。
さらに、ピッグも笑顔で走ってきた。ピッグとはそれほど大きな差は着いてないが、まだ2kmちょっとの時点でこれだけ差が付いているとなると逆転は難しいだろう。

のらちゃんと一緒に折り返して後ろを見ると、少し後ろからゾウさんが笑顔で走ってきた。
さらにしばらく走ると支部長が走ってきた。支部長は少し苦しそうと言うか真剣な顔をしていた。

しばらく走ると再び綾川に突き当たるので、そこを左(南)に折れる。折れてから少し走ると3km地点の表示があった。この1kmは少しだけペースアップできていたが、誤差の範囲だ。
そこから少し南に向かって走った所で左(東)に曲がって林田運動公園の方に戻る。

少し走ると最初の給水所があった。
もともと私の場合、あんまり喉が渇かない体質なので、フルマラソンでもない限り、給水無しでも全然平気だ。しかも冬場はあんまり汗もかかない。
ただ、足の攣りを防止するためには水分の補給は欠かせない。そもそも「給水は喉が渇いてからでは遅く、早め早めに給水しろ」ってのが鉄則だ。
て事で、最近はどんなマラソン大会でも全ての給水所で少しでもいいから水分を補給する事にしている。
だがしかし、今日は僅か15kmのコースだ。この季節に水分が不足するとは思えないし、坂が少ないので足が攣るような事態も考えられない。
て事で、今日は給水はパスする事にした

林田運動公園まで戻ってきた所に4km地点の表示があった。この1kmは少しペースダウンしていた。
大した事はないけど、こんな前半のうちから早くもペースダウンしたとなると、ちょっとこの先が不安だ。
相変わらず天気は良くて、少し暑くなってきた。風は弱いが、その風すら今は追い風なので、体感としては全く無風状態だ。ただ、タイツを履いてないので、足は暑くない。

そのまま林田運動公園の北の道を東に向かって走り続けると5km地点の表示が現れた。この1kmも先ほどと同じラップで、かろうじて80分を切るペースは維持できているが、パッとしない状況が続く。
さらに東に向かって走る続けると6km地点の表示があった。なんとこの1kmはさらにペースダウンし、5分20秒をオーバーしていた。まだ1/3しか走ってないのに、早くも80分をオーバーするペースだ
そんなに飛ばしてないのに、早くもここまでペースダウンするなんて、これは一体どうした事だ。非常にマズい。

ふと前を見ると、のらちゃんの好敵手の敵対ネコさんが走っている。「敵対ネコ」というのは支部長が勝手に命名した名前だ。
彼女はかつて40歳近くになってもフルマラソンをサブ3.5で走っていた高速ランナーで、今でも様々なマラソン大会で女子年代別で優勝を重ねている。
それなのに、庵治マラソンで2回連続でのらちゃんが勝利して女子年代別で2連覇したため、のらちゃんを目の敵にしている(たぶん)ライバルだ。庵治マラソンの表彰式で険しい顔をしてのらちゃんを睨みつける鋭い視線が生々しく蘇ってくる。
先週の丸亀マラソンでも途中で見かけたので、礼儀正しく挨拶をしてから追い抜いたが、この大会はマイナーなので来るかどうか分からなかった。

(幹事長)「今日も来てるね」
(のら)「うん、やっぱり」


丸亀マラソンでは1km過ぎに追い抜いたが、今日は既に6km地点を過ぎている。

(幹事長)「今日は彼女は調子良いのかな?」
(のら)「私らが遅いだけだよ」


敵対ネコさんは後ろから見てると、なんとなく足元がおぼつかないような走りで力強さが無い。なので、素早くあっさりと追い越そうと思った。
ところが、なかなか背中が近づかない。こっちも手を抜いている訳ではないのに、なかなか追いつかない。

(幹事長)「どゆこと?」
(のら)「だから私ら遅いんだよ」


でも、ここでムキになって敵対ネコさんと不毛な争いをして終盤に疲れたら意味無いので、あまり無理せずに追走する。
しばらく走ると五色台の海岸を回る県道16号線に出るので、そこを左(北)に折れて大越方面に向かって走る。

