第17回 高松ファミリー&クォーターマラソン in 庵治

〜 女王様 激烈な2連覇達成! 〜



2022年10月23日(日)高松市庵治町において第17回高松ファミリー&クォーターマラソン in 庵治(庵治マラソン)が開催された。
自主開催ではない正式なマラソン大会は先日の龍馬脱藩マラソンに続いて3年ぶりの開催だ。

庵治マラソンは、私たちにとって一番身近な場所で開催される貴重なマラソン大会だ。そのため2006年の第1回大会から2012年の第7回大会まで毎年参加していた。
ただ、その後は他のマラソン大会なんかと日程が重なったり、台風で中止になったりして、あまり参加できていなかった。特に2013年から始まったサイクリングしまなみとは日程が重なる事が多い。
そのため、2012年以降は2016年の第11回大会2019年の第14回大会にしか出られなかった。
2020年も庵治マラソンとサイクリングしまなみの日程が重なりそうだったので、ヤキモキしていた。

それなのに、ああ、それなのに、なんと2020年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで庵治マラソンサイクリングしまなみもどちらも中止になってしまった

事の発端は2020年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。
ただ、これらの大会は東京オリンピックのマラソン代表選考会を兼ねていたため、エリートランナーの部は開催された。
しかし、その後、状況はますます悪くなり、遂に3月22日の徳島マラソンは全面的に中止になってしまった。あまりの事に呆然とした。
そして、その後も、全国的にマラソン大会が次々と中止になっていった。

これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。

(ピッグ)「あれ?正式大会が復活したのに、この説明は続くんですか?」
(幹事長)「腹が立って仕方ないから、当分は書くのだ!」

ともかく、
素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないとぶつかって走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外で走っている時に感染なんかしない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしていたが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない。ただの風邪だ。
それなのに、その後も5月のオリーブマラソン、6月の北山林道駆け足大会、7月の汗見川マラソンと、続々とマラソン大会の中止が発表になり、マラソン大会もサイクリングイベントも全滅してしまった

この暗黒の事態を打開するため、ピッグの提案により、中止になったイベントをペンギンズで自主開催していくことになった。
マラソン大会では5月の小豆島オリーブマラソンから自主開催を始め、12月の瀬戸内海タートルマラソンまで全てのマラソン大会を自主開催した
これらは例外なく、とても楽しくて大成功だったが、そうは言っても正式な大会ほどのやる気と達成感は得られないため、願わくは、コロナのバカ騒ぎは2020年で収束して、2021年はマラソン大会が復活して欲しかった。
ところが、2021年になってもコロナのバカ騒ぎが終わらず全てのマラソン大会の中止が続いたため、2月の丸亀マラソンから始まって11月の瀬戸内海タートルマラソンまで全てのマラソン大会の自主開催を続けた

しかし、バカみたいなコロナ騒ぎもいよいよ収まり、2022年2月の丸亀マラソンから正式なマラソン大会が復活する予定だった。我々はちゃんとエントリーし、参加費だって払い込んでいた。
ところが、なんと、丸亀マラソンは直前になってドタキャンされてしまった
さらに
3月の徳島マラソンも、ちゃんとエントリーし、参加費も払い込んでいたのに、やはり直前になってドタキャンされてしまった。
2020年に全国に先駆けて中止になった徳島マラソンは
3年目の中止になったのだ。

ただし、全国的にコロナのバカ騒ぎによるマラソン大会中止が全面的に3年目に突入した訳では決してない
東京マラソンは3月6日に開催されたし、名古屋ウィメンズマラソンも3月13日に開催され、ゾウさんが出場して完走した。
なぜマラソン大会が復活し始めたのかと言えば、
コロナの感染者数が減ったからではない。相変わらず感染者数は高止まりしている。
しかし
、コロナのバカ騒ぎは収まりつつある。ようやく国民の多くはコロナがただの風邪に過ぎないって事が分かってきたのだ
独善的な医療関係者と下品なマスコミが、あたかもコロナを恐ろしい病気のようにヒステリックにわめきたてるもんだから、国民の多くが理解するまで2年もかかったが、ようやくコロナなんてただの風邪に過ぎないっていう理解が進んできたのだ。

ところが、
人口が密集している大都市の東京や名古屋で大規模マラソンが開催されたのに、なぜか田舎で沿道の観客だってスカスカの徳島マラソンは中止になった
その流れを受けて、
四国で開催されるマラソン大会は、5月の小豆島オリーブマラソン6月の北山林道駆け足大会7月の汗見川マラソン9月の酸欠マラソンと相変わらず3年連続の中止になった。
そして、10月16日に予定されていた
四万十ウルトラマラソンも中止が発表されてしまった。出場予定だったD木谷さんらはガッカリだ。

(D木谷)「9月の京丹後ウルトラマラソンは参加できたのに、なんで四万十ウルトラマラソンは中止になったんでしょうねえ?」

やはり、
四国の自治体はマラソン大会の開催について極めて臆病なのだ。一体、何を恐れているんだろう?愚かなマスコミを恐れているんだろうか?

しかーし!
遂に先日、
四国のマラソン大会として3年ぶりに龍馬脱藩マラソンが復活した!
そして、それに続いて今回、
庵治マラソンも3年ぶりに復活したのだ!

