第34回 汗見川清流マラソン大会(自主開催)

〜 大雨警報の中のレース 〜



2021年7月25日(日)高知県本山町において第34回汗見川清流マラソン大会が開催されるはずだった。

このレースは、暑い暑い四国の真夏に開催される大変貴重なマラソン大会だ。

以前は、真夏の四国のレースとして、ほかにも四国カルストマラソンがあった。
真夏に開催されるというだけでなく、かつての強烈登山レース塩江山岳マラソンに匹敵するものすごい急な坂が延々と続くという異常に厳しい20kmコースだったので、強烈な日射しにより地獄のような暑さで体が焦がされる中、走るのが不可能なほど急な坂をよじ登るという発狂するようなレースだった。
しかし、この殺人レースは、あまりの厳しさのため危険すぎるってことで廃止になってしまった。
(ちなみに、その後継レースとして出来た龍馬脱藩マラソンは、季節は10月で走りやすい時季になったが、フルマラソンの部は最大標高差560m、累積の標高差は860mという、四国カルストマラソンを遙かに上回る発狂しそうな超厳しいコース設定となっている)

他に夏場の山岳レースとしては、9月初めに開催される四国のてっぺん酸欠マラソンがあり、2015年以来、毎年連続でエントリーしている。
ただし、こちらは夏場の山岳レースとは言え、9月に入っているので、灼熱の炎天下というほどではない。ロクに日陰が無いコースだから天気が良いと炎天下にはなるが、7月末に比べたら随分マシだ。
一方で、標高が高いため、悪天候に見舞われやすくて中止が多く、2015年以来、開催されたのは僅か2回という幻のマラソン大会だ。

てことで、汗見川清流マラソン大会は真夏の四国のレースとして唯一の貴重なレースになった。四国で真夏のレースが少ないのは、あまりにも暑くて走るのが大変だからだ。
でも、だからと言って真夏にレースに出ないと、夏の間、ランニングをサボってしまいがちになる
レースが無くても地道にトレーニングできる真面目な人ならいいんだけど、我々のように心が弱いと、レースが無いとどうしてもサボってしまう。

(ピッグ)「レースがあっても、こう暑いと練習はサボりがちになりますけどね」

レースが無いと完全に休養してしまう心が弱い我々としては、少しでもモチベーションを維持するため、この時季にレースを1つ入れたいわけだ。
なので、去年もウズウズしながら待ってたんだけど、それなのに、ああ、それなのに、なんと去年は新型コロナウイルス騒ぎのせいで大会が中止になってしまった

事の発端は去年3月1日の東京マラソンの一般ランナー参加中止だ。これに続き、3月8日の第9回名古屋ウィメンズマラソンも一般市民ランナーの参加が中止になった。
ただ、これらの大会は東京オリンピックのマラソン代表選考会を兼ねていたため、
エリートランナーの部は開催された
しかし、その後、状況はますます悪くなり、遂に去年3月22日の徳島マラソンは全面的に中止になってしまった。あまりの事に呆然とした。
そして、その後も、全国的にマラソン大会が次々と中止になっていった

これらのマラソン大会中止騒ぎってのは、どう考えても、あまりにも非科学的で情緒的でヒステリックな対応だ。

(ピッグ)「この説明、いつまで続くんですかね。もう一字一句同じ文章が続いてますが」
(幹事長)「以前は、ちょこちょこと変えてたけど、もう面倒になって」

素人が見たら、マラソン大会ではランナーが密集しているように見えるかもしれない。しかし、毎日乗っている満員電車に比べたら、はるかにスカスカだ。そうでないとぶつかって走れない。
しかも密室の満員電車に比べて、屋外のマラソン大会はウイルスが蔓延できる環境ではない。新型コロナウイルスは感染した人の咳やくしゃみの飛沫による飛沫感染でうつっていくが、飛沫感染は屋外で走っている時に感染なんかしない。
多くの国民が新型コロナウイルスを非常に恐ろしいもののように勘違いしているが、決して、エボラ出血熱のように極めて致死率の高いウイルスでもなければ、風疹のような感染力の強いウイルスでもない

多くの国民がヒステリックに踊らされているのは、視聴率さえ稼げればいい下品なマスコミがキチガイみたいに煽り立てるのと、新型コロナウイルスの新規患者数をゼロにしようなんていう狂信的な妄想に取り憑かれた医療関係者の独善のせいだ。
さらに、それに付け込んで何でもかんでも政府を批判する無能な民主党が調子に乗ってギャアギャア騒ぐからだ。
いい加減に、このようなヒステリックな対応は止めて欲しいのだが、新型コロナウイルスの蔓延よりも、このようなヒステリックな対応の蔓延の方が遙かに早い。

もちろん、大会主催者側は苦渋の決断というか、断腸の思いだろう。なぜなら、大会の成功を一番願っているのは大会主催者なんだから。だから、私も大会主催者を責める気は、さらさらない。
悪いのは、こういう状況に大会主催者を追い込んだ世間のプレッシャーというか、コロナ自警団に代表される、社会を覆い尽くすバカ騒ぎだ。

そして、恐れていた通り、その後も5月のオリーブマラソン、6月の北山林道駆け足大会、7月の汗見川マラソンと、続々とマラソン大会の中止が発表になり、このままではマラソン大会もサイクリングイベントも全滅になりそうな雲行きになってきた。もうお先真っ暗だ。


〜 マラソン大会を自主開催 〜


って嘆き悲しんでいた時、ピッグが突然ナイスなアイデアを提示した。

(ピッグ)「この話も、いつまで続くんですかね。もうウンザリですね」
(幹事長)「書く方もウンザリやわ。もう書きたくないんだけど仕方ないよね」

去年5月のオリーブマラソン以来、自主開催してきたマラソン大会の記事にはしつこく
書いてきたエピソードだが、これを外す訳にはいかないので、しつこくピッグに提案してもらう。

(幹事長)「お待たせしました!はい、どうぞ!」
(ピッグ)「中止になった大会を
ペンギンズで自主開催しましょうよ」
(幹事長)「え!?」


あまりのナイスなアイデアに一瞬、言葉が出なかったが、これは画期的なアイデアだ。そうなのだ、大会が中止になったのなら、
我々で独自に勝手に自主開催すればいいのだ。

(幹事長)「なんて素晴らしいアイデアだ!君がこんな素晴らしいアイデアを出したのは実に23年ぶりやぞ」
(ピッグ)「ハイハイ、分かりましたってば」


1997年に我々がペンギンズを立ち上げた時
クラブの名前を何にしようか相談したんだが、幹事長の私の意見を差し置いて、ピッグが「ペンギンズにしましょう」なんて言い出し、押し切られてしまったのだ。
しかし、よくよく考えてみれば、むやみにスピードを追求するのではなくマイペースでゆっくり走る我々のスタンスは、まさに「ペンギンズ」の名前がピッタリであり、
素晴らしいネーミングだったと思う。
ピッグがナイスなアイデアを出したのは、その時以来、実に23年ぶりのことだった。

と感心していたのだが、去年5月にオリーブマラソンを自主開催して走っていた時、同じように一人で走っている女子がいて、支部長が聞いたところ、彼女も自主開催していた事が分かった。
また去年7月に汗見川マラソンを自主開催して走っていた時も、同じように走っているカップルがいて、支部長が聞いたところ、彼らもやはり自主開催していた事が分かった。
さらに今年5月のオリーブマラソンに至っては、胸に大きく「勝手に小豆島オリーブマラソン」なんて書いたTシャツを着て自主開催しているグループがいた。
つまり、
マラソン大会の自主開催ってのは、誰でも思いつくような平凡なアイデアだったことが分かったので、ピッグに対する賞賛は雲散霧消した。

