第75回 丸亀マラソン大会
2023年2月5日(日)、第75回香川丸亀ハーフマラソン大会が3年ぶりに開催された。
毎年、ペンギンズの初レースは1月の満濃公園リレーマラソンだけど、あれは動物チームで出る遊び半分て言うか遊び全部の行事であり、真剣勝負のレースとしては、この丸亀ハーフマラソンが初レースとなる。
(支部長)「満濃公園リレーマラソンは遊びやなんて言いながら、惨敗が続いて悔しいやろ?」
(幹事長)「距離が短いレースは、もう諦めたよ」
満濃公園リレーマラソンの忌まわしい記憶は忘れて、とにかく丸亀マラソンは正真正銘の真剣勝負だ。このレースは、ほとんど坂が無い国際陸連公認の高速コースを走るってことで、良いタイムが期待できる。そのため、毎年、このレースはやる気まんまんで出場してきた。
それなのに、ああ、それなのに、なんと2021年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった。
事の発端は2020年の丸亀マラソンが開催された翌月の2020年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。
その後、状況はますます悪くなり、遂に3月22日の徳島マラソンは全面的に中止になり、その後も全国的にマラソン大会が次々と中止になっていった。
これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。
(ピッグ)「相変わらずこの説明を書くんですね」
(カッパ)「少なくとも徳島マラソンが復活するまでは腹の虫がおさまらないからな」
素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないとぶつかって走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外で走っている時に感染なんかしない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしていたが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない。
それなのに、その後も続々とマラソン大会の中止が発表になり、マラソン大会もサイクリングイベントも全滅してしまった。
この暗黒の事態を打開するため、ピッグの提案により、中止になったイベントをペンギンズで自主開催していくことになった。マラソン大会では5月の小豆島オリーブマラソンから自主開催を始め、全てのマラソン大会を自主開催した。
これらは例外なく、とても楽しくて大成功だったが、そうは言っても正式な大会ほどのやる気と達成感は得られないため、願わくは、コロナのバカ騒ぎは2020年で収束して、2021年はマラソン大会が復活して欲しかった。
ところが、2021年になってもコロナのバカ騒ぎが終わらず、丸亀マラソンが初めて中止になるなど、全てのマラソン大会の中止が続いたため、丸亀マラソンから始まって全てのマラソン大会の自主開催を続けた。
しかし、バカみたいなコロナ騒ぎもいよいよ収まり、2022年2月の丸亀マラソンから正式なマラソン大会が復活する予定だった。我々はちゃんとエントリーし、一気に高騰した参加費だって払い込んでいた。
ところが、なんと、丸亀マラソンは直前になってドタキャンされてしまった。
さらに3月の徳島マラソンも、ちゃんとエントリーし、高額な参加費も払い込んでいたのに、やはり直前になってドタキャンされてしまった。
ただし、全国的にコロナのバカ騒ぎによるマラソン大会中止が全面的に3年目に突入した訳では決してない。東京マラソンは3月6日に開催されたし、名古屋ウィメンズマラソンも3月13日に開催され、ゾウさんが出場して完走した。
なぜマラソン大会が復活し始めたのかと言えば、コロナの感染者数が減ったからではない。相変わらず感染者数は高止まりしている。
しかし、コロナのバカ騒ぎは収まりつつある。国民の多くが理解するまで2年もかかったが、ようやくコロナなんてただの風邪に過ぎないっていう理解が進んできたのだ。
ところが、人口が密集している大都市の東京や名古屋で大規模マラソンが開催されたのに、なぜか田舎で沿道の観客だってスカスカの徳島マラソンは中止になった。
その流れを受けて、四国で開催されるマラソン大会はことごとく3年連続の中止になった。
しかし、遂に2022年10月、高知県梼原町の大英断により四国のマラソン大会として3年ぶりに龍馬脱藩マラソンが復活した!それに続いて同じく10月に庵治マラソンも3年ぶりに復活した!
さらに、なかなか開催の発表が無く、今年も中止かなあと諦めていた満濃公園リレーマラソンも直前になって開催が決定し、2週間前に無事、開催され、史上最弱メンバーで臨んだが、なんとか制限時間をクリアして完走した。
そして、いよいよ本格的なマラソン大会として丸亀マラソンも3年ぶりに復活したのだ。本当にめでたい事だ。良かった良かった。
なお、今回の大会は第75回大会と銘打たれている。これは間違いではない。最後に開催された3年前の大会は第74回大会だったからだ。
しかし本来なら、中止になった2021年の大会が第75回大会のはずだった。なので、自主開催した2021年大会をこのホームページでは第75回大会と銘打っている。
また、事前に高額の参加料を徴収して開催される予定だった2022年の大会も、主催者は再び第75回大会と銘打ち、送られてきたパンフレットにも第75回大会と書かれていたが、直前になってドタキャンされたので、自主開催した2022年大会はこのホームページでは第76回大会と銘打った。
それから数えると今回は第77回大会になるはずだったが、正式な本大会が第75回大会と銘打って開催されるので、このホームページでも第75回大会とする。
(幹事長)「第75回大会が2つできてしまったので、ややこしいな」
(ピッグ)「だーれも気にしてないと言うか気付いてないですよ」
〜 エントリー 〜
丸亀マラソンは、高速レースとして全国的にも名高いことで、以前から人気が高かったが、昨今の異常なまでのマラソンブームのせいで、毎年、さらに参加者が増加してきた。
ただ、会場の丸亀陸上競技場はキャパが大きいため、定員には余裕がある。そのため、一応、定員は1万人となってて、申込者が1万人に達すると受付は終了してしまうが、それとは別枠で、大会前日に会場へ行けばエントリーが可能だった。
そもそも、前日受付OKというシステムは一体どういう意味があるのか、よく分からない。申込し損ねた人のためかなとは思うけど、なぜ前日だけなのか分からない。
ただ、今年は前日受付は無くなった。コロナ騒ぎのせいかなとは思うが、元々からして意味が分からないシステムなので、無くなった意味も分からないが、ま、関係ない。
前日受付は無くなったが、定員は以前と同じ1万人だ。
参加すると分かるが、1万人規模になると走りにくくなる。最初から最後まで混雑が続くからだ。そのため、2017年から一般部門がB部門とC部門に分けられた。
以前はエリートランナーがA部門で、一般ピープルはB部門だったが、一般ピープルが細分化され、過去3年間で男子なら1時間50分以内、女子なら2時間10分以内の記録を出したランナーがB部門で、それ以外はC部門となった。
A部門がスタートした後、次にB部門がスタートし、最後にC部門がスタートすることになったのだ。
別にB部門だろうがC部門だろうが関係無いじゃない、なーんて事はない。かなり大きな問題なのだ。
タイムはシューズに着けたチップでネット計測してくれるから、後ろの方からスタートしても構わないんだけど、後ろの方からスタートしたら大混雑で身動きが取れなくなる。遅いランナーを追い抜きたくても、仲間同士でおしゃべりしながらゆっくり走るおばちゃん軍団なんかに邪魔されて追い抜くこともままならない。
昔は参加者が少なかったから、邪魔なランナーがいても、そのうちバラけてきて空いてきたが、1万人も参加するようになってからは、最後の最後まで混雑は緩和されず、最後までおばちゃん軍団に前を邪魔されたままになるので、それは避けなければならない。
実は、スタート順は、B部門とC部門という大きな部門だけでなく、AブロックからTブロックまで細かく分けられている。AブロックからFブロックまでがB部門で、Gブロック以降がC部門だ。
このブロック分けが適正に行われていたら問題は無い。自分の周りはみんな同じような速さのランナーであり、前は速いランナーばかりなので邪魔なランナーを追い抜く必要も無ければ、後ろは遅いランナーなので後ろから抜かれる事も無く、秩序良く走ることができる。
そうなればスタート直後の混雑も緩和されるはずだ。
ところが、どのマラソン大会でもそうなんだけど、ブロック分けの根拠は自己申告のタイムであり、みんな速めのタイムを申告しがちだから、本当は遅いのに前の方からスタートするランナーも多い。
(支部長)「自分の事かいな?」
(幹事長)「どきっ!」
こうなると邪魔なランナーが多くて本当に走りにくくなる。
大会の開催要項には、参加上の注意事項として
「スタート順は、申告タイム(2018年1月1日以降の自己ベストまたは予測タイム)順とします。虚偽の申告は、安全な大会運営に支障をきたすので絶対にやめてください。集合場所からスタート地点までの移動は、係員の誘導に従ってください。移動中の割り込みは厳禁です」
などと強い口調で書かれているが、なかなか不正は防げない。そもそも申告タイムが予測タイムでもOKと言うのだから、曖昧なものだ。
その打開策として導入されたのがB部門とC部門の分離だ。ブロック分けの基準は自己申告タイムだが、部門分けの基準になるのは、自己申告タイムではなくて大会事務局が把握している過去3年間のタイムだ。
虚偽申告するランナーを排除するために厳密な記録に基づいてB部門とC部門に分けたのだ。丸亀マラソンの記録だけでなく、正式な記録を提出できれば、他のマラソン大会のタイムでも良い。
細かいブロック分け自体も過去のタイムを基準にしたらいいと思うんだけど、ブロック分けは大きな部門の中でのブロック分けなので、どこにでもこっそりと紛れ込むことが可能であり、管理が難しいのかもしれない。
その点、大きな部門分けでは、ゼッケンの色が異なるため、かなり厳密に実施されており、B部門には遅いランナーは紛れ込みにくい。(ただし、私の知ってる人で、本当はC部門なのに、毎年こっそりB部門に紛れ込んでいる人がいて、そのノウハウを教えてもらったけど、これは極秘事項です)
一方、C部門の中では相変わらず遅いランナーが不適正な申告で前の方のブロックに陣取っている。なので、遅いC部門で走るとなかなか良いタイムは出しにくい。
一方、速いB部門で走ると良いタイムを出しやすい。まるで大貧民のような理不尽なシステムだ。
て事で、なんとしても1時間50分の制限時間をクリアしてB部門からスタートしたいわけだ。