少し走ると7km地点の表示があった。この1kmもさきほどと同じペースだ。これじゃあ敵対ネコさんを追いつかない訳だ。
こんな事ではいかんと思い、ここで気合を入れて少しペースアップして敵対ネコさんを追い越しにかかる。
追い抜きざまに礼儀正しく「〇〇さん、こんにちは!」って声を掛けて追い抜くと、彼女は落ち着き払って「ああ、こんにちは」って言いながら手を振ってきた。

(幹事長)「いつも礼儀正しいやろ?」
(のら)「一体、誰なのかって不審がってるよ」


のらちゃんも私と一緒に敵対ネコさんを黙って追い抜く。

D木谷さんはこの道は上り坂になってるって言ってたけど、特に上っているようにも思えない。このままフラットだと良いな、なんて思ってたら、いきなり坂が始まった。確かに、そこそこの斜度がある。

(幹事長)「割ときつそうに見えるね」
(のら)「うん、だいぶきついよ」


坂を上り始めると8km地点の表示があった。坂が始まったせいで、この1kmは遂に5分半をオーバーしてしまった。上り坂だから仕方ない。
さっき追い抜いた敵対ネコさんに再び逆転されたりしたら格好付かないので、頑張って走っていくと、早くも折り返してきたトップランナーとすれ違った。
第一折り返し点で折り返してきた時は3人のトップ集団だったが、今度は一人だけで、2位のランナーは姿が見えないくらい大きく引き離している。あんなに競り合っていたのに、こんなに差が付くなんて、無理して付いていた2位以下の選手が大きくペースダウンしたのだろう。

2つ目の給水所があったが、もちろんパスする。
坂の斜度はそれほど急にはならなかったが、相変わらず上り坂が続いたせいか、次の9km地点でのラップはさらにペースダウンしていた。緩い目標の80分ですら目標達成に黄色信号が点灯し始めた。
遠くに第二折り返し点が見えてきた。ようやく上り坂が終わる。ただ、そこから折り返し点までは一気に傾斜がきつくなっている

厳しい坂をなんとか上り終えると、ようやく第二折り返し点に到着する。
折り返した後は下り坂となる。ここまで来れば残りは5.5kmだし、しばらくは下り坂だ。なので、もうこれ以上、のらちゃんのペースを抑える必要は無い

(幹事長)「もうお前にはこれ以上、教える事は無い。今すぐ山を下りて旅に出るのじゃ」
(のら)「分かりました、師匠!」


と言う事で、ここでペースメーカーを外れてのらちゃん解き放つと、彼女は少しずつ前の方に離れていく。

折り返して後続のランナーを確認すると、すぐ後ろを敵対ネコさんが走ってくる。それほど差はついていない。不気味だ。怖い。
しばらく走るとゾウさんがやってきた。しっかりした足取りで坂を上ってくる。
さらに走ると、支部長もやってきた。こちらも意外に元気そうな足取りだ。でもゾウさんとは少し差が付いており、逆転するのは難しいだろう。

少し下ると10km地点の表示がある。坂が終わったので、ラップは少しだけマシになったが、まだ80分ペースはオーバーしている。
解き放って自由に走り始めたはずののらちゃんも、あんまりスピードを出していない。

(幹事長)「どしたん?イマイチペースが上がってないよ」
(のら)「ここであんまりペースを上げると、坂が終わってから足が動かなくなるから」


確かに、下り坂で調子に乗って飛ばし過ぎると、下り坂が終わってフラットになった時、力尽きて大きくペースダウンする事があるのらちゃんはそういう経験があったのだろう。言われてみれば、そういう事態はよく発生する。
でも、このコースの場合、下り坂が終わると残りは3km程度だ。それくらいの距離なら勢いで乗り切れると思い、私はスピードを上げてのらちゃんを追い越す