(ピッグ)「ハイハイ、分かりましたってば

てなわけで、その後は中止になったイベントは、できる限り自主開催することとなった
その第1弾が去年5月17日に開催した
サイクリングイベント第7回ツールド103であり、これが思いのほか楽しくて大成功だった。
続いてマラソン大会として5月のオリーブマラソン6月の北山林道駆け足大会7月の汗見川マラソン8月の酸欠マラソン9月の脱藩マラソン11月の庵治マラソン12月のタートルマラソンを自主開催してきた。

これらも例外なく、とても楽しくて大成功だったが、そうは言っても正式な大会ほどのやる気と達成感は得られないため、願わくは、コロナのバカ騒ぎは去年で収束して、今年はマラソン大会が復活して欲しかった。
ところが、
今年になってもコロナのバカ騒ぎが終わらず、マラソン大会の中止が続いているため、2月の丸亀マラソンを自主開催し、続いてトレラン大会である2月の善通寺五岳山空海トレイルも自主開催した。

この善通寺五岳山空海トレイルは、去年はギリギリでなんとか本大会が開催され、コロナのバカ騒ぎでマラソン大会が軒並み中止になる前の最後の大会だった。
それから
まる一年が経って一周したので、そろそろバカ騒ぎを止めてマラソン大会を再開して欲しかったところだが、去年、最初に中止になった徳島マラソンは、なんと2年連続で今年も中止になってしまった
コロナのバカ騒ぎによるマラソン大会中止が2年目に突入したのだ。そのため、徳島マラソンの代替大会として3月の香東川マラソンを自主開催した。
そして、その後も2年連続のマラソン大会中止が続いているため、5月の小豆島オリーブマラソン7月の北山林道駆け足大会を自主開催し、さらに今回の汗見川清流マラソン大会2年目自主開催となったわけだ。

ただ、例年は7月末の日曜日に開催されてたんだけど、今回はメンバーの都合で、少しだけ早めの2021年7月18(日)の開催となった。

なお、今年、汗見川マラソンは中止になったが、その代わりにオンラインマラソン大会を実施するという。
種目は10kmの部のみで、期間は7月18日〜31日の好きな時に走ればいい。
コースは、どこを走ってもいいんだけど、逆に「本番のコースは遠慮してくれ」とのことだ。本コースを走るランナーがいっぱいいたら、本番と同じように密集してしまうからだろう。

このように、本大会の代わりにオンラインマラソンを開催する大会は最近多い。しかし、
オンラインマラソンなんて意味が無い
マラソン大会の存在意義ってのは、普段の練習コースとは違う新鮮なコースを、スタッフの手厚いサポートや沿道の声援も受けて走るからそこ楽しい。
また、
数多くの他のランナーと競い合うからこそ緊張感も高まり、アドレナリンが大量に分泌してやる気が漲り、その結果、良いタイムも期待できる
でもオンラインマラソンなんて、自分で普段走ってる練習コースを好き勝手に走るだけなので、なんの緊張感もやる気も湧いてこない。参加している他のランナーと競い合っているんだと思い込もうとしても、現実に周りにいないんだから、極めて非現実的な設定だ。
意味の無いオンラインマラソンに参加するくらいなら、我々のように
仲間内で大会を自主開催した方が良い


〜 人気の大会 〜


練習もロクにできない発狂しそうなほど暑い四国の真夏に、マラソン大会に出たいって思う人がそんなにいるとは想像しにくいかもしれないが、実は汗見川マラソンの人気は高くて、申し込むのが大変だ。

(ピッグ)「定員が1300人と少ないってのも大きな理由ですけどね」

以前は、申し込み期間が過ぎてからでも、役場に電話してお願いしたら出場させてもらえていた2007年に初参加した時や、その翌年の2008年に参加した時なんかは、ざっと見て300人くらいしか参加してなかったから、人が集まらなくて大会が消滅しないか心配していたくらいだ
場所が四国の山の中で不便なうえ、いくら標高が高いと言っても、山の中の盆地なので真夏はクソ暑いし、コースが川沿いの道を延々と10kmも上り続ける厳しいコースだから、人気が無くて当たり前だったのだ。

それなのに、しばらく四国を離れていたあと、四国に戻ってきた2012年久しぶりに出てみようと思ったら、申し込もうと思ったときには既に定員に達して受付終了になっていた
申し込もうとした時期が遅かったのは確かだが、それでも定員オーバーだなんて、かつての汗見川マラソンを知っている者なら、信じられない現象だ。しばらく四国から離れていた間に、人気レースになっていたのだ。
近年の異常なマラソンブームの中、真夏の四国のレースとして唯一の貴重なレースになったため、人気が沸騰したのだろう
種目も、10kmコースのほか、ハーフマラソンの部や6kmコースも出来たので、超マイナーな山奥の草レースが、メジャーな大会になりつつあるのだ。

(ピッグ)「定員僅か1300人なんだからメジャーってのは言いすぎですけどね」

こんなに人気沸騰しているのだから、今どき定員1300人だなんて少な過ぎるような気がするが、狭い山道のコースを考えると1000人程度が限界のようにも思える。
こじんまりした和気藹々とした大会の雰囲気も好ましいので、エントリーしにくくなったとは言え、定員は増やさないほうが良いのかもしれない。

てなことで、2013年はエントリー受付がいつ始まるのか、毎日、注視し、受付開始の情報を聞くや否や、慌ててすぐさま申し込み、なんとかエントリーできた。
ところが2014年は再びエントリーに失敗。
続く2015年2016年は出場できたが、2017年富士登山競走のエントリーに成功したため、そちらに出場した。

そして2018年は富士登山競走のエントリーに失敗したため、再び汗見川マラソンのエントリーに挑み、なんとか無事にエントリーすることに成功した。ところが、なんと大会は中止になってしまった
その理由が信じられないことに、なんと「3週間も前の豪雨」だった。3週間も前の豪雨により、マラソンコースの道路に崩落の危険箇所があるから、という理由なのだ。
豪雨により道路が崩落して通れなくなった、と言うのなら理解できる
が、豪雨は3週間も前の事であり、その豪雨によって崩れてはいないのだ。一体、何を恐れているのだろうか?

