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北山林道駆け足大会2024
第23回 北山林道駆け足大会
2024年6月9日(日)、高知県津野町において第23回北山林道駆け足大会が開催された。
津野町と言われてもピンとこないが、旧葉山村だ。
この北山林道駆け足大会は2016年に高知のおんちゃんから誘われて初めて参加し、それ以来、2019年まで4年連続で出場していた大会だ。
おんちゃんに教えてもらうまで聞いたこともなかった超マイナーなレースだが、本当にめちゃ楽しいレースなので、もう出ない訳にはいかない。
名前からして「北山林道駆け足大会」だなんて聞いただけでもそそられる。「林道」で「駆け足大会」とくれば、もう、怪しさ爆発だ。
しかも定員500人てことは、完全なる草レースだ。ランネットでエントリーできないのはもちろん、ネットで調べても、情報はほとんど出てこないような超マイナーな草レースだ。
怪しいマラソン大会には目がない我々としては、見過ごすわけにはいかないレースと言える。
〜 山の中を駆け巡る超激坂コース 〜
この大会に最初に誘ってくれた高知のおんちゃんは実力者で、四万十ウルトラマラソンの100kmの部にも出ており、どちらかと言えば、坂のある厳しいコースが好きなM系ランナーだ。
そういうハードコア系ランナーから誘われたレースなので、最初は恐る恐るの参加だったが、誘ってくれて本当に良かったと思える楽しいレースだ。
何が楽しいかと言えば、コースが超面白いのだ。このレースは名前も怪しいが、そのコースはトンでもないものだ。
距離は12.8km(今回は12.4km)しかないから、マラソン大会としては短いと言える。しかし、最初3kmほど平坦な道を走って林道に入ると、いきなり極端な急登となる。
パンフレットの図面には、上り勾配は10%と書いてあり、それだけでも厳しいが、これは平均の勾配であり、当然ながらもっと急な部分もある。実際のところ、何度あるのかは分からないが、とても厳しい坂だ。
急登が終われば山の中腹の道を走るが、そこも決して平坦ではなく、かなりアップダウンがある。
そして中腹の道が終われば下りになる。下り勾配は19%なんて書いてあり、これだけでもトンでもなく急な下りだが、もちろんこれも平均の勾配であり、当然ながらもっと急な部分がある。
まさに転がり落ちるように走って下るようになる。
激坂の下りが終われば最後は少しだけ平坦な道が残っているが、基本的には急な坂道を上がったり下ったりするのがメインのマニアックなコースだ。
道は全て舗装されているからトレイルランとは異なるが、アップダウンで言えば、まるでトレイルランのようなコースであり、普通のマラソン大会ではない。
こう書くと、とても厳しいレースで、楽しめるようなレースではないと思うかもしれないが、これが実に楽しい。2016年に初めて参加した時は、恐る恐るの出場だったが、予想をはるかに上回る楽しいレースだった。
上り坂はあまりに激し過ぎるから、つらいと言うより笑ってしまい、むしろ楽しく感じられる。
それに、厳しいと言っても、所詮、激しい上り坂の区間は3kmほどしかなくて、それが分かっているからペース配分なんか考える必要が無く、とにかくがむしゃらに子供みたいに走ればいい。
終盤は下り坂が続いて、思いっきり駆け下りるのも楽しい。
コース全体でも距離は13km足らずだから、ペース配分なんて考える必要がなく、最初から最後まで全力で走ればいいので、本当に楽しい。
こんなに面白くて楽しいレースは久しぶりだった。あまりに楽しいから、ゴールする時は顔がニコニコしてしまった。
当時は上り坂が苦手だった支部長でさえ、上り坂の急勾配区間では歩いたものの、下り坂は他のランナーをごぼう抜きして、嬉しそうにゴールした。
我々はもともと山岳マラソンには慣れている。2005年に高松市に合併吸収されるまで塩江町で毎年開催されてい た塩江マラソンは距離はハーフマラソンで、最大標高差350m、累積の獲得標高550mの山岳マラソンだった。
今はなき四国カルストマラソンもハーフマラソンで、標高1000mを超える高原を走る山岳マラソンだった。
マラソンブームが沸き起こる前は、交通規制の難しさからマラソン大会なんて平地ではなかなか開催できなかったから、山間部での開催が多かったのだ。
それに比べれば北山林道駆け足大会は最大標高差は300m程度なので未知の世界ではない。
それに、塩江マラソンは急勾配の坂を下りてからも延々とフラットなコースが続いて足が棒のようになって撃沈するのが常だったが、北山林道駆け足大会は距離が短く、急勾配の坂を下り終えて少し走るとゴールとなるので、走りやすく楽しい気持ちのままゴールすることができる。
また最近は、四国のてっぺん酸欠マラソンだとか龍馬脱藩マラソンのように、もっと長く激坂が続くレースにも出ているので、この北山林道駆け足大会は苦しさではなくて楽しさしか感じないイベントとなっている。
激坂だけでなく、コースレイアウト自体も魅力的だ。マラソン大会のコースと言えば、折り返し点で折り返して往復するコースが一般的だが、この大会のコースは山の中をグルッと回って一周するという周回コースだ。
山の中をグルッと一周するってのが探検的で面白いし、山の上は見晴らしが良いし、なんとなく遠足しているような気分になれる。
さらに、この大会はレース後の「お楽しみ抽選会」が楽しい。
このお楽しみ抽選会は、大会主催者の葉山ランニングクラブの中山さんが村内きっての有力者で、町内のあらゆる商店から寄付をかき集めてくるため、景品がめちゃめちゃ多くて多彩だ。
ランニングシューズから始まり、扇風機やピクニックチェアなど、普通の抽選会では出てこないような大きな景品が色々と出てくる。釣りたての鮎なんかもいっぱい出てくる。
そして景品の数が多いから当選確率が異常に高い。
おんちゃんから聞いて楽しみにしてたんだけど、2016年に初参加したときは参加メンバー5人中4人が当選するという高確率だった。景品も、私とピッグはミカンだったが、ヤイさんと小松原選手はビール24本入りケースという豪華景品だった。
続いて2017年も3人中2人が当選し、2018年は参加した3人とも何も当たらなかったが、2019年は4人中2人が当選したから、やはりかなり高い確率で当たるのは間違いない。
コロナのバカ騒ぎで3年間大会が中止になった後、4年ぶりに開催された2023年は抽選会が無かったが、今年は抽選会が復活するらしいので、とても楽しみだ。
〜 6月の貴重なレース 〜
このように、とても楽しいマラソン大会だが、それに加えて、開催時期も貴重だ。
一般的にマラソン大会は秋から冬、せいぜい初春までに開催される。気温が低い季節の方が走りやすいからだ。
そのため、一般的には6月から9月にかけてはマラソン大会の閑散期になり、出場できるレースが少なくて困ってしまう。なので6月に開催される北山林道駆け足大会は、とても貴重な大会だ。
開催されるのは旧葉山村で、高知県の山間部と言える。しかし、いくら山の中と言っても、暑い時は暑い。四国の山の中は暑いのだ。
でも、暑いとは分かっているが、6月に開催される貴重なレースだし、コースもとっても面白そうなので、おんちゃんからお誘いがあった時は即答で飛びついた。
ところが、いざ申し込もうとして困った。いくら探しても申込先が全然分からないのだ。超マイナーな草レースだからネットで申し込めないのは当然だろうけど、津野町のホームページにも情報が無い。
いったいどういうことだろうと思っておんちゃんに問い合わせてみると、「葉山ランニングクラブの中山さんか津野町教育委員会に電話してみて」との返事だった。
葉山ランニングクラブがどういう団体なのか分からないが、電話しようとしても高知の山奥だからか電波が通じない。