なお、このホームページ上では、コロナのバカ騒ぎで正式大会が中止になったため自主開催した2020年の大会を第15回大会、同じく自主開催した2021年の大会を第16回大会と称してきたので、今年の正式大会は第17回大会とした
一方、大会事務局は中止が続いたため困ってしまい、第何回目なのかの表示は止めて2022年大会としか銘打っていないが、ま、気にしない。


〜 コース 〜


庵治マラソンのコースは12kmだ。
なぜクォーターマラソンっていう名前が付いてるのに1/4の10.5kmじゃなくて12kmかと言うと、実は、かつて庵治町が存在していた時は庵治マラソンのコースは10kmだった。これならクォーターマラソンと言える。
一方、その頃、高松市は屋島の周りを一周する12kmコースの屋島一周クォーターマラソンてのを開催していた。
庵治町が高松市に吸収合併された時に、この2つのレースが合体したのだが、場所は庵治マラソンの場所で開催し、距離は屋島一周クォーターマラソンの12kmを引き継いだ。
その結果、以前の庵治マラソンのコースに比べ、折り返し点まで1km、往復で2kmの延長となった。

(のら)「あれ?おかしいよ。場所は庵治マラソンの場所で開催し、距離は屋島一周と同じ12kmにして、名前は両方の合体って事は分かるけど、
       そもそも屋島一周の頃から、12kmなのに、なんでクォーターマラソンって名前だったの?」
(幹事長)「それが謎なんよ」

なんで12kmなのに「クォーターマラソン」って名前だったのかは、今となっては不明だ
屋島を一周するコースなので距離を短くすることはできなかったが、フルマラソンの1/4より多少は長いとは言っても、それほど大きく違うわけでもないから、適当に着けたんだろう。
合体した後にクォーターマラソンて名前を受け継ぐんだったら、距離は以前の庵治マラソンのままで良かったと思うのに、わざわざ12kmに延ばしたってのも意味不明だが、合併に伴う役所同士の魑魅魍魎としたバトルがあったのかもしれない。

庵治マラソンのコースは、会場の旧役場から少し走って、庵治半島の沿岸を走る県道36号線に出たら、そのまま沿岸を6km走って折り返してくるというシンプルなコースだ。太い脇道や交差点が無いから、とても分かりやすいコースだ。
ただ、折り返し点の辺りは周囲に何の建物も無い森の中を走る道になるので、何の目印も無い。そのため、自主開催の時は私が地図で距離を厳密に測定し、折り返し点を特定したうえで、みんなで現地に行って確認した。
でも、今日は正式な大会なので、折り返し点には大きな三角コーンが立っているはずだ。

屋島一周クォーターマラソンの時のコースは坂がとってもなだらかだったのに対し、庵治マラソンは坂がとっても厳しい。
コース片道の途中に坂が3つと言うか4つある

(のら)「3つなの?4つなの?」
(幹事長)「数え方で変わるのよねえ」

1つ目の坂は単純に上がって下るだけだ。
2つ目の坂は、複合的に細かなアップダウンがあってダラダラ続き、もう終わったかなと思ったら続けてさらに一段高い坂が待っている。これら一連の坂を全部合わせて2つ目の坂と捉える事もできるし、一段高い坂を3つ目の坂と捉える事もできる。
最後に3つ目もしくは4つ目の坂があるが、これは1つ目の坂と同じく単純に上がって下るだけだ。

途中にあるこれら3つもしくは4つの坂が終わると、最後に5km地点辺りから始まるラスボスの巨大な坂がある。距離は約1kmもある。その巨大な坂を登り切ったところで折り返してくるのだ。
かつて庵治マラソンが10kmコースだった時は、最後の巨大な坂が始まる5km地点で折り返していたため、最後の巨大な坂を走らずに済んでたんだけど、屋島一周と合体してコースが片道1km延長になったため、この巨大な坂を1kmも延々と上らなければならなくなったのだ。

最後のラスボスの坂はひたすら登り続けるんだけど、1kmほど走ると少しフラットになる。そして、ちょうどそこだけガードレールの色が白から茶色に変わっている。そこが折り返し点だ。
折り返した後は、巨大な坂を下り、再び途中の3つ(もしくは4つ)の坂を越えて町の中心部に戻ってくる
最後は、ゴール間近になったところで、県道36号線から役場がある区画に戻ってくる。慣れてないと分かりにくい所だが、今日はスタッフも大勢いるし、沿道には観客も多いだろうから間違う心配は無い。


〜 会場へ到着 〜


庵治マラソンの会場は旧庵治町役場だ。
12kmの部のスタートは10時40分だが、駐車場がいっぱいになると困るので、かなり早いけど集合時間は9時にした。
庵治町は高松市内から近いので、必ずしも全員が乗り合わせていく必要はないが、のらちゃんは丸亀から車で来るので、8時に私を途中で拾ってもらった。

車は順調に進み、8時半前に会場に近い庵治中学校のグランドの臨時駐車場に車を停めることができた。
2019年は、庵治中学校のグランドに着いた時には既に満車で、隣の庵治小学校のグランドの駐車場に停めた。今年は参加者が少ないのだろうか。

会場に到着すると、しばらくしてピッグが到着し、続いて加藤選手も到着した。
さらに長谷さん支部長、D木谷さん、倉石さんを乗せて到着した。D木谷さん倉石さん長谷さんは一緒にウルトラマラソンに出たりしてるので、我々はウルトラ3兄弟と呼んでいる。
ペンギンズのイベントに参加するのは長谷さん今年2月の善通寺五岳山空海トレイル(自主開催)以来、倉石さん今年4月の香東川マラソン(自主開催)以来だが、ウルトラ3兄弟は9月に京丹後ウルトラマラソンに出ているので、体調は万全だろう。

まずは受付だ。受付で健康チェック表を提出しなければならない。
先日の脱藩マラソンでも同じような健康チェック表を提出させられた。大会の2週間ほど前から毎日、体温を記録すると共に、「喉に痛みがある」とか「頭痛がある」とかいった10個ほどの健康項目をチェックしていく。
そして2週間の間に1つでも該当箇所があったら参加できないなんて無茶苦茶で理不尽な事になっている。

(幹事長)「これって意味ある?」
(ピッグ)「ノーコメント」


1つでも該当箇所があったら参加できないと言うのに、該当箇所にチェックを入れたチェック表をわざわざ提出しに来る人がいるだろうか?