て事で、怒り狂ったのだが、それでも貴重な夏場のマラソン大会なので、気を取り直して2019年もエントリーした。大好きな大会への3年ぶりの出場だったから、ウキウキのワクワクだったが、エントリーできたのは私が一緒にエントリーしたのらちゃんのほかは支部長だけだった。
あれほど私が毎年、口を酸っぱくしてエントリーを促していると言うのに、相変わらず他のメンバーはやる気が乏しく、多くのメンバーがエントリーに失敗したのだ。
私がこれだけ必死になってエントリーしているのに、他のメンバーの動きが悪いのは、このレースの坂と暑さに腰が引けてしまい、イマイチやる気が出ないからだ。

確かに「一体どうして、こななクソ暑い時期にマラソン大会が存在するんだろう?」という単純で素朴な疑問はある。
もう34回にもなる歴史ある大会なので、もしかしたら33年前は、7月下旬といえども、四国山地の真ん中の山間部は涼しかったのかもしれない。夏の真っ盛りだけど高地なので気温も下界に比べたら低めだろう、って事で始まったのではないだろうか
しかし、こなな山の中でも高温化は確実に進んでいて、2007年に初参加した時は、この世のものとは思えないようなあり得ない暑さだった。
それで、「四国山地の真ん中の高原で、こんなに暑いんだったら、下界は地獄のような暑さだろうなあ」なんて思っていたら、なんと、その日は、汗見川マラソンが開催された高知県本山町が全国で一番暑かったという、トンでもない状況だった。
昔は涼しかったのだろうけど、少なくとも今は、山の中だからと言って涼しさを期待してはいけない事だけは確かだ。

てことで3年ぶりに参加した2019年の大会だったが、なんと直前に降った大雨による土砂崩れで道が途中で通行止めになってしまい、ハーフマラソンのコースがとれなくなったとのことで、急遽、コース変更になってしまった
土砂崩れになった場所は10kmコースの折り返し点、すなわち5km地点のすぐ向こうだったので、10kmコースは予定通り行われた。
それならハーフマラソンの部もみんな10kmコースに振り替えれば良いような気もするが、なぜか土砂崩れ地点のギリギリまで走ることになり、そのため11kmだなんて中途半端な距離になった。
しかし、ハーフマラソンを走るつもりで来ていたのに、急に11kmレースになると言われても、心の準備ができていない。
ハーフマラソンならペース配分が重要になる。しかし11kmレースになると、ペース配分なんかは気にせず、最初から最後までがむしゃらに走るしかない
これは非常に苦しい。距離が短い方が楽だろうと思うのは素人で、距離が短い方が最初から最後まで全力疾走になってペースが速いから、むしろきつい。
それに11kmレースのタイムなんて、なんの実績にも参考にもならないから、イマイチやる気が出ないまま走り、結局、平凡なタイムに終わった。

そのため、去年は4年ぶりのハーフマラソンの部で気合を入れて走ろうと思っていたが、コロナのバカ騒ぎで中止になってしまった
それで仕方なく自主開催でハーフマラソンを走ったんだけど、後半は雨が降り、なかなか面白いレース展開となった。
支部長がオリーブマラソン、北山林道駆け足大会に続いて3連勝するという偉業を成し遂げたレースでもある。

なので、今年も自主開催だが、やる気満々だ。
参加メンバーは私、支部長、ピッグ、D木谷さん、のらちゃんだ。
5人ってのは、一見、少ないようだが、過去の汗見川マラソンの参加人数と比べれば、去年と同じく過去最多の出場選手だ。
支部長は2016年、2019年に一緒に出たし、ピッグは2015年、2016年に一緒に出たが、D木谷さんは本番には出たことが無く、去年の自主開催が初参加だ。
また2019年に初参加したものの、去年は怪我で走れなかったのらちゃんも、今年は復活する。


〜 自主開催が当たり前に 〜


せいぜい去年一年間で終わると思っていたマラソン大会の中止が、こんなに長期に続くと、我々の中ではマラソン大会ってのは自主開催がノーマルになってきた

(幹事長)「なんだか自主開催が当たり前になってきたなあ」
(ピッグ)「これはこれで良いんですけどね」


確かに、
自主開催レースには色んなメリットがある
列挙すると、
  ・みんなの都合に良い日に開催できる
  ・天気が悪い時は延期できる
  ・勝手にスタート時間を決められるから早朝に家を出発しなくてもいい
  ・混んでないから駐車場に困らない
  ・混んでないからトイレに困らない
  ・終わってからも混んでないからスムースに帰れる
  ・参加費がかからない


今回の汗見川マラソンで言うと、正式な大会は例年7月末に開催されてきたが、
参加メンバーの都合で7月18日の開催になった

(ピッグ)「前回の北山林道駆け足大会から2週間しか経ってませんよ。あと1〜2週間遅らせた方が良かったんじゃないですか?」
(幹事長)「メンバーの都合を調整した結果だから仕方ないやんか」
(ピッグ)「メンバーって誰ですか?」
(幹事長)「一番徳の高いお方や」


また、通常は天気予報を睨みながら雨を避けて開催してきたが、7月になると天気が良いと暑くて大変になるので、今回はあえて
天気予報が雨の日に決行した

(支部長)「炎天下でなくて良かったわい」
(幹事長)「私は炎天下のランニングも好きやけどな」
(ピッグ)「好きなのとタイムが良いのとは別問題ですけどね」


このように自由に日程を調整できるほか、基本的に参加者は我々だけなので、
正式なマラソン大会のように参加者が溢れて混雑するって事がない
そのため、駐車場にも困らないし、トイレの前で長蛇の列に我慢して並ぶ必要も無い。もちろん、レースが終了してからもスムースに帰れる。

それに、何と言っても
参加費がかからないってのも大きなメリットだ。
最近はマラソン大会の参加料が高騰していて、今年の神戸マラソンの参加費は、なんと19700円もする!

(ピッグ)「にまんえんは高すぎますよねえ」
(幹事長)「もう手も足も出ないなあ」
(支部長)「私らのような貧乏人はマラソン大会にも出られなくなったよ」
(ピッグ)「コロナ騒ぎが無かったら二人ともホノルルマラソンに出る予定でしたよね?」


一方、自主開催レースの唯一のデメリット
  ・正式な大会ほどは気合が入らないから良いタイムは出ない
ってことだ。
唯一のデメリットだが、このデメリットは大きい。

もちろん、これは人による。
私なんかは、本番でないと気合が入らない。本番なら参加者が大勢いて、たくさんのスタッフがサポートしてくれて、沿道の声援も多いから、やる気がみなぎる。
私がマラソン大会に出たのは、1995年の瀬戸内海タートルマラソンが初めてだ
当時はマラソンブームが起きるはるか以前の事で、ジョギングする人だって滅多にいなかったから、全国的にもマラソン大会は数が少なく、たまにあっても出場するのはマニアックな人ばかりという状況だった。
なので、一般人にはマラソン大会に出るなんて発想は無かったんだけど、タートルマラソン大会のCMがテレビで流れていて、「ゆっくり走るタートルマラソンだから誰でも出られるよ」なんて甘い言葉で誘われて、ついフラフラと軽はずみな気持ちで申し込んでしまったのが最初だ。

(支部長)「ほんまに軽はずみな無鉄砲ぶりやな」
(幹事長)「いきなり右も左も分からないままトライアスロンに出た支部長さまよりマシでござるよ」


もちろん、右も左も分からないど素人が一人で初参加したので、とんでもない大惨敗だったが、初めて出場したマラソン大会は感動的なものだった
誰でも参加できる市民マラソン大会を走っているだけなのに、
沿道の住民からは熱い声援があり、まるでオリンピックを走る一流選手になったような気分になれたからだ。
この初参加が、あまりにも楽しかったため、それから色んなマラソン大会にどんどん出るようになった。
なので、私はマラソン大会が大好きだ。
本番になると、気合が高まり、普段以上の力が出る
逆を言えば、
本番でないと、どうしても気合が入らない。いくら頑張ってるつもりで、からっきし駄目だ。

ただ、これは私の個人的な問題であり、
女子部員のゾウさんやのらちゃんは、普段の練習でも本番と同じようなペースで走っている。練習の質がとても高い。
このように練習の時ですら本番と同じようなスピードで走れるゾウさんやのらちゃんなら、自主開催レースでも正式な大会と同じようなタイムを出すことも可能だ。
でも、私なんて、どんなに頑張ってみても、本番のようなペースを練習で出すのは不可能だ。
自主開催レースなら、永遠のライバルである支部長やピッグと一緒に走るから、独りで練習している時よりはマシだが、それでも
大したスピードは出ない