それで津野町教育委員会に電話したら優しそうなお姉さんが出てくれて、すぐに話が通じて申込書を送ってもらった。
ネットでエントリーできないってのは、今どき不便だが、逆に、それだからこそ我々にとっては参加しやすい大会だ。
参加者が少なくて大会の存続すら危ぶんでいた汗見川マラソンは、ランネットでエントリーできるようになったら、あっというまに人気の大会となってしまい、エントリーするのが至難の業になっている。
定員1000人の汗見川マラソンですらそうなのだから、定員僅か500人の北山林道駆け足大会がネットで申し込めるようになったら、1分くらいで定員いっぱいになるだろう。そうなると、なかなか簡単にはエントリーできなくなってしまう。
現状のように、ネットでは情報すらほとんど得ることができないマイナーな状態だからこそ、知ってる人だけが参加できる居心地の良い大会になっているのだ。
なぜいつまで経ってもネットでエントリーできないマイナーな状態が続いているのかと言うと、なんとこの大会は実質的に個人がやっているのだ。
名目としては主催者は葉山ランニングクラブとなっているが、どう見ても、この葉山ランニングクラブは会長の中山さんが一人で切り盛りしているような気がする。津野町の教育委員会も全面的に手伝っているものの、基本的に行政は主体ではない。
行政が主体でない民間のマラソン大会なんて存在は極めて珍しい。そして、それが今年で23回も続いているなんて驚きだ。
運営は完全にボランティアだろうと思うけど、小さい村でこんなに大勢のボランティアを動員できるって、すごい。本当に地域に根付いたイベントになっている。
また、行政と一線を画しているとは言え、小学校の体育館を会場に使っているし、小さな山村のことなので、住民が一体となって開催しているのだろう。
すべては中山さんの力だろうと思うけど、中山さん自身はランニングできるような体型ではない。昔はやっていたのかも知れないが。
て事で、2020年もとてもとても楽しみにしていた。
それなのに、ああ、それなのに、なんと2020年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった。
マラソン大会の中止騒動は全国的なもので、日本中のあらゆるマラソン大会が次々と中止になっていった。
このマラソン大会中止騒ぎってのは、独善的な医療関係者と破廉恥なマスコミによって引き起こされたあまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。
このようなヒステリックな動きに対抗するため、我々はマラソン大会を自主開催して対抗し、この北山林道駆け足大会も2020年の第22回大会から始まって2021年の第23回大会、2022年の第24回大会と3年連続で自主開催を続けた。
そして2023年になって、ようやくコロナのバカ騒ぎが収束し、北山林道駆け足大会も4年ぶりに復活となった。
それに引き続き、今年も無事に開催される事になった。まことに喜ばしい限りだ。
参加案内は私と支部長には送られてきたが、他のメンバーには送られてこなかった。いつも私がみんなの分も代行してまとめてエントリーしていたからだ。
なので、今年も支部長以外のメンバーについては、私がまとめてエントリーした。
今年の参加者は私のほか支部長、D木谷さん、のらちゃん、ピッグ、O野選手だ。
私と支部長とピッグは2016年から2019年まで4年連続で出場しているし、2023年も出場したので、コロナのバカ騒ぎで中断していた期間を除いて6年連続の出場になる。
一方、D木谷さんは3年連続で自主開催に参加し続けていたのでベテランのような気がするが、実は正式な大会に出たのは2023年が初めてなので、今年が2回目だ。
のらちゃんも2年連続で自主開催には参加していたが、正式な大会は2023年が初参加だったので、今年が2回目だ。
O野選手は、そもそも初めてマラソン大会に出たのが2023年の北山林道駆け足大会なので、やはり今年が2回目だ。
〜 ルールの変更 〜
送られてきた案内によると、今年は昨年からいくつかの変更点があるとの事だ。
1.開催日:昨年は第1日曜日に開催したが、今年から以前の第2日曜日に戻す。
2.会場:昨年は葉山運動公園総合センター体育館で行ったが、今年から以前の葉山小学校体育館に戻す。
3.コース:以前はスタート地点が三島様前でゴール地点が葉山小学校横で距離は12.8kmだったが、昨年はゴール地点が三島様の手前になったため距離が12.2kmだった。
今年はスタート地点もゴール地点も葉山小学校横になったため、距離は12.4kmになった。
4.開会式:昨年は無かったが、体育館内で行う。
5.閉会式:昨年は無かったが、体育館内で行う。
6.お楽しみ抽選会:昨年は無かったが、以前のように閉会式の後、体育館内で行う。
7.昼食:昨年は無かったが、以前のようにちらし寿司とソーメンがあり、体育館内で食事できる。
8.参加費:4000円から5000円に値上げする。
要するに、2023年はまだコロナのバカ騒ぎの余波が残っていて「コロナ対策」という理由で変則的な形態になっていたが、今年はほとんど全てを以前の形態に戻すって事だ。
ただ、コースの変更だけはコロナのバカ騒ぎとは関係ない。これまでスタートとゴールが異なっていたこと自体が不自然だったので、スタートもゴールも会場の葉山小学校の横になったのは自然だ。
そして、何と言ってもお楽しみ抽選会が復活したのが嬉しい。
北山林道駆け足大会の楽しみの半分はお楽しみ抽選会であり、みんなものすごく盛り上がっていたので、それが復活するのは本当に嬉しい。
また、昼食が復活したのも、とても嬉しい。昼食は地元のおばちゃん達が作ってくれてたんだけど、去年はコロナのバカ騒ぎで中止になっていた。
お楽しみ抽選会は昼食の後にあるので、お楽しみ抽選会と昼食はセットだ。なので、両方とも復活したのだろう。
この大会は葉山ランニングクラブの中山さんがボランティアと一緒に一生懸命手作りで開催している大会なので、開催してくれるだけで感謝しなければならないのだが、去年はお楽しみ抽選会や昼食が無くて寂しかった。
今年は以前とすっかり同じ形に戻ったので、本当に喜ばしい限りだ。
参加費が上がったのは少し痛いが、それでも5000円だ。
コロナ対策を言い訳に、最近はあらゆるマラソン大会が驚くほど値上がりしており、今年3月の琵琶湖マラソンは近江牛が品切れになっていたくせに手数料込みで1万6千円も取られた。
(D木谷)「近江牛が無かった事をしつこく根に持ってるんですね」
(幹事長)「死ぬまで絶対に許さないぞ!」
また、富士五湖ウルトラマラソンなんて62kmの部でも手数料込みで20000円近くも取られた。
(幹事長)「でも、あれは楽しい大会だったから許してあげる」
それらに比べたら、お楽しみ抽選会で景品がいっぱい当たる北山林道駆け足大会が5000円になったくらいでは、文句を言ってはいけない。
〜 津野町へ出発 〜
今年もピッグが車を出してくれて、D木谷さん、支部長、O野選手を乗せて、我が家に5時20分に迎えに来てくれた。
こんな早朝に出るとなると、4時過ぎには起きないといけないが、高齢化してきたので、それくらいの早起きは許容範囲だ。
その後、のらちゃんを拾って6時頃に出発した。
葉山村は高知の山の中とは言え、須崎市までは高速道路で行けるので、2時間ほどで着くから、6時に出れば8時頃には着いてしまう。スタートは10時だから随分、早い到着になる。
しかし、遠方のレースの場合は、途中で何かトラブルでもあると遅刻するので、早めに出なければならない。
2018年は途中まで順調に進んでいたが、途中で交通事故のため高速道路が通行止めになっていて、一般道路を迂回させられたため、予定より1時間ほど遅れてしまった。
そういう事があるので、遠方へ遠征する時は用心して早めに出る事にしている。