(幹事長)「何のチェックも入ってないチェック表しか提出しないやろ?」
(ピッグ)「だからノーコメント」


全く意味の無いチェック表だ。

(支部長)「役所のアリバイ作りやがな」
(幹事長)「分かってまんがな」


体調不良で倒れたランナーが出た場合、あくまでも虚偽申告したランナーの責任であり、主催者側には何も落ち度が無かったって事を証明するアリバイ作りのためとは分かっている。
でも、そもそもマラソン大会なんて、何が起きても参加者の自己責任だ。マラソン大会に限らない。どんなスポーツイベントでも参加者の自己責任だ
それは当たり前の事であり、かつては全ての参加者が自覚していた。それが、いつの間にか主催者の責任が問われるようになってきた。炎天下のレースで参加者が倒れたりすると、主催者は大慌てだ。

これは独善的なマスコミが騒ぎ立てる事が原因だ。スポーツイベントの参加者はあくまでも自己責任で参加しているのに、あたかも主催者の責任のように騒ぎ立てる
このマスコミのヒステリックな態度のせいで、コロナのバカ騒ぎが巻き起こり、全てのマラソン大会を始めとする多くのスポーツイベントが中止に追い込まれてきたのだ。
マラソン大会に参加した人が、コロナに感染したからと言って主催者を責めるような事はあり得ない。それなのにマスコミが大騒ぎするから多くのスポーツイベントが中止に追い込まれてきた
マスコミが社会を破壊している。断じて許す事はできない。害をまき散らすマスコミは徹底的に弾圧しなければならない。これは報道の自由という次元の問題ではない。

(ピッグ)「書くコーナーが違いますよ」
(幹事長)「しっつれいしました」


今日はまず10時から3kmファミリー部門のレースが行われる。これは親と子供が一緒に走るレースで、庵治マラソン特有の種目だ。
そのため、我々が出る12kmレースのスタートは10時40分で、受付時間はスタートの10分前の10時30分までだ。

(幹事長)「スタートの10分前までOKって大胆やなあ」
(ピッグ)「健康チェック表を出すだけですからね」


健康チェック表を提出した証明なんか何も無いから、受付なんかしなくても大丈夫なんじゃないかと思う。
みんな何か貰えるかもしれないと思って受付はするだろうけど。


〜 今年の参加賞 〜


健康チェック表を提出したら受付は終わりだ。いつもなら受付をすると参加賞をくれるが、今回は参加賞は事前に送られてきている

庵治マラソンの参加賞はくせ者だ
この大会の前身だった屋島一周クォーターマラソンの頃は、参加費が僅か1000円だったにもかかわらず、素晴らしく立派なスポーツバッグをくれたりしていた
もちろん、何かの残り物だったのは間違いないが、参加者が少ない草レースで数が少なくてもよかったから、結構、良い品をもらえていたのだ。
ところが、庵治マラソンになってからは、参加費が2500円にアップしたにもかかわらず参加賞は逆にとてもセコくなってきた
以前と同じように何かの残り物なんだけど、参加者が多くなって参加賞の数も多く必要になったため、ガッカリするものが多かった。

過去の記事を読み返して、庵治マラソンの参加賞が何だったか確認してみると、
   2006年:???
   2007年:小さなペットボトルケース
   2008年:爪切り
   2009年:小さなポーチ
   2010年:小さな屋外マット
   2011年:保温マグカップ
   2012年:コカコーラの小さなタオル
   2016年:庵治マラソンの小さなタオル
   2017年:(台風により中止)
   2019年:オリジナルTシャツ

であった。

(のら)「爪切りって驚きよね」
(支部長)「コカ・コーラの景品のタオルも衝撃やったけどな」

でも、2016年には初めてのオリジナルの参加賞として庵治マラソンの名前が入ったタオルが登場し、2019年は遂に庵治マラソンの名前が入ったオリジナルTシャツ(えんじ色)が登場した。
さらに、タンスの引き出しから、もう1枚オリジナルTシャツ(紺色)が出てきたが、過去の記事には記載されていないから、いつ貰ったのか分からない。ただ、以前はゴミみたいな参加賞ばかりだったから、2006年って事はないだろう。
もしかしたら2017年の参加賞が紺色のTシャツで、台風で中止になったから、後日、送られてきたのかもしれない。

この流れから言うと、今年も当然のようにオリジナルTシャツを期待してたんだけど、なんと時代を逆戻りし、2016年と同じ庵治マラソンの小さなタオルとなった。

(のら)「Tシャツ欲しかったなあ」
(支部長)「コカ・コーラのタオルでないだけマシやけど」
(幹事長)「参加費が値上がりしなかったから許してあげる」


近年、マラソン大会の参加費の値上げは著しい。何年か前に京都マラソンの参加費が2万円になったときは呆れて顎が外れた。
そして、ここのところ、コロナウィルス対応だとかもっともらしい言い訳をしながら、あらゆるマラソン大会の参加費が異常なまでに高騰している
直前でドタキャンされた今年の丸亀マラソンはハーフマラソンなのに10000円もしたし、同じく直前でドタキャンされた徳島マラソンは14000円もした。先日の脱藩マラソンだって、山奥のマイナーなマラソン大会なのに9000円もした。

(幹事長)「エネルギー価格の高騰なんてどうでもいいから、政府はマラソン大会の値上げラッシュをなんとかしろ!」
(ピッグ)「大多数の国民の心には響かない訴えですね」


このようなドサクサに紛れた値上げラッシュの中で、庵治マラソンは以前と同じ2500円のままだ。こじんまりした大会なので経費も少ないとは思うが、とても良心的だ。なので、参加賞が小さいタオルであっても構わない。

(幹事長)「マラソン大会のTシャツがどんどん増えて収納場所に困ってるからなあ」
(支部長)「最近のTシャツは品質が良くて、なかなかボロボロにならないからなあ」
(のら)「やだやだ、もっとTシャツ欲しい!」


のらちゃんがTシャツを欲しがるのは、マラソン大会に出始めてまだ間もないため、あんまりTシャツがたまってないからだ。
一方、私なんかは、恐らくこのまま永遠に袖を通すことは無いだろうと思われるまっさらなTシャツが100枚はあるだろう。