また、常に大勢の参加者が周りにいるため緊張感が持続する本大会と違って、参加者が少ない自主開催レースだと、
他のメンバーから少し遅れてしまうと、すぐに一人旅となり、その時点で緊張感もやる気も無くなり、トボトボと足を引きずりながら撃沈する。

(幹事長)「やる気なくなるよな?」
(ピッグ)「完全になくなりますね」


私もピッグも、調子が良い時は自主開催レースでも優勝することがあるが、
みんなからちょっと遅れると、一気にやる気を無くして、ダントツの最下位に転落してしまう
3月の香東川マラソンでは私はダントツの最下位だったし、前回の北山林道駆け足大会ではピッグがダントツの最下位だった。

(幹事長)「その点、支部長は最近、妙に粘り強いよなあ」
(支部長)「勝負を諦めんからな」


以前は、
あんなに撃沈していた支部長が、最近は最後まで粘り強く走るのが理解できない。
前回の北山林道駆け足大会では、一時は最下位に撃沈したのに、全く諦めずに復活してピッグを逆転した。

(幹事長)「あの粘りはどこから出てくるん?」
(支部長)「練習のたまものやねえ。練習量は嘘つかんからねえ」

私は最近、登山にばっかりうつつを抜かしているため、月間走行距離はギリギリで100kmを越える程度だが、支部長は相変わらずコンスタントに月間走行距離200kmを維持している。
今回も暑くなければ支部長に惨敗するのは確実だ。暑くなって支部長が自滅する事を祈るのみだ。


〜 会場へ出発 〜


この大会は高知の山奥まで日帰りするので、当然ながら早めに出発しなければならない。
しかも、かつては10時スタートだったので、6時に出発したら楽勝だったんだけど、なぜかスタート時刻が少しずつ早まり、最近はスタート時刻が8時40分になってしまったので、5時に出発するようになった。
大会案内を見ると「安全対策のためスタート時間を早めています」なんて書いてるので、暑くなる前に終わらそうと言う魂胆なんだろう。

実は2016年の大会では、衝撃的なアンケートが手渡された
このマラソン大会は夏の真っ盛りに開催してきたけど、近年、地球温暖化のせいで非常に暑くなっており、事故の危険性も出てきてるので、開催時期の変更を検討しています。どう思いますか?
なんていうトンでもない内容だったのだ。
もちろん我々は、
何を言うてるんや!他のマラソン大会が開催しないような、このクソ暑い時季に開催するからこそ存在価値があるんやないか。開催時期を変えるんやったら参加せんぞ!
と怒りの声をぶつけた。
おそらく、大半の参加者は同じような意見だったと思う。こんなマイナーな大会が人気を集めているのは、他にマラソン大会が皆無の酷暑の時期に開催されるからだ
そういう参加者の圧倒的多数の声を聞いて、開催時期の変更を断念した事務局が、仕方なくスタート時間を早めたって事だろう。

しかし、今年は自主開催なので、我々で勝手にスタート時刻を決めることができる
5月のオリーブマラソンのように、天気が良くて炎天下のレースが予想される場合は早めにスタートして早く終わらせたいが、今日は天気予報では炎天下にはなりそうにないので急ぐ必要はない。
逆に、あんまり早く終わると、後のスケジュールが間延びしてしまう
汗見川マラソンは、レース終了後の川遊びが一番のメインイベントだ。
それが終わると、次はお風呂だ。一昨年オープンしたばかりのモンベル・アウトドアヴィレッジ本山に行ってお風呂に入らなければならない。ところが、このお風呂の開業時間が13時なのだ。
川遊びが終わってすぐにお風呂に入らないと体が冷えてしまうので、逆算して、
 ・レーススタート:9時半
 ・レース終了、川遊び開始:12時
 ・川遊び終了、お風呂開始:13時

という行程にした。
もちろん、だいぶ余裕を持った時間配分だから、これでも実際には多少の待ち時間は発生するかもしれないが、それは仕方ない。

て事で、今年は支部長様が車を出してくださいまして、D木谷さんを乗せて我が家に6時50分に迎えに着てくれ、ピッグをピックアップして7時に高松を出発し、途中でのらちゃんをピックアップして現地に9時頃に到着という行程にした。

朝から天気は曇り空だ。香川県の天気予報では、今日は「曇り時々雨」てな感じだ。これは香川県の方言では「雨が降りそうに見えるかもしれないけど、結局は全然降らないのよね〜」って言う意味だ。
一方、高知県の天気予報は「大雨」だった。これは土佐弁では「トンでもない雨が降って土砂崩れや洪水になるから気をつけてね〜」と言う意味になる。もはや雨の量より災害に注意してねというレベルだ。

ただし、今の我々は雨を恐れていた昔の我々ではない
昔の我々なら、雨のマラソン大会なんて走る気が起きなかった。朝から雨が降っていると、空を見上げながら連絡を取り合って、結局、みんな揃って欠場って事も多かった。
しかし、2010年のオリーブマラソンで考えが変わった。その日は朝からものすごい土砂降りの雨だったので、みんなで欠場の相談をしていたら、我がペンギンズのエース城武選手から「雨がどうしたんですかっ!何を考えてるんですかっ!」と一喝され、渋々参加した。
ところが、土砂降りの雨は、走りにくいどころか、気温が低くなって走りやすくて、後半の大きな坂も全然、苦にならず、最後までペースダウンすることなく、というか、坂が多い後半の方がペースアップしてタイムが良くなるという考えられないレース展開でゴールし、2時間を大幅に切る大会自己ベストとなった。
私だけでなく、ピッグも支部長も快走した。それ以来、暑い季節には、むしろ雨を好むようになったのだ

(のら)「私は雨は嫌だなあ」
(幹事長)「まだ言ってるの?早く雨に慣れてよ」


のらちゃんは夏場の炎天下のレースに出た事がないから雨を嫌がっているが、一度、体験すると、夏場は雨を好むようになる。
特に、極端に汗っかきで暑さに弱い支部長は隠れて雨乞いをしているくらいだ。

(支部長)「雨が降らないんやったら夏場のレースは参加せんよ」

この汗見川マラソンにおいても、10kmの部しかなかった2007年2008年や、ハーフマラソンができた2015年2016年は炎天下で地獄の暑さに苦しんだが、2013年だけはスタート直前に土砂降りの雨が降ったため、一気に気温が下がり、なかなか快調に走れた。
ただし、日本一雨が少ない香川県地方では、いくら梅雨どきと言っても大した雨は降らないが、日本一雨が多い高知県では梅雨のイメージとはかけ離れた豪雨が降る。
2018年は3週間前に降った豪雨により土砂崩れの危険個所があるからと中止になったし、2019年は直前に降った豪雨により土砂崩れが発生してコースが変更となった
高知では大雨になると土砂崩れが発生する可能性が高くなるのだ。

整理すると、過去、参加した年は、2007年、2008年、2015年、2016年が灼熱の炎天下で、2013年、2018年、2019年は直前に豪雨が降ったわけだ。さらに自主開催した2020年は後半から激しい雨となった。