1週間前から天気予報では今週末は全国的に雨模様との事だった。そろそろ梅雨入りするのだろうか。
以前なら、1週間も先の天気予報なんて絶対に外れると思っていたが、最近は1週間も先の天気予報が信じられないほど良く当たる。
なんで1週間も先の天気予報が当たるのか、一体どういう仕組みになっているのか理解できないが、本当に良く当たる。たぶん中国人民解放軍がヨウ化銀を空中散布して気象操作をしているのだろう。
これが日本一雨が少ない香川県なら、天気予報で雨だと言っても、実際に降る事は少ないし、降っても小雨程度だ。讃岐弁では「雨模様」ってのは「雨が降りそうに見えるかもしれないけど、結局は全然降らないのよね」って言う意味だ。
しかし、日本一雨が多い高知県の場合は違う。高知の天気予報で「雨模様」になってると、雨が降るのは間違いない。
土佐弁で「雨模様」ってのは「いきなり土砂降りになるから流されないように気をつけてね」と言う意味になり、雨が降るかどうかではなく、雨量の程度の問題になる。
去年は、年初から私が出たマラソン大会はことごとく良い天気に恵まれていた。間違いなく私の人徳のおかげだった。
ところが今年は、打って変わって年初から満濃公園リレーマラソンと言い丸亀マラソンと言い坂出天狗マラソンと言い善通寺五岳山空海トレイルと言い、晴天とはほど遠い天気が続いてきた。
いずれも雨の直後とか雨の直前と言った具合で、かろうじて雨の直撃は避けられてきたが、気持の良い快晴の下でのマラソン大会とはならなかった。
それに続く琵琶湖マラソンは時折雪が降る極寒のレースとなったし、四万十川桜マラソンはモロに大雨に直撃された。
さらに富士五湖ウルトラマラソンやオリーブマラソンでは、かろうじて雨が降り出す直前にゴールできたが、ゴールしたとたん雨が降り出した。
天気が良かったのは2週間前の秋吉台カルストトレイルランだけだ。
そして、今日は間違いなく大雨に直撃されるっていう予報だ。
(幹事長)「ここまで悪い天気が続くと超常現象としか言いようがない。誰か私に恨みがあって藁人形でも打ってるんか?」
(支部長)「実は私が密かに雨ごい踊りをしてたんよ。今の時期は雨の方が良いからな」
そもそも、このレースは開催時期が梅雨どきであり、開催場所が雨の多い高知なので、初参加の時から3年連続で雨が降っていた。
2016年は、かなり激しい雨が降っていて、屋外に出るのが躊躇われるくらいの雨だったし、2017年もかなりの雨が降っていたし、2018年も小雨が降っていた。
2019年は初めて雨が降らなかったし、2023年は珍しく炎天下のレースとなったが、基本的にはこの時期に高知で開催されるマラソン大会は雨の中のレースになる事を覚悟しなければならない。
もちろん、雨が絶対的に嫌だと思っている訳ではない。て言うか、雨が嫌なのはせいぜい3月までで、5月ともなれば晴れると炎天下のレースになる可能性が高まるので、必ずしも雨は悪くない。
北山林道駆け足大会は毎年6月上旬に開催されるので、天気が良いと炎天下のレースとなる。
初参加の2016年は激しい雨が降っていたが、主催者の中山さんが「雨が降って絶好のマラソン日和になりました」って言っていた。
この時季は雨でも降らないとマラソンには暑すぎて、討ち死に間違いなしになるので、雨の方が大歓迎なのだ。
天気予報通り、出発する時から小雨が降っていたが、四国山地を走っていると、雨脚はどんどん強くなってきた。
(ピッグ)「結構、降ってきましたね」
(幹事長)「いやいや、こんなもんでは済まないな。高知の雨を舐めたらあかんぜよ」
案の定、太平洋側に出ると、一段と激しい雨になってきた。
(のら)「私、大雨の中で走った事ないのよねえ。不安だなあ」
(幹事長)「今の季節なら気持ち良いよ」
のらちゃんは以前は雨の中を走るのに慣れてなかったから、極端に嫌がっていた。最近は、多少の雨なら慣れてきたけど、今日のような大雨は初めてなので、少し怖がっている。
私は本来は炎天下のレースの方が好きだが、雨は慣れているので、大雨でも全然平気だ。
(支部長)「炎天下になるとヘロヘロになってるやんか」
(幹事長)「炎天下でヘロヘロになって走るのが大好きなんよねえ」
もちろん、暑くなるとタイムは悪くなる。肌寒い時の方がタイムは絶対に良い。
でも、好き嫌いで言うと、寒いのは嫌いで暑いのは大好きだ。なので炎天下のレースは大歓迎だ。
だが、今日は雨でも寒くはないだろう。寒くないのなら雨でも良い。どうせ降るのなら大雨の方が楽しい。
〜 朝食 〜
スタート時刻を考えると、そろそろ車の中で朝食を食べなければならない。
私の場合、朝食を食べてしばらくするとトイレで大が出るようになるので、できれば朝早く起きて、早目に食べて出発する前にトイレを済ませるのが理想だ。マラソン大会の会場のトイレは、どこも激混みになるからだ。
しかし、老化の進行によって早起きが苦痛でなくなったとは言え、5時過ぎに家を出るとなると、4時には食べないといけなくなる。さすがにそこまで早い時間に朝食を食べると調子が狂いそうなので、家では食べず車に乗ってから食べる事にした。
もちろん、朝食はおにぎりだ。
以前はレース中にお腹を壊すことが多かったので、用心して朝食と一緒に下痢止めの薬も飲んでいたが、2015年の徳島マラソンから朝食を菓子パンからおにぎりに変えてからは改善された。
パンに含まれるフルクタンという糖類は消化に悪く、下痢になりやすいが、お米に含まれている糖類は消化が良いので、おにぎりを食べ始めてからは下痢する頻度はかなり低くなった。
なーんて、すっかり油断してたら、なんと2020年の高知龍馬マラソンで5年ぶりにレース中にお腹を壊して20分もトイレに籠ってしまった。
その後も2022年の神戸マラソンや2023年の那覇マラソンや今年の富士五湖ウルトラマラソンでもお腹を壊し、トイレに籠ってしまった。
いずれの場合も、朝食の量は控えめだったし、パンも避けていた。それなのにお腹を壊した。
(のら)「こうやって見ると、フルマラソンでよくお腹を壊してるね」
(幹事長)「あ、ほんまや!」
かつて菓子パンを食べていた頃は、ハーフマラソンでもよくお腹を壊していたが、最近お腹を壊したのは、どれもフルマラソン以上の長い距離のレースだ。
(支部長)「長い距離を走ってると胃腸が弱るからな」
(幹事長)「なーるほど!」
老化の進展により、年々ますます胃腸が弱くなっているのだろう。
少なくともご飯路線が悪い訳ではないだろうが、ご飯の他にバナナやゼリーを食べたり、またカロリーメイトを食べたりしたので、それらが悪かった可能性はある。
レース前に食べすぎるのは禁物だ。
大雨の中だが、日曜日の朝の高速道路は空いていて、車は順調に進む。
須崎で高速道路を降り、道の駅かわうその里すさきでトイレの大を済ませる。
(幹事長)「いきなり何を買ってるんや!」
(のら)「お土産だよ」
まだレースも始まってないのに、のらちゃんはお土産にカツオのたたきを買っている。
(支部長)「私も買ったよ」
(幹事長)「なんで、みんな、朝っぱらからカツオのたたきを買うんや!」
〜 会場に到着 〜
その後も順調に車は進み、予定通り会場には8時過ぎに到着した。
今年の会場は以前のように葉山小学校の体育館に戻った。雨だから駐車場が遠いと嫌だなあと思ってたら、なんと葉山小学校のグラウンドが駐車場になっていた。
普通、雨だと土のグラウンドはぐちょぐちょになるため駐車場として使わせてくれない場合が多いが、高知の人はおおらかなので気にしないようだ。近くて良かった。
体育館に入って受付すると、パンフレットや参加賞やゼッケンなんかが配られた。
ゼッケンにはタイム計測用チップが付けられている。一般的なタイム計測チップとは形状が異なり、柔らかな発泡スチロールのような物が2つ貼り付けられている。どういう仕組みなんだろう?