そういう事情なので、2019年は万全の状態で臨み、真剣に走った結果、なんとか久しぶりに1時間50分を切ることができた。
そのおかげで2020年は晴れてB部門で走る事ができ、それが幸いして大会自己ベストで1時間50分をクリアした。
なお、B部門のエントリー条件は男子の場合は過去3年間で1時間50分を切るタイムを出していることだが、女子の場合は少し緩やかで、過去3年間で2時間10分を切るタイムを出していればいい。
ただ、ペンギンズの2大女王様であるゾウさんとのらちゃんは、二人とも1時間50分くらいでは走るので男子の基準でも問題無い。
男子では私のほか、ピッグ、D木谷さん、長谷さん、倉石さんがB部門での出場だが、支部長は前回、惜敗したため、C部門でのエントリーとなった。
D木谷さんと長谷さんと倉石さんは職場でウルトラマラソン部を作ってウルトラマラソンに出ているので、我々はウルトラ3兄弟と呼んでいる。
(ピッグ)「タイムは3年間有効と言いながら、今回は2018年以降の5年間のタイムが有効になってますね」
(幹事長)「コロナ騒ぎで中止が続いたからなあ」
本来は過去3年間のタイムで部門分けが実施されていたが、この3年間、日本中のほとんどのマラソン大会が中止になっていたので、記録の無い人が大半だろう。そのため、今回は経過措置として5年前のタイムも有効になった。
これがいつまで続くのかは分からない。そのうち本来の3年間有効に戻ると思うが、来年はどうだろう。いきなり過去3年間のタイムだけが有効になるのか、まだ経過措置が続いて5年間有効になるのか。
(幹事長)「大きな問題や」
(ピッグ)「なんでですか?」
コロナ騒ぎで中止になる前の2020年は1時間50分を切れたが、正直言って、老化が急速に進んだ今の状態で1時間50分を切るのは非常に難しい。なので、2020年の記録がいつまで有効になるのかは私にとっては大問題なのだ。
5年間有効が続けば2年後の2025年大会までB部門で出られるが、3年間有効に戻れば来年の2024年大会だってC部門になってしまう。
もちろん、今年も1時間50分を切れば問題は無いので、一応、それを目標にはしている。
だが、しかし、最近は練習量が圧倒的に不十分だ。大会自己ベストを出した2020年大会の前は、2ヵ月連続で300kmを超える月間練習距離の最長距離を達成した。大会自己ベストは、明らかに練習量が多かったおかげだ。
しかし最近は、練習量がガタ落ちだ。なにもサボっているからだけではない。練習量を増やすと疲れがたまり、不調に陥ってしまう。練習すればするほど遅くなるという状況だ。老化が進むと疲れの回復が遅くなるのだ。
なので、以前のようにむやみに練習量を増やすのが良いとは思えなくなってしまった。非常に厳しいジレンマだ。
〜 駐車場 〜
12月中頃になり、D木谷さんから連絡が入る。
(D木谷)「駐車場の抽選に外れました」
いつの間にかホームページで発表されている、との事だ。でも、私は安心しきっていた。誰かは当選するだろうと思ったからだ。
私自身は、たま〜に丸亀競技場の駐車券をゲットすることもあるが、たいていは遠く離れた三菱電機の臨時駐車場の券をゲットしてきた。それすら外れた事も無いことはないが、たいていは三菱電機の臨時駐車場は当たっていた。
三菱電機の臨時駐車場なんて、福引きの残念賞のポケットティッシュと同じで、丸亀競技場の駐車場が当たらなかった人のための残念賞だと思っていた。
ところがD木谷さんの連絡を受けて調べてみたら、今年は私も三菱電機の臨時駐車場すら外れていた。しかも!私だけでなく、他のメンバーも、全員が駐車場券に落選していた!
昔は会場である丸亀競技場の駐車場に自由に停めていたが、参加者が増加するにつれ、遅く行って停められなかった車が会場周辺に溢れかえって大混乱するようになったため、事前に駐車場を申込んでいた人にだけ先着順で駐車券が送られてくるようになった。
その後、丸亀競技場の駐車場だけでは対応できなくなって、遠く離れた土器川河川敷の臨時駐車場なども使われるようになり、申込みが遅れると遠方の駐車場券が支給されるようになった。
それがいつの間にか先着順じゃなく抽選になった。それでも当初は、どこにも当たらないって事はなく、たいていは遠方の駐車場券が送られてくるようになった。遠方の駐車場はキャパがでかいので、オーバーするってことはなかったからだ。
ところが最近は、土器川河川敷臨時駐車場が無くなったせいか、数が足りなくなったようで、どこの駐車場も当たらないっていう人が出てきたのだ。
そうは言っても、メンバーのうち誰か一人でも当選していれば、みんなで乗り合わせて行けるので、全員が外れるなんていう世紀末的な事が無い限り問題は無い。確率から言えば、全員が三菱電機の臨時駐車場すら外れるなんて事は、数百年に一度くらいだろう。
なーんて思っていたのに、全員が落選するなんて、いくら駐車場券の競争率が高くなったとは言え、ここまで末期的な状況になっているなんて、そんな事があるだろうか?あり得るだろうか?
(幹事長)「これは陰謀や!絶対に陰謀や!私の存在を快く思ってない中国やロシアによる陰謀に違いない!」
(ピッグ)「ロシアや中国なら、もっと露骨な嫌がらせするでしょ」
珍しくピッグが政治的な発言をしたが、全員が落選となると、非常事態だ。
1人や2人で車に乗って行く人も多いだろうから、駐車場の競争率が高くなる。なので5人以上乗ってないと駐車場に停めさせない、なんていう制度にしたら競争率も緩和されるのではなかろうか。
なかなかナイスな制度だと思うんだけど、言っても仕方ない。
(D木谷)「仕方ないから電車で行きますかねえ」
JR丸亀駅から丸亀競技場まではシャトルバスが出るから、丸亀駅まで電車で行けば良い。と言うか、主催者はそのように誘導しているのだろう。
(幹事長)「でも電車に乗るまでが面倒くさいのよね」
D木谷さんはJR高松駅の近くに住んでいるから、電車に乗るのも便利だが、他のメンバーは高松駅に行くのに琴電を乗り継いでいかなければならないから、ちょっとだけ面倒くさい。
どうしようかと思案していたが、事務局から送られてきた資料によると、丸亀駅の近くには300台前後停められる大きな駐車場が2つあるようなので、早めに行けば停められそうだ。
みんなで乗り合わせて丸亀駅の近くまで行き、どこかの駐車場に停めてシャトルバスに乗って行けばいいのだ。
(幹事長)「ナイスなアイデアやろ?」
(支部長)「今まで思いつかなかったのが不思議なくらい、当たり前のアイデアやな」
ただ、丸亀駅から丸亀競技場まではシャトルバスで送迎してくれるんだけど、行きも帰りもマラソン大会開催の交通規制のため大渋滞となり、時間がかかるのは我慢しなければならない。
なーんて思ってたら、レースの2日前になって突然、石材店から連絡が入る。
(石材店)「丸亀競技場の駐車券が手に入りましたぜ、だんな」
(幹事長)「なんとかーっ、素晴らしい!」
なんと石材店が丸亀競技場の駐車券をゲットしてくれたのだ。なかなか手に入らない黄金のチケットだ。
素晴らしい。素晴らしすぎる!足の故障で最近はあまりレースに参加できてない石材店だが、素晴らしい貢献をしてくれた。
〜 ジョギング教室 〜
レースの受付は前日と当日があり、どっちでもいいが、私は丸亀に実家があり、しょっちゅう丸亀に行ってるので、前日の土曜日に済ませた。
自分だけ前日に受付したって、どうせ他のメンバーは当日に受付するので、あんまり意味は無いんだけど、なんとなく心に余裕ができる。のらちゃんも丸亀在住なので、一緒に前日受付をした。
今年はゼッケンと計測チップは事前に送られてきているので、受付ではパンフレットと記念品をもらう。ゼッケンと計測チップが事前に送られてきているのだから、パンフレットや記念品だって一緒に事前に送ってきたら良いのにと思うのだが、理由は分からない。
記念品はたまにバスタオルの年もあるが、たいていはTシャツで、今年もTシャツだった。多くのマラソン大会の記念品がTシャツなので、同じようなTシャツが毎年、積み上がっていくから、個人的にはバスタオルの方が良いんだけど仕方ない。
今年のTシャツはオレンジ色だった。それも、かなり派手な蛍光色のオレンジ色だった。
パンフレットには第75回と書いてあるが、もちろん、これは嘘だ。上の方に書いたような、コロナ騒ぎで2回中止になった事による数え方の混乱の話ではない。そもそもが大嘘なのだ。
よく「幹事長は何回くらい出てるんですか?」って聞かれて「第1回から出てるよ」って答えると、みんな私を仙人でも見るかのようにひれ伏して崇めてくれるが、もちろん私は75歳にはなっていない。
本当の第1回大会は75年前ではなくて、26年前の1997年に丸亀城築城400年記念大会として開催された。当時はまだこのホームページを開設してなかったため記事は残っていないが、翌年の1998年の第2回大会からは毎年記事を掲載している。
そのまま第4回までは正直な回数だったのに、2001年の第5回大会のとき、突然50回も上げ底されて第55回になった。1997年の第1回大会の前年には第50回香川ロードレースが開催されていたので、いきなりその50回分を足したのだ。
香川ロードレースというのは、陸上競技の専門家しか出ない閉鎖的な業界内の大会であり、市民マラソンとなった今の丸亀マラソンとは似ても似つかない全く別のレースだった。
長距離レースではあったものの、距離だってフルマラソンの時もあれば35kmレースなんて中途半端な距離の時もあったが、ハーフマラソンが種目だった事はない。レースの性格が全く異なっていたのだ。
水増しの事情については、第56回(本当は第6回)の記事に詳しく書いているが、理由はもちろん、回数が多い方が伝統がある由緒正しいレースのように聞こえるからだ。
もちろん、私は回数の水増しを非難するつもりは毛頭無い。私の故郷である丸亀のマラソン大会であり、回数が多い由緒正しいレースのように聞こえた方が、知らない人に対しては格好良いから、それでいい。
第1回と言うか第51回の頃は、毎年、コースがコロコロ変わり、私の実家のすぐ裏の農道に毛が生えたような道を走ったりしていた草レースだった。それが、今や国際陸連公認の高速コースになって全国的にも有名になり、定員1万人があっという間に一杯になってしまうなんて、地元の私としては嬉しい限りだ。
受付が終わり、スタンドに上がって競技場を見ると、3kmレースをやっていた。以前は3kmレースもハーフマラソンの当日にやっていたが、最近は前日にやっている。ハーフマラソンの参加者が増えて肥大化してきたから、3kmレースも同じ日に開催すると大混乱するからだろう。
3kmレースは男子の部の参加者が165人、女子の部の参加者が76人と、かなりこじんまりしたレースだ。
基本的に中高生のためのレースであり、出場しているのは大半が中高生で、社会人は少ない。て言うか、ごく少数の社会人は、いったいどういう理由で参加しているのだろう?