(幹事長)「豪雨か炎天下なんて、極端だよなあ」
(支部長)「豪雨でも良いから雨は降って欲しいぞ」


炎天下と豪雨とどっちが良いかと言えば、炎天下は避けたいから、土砂崩れにならない限りは豪雨の方が良い

朝の高速道路は空いていて、順調に進んだ。
高知へ行くには高速道路を飛ばして四国山地を越えて行くんだけど、毎年、いくら瀬戸内海側が快晴でも、高知の山の中に入っていくと、だんだん天気が怪しくなってきて、空には雲が立ちこめ、そして遂には雨が降り始める。
今年は、瀬戸内海側で既に暗雲が立ち込めているし、雨雲レーダーを見ると、高知県地方には極端な豪雨の雲が表示されており、そこへ突っ込んで行こうとしているわけだから、当然、雨は降ってくるだろう。
実際、高知の山の中に入っていくと、雨がポツリポツリと降り始めた。どこまで雨が激しくなるか楽しみだ。

スタート時刻を考えると、そろそろ車の中で朝食を食べなければならない。
もちろん、朝食はおにぎりだ。以前はレース中にお腹を壊すことが多かったので、用心して朝食と一緒に下痢止めの薬も飲んでいたが、2015年の徳島マラソンから朝食を菓子パンからおにぎりに変えてみたらその後は一度もお腹を壊さなくなった
パンに含まれるフルクタンという糖類は消化に悪く、下痢になりやすいが、お米に含まれている糖類は消化が良いので、おにぎりを食べれば、もう下痢を心配する必要は無いのだ。
なーんて、すっかり油断してたら、なんと2020年2月の高知龍馬マラソンで5年ぶりにレース中にお腹を壊して20分もトイレにこもってしまった。原因は分からない。でも、少なくともおにぎり路線が悪い訳ではないだろう。
これまでは、おにぎりの他に、バナナやゼリーも食べたりしていたが、それらを控えることにした。レースに備えようと思ってレース直前に食べすぎるのは禁物だ
て事で、今日は少し控えめに、おにぎりを2個食べて終了した。

いつもなら、長蛇の列ができるマラソン会場の特設トイレを避けるために、高速道路を降りる直前の立川パーキングエリアでトイレに行っておく。
でも、今日は現地の常設トイレが使えるので、パーキングエリアはスルーして高速道路を降り、会場に向かう。


〜 会場到着 〜


車はその後も順調に進み、レース会場の吉野クライミングセンターに着いた。
いつもは早明浦ダムの下の広い河川敷駐車場に車を停めるが、今年は大会が無いので、クライミングセンターの前の駐車場に車を停めることができた
また、いつもはクライミングセンターの裏にあるグラウンドの芝生の上に大きなテントが張られ、その中にテーブルとイスが並べられて待機場所になるが、今日はクライミングエリアの前の屋根付きスペースを自由に使えるので、雨は降っているが濡れずに準備できる。

とは言え、雨は少しずつ強くなってきたものの、まだまだ全然大したことはない。大雨を覚悟していたのに、ちょっと肩透かしだ。

(ピッグ)「自主開催シリーズが始まってから、本当に都合の良い天気が続きますよねえ」
(幹事長)「私の人徳のおかげとは言え、不思議なものじゃのう」


去年の春に始まった自主開催シリーズだが、ほとんどのレースで快晴が続いてきた。そして快晴だと暑くなる時期には、うまい具合に曇りや雨模様になる。
去年はスタート時から大雨を覚悟していたが、前半は雨は降らず、後半になって降り出した。かなり激しい雨がいきなり降り出したが、体が熱くなってきた頃に降り出したので、体が冷えてちょうど良かった。
今年もスタート時から大雨を覚悟していたが、今のところ大した雨ではない。

(支部長)「今日は何を着るんかな?」
(幹事長)「ちょっと悩むなあ」


ウェアの選択は、どんな季節のマラソン大会であっても最も重大な問題だ

(D木谷)「秘密兵器のメッシュのシャツは着ないんですか?」
(幹事長)「あれは弱点もあるのよね」


この時期は晴れると炎天下になるが、曇っていても蒸し暑い。なので、オリーブマラソンで愛用している秘密兵器のメッシュシャツが最適だ。
ただし、ほとんど裸同然なので、大雨になると雨粒が皮膚に痛くて冷たい。高知の雨は強烈だから、ちょっと怖い。

次善の策としては、前回の北山林道駆け足大会で着た薄手の袖無しのランニングシャツがある。
秘密兵器のメッシュシャツほどではないが、このシャツも背中側は少しメッシュになっているし、袖も無いから、普通のTシャツに比べるとかなり涼しい
しかし、袖が無いから、大雨になると雨粒が肩に当たって痛くて冷たい。高知の雨は強烈だから、ちょっと怖い。

てな事で、結局、普通のTシャツにした。2015年の丸亀マラソンでもらったTシャツだ。
他のメンバーも上は半袖Tシャツだけだが、のらちゃんだけはアンダーシャツも着ている。

(幹事長)「いくら雨でも暑いんと違う?」
(のら)「だって日焼けしたくないし」


こんな雨の日でも日焼けするもんだろうか?どう考えても日焼け止めクリームサングラスも不要だろう。て言うか、日焼け止めクリームは雨で流されるだろうし、サングラスは雨が着いて見えなくなるだろう。
下は練習の時にいつも履いている短パンを履いた。これは濡れてもベチョベチョしないから、雨の日も走りやすい。
さらに脹脛サポーターを履く。筋肉の疲労防止のために、寒い時期ならタイツを履くが、今の時期にタイツを履くと暑すぎる。
D木谷さんもいつものように脹脛サポーターを履いているし、前回の北山林道駆け足大会ではレースを舐めて脹脛サポーターを履かずに惨敗したピッグも、今日は履いている。
一方、支部長はタイツを履いている。そう言えば、支部長は去年も脹脛サポーターではなくタイツを履いていた。

(幹事長)「タイツは暑いよ」
(支部長)「脹脛サポーターはきつくて履きにくいから止めた」


たしかに、脹脛サポーターはとてもきつくて脱着が大変だ。
のらちゃんも日焼け防止のためにタイツを履いている。

そのほか、強い雨が顔に当たると痛いので、雨除けのために嫌いなランニングキャップを被る。

自主開催なので給水所が無いため、水分の補給は自己責任で何とかしなければならない。
前回の北山林道駆け足大会では、距離が短いので飲料を持たずに走ったが、今日は21kmと長いので、通常なら飲料は必携だ。ただ、今日は雨が降っているから、あんまり喉は渇かないかもしれない。

(支部長)「そんな事はない。雨が降ってても汗はかくから、絶対に必要やってば」
(幹事長)「あ、やっぱり、そうかな」


ピッグはいつものように飲料ボトル用ホルダーを腰に巻いているが、私は腰に着ける飲料ボトル用ホルダーは揺れて気になるので、トレランリュックにスポーツドリンクを入れて背負って走る。この方が少し重いが安定している。
支部長やのらちゃんも同じようにトレランリュックにスポーツドリンクを入れている。
ところがD木谷さんは今日はトレランリュックを止めて腰に飲料ボトル用ホルダーを巻いている。

(幹事長)「それって鬱陶しくないですか?」
(D木谷)「トレランリュックの方が揺れて鬱陶しいので変えてみました


どちらを鬱陶しく感じるかは個人差が大きいようだ。

また、自主開催なので誰か迷子になる可能性もあるため、イザと言う時のためにスマホも持っておく。

会場のクライミングセンターで気合を入れるメンバー
(左から幹事長、ピッグ、のらちゃん、支部長、D木谷さん)