折り返してすれ違う後続のランナー達を見ると、まだまだ後から後から意外に多くのランナーが走ってくる
丸亀マラソンのようなマンモス大会になると夥しい数のランナーが遥か遠く地平線の彼方から永遠に湧いてくるが、さすがにこの大会は参加者数が丸亀マラソンの1/20ほどの小規模な大会なので、それほど多くはない。
それでも、まだまだ数多くのランナーが苦しそうに坂を上ってくる。こちらは下り坂なので気持ちよく駆け下りていく。

坂を駆け下りていくと、11km地点の表示があった。下り坂なので、さすがにペースアップできていて、序盤のペースに戻った。
この辺りから、距離表示がいつの間にか「残り4km」と言うような表記になっている。
ただ、ハーフマラソンのようにトータルの距離に端数がある場合は、スタート地点からのkm表示の位置とゴールまでのkm表示の位置は端数の分だけズレが生じるが、この大会はきっちり15kmの距離なので、どちらの表記になってもズレは無く混乱は生じない。
はずなんだけど、なんとなく「残り4km」の距離表示の位置が遅かったような気がする。ほんの少しだけど。

そして、次の12km地点の「残り3km」の距離表示の位置は明らかに早かった。GPS時計で確認したら、まだ800mくらいしか走っていない。
このマラソン大会も距離表示がいい加減なようだ。
龍馬脱藩マラソンでは、トンネルの内部は暗いから距離表示を置かず、トンネルを出たところまでズラして設置するなど、明らかに距離表示が間違っていると確信を持って断言できる場所がある。でも、脱藩マラソンは田舎の手作りのマラソン大会なので納得できる。
だがしかし、神戸マラソンの距離表示もいい加減だった。神戸マラソンともあろうものがいい加減な距離表示なんてするはずがないと思っていたが、同じようなペースを維持して走っているのに、急に1km30秒以上遅くなった区間があったかと思えば、次の区間では逆に1km30秒以上速くなっていたりする。
同じように走っているのに、隣接区間で1分以上もペースアップする事はあり得ないので、明らかに距離表示がいい加減なのだ。神戸マラソンなんてものすごくきっちりした大マラソン大会なのに、そんないい加減な距離表示があるなんて衝撃を受けた。
なので、この坂出天狗マラソンだって距離表示がいい加減でも驚きは無い。

距離表示を信用できなくなったので、GPS時計で12km地点のペースを確認すると、一気にペースダウンしていた。なんと、さきほどの上り坂の区間と同じくらいのラップだ。
斜度はだいぶ緩くなったとは言えまだ少しは下り坂があったのに、上り坂と同じペースだなんて、ものすごいペースダウンぶりだ。
やはりのらちゃんの言う通り、さっきの下り坂で調子に乗って飛ばしたため、その後で一気にペースダウンしたのだろう。
のらちゃんは、と言うと、ガクンとペースダウンした私を尻目に、どんどん先に行ってしまった。明らかに失敗だった。
とは言え、残りはもう3kmだ。頑張って挽回しなければならない。そう思ってのらちゃんの背中を追う。

しばらく走ると、右(西)に折れて林田運動公園に戻る道に入る。
ここから道は西向きになり、正面から西風を受けるようになる。今日は風は弱かったはずだが、こうやって向かい風になると、意外に強く感じる。例年のような強風なら、とっても厳しいだろう。
ただ、風は強くて抵抗を受けるが、冷たい風が当たって暑く火照った体が冷やされて気持ち良い。

3つ目の給水所をパスして少し走ると13km地点の表示がある。ペースはさらに落ち、本日最悪のラップとなっていた。甘い目標の80分ですら目標達成が絶望的になってきた。
でも、最後まで頑張る意思は萎えてはいない。この辺りは単調な区間で、精神的にもなかなか辛いところだが、なんとか頑張って走り続ける。
ようやく14km地点になったが、相変わらずペースは遅いままだ。もう完全に緩い目標の80分は不可能になった。