中高生の参加者は大半が陸上部員のようで、かなり速い。女子の中高生だってバカにしてはいけない。速い子はものすごく速い。トンでもなく速い。僕らでは100mも持たないスピードだ。
学校から強制されて嫌々出ている生徒もいるようで、チンタラ走っているように見えるが、それでも時計を見る限り、なかなかの速さだ。なので、最後の方はヨタヨタ走る社会人ばかりだ。
3kmレースの前には小学生の駅伝もやっていて、こちらの方がエキサイトしそうだが、残念ながら既に終わっていて見られなかった。
レースが終わると、今年も金さんのジョギング教室がある。毎年、誰かしら有名な女子選手を相棒にしており、前回の相棒は高橋尚子さまだった。なので万難を排して参加した。
今年の相棒は千葉真子なので、ちょっと悩むところだが、のらちゃんが今年も参加しようと言うので、一緒に参加したものだ。
のらちゃんは前々回の有森裕子が相棒だった時に初めて参加したんだけど、それが良かったと感じたため、毎年、参加するようにしている。
もちろん、大会前日のジョギング教室で何かためになる事を期待してはいけない。そんな即効性のある魔法のノウハウなんて有り得ない。そんなものは最初から期待してはいけない。
でも、結果的に、前々回は翌日の本番のとき、とても体が軽くなって大会自己ベストを更新できた。ジョギング教室のノウハウと言うより、前日に軽く楽しく走ったのが良かったようだ。
前回も同様で、何か秘密のノウハウを伝授された訳ではないが、前日に高橋尚子さまと一緒に軽く楽しく走るのは肉体的にも精神的にも良かったようで、再び大会自己ベストを更新できた。
それで、今年も参加した訳だ。
ジョギング教室への参加は当日、会場で受付をやってるんだけど、前回から事前にインターネットで予約する事もできるようになった。
ジョギング教室へは過去、何度も参加した事があるが、たいていは直前に行っても大丈夫だった。一応、定員はあるけど、定員がいっぱいになるほど参加者が集まる事は珍しかった。
なので、わざわざ事前に予約する必要性は感じなかったが、前回は高橋尚子さまがゲストだったので、万が一って事もあるので事前に予約した。そしたら、なんと500人の定員が早々にいっぱいになってて、キャンセル待ちを申し込んでる人が150人もいた。
今年の千葉真子では高橋尚子さまの集客力の足元にも及ばないだろうけど、事前に予約しておけば、当日ギリギリに行っても大丈夫なので、取りあえず一応、事前に予約しておいた。
ジョギング教室は13時30分から始まるので、直前に競技場の入り口へ行くと参加者が待っていたが、大した人数ではない。高橋尚子さまのファンが群がって入口が大混雑していた前回とはえらい違いだ。
我々は事前予約していたが、当日受付でも余裕で大丈夫そうだった。
今日は朝から良い天気で、楽しいジョギング教室を期待していたのに、中に入って芝生の上で待っていると、なんと雨が少し降ってきた。空を見ると黒い雲が立ち込めている。嫌な感じだ。
ジョギング教室の内容は、毎回同じで、ストレッチの仕方や、自分の目標ペースのペースランナーと一緒に走るペース走や、質疑応答だ。
今日は雨が降り出して体が冷えてきたので、まずはいきなりウォーミングアップのためにトラックを走った。全員そろってゆっくりとトラックを3周した。
体が温まったところで、ペースランナーの紹介があった。
ペースランナーは今年も四国電力の陸上部OBを中心に構成されているが、これまで元締めをやっていた矢野選手の姿が見えない。彼は陸上部OBではなくペンギンズOBだが、いつもこのペースランナー部隊を掌握する元締めとして大活躍していたのだが。
丸亀マラソンのペースランナーは2009年に初めて導入されたもので、大会のプロデューサーを務める金さんから新城プロに人選の依頼があった。そのため我々にも声がかかり、2009年の第63回大会と2010年の第64回大会ではペースランナーを務めた。
しかし、その後はペースランナー体制を強化するために、我々のようなド素人ではなく、陸上部OBなどのプロに変えた。少し寂しい気もするが、ペースランナーを務めている限り、この高速レースに出場して好タイムを出すことができないので、どうせならペースランナーより選手として参加したい。
その後、再びジョギングでトラックを2周した。ジョギングが終わると、次は色んなストレッチのやり方の指導がある。基本的には走りやすくするための股関節や肩関節のストレッチが多い。
とは言え、今さらの内容であり、明日のレースにすぐに役立つような事ではない。そもそも、このようなレース直前のジョギング教室で何か参考になるような即効性のある技を期待してはいけない。
大半の参加者もそれくらい分かっていて、単に金さんや千葉真子と一緒に楽しく過ごすイベントと割り切っている。
ストレッチが終わったら、自分が目標とするタイムのペースランナーに着いてペース走を行う。
前回は2時間ちょうどのペースランナーと一緒に軽く走った。目標タイムより遅いゆったりしたペースでの僅か2kmのペース走なので、何の意味も無いが、前日に無理して疲れが残ったら困るので、ウォーミングアップ代わりと割り切った。
今年は目標タイムの1時間50分を念頭に置いて、ちょっと欲を出して1時間45分のペースランナーと一緒に走る事にした。ちょっと速いが僅か5周2kmだから大丈夫だろう。
ところが、着いていけるかなとちょっと心配しながら走り出したのに、妙に楽だ。体が軽い。平気で着いていける。すごく調子が良いのだろうか。
なーんて思って1周走ったところで時計を見ると、明らかにペースが遅いのだった。
(幹事長)「なんかペースが遅いんじゃない?」
(のら)「ちょっと遅いかな」
ちょっと戸惑ったが、2周目はペースが上がり、ちょうど1周2分だったから、1時間45分のペースだ。これなら良いぞ。なーんて思ったんだけど、3周目に入るとまたペースダウンしてしまった。
なんだか欲求不満でモヤモヤしてたところで後ろから1時間30分のペースランナーに着いて走る集団が追い抜いて行ったので、すかさずそっちに乗り換えた。私の他にも数人が我慢できなくなって同じように移っていった。
ところが1時間30分のペースはさすがに速く、なかなか着いていくのがしんどくなり、落ちこぼれてしまい、1時間30分の集団と1時間45分の集団の間で一人寂しく走る羽目になった。
(幹事長)「ちょっと無謀やった。ゼイゼイゼイ」
(のら)「レース前日に無理したらいかんよ」
その後、質疑応答なんかをやって解散となる。
すると、質疑応答の時は大人しくしていたのらちゃんが、いきなり小走りに駆け出して、忙しそうにしていた金さんをつかまえて質問をし始めた。忙しそうな金さんは戸惑い、焦っているように見えたが、さすがは金さん、丁寧に答えてあげている。やっぱり良い人だ。
私もそばに行くと、私の顔を見て思い出してくれたようで、金さんも挨拶してくれた。神戸マラソンでも会って挨拶していたので、すぐに分かったようだ。
(石材店)「私も前夜の懇親会で会ったら、覚えててくれましたよ」
(幹事長)「千葉ちゃんも居た?」
(石材店)「いましたよ。やっぱり千葉ちゃんはええ子ですねえ」
我々がペースメーカーをした2009年はゲストが高橋尚子さまで、2010年は千葉ちゃんがゲストだった。その時に彼女の真面目で素直な性格が良く分かり、我々はとても好感を持っている。
てな事で、今年も楽しいジョギング教室ではあったが、無理なハイペースで走ったため、お尻に筋肉痛が残るという失敗をしてしまった。情けない。
〜 会場へ出発 〜
天気予報ではレース当日は晴れになるって1週間も前から言っていた。
翌日の月曜日からは雨だと言ってたので、雨が早まると嫌だなと思ってたが、天気予報通り当日は朝から良い天気になった。
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。以前はどんな季節であろうと、雨は絶対に嫌だったが、2010年の小豆島オリーブマラソン大会で大雨の中を快走してからは、我々は雨そのものに対する抵抗感は払拭されている。大会が中止になるほどの雨でなければ気にしない。
ただし、それは気温が高いシーズンの話であり、今は一年で一番寒い時期なので、冷たい雨の中を走るのは嫌だ。
(支部長)「そんな事はない。どんな季節でも雨の方が良い」
(幹事長)「20年前の事を忘れたのか!?」
もう古い話になってしまったが、2000年の第4回大会は、冷たい雨の中、体中の筋肉がこわばってしまい、空前絶後の大惨敗を喫したのを今でもはっきりと覚えている。
(幹事長)「老化で認知症が進んで記憶力が衰弱しているのに、あの悲惨な戦いは鮮明に覚えているぞ」
(支部長)「認知症が進んでも古い話は覚えてるんやってば」
最近でも2018年は雨ではなく雪が舞う極寒のレースとなった。雨でも雪でも、とにかく寒いのは嫌だ。
その点、前回の2020年は天気も良かったし、風も弱くて快適なコンディションだった。
今年も前回と同様、天気は良さそうだし、風も弱そうだ。晴れても曇っても変わりは無いが、風が弱いのがとても嬉しい。
例年、この時期は西から強い風が吹いてきて、前半は追い風で良いんだけど、折り返してからの後半が強い向かい風となり、ただでさえペースが落ちる後半にますます厳しい戦いを強いられるからだ。
車は長谷さんが出してくれ、みんなで乗り合わせて行く。
丸亀競技場の駐車券をゲットできたため、当初予定より1時間遅らせ、D木谷さん、支部長、私、倉石さん、ピッグが順番に乗って7時半に高松を出発し、途中の坂出でゾウさんを乗せ、最終的に8時半頃に丸亀競技場に着いた。