クライミングセンターのトイレで用を済ませたら、コースを確認する。コースはとてもシンプルで分かりやすい
スタート地点は会場のクライミングセンターの前だ。そこをスタートして、すぐ県道264号線を北に入る。
その後は早明浦ダムの下で吉野川に合流する汗見川という川に沿って県道264号線を延々と北上し10.5km上った冬の瀬というところで折り返して帰ってくる。
最初は汗見川の左岸(前半は川を遡っているから川の右側)を走り、5.5km走ったところにある1つ目の橋を渡って右岸(前半は川の左側)に渡り、9.5km走ったところにある2つ目の橋を渡って再び左岸に渡る

前半の10.5kmはひたすらずっと上り坂、後半は全て下り坂往復21kmだ。
ただ、汗見川は急流という訳でもないし、川に沿った坂は、そんなに激しいアップダウンではない。北山林道駆け足大会は、絶壁のような急坂をよじ登り、よじ降りてくるという過酷なコースだが、それに比べたら大した勾配ではない
特に、前半はずうっと上り坂とは言え、そのうちの前半の前半である5.5km地点までは大した傾斜ではない。緩やかに上っているだけだ。5.5km地点から折り返し点までがきつい上り坂となっている
折り返してからは、後半の前半はきつい傾斜の下り坂なので、調子に乗って飛ばして下ってこられるが、後半の後半は緩やかに下っているだけだから、体感的にはほとんどフラットで、かなりきつい区間だ。

(のら)「道に迷いそうな場所は無いの?」
(幹事長)「たぶん大丈夫だと思うよ」


途中にいくつか分岐はあるが、明らかに脇道なので、ボウッと走っていても間違うことはない

なーんて油断してたら、前回の北山林道駆け足大会では、先頭の支部長が、不思議な魔力に吸い寄せられるように、なぜか明らかな脇道に入っていき、後続のメンバーも何も考えずに盲目的に着いて行き、唯一、コースを知らない最後尾ののらちゃんの指摘により、ハッと我に返り、慌てて引き返した苦い経験がある。

(幹事長)「初めてなのに、良く分かったなあ」
(のら)「分岐があったら左へ行け、ってしつこく言ってたのに、あんな所で右へ入っていくから」

支部長は何度も出場していて、コースは熟知しているはずなのに、なぜあんな所で間違えたんだろう。
支部長は5月のオリーブマラソンでも、なんと2年連続で折り返し点に気が付かず行き過ぎてしまった。

(幹事長)「支部長にトップを走らせると間違いの元やなあ」
(支部長)「幹事長がトップを走ればいいのに、遅いからや」


今回のキーワードは、橋を渡る回数だ。

(幹事長)「橋を渡るのは2回だけやからね」
(のら)「2回やね」

実は、去年もレース前に「橋を渡るのは2回だけやからね!」と強く念押ししていたのに、ピッグが間違って3つ目の橋を渡りかけていたので、慌てて呼び止めた。
トップの支部長は間違えずに走っていったのに、かなり引き離されていたため、見失っていたのだ。
この失態で気合いを削がれたピッグが、この後、ダントツの最下位に転落したのは言うまでもない。
このように、分かりやすいコースであっても、ボウッと走っていると、どこで間違えるか分からないから、注意しながら走らなければならないのだ。


〜 スタート前 〜


スタートする前に本日の目標を立てなければならない。
もちろん、どんな時でも、どんなレースでも、常に大会自己ベストを狙うのが良い子のランナーとしてあるべき姿だ
マラソンはコースや季節によってタイムが大きく変わってくるため、違うレースのタイムを比較するのは不適当なので、どんなレースに出ても、とりあえず大会自己ベストを狙うのが良い子の正しい道だ。
特に、このレースは坂が厳しいから、他のレースとの比較は意味が無い。

なので、目安はあくまでも過去のタイムだ
この大会は、トンでもなく暑い時季の山岳マラソンなので2時間を切るのは不可能だろうと思っていたけど、2013年にはスタート直前にスコールが降り、高気温が少し和らいだおかげで、2時間を切ることができた。これがこの大会の唯一まともなタイムなので、今日の目標はその時のタイムだ。
汗見川マラソンとしてはまともなタイムではあるが、なんとか2時間を切った程度なので、他のマラソン大会のタイムに比べたら惨敗レベルのタイムだ。なので、今日のような雨中のレースなら、もっと良いタイムが出る可能性はゼロではない。
今日の戦略は、前半からペースを抑えるなんて事はせず、自然体で思うままに走っていくことにした。

(ピッグ)「それって、前半に調子に乗って飛ばして終盤に失速するという、今まで何百回も失敗したパターンですよね。
       最近はようやく大人になって、前半のペースを抑える事を学んだんじゃないんですか?」」


確かに、前半に無理して飛ばして貯金したって、無理が祟って終盤に失速したら元も子もないって事は分かっている。フルマラソンのような長いレースなら、最近は前半から徹底的に抑えて走っており、そのおかげで終盤に足を引きずって歩くって事は無くなった。
しかし、このコースは前半は登りで、後半は下るだけだ。なので勝負は前半だ。後半は惰性で降りてこられるから大きな失速は無いだろう。

(幹事長)「なーんて言いながら、後半の後半は、ほとんどフラットやから、失速する可能性はあるんだけどな」
(支部長)「そやで。フラットと言うか、むしろ上り坂に思えてしまうよ」


やはり勝負は最後の5kmだ。
とは言え、5月のオリーブマラソン7月の北山林道駆け足大会の結果を見ても分かるように、正式な大会でもないのに自己ベストを出すのは難しい
上にも書いたように、ゾウさんやのらちゃんら女子部員は精神力が強いから、練習の時でも本番同様のスピードで走ることができる。
しかし私なんかは練習になると、どんなに気合を入れようとしてみても、本番のような気持ちの高まりを得る事はできないため、アドレナリンの分泌が皆無になる
今日はみんなで走るので、単独での練習よりは気合も入るだろうと思うが、そうは言っても正式な本番とは比べ物にならないスローペースになるのは目に見えている。

それに相変わらず練習不足だ。1月、2月はまだ月間走行距離200kmを達成していたが、ここんとこやたら登山ばかりにうつつを抜かしていて、月間走行距離は100kmを超えるのが精一杯だ。
相変わらず月間走行距離200kmを維持している支部長と差がつくのは当然だ。

さらに、最近、右足の踵を痛めてしまった
整形外科で見てもらったら、踵の骨が少し変形してきており、そこが炎症を起こしているんだそうだ。直接的な原因は登山にありそうだが、ランニングしていても痛みは出る。
それほど深刻な痛みではないが、慢性的に痛みが続く。長距離を走れば痛くなってくるし、上り坂を走るとかなり強い痛みが出る

てなわけで、自己ベストは無理だろうから、一応、目標として2時間切りを目指すことにした。
去年も同じような目標を掲げて走ったが、雨で暑くなかったにもかかわらず、2時間は切れなかったから、今年も簡単ではないだろう。

(ピッグ)「私は3日前にコロナのワクチンを接種したので、今日はゆっくり走ります」
(幹事長)「3日も前やったら関係ないやん!」


〜 スタート 〜


天気は相変わらず弱めの雨だが、雨にもかかわらず気温は高めだ。湿度は100%なので、なかなか蒸し暑い。早く土砂降りになって欲しい。

主催者の幹事長からありがたいお言葉が発せられ、開会式が10秒ほどで終わり、支部長のカウントダウンにより予定通り9時30分に一斉にスタートとなった。
タイムはもちろん自己計測だ。自主開催なので当たり前だ。