(幹事長)「僕のをあげようか?」
(のら)「サイズが合わないじゃない!」


〜 スタート前の準備 〜


ここのところ毎日良い天気だったが、天気予報では今日は「朝方は雨かもしれない」って言ってた。その予言通り、早朝に激しい雨音で目が覚めてしまった。ただし、雨雲は小さなもので、すぐ雨は止んだ。
それでも曇ったままなので、炎天下になる心配は無い。庵治マラソンの時期は、晴れると炎天下になるので、厳しい戦いとなる。
実は、個人的な嗜好で言えば、本当は私は炎天下のレースが大好きだ。

(支部長)「タイムはアホみたいに遅いけどな」

もちろんタイムは冬の寒い時期のマラソン大会の方が良いタイムが出る。寒い方が走りやすいのは間違いない。
でも、個人的な嗜好で言えば、寒い中、辛いのを我慢して走るのより、炎天下で汗を吹き出しながら走る方が楽しい。
ただ、今日は3年ぶりの正式な大会なので、良いタイムを出したいから、走りやすい曇りの方が良い。気温はあまり低くはないが、曇り空なら暑くはならないだろう。風も無いので、走りやすいコンディションになりそうだ。

スタートまでまだ2時間近くあるので、今日はゆっくり着替えができる。なーんて言っても、着替えは早い。この時期のレースは、着るものに悩む余地が無いからだ。
もちろん、何を着るかは、どんな季節のマラソン大会であっても最も重大な問題だ。だが、しかし、今日は悩む必要は無い。

(ピッグ)「なんと珍しく今日は着るもので悩まないんですか?」
(幹事長)「今日は半袖Tシャツ以外に選択の余地はないやろ」

この時期は天気が良くて炎天下のレースになりそうな時でも、さすがに秘密兵器のメッシュのシャツを着るほどではない。そこまで暑くはならない。
逆に、仮に雨が降ったとしても、12kmの短距離レースなので寒くなる前に終わってしまうから、長袖は必要ない。
今日みたいに曇り空だと、何も悩む事なく半袖Tシャツで決まりだ

(ピッグ)「酸欠マラソンや脱藩マラソンでは悩んでましたが」
(幹事長)「ああいう標高の高い場所でのマラソン大会なら寒さに怯えるけど、標高ゼロメートル地帯の庵治やからなあ」


酸欠マラソンや脱藩マラソンは寒さをしのぐためにアームウォーマーを着けたが、そんなものも必要は無い。
仮に寒かったとしても、たかが12kmレースなので我慢すれば良いだけだ。
て言うか、距離が短い高速レースになるので、寒さを感じる余地は無い。12kmなんてすぐ終わるから、何を着ても問題無いのだ。

(支部長)「距離に関係なく、何を着たってタイムに変わりはないんやってば」

着るのは2017年のタートルマラソンでもらったピンク色のTシャツだ。
足はタイツを履こうかどうしようか迷った。最近はランニングタイツを履く選手が多く支部長のらちゃんはいつも履いている。
私は以前はランニングタイツのサポート機能を全く信じてなかったので、タイツはあくまでも防寒用として位置付け、寒い時以外は履かない主義だった。
しかし、2019年の龍馬脱藩マラソンで、一緒に走っていた航路さんからタイツの機能を教えてもらった。彼によると、タイツを履くと筋肉の無駄な動きが抑制されて疲労が防止できるのだそうだ。
テーピングも同じ効果があるとのことだが、航路さんは元陸上部なので、彼の言う事なら信用できる。て事で、それ以来、できるだけタイツを履くことにしている。
ただ、今日はタイツを履くと暑そうなので、同じ効果を期待できる脹脛サポーターを履いた。

そのほか、私以外の全員がランニングキャップを被っているが、個人的に嫌いなので、炎天下か雨の時しか被らないから、今日は不要だ。もちろん、こんな日には手袋も不要だ。
これで準備は万全だと思って全員を見回すと、加藤選手はタイツどころか長いパンツを履いているし、上は長袖シャツを2枚も重ね着している。

(幹事長)「舐めとんか?」
(加藤)「プラプラと海岸線を散歩しようかと思いまして」


ううむ、ここまで開き直れるって、凄いと言えば凄い。
なーんて感心していたら、支部長がいつまで経っても着替えようとしない。

(幹事長)「何しとん?いくら時間があるからと言っても、そろそろ着替えた方がええよ」
(支部長)「今日は走るのは止めとくわ」


なんと!支部長は今日は走らないと言う。なんでも、最近、腰痛が出てたのに、少しマシになったと思って、前日、畑作業をしてたら、かなり痛くなったんだそうだ。

(幹事長)「腰の骨と言うより、筋肉が痛いんよ」
(のら)「うわ、それは心配だね。大事をとった方がいいね」
(ピッグ)「腰痛は長引きますからね」
(D木谷)「ここまで来て残念ですけど、今日は無理しない方が良いですね」
(幹事長)「何を甘えた事を言っとるんや!さっさと着替えんかいっ!」


て事で、本人も納得して、あくまでも自己責任で出場を決めて、潔く着替えた。

(ピッグ)「奥穂高岳登山の時と同じように、めちゃ強権的ですね」
(幹事長)「習近平よりはマシやろ?」


支部長はこれまでもレース前には「足が痛い」とか「腰が痛い」とか言いながらも、いざ走り出すと何事も無かったかのように走ってきたので、今回も気にする必要は無い。

(幹事長)「走り出すと筋肉がほぐれて痛みは無くなるんよ」
(支部長)「騙し騙し走ってみるか」


全員、着替えが終わったところでスタート前の記念撮影を行う。
庵治のマスコットであるあじろうくんを勝手に庵治マラソンの看板の前に移動して一緒に記念撮影だ。

あじろうくんを勝手に移動させて記念撮影
(左から幹事長、支部長、長谷さん、D木谷さん、ピッグ、加藤選手、倉石さん、のらちゃん)


この3年間、自主開催が続いていたので、いつも水分の補給で悩んでいた。でも今日は久しぶりの正式な大会で、給水所があるため、もう水分補給で悩まなくてもいいからトレランリュックや飲料ボトルホルダーは不要だ。
なので、顔を拭くハンドタオルティッシュを短パンのポケットに入れたら、準備完了だ。