レースのスタート時間は、エリートランナーが10時35分、一般ピープルB部門は10時50分、C部門は11時だ。当日の受付は、その1時間前の10時までだ。
なので、もっと遅く行っても問題は無いんだけど、何かトラブルでも発生したら遅れるので、余裕をもって早めに行ったものだ。
〜 会場到着 〜
会場に着いて他のメンバーが受付しているうちに、前日に受付を済ませているゾウさんと場所取りをする。
天気が悪い時は、雪が降っていた2018年や雨の可能性があった2019年のように屋根があるメインスタンドに陣取りしなければならない。メインスタンドの中でも、一番上の3階部分の、さらに一番高い壁際の場所だ。
以前、ヤイさんが見つけた穴場で、そこなら壁に遮られて風が来ないのだ。ほとんどの人は2階部分しか目に入らないので、3階まで来ている人はあんまりいない。
でも今年は天気が良いので、2020年と同じように、お日様が当たって気持ち良いバックスタンドの北の端っこの客席に陣取った。メインスタンドの方は日陰になって寒そうだが、ここは風も当たらないので、今日みたいに寒い日でもポカポカと暖かい。
しばらくしたら丸亀在住ののらちゃんもやってきて、全員集合となった。
さらに久しぶりにペンギン中村くんもやってきた。
(幹事長)「うわあ、久しぶり!今日は走るん?」
(ペンギン)「いえ、私は走りません」
(幹事長)「またインフルエンザ?」
ペンギン君は前回は風邪を引いてしまって走らなかったし、前々回もインフルエンザで走らなかった。
(ペンギン)「いえ、今年は最初から妻の応援に徹します」
言わずと知れたペンギン君の奥さんは、陸連推薦枠で東京マラソンに出場しているほどの高速ランナーで、2007年の庵治マラソンでは出産後わずか4ヵ月後のレースだったにもかかわらず上位入賞したという強者だ。
強者と言っても、見た目はとても華奢な小柄で可憐な女性で、一体どこにそんなパワーが秘められているのか不思議な方だ。
(幹事長)「足の長さでは私の方が1.5倍くらいあると思うんだけどなあ」
(支部長)「筋肉の質が違うんやろなあ」
場所が落ち着いたら、さっそく着替えなければならない。
何を着るかはマラソン大会において最も重要な要素だ。寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。
(幹事長)「今日は悩むなあ」
(支部長)「悩む余地なんか無いやろ?」
2018年のようなコンディションなら悩む余地は無かった。強烈な風雪の中を走るため、防寒に徹しなければならなかったからだ。迷うことなく、防寒用のぶ厚い長袖ランニングシャツを着て、その上に半袖Tシャツを着た。
2019年は防寒に徹しなければならないほど寒くはなかったが、雨の可能性があったため、雨が降って濡れてもベチョベチョしないように、登山用に愛用している吸湿性と速乾性に優れた長袖のインナーウェアを着て、その上に半袖Tシャツを着た。
前回の2020年は天気が良く風も弱かったため、悩んだあげく薄手の長袖シャツ1枚にした。
今年は前回よりさらに天気が良い。気温は低いが、風が無く、お日様に当たると暖かい。じっとしてるのに暖かく感じられるような時は走りだすと暑くなるに決まっている。しかも、この後、気温は上昇していきそうだ。
こうなると、長袖シャツの上に半袖Tシャツを重ね着すると暑くなるから、1枚でいいだろう。
て事で、持ってきた少し厚手の長袖シャツと薄手の長袖シャツと半袖Tシャツをベンチの上に並べて悩む。
(幹事長)「どれが良いかなあ?」
(支部長)「こんなに天気が良いんだから、暑くなるってば。半袖Tシャツ以外の選択はあり得ない」
半袖Tシャツの場合は腕が冷えるのを防ぐためにアームウォーマーを着けるから、実質的には薄手の長袖シャツと似たようなものだ。しかも、アームウォーマーは暑くなれば走りながらでも脱ぐ事ができるので便利だ。
神戸マラソンでも散々迷ったあげく、最終的に半袖Tシャツを着てアームウォーマーを着けて走ったら、快適だった。
て事で、今回も悩んだあげく、半袖Tシャツとアームウォーマーの組み合わせで走る事にした。
他のメンバーも、同じように半袖Tシャツとアームウォーマーが多い。違うのはピッグとのらちゃんだけだ。ピッグはアームウォーマーすら着けておらず、半袖Tシャツだけで、見るからに寒そうだ。
逆にのらちゃんは薄手の長袖シャツを着た上に半袖Tシャツを重ね着している。
(幹事長)「それ暑くない?」
(のら)「いつもこれだから慣れてるのよね」
のらちゃんは真夏のレースでも同じ格好をしてるから平気なんだろう。
もちろん冬なので、迷うことなく防寒用にランニングタイツを履いた。タイツは筋肉の疲労防止の効果もある。支部長やのらちゃんもタイツはいつも履いている。
ただ、今年もゾウさんはタイツを履いていない。2016年に圧倒的なタイムを叩き出して僕らを蹴散らした時、ゾウさんはタイツを履いてなかったのだ。それ以来、好タイムを狙う時はタイツを履かないことにしたらしい。
(ゾウ)「タイツは履かない方が走りやすいですよ」
タイツは履いてない方が走りやすいってのは私も同感であり、数年前までは寒くて仕方ない時以外は履いてなかった。タイツを履かなくても、筋肉疲労防止のためなら脹脛サポーターを履けばいいのだ。
今の時期は一年で一番寒い季節なので、これまで何も考えずにタイツを履いてきたが、今日はタイツは不要かもしれない。
他のメンバーを見ると、ゾウさんだけでなく、ピッグやウルトラ3兄弟はみんなタイツを履かずに脹脛サポーターを履いている。タイツを履いているのは私と支部長とのらちゃんの年寄りトリオだけだ。
(幹事長)「歳とると寒さが堪えるからのう」
(のら)「一緒にしないでよ!」
今日の天候を考えると、走りやすい脹脛サポーターの方が良いかなと思ったが、今日は脹脛サポーターを持ってきてなかった。前回はアームウォーマーを持ってきてなかったし、準備が不完全だった。
予想外のコンディションになった時は、いつも「次回は何があっても対応できるように色んな準備をしておかなければならない」と反省するんだけど、いつも何かしら忘れてしまう。
(幹事長)「雨が降ったら被ろうと思って穴の開いたビニール袋まで持ってきてるのになあ」
(支部長)「それこそ今日は絶対に要らんやろ!」
気温が低ければ手袋を二重に履こうかと思っていたけど、それも不要だ。
そのほか、嫌いなランニングキャップは被らない。顔を拭くハンドタオルとティッシュをポケットに入れれば準備完了だ。
準備が整ったら団旗を持って記念撮影だ。
絶好の天候でウキウキのメンバー
(左から長谷さん、支部長、D木谷さん、のらちゃん、ゾウさん、倉石さん、ピッグ、幹事長)
(のらちゃんは骨付き鳥奉行を被っている)
ふと見ると、のらちゃんがけったいな物を被っている。
(幹事長)「何被ってるん?」
(のら)「骨付き鳥奉行だよ」
(幹事長)「それは見たら分かるがな。何でそんなもん被ってるん?」
のらちゃんは知り合いの丸亀市観光協会の人に頼まれて、宣伝のために骨付き鳥奉行の被り物を被って走るんだそうだ。
(幹事長)「舐めとんか」
(のら)「だってお願いされたんだもーん」
いくらお願いされたからって、あまりにも不謹慎だ。頼んだ方は、たぶん、のらちゃんがお気楽に走るものと思って依頼したんだろうけど、このレースは我々は真剣に走らなければならない。
(幹事長)「そななもん被って真剣に走れるかーっ!」
(のら)「しくしくしく」
厳しく指導し、骨付き鳥奉行を被って走るのは止めさせた。
例年なら、会場に着いてから朝食を食べる事が多いが、今日は出発がゆっくりしていたので、既に家で食べてきた。
昨日のジョギング教室の質疑応答で「朝食はいつ食べたらいいのか?」という質問が出て、千葉ちゃんは「スタートの4時間くらい前かなあ」なんて答えていた。以前、私は「ゴールの5時間前」というのを聞いた事があり、それを守るようにしている。
ただ、ハーフマラソンかフルマラソンかで大きく異なるし、また何時間で走れるかによっても大きく左右される。フルマラソンを5時間かけて走る人なら、ゴールの5時間前なんてスタートのタイミングなので不可能だ。ま、要するに、適当に食べるしかないのだ。
また私の場合は、朝食を食べたらトイレで大が出るようになるので、自宅で早目に食べて家を出る前にトイレを済ませるのが理想だ。なので、今日も早めに食べた。
ただ、食べるタイミングが早すぎるとレースの途中でエネルギーが枯渇する可能性がある。なので、今日は持ってきたゼリーを食べる。のらちゃんも同じゼリーを食べる。ゾウさんも同じゼリーを食べる。
(支部長)「ど、ど、ど、どしたん?みんな同じゼリーを食べて!?」
(幹事長)「ふふふ、これが今日の秘密兵器や。勝負あったな」
スタンドからトラックを見下ろすと、招待選手たちがウォーミングアップで走っている。最初は軽く走っていたが、そのうちスピードが上がってきて、我々にとっては短距離走のようなスピードで走り出した。
(幹事長)「短距離走でも無理なスピードやなあ」
(のら)「宙を飛んでるよ」
彼らは最初から全力で飛ばすシリアスなランナーなのでウォーミングアップが不可欠だろうが、我々のような一般ピープルにはウォーミングアップは百害あって一利無しだ。
どうせ序盤は大混雑でまともに走れないので、その時がウォーミングアップだ。
〜 集合 〜
10時になって集合開始となった。
だがB部門は10時30分までに、C部門は10時40分までに集合すればいいし、集合は細かくブロック別に分かれるので、急ぐ必要は無いように思える。それなのに、前回は多くのランナーが一斉に走って集合場所に急いでいた。