いつもなら周囲のランナーもいきなり最初から一斉にガンガン飛ばすため、連られて一緒にハイペースで走り出す。
このコースは前半は坂道をひたすら登る過酷なレースなので、ペース配分を考えて無理せずにゆっくりと走り出すランナーが多いと思われがちだが、実は逆だ。
こんな過酷なレースに出場する選手はレベルが高くて、最近のメジャーなマラソン大会に大挙して出てくるような初心者はあまりいないから、スタートの合図と共に、みんなすごい勢いで一斉に駆け出す
彼らがペース配分を考えていないのではなく、私のレベルからすればレベルが高すぎて速すぎるという訳だ。

しかし、今日は参加メンバー5人の自主開催だから、取りあえずは何も考えずに自然体で走る
大勢のランナーと競いながら真剣勝負する正式大会には程遠いが、みんなと走るので、単独で練習している時に比べたら、だいぶ気合が入り、清々しい気分でしっかり走れている。競い合う感じが心地いい。

前半は上り坂とは言え、最初の5kmくらいは大した上り坂ではないので、スタート直後の元気なうちは、あんまり苦にならない。
例によって他のメンバーは取りあえず私の後ろをついてくる。このまま一気に引き離せれば気持ち良いところなんだけど、みんなの足音はピタッと付いてくる。
もっとスピードを上げたいところだが、無理すると後半に自滅するし、痛めている踵の痛みがジワジワ出てきているので、ちょっと怖い。

ただ、いつもならそのうち支部長やピッグが私を追い越していく事が多い。去年のこのレースでも、2kmほど走ったところでピッグと支部長が一緒に私を追い越していった。
ところが今日は誰も私の前に出ようとしない

(幹事長)「今日はまだ飛び出さないん?」
(支部長)「コースを間違えたらいかんから今日は自重しとくわ」


支部長はオリーブマラソンでは折返し点を見過ごして100mほど通り過ぎてしまったし、北山林道駆け足大会では道を間違えて100mほどコースアウトしてしまった
余計に走った距離は大したことないが、精神的ダメージが大きく、どちらのレースも惨敗してしまった。なので、今日は自重するようだ。
前に誰も出てこないので、自分のペースがよく分からない。ずっと頑張れているのか、少しずつペースダウンしているのか、ちょっと不安だ。

天気は相変わらず弱い雨だ。炎天下のような強烈な暑さはないが、蒸し暑い
雨が少し強くなると雨粒が顔に当たるのでキャップを被るが、弱めになってくると脱ぐ。頭が蒸れて暑くなるのだ。

道は基本的には上り基調とは言え、大した傾斜ではなく、フラットな区間も多い。
みんな集団になったまま5.5km地点にある1つ目の橋を渡って川の上流に向かって左側に移る。
時計を見てペースを確認すると、1km5分半程度だ。思ったほど速くはない。ちょっとガッカリだ。

すると、ここでD木谷さんが私を追い越していく
以前はD木谷さんは前半は自重し、後半になってみんながペースダウンし始めるとどんどん追い越していくというパターンが多かったが、前回の北山林道駆け足大会と同じく、最近は前半のうちから積極的に前に出るようになってきた。

1つ目の橋を渡って前半の後半に入ると、それまではちらほら田んぼもある風景だったのが、山深くなってきて、だんだん坂が厳しくなっていく。全体的に傾斜がきつくなると言うより、所々に急な坂が出てくるようになる
ただ、北山林道駆け足大会のような激坂ではないし、龍馬脱藩マラソンのように延々と厳しい坂が続くわけでもない。勾配が10%以上の急坂が何度も出てくるが、そういう急坂の区間がずっと続くわけではないから、 なんとか乗り切れる。

すると、D木谷さんに続いて、今度はピッグが追い越していく。さらにピッグの背後に支部長もピッタリ着いて一緒に追い越していく
そんなにスピードの差は大きくないから、無理したら着いていけそうだが、まだこの段階であんまり無理はしたくない。それに、上り坂になったので、踵の痛みも増してきた
前回の北山林道駆け足大会や前々回のオリーブマラソンでは終盤にペースダウンした支部長を楽々再逆転したので、今日もその再現を狙うとして、取り合えず泳がせておく。
いつもなら、他のメンバーと一緒に私を追い越していくのらちゃんだけは、なぜか今日は私の後ろに着いたままだ。調子悪いのだろうか。
それとも、前回の北山林道駆け足大会や前々回のオリーブマラソンで終盤に私に再逆転されたので、今日は用心して私をマークしているのかもしれない。

先行する3人との差はジワジワと開いていく。くねくね曲がりくねった道になるので、だんだん姿が見えなくなっていく。
ただ、1つ目の橋から折り返し点までの前半の後半は、厳しい坂の連続っていうイメージを持っていたが、それほどでもない。
以前は炎天下の厳しいレースのイメージもあり、とても厳しいレースと思っていたが、北山林道駆け足大会や酸欠マラソンや脱藩マラソンのような強烈な激坂のレースに慣れてきたので、このレースの坂は平気になってきた。
雨の中なので、それほど喉は乾いてないような気もするが、早目の給水が重要なので、走りながらスポーツドリンクを飲む

9.5km地点にある2つ目の橋を渡って再び川の上流に向かって右側に移ると、折り返し点は近い。
ここで時計を見て5.5km地点からのペースを確認すると、1km6分半程度まで落ちている。そこまで遅くなってるとは思わなかったので、ガッカリを通り越してショックだ
坂はそれほど厳しくはないな、なんて思ったのは、単にペースが遅いからだったのか。

(幹事長)「折り返し点まで、あと1kmだよ」
(のら)「は〜い」


なんでのらちゃんが私を追い越していかないのか不思議だが、見る限りは元気そうだ。

しばらく行くと折り返してきたD木谷さんとすれ違う。予想外に速い。かなり差が着いている。
さらに、少ししたら支部長も折り返してきた。こちらも意外に速く、D木谷さんとの差は、そんなに開いていない。
さらに、それに続いてピッグも折り返してきた。こちらも粘り強く走っている。

少し進むと折り返し点冬の瀬に到着した。ここでスポーツドリンクを飲んで、すぐさま折り返す。のらちゃんも一緒だ。
支部長との差は2分くらいだが、下り坂に滅法強い支部長に下り基調の後半で追いつくのは至難の業だ。
しかし、すぐ前のピッグには追い付けるかもしれない。去年は後半に大撃沈したピッグなので、ここから逆転できる可能性は残っている。
ここまでのタイムは期待したほど速くはないが、それでも去年よりは少しマシだ。まだまだ頑張れるぞ。

後半の前半はかなり急な下り坂だ。急とは言っても、ブレーキを掛けなければ転がり落ちそうになる北山林道駆け足大会や酸欠マラソンほどの急坂ではなく、ちょうど気持ちよく走れる程度の下り坂なので、足を痛める不安もなく駆け下りて行ける。
とは言え、なんとなく足が重い。もっとガンガン駆け下りたいんだけど、足が回らず、なかなか前に出ない。早くも疲れが出てきたんだろうか。

雨は相変わらず強くなったり弱くなったりだが、それほど強くはならない。
前方を走っている3人の姿は全然見えない。こうなるとやる気が湧いてこないが、後ろにはのらちゃんがピッタリ着いてきているので、かろうじて緊張感は保っている。