ただ、いずれにしても、この超マイナーな草レースでタイムをチップで計測する必要性は無いと思う。距離は12.4kmという他に例を見ない中途半端な距離だし、コースは斜度が19度もある過激な山道だし、こんなレースのタイムなんて何の参考にもならないので、タイムなんて適当で構わない。
なので、以前のようにゴール地点でスタッフが横目で時計を睨みながらタイムを計測してくれるので十分だし、あるいは各自が自分の時計で計測する自己申告制度でもいいくらいだ。
そもそも、計測チップと一緒に、以前と同じように無記名の完走証が最初から配られている。自分で適当に名前を書き込む完走証だ。
タイムはチップで正確に計測しながら、完走証は自分で適当に書くっていう和やかなシステムだ。
参加賞は今年もタオルだ。これまでに5枚もらったものと全く同じバスタオルだ。たぶん大量に発注しているのだろう。
マラソン大会の参加賞はTシャツが一般的だが、マラソン大会のTシャツはタンスから溢れているのでタオルの方が大歓迎だ。特に、このバスタオルはフカフカで、なかなか使い心地が良いので重宝している。
早目に着いたためか、体育館の中はかなり空いていたので、左の前の方にゆったりと陣地を確保する。
パンフレットを見ると、定員は例年通り500人だったが、参加者は女子92人、男子255人の計347人だった。
去年よりは少しだけ増えたが、コロナ騒ぎの影響で、まだ参加者数が少ないのかもしれない。
おんちゃんを探すと、いつものように前方右の壁際に陣取っていた。
(幹事長)「調子はどうですか?」
(おんちゃん)「かなり練習はできてるぜよ」
なんと、3週間連続で、日曜日には58kmの練習コースを走ってるんだそうだ。しかも、距離が長いだけでなく、獲得標高が2000mもあるコースらしい。
獲得標高2000mの58kmコースなんて、4月に出ている富士五湖ウルトラマラソンの62kmの部に匹敵する。て言うか、獲得標高ははるかに高い。
そんなコースは本番でもなかなか走れないと思うのに、練習で毎週走ってるなんて、超人としか言いようがない。
今年も10月には四万十ウルトラマラソンに出るそうだが、それだけ豊富な練習量があれば楽勝だろう。
しばらくすると開会式が始まった。
主催者の中山さんが「雨が降って走りやすくなりましたが、苔むした路面が滑りやすいので気をつけてください」って言っていた。
他にも色々と注意事項の周知があったほか、レース後のシャワーとかお風呂の案内があった。今日は雨でビショビショになりそうなので、シャワーやお風呂があるのなら、とても便利だ。
また、お楽しみ抽選会のお知らせもあった。ステージ上には既に抽選会の景品が山のように積まれている。
(D木谷)「なんだか楽しそうですね」
(のら)「うんうん、楽しみ楽しみ」
D木谷さんやのらちゃんはお楽しみ抽選会が初めてなので、ワクワクしている。
今日は以前に比べたら参加者が少ないので、抽選会での当選確率は高そうだ。
〜 準備 〜
落ち着いたところでウェアの選択に入る。「何を着るか」は、どんな季節のマラソン大会であっても最も重大な課題だ。
寒いのは大嫌いだけど、暑くなるとバテてしまうから避けなければならない。
1週間前から天気予報では今日は雨模様って言ってたので、雨になると冷えるかもしれないという不安があった。
だが、先月のオリーブマラソンでは、炎天下のレースを予想して薄着しか持っていかなかったのに、雨が降りそうな天気になったから寒かったけど、走っていると少し寒いくらいでちょうど良かった。
なので、今日もオリーブマラソンで着た袖無しの白のメッシュシャツを用意してきた。かつて愛用していた秘密兵器のメッシュシャツほどではないが、このシャツも背中側はメッシュになっているし、袖も無いから、普通のTシャツに比べるとかなり涼しい。
ただ、今日の雨はオリーブマラソンの時の雨とは激しさが別次元だ。高知の雨を舐めてはいけない。大粒の激しい雨が当たったら、肩が痛くなりそうだ。
なので、今日は普通に半袖Tシャツを着る事にした。
着るのは去年10月の酸欠マラソンで貰ったピンク色の「酸欠Tシャツ」だ。背中に大きく「酸欠」と書かれたインパクトのある画期的なデザインのTシャツだ。
最近は、これが気に入って、こればっかり着ている。のらちゃんもお揃いのピンクの酸欠Tシャツだ。
下は練習の時にいつも履いているランニングパンツを履いた。
暑い時期なのでランニングタイツは履かず、足の筋肉の疲労防止のために脹脛サポーターを履く。
雨がかなり激しいので、雨対策をどうしようか悩んだ。こんな大雨に長時間打たれていると体が冷えるかもしれない。
悩んでいると、事務局からビニール袋の支給が始まった。ピッグとO野選手はビニール袋をもらってきて、首と腕の穴を開けて被っている。
のらちゃんは自分で持ってきていたランニング用のビニール袋を被っている。最初から首と腕の穴がきれいに開いたものだ。
私もビニール袋を被った方がいいかなあとも思ったが、一生懸命走っていると暑くなりそうな気もする。オリーブマラソンでも、最初は少し肌寒かったけど、走っていると少し寒いくらいでちょうど良かった。
寒いという概念が無い支部長やD木谷さんは、雨の事なんてこれっぽちも気にせず寝っ転がっている。それを見てたら、寒さを気にしているようでは大物にはなれないような気がしてきた。
なので、今日も少し寒いかもしれないけど、ビニール袋は被らずに走る事にした。
(幹事長)「強気の攻めの姿勢でいくぞ!」
(支部長)「たかがビニール袋で大袈裟やな」
ビニール袋は被らないが、今日の激しい雨だと顔に雨粒が当たって痛そうだ。なので、嫌いだから普段は被らないランニングキャップを被る事にした。
顔を拭くために手袋を履くかハンドタオルを持っていこうかとも思ったが、どうせビショビショになって役立たずになりそうなので、どちらもやめた。
お腹を壊した時の緊急事態に備えてポケットティッシュだけをランニングパンツのポケットに入れる。
サングラスや日焼け止めクリームも持ってきたが、こんな天気では必要ない。
シューズはアシックスのマジックスピードだ。
準備が終わったら、みんなで記念撮影だ。
抽選会の豪華景品の前で気合を入れる
(左からのらちゃん、ピッグ、O野選手、支部長、おんちゃん、D木谷さん、幹事長)
持ってきてたゼリーをチビチビ飲んでいると、2023年の酸欠マラソンで知り合いになった高知市の酸欠姉ちゃんが声を掛けてきてくれた。私たちが着ている酸欠Tシャツは良く目立つので、気付いてくれたのだ。
彼女とは酸欠マラソンの後、龍馬脱藩マラソンでも会ったし、四万十川桜マラソンでも会った。高知県内の主なマラソン大会は荒らしまくっているようだ。
体育館の中にはトイレがある。普通なら大混雑している状況だが、参加者が少ないマイナーな大会なので空いていた。
せっかく空いていたので、再び大の用を足した。これで何の不安も無くなった。
〜 スタンバイ 〜
10時のスタート時間が近づいてきたら「スタート地点に移動してください!」なんて厳しい声の放送があった。外は雨が降ってるので、ランナー達はなかなか外に出ようとしないのだ。