自分のブロックの先頭に行ったところで、前には前のブロックの選手がいるんだから、焦って前に行ってもあまり意味は無い。急いで寒いグランドに降りていくより、ギリギリまで風の無い場所で待てばいい。
なーんて思ったので、前回はギリギリまでスタンドで待ってから集合しに行った。
ところが、それは失敗だった。少なくとも、私に取っては失敗だった。
前回、私はB部門ではあったが、その中では最後尾のFブロックだった。B部門の男子は遅くても1時間50分以内のタイムを持つ選手しかいないので、大半がEブロックより上にいた。
一方、女子はB部門とは言え2時間10分までの選手がいるので、遅い女子選手たちは全員がFブロックに入っていた。
なので、Eブロックまでは男子が多いが、Fブロックには遅い女子選手が大量にいたのだ。そうなると、Fブロックの後ろの方からスタートすると、周囲は遅い女子選手ばかりとなり、すごく邪魔になって走りにくかったのだ。
なので、Fブロックでは、できるだけ前の方に集合した方が走りやすいのだ。
今年は私はEブロックになったので、前回のように急ぐ必要は無いかもしれないが、何があるか分からないので用心して、集合時間が始まったらそそくさと集合する事にした。
行きがけに最後のトイレを済ます。トイレは大の方は激混みになって長蛇の列が出来ていたが、小の方は空いていた。
集合場所は、A部門だけは競技場の外だけど、B部門とC部門は同じグランド内で、ゼッケンに書かれたアルファベット順にAブロックから整列していく。B部門はAブロックからFブロックまで、C部門はGブロックからTブロックだ。
ピッグとウルトラ3兄弟はDブロック、私とのらちゃんはEブロック、ゾウさんはFブロック、支部長はHブロックになっていた。
Fブロックを見ると、やはり女子選手が多い。プログラムを見ると、男子はB部門が全体の20%くらいだけど、女子は少しだけ少なくてB部門は19%ほどだ。そういう意味では特に女子に甘い基準って訳でもない。
のらちゃんと一緒なので、待っていても退屈はしないんだけど、彼女は強敵だ。前回は、折り返し点まではほとんど一緒に走っていたが、後半に入ったところで彼女が疲労骨折を起こし、一気にペースダウンしたため逃げ切れた。骨折が無ければ勝負はどうなったか分からない。
(幹事長)「て言うか、骨折しながら走り続ける根性が凄い!」
(のら)「あの時は痛かったなあ」
ペースダウンはしたものの、自分の大会自己ベストは更新したんだから、大したもんだ。て言うか、不死身だ。
すぐ後ろのFブロックにゾウさんがいるってのも恐怖だ。彼女には2016年に目も当てられない惨敗を喫した記憶が生々しい。ただ、彼女は故障を抱えていて、今日も痛み止めを飲んでの出場だ。
ここで突然、ストレッチの時間となった。昨日のジョギング教室でも指導していたインストラクターが登壇し、それに合わせてストレッチする。昨日のジョギング教室ほど念入りなものでもないし、混雑しているので、あまり大きな動きはできないが、それでも少しは体が軽くなったような気がする。
その後、10時35分になると、招待選手を始めとするトップランナー達がスタートした。
昔はプロ級のランナーも我々一般ピープルと一緒にスタートしてたから、最初だけでも目立とうとしてトップランナーの中に混じって調和を乱す素人ランナーがいたけど、今はそういう事はできなくなった。
我々一般ピープルB部門は15分後の10時50分がスタートで、さらに10分後の11時にC部門がスタートする。
A部門がスタートしたので、それに続いて我々の移動が始まり、少しずつ進んでいく。
スタート時間が迫ってきたので、本日の目標を設定せねばならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、大会自己ベストの更新を狙うのが良い子の有るべき姿だ。しかも、この丸亀マラソンは坂の無い高速コースなので、良いタイムを狙いたいのが常だ。
ただ、今年も死守しなければならない最優先タイムは、自己ベストではなく1時間50分だ。何度も書いているように、1時間50分を切れば3年間はB部門からスタートできるのだ。もちろん大会自己ベストが出れば1時間50分もクリアしたことになるが、大会自己ベストが出なくても、最低でも1時間50分は死守したいのだ。
もともと丸亀マラソンのコースは、ほとんど坂が無い国際陸連公認の高速コースだし、気温が低い2月だから、良いタイムが期待できる。
それなのに、私はなぜか坂が非常に多くて厳しいコースの瀬戸内海タートルマラソンの方がタイムが良いことが多い。おそらくタートルマラソンは前半から坂が多くて厳しいコースなので、終盤の失速を恐れて序盤からペースを抑えめに走っているため、終盤に失速しない事も多く、結果的に良いタイムが出やすいのだろう。
一方、丸亀マラソンはほとんど坂が無い高速コースで良いタイムが期待できるため、ついつい調子に乗って序盤からガンガン飛ばしてしまい、結局、終盤に大撃沈して失速するというワンパターンを繰り返している。
割と良いタイムを出した時でも同じだ。中盤まで非常に良いペースを維持できてたんだけど、そのペースが実はオーバーペースで、終盤にガクンとペースダウンしてしまったが、トータルではかろうじて良いタイムになった、というものだ。タイムは悪くないが、理想的な展開とは言えない結果だ。
理想的な走り方と言うのは、序盤は抑えめに走って、後半にペースアップするという展開だ。後半にペースアップするのをネガティブ・スプリットと言うが、タートルマラソンやオリーブマラソンでも、好タイムを出した時は、たいていネガティブ・スプリットになっている。
オリーブマラソンなんて、前半はフラットで後半に坂が続くから、後半の方が遅くて当たり前なんだけど、好タイムを出した時は必ず後半の方がペースアップしている。
逆に、この丸亀マラソンのコースは終盤に失速するのが必至のコースだ。支部長は「最後の直線区間の直前にある17km地点の給水所の水には毒が入っているから直線区間に入ったら失速は避けられない」という毒入り説を信じて疑わない。
確かに、最後の給水所からゴールの丸亀競技場までの直線部分では、それまでどんなに快調に走っていても、必ず失速してしまう。
私は17km地点の給水所では、もう水分を取らないので、毒入り説には否定的だが、最後の直線コースは緩やかだけど上り坂になっているからペースダウンするのかもしれない。
昨日のジョギング教室でも、「このコースは序盤が緩い下り坂になっていることもあり、ついつい飛ばしてオーバーペースになり、終盤に足が止まってしまう。くれぐれも序盤にオーバーペースにならないように抑えて走ってください」としつこく言っていた。まさに、その通りなのだ。
しかし、なんと2019年は初めて終盤にペースを上げるという理想的な展開となった。おそらく、あわよくば好タイムを出そうなんて色気を捨てて、1時間50分切を絶対目標にして、前半を抑えて走ったからだと思う。
そのおかげで最初から無茶に飛ばして終盤に撃沈するという永遠のパターンを避けることができたのだと思う。
それで大満足だったんだけど、ただ、少しだけ後悔もあった。ギリギリで1時間50分は切ったものの、ゴールして、あまりにも余力が残っていたのだ。全力を使い果たした時は、ゴールするともう足が動かなくなるが、まだまだいくらでも走れそうな余力が残っていたのだ。
後から考える結果論で言えば、もうちょっと前半から突っ込んでいたら、もっと良いタイムが出たはずだ。前半をあんまり抑えて走ってしまうと、いくら後半でペースアップしても、トータルで良いタイムを出すのは難しいのだ。
て事で、前回の2020年は、序盤のペースをほんの少し上げてみた。2019年はB部門に入るために何がなんでも1時間50分を切らないといけないと思ったので、リスクを回避してセーブして走る作戦で良かったが、2020年は失敗しても、まだ翌々年まではB部門で走れるので、少し冒険してみたのだ。
そしたら、終盤は少しペースダウンしてしまったけど、大会自己ベストを更新する事ができた。ネガティブ・スプリットはできなかったので少し残念ではあったが、その一方で大会自己ベストを更新できたって事は、それくらいが理想のペースだったのかもしれない。
なので、今回も前回と同じようなペースで入ろうと思う。
ただ、前回との違いは、この3年間でものすごく遅くなってるって事実だ。この3年間はマラソン大会がほとんど無かったので、モチベーションがダダ下がりだったと言うのが大きな理由の1つだろう。
だが、それ以上に老化の進展によるスピードダウンが非常に大きいと思う。去年10月に3年ぶりに開催された脱藩マラソンや庵治マラソンは、どちらも久しぶりの本番だったので気合は入ったが、タイムは大惨敗だった。
なので、今回も目標は1時間50分ではあるが、現実的には容易ではないと分かっている。
(のら)「最初から諦めたらダメじゃん」
(幹事長)「決して諦めてはいないけど、あんまり無理すると良くないから」
とは言え、仮に大惨敗したところで、失うものは何もない。1時間50分をクリアできなければ、ギリギリでオーバーしようが大幅にオーバーしようが同じ事だ。
なので、とりあえず序盤は前回と同じくらいのペースで突っ込もう。具体的には1km5分5秒くらいで攻めてみよう。
ウルトラ三兄弟は、なんと100分切りを目標にすると言う。
(ウルトラ次男)「絶対無理とは思いますが、一応、目標として」
ここで、なんと尿意をもよおしてきた。集合する前にトイレに寄ってきたので、膀胱にオシッコが溜まっているとは思えない。明らかに精神的なものだろう。ことさら緊張している訳ではないのに、これは困った。