後半の前半の急坂区間の終わりを告げる1つ目の橋が見えてきた。残りは5.5kmだ。
ペースを計算すると、折返し点からのペースは、下り坂だったにもかかわらず1km5分半すら切れていない。緩やかな上りだった前半の前半よりも遅い。非常にまずい。
目標の2時間を切るには、ここからゴールまで1km5分20秒で走る必要がある。普通のマラソン大会なら終盤でも可能なペースだが、ここからは下り坂とは言え、勾配はとても緩いし、ここまでの今日のレース展開を考えると限りなく不可能に近い。

とは言え、ズルズルと情けないタイムでゴールはしたくないので、なんとか頑張る。
後半の後半は、一応、下り坂ではあるが、あまりにも緩やかなので、下っているのを全く感じなくなる。疲れて足が動かなくなってくるので、むしろ、なんとなく逆に上っているようにすら感じられてしまう
て言うか、明らかに上り坂になってるところもある。
雨の中なので息は苦しくないが、足が疲れて前に出ない

下流に来ると川の曲がりが緩やかになってきて、だいぶ先まで見通せるようになる。しかし、それでも誰の後姿も見えない
絶望的だが、支部長やピッグが行き倒れているのではないかという一縷の望みを抱いて走り続ける。
踵は相変わらず痛みが出ているが、それほど深刻な痛みでもないので、我慢できる。

ふと気が付くと、ずっと後から着いてきてたのらちゃんの足音が聞こえない。おかしいなあと思って後を振り返ると、姿が見えない。
5.5km地点の橋の辺りで言葉を交わした時は、すぐ後を元気そうに走っていたのに、どうしたんだろう?


〜 ゴール 〜


戸惑いながらも走り続けていくと、ようやくクライミングセンターの屋根が見えてきた。もうすぐゴールだ。
ゴールでは真っ先にゴールしたD木谷さんが写真を撮ってくれているので、作り笑顔で元気そうにゴールした。

結局、タイムは散々だった。目標の2時間が切れなかっただけでなく、去年よりも遅かった。折り返し点では去年より速かったから、後半に大きくペースダウンしたようだ。
去年は後ろから迫ってくるD木谷さんから逃げるために必死で走ったけど、今年は真剣さが足りなかったのかも。
この大会の本大会でハーフマラソンを走った3回のうち、最悪だった2015年のタイムよりとほぼ同タイムだった。あの時は炎天下の灼熱地獄だったのに対し、今日は雨で暑くなかったんだから、情けない限りだ。

トップでゴールしたD木谷さんは、なんと1時間53分台だったそうだ。このコースで1時間53分台は見事の一言だ。
オリーブマラソン、北山林道駆け足大会に続きD木谷さんは3連勝だ
その次は支部長が2位をキープした。タイムは1時間59分ちょっとだ。このコースで2時間を切れば大したものだ。
続くピッグも最後まで粘り、ギリギリで2時間を切ったので、これまた大したものだ。
それに引き換え、私は過去最悪の惨憺たるタイムだ。踵は痛むものの、我慢できる程度だが、足に疲れを感じたから、調整の失敗だろうか。

支部長にはオリーブマラソン、北山林道駆け足大会と2連勝していたが、その要因はやはり暑さだったようだ。暑ければ支部長は自滅する。
しかし今日のように雨の中のレースになると、暑さは和らぎ、呼吸も苦しくなくなるので、支部長に勝てる余地は無くなる。

それにしてものらちゃんが帰ってこない。心配して見に行くと、だいぶ遅れて姿を見せた。

(幹事長)「どしたん?
(のら)「足の裏が痛くなって」


突然、足の裏が痛くなって、まともに走れなくなったそうだ。
いつものソックスではなく、滑り止めが付いたソックスを履いていたため、足の裏にマメが出来て痛くなったようだ。


〜 川遊び 〜


一休みしたところで、いよいよ、このレースの一番の楽しみである冷たい川への飛び込みだ。かつて上りの片道10kmコースしか無かった時も、ゴール後に山奥の川に飛び込んでいたが、往復のハーフマラソンになってからも、会場近くで川に飛び込むことができる。
今日は雨が降っているから、そんなに暑くはないが、このマラソン大会の最大の楽しみが川遊びなんだから、飛び込まないともったいない
走っている最中はそれほど強い雨ではなかったが、ゴール後はだいぶ雨が強くなってきた。でも、川遊びするのに雨は関係ない。

足を引きずって川に降りていき、そうっと足を入れてみると、ものすごく冷たい。しばらくすると足が痛くなる。それでも少しづつ体を入れていくと、なんとか腰まで入る事ができた。
さらにジワジワと水に入り、最後は肩まで一気に浸かると、一瞬で体が凍りつく。心臓が止まりそうだ。慌てて一度出ると、体中が火照ったようになる。
豪雨で大量の水が流れ込んでいるためか、さすがの清流の汗見川にも木の枝や葉っぱが流れている。それでも水そのものはいつもの通りの澄んだ水で、気持ちよく入る事ができた。
湿度が100%なので、水蒸気で水面から霧が立ち込め、幻想的な良い雰囲気だ。
他のメンバーもキャアキャア言いながら水に入って遊ぶ。

(のら)「ぎゃあ、足が攣った!」

川は浅いが、手で支えられるほど浅くはないから、足が攣ると溺れてしまうので、必死でもがく。
水量が少ない時は、滝のようになった所で鯉の滝登りごっこをして遊べるが、今日は水量が多くて、何度かチャレンジしたが、跳ね返されて叩きつけられ、腕を負傷してしまった。
遊んでいるうちに雨は土砂降りになってきたので、そろそろ引き上げる。

川遊びをした後は、一昨年オープンした近くのモンベルのアウトドアヴィレッジ本山に行ってお風呂に入った。
お風呂ではついつい居眠りしてしまい、10回ほど溺れかけてしまった。
気が付くと誰もいなくなっていたので、慌ててお風呂から出ると、支部長がゆずアイスを食べていた。

お風呂の後は昼食だ。
今日は大豊にある有名なひばり食堂へ行く。大きなカツ丼が有名な店だ。
さっそくカツ丼を注文すると、思った通り大きなカツ丼が出てきた。のらちゃんには大きすぎるので、ちゃんと女性向けのミニカツ丼てのが用意されている。
要するに、普通の店で出てくるカツ丼がミニカツ丼で、普通の店で出てくる大盛がカツ丼で、単に名前の付け方が普通の店と違うだけだが、さらに大盛ってのがあるので、それがどれくらい大盛なのかは興味津々だ。

(幹事長)「今日は天候が支部長に味方したなあ。暑くなれければ支部長にはもう勝てないような気がするなあ」
(ピッグ)「同じく、ですねえ」
(支部長)「でも、ここんとこD木谷さんには負けてるからなあ」


2月の丸亀マラソン、3月の香東川マラソンと支部長が2連勝した後、5月以降はD木谷さんが3連勝だ

(幹事長)「何があったんですか?」
(D木谷)「ランニングの練習量が増えましたね」


以前はスポーツジムのスタジオでズンバばっかり踊っていたD木谷さんだが、最近はランニングの時間が増えたそうだ。

(支部長)「やっぱり練習量は嘘をつかんな」

次のレースは8月末か9月初めに開催予定の酸欠マラソンだ。
晴れるとまだまだ暑い時期だし、スタート直後から激坂が続くコースなので、去年は支部長に圧勝したレースだ。
今さら練習量で挽回するのは不可能だと思うので、去年の再現を狙って、炎天下になるのを祈るのみだ。


〜おしまい〜




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