あんまり遅れていくのは良くないので、雨を我慢して外に出ていく。かなり降っているとは言え、勇気を持って雨の中に出ていくと、すぐに慣れて平気になる。
(支部長)「なーんて言いながらテントの下に入ってるやん!」
ちょうど近くにテントがあったので、ちゃっかり入らせてもらった。
もう一度コースを確認するが、コースはそれほど複雑ではない。
スタート地点は以前は三島様という三島神社の前だったが、今年から葉山小学校の横になった。ゴール地点も同じく葉山小学校の横だ。
スタートしたら東に向かって狭い道を1kmほど走り、そこで狭い道から国道197号線に出る。
国道197号線を1kmちょっと走ったら国道から離れて左折し、北側にある山に向かって狭い道へ入っていく。
しばらく走って3km地点あたりからが上り坂となる。特に4km地点くらいからが強烈な急勾配になる。
6km地点過ぎで急勾配が終わると、山の中腹のやや緩やかな上り坂の林道を走る。これを2kmほど走ると、8km地点過ぎで最高点に達する。
そこから1kmほど緩やかな下り坂を走ると、9km地点過ぎで今度は下界に向かって一気に降りる強烈な急勾配の下り坂になる。
急な下りを3kmほど走ると一瞬だけ国道197号線に出るが、すぐさま左折して狭い道に入り、スタート地点に戻ってくる。
最初から最後まで信号機は無いし、交通量も非常に少ないので、交通安全上は安全なコースだ。
これまではスタート地点が三島様の前だったが、今年はゴール地点と同じ葉山小学校の横になったため、距離は12.8kmから12.4kmになり、400m短くなった。
ただし、去年は12.2kmだったので、去年よりは少しだけ長くなった。
スタートする前には本日の目標を定めなければならない。もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、常に大会自己ベストの更新を狙うのが良い子のランナーとしてあるべき姿だ。
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるため、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、とりあえず大会自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
特に、このレースは距離も中途半端だし、坂も異常に厳しいから、他のレースとは比較のしようがない。
なので、目安はあくまでも過去のタイムだ。この大会の自己ベストは2019年の1時間13分だ。なので、それが目標となる。
実は2023年の方がタイムは良かったが、距離が少し短かったので目標にはならない。
今年も2019年よりは少し距離が短いから、単純に比較はできないが、とりあえず目標にしよう。
作戦はシンプルだ。距離が12.2kmしか無いうえ、急激な上り坂や下り坂が続くので、ペース配分や作戦なんて考えても仕方ない。
レース序盤に無理すると、終盤になって一気にツケが回ってきて失速するのがマラソン大会の常なんだけど、このレースは事情が異なる。
序盤の3kmほどのフラットな区間が終わると、その後は急な上り坂になるので、そこまでの序盤を無理して飛ばそうが自重しようが、どっちみちペースは落ちるので、最初のフラットな区間は飛ばせるだけ飛ばしていい。
その後に続く急激な上り坂ではどんなに頑張っても大したスピードにはならないし、終盤は急勾配の下り坂が続いて転がり落ちるように全力で駆け下りるから終盤になって失速するってこともない。
なので、前半は抑えるべきだとか、最後まで一定のペースを維持するとかいった普通のマラソンでの作戦は意味をなさない。とにかく最初から最後まで全力で飛ばすしかないのだ。
(幹事長)「『炎の電撃作戦』と名付けよう」
(ピッグ)「『無謀な特攻作戦』ですね」
いよいよスタート時間が近付いてきたので、雨が降る中に出て、スタンバイしているランナーの中に入っていく。
参加者350人ほどのマイナーな大会なので、普通ならスタート地点での位置取りなんか気にする必要は無い。最後尾からスタートしてもタイムのロスは少ない。
しかし、この大会は特有の事情がある。この大会は行政が関わっていない草レースなので、交通規制は無い。
スタートやゴールは葉山小学校前の狭い道なので車もほとんど通らないけど、しばらく行って国道197号線に出ると、車道は走れず、歩道を走らなければならない。国道自体がそんなに広い道じゃないから、歩道も非常に狭くて走りにくい。
なので、基本的に国道の歩道を走る区間は追い越しはできない。完全に禁止ではないんだけど、歩道から転げ落ちるリスクもあるので、みんな自重して行儀良く走る。
そのため、スタートしてから国道に出るまでの1kmちょっとの間に、自分が走る適切なポジションを確保しておかなければならない。自分の本来のペースより後ろの方になると、もっと前へ出たいのに出られないフラストレーションが溜まる。
逆に前の方に行き過ぎると後ろからランナーがぶつかってくる。なので適切なポジション取りが必要になってくる。そのためには、スタートの時点である程度の位置取りを考えておかなければならない。
て事で、真ん中より少し前の方に位置取りする。
周囲を見回すと、今年も結構、女性の姿が目につく。4人に1人は女性だが、それより多そうに見える。
丸亀マラソンのような大衆化したマラソン大会なら、ちょっと勘違いしたような素人のおばちゃん達が大挙して参加したりするが、こんな厳しいコースの大会に参加するような女性は、ことごとく強者なので、決して油断はできない。
て言うか、たいていは自分より速いと心得ておかなければならない。侮っていると痛い目に合う。
〜 スタート 〜
いよいよスタート時間の10時となった。
スタート1分前のアナウンスはあったが、カウントダウンなんかは無く、いきなりスタートのピストルが鳴ったので、慌てて腕時計のスイッチを押す。
左手には以前から使っているスポーツウォッチを着け、右手にはガーミンの時計を着けている。
左手のスポーツウォッチは、いつものように距離表示に合わせてラップを記録していく。一方、右手のガーミンはGPSで自動的に1kmごとのラップを記録していく。
コースの距離表示も、ガーミンの計測も、どちらも正確なら、両者は一致するはずだけど、マラソン大会の距離表示っては実は非常にいい加減で、不正確だ。またガーミンのGPSも誤差はかなりある。
なので、最近はいつも両方を着けて走っている。
参加者が少ないので、それほどタイムロスすることなく、割りとすぐにスタート地点まで達し、そんなに混雑することもなく走り始めることができた。
普通のマラソン大会なら、スタート地点を越えても、しばらくは混雑でまともに走れないが、人数が少ないうえに、こんな厳しいレースに出ようっていうランナーはレベルが高いと言うか、あんまり遅い素人ランナーは少ないため、スタートしてすぐに結構、速いペースとなる。
普通のマラソン大会なら、序盤はあんまり飛ばさずにペースを抑え気味に走って、その日の自分の調子を見るってのが鉄則だ。