我慢できなくなったら走っている途中でトイレに行かなければならないが、お腹を壊してトイレにこもった神戸マラソンほどではないにしても、大きくタイムロスするのは間違いないので、避けたいところだ。
ゆっくり移動していくと、ようやく競技場の南側の国道に出た。ここからだとスタート地点の表示が見える。
気温は低めだが、相変わらず良い天気で、風もあまり無いから、寒くない。まさに絶好のコンディションと言える。
と思ったら、場内アナウンスで「今日は絶好のコンディションです。何の言い訳もできませんよ。今日、自己ベストを更新できなければ、もう自己ベストは出ませんよ!」なんて言ってる。
確かに、その通りだ。今日は惨敗しても、何の言い訳もできない。
スタート地点では千葉ちゃんがいて、大きな声で声援を送ってくれている。彼女の元気なキンキン声を聞いていると楽しくなってくる。
〜 スタート 〜
いよいよB部門のスタートの号砲が鳴り、スタート地点までダラダラと動き始める。
みんな一斉にスタートしていた時はスタート地点を越えるまで10分くらいかかったりしてたけど、今日はB部門では後ろの方の私でも1分ほどでスタートラインを越えた。
そしてスタートラインを越えたら、すぐに普通に走る事が可能となった。以前はスタート地点を越えてもしばらくは歩くようなスピードだったから、だいぶマシだ。
これまでは序盤がウォーミングアップ代わりだったが、もうウォーミングアップ無しで早々に普通に走れるようになった。
(支部長)「それは良い事なんか?」
(幹事長)「ウォーミングアップが必要かもしれんなあ」
「スタート直後は大混雑でまともに走れないので、その時がウォーミングアップであり、一般ピープルにはウォーミングアップは疲れるだけで百害あって一利無しだ」と言う小出監督の教えを忠実に守ってきた我々だが、最初から全力で走れるとなると、考え直す必要があるかもしれない。
しばらく走ると最初の1km地点の表示が見えてきた。時計を見ると5分ちょっとだ。前回とほぼ同じペースだ。前々回までは序盤の混雑のために5分半ほどかかっていた事を考えると、とても順調で気持ち良い。やはりB部門で走ると大混雑を回避できる。
混雑が無いと、単にタイムロスが無いだけではない。これまでは、序盤の混雑を抜けようとして、邪魔なランナーを追い抜いて行くのに労力を使った。右へ左へ他人をかき分けながら追い越して走るのは、体力と精神力を無駄遣いする割には大してペースアップできないので、できれば避けたい。
なので、今後もB部門でスタートしなければならない。
ふと前を見ると、のらちゃんの好敵手の敵対ネコさんが走っている。「敵対ネコ」というのは支部長が勝手に命名した名前だ。
彼女はかつて40歳近くになってもフルマラソンをサブ3.5で走っていた高速ランナーで、今でも様々なマラソン大会で女子年代別で優勝を重ねている。
それなのに、庵治マラソンで2回連続でのらちゃんが勝利して女子年代別で2連覇したため、のらちゃんを目の敵にしている(たぶん)ライバルだ。庵治マラソンの表彰式で険しい顔をしてのらちゃんを睨みつける鋭い視線が生々しく蘇ってくる。
彼女も昨日のジョギング教室に来ていたので、今日も参加するんだろうとは思っていたが、早々にこんな所で遭遇した。
挨拶しておかなければならないと思い、追い抜きざまに「〇〇さん、こんにちは!」って声を掛けて追い抜くと、彼女は落ち着き払って「ああ、こんにちは」って挨拶を返してきた。
(幹事長)「礼儀正しいやろ?」
(のら)「幹事長の事は知らないでしょ?」
(幹事長)「3年前のタートルマラソンでも追い抜きながら挨拶したよ」
丸亀城に向かって調子よく走ってはいるものの、最近の不調を考えると、あんまり飛ばし過ぎるのは良くないかもという不安もあるが、次の2km地点もほぼ同じペースだった。前回のペースとも同じくらいだ。
のらちゃんや敵対ネコさんとほぼ横一列で走っていたが、少しずつのらちゃんが前の方に離れていく。前回は彼女は前半は抑え気味で、常に僕の後ろを走っていたが、今日は積極的だ。
私は終盤に潰れるといけないので、無理して彼女に着いていくのは自重する。それに、まだ尿意を感じるので、なんとなく不安を感じる。
次の1kmも丸亀城に向かう直線区間で、走ってる感覚としてはまだまだ快調な気がしたが、3km地点で見たラップは、ほんの少しだけ遅くなっていた。前回と比べても少しだけ遅くなっている。
ただ、遅くなってると言っても、誤差の範囲程度だ。当初予定の1km5分5秒ペースは守れている。
以前は、最初の混雑を抜けた後は1km5分を切るペースで走っていたけど、今日はそんなに突っ込んで走ってたら終盤に撃沈する可能性が高いので、できるだけこのペースを維持して走り続けよう。
なーんて思いながら次の4km地点で時計を見て驚いた。なんと一気に10秒くらい遅くなっている。さすがに、これは誤差の範囲じゃなくて、明らかにペースダウンしている。
慌てて気合いを入れ直して走ったのに、次の5km地点でのラップはさらに5分20秒近くにまでペースダウンしていた。さすがに唖然とする。
これまでにも丸亀マラソンでは、途中で大きくペースダウンして大撃沈した事は数限りなくあるが、たいていは終盤に大きくペースダウンしてきた。まだ5kmしか走ってない前半早々にこんなにペースダウンするなんて記憶が無い。
のらちゃんの背中もだいぶ前の方に行ってしまった。
だが、それでも、最初の5kmの平均ペースから単純に計算すれば、まだ1時間50分は切れる。仮に最初の5kmのペースで最後まで走る事ができれば、目標は達成できる。
どんどんペースダウンしている現状を考えれば状況は良くないが、まだ可能性は残っている。
ただ、相変わらず天気は良くて、少し暑くなってきた。気温は低いんだけど、このコースは市街地を走るのでほとんど日陰が無く、今日のように日差しがある時はかなり暑くなる。
5km地点には最初の給水所がある。混雑しているし、まだレースは始まったばかりで喉は渇いていないので、給水はパスしたいところだ。
もともと私の場合、あんまり喉が渇かない体質なので、ハーフマラソンなら給水無しでも全然平気だ。しかも冬場はあんまり汗もかかない。おまけに今日は尿意を感じているので、あんまり水分は飲みたくない。
ただ、足の攣りを防止するためには水分の補給は欠かせない。そもそも「給水は喉が渇いてからでは遅く、早め早めに給水しろ」ってのが鉄則だ。
て事で、最近は全ての給水所で少しでもいいから水分を補給する事にしている。混雑しているので少しタイムをロスするのが痛いところだが、今日も少しだけ水を口に含む。
この辺りで早くもトップランナーが折り返してきたのとすれ違う。先頭は黒人2人が競り合い、さらに黒人1人が追っている。軽やかに飛ぶように走っていく。
余裕がある時なら、トップ選手を写すテレビ車のカメラに向かって手を振るところだが、今日は真剣に走っているので、そんな余裕は無かった。
お目当ての川内優輝はだいぶ後ろの方の集団で走ってきた。トップとはものすごく差が付いている。すれ違う時に「川内頑張れ!」って大声を掛けたが、なんとなくしんどそうだった。
(のら)「テレビカメラに手を振る余裕は無くても、声を掛ける余裕はあるのね」
(幹事長)「無駄な体力を使ってしまったわい」
水分補給した際のタイムロスがあったのかどうか分からないが、次の6km地点でのラップもさきほどとほぼ同じで、さらに次の7km地点や8km地点のラップもほとんど変わらない。目標達成には、かなり危機的な状況になってきた。
次の9km地点の手前には2つ目の給水所があるが、喉は全然渇いてないし、まだ尿意を感じているので、この給水所はパスする事にした。
やがて、コース最大の難所である田尾坂が現れる。難所と言ったって、北山林道駆け足大会や酸欠マラソンや脱藩マラソンや汗見川マラソンと言ったマニアックな山岳マラソンはもとより、タートルマラソンやオリーブマラソンや庵治マラソンに繰り返し出てくる坂に比べたら全然大した坂ではない。
(のら)「丸亀マラソンのほかは坂が厳しいマラソン大会ばっかりやね」
(幹事長)「四国は山が多いからなあ」
田尾坂なんて緩い緩い坂だ。それでも毎年、少しはペースダウンする。今日も9km地点のラップは5分半近くにまで落ちた。
これは仕方ないが、なんとか遅れを取り戻そうと頑張って坂が終わってペースアップしたつもりなんだけど、10km地点でも大してペースアップはできてなかった。前回は5分ちょっとにまでペースアップしていたから、それに比べたら今回は早くも力尽きかけているようだ。
ここまでの10kmの平均ペースから単純に計算したら、このままのペースで走ったら、遂に1時間50分はオーバーする状況になった。しかも、どんどんペースダウンしている現状を考えれば、目標を達成できる可能性は無くなったと言えよう。
もちろん、それで試合放棄するつもりはなく、目標を達成できなかったとしても、次回への希望をつなぐために少しでも良いタイムでゴールしようというモチベーションは残っている。
中間点を過ぎて少し進むと折り返し点がある。だいぶ前を走っているはずのウルトラ三兄弟やピッグは見つけられなかったが、折り返し点のすぐ手前で、折り返してきたのらちゃんは声を掛けてくれたので分かった。私との差は1分も無く、思ったほどは開いていない。彼女もかなりペースダウンしているようだ。
折り返し点を過ぎて後ろを確認しようとしたが、ゾウさんも支部長も見つける事ができなかった。いつの間にか既に追い抜かれている可能性もあるが、分からない。