〜 スタンバイ 〜


スタート時間が近づいてきたので、スタートラインに移動する。
以前は定期バスの邪魔になるから、スタート直前にならないとスタートラインに集合できなかった。ところが今日は、早々に車両は通行止めになり、かなり前からスタートラインに集合できた。

(幹事長)「ようやく交通規制が可能になったんやろか?」
(支部長)「定期バスが廃止になったんと違うか?」


ここらで本日の目標を立てなければならない。
もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、常に大会自己ベストを狙うのが良い子のランナーとしてあるべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるため、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、とりあえず大会自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
特に、このレースは距離が短いし、また坂が厳しいコースだから、他のレースとの比較はできない。

なので、目安はあくまでも過去のタイムだ
この大会には2006年の第1回大会から毎年参加していた。最初の4年間は毎年、着実にタイムが縮まっていき2009年の第4回大会では1時間0分台のタイムを出し1時間切りが目前に迫っていた
だが、その後はV字回復の反対で、V字型に悪化し、毎年着実にタイムが悪くなって、1時間の壁はどんどん遠ざかっていった。
同じ距離だった屋島一周クォーターマラソンの頃は、調子が良ければ1時間を切った事もあるので、1時間切りというのは非現実的な目標ではないと思うのだが、屋島一周のコースは坂がなだらかだったのに対し、庵治マラソンは坂がとっても厳しいので、容易ではない。

距離が12kmなので、1時間を切るには1km5分を切るペースとなる。坂が無い区間なら可能なペースだが、坂が厳しい庵治マラソンでは、全ての区間を1km5分を切るペースで走り続けるのは難しい。というか不可能だ。
なので、フラットな区間では、もっと速く走って貯金しなければならない。そのためには、序盤から速めのペースで突っ込む必要がある

ただし、坂がきついと言ったって、夏場の山岳マラソン4連戦のコースに比べたら大したことはない。
5km地点から1km続く坂は最大斜度20%、平均斜度10%もある急坂だが、平均斜度10%程度の坂が何kmも続く北山林道駆け足大会四国のてっぺん酸欠マラソン龍馬脱藩マラソンに比べたら坂の距離は短いからだ。
また、坂はあるけど全体の距離が12kmと短いから、フルマラソンやハーフマラソンのようにレース展開の作戦を考える必要はない。序盤は抑えて走る、とかいったペース配分を考える必要はなく、ただひたすら最初から最後まで全力で走るだけだ。
作戦を考える必要が無いというのは、自分自身の中でプレッシャーが無くなる。何も考えず、ただひたすらに全力疾走すればいいだけだ。
もちろん、本当に全力疾走しているのか、と言われれば、それはあくまでも主観的なものであり、他人が見たらチンタラ走っている程度だろう。
でも、「こんなに無理したら後になって足が動かなくなるんじゃないか」なんてペース配分を心配せずに、何も考えずに、その瞬間その瞬間における全力を出して走ればいい、という意味での全力疾走でだ。

てな訳で、とりあえずこのレースのタイムの目標は1時間切りだ。
とは言いつつ、そう簡単には1時間は切れそうにないのが現実だ。

(支部長)「老化が進んでるんやから、もう諦めたらどう?」

支部長に言われるまでもなく、2009年以降、毎年着実にタイムが悪くなっている要因と言えば、老化しか無い。

(支部長)「あと、練習不足もあるやろ」

支部長に言われるまでもなく、ここんとこ練習量は支部長に比べたら半分程度なので、ますますタイムは悪くなっている。
なので、1時間切りは極めて非現実的だろう。

おまけに、なんと雲が晴れて一気に暑くなってきた。今日は曇ったままだろうと思ってたのに、想定外の炎天下のレースになりそうだ。

一方、のらちゃんには明確な目標がある。女子年代別部門での大会2連覇がかかっているのだ。
彼女は先日の脱藩マラソンでも女子年代別で入賞したが、庵治マラソンでも前回の2019年大会で、なんと女子年代別部門で堂々の優勝を飾り、表彰式でゲストの土佐礼子さんから賞状が授与され、さらに名産の庵治石で出来たメダルも授与された
その時に熾烈に争ったライバルが2人いる。上位3人が表彰されたため、表彰式で他の2人と面識ができたのだ。
3位だったのは、2016年の大会で私が熾烈に競り合い、仲良くなった女ターザンだ。彼女が今度はのらちゃんのライバルになるなんて、面白いもんだ。
そして、2位だったのは県内随一の超有名ランニングクラブに所属する女性だ。なんでも、のらちゃんが参戦する前の年までは圧勝で優勝してたんだけど、のらちゃんが彗星のごとく現れて優勝をかっさらってしまったため、とても険しい表情をしていた。

この2人に勝てば2連覇の可能性が出てくる。
ただし、前回の大会から3年が経ったので、年代別部門には、3年間に年代別部門の年代に達した若い人たちが3年分新たに入ってくる
なので、前回のライバル2人に勝ったとしても、新たな世代に負ける可能性はかなり高い2連覇は容易ではないのだ。

(幹事長)「しかーし、2連覇よりもライバル2人に勝つ方が重要じゃ!」
(のら)「なんで?」
(幹事長)「敵は前回は油断していたかもしれないが、今回はのらちゃんをマークして必死に走ってくるだろうから、それでも負けずに勝利する事に意義がある」
(のら)「あーん、怖いよう!めっちゃプレッシャーだよ!」


女子年代別部門で優勝を狙うと言っても、大勢のランナーの中でライバルが誰々なのか見ただけでは分からない。あくまでも結果発表を見るまでは分からない。
しかし、前回のライバル2人は顔が分かっているので、真剣に勝負ができる。これは面白い。

(のら)「他人事だと思って楽しんでるだけじゃん!」
(幹事長)「だって女同士の熾烈な争いって面白いんだもーん」


のらちゃんはいつまで経っても、どんなレースの前でもドキドキしているが、今日のドキドキぶりは異常なほどだ。
しかし、ドキドキするって事は、それだけ真剣になっているって事だから悪い事ではない。