周囲のランナーにつられてハイペースで飛び出すと、オーバーペースになって終盤に撃沈する要因になる。
しかし、この大会では序盤からのんびり走ってはいけない。
国道に出たら狭い歩道の上を行儀良く走ることになって追い越しはできないので、それまでの1kmちょっとの間に、自分が走る適切なポジションを確保しておかなければならないからだ。
どこが適切な位置かよく分からないんだけど、とりあえず頑張って速めなペースで走る。どうせ歩道を走るようになるとペースは落ちるからだ。
てな事で、最初からかなり飛ばす。
しばらく走るとガーミンが1km地点のお知らせをしてくれる。距離表示もあったはずだが、見落としてしまったらしい。
ガーミンによると、最初の1kmは5分を少し切っていた。普通のマラソン大会なら飛ばし過ぎだが、このレースなら気にすることはない。気持ち良いのでそのまま飛ばす。
ところが、ふと横を見るとおんちゃんとピッグが私より前に出て、しかも少しずつ離れていく。さすがに着いていくのは厳しそうなので、早々に諦める。
すると、さらにのらちゃんとD木谷さんも私を追い越し、しかも少しずつ離れていく。さすがに彼らには着いていこうとしたが、早々にきつくなったので諦める。
自分としては気持よく軽快に飛ばしていたつもりだったが、みんなに早々に追い抜かれたって事は、決して速いペースではないようだ。
おまけに、土砂降りの雨のせいで、あちこちに大きな水たまりが出来ている。小さな水たまりをいちいち避けて走るのは走りにくいけど、大きな水たまりは避けたいので、ちょっと走りにくい。
しばらく走ると国道197号線に出る。ここは歩道を走るんだけど、歩道はとても狭い。無理したら追い抜けないこともないけど、追い抜くには車道側を走らなければならないので、歩道から落ちてしまうリスクがある。
さらに今年は一部区間で工事をしていて、ますます狭くて走りにくくなっていた。
なので、どこかに遅いランナーがいたら、そこで詰まってしまうので、全体的にペースは落ちてしまう。
なんだけど、特にペースが落ちたような感じでもない。全体としてみんな調和して集団で良いペースで走っているようだ。
狭い歩道を走っていると2km地点の表示がある。ガーミンのお知らせとピッタリ同じだったので、正確なようだ。
そして、時計を見てビックリ。一気にペースはかなり落ちている。まだ2kmしか走ってないのに、1km5分を大きくオーバーしている。早くもペースダウンが始まっていたのだ。
どうりで他のメンバーはみんな追い抜いていくし、狭い歩道になっても前のランナーが詰まっていない訳だ。
雨のおかげで呼吸はあまり苦しくないんだけど、足の動きは早くも少し重くなってきた。
しばらく走ると国道から離れ、いよいよ山の方に向いて上がっていく。狭い道だが、国道と違って車道と歩道の区別が無いので、ランナーとしては走りやすい。車が来れば避けなければならないが、交通量は少ない。
て言うか、これまでこの林道の区間で車を見かけた事は記憶に無い。地域の人も協力して通らないようにしてくれているのだろう。
山道に入ったとは言え最初のうちは傾斜はとても緩やかだ。そんなに大変ではない。
それなのに、3km地点でのラップはさらに大きくペースダウンしていた。落ち込み方がひどい。一体どうした事だろう。
3km地点を過ぎると、だんだん傾斜が強まってくる。まだまだ大したことはないが、確実にペースは落ちていく。
ふと横を見ると、オレンジ色の古いタイプのランニングシャツとランニングパンツを着た高年ランナーが追い抜いていく。この人とは、去年も抜きつ抜かれつの熾烈な競争を繰り広げた。
なので、簡単に負ける訳にはいかないって思い、なんとか踏ん張って競り合おうとするんだけど、どんどん離されてしまった。やはり今年は私のペースが遅いようだ。
それと、去年は私も古いタイプの短いランニングパンツを履いていたが、今年は普通のランニングパンツを履いている。
普通の長さのランニングパンツでも、雨が降ってなければ特に不都合は無いが、雨で濡れると走りにくい。
雨の日は短いランニングパンツにするべきだった。(←来年への備忘録)
しばらく走ると最初の給水所が現れた。土砂降りの中なので喉は乾いてないが、それでもとりあえずコップを取り、一口だけ水を含んだ。
追い抜いていったメンバーの後姿は全然見えなくなり、残るは支部長だけだ。まだ追い抜かれてはいないと思うが、どこにいるのかは皆目見当が付かない。
後を振り返って、すぐ後に迫ってきてたら怖いので、敢えて後は見ないが、怖いのは同じだ。
ただ、支部長が迫ってきているかもしれないという恐怖のおかげで、緊張感は維持できている。
坂の傾斜はどんどん厳しくなってきたが、思ったほどしんどくはない。去年なんて炎天下だったので、かなりきつかったが、今年は雨が降ってるので暑くはないし、呼吸も楽だ。
以前は、坂がきつくなると足が動かずしんどい思いをしたが、今年はなんとなく足取りも楽だ。
なーんて思ったんだけど、次の4km地点でタイムを見てビックリ。さっきより一気に1km1分くらい遅くなった。ここまで落ちると呆然とする。
なんとなく今年は楽だな、なんて思ったのは、単にスピードが落ちていたからだった。
さすがに少し焦るが、足が動かないからスピードは上げられない。
雨対策でランニングキャップを被ってきたが、キャップを被るとどうしても頭がもわっと暑くなる。なので、鬱陶しいキャップを脱いでみた。
ところが、脱いだとたん、強い雨粒が顔面に打ち付けてきて顔が痛くなったので、慌てて被り直した。今日はキャップを被らざるを得ないようだ。
4km地点を過ぎたら、本格的に急勾配の上り坂になる。この辺りから傾斜は10%を超えたようだ。
でも、スピードが落ちているから、それほどきつくはない。もっとスピードを上げなければならないとは思うけど、足が動かないから、スピードは上げられない。ついついダラダラとペースダウンしそうになってしまう。
大雨のせいで、急勾配の上り坂では道路の上を水が流れ落ちてくる。あんまり気にしていたら走りにくいが、だからと言って、大きな流れの中にビシャビシャと入っていくのは嫌なので、右へ左へ流れを避けて走る。
例年通り、道ばたでメガホンを持ったおじさんが「あんた○○番」って叫んでくれている。毎年毎年、熱心やなあと感心する。
私は102番って言われた。以前は、そこから自分を追い抜いていくランナーと自分が追い抜くランナーの数を差し引きして、常に自分が何番目か計算していたけど、あまりにも無意味なので、今年は考えない事にした。
林道はますます山深くなり、道の上を木々が覆い被さり、薄暗くなってくる。雨脚は弱まる気配が無い。
しばらく登ると5km地点の距離表示があり、この1kmは一気に8分半もかかっていた。ものすごいペースの落ちようだ。
ここで酸欠姉ちゃんが後ろから追いついてきた。そして少し会話したら、そのまま前方に消えていった。悔しいけど、追いつけそうにはない。
その後、少しだけフラットな区間が現れて一息つけるが、その直後には傾斜20%を超える激坂が待っている。