でも、いよいよ残りは僅か1kmだ。なんとかペースアップしようと頑張る。
先週の丸亀マラソンでも最後はラストスパートでペースアップしようとしたが、なんと最後までペースは落ち続けた。足の疲労が限界にきていたからだ。
でも、今日はまだ少しは元気が残っていて、かろうじてペースが上がった。


〜 ゴール 〜


ようやく林田運動公園に着き、角を曲がって公園の中に入っていく。公園に入れば、ゴールまでは50mくらいだ。最後は必死に歯を食いしばってゴールに駆け込む。

結局、タイムは甘く設定しなおした80分すら切れない惨敗だった。同じ惨敗でも、終盤のペースは、大撃沈した先週の丸亀マラソンよりは少しだけマシだった。でも、その理由は距離が6kmも短かったからだ。
丸亀マラソンの15km地点のタイムより、今日のタイムの方が遅かった。坂があったのは大きな理由とも言えるが、15kmで終わるレースなのにハーフマラソンの15km地点のタイムより遅かったのは情けない。

ゴールすると、直前でゴールしたのらちゃんがいた。彼女は私よりはだいぶマシだ。終盤までペースダウンはせず、私より1分も速く、80分を切っていた。

(のら)「今日は最初に無闇に突っ込まなかったのが良かったよ」
(幹事長)「私のペースメーカーのおかげやな。感謝したまえ」
(のら)「でもペースメーカーの幹事長は今日も惨敗なのよね」


そして、なんと彼女は女子年代別部門で堂々の1位だった。

(幹事長)「参加者が3人とか?」
(のら)「何を言うか!54人中の1位だよ!」
(幹事長)「なんとかーっ!!」


なんと、54人中の1位だなんて、凄い!凄すぎる!
住民運動会とか小学校の運動会ではない。足に自信があるランナーが大勢参加している一般のマラソン大会で54人中1位だなんて、ちょっと考えられない。
そう言えば、ゾウさんも5kmの部の女子年代別部門で3連覇していた時は、いつも60人くらいいた中での1位だった。

(幹事長)「うちの女子部員って、めちゃ凄いなあ」
(のら)「えっへん」


ピッグも80分を切って1時間16分台だったし、D木谷さんは1時間12分台だった。

(幹事長)「うわ、すごい。1km平均5分を切ってますね」

そして、長谷さんはなんと驚異の1時間6分台だった。

(幹事長)「ゾウさんもそろそろ帰ってくるんじゃないかな?」

そう思ってゴールを見ると、なんと、支部長が会場に戻ってきたところだった。

(幹事長)「あれ?支部長が先に戻ってきたよ!」
(のら)「ゾウさんは!?」


すると、支部長の少し後からゾウさん猛然とものすごい勢いで会場に戻ってきた

支部長の少し後からゾウさんがものすごい勢いで会場に戻ってきた!


会場に入ると、ゾウさんはさらにものすごい加速をして圧倒的なスピードであっという間に支部長に追いついた。

(幹事長)「うわあああ、支部長が抜かれるよ!」
(のら)「スピードが全然違うよ!」

圧倒的なスピードでゾウさんが支部長に迫る!


そして、そのままの勢いでゾウさん支部長を追い抜いた。支部長はまさかゾウさんが近づいてきてるって事に気付かず油断していたようだ。
追い抜かれてようやく気付いたようだが、時すでに遅く、ゾウさんゴールラインを一気に駆け抜けた後で、再逆転する距離は残されていなかった。

ゾウさんが一気に支部長を追い越して先にゴール!