(支部長)「私らは何の緊張感も無いからな」
(幹事長)「ほんと、ほんと。もうちょっと緊張感が欲しいよなあ」


我々が出る12kmレースの参加者は男子394人、女子115人の合計509人で、マラソン大会としては小規模だ。なので、集合すればライバルがどこにいるのか確認できる。
なんと女ターザン今年は出ていないようだ。彼女は庵治が地元だと言ってたので絶対に出ると思ったんだけど、体調が悪いのだろうか。彼女の裸足の走りは見てみたかったので、とっても残念だ。

一方で、熾烈に優勝を争った好敵手は、やはり参戦している。セミプロランナーのような寒そうなランニングシャツとランニングパンツを履いてるからすぐ分かる。チームのユニフォームだろう。見るからにめちゃ速そうだ。
前回と全く同様に、最前列に陣取っている。たぶん同じ超有名ランニングクラブの仲間と一緒に陣取っているんだろう。彼らは速いから、前方に陣取って一気に突っ走るのだろう。

我々はそんな前方に陣取るのはおこがましいが、優勝を狙うのらちゃんを後ろの方からスタートさせる訳にはいかない。
タイムはチップでネットタイムを計測してくれるので、後ろからスタートしてもハンディは無いんだけど、直接、相手を見ながら競り合った方が絶対に速くなるはずだ。
なので、のらちゃんだけは前方からスタートさせたい。

(幹事長)「ほら、もっと前に行って」
(のら)「一人で嫌だよ!」


仕方なく、私も一緒に前の方に移動し、最前列から5列目辺りに陣取る


〜 スタート 〜


いよいよスタートとなり、ピストルの音と同時にランナーが一斉に飛び出す。最前列に陣取っていたのらちゃんのライバルも猛スピードで駆けだす
私は彼女と争っている訳ではないが、前回は彼女とデッドヒートを繰り広げたので、とりあえず後姿を見ながら一緒に着いて走っていく。でも、スピードが違うためか、少しずつ離れていく。
すると横からのらちゃんライバルの背中を追って猛然と頑張って前に出ていく。いいぞ、頑張れ!

旧役場の前をスタートして少し走ると、庵治半島の沿岸部を一周する県道36号線に出る。あとは折り返し点までひたすら走るだけだ。
すると、ここで私たちより少し後ろからスタートしたピッグがスイスイと追い抜いて行く。軽快な足取りだ。
私もできるだけ一生懸命走っているつもりだが、たぶん、それほど一生懸命には走れていないようで、徐々に周りのランナーが追い抜いて行く。前の方からスタートしたから大勢のランナーに追い抜かれるのは仕方ない。
一生懸命走っているつもりでも、それほど呼吸は苦しくはない。つまり、全力とは言えないような気がする。でも足がこれ以上、速く動かない。足としては全力なのだ。

最初の1km地点でのラップは、5分を少しオーバーしている。以前なら最初の1kmはフラットだから5分を切っていたので、やはりペースは確実に落ちている。
このフラットな区間で5分を切れないようだと、上り坂ではもっともっと遅くなり、平均でも1km5分は絶対に切れないから、トータルでの1時間切りは不可能になる
なので、頑張って走ろうとするんだけど、情けないが足が動かない。

最初の1kmはフラットな区間だが、そこから先は坂が次々と現れる。中小合わせて4つの坂を越えた後、最後に5つ目の巨大な坂がある。巨大な坂を上りきったところに折り返し点があり、後半は巨大な坂を下った後に再び4つの坂を越えてくることになる。
1km地点を過ぎると、まずは最初の坂が現れる。以前は負担感のあった坂だが、山岳マラソンを数多くこなしている今となっては、これくらいの坂はそれほどきつくはない。とは言え、スピードは明らかに落ちていく。
のらちゃんピッグは目立ちやすい色のTシャツを着ているので、坂を下っていると、後姿が徐々に遠ざかっていくのが良く分かる。でも、のらちゃんのライバルは分からなくなってしまった。

このレースは距離は短いが、給水所は何ヵ所か設置されている。以前は、たかが12kmレースなので、飲んだ水が身体に回るまでにはゴールしてしまうので、少しでもタイムを稼ぐため全てパスしていた。
でも最近は、足攣り防止のため最初の給水所からすべての給水所で水分補給するようにしている。給水所で紙コップを取るのはとてもうまくなり、ほとんどタイムロスなく手早く取って飲む事ができる。
今日も最初の給水所で素晴らしく手早く紙コップを取り、タイムロス無く水を口に入れて、自分ながら自分の手際に惚れ惚れしていたら、飲み込むときにむせてしまった
私は喉の構造が悪いのか、昔からよくむせていたが、マラソン大会で走っている途中でむせると苦しい。もう、めちゃめちゃ苦しい。
立ち止まって必死で咳をしたいところだが、そんな事をするとタイムをロスしてしまうので、走り続けながら咳き込む。でも、それではなかなか思いっきり咳ができずに、いつまでもスッキリしない。
 [教訓]手早く紙コップを取るのは良いけど、水を口に含んだ後、飲み込むのはゆっくりしなければならない。

最初の坂を下りるとしばらくフラットな区間が続き、次の坂の手前で2km地点になる。坂の上り下りがあったため、この1kmは5分半にまで落ちていた。
2km地点を過ぎると、小刻みなアップダウンがダラダラ続き3つ目のピークに上がったところに3km地点がある。
上り坂が多かったせいか、なんとこの1kmは6分近くかかっている。いくら上り坂があったと言っても遅すぎる!
早くも力尽きかけているんだろうか。まずい。でも、だんだん疲れてきて、ペースアップは無理だ。

3kmを過ぎると、細かなアップダウンの後に大きく下り4つ目のピークを上ったところに4km地点がある。
この1kmはなんとか5分20秒くらいに戻したが、大きな下り坂があったんだから、せめて5分くらいでは走らないといけない区間だ。
この先に大きな坂が控えてることを考えると、非常に厳しい戦いだ。