もうすっかり慣れてコースは分かっているので、心づもりはできているが、ペースは落ちる一方だ。
さらに激坂が続くなか、6km地点の表示があり、この1kmも8分半を超えていた。
6km地点を過ぎると、ようやく激坂区間が終わる。とは言え、道がフラットになる訳ではなく、まだまだ何度も上り坂が現れる。
ただ、上り坂と言っても、斜度はもう大したことはない。たまに急傾斜の坂もあるけど、それほど長くは続かない。とにかく、激坂区間が終わったと思うと、ホッと一安心だ。
しばらく走ると2つ目の給水所がある。このレースは距離は短いけど、給水所は3箇所も設置されている。
すると、なんと、この給水所にのらちゃんがいた。今日は早々に追い抜かれて、そのまま後姿が見えなくなっていた上に、自分のペースダウンが著しかったため、こんな所で追いつけるとは思わなかった。
のらちゃんはここまでの急勾配の上り坂で力尽きたようだ。
今日は雨で喉は乾いていないが、気分転換のために水を一口含み、のらちゃんを一気に追い抜こうとギアを入れる。
ところが、のらちゃんもここで気合を入れ直したようで、走りに力強さが戻り、なかなか追いつけない。
それでも、それまでついついダラダラとペースダウンしそうになっていたのが、のらちゃんと言う目標がすぐ目の前に現れたため、なんとかペースアップできたようで、7km地点ではギリギリ1km7分を切り、次の8km地点では6分半くらいになった。
て言うか、単に坂が緩やかになったからペースが上がっただけかもしれない。1km6分を大幅に超えているんだから、まだまだ遅い。
急勾配の上り坂だった区間では大雨による水の流れがあって走りにくかったが、山の上の緩やかなアップダウン区間になると流れは落ち着く。ただ、水たまりは多い。
しかも、この辺りは日当たりが悪いため路面が苔むしており、それが雨に濡れてヌルヌルになっている。そんな所に足を乗せたら滑ってしまう。
なので、大きな水たまりを避けながら、かつ苔むした箇所も避けながら走るので、かなり走りにくい。
のらちゃんはすっかり息を吹き返したようで、追いつけるどころか、少しずつ遠くなっている。こら、あかんがな。
と思ったら、また少し近づいたりする。こっちのペースが安定していないのか、それとものらちゃんのペースが安定していないのか分からないけど、近づいたり離れたりを繰り返す。
しばらく進むと、ようやく下り坂が出現する。ここからも、まだ上り坂はあるが、基本的には下り基調の区間になる。ピークの標高は335mで、下の国道まで標高差300mほどを駆け下りることができる。
最初はそれほど急な傾斜ではないから、普段なら思いっきり駆け下りても滑ったり転んだりする心配が無くてちょうど良い傾斜だ。
しかし、今日は雨で水たまりはあるし、それより苔むした路面がヌルヌルで滑りそうだ。なので、慎重に走らなければならない。
慎重に駆け下りていくと、9km地点の距離表示があり、この1kmはなんとか5分半を切っていた。
その後、再び上り坂が出現する。まだ上り坂は終わってないのだ。
その辺りに3つ目の給水所があるので、ここでも少しだけ水を口に含む。
その後、緩やかな下り坂を少し走ると、左へ鋭角に曲がる。ここから本格的な急勾配の下り坂区間が始まる。ものすごくきつい傾斜20%を超える下り坂が続くのだ。
ここで坂の下の方を見ると、しばらく姿を見失っていたのらちゃんの後姿が再び見えるようになってきた。この激坂区間で頑張れば、一気に追いつけそうだ。
ただ、例年なら、足の骨が砕けそうになる感じで、思いっきり駆け下りるところだが、苔むしたヌルヌルの路面が怖くて、慎重に走らざるを得ない。
それでも、10km地点でのラップは5分を切っていたから、そこそこはスピードアップできた。
それなのに、なかなかのらちゃんの後姿が近づいてこない。彼女もここぞとばかりに必死でペースアップしているようだ。
10km地点を越えると傾斜が少し和らぐ。また、人家も点在する地区になるため、路面の苔も無くなった。こうなると滑る心配が少なくなり、思いっきり走る事ができる。
まだまだ急勾配とはいえ、ブレーキをかけずに思いっきり駆け下りられる程度になり、足の回転と体の落ち込み方が同じくらいになるので、これくらいが一番速く走れる。
ガンガン駆け下りるから膝を痛めそうで怖いが、あと2kmくらいだから何も考えずに駆け下りる。
次の11km地点でのラップはギリギリで5分を切っていたが、少しペースダウンしたようだ。
のらちゃんの背中は相変わらず近づいたり遠のいたりしていて、なかなか追いつけない。
その後、下り坂の傾斜は徐々に緩やかになっていき、最後は下っているのかフラットなのか、あるいは上っているのか分からなくなってくる。ペースが落ちているのだけは確かだ。
それほど足の疲れは無いが、こうなると足の動きは悪くなる。12km地点でのラップは1km5分半にまで落ちていた。
ここで一瞬だけ国道197号線に出て、すぐに左に曲がる。そうなると残りは500mも無い。
前を行くのらちゃんが左に曲がって後姿が見えなくなった。でも、そんなに離れてはいないから、最後の500mで追いつくことは可能だろう。
と思い、最後の力を振り絞ってラストスパートだ。
〜 ゴール 〜
と思って左に曲がったら、なんとまあ、あっという間にのらちゃんの後姿が遠ざかっていく。ものすごいラストスパートだ。到底かないそうにない。
そう思った瞬間にやる気が失せて力が抜けていった。そのまま一気にペースダウンしてゴールした。
最後の区間は、これまではいつも1km5分を大きく下回っていた。普通のマラソン大会なら終盤には出せないスピードなので、気持よくゴールできていた。
だが、今年は一気にペースダウンしたせいか、目を覆うようなスローペースになってしまった。
ゴール地点では、既にゴールしていたメンバーが出迎えてくれた。
おんちゃんがトップで、続いてD木谷さん、ピッグ、O野選手、のらちゃんの順番だった。
あと少しでのらちゃんに追いつけなかったのが悔しい。前半の上りで緊張感が無くなってダラダラスピードダウンしたのが敗因だろう。
(幹事長)「最後、めちゃペースアップしたよね?」
(のら)「幹事長に追いつかれそうで、もう必死で走ったよ」
あれだけラストスパートできるだけの力が残っていたのが偉い。
私は結局、大会自己ベストには遠く及ばず、過去6回出たなかで悪い方から3番目だった。
(のら)「6回中悪い方から3番目なら許容範囲じゃん」
(幹事長)「距離が短くなってるから、実質的には悪い方から2番目だよ」
以前より距離が400mも短くなっているので、タイムで言えば2分くらいは差がある。それを勘案すると、世紀の大惨敗を喫した2017年に次ぐ悪いタイムだった。
2017年は、交通事故による骨折や山での滑落事故による靭帯損傷が続き、ほとんど練習ができない状態で出場したから、何の参考にもならない。つまり、今年のタイムは過去最悪のタイムと言えよう。
(幹事長)「もう歳やろか?」
(のら)「私は去年より速かったよ」
去年より少しだけ距離が長かったけど、のらちゃんは去年より良いタイムだった。なので、私だけ歳のせいにする訳にはいかない。