後から聞くと、下り坂が終わった辺りで支部長ゾウさんを一度追い抜いたけど、その後、ゾウさんが抜き返し、さらにその後、再び支部長が追い抜いたんだそうだ。
その時支部長は一気に差を付け、「これでもう勝利は間違いないな」って確信して油断したそうだ。
ところがゾウさんは余力を残していて、その後、一気に加速し、会場に入ってから再び逆転したのだ。ものすごく熾烈なデッドヒートだったようだ。

(ゾウ)「ね、タイツは履いてない方が速いでしょ?」
(支部長)「そういう問題と違うがな。追い抜く時は一声かけてよ」
(幹事長)「今日のタイミングなら、一声かけたとしても再逆転できる距離は無かったよ」


〜 反省会 〜


大撃沈した先週の丸亀マラソンの反省を踏まえ、今日は序盤にバカみたいに突っ込むことはしなかったため、終盤にアホみたいに減速する事はなかった。でも、序盤に突っ込まなかった割には終盤は着実にペースダウンしてしまい、相変わらずパッとしない惨敗となった
序盤にさらにゆっくり走るべきなんだろうか。そんな事をしてたら、ロクなタイムは出やしないぞ。

(のら)「私は先週の反省を踏まえて、今日はうまくいったよ」
(幹事長)「そりゃ1位だもんなあ。羨ましい限りだよ」


何を改善したらいいのか分からないので、ますます混迷の度が深まっていく。

レースが終わると、このマラソン大会の一番の楽しみである天狗うどんを食べる。「天狗うどん」と言うのは「てん(ten=10)の具」が入ったうどんだ。
10の具と言うのは正式には
 1、イチョウ(銀杏) 
 2、人参
 3、サツマイモ
 4、椎茸
 5、ゴボウ
 6、むかご(山芋の実)
 7、なずな(大根)
 8、蓮根(レンコン)
 9、栗
10、豆腐(揚げ)

らしい。

(のら)「正式って何よ?」
(幹事長)「坂出天狗まつり実行委員会の定義やな」


実はこの坂出天狗マラソンってのは坂出天狗まつりの一環として行われているのだ。
て事で、本来なら上記の10の具が入っているはずだが、私がもらった丼にはむかごってのが見当たらなかった。

(幹事長)「て言うか、むかごって何よ?」
(のら)「小さな実かな」


たまたま入ってなかったのかどうか分からないが、その代わりに蒲鉾なんかが入っていた。
何にしても、うどんより具の方が多いくらいのボリュームで、とっても美味しく頂いた。体も温まるし、嬉しい天狗うどんだ。
今年だけの参加にしようかと思っていたマラソン大会だが、これを食べると、来年も出ようかなという気分になってくる。

天狗うどんの他におにぎりも頂いてお腹いっぱいになったところで割引券をもらった城山温泉に行く。城山温泉の前は何度も通ったことがあるけど、温泉に入るのは初めてだ。
登山の後と同じく、半分眠りながら疲れた体を長時間お湯に浮かべていると、マラソンにしても登山にしても、喜びの半分は終了後の温泉ではないかと思うくらい気持ち良い。

(支部長)「長湯しすぎやがな」
(のら)「ほんとほんと。みんな待ちくたびれてるよ」


さて、次は1週間後に京都マラソンが開催される。私は以前、京都マラソンには出た事があり支部長も出た事があるので、今回はエントリーしてないが、D木谷さんが初参加するほか、加藤選手もエントリーしているらしい。

(幹事長)「丸亀マラソンと坂出天狗マラソンが連続するだけでも大変感があるのに、さらに3週間連続ですか」
(D木谷)「その翌週には善通寺五岳山空海トレイルがありますから4週間連続です」
(幹事長)「あ、そやった!」


2週間後には3年ぶりの開催となる善通寺五岳山空海トレイルがあるんだった。

(幹事長)「めちゃ忙しい日程が続くなあ」
(のら)「私とゾウさんは名古屋ウィメンズと徳島マラソンの2つのフルマラソンが連続するよ」


女子部員達は、善通寺五岳山空海トレイルの翌々週の名古屋ウィメンズと、その翌週の徳島マラソンと、2週間連続でフルマラソンが続くのだ。
この時期は本当にマラソン大会が多くて困ってしまう。

(ピッグ)「別に出なくてもいいんですよ」
(幹事長)「元気なうちに出ておかないと、そのうち出たくでも出られない体になるんじゃよ」


〜おしまい〜




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