4km地点を過ぎてしばらくはフラットな海岸線が続くが、ピッグのらちゃんの後姿はかなり遠くなってしまった。
庵治マラソンは基本的に木陰の少ないコースだが、特にこの直線区間は木陰が全く無い。そのため、今日みたいな炎天下になると暑くなってくる。
しばらく走ると、いよいよ最後の巨大な坂が現れ、それを上り始めたところに5km地点がある。
この1kmは再び6分近くかかっている。もう完全に絶望的だ。

最後の巨大な坂は、以前は目の前が真っ暗になるほどの絶壁に感じられたが、山岳マラソン4連戦をこなしてきた我々にとっては、以前ほどは絶望的でない。でも、ペースは明らかに遅い。
前回は、この急登をのらちゃんと一緒にヒィヒィ上っていきながら、のらちゃんのライバルを追い抜いたんだけど、今日は私のペースが遅いから、彼女の姿も全く見えない。

坂の途中で、中間地点で折り返してきたD木谷さん倉石さんが一緒に駆け下りてくるのとすれ違った。長谷さんの姿は見つけられなかったが、ウルトラ3兄弟は同じようなペースで走っているはずだ。
さらにしばらく走るとピッグも折り返してきた。今日もなかなか快調のようだ。

巨大な坂の傾斜度が緩やかになったら、間もなく折り返し点になる。
ここでのらちゃんが折り返してきた。そして、そのすぐ後ろをライバルが走ってくる。遂にのらちゃんライバルを追い抜いたようだ。でも、すぐ後ろからピッタリと着いてきている。
慌ててのらちゃんに声をかける。

(幹事長)「追い抜いたの?」
(のら)「う、うん」
(幹事長)「すぐ後ろから来てるから頑張って!」
(のら)「ぜいぜいぜい」


のらちゃんのライバルには、前回も巨大な坂の前まではかなり離されていたけど、上り坂であっさりと追い抜けたから、ライバルは上り坂が苦手のようだ。それで今回も上り坂で追い抜いたんだろう。
その代わりライバルは下り坂には強いみたいだから、油断はできない。
折り返し点は6km地点なんだけど、この1kmは6分を少しオーバーしてしまった。今日のペースからすれば、当然だろう。

折り返して少ししたら、支部長が走ってきた。今日は腰が痛いから様子を見ながら走ると言ってたので、前半は抑え気味に走っているのだろう。
でも、それほど差は着いていない。支部長は下り坂がめちゃくちゃ速いから、この程度の差では、あっという間に追いつかれそうだ。
手負いの支部長に負けたとなると目も当てられないので、必至で坂を駆け降りる。

でも、そうは思っても、なかなか自分の足が思うように動かないのがまどろっこしい
若い頃は下り坂になると転げ落ちるように走れたのに、今は、まず足が思うように広がらない。もっと足を前に出したいのに足が広がらないから、チョコチョコした動きになってしまう。
それでもピッチを上げられれば良いんだけど、チョコチョコ走っているくせに回転も遅く、スピードは上がらない。ストライド走法もピッチ走法もできない体になってしまった。

大きな坂の下りの終盤7km地点があるが、気持ちではガンガン飛ばしたつもりだったけど、そんなに大してスピードアップはできておらず、この1kmも5分を切る事はできなかった。
この最大の坂の下りで5分を切れなかったら、他の区間で5分を切る事なんでできる訳がない。て事はトータルで1時間なんて絶対に切れる訳がない。て言うか、ものすごい惨敗ペースだ。
坂の終盤で加藤選手が上ってくるのとすれ違った。前回の自主開催では彼は前半から積極的な走りを見せ、巨大な坂を下りた時にはまだリードされていたんだけど、今回はのんびり走っているようだ。
巨大な坂の後はフラットな直線区間が続き、再び上り坂に入ったところ8km地点となる。この1kmはほぼフラットな区間だったのに6分近くかかっている。愕然だ。もう完全に力尽きたんだろうか。

その後はアップダウンが繰り返される区間になり、9km地点で見たラップは、なんと再び1km6分をオーバーしてしまった。しかも、さきほどの巨大な坂の上りより時間がかかっている。そんなアホな!
正式な大会への参加は今回で10回目で、自主開催を入れると12回目だが、この区間で巨大な坂の上りよりタイムが悪かったなんて記憶が無いぞ。
たかが12kmレースなのに、終盤で大撃沈するなんて、情けない。終盤と言ったって、ハーフマラソンなら、まだ序盤を過ぎたところだ。

相変わらず暑いが、もうそんな事を言ってられる状況ではないから、できるだけ頑張って走る。
次の区間もアップダウンが続きはするが、基調的には下りが多い。しかも、もう残り3kmなので、なんとか頑張って走り、10km地点で見たラップは5分20秒ほどに回復した。

残りは2kmなんだから、もうラストスパートだと思ってペースアップしようと頑張る。坂を上っていると、同じタートルマラソンのピンクのTシャツを着たランナーが隣を走っていたので声を掛けたら、彼もガッツポーズを見せてくれた。
でも、頑張って走ったつもりだったんだけど、最後の4つ目の上り坂があったせいで、坂を下った11km地点で見たラップは、再び大きくペースダウンして6分近くになっていた。
もう、全然スパートできていない。タイム的には絶望的な大撃沈だ。
ただ、後ろから支部長が迫ってきているのは間違いないので、ここで気を緩める訳にはいかない。腰を痛めた支部長に負けるようでは立ち直れないので、なんとか逃げ切りたい。

なので、最後の1kmは迫りくる支部長の影に怯えて必死で走った。最後の1kmは、調子が良い時は1km4分半くらいのペースでフィニッシュしていたし、調子が悪くても5kmは切っていた。
でも今日は、やはり思ったほどはペースが上がらない。前回はのらちゃんのライバルと最後まで必死になって競り合ったので、かなりペースアップできたが、今回はだいぶ遅れてしまったため、周囲に競い合う相手はいない。
それでも、少し前に追い抜いた女性ランナーと最後まで競り合いながら走る。
自主開催では競り合う相手はメンバーだけだが、正式な大会になると他にランナーがたくさんいるので、勝手にライバル視して競り合う事ができるのでペースが落ちにくい。これは正式な大会の良いところだ。