他のメンバーのタイムも、みんな去年より良かった。今年は水たまりがあったり、苔むした路面が滑りやすかったりしたが、土砂降りの雨のおかげで暑くなく、呼吸も楽だったから、総合的には走りやすかったのだろう。
心のよりどころは支部長だけだ。かろうじて支部長にだけは追い越されなかった。
でも、支部長は足の故障により、1年ほどまえからロクにランニングできてない状態だから、遅くて当たり前だ。
〜 お楽しみ抽選会 〜
レースが終わったらシャワーとかお風呂があるっていう話だったが、いち早くお風呂に行ったおんちゃんの話によると、とてもとても狭いお風呂で、湯船も洗い場も2人ずつで満員との事だ。今頃ノコノコ行っても激混みで時間がかかりそうなので、あっさりと諦めた。
今日はずぶ濡れなので、お風呂に入らないと気持ち悪いだろうと思っていたけど、雨で汗がすっかり洗い流されているので、体を拭いて着替えたら、それだけでサッパリした。
それより、久しぶりに復活した昼食が嬉しい。昼食はコロナのバカ騒ぎで中断する前と同じく、地元のおばちゃん達が作ってくれるソーメンとばら寿司だ。
マラソン大会の後の疲れた体には、一般的なお弁当はおかずがフライものや焼き魚なんかが多くてなかなか喉を通りにくいから、うどんとかソーメンに限る。
しかも、今年はデザートにゼリーまで付いていた。嬉しい昼食だ。
そのうち表彰式が始まったが、我々には無関係なので食事に励む。
その後、いよいよお楽しみ抽選会が始まる。
このお楽しみ抽選会は、主催者の葉山ランニングクラブの中山さんが村内きっての有力者であり、町内のあらゆる商店から寄付をかき集めてくるため、景品がめちゃめちゃ多くて多彩だ。
今年もステージの上を見ると、扇風機やピクニックチェアなど、普通の抽選会では出てこないような大物の景品が所狭しと並んでいて、見ているとワクワクする。
景品の数が多いから、当然ながら当選確率が異常に高い。
初めて参加した2016年は参加メンバー5人中4人が当選するという高確率だった。景品も、私とピッグはミカンだったが、ヤイさんと小松原選手はビール24本入りケースという豪華景品だった。
続いて2017年も3人中2人が当選し、2018年は参加した3人とも何も当たらなかったが、2019年は4人中2人が当選した。
2023年はコロナのバカ騒ぎの余波で、お楽しみ抽選会は無かったが、その代わりに、走り終わったら各自がくじを引くくじ引きがあり、参加した6人全員が何かしらの景品が当たった。
やはりかなり高い確率で当たるのは間違いない。
ワクワクしながら待っていると、まずはトートバッグから始まった。トートバッグはあんまり欲しくはない。どうせ当たるのなら缶ビール24本入りとかお米5kgとかの方が良い。
なので、むしろ「当たるな、当たるな」なーんてみんなで言いながら待っていたが、トートバッグは数が多く、なかなか無くならない。
と思ってたら、なんと、いきなり私の番号が呼ばれてしまった。あちゃー!トートバッグが当たってしまった。
でも、何であれ当たるのは嬉しい。何も当たらないよりは、遥かにマシだ。なので、元気よく「はいっ!」って返事をしてトートバッグを貰った。
トートバッグが無くなった後も、小物が続く。そして、なんと早々にピッグが小さな保温水筒が当たった。
これも、そんなに嬉しいものではないが、何であれ当たるのは嬉しい。何も当たらないよりは、遥かに良い。しかも、二人続けて早々に当たったので景気が良い。
そして、しばらくすると、今度はD木谷さんが小さな携行ランタンが当たった。
(D木谷)「あれ?これって去年貰ったものと同じかな?」
なんとD木谷さんは去年のくじ引きでも同じ携帯ランタンが当たったのだ。
なので、そんなに嬉しいものではないが、何であれ当たるのは嬉しい。何も当たらないよりは、遥かに良い。しかも、三人続けて早々に当たったので景気が良い。
数が多い小物がだんだん無くなっていき、少しずつ大物になってきた。ますます期待が高まる。
すると酸欠姉ちゃんにお米が当たった。お米は絶対に必要なものなので、当たると嬉しい。
そして、遂にのらちゃんにクーラーボックスが当たった。しかも保冷剤付きだ。
(のら)「やっほーっ!」
(幹事長)「やったーっ!遂に大物が当たったじゃん!」
(おんちゃん)「私も以前、それが当たったけど、重宝してますよ」
これで6人中4人が当たった。2016年の5人中4人に匹敵する高確率だ。
大物も残り少なくなり、残るは大物のビールと鮎だけとなった。
鮎は以前は10箱くらい提供されていたが、漁をしてくれていた方が少なくなり、今年は4箱くらいしかない。
でも、ビールは相変わらず大量にあり、うず高く積まれている。
あれだけ大量にビールがあれば、1本ずつ配ったら確実に全員に当たる。1本ずつでは寂しいとしても、せめて6本ずつ配ってくれたら大勢に当たるだろう。それを1箱ずつ景品にするもんだから、当たる確率は低くなる。
とは言え、過去にはヤイさんや小松原選手や加藤選手にビール1箱が当たった実績があるから、かなり期待できる確率だ。
食べ物や飲み物で分けられるものは参加メンバーで分ける事になっているので、24本入りのビールが当たれば、1人4本ずつの分け前となる。
て事で、まだ何も当たっていない支部長とO野選手に期待が高まる。
(幹事長)「これこれ、期待が高まってるのに寝たらあかんがな!」
(支部長)「むにゃむにゃむにゃ」
支部長はお楽しみ抽選会が始まると、いつもすぐに寝てしまうので、私らが代わりに当選番号を聞き漏らさないように必死で聞いていて、支部長のゼッケン番号が呼ばれたら慌てて叩き起こして賞品を取りに行かせるというシステムだ。
支部長に近い番号の人は、ほとんど全員が既に何か当たっており、支部長だけが当たらないのが不思議な状況だったので、絶対に当たると思い、期待はマックスになっていた。
ところが、なんと、最後まで支部長とO野選手は何も当たらなかった。
(幹事長)「残念やったなあ」
(支部長)「え?もう終わったんかいな。むにゃむにゃむにゃ」
ま、6人中4人が当たったんだから、文句は言えない。
て事で、個人的には最悪のタイムで散々だったが、お楽しみ抽選会のチーム成績はまずまずだったし、今年も楽しい大会だった。
さて、多くのランナーは、せいぜい5月末のオリーブマラソンがマラソンシーズンの終わりだが、我々はこの6月の北山林道駆け足大会だけでなく、これからも夏場の厳しい山岳レースが続く。
7月末には汗見川マラソンがあり、その後も四国のてっぺん酸欠マラソンや龍馬脱藩マラソンがある。
今回も含めて全て高知の山の中で行われる夏場の高知山岳マラソンシリーズ4連戦だ。
(酸欠姉ちゃん)「高知のマラソン大会ばっかりやね。私も出るよ」
四国で暑い時期にマラソン大会をやってるのは高知県だけなので、高知県内のマラソン大会ばかり出るんだけど、そうなると高知の酸欠姉ちゃんとの戦いは続く。
打倒!酸欠姉ちゃん!
〜おしまい〜
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