折り返してから後続のランナー達を見ると、後から後からはるか遠く天竺まで続く地平線のかなたまで、夥しい数のランナーが走ってくる。
かつて制限時間が2時間5分だった頃は、僕らのような劣等生ランナーの後ろには、もうほとんどランナーはいなかったのだが、今は制限時間が3時間になっているため色んな人が参加するようになり、僕らのような低レベルのランナーが相対的に上位になってしまっている。
まるで自分たちが速くなったような気分になれて、大変気持ち良いのだが、参加者が激増したため、メンバーを探すのは困難になってしまった。
折り返した後半は西向きになり、正面からモロに西風を受けるようになる。風の抵抗はあるし、体が冷えて寒くなる。
そのため、風が強い時は風よけになってくれるランナーを見つけなければならない。でも、今年は風が弱いから風よけを探す必要は無い。むしろ、冷たい風が当たって暑く火照った体が冷やされて気持ち良いくらいだ。
と思ったんだけど、折り返して最初の11km地点のラップは再び5分半近くにまで落ちていた。マジでヤバいと思って頑張ったら、次の12km地点でのラップはほんの少しだけマシになった。
でも、もう絶対に目標達成は不可能だ。なので、ここは目標タイムを柔軟に切り替える。新たな目標タイムは1時間55分だ。落とし過ぎかもしれないけど、これなら達成できるだろう。
12km地点を過ぎると再びコース最大の難所の田尾坂が現れる。決して大した坂ではないけど、かなり疲れてきた足には大いに堪える。明らかに大きくペースダウンしている。
田尾坂を下り終わった辺りに3つ目の給水所がある。この辺りになると、ようやく尿意が治まったんだけど、給水は不要と思ってパスする。それでも13km地点では大きくペースダウンしていた。いくら坂があったとは言え、なんと5分40秒もかかっている。
そして、その先には今回初めて設けられた給食所が現れた。フルマラソンなら給食は一般的と言うか、42kmも走るのに給食が無いとエネルギーが枯渇してダウンしてしまうので、給食は必須だ。
でもハーフマラソンでは給食は不要だ。21kmくらい、事前に食べたエネルギーで走り切れる。なので丸亀マラソンでもこれまで給食なんて無かった。
ところが今回は給食所が2箇所できた。その1つ目の給食所が13km過ぎに設置されたのだ。給食所ではバナナなどのフルーツと共に甘いお菓子も提供されるらしい。甘いものが大好きな私としては大いに気になるところだ。
でも、ゆっくり走るフルマラソンならともかく、一生懸命走っているハーフマラソンで物を食べる事が可能だろうか?甘いお菓子なんか食べたらゲロゲロになるだろう。なので、とても気になるが、給食所はパスする。
せっかく給食所もパスして走っていると言うのに、次の14km地点も5分半をオーバーしていた。
さらに次の15km地点では、なんと6分近くかかっていた。この区間は坂も無いのに、毎年、なぜか大きくペースダウンする。それでも、こんな所で6分近くかかるなんて、ペースダウンのしかたがひどい。
もしかしたら神戸マラソンと同じように距離表示がいい加減なのかもしれない。
神戸マラソンでは同じようなペースを維持して走っているのに、急に1km30秒以上遅くなった区間があったかと思えば、次の区間では逆に1km30秒以上速くなったりする。
同じように走っているのに、隣接区間で1分以上もペースアップする事はあり得ないので、明らかに距離表示がいい加減なのだ。
丸亀マラソンのこの区間も、坂が無いのに、毎年、大きくペースダウンし、次の区間では大きくペースアップしている。案の定、今年も次の16km地点でのラップは少しペースアップしていた。
これで残り5kmだ。もう終盤だ。ここからが本当の勝負だ。たいていはこの辺りからペースダウンしてしまうが、前々回は逆にここからペースアップして1時間50分を切ることができた。
前回はペースアップはできなかったが、ペースダウンを最小限にとどめる事ができたので大会自己ベストを更新する事ができた。
今年は目標タイムはさきほど大きく下げたが、頑張らないとそれすら達成できないので気合を入れる。
16km地点を過ぎると最後の小さい坂である土器川の橋を渡る。これを越えれば、もう細かなアップダウンは無い。
てことで、気持ちをラストスパートモードに切り替える。もちろん5kmもスパートが持つはずはないが、気持ちの問題だ。
と思って頑張って坂を上っていると、なんと突然のらちゃんの後姿が見えた。なーんと、歩いているではないか!あかんがな。こんな所で歩いていたら2時間すらオーバーしてしまう。
これは危機的だと思って後ろから大声で叫ぶ。
(幹事長)「のらちゃん!頑張れ!」
いきなり後ろから大声を掛けられてのらちゃんはビックリだ。ビクッと飛び上がって後ろを振り向いて私を確認したら慌てて走り始めた。
さらに追い打ちで
(幹事長)「歩いたらいかん!絶対に歩いたらいかん!!」
って大声を掛けたら、一生懸命走っていく。一生懸命走ってはいくが、明らかにフォームが崩れまくっている。もうボロボロだ。普段ののらちゃんの実力からすれば、こんな所で力尽きるはずは無いんだけど、序盤に突っ込み過ぎたのが原因だろう。
橋を渡ると今度は下り坂になるので、ここで一気にペースアップして走ろうとするんだけど、足が疲れて動かない。せっかくの下り坂なのにスピードが上がらない。
坂を下ってしばらく走ると17km地点があるが、5分40秒もかかっている。疲れた頭で一生懸命計算すると、残り4kmちょっとを1km5分40秒ペースで走れば新たな目標タイムの1時間55分は切れる。もうそれだけが目標だ。
17km過ぎには最後の4つ目の給水所がある。支部長が毒が入っているという給水所だ。もちろん、こんな終盤になったら給水は必要ない。
ここには2つ目の給食所も設置されているが、もちろん、こんな所で物を食べる余裕は無い。
迷わずパスして走り抜けようとすると、のらちゃんが再び歩いて水を飲んでいる。
(幹事長)「歩いたらいかんがな!水を飲む時も走りながら飲んで!」
再びのらちゃんは走り出すが、本当にもうボロボロでヨタヨタ走っている。見ていて気の毒になる。
ところが、そのボロボロでヨタヨタののらちゃんが少しずつ離れていく。どう見ても超スローペースになっているのに、それに追いつけないなんて、一体どういうこと?
追いつけないどころか、少しずつ離れていくなんて、自分ながら呆れかえる。「歩くな」なんて喝を入れたのに、喝を入れたこっちがもっとボロボロだなんて格好付かないぞ。自分でも衝撃的だ。
ここからゴールの丸亀競技場までの直線部分は、たいていは失速してしまう区間だ。それも少しずつペースダウンするんじゃなくて、いきなりガクンと大失速する。それまでどんなに快調にペースを維持していても、この最後の直線部分でいきなり大幅にペースダウンするのだ。
確かに、この最後の部分は、なかなか自覚できない程度なんだけど、ゆる〜い上り坂になっているので、そのせいで失速しても仕方ないと諦めていた。
ゾウさんによると、このコースで最も標高が高いのは、途中にある田尾坂ではなくて、スタートとゴール地点の丸亀競技場なんだそうだ。なので、この最後の直線部分は意外に上り坂なのだ。
とは言っても、3kmで10m上るくらいの超緩い坂だ。斜度0.3%くらいだ。完全に誤差の範囲だ。
事実、前々回は終盤でペースアップできた。ほとんどの年で終盤にペースダウンするのは上り坂のせいではなく、単に力尽きるからだろうと思う。
て事で、根性で上り切ろうを思ったんだけど、足が動かなくなったようで、気持ちはくじけてないんだけど、18km地点でのラップは、なんと6分をオーバーしてしまった。
決してやる気を失っている訳ではない。のらちゃんの背中を追わなくてはならないし、甘めに設定した1時間55分の目標だってクリアしたい。
それなのに、どんどんペースダウンしていく。このままでは1時間55分ですらクリアできない。ヤバい。マジでヤバすぎる。
後はもう残り3kmだ。なんとか気持ちをラストスパートモードにしようとする。でも、一生懸命走ったつもりなんだけど、19km地点でのラップは、やはり6分を超えている。
1時間55分の甘い目標をクリアするには序盤くらいのペースに戻さなければ不可能になってきた。つまり、もう不可能だ。
周りを見ても、他のランナーにどんどん追い抜かれていく。
足元を見ながら自分では必死のつもりで走っていると、突然、後ろから追い抜いていくランナーが声を掛けてくれた。
(ランナー)「頑張ってくださいね」
顔を見ると、爽やかな表情の若い男性だ。顔に見覚えはないから知らない人だ。私がよっぽど苦しそうに下を向いてトボトボと走っていたから、思わず声を掛けてくれたんだろう。
この声かけでハッとした。必死で走っているつもりだったが、下を向いてトボトボ走っているだけで、全然スピードは上がってなかった。
声を掛けられて目が覚めた。姿勢を正して真っすぐ前を向いて走り出した。そしたらスピードが上がり、声をかけてくれた男性を抜き去って気持ちよく走り出せた。
やはりマラソンは極めてメンタルなスポーツだ。2019年の徳島マラソンでは、目標を失ってやる気が無くなって歩くようなペースになり始めた40km地点でゾウさんが追いついてきたから、気合を入れなおして最後まで一緒に走った。
さっき力尽きてトボトボ歩いていたのらちゃんだって、僕が声を掛けたら蘇って見えなくなってしまった。今度が私が同じように蘇った。
なーんて調子に乗って20km地点で見たラップは、なんとさらにペースダウンして6分を大きくオーバーして本日最悪のペースになっている。本日最悪どころか史上最悪ペースだ。全然蘇ってないじゃん!