〜 ゴール 〜


後ろから迫ってくる支部長の見えない姿と戦いながら、最後はちょっとだけスピードを上げてゴールした。
もちろん、最後に少しスピードアップしたって何の意味も無い。
結局、1時間を切れなかったどころか、初出場でどんなコースなのか全く予備知識が無くて大惨敗した2006年の第1回大会のタイムより悪いワースト記録を更新してしまった。

D木谷さん長谷さん、倉石さんウルトラトリオは揃って55分前後という素晴らしいタイムでゴールしていた。
55分ってことは1km平均で4分半少々なので、今の私では絶対に不可能だろう。

気になるのはのらちゃんライバルの戦いの結果だ。最後のスパートで息も絶え絶えになっているのらちゃんに聞いてみる。

(幹事長)「どうやった?あのまま逃げ切れた?」
(のら)「ゼイゼイゼイ、良く分かんない、ゼイゼイゼイ」

ライバルは上り坂に弱いから、折返しの巨大な坂で追いつき、追い抜いたんだけど、ライバルは下り坂には強いから下りで再逆転され、その後も細かな坂があるたびに抜きつ抜かれつの熾烈な戦いを繰り広げたらしい。
なんとか逃げ切れそうだと思って安心していたところ、最後の県道36号線から旧役場に入ってくる曲がり角で後ろから追い抜かれそうになったので、死に物狂いで走ったんだそうだ。
当然ながらライバルも死に物狂いで走っているから、壮絶な女の戦いとなり、最後のゴールラインはのらちゃん数十cmの差で先にゴールしたらしい。

ただ、どんなマラソン大会でもそうなんだけど、タイムを計測する青いゴールラインは何本も引かれている。最初の1本目で計測できなかった場合に備えているのかもしれないが、どのラインで計測されたのか分からない。
のらちゃんは最初のゴールラインをまたいだところでゴールしたと思って足を緩めたんだけど、ライバルは全てのラインを越えるまで全力で駆け抜けたらしい。
なので、実際にはどのラインでタイムが計測されたのか分からないから、本当に勝ったのかどうかは分からないのだ。

(幹事長)「でもスタートの時は数メートル後ろからスタートしたから、ネットタイムでは1秒か2秒は短いはずだよ」
(のら)「そ、そうかなあ、ゼイゼイゼイ」


前回はゴールしたらすぐに上位の選手のタイムが張り出され、表彰式も行われたんだけど、今回はタイムの掲示も無ければ表彰式も無い
そのうちネットでタイムは見られるようになるとのことだが、いつから見られるのかは分からない。

しばらくすると支部長が帰ってきた。私とのタイム差は折り返しの時と同じくらいだった。
下り坂ではいつものようにバンバン飛ばしたけど、上り坂は小さな坂でもことごとく歩いたんだそうで、差は縮まらなかったようだ。

(幹事長)「腰の調子はどうなん?」
(支部長)「腰は大丈夫やけど、ここんとこトレーニングができてなかったから足が動かなかった」


最近、腰の調子が悪かったので、トレーニングが不十分だったらしい。

そうこうしていると、ようやくネットで全ランナーのタイムが見られるようになった
すると、のらちゃんライバルに3秒の差をつけて勝利していた。ゴールしたタイムは1秒も違っていないんだけど、スタート時の貯金がモノを言ったようだ。

(幹事長)「良かったなあ!」
(のら)「やったーっ!嬉しいーっ!」


前回は40秒ほど差をつけて勝利したのに対し、今回は僅か3秒と言う薄氷を踏むような僅差での勝利だが、それだけに嬉しい。

(幹事長)「たぶんライバルはめちゃくちゃ悔しがってるやろな。挨拶に行ったら?」
(のら)「怖いから、やだよ!」


ライバルに勝ったのは分かったが、年代別部門での順位はまだ分からない。発表を待つしかないのかも。


〜 反省会 〜


レース後は、いつものように春日川の川沿いにある湯楽温泉に繰り出して疲れを癒した。
まさか庵治マラソンの参加者が殺到してるとは思えないが、なぜか、ものすごく混雑していた。
それでもレース後に温泉に入るの気持ち良い。身体もさっぱりするし足の疲れも和らぐ。

温泉の後は私の好きな春日町市場肉うどんを食べる。ここの肉うどんは、うどんより肉の方が量が多いくらいで、ペース配分を考えないと肉が残ってしまうほどだ。

落ち着いたところで反省会をしなければならない。
1kmごとのラップを見ると、3年前の前回に比べて、全ての区間でコンスタントにペースが落ちている
て事は、ペース配分がどうとかレース展開がどうとか言う問題ではなく、明らかに走力が落ちているのだろう。

(支部長)「だから歳のせいやと言うとるだろ」
(幹事長)「がーん」


のらちゃんライバルも、前回に比べたら落ちているので、みんな揃って老化が進んでいるのかもしれない。

(ピッグ)「今日は暑かったですからね」
(幹事長)「前回も暑かったよ」


着実に進む老化に抗うすべは無いのだろうか。

家に帰ると、長谷さんから朗報が入る

(長谷)「のらさんは女子年代別部門で優勝ですよ」
(幹事長)「え?なんで分かったん?」
(長谷)「ゼッケン番号で分かりました」


気が付かなかったけど、ゼッケン番号は年代別で分かれているらしく、同じ年代部門と思われるゼッケン番号を探していくと、のらちゃんのタイムが一番速かったとの事だ。
急いで確認すると、確かにのらちゃん年代別で一番良いタイムになっている同じ部門の女子の完走者19人中の優勝だから素晴らしく立派なものだ。

(幹事長)「やったやんか!素晴らしい!」
(のら)「やったーっ!嬉しい!嬉し過ぎる!」


女子年代別で2連覇の快挙だ。表彰式が無かったのが惜しい。

さて、来週は4年ぶりのサイクリングしまなみだ。レースじゃないので、のんびり楽しく走るぞ!


〜おしまい〜




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