しかし、もう、いよいよ最後の1kmだ。コースは道路から競技場の敷地に入っていく。
ここまで来るとゴール間近になるため、否が応でも気分は高まり、例年ならどんなに疲れていても短距離走のつもりで必死で走る。どんなに疲れている時でも、最後の1kmは序盤と同じようなペースで走る。それは私だけでなく、大半のランナーは最後は一気にペースが上がる。
それなのに、ああ、それなのに、今年は全然ペースが上がらない。足が全然前に出ないのだ。一体どうした事だろう。
〜 ゴール 〜
競技場の中に入ってもスピードは上がらなかったが、最後の直線区間になったところで、ゴールの向こうでカメラマンがカメラを構えているのが見えたので、最後はちゃんと写りたいという気持ちで隣を走っていたランナーを追い抜いて、あたかも先頭で走っているかのようなポーズでゴールに駆け込んだ。
結局、タイムは甘く設定しなおした1時間55分すら切れない大惨敗だった。終盤に一気にペースダウンして惨敗する事を我々は撃沈と呼んでいるが、まさに大撃沈だ。
昔は大抵の場合は序盤に何も考えずにバカみたいに突っ込んで撃沈していたが、最近は遅ればせながらようやく大人になったため序盤に突っ込むのは止めて控えめに走っていることから、あまり大撃沈する事はなくなった。小撃沈はしょっちゅうだが、大撃沈は減ってきた。
しかし、今日は久しぶりの大々撃沈だ。序盤は大会自己ベストを更新した前回と同じようなペースで入ったのに、終盤でアホみたいにペースダウンするなんて、典型的な大撃沈パターンだ。
ゴールすると、直前でゴールしたのらちゃんがいた。
彼女も大撃沈だ。序盤は前回を上回るハイペースで入り、終盤はトボトボ歩いたりしたくらいだから、私以上の大撃沈だ。目の覚めるような典型的な大々撃沈だ。
(幹事長)「大会自己ベストくらいは更新できた?」
(のら)「あーん、あと12秒で更新できなかった」
前半が終わった辺りで疲労骨折して後半は痛みに耐えながら走った前回より遅かったのだから、紛れもなく、押しも押されぬ大撃沈だ。
(幹事長)「あんな所で歩かなければ、それくらい縮められたのに」
(のら)「だって、もう走れなくなったんだもーん」
もちろん、それは嘘だ。大嘘だ。私が喝を入れたら再び走り出しただけでなく、私をどんどん引き離していったんだから余力はあったはずだ。単に気持ちが切れていただけだ。
二人とも疲れ果てて地べたに座りこみ、しばらく惚けていた。唯一の救いは、今回も敵対ネコさんには勝っていたという事だ。敵対ネコさん、大丈夫かいな。
しばらく休んで、ようやく歩けるようになったのでスタンドに戻ると、既にみんな帰ってきていた。
なんとウルトラ三兄弟は揃って目標の100分を切っていた。今日はコンディションが良かったからか、目を見張るような好記録を叩き出したのだ。
(幹事長)「ウルトラ三兄弟の急成長には目を剥くなあ」
(支部長)「我々と二極化が進むなあ」
ピッグはかろうじて1時間50分を切ってB部門の権利を3年間延長したものの、ゾウさんや支部長は私たちと似たようなタイムで、はっきり言って惨敗だった。
(支部長)「今日は暑かったよ」
(幹事長)「支部長は暑さが苦手やからなあ。フラフラになったんと違う?」
(支部長)「いやいや、暑かったけど今日は一歩も歩かなかったよ」
(のら)「え!?私ですら歩いたのに!」
支部長が暑さと戦いながら一歩も歩かなかったのは珍しい。
優勝は男女ともに予想通り黒人選手で、二人とも大会記録を出したため二人とも300万円もの賞金を獲得した。
一方、日本選手トップはあと7秒というところで惜しくも日本新記録を出せず、500万円の賞金を逃した。
(幹事長)「500万円が目の前にぶら下がっていたら、わしやったらゲロ吐きながらでも7秒くらい縮められるぞ!」
(のら)「ほんと、ほんと。500万円が目の前にチラついていたら骨折しても頑張るよ!」
(ピッグ)「それはあなた達が全力を出し切れてなくて余力が残ってるからですよ」
市民ランナー達は、いつまで経っても次から次へとゴールしてくる。3時間の制限時間が近づいてきても、まだまだ後から後からゴールしてくる。
トボトボ歩いている人も多いが、意外にしっかりした足取りでゴールする人も多い。
(幹事長)「あれだけしっかりした足取りで走れるんやったら、もっと早くゴールできるんと違う?」
(支部長)「さっきまで歩いてたけど最後だけ走ってゴールするパターンやな」
(幹事長)「それって17kmも歩いて最後だけ走ってゴールした支部長の神戸マラソンのパターンやな」
〜 反省会 〜
レースが終わり、駐車場に戻る。恐れていたような渋滞はなく、うまく競技場から外に出られた。
ところが、国道11号線に出て走り出すと、ものすごく渋滞している。普段の日曜日でも渋滞する所だが、今日の渋滞ぶりは尋常ではない。遅々としてなかなか進まないし、普段なら渋滞が無くなるエリアに入っても、どこまで行っても渋滞が続く。
もう最後尾のランナーもゴールしたはずだから、交通規制は解除されていると思うんだけど、激しい渋滞が続く。
(幹事長)「なんでこんなに渋滞するんや!ほんとに迷惑やな!」
(ピッグ)「自分たちが出たマラソン大会の交通規制のせいですよね」
もう交通規制は解除されているはずだが、影響はまだまだ残っているようだ。
いつものようにうどん屋での反省会に繰り出さないといけないのに、こんなに渋滞が続いてたらうどん屋に行けなくなる。たいていのうどん屋は午後2時過ぎには閉店になってしまうからだ。
それで今回は特別に府中の豚太郎へラーメンを食べに行った。
(ピッグ)「特別ってどういう意味ですか?」
(幹事長)「マラソン走って疲れた後にはお腹に優しいうどんが適しているが、今回は特別に刺激の強いラーメンを許可しよう」
久しぶりの豚太郎の塩ラーメンは美味しかった。
お腹が満たされたら反省をしなくてはならない。
(支部長)「もう私らは1時間50分を切るのは無理かなあ」
(幹事長)「3年間で老化が進んだからなあ」
レース前に月間走行距離300kmを続けていた3年前に比べたら練習量は激減しているが、練習量を増やそうとすると疲れが抜けきれず、かえってタイムが落ちてしまう。この悪循環を断ち切らない限り、衰える一方だ。
(D木谷)「練習量だけじゃなく練習の質を高めた方が良いかもしれませんね」
(幹事長)「痛たたた」
(ピッグ)「どうしたんですか?」
(幹事長)「耳が痛い」
以前からD木谷さんに指摘されているように、ただむやみに練習距離をかせぐだけじゃなく、スピード練習をやらないといけないのだろう。
一応は、個人練習でも速く走ろうとはしてるんだけど、明らかに甘いとは思う。精神力が弱いから、練習では本番のようなペースでは走れないのよね。
その点、のらちゃんやゾウさんのような女子部員は練習でも本番と同じようなハイペースで走っている。なんとか見習わなければいけない。
ただ、大撃沈でタイムはひどかったが、3年ぶりの本大会は、やっぱり楽しかった。去年10月の脱藩マラソンや庵治マラソンも3年ぶりの本大会ではあったが、ああいう草レースと違い、丸亀マラソンのような本格的なレースは楽しさの次元が違う。
去年11月の神戸マラソンも楽しかったが、フルマラソンだったので最初から抑えて走った。今日は、序盤を突っ込み過ぎたのが敗因ではあるけれど、序盤をハイペースで突っ走るのはとても気持ち良かった。
(幹事長)「毎週、開催してくれたら楽しいのにな」
(D木谷)「来週は坂出天狗マラソンがありますよ」
(幹事長)「忘れてた!」
僅か1週間後に坂出天狗マラソンが開催される。昔からゾウさんが参加しながら運営のお手伝いもしているというレースだが、これまでは丸亀マラソンの翌週と言うことで無視してきたレースだ。
それなのに、コロナ騒ぎで長らくマラソン大会が中止になっていた反動で、今年はついフラフラとみんなでエントリーしてしまったのだ。
(幹事長)「なんとなく後悔」
(D木谷)「もう後には引けませんぜ、旦那」
距離は15kmなので、今日、大撃沈した手前で終了する距離だ。
(幹事長)「て事は、大撃沈する前にゴールできるかな」
(支部長)「距離が短いから、序盤はもっと飛ばすと思うよ」
(幹事長)「じゃあ大撃沈するタイミングも早まるかな」
12kmの庵治マラソンでは、さすがに終盤に大撃沈するって事は無い。15kmは微妙な距離だ。
ま、でも、初参加だから楽しみではあるぞ。頑張ろう!
〜おしまい〜
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